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ISSN1346-9479 信 金 中 金 月 報       2 0 0 6 年    月 号

Shinkin Central Bank Monthly Review

第5巻 第9号(通巻402号)

2006. 7

「グローバリゼーション」と「リレーションシップバンキング」 まちづくり三法改正の動向 −信用金庫に求められる中心市街地活性化策− 地域産業連関表の有用性・活用事例 −2000年版・地域産業連関表作成マニュアルの概要と改良点− 経済見通し 実質成長率は06年度2.5%、07年度2.2%と予測 −企業と家計のバランスの取れた息の長い景気回復が続く− 中国の第11次5か年計画と今後の経済発展戦略 −量的拡大から質的向上への転換で協調発展を目指す− 信用金庫業におけるATMの役割 −個人預金業務を中心として− 統計 7 20006.06.13 1314 170 信金中金/ 報_表1-4 06.07 W425*H297 2C

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ISSN 1346−9479 2006年(平成18年)7月1日 発行 2006年7月号 第5巻 第9号(通巻402号) 発 行 信金中央金庫 編 集 信金中央金庫 総合研究所 〒104−0031 東京都中央区京橋3−8−1 TEL 03(3563)7541 FAX 03(3563)7551

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当研究所のホームページでは、当研究所の調査研究成果である各種レポート、信金中金月報のほか、統計デー タ等を掲示し、広く一般の方のご利用に供しておりますのでご活用下さい。 また、「ご意見・ご要望窓口」を設置しておりますので、当研究所の調査研究や活動等に関しまして広くご意 見等をお寄せいただきますよう宜しくお願い申し上げます。 【ホームページの主なコンテンツ】 ○当研究所の概要、活動状況、組織 ○各種レポート 内外経済、中小企業金融、地域金融、 協同組織金融、産業・企業動向等 ○刊行物 信金中金月報、全国信用金庫概況等 ○信用金庫統計 日本語/英語 ○アジア主要国との貿易・投資に関する各種情報 アジア業務室ページ ○論文募集 【URL】 http://www.scbri.jp/ 2006.06.13 1314 170 信金中金/ 報_表2-3 06.07 W425*H297 1C ○対象分野は、当研究所の研究分野でもある「地域」「中小企業」「協同組織」に関連する金融・ 経済分野とし、これら分野の研究の奨励を通じて、研究者の育成を図り、もって我が国におけ る当該分野の学術研究振興に寄与することを目的としています。 ○かかる目的を効果的に実現するため、本論文募集は、①懸賞論文と異なり、募集期限を設けな い随時募集として息の長い取り組みを目指していること、②要改善点を指摘し、加筆修正後の 再応募を認める場合があること、を特徴としています。 ○信金中金月報への応募論文の掲載可否は、編集委員会が委嘱する審査員の審査結果に基づき、 編集委員会が決定するという、いわゆるレフェリー制を採用しており、本月報に掲載された論 文は当研究所ホームページにも掲載することで、広く一般に公表する機会を設けております。 詳しくは、当研究所ホームページ(http://www.scbri.jp/)に掲載されている募集要項等をご 参照ください。   編集委員会 (敬称略、順不同) 委 員 長 堀内昭義 中央大学総合政策学部教授 副委員長 藤野次雄 横浜市立大学国際総合科学部長 委  員 筒井義郎 大阪大学社会経済研究所教授 委  員 濱田康行 北海道大学経済学部教授 委  員 吉野直行 慶應義塾大学経済学部教授   問い合わせ先 信金中央金庫総合研究所「信金中金月報掲載論文」募集事務局(担当:松崎、照沼) Tel : 03(3563)7541/Fax : 03(3563)7551

「信金中金月報掲載論文」募集のお知らせ

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2006

7

月号 目次

地域シリーズ 研    究 調    査 査読付論文 信金中金だより 統    計

2

4

24

41

58

84

85

97

99

「グローバリゼーション」と「リレーションシップバンキング」

まちづくり三法改正の動向

−信用金庫に求められる中心市街地活性化策−

地域産業連関表の有用性・活用事例

−2000年版・地域産業連関表作成マニュアルの概要と改良点− 経済見通し

実質成長率は06年度2.5%、07年度2.2%と予測

−企業と家計のバランスの取れた息の長い景気回復が続く−

中国の第11次5か年計画と今後の経済発展戦略

−量的拡大から質的向上への転換で協調発展を目指す−

「信金中金月報掲載論文」募集における査読付論文

信用金庫業におけるATMの役割

−個人預金業務を中心として−

信金中央金庫総合研究所活動状況(5月)

信用金庫統計、金融機関業態別統計

藤野次雄 長山宗広 奥津智彦 角田 匠 黒岩達也 総合研究所 近藤万峰 信 金 中 央 金 庫 総 合 研 究 所 顧 問 (横浜市立大学 国際総合科学部長) 愛知学院大学 商学部専任講師

2006

7

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「グローバリゼーション」と「リレーションシップバンキング」

信 金 中 央 金 庫 総合研究所顧問 

藤野 次雄

(横浜市立大学国際総合科学部長) 日本経済は、グローバル化、市場経済化に対応して構造改革を進めている。金融面では、 2002年10月に、主要行向けに「金融再生プログラム」が公表され、2003年3月には、地域金融 機関について金融審議会金融分科会第二部会報告書「リレーションシップバンキングの機能強 化に向けて」が公表された。主要行には日本経済再生の視点から「不良債権処理」が強く求め られ、地域金融機関については、地域経済・中小企業に配慮して、「地域経済の活性化」とい う視点が導入され、地域の「実態に即し」た不良債権処理を行い、「地域貢献」が求められた。 地域・中小企業に関しては、市場経済化のなかで「自立」と「自律」を求められているこの 時期に、リレーションシップバンキングという地域・中小企業と地域金融機関との関係を、「日 本的経済・経営システム」の一環として考え、その今日的意義について、グローバル化という 観点から考えてみる。 もともと金融仲介機関の存在意義は、金融取引が持つ特殊性、つまり貸し手・借り手間 の「情 報の非対称性」に起因し、借り手に関する情報の収集・分析、審査・モニターを行うためには、 金融取引を仲介する専門業者=金融機関が行った方が、一般の貸し手よりも情報生産に必要な 取引費用の節約(「専業の経済」)が図られ、この情報生産に要する費用が非可逆的・固定的埋 没費用であるため長期安定的取引関係となる傾向がある。 リレーションシップバンキングとは、この長期安定的取引関係において、財務諸表等による 定量的情報だけでなく、金融機関が借り手企業の経営者の資質や事業の将来性等ついての定性 的情報をも利用して、融資を実行するビジネスモデルである。なお、同じ地域・中小企業金融 という面においても、主要行の行うトランザクションバンキングは、定量的指標によりクレジ ットスコアリング等により取引を行うという点で、ビジネスモデルの上で違いがある。 とりわけ、リレーションシップバンキングでは、その本来機能から言って、地域の実態に根 ざした情報が活用されることにより、貸出面で、①貸出に当たっての審査コスト等が軽減され ることにより金融の効率化・円滑化が図られる、②信用リスクを適切に反映した貸出の実施や

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借り手の業績が悪化した場合の適切な再生支援等により貸し手、借り手双方の健全性の確保が 図られる結果、リレーションシップバンキングの中小企業、地域経済の再生に果たす役割は大 きい。 ところが、現実には地域経済からみた地域金融機関は、①預金分野では郵便貯金、貸出面で は政府系金融機関が大きなシェアをもち、主要行の進出もあり、地域内が過当競争状態で、適 正な金利・手数料とも取れていない、②業務内容、業務地域、業務対象(会員・組合員)が限 定されることによる、規模と範囲の経済が実現できず、リスクが十分に回避できていない。 また、リレーションシップバンキングというビジネスモデルが内包する課題として、地域金 融機関は取引先の財務状況が悪化したからといってただちに信用リスクを反映した適正金利へ の引き上げを図る、あるいは貸出金を回収するのではなく、取引先の業況・財務の改善を図る 行動が一般的であり、短期の利益最大化を図るのではなく、中長期的に収支が均衡すればよい という行動をとる結果、自らの収益の低下や不良債権処理の遅延を招く恐れがある。他方、金 融機関側が短期的な利益を追求すれば、中小企業の経営が成り立たなく恐れが生じる。金融機 関側では、収益力の強化やリスク管理が課題となり、地域経済全体としては、地域・中小企業 への円滑な資金供給の確保と金融機関の健全性確保のどちらを優先すべきかが課題となる。し たがって、この金融機関と取引相手の間に生じるコミットメントコストの増大を抑制し、双方 がリレーションシップバンキング固有のリスクを的確に認識し、コストの適正負担を行うこと が必要である。 そのための方策として、「地元への問題解決型アプローチとその対価としての適正金利の設 定」という本来機能を発揮し、地域金融機関と地域・中小企業の双方がプロフィットで報われ、 持続可能(サステイナブル)な形で「共存共栄」することが必要である。 地域金融機関が、地域・中小企業に対し、持続可能な形でリレーションシップバンキング機 能を発揮し、地域貢献を果たし、共存共栄するためには、もともと固有の課題であるコミット メントコストを抑制・解消するとともに、機能発揮ができても「月報6月号」で述べた情報の 非対称性に対処する「日本的経済・経営システム」の一環である内部市場の維持コストをグロ ーバリズムに代表される外部市場以上に低くするよう、地域・中小企業をグローバルな視点か ら「自立」させ、自らは組織形態、業務内容、業務地区や業務対象(会員・組合員資格)にお いて「効率性」と「規模と範囲の経済性」を発揮することが必要であろう。

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(視 点) 2006年2月、第164回通常国会において、まちづくり三法改正に関する法案が提出された。 衆参院通過の3か月以内の7月には、新法が施行される見通しである。本レポートでは、まず、 中心市街地・商店街の現状とこれまでの政策展開を振り返る。次に、法改正の背景、基本方 針、実際に改正される都市計画法と中心市街地活性化法について概観する。最後に、法改正 に対する評価を加え、信用金庫に求められる中心市街地活性化策を提示した。法改正後の運 用面のあるべき姿やノウハウも盛り込んだので、信用金庫のみならず、広くまちづくり関係 者に一読願いたい。 (要 旨) ●まちづくり三法改正の基本方針には、人口減少社会に向けた「コンパクトでにぎわいあふ れるまちづくり(コンパクトシティ構想)」が掲げられ、「まちのコンパクト化(郊外での ブレーキ)」と「中心市街地のにぎわい回復(アクセル)」の両輪の施策が展開される。 ●改正中活法では、小売商業ありきの政策を転換し、都市機能の集約化や街なか居住等のに ぎわい回復策を優先する。また、支援のバラマキを改め、「選択と集中」の仕組みが導入 されるため、「都市機能の集積した市町村」の中心市街地空洞化対策が講じられる。国が 認定する基本計画は100程度になる見込みであり、人口5万人以下の市町村の過疎対策は 外される。 ●まちづくり三法改正後、信用金庫には、①中心市街地活性化基本計画の認定支援、②中心 市街地活性化協議会の設置支援、③テーマ別組織での活動支援、④中心市街地活性化サポ ート金融会議(仮称)への参加、といった中心市街地活性化支援が求められてくる。 ●コンパクトシティ構想は、「持続的な自治体財政」と「コミュニティの維持」が目的であり、 「地域経済の振興」といった視点がない。今後、地域の現場では、中心市街地を「ビジネ スチャンスの場」「イノベーション創出の場」ととらえ、信用金庫など多様な関係者の本 気の参画を得ながら、「地域産業政策」の一環として中心市街地活性化策を展開すべきで ある。

まちづくり三法改正の動向

−信用金庫に求められる中心市街地活性化策−

信金中央金庫 総合研究所主任研究員

長山 宗広

(キーワード)

まちづくり三法、中心市街地活性化法、都市計画法、大店立地法、中心

市街地活性化協議会、コンパクトシティ

域 シ リ ー

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1.中心市街地・商店街の現状とこれ

までの政策展開

(1)小売商業・商店街の衰退、中心市街地 の空洞化 小 売 商 業 の 現 状 は 相 変 わ ら ず 厳 し い。 2004年の小売業販売額は、128兆1千億円(対 前年比△0.6%)であり、1996年をピークに 減少の一途を辿ってきた(図表1)。その要 因としては、バブル崩壊後の景気悪化による 内需の不振、個人消費の低下、デフレによる 価格低下などが挙げられる。 売 場 面 積 規 模 別 の 販 売 額 シ ェ ア を 見 る と、250m2未満の中小小売店の販売額シェア (1985年57%→2002年38%)の低下が際立ち、 一方で、1,000m2以上の大規模小売店のシェ ア(1985年26%→2002年35%)が高まって いる(図表2)。 ここから、小売商業の中でも特に厳しいの は、250m2未満の中小小売店であるといえる。 実際、本中金総合研究所が取りまとめた全 国中小企業景気動向調査(2006年1∼3月期) においても、小売業の業況判断D.I.は6業種 中最低の△29.9(全業種は△14.5)であり、 景気回復局面においても水面下の奥底から這 い上がれないでいる。 一方、1,000m2以上の大規模小売店は、大 店立地法が施行された2000年以降、新設届 出件数を増加させてきている(2001年度449 件→2004年度729件)。そして、こうした大 型店の立地場所は、中心市街地から郊外へ変 化しているといった特徴が見られる。 特に、「超」大型店において顕著であり、 たとえば、売場面積6,000m2以上では、駅周 辺・市街地における事業所立地割合が低下し、 ロードサイド・工業地区への立地割合が高ま っている(図表3)。また、地方圏の大型店 において同様の傾向が色濃く、都市計画法上 の用途地域でいえば、商業地域への立地割合 が大幅に低下する一方(1980年以前77%→ 2001∼04年26%)、準工業地域・工業地域や 非線引き白地地域への立地が高まる傾向にあ る(図表4)。 図表1 小売業販売額の推移 (年) 0 20 40 60 80 100 120 140 160(兆円) 102 136 146 145 146 145 139 141 139 136 131 128 128 (備考)商業販売統計より作成 90 92 94 96 97 98 99 1985 00 01 02 03 04 販売額 図表2 売場規模別の販売額シェアの推移 (備考)商業統計より作成 (%) (年) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1985 88 91 94 97 99 02 500m2以上1,000m2未満 3,000m2以上 コンビニ(250m2未満) 250m2未満 250m2以上500m2未満 1,000m2以上3,000m2未満 6,000m2以上

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こうした郊外立地は、大規模小売店のみな らず、市役所、文化施設、病院、高校・大学 といった公共的施設においても進展してい る。特に、病院では約7割、高校・大学では 9割近くが郊外に立地している(注)1(図表5)。 そして、今もなお、文化施設や病院といった 公共的施設の郊外移転は続いている(図表6)。 そもそも、大規模小売店や公共的施設の郊 外立地は、モータリゼーションの進展や郊外 居住に伴った、消費者・住民のニーズを反映 したものと考えられる。理想を掲げる前に、 まず現実を直視すれば、人々は郊外に住み、 郊外で買物をして、郊外で教育文化・行政等 の各種サービスを受ける、といったライフス タイルが確立されているのである。 以上のように、「まちの郊外化(注)2」が進め ば進むほど、「中心市街地の空洞化」はより 一層深刻なものとなる。結果的に、中心市街 (注) 1.首都圏等における大学の立地は、工業等制限法により規制されていた(なお、同法は2002年に廃止)。 2.アメリカでは、郊外化したまちを「エッジタウン」などと呼ぶ。たとえば、カリフォルニア州コンコード市では、こう したエッジタウンから、「サスティナブル・シティ」を目指す対策が奏功している。詳しくは、長山宗広「5都市にみるダ ウンタウン再活性化の取組み(カリフォルニア州コンコード市)」(財)中小企業総合研究機構編『米国の市街地再活性化 と小売商業』同友館(2000)を参照のこと。 図表3 大型店の立地場所の変化 1   (事業所数割合) (%) 0 5 10 15 20 25 30 35 40 駅周辺 市街地 住宅地背景型 ロードサイド型 その他 オフィス街地区 住宅地 工業地 その他地区 1997年 2002年 (注)売場面積6,000m2以上の大型店を対象 (備考)商業統計(立環境特性別統計編)より作成 図表4 地方圏における大型店の開店時期別 1  の立地状況 (注)1.建築基準法上の延べ面積10,000m2以上の大型店を対象 (  2.地方圏とは、東京・埼玉・千葉・神奈川・愛知・京 (2  都・大阪・兵庫・奈良以外の地域 (備考)国土交通省資料より作成 (%) 0 20 40 60 80 100 1980年以前 81∼85年 86∼90年 91∼95年 96∼2000年 2001∼04年 住居系用途地域 近隣商業地域 商業地域 準工業地域 工業地域 工業専用地域 市街化調整区域 非線引き白地地域 都市計画区域外 図表5 公共的施設の地域別立地状況 (%) 0 20 40 60 80 100 市役所 文化施設 病院 高校・大学 379 119 237 1,089 1,491 1,434 164 297 郊外 中心市街地 1,491 1,434 164 297 (注)調査対象は666市のうち回答のあった551市町村、調査期 ( 間は平成16年1月19日∼2月20日 (備考)国土交通省『平成15年度人口移動等社会経済動向と土 (  地利用に関する調査』より作成 図表6 公共的施設の郊外移転状況 (備考)図表5に同じ (件) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 1970年代 1980年代 1990年代 32 14 10 5 18 22 8 17 25 13 16 10 高校・大学 病院 文化施設 市役所 5 18 22

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地に居残った中小小売店、中心市街地に取り 残された商店街が厳しい状況に陥った。 全国の商店街の景況感(2003年度)を見る と、「停滞している」と「衰退している」を合 せて97%にまで達している(図表7)。これを 商店街のタイプ別に見ると、生鮮三品など最 寄性の高い業種が集まる「近隣型・地域型」 商店街において衰退傾向が著しく、一方で、 買回り性業種や非日常性ニーズを満たす「超 広域型」商店街においては「繁栄している」 という回答(16%)も少なからず見られた。 シャッター通り商店街のベンチマークとい える空き店舗比率は、全国の商店街で7.3% (2003年度)となり、今後も空き店舗は「増 加する」といった見通しにある(図表8)。 これを商店街のタイプ別に見ると、やはり、 「近隣型(8.0%)」「地域型(7.6%)」の空き 店舗比率は高く、一方で「超広域型」は1.8% とさほど高くはない。 いずれにしても、人のにぎわう大都市圏の 繁華街というよりは、むしろ、「まちの郊外化」 が進んだ地方圏の駅前・中心市街地に立地す る、昔ながらの近隣型・地域型商店街におい て厳しい状況にあるととらえられる。 (2)まちづくり三法による支援政策 厳しい状況にある中小小売店・商店街に対 する支援政策は、これまでにも講じられてき た。遡れば、1974年以来の「大店法」によって、 中小小売店・商店街は守られてきた。大店法 では、「大型店 VS 中小小売店」の対立軸 のもと、国が主体となり、大型店の立地規制・ 商業調整(店舗面積・開店日・閉店時刻・休 業日数)を図ってきた。しかしながら、周知 のとおり、内外からの規制緩和の要請もあっ て、大店法は2000年に廃止された。 代わって、ポスト大店法時代に登場したの が「まちづくり三法」である。まちづくり三 法では、「郊外 VS 中心市街地」に対立軸 の認識を改め、地方自治体が主体に運用する ようになった。まちづくり三法とは、大店立 地法(2000年∼)、改正都市計画法(1998年 ∼)、中心市街地活性化法(1998年∼)の3 つの法律の総称である(図表9)。 まちづくり三法の所期の目的としては、① 大店法による大型店の商業調整に代えて、「大 店立地法」により大型店立地に伴う社会的規 制(周辺の生活環境の保持)を図る、②大型 店の立地規制は「都市計画法」により地域の 図表7 最近の商店街の景況(2003年度) 図表8 今後の空き店舗予測 (注)全国の8,000商店街(商店街振興組合・事業協同組合・任意団体)を対象に2003年10月1日時点での調査を実施。有効回答数 ( 3,455、回収率43.2% (備考)経済産業省中小企業庁『平成15年度商店街実態調査結果』より作成 繁栄している2.3% 停滞している 53.3% 衰退している 43.2% 無回答1.2% 増加する 43.4% 変わらない26.6% 減少する 8.0% わからない 15.7% 無回答6.3%

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実情に応じて適正立地を図る、③中小小売店 (点)および商店街(線)の振興から、中心 市街地の空洞化対策(面)へと視野を広げ、「中 心市街地活性化法」により市街地の整備改善 と小売商業等の活性化を一体的・総合的に図 る、といったことが挙げられていた。 現在、まちづくり三法の施行後6∼8年を 経たことになるが、上述したように、「まち の郊外化」と「中心市街地の空洞化」には歯 止めがかからず、同法が十分に機能したとは 言い難い状況にある。

2.まちづくり三法改正の概要

こうした中、2006年2月、第164回通常国会 において、まちづくり三法改正に関する法案が 提出された。衆参両院通過後の3か月以内の7 月中には、新法が施行される見通しである。 (1)基本方針の転換 まちづくり三法改正の方向性としては、人 口減少社会に向けた「コンパクトでにぎわい あふれるまちづくり」、そして、それを「まちの コンパクト化(郊外でのブレーキ)」と「中心市 街地のにぎわい回復(中心地のアクセル)」 を両輪に展開していく、といった基本方針を 掲げた点が特徴となっている(図表10)。 まちづくり三法改正の議論は、主に「産業 構造審議会流通部会・中小企業政策審議会経 営支援分科会商業部会 合同会議」において 行われた(注)3。当会議では、「人口減少に伴 って自治体の税収の減少が予想される状況で は、持続的な自治体財政が成り立たない。ま た、人口減少・高齢化によって、まちの担い 手が減少・高齢化し、さらに車社会の進展等 に伴って住民同士の顔なじみの関係が薄れ、 図表9 まちづくり三法の概要 法律名 大店立地法 改正都市計画法 中心市街地活性化法 施行日 2000年6月1日 1998年11月20日 1998年7月24日 権限者 都道府県と政令指定都市 市町村 市町村 目 的 ・ 大規模小売店による周辺生活へ の影響を緩和するための社会的 規制を実施する。 ・ 地方自治体が個別ケースに、地 域の実情に応じた運用を行なえ るようにする。 地域の実情に的確に応じたまちづ くりを進め、都市計画における地 方分権の推進を図る。 ・ 空洞化の進行している中心市街 地の活性化を図る。 概 要 ・ 調整対象は店舗面積1,000m2 の大規模小売店 ・ 調整対象事項は、地域社会との 調和・地域づくりに関する事項 (交通渋滞、駐車・駐輪、騒音、 廃棄物など) 市町村が種類・目的に応じて、特 別用途地区を柔軟に設定できる。 (例えば、大規模小売店出店立地 の可否を色分けすることも可能) ・ 「市街地の整備改善」と「商業 等の活性化」を柱とする総合的・ 一体的な対策を推進する。 ・ 市長村が「基本計画」を作成 ・ 「基本計画」に沿ってTMO等が 作成するTMO事業計画を国が 認定、支援を実施する。 (備考)経済産業省・国土交通省の各種資料等より作成 (注) 3.当会議の報告書は、『産業構造審議会流通部会・中小企業政策審議会経営支援分科会商業部会 合同会議中間取りまとめ− コンパクトでにぎわいあふれるまちづくりを目指して』平成17年12月、として公表されている。このほか、国土交通省の 社会資本整備審議会においても同様の議論が行われ、それは、『新しい時代の都市計画はいかにあるべきか (第一次答申)』 平成18年2月1日、および『人口減少等社会における市街地の再編に対応した建築物整備のあり方について(答申)』平成18 年2月1日として公表されている。

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コミュニティの維持が困難になる」といった 問題意識を持ち、「コンパクトでにぎわいあ ふれるまちづくり」を目指す、といった基本 方針が掲げられた。 さらに、当会議では、施行後6∼8年を経 たまちづくり三法(大店立地法、改正都市計 画法、中心市街地活性化法)について、それ ぞれ政策評価を行ったうえで、同法には、都 市機能の適正立地(郊外でのブレーキ)と中 心市街地の振興(アクセル)の両輪を十分に 持ち合わせていない点を指摘した。 (2)都市計画法の改正 本来、郊外でのブレーキ役としては、都市 計画法による規制が求められていた。しかし ながら、従来の都市計画法は、郊外に行けば 行くほど立地の制限がなくなる内容となって いた。実際、商業地域や近隣商業地域などの 中心地エリアだけではなく、準工業地域や工 業地域、そして国土全体の85%を占める都 市計画区域外および非線引き都市計画区域・ 白地地域といった郊外エリアにおいてまで、 原則、大型小売店等の立地に制限がない状態 にあった。 さらにいえば、人のにぎわい創出の湧き出 し口といえる「公共的施設」の立地について は、規制の対象外とされていた。その結果、 大型小売店の郊外立地に加えて、市役所・文 化施設・病院・高校・大学といった公共的施 設の郊外移転も加速した。 以上の問題点を改善し、都市機能の適正立 地(郊外でのブレーキ)を強化するため、今般、 都市計画法は改正されるのである(図表11)。 よって、新・都市計画法では、郊外に行けば 行くほど規制が強化される。 主な改正のポイントとしては、①大規模集 客施設等(床面積1万m2超の大型小売店舗・ 映画館・アミューズメント施設・展示場等) の立地に都市計画の手続きを求める、②公 共的施設の立地にかかる開発許可制度の見直 図表10 まちづくり三法改正の方向性 基本方針 人口減少社会に向けた「コンパクトでにぎわいあふれるまちづくり」 「まちのコンパクト化」と「中心市街地のにぎわい回復」を両輪として展開 まちのコンパクト化 都市機能の適正立地 (郊外でのブレーキ) 【都市計画法の改正】 様々な都市機能の市街地集約、都市機能全般の計画的配置 ①郊外に行くほど規制を強化。農地を含めた都市計画区域外・市街化調整 区域の規制を強化(1万m2超の大型店等を対象) ②大型店だけを対象とした規制強化ではなく、様々な都市機能(公共施設 等を含む)を視野に入れた制度に見直し ③広域調整の仕組みを導入(都道府県単位の権限強化) 中心市街地の にぎわい回復 (中心地のアクセル) 【中心市街地活性化法の改正】 中心市街地のコミュニティとしての魅力向上 ①バラマキではなく、選択と集中による重点的な支援を実施 ②商業機能のみならず、様々な都市機能の強化に向けた、総合的なタウン・ マネジメント体制の構築 ③成功事例の全国拡大、ノウハウの水平展開を支援 (備考)経済産業省・国土交通省の各種資料等より作成 一体的推進

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し、③市街化調整区域における大規模開発許 可制度の見直し、④都市計画区域外における 都市計画規制の見直し、などが挙げられる。 このように都市計画法が改正されれば、規 制の制限が全くないエリアは、主に中心地エ リアにある「商業地域」と「近隣商業地域」 の2地域だけとなる。これにより、大規模集 客施設や公共的施設では、用途地域の変更・ 緩和の地区計画決定等の諸手続きのクリアな くしては、これまでのように郊外エリアへ無 差別に立地することができなくなる。 (3)中心市街地活性化法の改正 一方、中心市街地のアクセル役としては、 中心市街地活性化法における政策的支援が担 ってきた。もともと、同法の目的としては、「都 市の中心市街地の空洞化、商業等の都市機能 の空洞化への対応」が掲げられていた。 しかしながら、実際には、「中心市街地の 活性化 = 小売商業の振興」に運用上ですり 替えられ、支援ターゲットが小売商業者・商 店街に偏る傾向となった。それは、中心市街 地活性化法施行の背景として、大店法の廃止 に対する見返り的な意味合いもあったことが 影響したのかもしれない。実際、中心市街地 活性化法にもとづくTMO(タウンマネジメ ント組織)の認定を受けられる者は、商工会・ 商工会議所・三セク特定会社・三セク公益法 人の4者に限られており(注)4、中心市街地の 多様な関係者(住民・地権者など)の意見を 図表11 都市計画法の改正 現行 改正後 用途地域 50m2超不可 第一種低層住居専用地域 同左 用途地域 150m2超不可 第二種低層住居専用地域 500m2超不可 第一種中高層住居専用地域 1,500m2超不可 第二種中高層住居専用地域 3,000m2超不可 第一種住居地域 制限なし 第二種住居地域 大規模集客施設(注)1は用途地域の変更 または用途を緩和する地区計画決定 により立地可能 準住居地域 工業地域 近隣商業地域 制限なし 商業地域 準工業地域 (注2) 用途地域の変更または地区計画 決定が必要 工業専用地域 同左 原則不可 但し、計画的大規模開発は許可 (病院・福祉施設・学校等は許可不要)市街化調整区域 大規模開発も含め、原則不可 地区計画を定めた場合、適合すれば許可 (病院・福祉施設・学校も開発許可を必 要とする。) 制限なし 非線引き都市計画区域、準都市計画区域の白地地域 大規模集客施設は、用途地域の指定によ り立地可能 また、非線引き都市計画区域では、用途 を緩和する地区計画決定により立地可能 (注) 1.大規模集客施設とは、床面積1万m2超の店舗、映画館、アミューズメント施設、展示場等を指す。 2.準工業地域では、特別用途地区を活用。特に、地方都市においては、これを新「中心市街地活性化法」の基本計画の認 定条件とすることを基本方針で明記しなければならない。 (備考)経済産業省・国土交通省の各種資料等より作成 (注) 4.TMOの組織主体は、商工会(19%)・商工会議所(52%)が約7割、三セク特定会社(28%)・三セク公益法人(1%)が 残りの約3割を占める。詳しくは、中小企業基盤整備機構『平成17年度TMOの活動状況等に関する調査』を参照のこと。

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十分反映できる組織体制を構築しにくい面が あった(注)5 考えてみれば、商業とは人が集まる中で存 在する業種であり、商業を振興しても必ずし も人が集まってくる訳ではない。例えるなら ば、お祭りのときに人が集まるので屋台が出 てくるのであり、屋台自体が人を集める訳で はないのである。 中心市街地に人のにぎわいを取り戻すに は、商業ありきで振興しても効果が少なく、 まずは都市機能の魅力を優先的に高め、街な かの居住人口等を増やすことからスタートす べきだったのである。もっと早く、中心市街地 の主力「エンジン」は、公共的施設や大規模集 客施設等であることに気付くべきであった。 このように、同法の問題の一つは、支援タ ーゲットの間違い、優先順位の順番違いにあ るといってよいだろう。 さらに言えば、支援ターゲットの拡散、バ ラマキがあったことも否めない。同法の対象 となる市町村としては、人口や規模に関わら ず門戸を広げた。2006年3月15日現在、基本 計画の提出状況は610市町村・687地区に及 んでいる。また、基本計画に準拠したTMO の数も407に達している。 都道府県別に中心市街地活性化基本計画の 提出状況を見ると、北海道の42市町村を最 多にして、埼玉県(34)、福島県(26)、愛知県 (26)、岩手県(25)、と続いている(図表12)。 一般的に、地方圏の1都道府県の中で、都市 機能が集積する中心市街地がこれほど多く存 在するとは考えにくい。一方、東京都や大阪 府など大都市圏においては、都市機能の集積 する中心市街地が、ぶどうの房のように複数 連なっているため、中心市街地の特定化が難 しく、支援の対象範囲が広がりすぎるきらい がある。 また、都市機能の集積があるといえない人 (注) 5.中心市街地活性化法の施行当初から、TMOの認定要件としてNPOを加えるべき、といった意見はあった。長山宗広「わ が国中心市街地活性化のパラダイム転換−アメリカのまちづくり事例」『企業診断』Vol.47 No.10(2000年10月)を参照の こと。 図表12 都道府県別の基本計画提出状況 (注)基本計画提出時点における市町村の人口により分類した。よって、基本計画提出後に市町村合併があったケースは考慮し ( ていない。 (備考)経済産業省の『中心市街地活性化基本計画の提出状況(2006年3月15日現在)』より作成 (市町村) 沖縄県 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 新潟県 山梨県 長野県 富山県 石川県 福井県 静岡県 岐阜県 愛知県 三重県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 42 8 25 15 12 15 26 17 21 9 34 20 16 14 18 6 24 19 12 7 21 11 26 11 16 6 9 24 6 8 4 12 5 16 8 4 6 13 5 16 7 9 24 11 10 9 10

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口5万人未満の市町村においても、こぞって 中心市街地活性化基本計画を提出している事 実が確認できる(図表13)。実際、人口5万 人未満の市町村が、基本計画を提出した市町 村全体の「過半数」を占めている。これらの 基本計画の多くは、「過疎対策」であり、都 市の中心市街地活性化策とはいえないものと なっている。 以上の問題点を踏まえ、中心市街地のにぎ わい回復(アクセル強化)を図るため、今 般、中心市街地活性化法は改正されるのであ る(図表14)。こうして、改正後の中心市街 地活性化法(以下、「改正中活法」という。) では、商業ありきの狭いイメージを払拭する ために題名変更され、多様な関係者の参画を 得た取組みを推進していくよう方向転換を図 っている。また、支援のバラマキを改め、国 による「選択と集中」の仕組みを導入し、所 期の目的達成に向け、「都市機能の集積した 市町村」の中心市街地空洞化対策として仕切 り直すようである。

3.まちづくり三法改正後、信用金庫

に求められる中心市街地活性化策

これまで、金融機関においては、中心市街 地活性化支援を積極的に展開してきたとは言 い難い。なぜならば、金融機関は、ビジネス 上、中心市街地が空洞化しても根本的には大 図表14 中心市街地活性化法の改正(改正 中活法) 1.法律の題名変更 新:中心市街地の活性化に関する法律 旧:中心市街地における市街地の整備改善及び商業 等の活性化の一体的推進に関する法律 2.基本理念・責務規定の創設 ○中心市街地活性化についての基本法的性格を踏ま え基本理念を創設 ○国、地方公共団体および事業者の責務規定を創設 3.国による「選択と集中」の仕組みの導入 ○中心市街地活性化本部(本部長:内閣総理大臣) の創設 −基本方針案の作成、施策の総合調整、事業実施 状況のチェックとレビュー等 ○基本計画の内閣総理大臣の認定制度 −法律・税制の特例、補助事業の重点実施 等 4.多様な関係者の参画を得た取り組みの推進 ○多様な民間主体が参画する中心市街地活性化協議 会の法制化 5.支援措置の大幅な拡充(認定基本計画への深堀り支援) 【都市機能の集積促進】 ○暮らし・にぎわい再生事業の創設、まちづくり交 付金の拡充 ○中心市街地内への事業用資産の買換え特例の創設 (所得税・法人税) ○非営利法人を指定対象に加えるなど中心市街地整 備推進機構の拡充 【街なか居住の推進】 ○中心市街地共同住宅供給事業の創設 ○街なか居住ファンドの拡充 【商業等の活性化】 ○中心市街地における空き店舗の大型小売店舗出店 時の規制緩和 ○戦略的中心市街地商業等活性化支援事業の拡充 ○商業活性化空き店舗活用事業に対する税制等の 拡充 【その他】 ○公共空地等の管理制度、共通乗車船券の特例の創 設 等 (備考)経済産業省・国土交通省の各種資料等より作成 図表13 市町村の人口規模別の基本計画提出 11  状況 (注)基本計画提出時点における市町村の人口により分類し ( た。よって、基本計画提出後に市町村合併があったケー ( スは考慮していない。 (備考)経済産業省の『中心市街地活性化基本計画の提出状 (  況(2006年3月15日現在)』より作成 (数) 0 50 100 150 200 250 300 350 400 5万人未満 5万∼ 10万人未満 10万∼ 20万人未満 20万∼ 30万人未満 30万∼ 50万人未満 50万人以上 344 139 87 39 37 21

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きな影響を受けないからである。 金融機関からみれば、中心市街地も郊外も 同じ営業エリア内であることに変わりはな い。人や商売の流れが郊外に向い、「まちの 郊外化」が進めば、金融機関においても郊外 重視の店舗戦略へと変更することで対応して きた。実際、中心市街地での営業店舗をスク ラップして、郊外の大型ショッピングセン ター内にATMやローンセンターを新設する、 といった店舗戦略も散見される。 とはいえ、金融機関は、中心市街地・商店 街とのお付き合いとして、何らかの関係を持 っている。たとえば、「商店街のイベント等 への人的・資金的な協力」や「駐車場の商店 街利用客への開放」などが挙げられる(図表 15)。こうした支援は、金融機関としてみれ ば、地域貢献・ボランティア活動の一環とし て実施しているととらえられる。 ただ、金融機関は、ファンド運営など、ビ ジネス上でもまちづくりに興味を持っている ことは間違いない(図表16)。今後、後述の とおり、多様な関係者との接点が増える「仕 組み」さえ整えば、金融機関においても中心 市街地活性化支援を主体的に実施する素地は ありそうだ。 上述のとおり、まちづくり三法の改正以降 は、中心市街地に「都市機能」を集約していく 方向性が示されている。今後、中心市街地の 図表15 金融機関の営業店舗と中心市街地・商店街との関係 (%) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 その他 店舗の会議室を商店街関係者の勉強会や会合等の場 として開放している 商店街のイベント等の活性化活動に資金面で協力し ている 金融機関の駐車場を商店街利用客等に開放している 商店街のイベント等の活性化活動に金融機関職員が 協力している 商工会議所・商工会、商店街等の会員になっている 10.3 10.3 28.8 90.4 37.8 46.2 (N=156) 図表16 金融機関によるまちづくりの関与 (備考)みずほ情報総研㈱『平成17年度中心市街地商業等活性化支援業務報告書』2006年3月より作成 (%) その他 仕組みはなく、今後、関わる予定もない 既にファンドの運営や助成の仕組みなどに積極的に 関わっている 行政の要請に応じて関わっている 仕組みはないが、今後、興味がある 0 10 20 30 40 50 60 70 80 5.1 4.1 5.1 12.2 73.5 (N=98)

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活性化は、小売商業・商店街の振興にとどま らず、「都市の再生」および「地域経済社会の 発展」といった大きなテーマと直結してくる。 そうなれば、金融機関、特に、リレーショ ンシップバンキングを標榜する地方銀行や信 用金庫などの地域金融機関においては、中心 市街地活性化策を通じた地域振興支援に取り 組む意義も出てくる。中でも、信用金庫への 期待は、より一層高まるだろう。基本的に中 心市街地活性化事業は「市町村単位」のもの であり、信用金庫の営業エリアと合致するか らである。 今後、まちづくり三法の改正以降、信用金庫 には、以下の点において、より主体的な中心市 街地活性化支援が求められてくると思われる。 (1)中心市街地活性化基本計画の認定支援 まず、市町村(基礎自治体)では、改正後の 中心市街地活性化法(改正中活法)に基づく支 援措置を受けるために、「新・基本計画」を 策定・提出する必要がある。すでに提出済み の610市町村においては、「旧・基本計画」はご 破算となるので、作り直さなければならない。 ふたを開けてみなければわからないが、改 正中活法にもとづく「選択と集中」の仕組み の導入によって、国が認定する基本計画の数 は「100」程度になるといわれている。全国 47の都道府県のなかで「100」となれば、各 都道府県でいえば2つの市町村しか認定され ない計算となる。しかも、「都市機能の集積 した市町村」となれば、県庁所在地のある市 と第二の都市レベルしか対象とならないと思 えてくる。 仮に、旧・基本計画を提出済みの610市町 村が、すべて、新・基本計画を提出しなおし た場合、人口規模別の判断のみとなれば、「人 口19万人未満」の市町村は「100のランク外」 となり認定されないこととなる。 表面上、改正中活法においても、市町村の人 口規模は無関係とするだろう。それでも、運用 上、「人口10∼20万人未満」が切り捨ての目 安になってくると考えられる。少なくとも、 都市機能の集積があるといえない、中心市街 地活性化と「過疎対策」を混同している、人 口5万人未満の市町村では基本計画を提出し ても認定されないと考えた方が良いだろう。 いずれにしても、市町村における基本計画 の「認定競争」は熾烈を極めることが容易に 想像できる。そうなれば、市町村では、基本 計画のオリジナリティを高めるために、地域 (市町村単位)でのシンクタンク的な機能を 持つ信用金庫に対して、積極的にアドバイス を求めてくると思われる。その際、基本計画 のチェックポイントは、①持続的な自治体財 政のため、都市機能の適正立地(郊外でのブ レーキ)が制度的に盛り込まれているか(注)6 ②コミュニティの維持・中心市街地の振興の ため、重点的に推進するプロジェクト(街な か居住等)が絞り込まれているか、③多様な 関係者のニーズを踏まえ参画も得ているか、 (注) 6.準工業地域においても特別用途地区を設定するなど、市町村が主体的に大規模集客施設の立地を規制することが求めら れる。

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④中心市街地での居住人口や歩行者通行量な ど数値目標が設定されているか、⑤PDCA(計 画−実行−評価−改善・向上)サイクルの仕 組みがあるか、といった項目が挙げられる。 (2)中心市街地活性化協議会の設置支援 さらに、市町村が基本計画の「認定競争」 を勝ち抜く上で、最大のポイントとなるのは、 多様な関係者の参画を得た「中心市街地活性 化協議会」の設立といえる(図表17)。ここ でいう、中心市街地活性化協議会とは、旧法 のTMOに該当すると考えて良い。 前述のとおり、TMOは、商工会・商工会 議所や商店街組織などの限定的なメンバー の参画にとどまっていた。また、TMOには、 補助金依存体質・財務基盤の脆弱さや、地元 で汗をかくタウンマネージャーの不足、とい った「金」と「人」の問題も抱えていた。 改正中活法にもとづく中心市街地活性化協 議会では、こうしたTMOが直面した問題の 轍を踏んではならない。そこで、中心市街地 活性化協議会は、市町村、商工会・商工会議 図表17 中心市街地活性化協議会とテーマ別組織のイメージ −地域金融機関の関わり方− 全国の共通の課題を抱える地域 (注)テーマ別組織のテーマは「例示」であり、地域が抱える課題によってテーマの内容および参加メンバーも異なってくる。 (備考)みずほ情報総研㈱『平成17年度中心市街地商業等活性化支援業務(多様な関係者の連携強化のための調査研究委託事業)』 報告書、2006年3月を参考に作成 市町村の基礎自治体 (基本計画の認定要) 中心市街地活性化協議会 〈多様な関係者の参画〉 市町村、商工会・商工会議所、商店街組織・まちづくり 会社、NPO・住民、企業経営者、地権者、交通業者、警 察、大学等教育機関、地域金融機関 等 テーマ別組織A 〈商店街の空き店舗対策〉 例:商店街組織が地権者と 企業経営者等の協力を得 て、空き店舗の有効活用策 を企画実施する。 主な参加メンバー:商店街 組織、企業経営者、地権者 等 地域金融機関の関与:金融 機関自身の空き店舗の有効 活用、空き店舗のマッチン グ支援 テーマ別組織B 〈街なか居住人口の増大〉 例:市町村が商業機能を備 えた住宅(下駄履き住宅) の整備促進を図るため、地 権者・住民や住宅事業者に 対して支援施策を講じる。 主な参加メンバー:市町村、 地権者、住宅事業者、地域 金融機関 等 地域金融機関の関与:下駄 履き住宅開発のファイナン ス、住宅ローン等による金 融支援 テーマ別組織C 〈起業家の人材育成〉 例:商工会議所等が大学(社 会科学系)や地域金融機関 と連携して、中心市街地活 性化に関する人材育成のカ リキュラムを企画・作成。 起業家・若手経営者・後継 者向けに「まちづくり・創 業塾」を実施 主な参加メンバー:商工会 議所、企業経営者、大学等 教育機関、地域金融機関 等 地域金融機関の関与:ビジ ネスプラン・資金計画の策 定支援・指導 テーマ別組織D 〈まちづくりファンド創設〉 例:地域金融機関が市町村 やNPOと 連 携 し て、 ま ち づくりファンド・市民金融 基金等の資金を預託金とし て預かり、一方で、コミュ ニ テ ィ ビ ジ ネ ス・NPO向 けローン制度を創設して金 融面での支援を実施する。 主な参加メンバー:地域 金融機関、市町村、NPO、 企業経営者 等 地域金融機関の関与:上記 について主導的役割を担う。 連携 連携 連携 連携 経済産業省 国土交通省 文部科学省 金融庁 中心市街地活性化 サポート金融会議

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所、商店街組織・まちづくり会社に加えて、 NPO・住民、企業経営者、地権者、交通業者、 警察、大学等教育機関、そして地域金融機関、 といった多様な関係者の参画を得たものにし なければならない。 信用金庫は、旧法のTMOにおいても出向 者派遣や出資などで一定の関与もあったろう が(注)7、改正中活法の中心市街地活性化協議 会においてはより主体的な関わりが期待され てくるだろう。特に、中心市街地活性化協議 会の運営にかかる「金」と「人」の問題に対 して、より実効性のある支援を求められてく るだろう。 (3)テーマ別組織での活動支援 中心市街地活性化協議会の下には、実働部 隊としてのテーマ別組織(ワーキンググルー プ)が設置されると思われる。テーマ別組織 は、地域特有の課題解決に当たるので一様で はないが、図表17のような例示ができる。 このようなケースの場合、地域金融機関に は、①テーマ別組織A(商店街の空き店舗対 策)において金融機関自身の空き店舗の有効 活用や空き店舗のマッチング支援を行なう、 ②テーマ別組織B(街なか居住人口の増大策) において下駄履き住宅(注)8のプロジェクトフ ァイナンスや住宅ローン等による金融支援 を行う、③テーマ別組織C(起業家の人材育 成)においてビジネスプラン・資金計画の策 定支援・指導を行う、④テーマ別組織D(ま ちづくりファンド創設)においてはファンド 基金等の預託管理やコミュニティビジネス・ NPO向けローン制度を創設する、といった 主体的な関わりが期待されるだろう。 (4)中心市街地活性化サポート金融会議(仮 称)への参加 改正中活法では、全省庁が参画する中心市 街地活性化本部(本部長:内閣総理大臣)が 創設される。これにより、旧法では無縁であ った「金融庁」までが、まちづくり支援に参 画することになる。そうなると、金融庁は、 地域金融機関に対して「地域経済の活性化」 の視点をより一層求めてくると思われる。 たとえば、リレーションシップバンキン グ・アクションプログラムの一項目として、 「中心市街地活性化サポート金融会議(仮称)」 への参加などが盛り込まれるかもしれない。 当会議は、すでに実施済みの「産業クラスタ ーサポート金融会議」のまちづくり版といえ る。実現すれば、その会議は、全国または地 域ブロック単位で共通の課題を抱える地域金 融機関、まちづくり関係者を集めた会議にな ると考えられる。 もちろん、中心市街地活性化事業は「市町 村単位」であるため、「中心市街地活性化サ ポート金融会議(仮称)」が開催されれば、 地域金融機関の中でも信用金庫がメインとな (注) 7.詳しくは、瀬戸仁志『タウンマネージメント組織の現状と信用金庫の役割』『信金中金月報』第3巻第1号(2004年1月) を参照のこと。 8.下駄履き住宅とは、低層階に非住宅系の店舗、上層階に住宅を配置した複合型ビルのこと。住宅分譲事業者は、一般的に、 低層階の非住宅部分の保有・経営を避け、下駄履き住宅の建設に消極的となる傾向が見られる。ただ、こうした下駄履き 住宅は、中心市街地の居住人口の増加・街なか居住の具体策となるため、今後、支援施策を講じていく必要がある。

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るだろう。その場合、全国または地域ブロッ ク単位で、信用金庫およびまちづくり関係者 が集まり、共通課題に対応した「事例発表会」 等が実施されることになるだろう。

おわりに―まちづくり三法改正の評

価と信用金庫の役割―

本来、至極当然ながら、地域金融機関は、 まちづくり三法の改正や市町村役場・金融庁 の動向といった外部環境の変化にかかわら ず、地域経済社会の一員として主体的にまち づくりに参画する意義がある。それには、地 域貢献・社会貢献といったボランティア活動 のみならず、地域経済を良くして自らも経済 的メリットを享受するといったパラダイム転 換が必要となる。 ただ、改正されるまちづくり三法をよく見 れば、こうした「地域経済の振興」といった 視点を持ち合わせていないことがわかる。実 際、「コンパクトでにぎわいあふれるまちづ くり(コンパクトシティ構想)」という基本 方針の狙い・目的は、「持続的な自治体財政」 と「コミュニティの維持」にある。そして、 前者の目的に対応する「都市機能の適正立地 (郊外でのブレーキ)」と、後者に応じる「中 心市街地の振興(アクセル)」の2本柱を施策 に掲げる、といった構図である。 確かに、人口減少社会時代に突入した中で は、都市のインフラをむやみに延伸する郊外 化に歯止めをかける意義も認める。郊外での ブレーキは、拡張されたインフラ施設の維持 管理コストを抑制し、自治体財政を再建して 持続的なものとするだろう。こうした側面を 取り上げれば、コンパクトシティ構想とは、 「人口減少にあわせた都市の縮小均衡路線・ コスト削減策」と換言できよう。 もう一つの中心市街地の振興策(アクセル) においても、都市機能の集約化や街なか居住 等を増やして人のにぎわいを取り戻し、コミ ュニティの維持・再生を図る、といった狙い は悪くない。もともと、中心市街地という場 には、歴史・文化・伝統に加え、人と人との つながり・互酬関係・信頼関係といった「ソー シャルキャピタル(社会関係資本)」があった。 中心市街地には、こうしたソーシャルキャ ピタルが蓄積されていたため、「安全・安心」 の機能が埋め込められていた。近年、そのよ うな安全・安心の基盤が崩れてきたので、立 て直そうということなのだろう。また、これ までの小売商業・商店街を優先する政策を転 換し、人のにぎわいをもたらす振興策を第一 に掲げた点も評価できる。 いずれにしても、改正後のまちづくり三法 には、「地域経済の振興」といった視点が欠 落していることだけはわかる。また、コンパ クトシティ構想で描く中心市街地の理想的な イメージとは、「安全・安心なコミュニティ」 といった消極的・社会的なものであり、「ビ ジネスチャンスの場」「イノベーション創出 の場」といった積極的・経済的な見方をして いないこともわかる。 本来、都市機能の集積した市町村の中心市 街地は、多様な人や情報が行き来する「ビジ ネスチャンスの場」「イノベーション創出の

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場」と位置づけられるはずである。事実、地 域経済社会のインフラ役のひとつである金融 機関においても、こうした積極的な中心市街 地「観」を持っている。事実、金融機関は、「新 産業創出や企業活動拡大による資金需要」と いった中心市街地でのビジネスチャンスを期 待している(図表18)。 上述のとおり、改正中活法の運用にあたっ ては、多様な関係者の参画を得た中心市街地 活性化協議会が新設され、ここに信用金庫の 関与も求められる。ただ、そこでの中心市街 地活性化策がコンパクトシティ構想に限定さ れたものならば、信用金庫は、地域貢献・社 会貢献の一環として、今までどおりのボラン ティア的な支援をすれば十分だろう。 中心市街地を「ビジネスチャンスの場」「イ ノベーション創出の場」ととらえ、「地域経 済の振興」の一環として中心市街地活性化策 を講じるスタンスが当該地域にあれば、信用 金庫はむしろ主体的に参画していかなければ ならない。否、コンパクトシティ構想の構造 的欠陥を補完するためにも、信用金庫が主体 的に参画して、地域経済振興につながる中心 市街地活性化策を企画立案・実施していくべ きなのだろう。 中心市街地活性化策は、「地域産業政策」「地 域の新産業創出策」との連動によって、信用 金庫を含めた多様な関係者の「本気」の参画 が得られる仕組みが整う。その時、各地の中 心市街地は、日本の経済社会発展の「エンジ ン」に生まれ変わるに違いない。 〈参考事例1〉青森市のコンパクトシティづ くり 青森市(人口約30万人)は、今回のまち づくり三法改正の基本方針である「コンパク トでにぎわいあふれるまちづくり(コンパク トシティ構想)」に向けて、10年以上前から 取り組み、実績も上げている先進事例である。 以下、青森市のコンパクトシティづくりの ポイントを列挙する(注)9 第1の特徴としては、コンパクトシティ構 (注) 9.青森市新町商店街振興組合常務理事の加藤博氏の報告(経済産業省の平成17年度中心市街地商業等活性化支援業務にか かる全体委員会、2006年1月16日)などによる。 図表18 金融機関が抱く中心市街地のイメージ (備考)みずほ情報総研㈱『平成17年度中心市街地商業等活性化支援業務報告書』2006年3月より作成 多くの ビジネス チャンス がある 63.8% 非常に多くの ビジネスチャンス がある 2.9% 特に多くの ビジネス チャンスが ある訳では ない 33.3% その他 住宅ローンなど個人への融資 不動産開発による資金需要 成長が見込める既存取引先へ の融資 0 20 40 60 80 100 新産業の創造や企業活動の拡 大による資金需要 中心市街地におけるビジネスチャンスの内容 (%)

参照

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