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2018年度 事業報告書 (事業期間:2018年4月1日~2019年3月31日)

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(1)

2018年度 事業報告書

(事業期間:2018年4月1日~2019年3月31日)

認定NPO法人大阪精神医療人権センター

目次:

第1 事業の概要

第2 「声をきく」活動の実施状況と成果 第3 「扉をひらく」活動の実施状況と成果 第4 「社会をかえる」活動の実施状況と成果 第5 その他事業

第6 当センターの組織体制等

第1 事業の概要

1 当センターの目的(ビジョン)

当センターは、精神医療及び社会生活における精神障害者の『人権』を擁護する活 動を行うとともに、それを通じて精神障害者に対する社会の理解を促進し、障害の有 無にかかわらず、誰もが安心して暮らせる社会に一歩でも前進させるべく貢献するこ とを目的(ビジョン)としています。

人権とは

『人権』は、人が生まれながらに有する大切な権利です。『人権』は、障害の有無にか かわらず、誰にでも同じように守られます。人が自分の生き方を選択し、自分らしく生 きていくためには(個人の尊厳)、『人権』が守られなければなりません。

大阪精神医療『人権』センターは、精神障害者の『人権』が守られるための活動を続 け、安心してかかれる精神医療の実現を目指しています。

2 日本の精神医療の現状と課題解決に向けて~3つのミッションに基づく活動~

(1)日本の精神医療の現状

精神障害者の人権が制限され、当たり前に地域で生活し、必要なときに安心してか かれる医療が整備されているとはいえません。詳細は別紙1のとおりです。

【日本の精神医療の現状】

① 多 す ぎ る 入 院 者 数 、 強 制 入 院 、 長 期 入 院 を 含 む 社 会 的 入 院 、 閉 鎖 処 遇 ・ 身 体 拘

(2)

束・隔離を含む行動制限

② 精神科病床が多すぎること

③ 家族の過重な負担

(2)日本の精神医療の現状を生み出す課題

当センターは、日本の精神医療の現状を生み出す課題が以下の通りであると考え、

「人権」の観点から、この課題の解決を目指します。詳細は別紙1のとおりです。

① 精神科病院に入院中の方の権利擁護システムが不十分であること

② 精神科病院の密室性、閉鎖性が解消されていないこと

③ 精神障害、精神疾患に対する差別意識、偏見が解消されていないこと

(3)3つのミッションに基づく活動~課題解決に向けて~

日本の精神医療の現状

精神障害者の人権が制限され、当たり前に地域で生活し、必要なときに安心してかかれる 医療が整備されていないこと

日本の精神医療の現状を生み出す3つの課題 精 神 科 病 院 に 入 院 中 の 方 の

権 利 擁 護 シ ス テ ム が 不 十 分 であること

精 神 科 病 院 の 密 室 性 、 閉 鎖 性が解消されていないこと

精神障害、精神疾患に対する 差別意識、偏見が解消されて いないこと

3つのミッション、目的、活動内容

① 声をきく ② 扉をひらく ③ 社会をかえる

~ 精 神 科 病 院 に 入 院 す る 方 々 の 立 場 に た っ た 権 利 擁 護活動を実践するために~

~ 精 神 科 病 院 を 開 か れ た も のにするために~

~安心してかかれる精神医療 を実現するために~

入 院 中 の 方 の た め の 個 別 相 談(手紙、電話及び面会)

精 神 科 病 院 へ の 訪 問 活 動 及 び情報公開

精神医療及び精神保健福祉に 係る啓蒙・政策提言

(3)

第2 「声をきく」活動の実施状況と成果

当センターは、「声をきく~精神科病院に入院する方々の立場にたった権利擁護活動を 実践するために~」というミッションをもって、「入院中の方のための個別相談(手紙、

電話及び面会)」を行います。これにより、精神科病院に入院中の方のための権利擁護シ ステムが不十分であるという現状を解消し、本来求められるべき権利擁護システムの構 築を目指します。

1 個別相談の件数等

精神科病院に入院する方の立場に立った権利擁護活動を実践するために、当センタ ーでは、主に精神科病院に入院中の方から、手紙、FAX、メール、電話及び面会に よる個別相談を実施しています。

個別相談活動は、私たちの目的に賛同する市民の方々に、個別相談活動の養成講座 を受講していただき、参加してもらっています。現在、個別相談活動の参加者には、

交通費を支給するのみで、ボランティア(無償)でお願いしています。

面会活動は、相談者の希望に従い、2名1組で行っています。個別相談活動には、

現在、当事者、家族、看護師、ソーシャルワーカー、ヘルパー、弁護士、会社員、建 築士、教員、学生等様々な立場の方が参加しています。

個別相談の件数は年々増加しており、入院中の方の立場にたった権利擁護活動の必 要性、ニーズの高さは明らかです。また、個別相談活動の参加により精神障害、精神 疾患に対する意識が変わり、日本の精神医療の現状を変えていく必要があると感じる ようになったという声を多数いただいています。

≪相談件数≫

2018年度 2017年度 2016年度 2015年度

①手紙 60件 33件 36件 30件

②FAX 1件 0件 2件 5件

③メール 14件 44件 4件 6件

④電話 1021件 854件 830件 679件

⑤面会 171回

(19病院)

102回

(15病院)

39回

(12病院)

27回

(10病院)

合計 1268件 1033件 911件 747件

*電話相談内容の詳細は別紙2、面会件数の詳細は別紙3、面会活動の詳細は別紙4 のとおりです。

2 個別相談の拡充に向けた取組み

(4)

2018年度は、日本財団助成事業「精神科病院入院者への権利擁護活動の様々な 地域への拡充」を実施し、個別相談検討チーム(彼谷哲志さん、角野太一さん、西川健 一さん、細井大輔さん、渡辺みちよさん)を中心に、個別相談の拡充に向けた取組み を行いました。

(1)個別相談活動を担う人材の育成

① 個別相談活動参加者のための養成講座

日時 2018年7月21日(土)・22日(日)10:00~16:30 場所 エルおおさか 本館10階 大阪市中央区

内容 講義形式とロールプレイ 講師 個別相談活動検討チーム

A)人権と精神医療~権利擁護のための面会活動を実践する~ 細井大輔さん B)入院している人から話を聴くこと 彼谷哲志さん

C)精神科病院ってどんなとこ? 西川健一さん

D)『退院できない訳』×『アプローチと社会資源』 角野太一さん 参加者 17名

※日本財団助成事業

② 研修冊子「一緒にはじめよう!!精神科に入院中の方への面会~権利を守り、今を 変えていくために~」(仮題)の作成(2019年7月完成予定)

より充実した個別相談の研修を開催するとともに、大阪府以外でも、また、はじめ ての方でも、精神科病院に入院中の方への面会活動を気軽に始めることができるよう に、マンガ形式の研修冊子「一緒にはじめよう!!精神科に入院中の方への面会~権 利を守り、今を変えていくために~」(仮題)を作成中です。

※日本財団助成事業

③ 大阪商工信金社会貢献賞受賞団体ネットワーク交流会への参加 日時 2018年11月14日(水)15:00〜18:30 場所 大阪商工信用金庫本店2階 商工信金ホール 大阪市中央区 主催 大阪商工信用金庫

内容

第1部 ヨコのリーダーシップ 講師:嶋田至氏(組織開発ファシリテーター)

第2部 グループディスカッション

「ひと」団体内のコミュニケーション、情報共有システム、組織体制のつくりかた、

活動計画等

参加者 個別相談活動参加者2名

(5)

④ 憲法カフェで考える「精神障がい者の人権」

日時 2018年12月19日(水)17:15~18:15 場所 大阪弁護士会館 11階1109会議室 大阪市北区

内容 あすわか(明日の自由を守る若手弁護士の会)から講師として小谷成美さん(弁 護士)に来ていただき、憲法の視点から精神保健福祉法(強制入院、行動制限)

を考えました。講師の小谷さんは、本企画で精神保健福祉法を知り、精神障害 を理由とする強制入院が「違憲」ではないかという感想を述べていました。

参加者 18名

※日本財団助成事業

(2)個別相談活動の質の向上に向けた取組み

ア 大阪精神医療人権センター活動拡充に向けた意見交換会 日時 2018年4月28日(土)10:30~16:30 場所 PLP会館 4階小B会議室 大阪市北区

内容 大阪精神医療人権センターの活動内容をビジョン、ミッションに従い整理 し、今後の活動計画について意見交換を行い、個別相談活動の位置づけを確 認しました。

コーディネーター 渡部直樹さん(エイドデザイン代表)

参加者 16名

※日本財団助成事業

イ 事例検討会

個別相談活動の具体的事例をもとに、個別相談活動でできる、できないことを整理 し、権利擁護活動としての個別相談における重要な活動内容や問題点、改善点につい て意見交換を行い、個別相談活動参加者のフォローアップを行いました。

≪第1回≫

日時 2018年6月21日(木)14:00~15:30 場所 大阪精神医療人権センター事務所 大阪市北区 参加者 6名

≪第2回≫

日時 2019年2月11日(月)10:00~12:00 場所 大阪市総合生涯学習センター 研修室 大阪市北区 参加者 17名

※日本財団助成事業

(6)

ウ 福岡県弁護士会・大阪弁護士会・九州弁護士会連合会との意見交換会

精神科病院に入院中の方のための権利擁護活動を積極的に行う福岡県弁護士会・大 阪弁護士会・九州弁護士会連合会との間で、本来求められるべき権利擁護活動の内容 や権利擁護活動を行う上での課題に関し、意見交換を行いました。

日時 2018年7月13日(金)14:00~18:00 場所 大阪弁護士会館 9階920会議室 大阪市北区

参加者 33名(九州弁護士会連合会・福岡県と鹿児島県の弁護士会13名、大阪弁護 士会8名、当センター11名、日本財団1名)

内容 第1部 各団体の活動紹介

1 九州弁護士会連合会 野林信行さん、鬼塚恒さん、小出真実さん(福岡)、

林宏嗣さん(鹿児島)、田中秀基さん(熊本)、濱本高史さん(大分)、佐 田英二さん(長崎)、安藤明彦さん(佐賀)、仲地宗哲さん(沖縄)

2 大阪精神医療人権センターの活動紹介 位田浩さん(当センター代表)

3 大阪弁護士会の精神保健業務の現状と今後の展望 守田恵さん(大阪弁 護士会ひまわり精神保健部会)

第2部 日本精神科病院協会のアドボケーターガイドラインの問題点 原昌平さん(大阪精神医療人権センター権利擁護システム研究会メン バー、新聞記者)

第3部 意見交換

*上記意見交換会の詳細は設立33周年記念活動報告書「精神科病院に入院中の方のため の権利擁護の拡充に向けて」の発行(2018年9月発行)で確認できます。

エ 入院中の方への権利擁護活動に関する勉強会への参加

大阪弁護士会ひまわり精神保健部会が企画する精神保健支援業務経験交流会や精神 医療審査会(法律家委員)との意見交換会に、個別相談活動に参加している方々が参 加し、法律家が考える権利擁護活動の本質について情報共有を行いました。

オ 日本財団 精神保健福祉分野意見交換会への参加 日時 2019年3月7日(木)13:00~16:40 場所 日本財団ビル 2階 会議室1・2 東京都港区

目的 (1)精神保健福祉分野において、どのような課題に取り組んでいくこと、どのよ うな事業を引き上げていくことが改善、向上につながっていくかを議論する。

(2)団体と財団とが協働で取り組んでいくべき事業のヒントを得、2019年度 以降の事業化へつなげる。

内容 (1)精神科病院での権利擁護(長期入院や社会的入院、身体拘束・隔離の現状、

(7)

停滞している精神科病床の減少と地域生活への移行、医療従事者へのアプロー チ等)、(2)地域生活の増加と質の向上(家族を含めた支援、アウトリーチ、住 まい、当事者のエンパワメント等)

参加団体 全国精神障害者地域生活支援協議会(あみ)

全国精神保健福祉会連合会(みんなねっと)

地域精神保健福祉機構(COMHBO)

大阪精神医療人権センター

(3)精神科病院に入院中の方のための権利擁護の拡充に向けた情報発信の強化

① 厚生労働省との意見交換

日時 2018年5月23日(水)13:30~15:45 来訪者 厚生労働省障害保健福祉部 精神・障害保健課より2名 場所 かける法律事務所 会議室

内容 大阪精神医療人権センターの活動内容を紹介するとともに、精神科病院に入 院中の方の立場にたった権利擁護活動の必要性を説明し、意見交換を行いま した。

② 大阪精神医療人権センター活動説明会

日本の精神医療の現状・課題や大阪精神医療人権センターの活動を知りたい方々に 向けて、日本の精神医療の現状や課題を踏まえて、大阪精神医療人権センターの活動 の意義や内容を説明しました。

日時 2018年6月7日(木)19:00~20:30 場所 AP大阪梅田東 大阪市北区

内容 日本の精神医療の現状と課題

大阪精神医療人権センターの活動の意義、内容 権利擁護活動の必要性、実践方法

参加者 31名

※日本財団助成事業

③ 設立33周年記念活動報告書「精神科病院に入院中の方のための権利擁護の拡充に 向けて」の発行(2018年9月発行)

この報告書は、日本の精神医療の現状を変えたいという思いから、入院中の方の声 をきき、その思いの実現を目指している方々に協力していただき、①日本の精神医療 の現状、②なぜ、権利擁護活動が必要なのか、③権利擁護活動によって変わったこと、

④当センターの実際の活動内容等を紹介しています。現在も当センターのウェブサイ トから購入(500円/冊・送料別途)できます。

※日本財団助成事業

(8)

④ 2 0 1 8 年 1 0 月 2 7 日 に 開 催 さ れ た 全 国 精 神 医 療 審 査 会 連 絡 協 議 会 京 都 シ ン ポジウム「精神障害者の権利擁護の現状と課題、今後のあり方について考える」に お い て 、 当 セ ン タ ー の 策 定 し た 精 神 科 病 院 に 入 院 中 の 方 た め の 権 利 擁 護 者 の 指 針 案・事業モデル案を紹介しました。

⑤ 大阪精神医療人権センター設立33周年記念講演会

「精神科病院に入院中の方のための権利擁護の拡充に向けて~今、私たちができること~」

日時 2018年11月17日(土)13:00~16:35 場所 エルおおさか南館5階 南ホール 大阪市中央区

参加者 120名

コーディネーター 原昌平さん(大阪精神医療人権センター権利擁護システム研究会メ ンバー、新聞記者)、細井大輔(当センター理事、弁護士)

内容 第1部 基調講演「精神障がい者の権利擁護と精神保健当番弁護士制度」

森豊さん(弁護士、九州弁護士会連合会精神保健に関する連絡協議会 初 代委員長、日本弁護士連合会高齢者・障害者権利支援センター幹事(精 神保健福祉PT))

第2部 活動参加者による活動報告

(1)入院体験者より

(2)大阪精神医療人権センター個別相談ボランティアより 第3部 パネルディスカッション

・星丘匡史さん(埼玉県精神医療人権センター)

・森豊さん

・西川健一さん(当センター個別相談活動検討チーム)

・山本深雪(当センター副代表)

後援 DPI日本会議、日本障害者協議会、全国精神保健福祉会連合会、地域精神保健 福祉機構、全国精神障碍者地域生活支援協議会、日本精神保健福祉士協会、日本 精神神経科診療所協会、大阪精神障害者連絡会、大阪精神障害者家族会連合会、

大阪精神保健福祉士協会、大阪精神科病院協会、大阪精神科診療所協会、大阪弁 護士会、九州弁護士会連合会、東京精神医療人権センター、埼玉県精神医療人権 センター、兵庫県精神医療人権センター

※日本財団助成事業

3 「声をきく」活動の成果

(1) 面会件数が2016年度は39回、2017年度は102回でしたが、2018年 度は171回(一昨年と比較して、438%増、昨年度と比較して、168%増)

となり、権利擁護活動としての面会活動の必要性、ニーズを実証でき、精神科病院

(9)

に 入 院 中 の 方 の た め の 権 利 擁 護 シ ス テ ム の 構 築 が 急 務 で あ る こ と を 確 認 で き ま し た。

(2) また、個別相談活動を担う人材育成のため、個別相談活動検討チームを中心として 個別相談参加者のための養成講座を開催することにより、新規の電話相談担当者2 名、面会活動参加者15名(大阪府以外の方5名)が増え、主担当となり、面会に 行くことのできるボランティアが8名増えました。その結果、合計50名で対応可 能な個別相談体制を構築することができました。

(3) 個別相談活動の質の向上に向けた取組みを行うことにより、まだまだ少ないながら も、①面会活動によって退院できた、②希望が実現した、③職員の意識に変化が生 まれた等という声をいただくことができました。

処遇が改善された(外出できるようになった) 3名 PSW が(以前より)かかわりはじめた 11名 退院支援が具体的に始まった 7名

退院先が決まった 1名 退院した 9名

(実人数53名 ※回答は重複あり)

(4) 精神科病院に入院中の方のための権利擁護の拡充に向けた情報発信の強化によ り、大阪精神医療人権センターに対し、2019年度 厚生労働行政推進調査事 業補助金(障害者政策総合研究事業)「地域精神保健医療福祉体制の機能強化を推 進する政策研究」分担研究「精神障害者の意思決定及び意思表明支援に関する研 究」の参加打診がありました。

個別相談活動を継続、充実させるために

電話・面会相談では相談者の方からお金を頂いていません。そのため、個別相談活動 を継続するために、交通費(1回2,000円~4,000円/2名分)や個別相談活 動をアレンジするための事務局スタッフの人件費(年間500万円)が必要となりま す。また、個別相談の依頼が増え続けていますが、その一方で、常勤職員の数は変わっ ておらず(現在、常勤職員1名)、早急に事務局体制を充実させる必要があります。

当センターの主な財政的基盤は、支援者の皆様による会費と寄付です。個別相談活動 の継続、充実のために、今後とも、ご支援、ご協力をよろしくお願いします。

(10)

第3 「扉をひらく」活動の実施状況と成果

当センターは、「扉をひらく~精神科病院を開かれたものにするために~」というミッシ ョンをもって、「精神科病院への訪問活動及び情報公開」を行い、精神科病院の密室性、

閉鎖性の解消を目指します。

1 精神科病院への訪問活動の実施状況

(1)当センターでは、精神科病院に入院中の方の人権を擁護し、より良好な療養環境の 改善に向けて、精神科病院の病棟等に訪問・視察を行い、入院中の方々から聞き取り を行う等、精神科病院への訪問活動に参加しています(2003年から精神医療オン ブズマン制度、2009年から療養環境サポーター制度)。

(2)療養環境サポーター制度では、当センターは、訪問先病院の選定、サポーターの日 程調整、報告書作成への関与等、重要な役割を担っています。また、2か月に1回開 催される大阪府精神科医療機関療養環境検討協議会にも当センターから2名の委員が 参加し、行政や病院関係者等と協議し、その結果を当センターのウェブサイトにて情 報公開しています。

≪訪問回数≫

2018年度 2017年度 2016年度

訪問回数 12回 12回 12回

≪2018年度の訪問日・訪問先≫

訪問年月日 医療機関名 サポーター

参加人数 2018年 4月 18日 青葉丘病院 4

5月 15日 大阪市立大学附属病院 3

6月 15日 久米田病院 7

7月 11日 関西記念病院 4

8月 6日 阪南病院 6

9月 12日 大阪さやま病院 4 10月 15日 阪和サナトリウム 4

11月 5日 さわ病院 3

12月 7日 北野病院 2

2019年 1月 28日 小曽根病院 6

2月 26日 白井病院 4

3月 14日 七山病院 4

(11)

*大阪府精神科医療機関療養環境検討協議会の開催状況は別紙6のとおりです。

2 医療観察法病棟への訪問活動

この活動では、法律専門職である弁護士と当センターの職員が連携、協力し て、入院者と面会し、当センターが長年蓄積してきたノウハウや情報を提供し、

相談を受けるとともに、法的観点からの助言を行っています。

≪活動の回数・相談者数≫

2018年度 2017年度 2016年度

回数 5回 6回 6回

相談者数

(新規)

11名

(新規1名)

13名

(新規2名)

10名

(新規1名)

協力弁護士:

愛須勝也さん、位田浩さん、大槻和夫さん、細井大輔さん

3 精神科病院への訪問活動の拡充に向けた取組み

精神科病院への訪問活動の拡充に向けて、以下の取組みを実施しました。

① 大阪府精神科医療機関療養環境検討協議会の傍聴(定員5名)をフェイスブックや 人権センターニュースにより呼びかけ、多くの方々に、この活動に関心を持っても らえるように取り組みました。2018年度は、約10名の市民の方々が協議会を 傍聴しました。

② 療養環境サポーター訪問活動についての意見交換会

日 時:2018年7月25日(水)18:45~20:20 参加者:12名

内 容:より充実した訪問活動を継続するための人材育成と方法

③ 療養環境サポーターの新規推薦

個別相談活動に参加している方のうち、その経験を生かしてもらうため、療養環境サ ポーター活動に参加を希望している方々を募集し、2019年1月9日に療養環境サポ ーター活動の説明会を実施し、新たに療養環境サポーターに9名の方を推薦しました。

④ 講師派遣

2 0 1 8 年 9 月 2 5 日 平 成 3 0 年 度 兵 庫 県 精 神 科 病 院 実 地 指 導 及 び 実 地 審 査 説 明 会「大阪における 療養環境サポーター制度について」

(12)

「各保健所職員が精神科病院実地指導を行う際の指導を実施する視点を広げ、精神科 病院の療養環境の改善を図る」ことを目的として講師派遣依頼を受け、兵庫県の精神科 病院の実地指導及び実地審査担当者に精神科病院への訪問活動の歴史的経緯や意義、ど のような視点で病院を訪問しているのかを伝えました。

4 630調査の情報公開請求の状況

(1)630調査の情報公開請求の実施状況

2017年度と2018年度の630調査の情報公開請求を行いました。もっとも、

2018年度の630調査に関し、大阪府・大阪市・堺市から、非開示とする旨の決 定が通知されました。

(2)630調査による情報公開の充実に向けた取組み

① 630調査の様式変更についての国立精神・神経医療研究所との意見交換会への参加 日 時 2018年4月19日(木)14:00~16:00

場 所 杏林大学 A棟102室

参加者 山之内芳雄さん(国立精神・神経医療研究センター)、長谷川利夫さん(杏 林大学)、東京精神医療人権センター、埼玉県精神医療人権センター、

大阪精神医療人権センター等

内 容 630調査の様式変更の経緯の説明を受けて、調査項目や情報公開についての 意見交換

② 630調査の今まで通りの情報開示を求める院内集会(東京)賛同と参加 日 時 2019年2月12日(火) 12:00~14:30

場 所 参議院議員会館 B107会議室 東京都千代田区 主 催 精神科医療の身体拘束を考える会

賛同団体 認定NPO法人大阪精神医療人権センター、公益社団法人日本精神保健福祉 士協会、大阪精神障害者連絡会、NPO法人こらーるたいとう

5 その他の情報公開活動

① 人権センターニュースの発行(2か月に1回)

2018年度の人権センターニュースの記事一覧は別紙7のとおりです。「人権」の視 点から、日本の精神医療の現状や課題、当センターの活動状況を積極的に情報発信して います。

人権センターニュースは会員の方に発送するとともに、500円/冊で販売していま す(ただし、2016年度、2017年度及び2018年度のバックナンバー6冊セッ トは、2,000円/年で販売しています。)。

(13)

② ウェブサイトによる情報発信

療養環境サポーター活動報告の結果について、当センターの公式ウェブサイトにより 随時更新しています。

③ 扉よひらけ⑦大阪精神科病院事情ありのまま2015

2018年度も、「扉よひらけ⑦大阪精神科病院事情ありのまま2015」(販売価格 2,000円・税込)を54冊購入していただきました。

④ フェイスブックによる情報発信

2018年度に関心の高かったフェイスブックの投稿は、以下のとおりです(リーチ数 を基準にトップ5を紹介しています。)。

1位 2018年12月5日 合計リーチ数4291

【再放送のお知らせ】 E テレ ETV 特集「長すぎた入院」 原発事故をきっかけに 見えてきた精神科病院への社会的入院の問題が取り上げられます。 当センターの運 営会員 有我譲慶さんも取材に協力しました。

2位 2018年11月14日 合計リーチ数3054

【当日参加 OK】11/17 講演会精神科病院に入院中の方のための権利擁護の拡充 に向けて は、事前申込みをお待ちしています。

3位 2018年7月3日 合計リーチ数3054

「長すぎた入院」英語版が 7/14 まで公開されています。英語タイトルは "私は籠 の鳥だった:日本の精神科入院" 。「第 55 回ギャラクシー賞」入賞作品にも選ばれた 素晴らしいドキュメントです。英語版の公開で、日本の社会的入院、精神科医療の実 態が世界に知られていくことを期待します。

4位 2018年6月3日 合計リーチ数3010

【権利のメッセンジャー】精神科病院に入院中の方へ「権利」を伝えるボランティ アを募集します。

5位 2018年8月16日 合計リーチ数2693

【お申込みは9月よりスタート】 「精神科病院に入院中の方のための権利擁護の拡 充に向けて ~今、私たちができること~(仮)」 ■2018年11月17日(土)1 3:00~16:35 -省略—

当センターにおける個別相談活動の現状と課題、今後の展望ともに、大阪府以外の

(14)

地域で権利擁護活動を実践している方等をお招きし、入院中の方のための権利擁護活 動を検討し、本来求められるべき権利擁護活動の実現に向けて講演会を企画します。

※本企画は日本財団助成事業の一環として開催します。

*是非、当センターのフェイスブック又は記事の「いいね」、「シェア」をしていただきま すよう、どうぞよろしくお願いします。

6 「扉をひらく」活動の成果

(1) 精神科病院への訪問活動により、入院中の方の人権を保障し、療養環境の改善に貢 献することができました。実際に改善された内容は別紙5のとおりです。

(2) 2018年度は、新たに人権センターニュースを購読する会員が51名増加しまし た。

(3) 個別相談活動で経験を積んだ9名の方に、大阪府精神科医療機関療養環境検討協議 会において療養環境サポーターに推薦し、精神科病院への訪問活動を継続的に行う ことができる人的基盤を整備しました。

(15)

第4 「社会をかえる」活動の実施状況と成果

当センターでは、「社会をかえる~安心してかかれる精神医療を実現するために~」とい うミッションをもって、①精神障害や精神疾患に対する差別、偏見の解消に向けて、当 センターの活動に、より多くの一般市民の方に参加してもらうための体制を構築すると ともに、②「精神医療及び精神保健福祉に係る政策提言」を行い、精神障害や精神疾患 に対する差別と偏見の解消を目指します。

1 権利擁護システム研究会

≪第1回≫ 日本の精神医療の現状と課題

日時 2018年8月12日(日)13:15~16:45 場所 大阪市総合生涯学習センター 第3研修室 大阪市北区 内容

第1部 2018年度 事業報告の「日本の精神医療の現状と課題」の説明 第2部 意見交換

第3部 2018年度権利擁護システム研究会のテーマの検討 参加者 26名

≪第2回≫ 精神医療審査会の現状と課題、限界

日時 2018年10月28日(日)13:00~16:45 場所 PLP会館 4階小B会議室 大阪市北区

内容 精神医療審査会の現状、課題、限界 コーディネーター 竹端寛さん(兵庫県立大学)

発表者 篠原由利子さん(佛教大学・元滋賀県精神医療審査会委員・全国精神医療審査 会連絡協議会)・小坂梨緑菜さん(弁護士・堺市精神医療審査会委員)

参加者 23名

≪第3回≫ 精神科病院における身体拘束の問題

日時 2019年3月3日(日)13:00~16:45 場所 新大阪丸ビル別館 3階3-1室 大阪市東淀川区 コーディネーター 竹端寛さん(兵庫県立大学)

発表者 長谷川利夫さん(杏林大学)、有我譲慶さん(当センター理事・看護師)、細井 大輔さん(当センター理事・弁護士)

参加者 20名

2 対外的な取組み~情報発信の強化~

(16)

(1)総会・記念パネルディスカッション「医療保護入院について考える」の開催 日時 2018年5月26日(土)13:00~16:30

場所 エルおおさか 本館6階 大会議室 大阪市中央区 内容

コーディネーター 竹端寛さん(兵庫県立大学)

基調報告 大阪精神医療人権センター権利擁護システム研究会メンバー

① 増え続ける医療保護入院の実情~精神医療政策から考える~ 有我譲慶

② 法的に見ると矛盾だらけ~法的な観点から医療保護入院の問題を考える~

原昌平さん、桐原尚之さん

③ 本人や家族が負担や困難を抱え込まないためにも~医療保護入院の背景~

彼谷哲志さん 参加者 210名

※日本財団助成事業

(2)講演会「地域精神医療の充実に向けて—フランス・リールの実践から考える—」の 開催

日時 2018年11月7日(水)17:30~20:30

場所 大阪弁護士会館 10階1001、1002 大阪市北区 共催 大阪弁護士会・大阪精神科診療所協会・大阪精神医療人権センター 内容 A)フランス精神医療改革の実践

Jean Luc Roelandtさん (医師・リール精神保健センター)

通訳 三脇康生さん(医師・仁愛大学)

B)日本における地域精神医療の取組み

高木俊介さん(医師・ACT-K・たかぎクリニック)

C)社会保障法学からのアプローチの重要性 永野仁美さん(上智大学)

参加者 120名

(3)第61回日本病院・地域精神医学会総会でのシンポジウム「矛盾だらけの「医療 保護入院」をどうする?」の開催

日時 2018年12月13日(木)16:00~18:00 場所 タワーホール船堀 東京都江戸川区

コーディネーター 長谷川唯さん

シンポジスト 大阪精神医療人権センター権利擁護システム研究会メンバー 内容

① 医療保護入院はなぜ増えたのか~精神医療政策の視点~ 有我譲慶

(17)

② 医療保護入院における医療費請求に民法上の根拠はあるのか 桐原尚之さん

③ 憲法・刑事法・行政法から見た医療保護入院のおかしさ 原昌平さん

④ 本人や家族が負担や困難を抱え込まないために~医療保護入院の「背景」を考え る~ 西川健一さん

(4)医療観察法を廃止しよう全国集会!の共同呼びかけ

≪2018年度第1回目≫

日時 2018年7月29日(日)13:30~16:30

場所 中野区産業振興センタ一 地下 1階多目的ホール 東京都中野区

内容 「法制審の『社会内処遇』の問題点とリーガルソーシャルワークの在り方を考 える」黒田和代さん(社会福祉士・精神保健福祉士・NPO法人サマリア理事長)、

基調報告、特別報告、リレートーク

≪2018年度第2回目≫

日時 2018年12月2日(日)

場所 ウェルファーム杉並 第3・4集会室 東京都杉並区

内容 「心神喪失者等医療観察法と再犯防止-治療と予防とのはざま-」

石塚伸一さん(龍谷大学法学部・犯罪学研究センター長)

共同呼びかけ

心神喪失者等医療観察法をなくす会

国立武蔵病院(精神)強制・隔離入院施設問題を考える会 認定NPO法人大阪精神医療人権センター

心神喪失者等医療観察法 (予防拘禁法)を許すな!ネットワーク

3 講師派遣

2018年7月19日 関東弁護士会連合会 人権擁護委員会学習会「世界における 日本の精神医療体制の位置づけ」

2018年7月23日 大阪市こころの健康センター ピアヘルパー養成講座

2018年9月8日 大阪弁護士会・大阪医療ソーシャルワーカー協会・大阪社会 福祉 士会 ・ 大阪 精神 保 健福 祉士 協 会共 催「 憲 法を 使い 倒 せ」

リレートーク

2018年10月22日 大阪弁護士会 第71期司法修習生向け講座「精神障が い のある人への支援」

2018年11月7日 大阪府社会福祉協議会 階層別人権研修「こころの病をもつ 人への支援と人権を考える

(18)

2019年3月9日 トランスカルチャーネットワーク宇多津例会「入院中の人へ の関わり」

4 2018年度の政策提言活動の成果

(1) 2017年度の研究会のテーマである「医療保護入院」に関し、第61回日本病院・

地域精神医学会総会(東京)において、シンポジウム「矛盾だらけの「医療保護入 院」をどうする?」を開催し、大阪府以外でも医療保護入院のおかしさや、矛盾を 伝え、精神障害を理由とする強制入院制度を変えていく必要があること、及び権利 擁護活動の必要性を対外的にアピールすることができました。

(2) 第115回 日本精神神経学会学術総会(2019年6月21日、22日・場所 朱 鷺メッセ)において、大阪精神医療人権センター運営会員・権利擁護システム研究 会コーディネーターの竹端寛さん(兵庫県立大学)が委員会シンポジウム13(精 神科医療における権利擁護制度—とりわけアドボケーター・代弁者を巡って—)に シンポジストとして参加し、『日本の精神医療に求められる真の「権利擁護者」と は?』について発言することが決まりました。

(3) 同日本精神神経学会学術総会でも、大阪精神医療人権センター運営会員・権利擁護 システム研究会メンバーの東奈央さん(つぐみ法律事務所)が委員会シンポジウム 18(精神科医療における身体拘束の現状と課題)にシンポジストとして参加し、

『精神医療における身体的拘束・・・人権からの考察』について発言することが決 まりました。

(4) 権利擁護システム研究会の議論の内容を人権センターニュースにまとめ、情報発信 を強化し、その結果、2019年5月18日記念講演会「精神科病院における身体 拘束を考える」では、大阪府以外の方や医療や福祉関係者以外の方々も多く含み、

約200名(定員200名)の参加申込がありました。

(19)

第5 その他の事業 実施していない。

第6 当センターの組織体制等 1 役員

代表 位田 浩(弁護士)

代表 大槻 和夫(弁護士)

副代表 山本 深雪(当事者)

理事 有我 譲慶(看護師)

理事 大久保 圭策(精神科医)

理事 郭 春生(家族・看護師)

理事 里見 和夫(弁護士)

理事 細井 大輔(弁護士)

監事 竹下 政行(弁護士)

2 事務局長

上坂 紗絵子(精神保健福祉士)

3 会員数

(1) 特別協力会員 88名(2018年度の会費支払人数を基準)

(A会員69名、B会員8名、C会員11名)

(2) 賛助会員 305名(2018年度の会費支払人数を基準)

(当事者会員61名、個人会員208名、団体会員36名)

(3)運営会員 24名

4 活動参加者数

(1)実人数 101名

(2)活動ごとの参加者数(※重複あり)

個別相談活動 50名 訪問活動 40名 権利擁護システム研究会 31名 広報・発送・講演会準備や運営 38名

5 社員総会の開催状況

社員総会の開催状況は、別紙8のとおりです。

6 理事会の開催状況

(20)

理事会の開催状況は、別紙9のとおりです。

7 2018年度の受賞実績等

(1)第20回糸賀一雄記念賞の受賞

故糸賀一雄氏の思想や取り組みを新しい目で見直し、障害者やその家族が安心して 生活できる福祉社会の実現に寄与することを目的として活動する団体に贈られる「第 20回糸賀一雄記念賞」(公益財団法人糸賀一雄記念財団)を受賞しました。2018 年11月1日(木)に大津市びわ湖ホールにて授賞式が行われ、当センター副代表が 登壇し記念スピーチを行いました。

故糸賀一雄氏は、戦後間もない荒廃した社会状況の中で、戦災孤児と知的障害のあ るこどものための福祉施設近江学園を創設し、「知的障害者の父」と呼ばれ全国に優秀 なリーダーを送り出し、知的障害者福祉法の制定の原動力として活躍するなど、大き な足跡を残します。どんなに重い障害のあるこどもにも発達を保障する必要があると いう発達保障論を展開し、「この子らを世の光に」という強いメッセージを後世に残し ました。

糸賀一雄没後50年にあたる本年に、皆様のお力添えで「第20回糸賀一雄記念賞」

を受賞できたことに心より感謝申し上げます。

(2)第16回読売福祉文化賞の受賞

社会福祉の各分野で21世紀を切り開く創造的な業績をあげ、障害者や高齢者 の暮らしやすい環境づくり、自立支援、社会参加の推進などに貢献している団体 に贈られる「第16回読売福祉文化賞」(社会福祉法人読売光と愛の事業団)を 受賞しました。

以上

(21)

別 紙 1

日 本 の 精 神 医 療 の 現 状 と 課 題

第 1 日 本 の 精 神 医 療 の 現 状 ~ 精 神 障 害 者 の 人 権 が 制 限 さ れ 、当 た り 前 に 地 域 で 生 活 し 、 必 要 な と き に 安 心 し て か か れ る 医 療 が 整 備 さ れ て い な い こ と ~

障 害 者 権 利 条 約 が 批 准 さ れ 、 障 害 者 差 別 解 消 法 が 施 行 さ れ て も 、 精 神 障 害 者 の 人 権 が 制 限 さ れ 、 当 た り 前 に 地 域 で 生 活 し 、 必 要 な と き に 安 心 し て か か れ る 医 療 が 整 備 さ れ て い ま せ ん 。

1 多 す ぎ る 入 院 者 数 、 強 制 入 院 、 長 期 入 院 を 含 む 社 会 的 入 院 、 閉 鎖 処 遇 ・ 身 体 拘 束 ・ 隔 離 を 含 む 行 動 制 限 ( 2 0 1 7 年 6 月 3 0 日 時 点 )

( 1 ) 多 す ぎ る 入 院 者 数 や 強 制 入 院

日 本 の 精 神 科 病 院 に は 約 2 8 . 4 万 人 が 入 院 し て お り 、 そ の う ち 1 3 . 1 万 人

( 約 4 6 % ) が 本 人 の 意 思 に 反 し た 強 制 入 院 ( 措 置 入 院 者 が 約 1 6 0 0 人 、 医 療 保 護 入 院 者 が 約 1 3 万 人 ) と な っ て い ま す 。

( 2 ) 多 す ぎ る 長 期 入 院 や 社 会 的 入 院

約 2 8 . 4 万 人 の 入 院 者 の う ち 、 1 年 以 上 の 長 期 入 院 が 約 1 7 . 4 万 人 ( 約 6 1 % ) で あ り 、 5 年 以 上 の 長 期 入 院 が 9 . 3 万 人 ( 約 3 3 % ) で あ り 、 1 0 年 以 上 の 長 期 入 院 が 約 5 . 5 万 人 ( 約 1 9 % ) で す 。 ま た 、 医 療 観 察 法 病 棟 で は 7 3 7 名 の 入 院 者 の う ち 、 4 6 4 名 ( 約 6 3 % ) が 1 年 以 上 の 長 期 入 院 を 強 い ら れ て い ま す 。

長 期 入 院 者 の 多 さ を み れ ば 、 社 会 的 入 院 者 ( 医 療 的 に み る と 入 院 治 療 の 必 要 が な い に も か か わ ら ず 、 入 院 継 続 を 余 儀 な く さ れ て い る 方 ) が 多 く い る こ と は 明 ら か で す 。

( 3 ) 多 す ぎ る 閉 鎖 処 遇 ・ 身 体 拘 束 ・ 隔 離 を 含 む 行 動 制 限

日 本 の 精 神 科 病 床 ( 約 3 2 万 病 床 ) の う ち 、 約 2 2 万 病 床 ( 約 6 8 % ) が 終 日 閉 鎖 の 病 棟 で あ り 、 任 意 入 院 と さ れ て い る 約 1 5 万 人 の う ち 、 約 8 . 3 万 人 ( 約 5 5 % ) が 終 日 閉 鎖 の 病 棟 で 過 ご す こ と を 余 儀 な く さ れ て い ま す 。

ま た 、 精 神 科 病 院 で は 、 身 体 拘 束 、 隔 離 、 面 会 ・ 通 信 の 制 限 、 外 出 制 限 等 の 行 動 制 限 が 幅 広 く 許 容 さ れ 、 身 体 拘 束 や 隔 離 の 数 は 増 え 続 け 、 2 0 1 7 年 6 月 3 0 日 時 点 の 精 神 保 健 福 祉 資 料 に よ れ ば 、 1 2 , 5 2 8 名 に 対 し 身 体 拘 束 が 行 わ れ 、 2 0 0 3 年 6 月 3 0 日 時 点 ( 5 0 1 9 名 ) と 比 較 す る と 、 2 倍 以 上 、 増 え て い ま す 。

(22)

2 精 神 科 病 床 が 多 す ぎ る こ と

( 1 ) 日 本 は 、 世 界 の 5 分 の 1 の 精 神 科 病 床 ( ベ ッ ド 数 ) を 占 め て い る と 言 わ れ 、 2 0 0 4 年 に 厚 生 労 働 省 が 策 定 し た 精 神 保 健 医 療 福 祉 の 改 革 ビ ジ ョ ン で は 、 1 0 年 間 で 精 神 科 病 床 を 3 5 . 4 万 床 か ら 2 8 . 2 万 床 ( 削 減 数 : 約 7 万 床 ) に 減 ら す こ と を 目 標 と し ま し た 。

( 2 ) し か し な が ら 、 現 在 で も 精 神 科 病 床 が 約 3 2 万 病 床 ( 精 神 保 健 福 祉 資 料 ・ 2 0 1 7 年 6 月 3 0 日 時 点 ) が 存 在 し 、 上 記 改 革 ビ ジ ョ ン か ら 1 4 年 経 過 し た 現 在 で も 、 約 3 . 4 万 床 ( 目 標 値 の 約 5 0 % ) し か 削 減 で き て い ま せ ん 。

( 3 ) 精 神 科 病 床 が 多 す ぎ る と い う こ と は 、 地 域 医 療 や 地 域 福 祉 を 充 実 さ せ る た め で は な く 、 精 神 科 病 院 を 維 持 す る た め に 多 く の 予 算 が 使 わ れ る こ と に な っ て し ま い ま す 。 ま た 、 精 神 科 病 院 の 経 営 上 の 都 合 に よ り 精 神 科 病 床 を 埋 め る た め の 長 期 入 院 や 社 会 的 入 院 を 誘 引 し ま す 。 特 に 、 認 知 症 高 齢 者 の 精 神 科 病 院 へ の 入 院 の 問 題 は 、 今 後 よ り 深 刻 に な っ て い く こ と が 予 想 さ れ ま す 。

( 4 ) 当 セ ン タ ー は 、 こ れ ま で 「 病 院 か ら 地 域 へ 」 を ス ロ ー ガ ン と し て 活 動 し て き ま し た が 、 精 神 科 病 床 が 多 す ぎ る と い う こ と は 、 地 域 で 暮 ら す こ と を 希 望 す る 精 神 障 害 者 の 人 権 を 制 限 す る こ と に つ な が り ま す 。

3 家 族 の 過 重 な 負 担

2 0 1 3 年 精 神 保 健 福 祉 法 改 正 で は 、 保 護 者 制 度 が 廃 止 さ れ た も の の 、 そ れ に 代 わ っ て 「 家 族 等 の 同 意 」 が 必 要 と さ れ 、 ま た 、 民 法 7 1 4 条 ( 責 任 無 能 力 者 の 監 督 義 務 者 等 の 責 任 ) が 見 直 さ れ る こ と な く 、 存 在 し て お り 、 家 族 の 過 重 な 負 担 は 何 も 変 わ っ て い ま せ ん 。

こ の 家 族 の 過 重 の 負 担 が 社 会 的 入 院 を 生 み 出 し 、 入 院 者 本 人 だ け で な く 、 家 族 も 苦 し め 、 精 神 障 害 者 の 人 権 を 制 限 す る こ と に つ な が り ま す 。

第 2 当 セ ン タ ー が 解 決 を 目 指 す 課 題

当 セ ン タ ー は 、 日 本 の 精 神 医 療 の 現 状 を 生 み 出 す 原 因 に つ い て 、 ① 精 神 科 病 院 に 入 院 中 の 方 の 権 利 擁 護 シ ス テ ム が 不 十 分 で あ る こ と 、 ② 精 神 科 病 院 の 密 室 性 、 閉 鎖 性 が 解 消 さ れ て い な い こ と 、 ③ 精 神 障 害 、 精 神 疾 患 に 対 す る 差 別 意 識 、 偏 見 が 解 消 さ れ て い な い こ と に あ る と 考 え 、 こ の 課 題 解 決 に 向 け て 取 り 組 み ま す 。

1 精 神 科 病 院 に 入 院 中 の 方 の た め の 権 利 擁 護 シ ス テ ム が 不 十 分 で あ る こ と

多 す ぎ る 入 院 者 数 、 強 制 入 院 、 長 期 入 院 を 含 む 社 会 的 入 院 、 閉 鎖 処 遇 ・ 身 体 拘 束 ・ 隔 離 を 含 む 行 動 制 限 と い う 現 状 が あ る に も か か わ ら ず 、 以 下 の と お り 、 精 神 科 病 院 に 入 院 中 の 方 の た め の 権 利 擁 護 シ ス テ ム が 極 め て 不 十 分 で あ り 、 精 神 障 害

(23)

者 の 人 権 が 制 限 さ れ て い ま す 。

① 医 療 保 護 入 院 で は 、 た っ た 1 名 の 精 神 保 健 指 定 医 の 診 察 で 、「 医 療 及 び 保 護 の 必 要 性 」 と い う 漠 然 か つ 曖 昧 な 要 件 で 判 断 さ れ て い ま す 。

② 任 意 入 院 で あ っ と し て も 、閉 鎖 処 遇 の 割 合 や 長 期 入 院 の 割 合 も 多 く 、事 実 上 入 院 を 強 制 さ れ て い る 状 況 で す 。

③ 精 神 医 療 審 査 会 で は 、 医 療 保 護 入 院 等 に 係 る 入 院 届 や 定 期 報 告 を 審 査 し て い る も の の 、精 神 科 病 院 か ら 一 方 的 に 届 け ら れ る 書 面 審 査 で あ り 、入 院 継 続 が 不 要 と 判 断 さ れ る 割 合 は 、 ほ ぼ 0 % で す ( 2 0 1 6 年 度 行 政 衛 生 報 告 例 )。

④ 精 神 科 病 院 に は 約 2 8 .4 万 人 が 入 院 し て い る に も か か わ ら ず 、精 神 医 療 審 査 会 に 対 す る 退 院 請 求 を 利 用 し た 方 は 約 3 千 人( 1 % )で 、処 遇 改 善 請 求 を 利 用 し た 方 は 約 5 0 0 名( 0 .0 1 % )で 、か つ 、代 理 人( 弁 護 士 )に よ る 請 求 を 利 用 し た 方 も 合 計 2 1 9 名( 請 求 者 の う ち 、0 .7 % )で あ り( 2 0 1 6 年 度 行 政 衛 生 報 告 例 )、 ほ と ん ど 利 用 さ れ て い ま せ ん 。

2 精 神 科 病 院 の 密 室 性 、 閉 鎖 性 が 解 消 さ れ て い な い こ と

( 1 ) 多 す ぎ る 強 制 入 院 、 長 期 入 院 を 含 む 社 会 的 入 院 、 閉 鎖 処 遇 ・ 身 体 拘 束 ・ 隔 離 を 含 む 行 動 制 限 の 原 因 の 一 つ は 、 精 神 科 病 院 に お け る 入 退 院 や 処 遇 に つ い て 、 病 院 や 医 師 の 広 範 な 裁 量 に 委 ね ら れ 、 精 神 科 病 院 と は 独 立 し た 第 三 者 に よ る 十 分 な チ ェ ッ ク 機 能 が 及 ん で い な い た め で す 。

( 2 )ま た 、「 こ れ か ら の 精 神 保 健 医 療 福 祉 の あ り 方 に 関 す る 検 討 会 」が 2 0 1 8 年 2 月 に ま と め た 報 告 書 で は 、社 会 的 入 院 と い う 言 葉 が 一 切 使 わ れ な く な る と と も に 、

「 重 度 か つ 慢 性 」 と い う 概 念 を 用 い て 、 長 期 入 院 を 許 容 す る 方 向 を 打 ち 出 し ま し た 。

「 重 度 か つ 慢 性 」 の 概 念 は 、 極 め て 曖 昧 か つ 不 明 確 で あ る と と も に 、 社 会 的 入 院 と い う 著 し い 人 権 侵 害 の 問 題 を 隠 し て し ま う も の で あ り 、精 神 科 病 院 の 密 室 性 、 閉 鎖 性 を 助 長 す る も の で す 。

( 3 ) さ ら に 、 い わ ゆ る 6 3 0 調 査 に 関 し 、 こ れ ま で 病 院 ご と の 重 要 な 情 報 ( 入 院 期 間 、 強 制 入 院 の 数 、 行 動 制 限 ・ 身 体 拘 束 の 数 等 ) が 開 示 さ れ て き た に も か か わ ら ず 、 日 本 精 神 科 病 院 協 会 に よ る 2 0 1 8 年 1 0 月 1 9 日 付 け 「 精 神 保 健 福 祉 資 料

( 6 3 0 調 査 )の 実 施 に つ い て の 声 明 文 」の 後 、十 分 な 説 明 も な い ま ま 、大 阪 府・

大 阪 市 ・ 堺 市 に 対 す る 情 報 公 開 請 求 が 認 め ら れ な く な り ま し た 。

( 4 ) 今 で も 、 精 神 科 病 院 の 密 室 性 、 閉 鎖 性 は 解 消 さ れ て お ら ず 、 む し ろ 、 こ の ま ま で は 、 精 神 科 病 院 の 密 室 性 、 閉 鎖 性 が 助 長 さ れ て し ま い 、 精 神 障 害 者 の 人 権 が 制 限 さ れ て い ま す 。

(24)

3 精 神 障 害 や 精 神 疾 患 に 対 す る 差 別 と 偏 見 が 解 消 さ れ て い な い こ と

( 1 ) 人 権 の 観 点 か ら 、 強 制 入 院 や 行 動 制 限 は 、 本 来 許 さ れ な い に も か か わ ら ず 、 日 本 で は 、 精 神 障 害 を 理 由 と し て 、 漠 然 か つ 不 明 確 な 要 件 で 多 く の 強 制 入 院 や 社 会 的 入 院 を 許 容 し て い ま す 。

( 2 ) ま た 、 精 神 科 特 例 ( 精 神 科 病 棟 で は 一 般 科 病 棟 に 比 較 し て 、 医 師 や 看 護 師 を 少 な く す る こ と を 許 容 す る ル ー ル ) は 、 い ま だ に 存 在 し て い ま す 。

( 3 ) さ ら に 、 相 模 原 障 害 者 殺 傷 事 件 を 契 機 と し 、 措 置 入 院 制 度 を 強 化 し よ う と す る 精 神 保 健 福 祉 法 改 正 案 は 廃 案 と な っ た も の の 、 精 神 医 療 を 治 安 の 道 具 と み な し 、 精 神 障 害 者 の 人 権 を 侵 害 し 、 精 神 障 害 者 に 対 す る 差 別 と 偏 見 を 助 長 す る も の で し た 。

( 4 )今 で も 、精 神 障 害 や 精 神 疾 患 に 対 す る 差 別 と 偏 見 は 解 消 さ れ て お ら ず 、む し ろ 、 誤 っ た 差 別 と 偏 見 に 基 づ き 法 制 度 の 構 築 や 運 用 が な さ れ る 危 険 性 が 高 い 状 況 に あ り 、 精 神 障 害 者 の 人 権 が 制 限 さ れ て い ま す 。

(25)

(※複数選択あり)

名前有 匿名 合計

1 面会に来てほしい 163 2 165

2 手紙がほしい 4 0 4

1 入院の理由に納得がいかない 20 5 25

2 入院の必要性について説明がない 8 1 9

3 退院について説明がない 15 2 17

4 入院形態の変更 1 0 1

5 家族の反対 17 1 18

6 退院支援(相談・情報提供)がない 21 3 24

7 退院先がない 14 0 14

8 退院先を選べない 8 0 8

9 転院したい 12 1 13

10 退院したい 114 16 130

1 隔離 60 6 66

2 身体拘束 48 6 54

3 外出制限 48 1 49

4 面会制限 1 3 4

5 通信制限 11 2 13

1 病気・治療・薬 29 11 40

2 他科受診 5 0 5

3 私物管理 8 1 9

4 金銭管理 19 1 20

5 食事・おやつ 68 0 68

6 喫煙 5 0 5

7 使役 0 1 1

8 他患との関係・トラブル 9 2 11

9 入院費・保険外費用 4 2 6

1 暴力 7 1 8

2 暴言 11 6 17

3 無視・放置 12 2 14

4 対応がおそい 6 1 7

5 審査会等への相談により不当な対応 4 1 5

6 不適切な対応 11 8 19

1 住む場 18 3 21

2 収入 5 0 5

3 家事 1 0 1

4 就労・居場所 2 1 3

5 金銭管理 2 1 3

6 服薬管理 5 0 5

7 家族関係 5 0 5

8 その他 4 0 4

1 入院の種類や要件 3 3 6

2 精神医療審査会 4 1 5

3 社会資源 10 0 10

4 当センターの相談受付内容 6 2 8

5 当センターの活動内容 5 1 6

6 他の相談窓口 19 5 24

7 その他 17 5 22

(7)知りたいことがあ る

(1)面会・手紙の希望

(2)退院したい

(3)行動制限

(4)入院生活

(5)職員の接遇

(6)退院後の生活 について

別紙2

2018年度 電話相談の内容

(26)

2018年度 面会活動の実施状況

新規 主担当増

4月 9 1 0 0

5月 11 4 1 0

6月 9 1 0 0

7月 13 0 1 0

8月 17 4 4 1

9月 16 2 5 4

10月 19 5 1 1

11月 14 2 1 0

12月 18 6 1 1

1月 11 3 1 0

2月 19 5 0 1

3月 15 2 1 2

合計 171 35 16 10

活動参加者(名)

面会件数

(のべ面会者数)

新規面会者数

(名)

別紙3

(27)

面会者の実人数  53 名

入院形態別面会者数

任意入院者数 8 名

医療保護入院者数 31 名

その他(観察法) 1 名

不明 13 名

53 名

希望・相談内容(複数選択あり)

退院 44 名

外出 6 名

隔離 2 名

身体拘束 4 名

通信 1 名

私物・金銭の管理 2 名

おやつ 1 名

食事 1 名

部屋をかえてほしい 1 名

面会に来てほしい 6 名

経過・結果(2018年3月末時点)

終了 10 名

希望の実現・解決 2 名

ひまわりを紹介 3 名

弁護士から依頼で同行 3 名

次回を希望しない 2 名

断り 3 名

理由は不明 2 名

体調不良 1 名

退院 8 名

死亡 2 名

継続 30 名

53 名

対応(複数選択あり)

ひまわりの紹介 5 名

弁護士からの同行依頼 7 名

PSWに連絡・質問・面談 16 名 医師や看護師に連絡・質問・面談 9 名 PSWが(以前より)かかわりはじめた 11 名 退院支援が具体的に始まった 7 名

退院先が決まった 1 名

2018年度 面会活動の実施状況

別紙4

(28)

2018年度 面会活動の実施状況

面会回数別面会者数(2018年3月末時点)

1回 20 名

2回 8 名

3回 5 名

4回 10 名

5回 2 名

6回 2 名

7回 1 名

8回 2 名

9回 0 名

10回 2 名

11回 0 名

12回 1 名

53 名

年度内の面会回数が1回の面会者の内訳

退院 4 名

終了 5 名

ひまわり同行1回のみ 3 名

継続 8 名

20 名

面会者が入院中の病院数 19 病院

病院所在地域別面会者のべ人数

大阪府下(北摂) 60 名

大阪府下(河内) 65 名

大阪府下(泉州) 39 名

大阪市 0 名

堺市 7 名

171 名

(29)

別紙5 訪問した医療機関に対する検討依頼事項と回答例

項目 検討していただきたいと伝えた事項 回答例

プライバシー への配慮につ いて

(1)カーテンの設置:A 病棟では、カ ーテンレールはあったがカーテンは設 置されていなかった。B 病棟の総室ゾ ーンではカーテンが設置されていない 所にベッドが置かれ、尿の入った尿器 が廊下から見えている部屋があった。

これまで訪問した病院の中でも数多く の病院が、カーテンを設置してきてい る。患者のプライバシーに配慮して個 人の尊厳を守り、患者が安心して過ご せる療養環境を提供するためにも、ベ ッド周りを全部囲うカーテンの設置に ついて検討をお願いしたい。

(2)病室の扉のスリット:C 病棟(男女 混合病棟)の女性患者から「個室のド アのガラスは透明のスリットで廊下か ら中が見える。カーテンが付いていな い。着替える時は人が通っていないか 気にしながら着替えるしかない」との 声が聞かれた。プライバシー保護の観 点から改善を検討していただきたい。

(3)患者の排泄状況一覧:D 病棟で は、詰所前の廊下にテーブルがあり、

その上にオムツが積上げられ、患者の 排泄状況をチェックする一覧が置かれ 職員がチェックしていた。テーブルが 置かれていた場所は、病棟の出入口や トイレの近くでもあり、患者や面会に 来た家族、その他来訪者も通る場所で あり、作業している側を通ると簡単に 患者の個人名が見える状況だった。職 員にとっての管理上の便利さと患者の プライバシーのどちらを優先するのか が問われる問題であり、患者が他の患

(1)A 病棟については全ベットにカー テンを設置する予定で準備を進めて おり、準備できしだい設置します。

B 病棟においてはベットの配置を再 点検し是正しました。尿器に関して は、専用のケースを準備し覆布等で 覆い、見えないような配慮をしまし た。

(2)ご意見を真摯に受け止め、隔離室 及び救急患者ゾーン以外の全個室へ のカーテン設置を行います。現在、

業者による見積もりと並行しカーテ ンレールの落下重量等の実験を行う 準備をしています。

(3)全病棟で共有いたしました。業務 を進めていく上で必要なチェックリ ストを精選し、必要なものに関して の閲覧や記入はバックヤードで行う ことを徹底いたします。

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者や来訪者等に見られたくないこと を、晒してしまっていないだろうかと 思われ、当日にお伝えしたところ、そ れらは撤去するとのことだった。早急 にご対応いただきたい。

情報提供や病 棟の療養環境 について

(1) 人権に関する相談先の一覧:人権 に関する相談先の一覧が、患者が立っ た状態でさらに見上げる高さの位置に 掲示されていた。見やすい位置に掲示 していただきたい。

(2)トイレ個室のドアノブ部分と鍵につ いて:女性トイレのトイレ個室のドア ノブにあたる部分が特殊な形のもの で、鍵をかける部分に養生テープが貼 られ、施錠できないようになってい た。また、扉も締まりきらずにトイレ 使用中に開いてしまうような状態だっ た。職員の説明によると「ドアノブが 特殊で、個室から出る方法が分からず パニックになる患者がいるためテープ を貼っている」とのことだった。ドア ノブの交換や新たなに鍵をつける等、

安心して使えるトイレとなるように検 討していただきたい。

(1)ご指摘いただいた日に掲示位置を 変更しました。他病棟に関しても点 検し修正をしました。

(2)ドアノブに関しては自殺防止等を 考慮し慎重に選定したものであるこ とも踏まえ医療安全の側面も含め今 後の対応については検討したいと思 います。養生テープの使用や扉の閉 ま り に く さ に 関 し て は 、 早 急 に 廃 止・点検修理いたします。

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PSW につい て

精神保健福祉士については、病棟毎 に担当者を顔写真付きで掲示し、周知 に努めておられたが、患者からは「30 年近く入院している。診察は週 2 回、

退院の話はない」という声が聞かれ た。本来、長期入院者には退院意欲の 促進等の退院支援のための働きかけが 重要であるが、長期入院者や具体的な 退院支援を行っていない患者にとって は、精神保健福祉士は遠い存在になっ ている可能性がある。担当者の掲示を したとしても、それが目に留まらない 患者もおり、新しい情報を伝える際に は、個別対応や配慮・工夫を検討して いただきたい。

長期入院の方々への退院促進等、

病棟担当の精神保健福祉士が病棟に 出 向 き 個 別 対 応 を 図 っ て お り ま す が、精神保健福祉士の役割について 等、分かり易く看護師からもご説明 するなど、より一層の周知向上に努 めます。

PSW の自席は、病院受付の医事課 内にあった。各病棟に「患者さん相談窓 口」という見出しの掲示があり、「患者 様のいろいろなご相談に応じるための 窓口」という説明と病棟配属の PSW5 名の名前が書かれていたが、各病棟の 担当が分からず、その掲示が格子状に 金網が入っている詰所の窓に、詰所内 か ら外に 向か って掲 示さ れてい たた め、見にくかった。PSW の業務につ いては「いろいろな相談」と抽象的に示 すだけでなく、具体的に患者が理解で きるように周知していただきたい。そ のためにも、各病棟の担当 PSW が分 かるよう、名前と顔写真も一緒に掲示 し、掲示は見やすい場所に張替えてい ただきたい。(略)

担当相談員を明確にするというこ とについては、工夫します。担当が 病棟に出向いて行ってコミュニケー ションを図りながら、より良い生活 を サ ポ ー ト で き る よ う に し て い ま す。今後もこの姿勢は継続し、気軽 に相談していただける関係を築いて いくようにします。

金銭管理につ いて

金銭を、完全に自己管理している患 者はいないとのことだった。〇病棟の 入院のしおりには、「病棟内への金銭の 持ち込みはできませんので、病院でお 預かりします」と記載されていた。ま た 、金銭 を病 棟内に 持ち 込めな いた

銭等の自己管理が難しい患者さん もトレーニングをし金銭自己管理ができる ようにサポートしていきたいと思いま す。

(1)病棟は急性期病棟で、新入院が多 く金銭の自己管理は難しい状況で

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