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=0.967図表9 都道府県別データを用いた推定結果

ドキュメント内 # _信金7月号.indb (ページ 94-101)

4.分析結果

修正済R 2 =0.967図表9 都道府県別データを用いた推定結果

1990年 1995年 2000年 2004年 定数項 5.496***

(17.524) 5.421***

(16.818) 5.387***

(20.025) 5.905***

(15.912)

職員数 1.090***

(9.452) 1.196***

(10.439) 1.177***

(8.540) 0.864***

(3.867)

店舗数 △0.244**

(△2.233)△0.419***

(△4.430)△0.506***

(△3.348)△0.346

(△1.455)

ATM台数 0.163***

(3.327) 0.215*

(1.924) 0.346***

(3.045) 0.564***

(3.431)

修正済R2 0.986 0.986 0.983 0.968

サンプル数 47 47 47 47

(注)カッコ内は、t 値である。また、***は1%水準、**は5%

水準、*は10%水準で有意であることを示している。

(注) 10.(2)式の に、都道府県別の預金残高をとったケースの推定も行ってみた。そこからも、ATM台数が、1995年において は、5%水準、その他の年次においては、1%水準で有意なプラスの符号をとるという結果が得られた。

  11.銀行預金と郵貯の金利差も、預貯金需要を決定する重要な要因であると考えられる。そこで、1990年、1995年、2000 年、2004年のクロスセクションデータをプールし、(銀行定期預金金利の対前年増加分−定額郵便貯金金利の対前年増加分)

と(全銀+信金の預金残高/郵貯残高)= との関係を調べてみることとする。具体的には、Δ = t 年の3年銀行定 期預金金利−t-1年の3年銀行定期預金金利、Δ =t 年の3年定額郵便貯金金利−t-1年の3年定額郵便貯金金利とし、(Δ

−Δ )と との関係を調べてみた。なお、金利データの出所は、『経済統計年報』(日本銀行)、および「日本銀行」、「郵 便貯金」(日本郵政公社)のホームページである。推定結果は、下記のとおりであった。

= −1.551 + 0.513log + 0.261(Δ −Δ ) 

(−3.219)*** (7.975)***   (2.113)**

修正済R2=0.257

カッコ内は、t 値であり、***は1%水準、**は5%水準で有意であることを示している。ここから、銀行定期預金金利のほ うが、相対的に大きく(小さく)上昇(下落)する局面においては、民間金融機関の預金に対する需要が高くなり、逆の 場合は、郵貯の需要が高くなるという特徴が見られる。また、県内総生産が上位の23都道府県に、金利差係数ダミーをとり、

それと との関係を調べてみたところ、同ダミーは、5%水準で有意なプラスの符号をとった。よって、都市部のほうが、

金利感応度が相対的に高いと言えよう。この議論については、吉野・和田[2000]も参照されたい。

  12.信金は、個人預金業務において、地銀、第二地銀と競合している可能性がある。そこで、(地銀、第二地銀の数/信金の 数)を、 都道府県における地銀、第二地銀との競争の激しさを表す代理変数ととらえ、(2)式の説明変数に同変数を加え て推定を行ってみた。その結果、職員数とATM台数は、1%水準で有意なプラスの符号をとったものの、(地銀、第二地銀 の数/信金の数)の係数は、(マイナスであったものの)有意な符号をとらなかった。よって、地域における地銀、第二地 銀の存在が、信金の(少なくとも)個人預金業務に対して、何らかの影響を及ぼしているわけではないと言える。

  13.カッコ内は、t 値であり、***は1%水準、**は5%水準で有意であることを示している。

こ れ を 見 る と、 大 都 市 ダ ミ ー を 含 ん だ ATM台数と店舗数の係数が、1%水準で有意 なプラスの符号をとっている。よって、少な くとも信金に関しては、大都市部のATMの ほうが、個人預金残高をより引き上げる効果 を持っていることが明らかにされた(注)14

(2) 信金のATMの効果と大手銀行、地域銀 行のそれとの比較

前項での分析から、信金の預金業務、個人 預金業務においても、全銀の場合と同じく、

ATMが重要な役割を果たしており、現行の 信金のATM増設政策が、支持されるべきも のであるという結論が得られた。しかし、信 金のATMが、個人預金業務にプラスの効果 を及ぼしているとしても、営業エリア等の制 約により、全銀のATMの効果に比べ、劣っ ている可能性もある。もし、そうであるなら ば、同じ類の機械であっても、全銀におけ るATMの効果そのものを、信金のそれには、

期待できないかもしれない。

そこで、本項では、信金のATMが、全銀 のそれと同等の効果を発揮しているかを分析 してみよう。具体的には、全銀を大手銀行(都 銀、長信銀、信託銀)と地域銀行(地銀、第 二地銀)に分け、下記の(3)式を推定する こととした。

log =β0+β1log +β2log +β3log β4 +β5 log +β6 log + β7 log   (3)

は、 金融機関の個人預金残高を表して いる。 は、信金ダミーであり、信金の場 合は1、非信金の場合は0をとる。他の変数 については、(1)式と同一である。(3)式を、

大手銀行と信金をサンプルとしたケースと地 域銀行と信金をサンプルとしたケースの計2 ケースについて推定してみることとする。大 手銀行と信金をサンプルとしたケースの推定 結果は、図表10、地域銀行と信金をサンプ ルとしたケースの推定結果は、図表11のと おりである。

まず、図表10を見ると、個人預金業務に おけるATM1台当たりの効果は、2000年ま では、大手銀行のほうが、有意に高かった のに対し、2004年には、大手銀行のATMの 効果と信金のそれとの間に、有意な差がな くなっている。

この原因の一つとしては、近年、大手銀行

図表10 信金と大手銀行のATMの効果の比較

1990年 1995年 2000年 2004年 定数項 3.624**

(2.447) 2.651

(1.399) 4.145

(0.706) 8.123**

(2.168)

職員数 0.519**

(2.270) 0.198

(0.692) 1.678

(1.603) 0.662

(0.868)

店舗数 0.573**

(2.354) 1.239***

(3.332) △4.321***

(△2.585) 0.274

(0.256)

ATM台数 0.548***

(3.483) 0.523**

(2.476) 2.664***

(2.877) 0.085

(0.196)

定数項

(ダミー) 2.128

(1.430) 3.039

(1.598) 1.716

(0.292) △1.997

(△0.532)

職員数

(ダミー) 0.415

(1.763) 0.852***

(2.892) △0.676

(△0.645) 0.276

(0.358)

店舗数

(ダミー) △0.548**

(△2.180)△1.374***

(△3.626) 4.160**

(2.488) △0.503

(△0.465)

ATM台数

(ダミー) △0.432***

(△2.730)△0.401*

(△1.876)△2.446***

(△2.635) 0.265

(0.592)

修正済R2 0.968 0.952 0.959 0.943 サンプル数 437 434 390 308

(注)カッコ内は、t 値である。また、***は1%水準、**は5%

水準、*は10%水準で有意であることを示している。

(注) 14.ただし、都市の定義を、県内総生産が、上位から数えて約5分の1に当たる9都道府県にまで拡張したところ、都市ダミー を含んだATM台数の係数は、有意な符号をとらなかった。よって、この結論は、日本を代表する大都市部にのみ当てはま るものだと言えよう。

が、他行とのATM提携を従来以上に積極的 に進めているため(注)15、自行のATM1台当た りのインパクトが小さくなり、信金のATM の効果が、相対的に大きくなったということ が考えられる。また、一般に、店内にATM を1台増設するよりも、スーパーやコンビニ 等にATMを1台設置したほうが、ATMのイ ンパクトが大きくなるものと思われる。大 手銀行は、かなり早期から、コンビニ等に ATMを設置してきたが、近年では、信金も、

そうした行動をとり始めているため(注)16、双 方のATM1台当たりの効果の差が、小さくな ってきたと考えることもできよう(注)17

次に、図表11を見ると、全年次において、

個人預金業務における地域銀行のATMの効 果と信金のそれとの間に、有意な差は、観察 されない。

地域銀行は、大手銀行とは異なり、本店 所在地が主な営業拠点であるため(換言す れば、各行のATMが、本店所在都道府県を 中心に配置されているため)、地域別データ を使った分析を行うことは、意義深いであろ う。そこで、2004年の地域銀行と信金の都 道府県別データを用いて同様の推定を行って みた(注)18

結果は、下記のとおりであったが、信金ダ ミーを含んだATM台数の係数は、図表11と 同じく有意な符号をとらなかった(注)19

log =6.116+0.696log −0.017log

(12.160)***(3.277)***(-0.094)

+0.480log −0.211  (2.738)***  (-0.337)

+0.168 log −0.328 log  (0.545)    (-1.092)

+0.845 log  (0.352)

修正済R2=0.970 周知のとおり、信金の営業エリアは、地域 図表11 信金と地域銀行のATMの効果の比較

1990年 1995年 2000年 2004年 定数項 4.280***

(13.967) 4.254***

(17.151) 4.274***

(13.972) 4.732***

(16.516)

職員数 1.268***

(11.779) 1.264***

(16.375) 1.262***

(13.444) 1.297***

(9.427)

店舗数 △0.144

(△1.511)△0.135*

(△1.659)△0.234**

(△2.225)△0.395**

(△2.222)

ATM台数 0.057

(1.213) 0.097*

(1.778) 0.220***

(2.861) 0.276***

(3.476)

(ダミー)定数項 1.472***

(4.324) 1.435***

(4.848) 1.713***

(4.555) 1.394***

(3.578)

職員数

(ダミー) △0.333***

(△2.738)△0.214**

(△2.086)△0.317**

(△2.566)△0.358**

(△1.984)

店舗数

(ダミー) 0.170

(1.499) 0.000

(0.001) 0.137

(1.141) 0.166

(0.734)

ATM台数

(ダミー) 0.058

(1.156) 0.026

(0.406) 0.000

(0.365) 0.074

(0.544)

修正済R2 0.977 0.967 0.973 0.959 サンプル数 549 542 413 410

(注)カッコ内は、t 値である。また、***は1%水準、**は5%

水準、*は10%水準で有意であることを示している。

(注) 15.例えば、旧東京三菱銀行を取り上げると、持ち株会社傘下の旧三菱信託銀行を含め、計10行のATMを利用する際の手数 料が、無料(時間外は、扱いが異なる)となっている(2005年8月16日現在)。

  16.実際に、信金の店外ATMの比率は、2004年3月末には、23.7%と高くなっている。

  17.さらに、大手銀行から長信銀と信託銀を除き、都銀と信金をサンプルとして、(3)式を推定してみた。その結果、1990 年、1995年については、信金ダミーを含んだATM台数の係数が、1%水準で有意なマイナスの符号をとったものの、2000 年には、有意でなくなり、2004年には、1%水準で有意なプラスの符号をとった。この結果は、図表10の時系列的な動き と比較的類似しているが、都銀と信金をサンプルとしたケースのほうが、より早期から、都銀のATM1台当たりの効果が、

小さくなり始めているという事実が観察された。一般に、都銀のほうが、長信銀、信託銀に比べ、個人預金の獲得に、よ り力を注いでいると考えられ、都銀が、ATM提携等を早期から積極的に進めた結果、自行のATMの効果が、より早い段 階において小さくなってしまったものと考えられる。

  18.ここにおいても、図表11の推定に利用した地域銀行の本店を、「全国地方銀行協会」のホームページ、および「第二地 方銀行協会」のホームページを利用して調べ、地域銀行の都道府県別データを作成した。ただし、前述のように、地域銀 行は、本店所在都道府県を中心にATMを配置してはいるものの、地域銀行であっても、その他の都道府県にATMを設置 している銀行もあるため、この推定結果を解釈する際には、その点に注意する必要がある。

  19.カッコ内は、t 値であり、***は1%水準で有意であることを示している。

銀行のそれに比べ、さらに狭く、そうした側 面において、営業面で不利な立場にある可 能性がある。しかし、少なくとも、個人預金 業務におけるATMの効果のみに着目すると、

信金のそれは、地域銀行のそれに劣っておら ず、地域におけるインパクトは、同等だと言 えるのである。よって、信金が、預金(とり わけ個人預金)による資金調達において地域 銀行を凌ぐためには、現行のようなATMを 積極的に設置するという方策が、効果的であ ると結論づけられよう。

5.おわりに

従来は、護送船団行政によって保護を受け てきた日本の金融機関も、近年の急激な金融 自由化により、かつてない厳しい競争にさら されている。大手銀行は、こうした環境に対 応すべく、積極的な再編を進めているが、地 域銀行や協同組織金融機関にも、地域に根ざ した経営と高収益の追求とを両立させること が、強く求められている。

効率的な経営や収益性の向上を目指すため の一手段として、デリバリーチャネルの有効 活用が考えられよう。そこで、本稿では、信 金数が減少する中にあっても、ATMを積極 的に設置するという行動をとり続けている信 金に焦点を当て、その行動が、適切なもので

あるかを検証することとした(注)20

そこから、信金のATMが、預金残高、個 人預金残高をともに増大させる効果を持って いるという結果が得られた。また、2000年、

2004年の推定結果からは、ATMが、法人預 金等を含めた包括的な預金業務よりも、個人 預金業務において、より有効性を発揮するよ うになっていることが示されており、信金の ATMが、個人顧客に対するアピール力を高 めていることが明らかにされた。さらに、個 人預金業務におけるATMの威力が、年々高 まっているという結果も得られている。以上 から、現行の信金のATM増設政策は、理に かなった妥当なものであると結論づけられよ (注)21

次に、信金のATMが、全銀のそれと同等 の効果を持っているかを調べるために、大手 銀行と信金のATMの効果の相違、および地 域銀行と信金のその相違、をそれぞれ分析し てみた。その結果、前者については、2000 年までは、大手銀行のATMの効果のほうが、

信金のそれよりも有意に高かったが、2004 年には、有意な差が見出せなくなったことが 明らかにされた。これについては、大手銀行 が、近年、他行とのATM提携を積極的に進 めた結果、自行のATM1台当たりの効果が、

薄らいでしまったこと等が影響しているもの

(注) 20.日本におけるATMの研究には、この他にも、Miyamoto[2005]等がある。Miyamoto[2005]は、日本の銀行が、

ATM・CDの導入を促進する要因について分析した結果、店内ATMの設置よりも、店外ATMの設置において、銀行の規模 がプラスに働いていること、店外ATM、店内ATMの双方の設置において、平均賃金がプラスの効果を及ぼしていること から、銀行は、ATMを行員の代替物と見なしていること、等の結論を得ている。ただし、Miyamoto[2005]において得 られている後者の結論については、本稿の(注)5で論じたように、少なくとも現在の信金には、当てはまらない可能性がある。

この点について、今後、検証してみる必要があるだろう。

  21.金融仲介機関にとっては、調達した預金を信用力の高い借り手に融資することも、重要な業務である。それを可能にす る一手段として、信用格付けシステムの充実が考えられる。と言うのも、Frame et al.[2001]は、アメリカの銀行の信 用格付けシステムの効果について分析した結果、その導入が、ポートフォリオに占める小口貸出しを増大させていること を示しており、信用格付けシステムの強化によって、貸出し業務を活性化させることが期待できるためである。

ドキュメント内 # _信金7月号.indb (ページ 94-101)