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6.今後の貿易政策と外資導入政策

ドキュメント内 # _信金7月号.indb (ページ 83-86)

(1)輸出構造の高度化、貿易収支の均衡化 が目標

対外貿易の発展目標としては、財貨の貿易 額が年率10%増、サービス貿易額が同20%

増とされている(図表22)。01〜05年までの 第10次5か年計画期間中の通関輸出入額は年 率24.6%増を記録しており、目標設定は極め

て控え目となっている。この背景には、当然 ながら、欧米との貿易摩擦の激化がある。

今後5年間の輸出については、「数量の拡大 とともに、質の向上も主とする」方向へ転換 させることを謳っている。このため、国内企 業の技術力向上による高付加価値製品の輸出 増加を促進する一方、外資企業による加工貿 易に関しても現在よりも加工度の高い製品の 輸出を求めていく方針である。加えて、市場 の多角化による輸出市場の確保にも全力をあ げる。

また、注目されるのは、輸出金額の増大を ある程度抑制する一方、輸入の大幅な促進を 図り、貿易黒字を適度に減少させて、国際的 な圧力を軽減するとしている点である。特に、

国内の資源不足の緩和、環境保護に資するよ うな製品や国内の技術進歩に役立つような製 品の輸入を奨励する、としている。さらに、

不合理な輸入制限措置を撤廃することも掲げ られている。

輸入拡大政策に関しては、欧米への配慮と 図表22 貿易政策の方向性

項 目 内  容

発展の指導原則 ①比較優位の発揮、②資源不足の補完、③発展分野の拡大、④付加価値の向上 発展目標 ①2010年の財貨貿易総額 2.3兆ドル(年率10%増)

②2010年のサービス貿易総額 4,000億ドル(年率20%増)

輸出戦略

①自主ブランド、独自の知的財産権、自主販売に重点を置き、企業の総合的な競争力を強化

②独自のハイテク製品、電気機械製品、高付加価値製品の輸出奨励

③労働基準、安全基準、環境基準を厳格に適用し、輸出コスト構造を規範化

④エネルギー浪費型、高汚染型、資源型の製品の輸出抑制

⑤加工貿易を引き続き発展させ、高度産業化と加工度の向上

⑥未開拓市場の開拓による市場の多様化

⑦輸出価格、輸出数量の動向観測の強化

⑧質的な向上を主とした貿易促進・抑制システムの構築

輸入戦略

①輸出入均衡政策の実行

②輸入による経済発展促進作用の発揮

③資源輸入の多様化促進

(備考)『国民経済・社会発展第11次5か年計画要綱』より作成

いう側面もあろう。ただ、中国政府が明確に 輸入促進を正式文書で表明したのは過去にほ とんど例がなく、中国市場の門戸が一段と開 放されれば、日本の輸出企業にも追い風とな ろう。

(2)ハイテク産業、高度サービス業の進出 を奨励

外資導入政策に関しては、今後、大きな見 直しがあると予想される。特に、租税優遇措 置に関しては、早ければ07年にも『新企業 所得税法』が公布され、進出業種や進出地域 によっては増税になる可能性がある(注)11

同時に、外国企業の新規投資については、

これまで以上に業種的な選別が図られる見込 みである。とりわけ、最適化開発区域に属す る東部沿海地域では、原則として、ハイテク 製造業や高度サービス業が投資対象業種に指

定される可能性が高い。一般製造業の場合は、

重点開発区域への投資が奨励されることにな ろう。

このほか、中国政府は外資利用形態の多様 化を推進する方針である(図表23)。例えば、

外国企業が国有企業へ資本参加し、リストラ を促すことや海外ベンチャー・ファンドによ る投資受入れなどである。さらに、中国企業 の海外上場も促進するとしており、海外投資 家にとっては対中投資チャネルが拡大するこ とになる。

おわりに

第11次5か年計画を契機として、中国の経 済・産業政策は大きく転換しつつある。そ の基本的原則は、平等な市場競争を実現する ことである。具体的には、①量的拡大を追求 する経済から質的向上を目指す経済へ脱皮す る、②工業化に力点が偏っていた財政支出や 金融支援を農業へ傾斜させる、③東部沿海地 域に偏重した経済政策を中西部振興へ転換す る、④外資企業に偏りすぎていた優遇政策を 是正し、国内企業と同じ土俵で競争させる、

というものである。

日本の中小企業が対中ビジネスを展開して いく際にも、上述のような政府方針を理解し ておくことが欠かせない。今後、次々に打 ち出される政策の意図を正確に把握すること が、ビジネス成功のカギである。

(注) 11.詳細に関しては、「中国経済の中期展望」『信金中金月報』(06年5月号)を参照されたい。

図表23 外資導入政策の方向性

内  容

基本戦略

①法律法規、政策の見直し

・ 『企業所得税法』、『外為法』、『独占禁止法』、『外 商投資産業指導目録』等

②製造業に対する投資の最適化、高度化

③外国投資の地域分布の最適化、区域経済との協 調促進

④サービス業の開放促進と近代的サービス業への 投資奨励

多様化政策

①国内企業と外国多国籍企業による多様な協力の 奨励

②外国企業による国内企業のリストラ奨励

③国内企業の海外上場促進

④海外ベンチャー・ファンドによる投資奨励

⑤国内証券会社、ファンド管理会社への資本参加 奨励

⑥外国借款の合理的利用と対外債務リスクの抑制 強化

⑦外資による市場独占、国内重要企業の買収阻止

(備考)『国民経済・社会発展第11次5か年計画要綱』より作成

〈参考文献〉

経済産業省『通商白書』(2005年版)

国家発展和改革委員会発展規画司『国家 十五 規画公衆建言献策選編』北京科学出版社(2006年3月)

周暁虹主編『中国中産階層調査』社会科学文献出版社(2005年8月)

中国科学院可持続発展戦略研究組『2005 中国可持続発展戦略報告』科学出版社(2005年3月)

日本経済研究センター、清華大学国情研究センター『中国研究報告書 持続可能な成長方式への転換急ぐ中国』(2006 年3月)

馬凱主編『中華人民共和国国民経済和社会発展第十一個五年規画綱要』北京科学出版社(2006年3月)

ここに掲載した査読付論文は、信金中金総合研究所が、大学に籍を置く学者・大学院生を対象 として平成15年11月より募集している「信金中金月報掲載論文」に応募のあった論文で、編集委 員会が委嘱した審査員による審査を経て、編集委員会が一定のレベルに達しているものと認め信 金中金月報への掲載を決定したものである。

当論文募集の対象分野は、信金中金総合研究所の研究分野でもある「地域」「中小企業」「協 同組織」に関連する金融・経済分野としており、これら分野の研究の奨励を通じて、研究者の 育成を図り、もってわが国における当該分野の学術研究振興に寄与することを目的としている。

また、当論文募集は、①懸賞論文と異なり、募集期限を設けない随時募集として息の長い取組 みを目指していること、②要改善点を指摘し、加筆修正後の再応募を認める場合があること、を 特徴点としている。

【査読付論文に係る留意点】

・ 審査員による審査および編集委員会における掲載可否の決定は、信金中金総合研究所および応 募論文の関係者等が関与しない形で、独立性、客観性、公平性を確保し厳正に行われている。

・ 応募のあった時点から当月報掲載までには一定の時間の経過がある。

・ 掲載した論文の文責は執筆者にある。

(参考)「信金中金月報掲載論文」募集要項(一部抜粋)

テーマ

募集する論文の分野は、当研究所の研究分野でもある「地域」、「中小企業」、「協同組織」に関連す る金融・経済分野とし、具体的には、当該分野における理論的、実証的、実務的、法制的、歴史的 研究の論文とします。

応募資格 原則として、大学に籍を置く学者・大学院生とします。

なお、応募資格を有する方による共同執筆も可とします。

応募論文の扱い

編集委員会が委嘱する審査員の審査結果に基づき、編集委員会において「信金中金月報」への掲載 可否を決定します(審査員の氏名、審査内容に関するお問い合わせには応じません)。また、掲載 可とされた論文(以下「掲載論文」という。)は、当研究所ホームページにも掲示します。

なお、掲載論文の版権は当研究所に帰属します。

編集委員会

編集委員会は次の委員で構成します。(敬称略、順不同)

委員長  堀内 昭義  中央大学総合政策学部教授

副委員長  藤野 次雄  横浜市立大学国際総合科学部長(信金中金総合研究所顧問)

委員  筒井 義郎  大阪大学社会経済研究所教授 委員  濱田 康行  北海道大学経済学部教授 委員  吉野 直行  慶應義塾大学経済学部教授 募集方法等 締め切りを定めない随時募集

・詳しくは、当研究所ホームページ(http://www.scbri.jp/)に掲載されている募集要項等を参照

「信金中金月報掲載論文」募集における査読付論文

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