学 位 論 文 審 査 要 旨 公開審査日 2017 年 9 月 27 日(水)
報告番号:甲・
○
乙 第 2126 号 氏名: 太田 陽子論文審査
担当者 主査 教授 林 由起子 印
副査 教授 羽生 春夫 印
副査 教授 河島 尚志 印 審査論文の題目:Speech recognition in bilaterally cochleah implanted adults in Tokyo, Japan (両側成人人工内耳聴取能の検討)
著 者:Yoko Ohta, Atsushi Kawano, Sachie Kawaguchi, Kyoko Shirai, and Kiyoaki Tsukahara 掲載誌:Acta Otolaryngol. Mar 16:1-5. (2017)
論文要旨:
両耳人工内耳装用効果には両耳加算効果、頭部シャドウ効果の改善、スケルチ機能など騒音下の聞き取 り改善や、音の方向感改善、良聴耳の疲労軽減などがある。本研究は、「成人の両耳人工内耳手術症例 では一側のみに比べ聴取能が改善するか」についてレトロスペクティブに検討した研究である。東京医 科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科で両側人工内耳植込み術を受け、術後 1 年以上経過した 34 症例を対象 とし、一側目人工内耳使用時と両側人工内耳使用時の聴取能について、静寂下と雑音下で比較した。そ の結果、両耳人工内耳装用下では一側の人工内耳使用のみに比べ、静寂下及び雑音下においてともに聴 取能が有意差をもって良好であり、日本語における両耳人工内耳の有用性が示唆された。一側目と二側 目の聴取能の相関性は単語・文ともに有意差がみられず、一側目の聴取能が悪くとも二側目の聴取能に ついて悲観する必要はないといえた。また、両耳手術間隔と二側目の聴取能に負の相関性を認めなかっ たため、成人では手術間隔が開いていても二側人工内耳の手術の検討が可能であると考えられた。
審査過程:
1) 人工内耳のメカニズムについて具体的かつわかりやすく説明がなされた。
2) 成人と小児における両耳人工内耳装用の適応と限界について、海外における最新の研究結果も交え て適切な回答が得られた。
3) 人工内耳装用の効果の個人差、ならびに一側目装用時と両側装用時における効果の違いの発生要因 について適切な回答が得られた。
4) 人工内耳装用後の聴覚の順応についての質問に対し、的確な回答が得られた。
5) 臨床背景について質問がなされ、的確な回答が得られた。
価値判定:
本研究は、両側人工内耳装用の効果を日本語の単語と文での判別を基準に、一側装用時における効果と 比較検討した研究であり、日本人難聴患者における両側人工内耳装用の有用性を明らかにした。また、
二側目手術時期やその手術適応に関しても新たな知見を得ることが出来、臨床的に有用な研究である。
学位論文としての価値を認める。