増加する認知症 現 在、 市 の 65歳 以 上 の 人 口 は 約 6万5千人で、これは総人口の約 23% に当たります。市内には認知症の人や そ の 疑 い の あ る 人 が 約 1 万 8 千 人 い る と 推 計 さ れ、 2 0 2 4 年 に は、 約 2万3千人に増えると予想されていま す(左ページのグラフ参照) 。 認知症は誰もがなりうる脳の障害 認知症とは、脳細胞のはたらきが低
カフェでゆったりとしたひとときを満喫。このカフェは「い
ばらきオレンジかふぇ」(6・7 ページ参照)と呼ばれ、認知症
の人やその家族、介護者などがお茶を飲みながら、楽しく話し
たり、スタッフに日常の悩みを相談したりできる場所です。今
月の特集では、認知症の人やその家族へのサポートや市内で数
を増やしているいばらきオレンジかふぇについて紹介します。
問合先 高齢者支援課☎ 620・1637
その人らしさを
みんな
でサポート !
認知症に
やさしいまち
特集
認
知
症とは
?
3 2017.3 広報いばらき 2016 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 0 (年) (人)
認知機能チェック項目
□ 一人で買い物ができない □ バスや電車などで、一人で外出できない □ 道に迷って家に帰れない時がある □ 今どこにいるか分からない時がある □ 鍵など、物の置いた場所が分からなくなる □ 電話をかけることができない □ 季節や状況に合った服を選べない □ 1 日の計画を自分で立てられない □ 薬を決まった時間に適量を飲めない □ 身だしなみを自分で整えられない □ 家の中での移動が一人でできない □ 生年月日が分からなくなることがある □ 今日が何月何日か分からない時がある □ 5 分前の話を思い出せないことがある □ 食事の準備ができない □ 一人で入浴できない □ 一人で着替えができない □ 一人でトイレができない 「もしかして」と思ったら、早めにかかりつけ の医師やチーム・オレンジいばらき(4・5 ペー ジ参照)にご相談を。市内認知症の人と
その疑いのある人の推計
2014 2012 2020 2024 下することで、生活のさまざまな場面 で支障がでてくる状態のことを言いま す。初期段階では大切なことや数分前 のことを忘れてしまう記憶障害や、理 解・判断力が低下する症状が表れ、症 状が進行すると、 睡眠障害になったり、 徘徊などの行動が現れたりします。 認知症は、誰でもかかる可能性があ り ま す。 決 し て 他 人 事 で は あ り ま せ ん。もしもの時を考えて、家族みんな で認知症についての正しい知識を学び ましょう。 早期発見・早期対応が大切 認知症の治療には、早期発見・早期 対応が最も大切です。認知症はこれと いった予防法が確立されておらず、症 状 が 完 全 に 回 復 す る こ と は あ り ま せ ん。しかし、初期段階であれば、生活 習慣を改善することで、症状の進行を 遅らせることができます。 「 自 分 は 大 丈 夫 」 と 思 わ ず に、 上 記 チ ェ ッ ク 項 目 で 確 認 し て み て く だ さ い。チェック後に「認知症かも」と思 い当たる節があれば、一人で抱え込ま ずに、直接本人からではなくても、そ の家族や周りの人でも良いので、早め にかかりつけの医師やチーム・オレン ジ い ば ら き、 地 域 包 括 支 援 セ ン タ ー (4 ・ 5ページ参照)などに相談してく ださい。ご相談いただければ治療や介 護、心のケアなど幅広い対応で身体面 と精神面をサポートします。さ
まざまなサ
ポ
ート
頼
りになる
パ
ートナー
DMSS で早期発見
市では国の認知症施策推進総合戦略の「新オレンジプラン」をもと に、認知症の早期発見・早期対応や、地域での生活を支える医療・介 護サービスなどの連携、情報共有に力を入れています。市内の取組み やその現状などについて 2人の医師に聞きました。 認知症をとりまく問題点は、全 国 的 に 認 知 症 の 専 門 医 が 少 な く、 市 内 に も 5 ・ 6 人 し か い ま せ ん。 認知症の人全てが、専門医に診断 し て も ら う こ と は 不 可 能 で し ょ う。また専門外の医師では、認知 症の診断がとても難しく、認知症 か ど う か は 判 別 で き て も、 ど う いった種類の認知症なのか、どの ような薬を処方するのが適切なの かが判断できません。 そ こ で 市 医 師 会 で は、 平 成 27年 に 全 国 で 初 め て、 認 知 症 の 専 門 医 で は な い 医 師 で も 認 知 症 の 診 断 が で き る、 ス ウ ェ ー デ ン で 開 発 さ れ た D M S S と い う ア プ リ を 導 入 し ま し た。 協 力 し て く れ る 診 療 所 に タ ブ レ ッ ト を 無 償 貸 与 し、 使 用 を 勧 め て い ま す。 こ の ア プ リ の お か げ で、 認 知 症 を 専 門 と し な い 内 科 や 整 形 外 科 な ど、 か か り つ け の 医 師 で も、 認 知 症 の 診 断 が 可 能 に な り ま し た。 現 在、 市 内 28か 所 の 診 療 所 で D M S S を 使 っ て 診 断・ 治 療 を 行 っ て い ま す( 認 知 症 診 断 医 の 一 覧 は、 市 医 師 会 ホ ー ム ペ ー ジ を 参 照 )。 今 後 も D M S S で の 診 断 が で き る 診 療 所 が 市 内 で 増 え て い け ば、 認 知 症 の 早 期 発 見・ 早 期 対 応につながっていくと思います。症状に応じて適切な対応を
チーム・オレンジいばらきとは、高齢者支援課に設置さ れたチームです。40 歳以上の市内在住の在宅者で認知症 の診断を受けていない人、医療サービスや介護サービスを 利用していない人や中断している人を対象に、専門職が家 庭を訪問し、認知症の人やその疑いのある人とその家族の 支援を行っています。 チーム・オレンジいばらきは、認知症の人 とその疑いのある人の早期発見・早期対応を 目的に、認知症の専門医である私と、保健師、 社会福祉士の 3 人がチームとなって活動して います。主な活動は、保健師と社会福祉士が 相談を受けた家庭を訪問し、本人と家族の同 意のうえで、当事者の生活状況など情報を収 集します。そして、2 人から私のもとに送ら れてきた生活状況などの情報をもとに、その 人の認知症の可能性や、認知症だとしたら症 状の重さを検討します。緊急性がある場合は、 すぐに治療ができる病院を紹介するなど迅速 に対応します。緊急性がない場合でも、2 週 間に 1 度のチーム員会議等で、今後のサポー ト方法等を決めていきます。認知症は、何も しないと症状が進行することも多く、早期発 見・早期対応につながるように活動していま す。少しでも気になることがあれば、チーム 員の保健師と社会福祉士にご相談ください(左 ページ参照)。 認知症専門医 ( 市嘱託員、藍野病院 ) 園田 薫さんチーム・オレンジいばらき
(認知症初期集中支援チーム)
中島周三さん
市医師会高齢者対策委員会委員長
(なかじま内科)
5 2017.3 広報いばらき
密な連携で優れた支援を
認知症は日常生活に支障がでて くる病気です。医療の分野だけで は、日常生活の全てを支えること は難しいです。また、認知症の人 だけではなく、その家族や介護者 も支えなくてはなりません。そこ で行政や介護など、それぞれのス ペシャリストが協力し、補い合っ ていく必要があります。 茨木では、早くから医療 ・ 介護 ・ 行政の 3者が連携し、認知症など 高齢者に関する問題に取り組んで きました。そうした積み重ねがあ り、 3者は他の市町村よりも強固 なネットワークを構築してきまし た。このネットワークによる密な 繋がりができていたおかげで、認 知症予防・連携のための「はつら つパスポート」の発行や、認知症 の状態に応じた適切なサービスの 提供の流れをまとめた「認知症ケ アパス」の市民用と専門職用の作 成、DMSSの導入など、優れた 取組みを多数行うことができ、 「茨 木市モデル」として全国的に注目 されてきました。 しかし、こうした優れた取組み も、地域に根付き、利用されなけ れば意味がありません。私が院長 を務める藍野病院では「あいの認 知 症 プ ロ ジ ェ ク ト 」 を 立 ち 上 げ、 認知症に関わっている医師、看護 師だけでなくいろいろな職の人が 集まり、市や介護事業所と連携し ながら、取組みの紹介や認知症ケ アの講座など、地域全体で認知症 ケアの向上と啓発活動に取り組ん でいます。 これらの活動を通じて、 たくさんの人を巻き込みつつ、地 域に認知症に関する知識を浸透さ せていき、正しい理解が広まるこ とを 願っています。 はつらつパスポート 地域連携手帳 ∼ みんなで連携編 ∼認知症地域支援推進員
市には認知症地域支援推進員が 2 人います。医療と介護の分 野をそれぞれが担当し、医療・介護等の支援ネットワーク構築 や、いばらきオレンジかふぇ(6・7 ページ参照)の開設の支 援など、地域の認知症への対応力の向上などに努めています。地域全体で支える
私は介護系の推進員で、その役割は大きく分けて 2 つあり ます。1 つは、地域包括支援センターに寄せられた相談や推 進員が直接受けた相談などから、認知症の人やその家族を医 療と介護に結びつける役割です。 もう 1 つは、いばらきオレンジ かふぇの開設に協力したり、時 には地域で認知症の講座などを 実施したりして、地域での認知 症への対応力を向上させる役割 です。地域全体で認知症の人や その介護者を支えていくために、 こうした取組みを地域に広めて いきたいと思っています。機会 があれば、講座などに参加して みてください。 認知症地域支援推進員 寺川真由子さん 5 2017.3 広報いばらき杉野正一さん
市医師会高齢者対策委員会委員(藍野病院)
認知症ケアパス 認知症オレンジダイヤル☎ 0120・556・806 平日、9:00 ~ 17:00 認知症地域支援推進員が対応します。 チーム・オレンジいばらき☎ 622・0655 平日、9:00 ~ 17:00地域包括支援センターでも相談できます
認知症などの高齢者の相談を受け付けています。ま た、徘徊行動のある高齢者の早期 発見と事故の防止のために、衣服 や靴等に貼り付けることができる 見守りシールを配付しています。 名称 住所 電話番号 担当小学校区 社会福祉 協議会 駅前四丁目7-55 627・0114 清溪、忍頂寺、中条、茨木、大池、中津 天兆園 安威二丁目10-11 640・3960 安威、山手台、耳原、福井 常清の里 清水一丁目28-22 641・3164 豊川、郡山、彩都西 エルダー 庄二丁目7-38 631・5200 三島、太田、庄栄、西河原、東、白川 春日丘荘 南春日丘七丁目11-48 625・6575 郡、沢池、西、穂積、畑田、春日、春日丘 葦原 真砂二丁目16-15 636・8000 玉島、玉櫛、天王、東奈良、葦原、水尾相談はこちらまで
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気軽に集える場所 いばらきオレンジかふぇ 市では認知症に関する取組みを多数 行っていますが、その一つに「いばら きオレンジかふぇ」があります。ここ は、認知症の人やその疑いのある人だ けでなく、 その家族や地域の人、 医療 ・ 介護の専門職の人なども、気軽に集ま り、交流や情報交換をすることができ ★ は 実 施 日、 と こ ろ、 費用(記載がない場合 は無料)、問合先の順で 記載しています。1
ラガールカフェ
★第 1 火曜日、午後 1 時 30 分~ 3 時、 安威12、コーヒー200円、お菓子100円、 茨木特別養護老人ホーム☎ 648・1500 3 月 7 日にオープンします。元気!いば らき体操などレクリエーションを行いま す。飲み物やお菓子は持込みもできます。2
いっぷく
認知症カフェ
★不定期、西福井四丁目 4-22、認知症 対応型通所介護いっぷく☎ 643・5181 お茶会バザーや駄菓子屋などを実施し ています。4
かふぇリーラ
★不定期、見付山一丁目 11-18、コーヒー 100 円、ケーキ付コーヒー 300 円、小 規模多機能センターはぎ☎ 631・8031 認知症の講座や茶話会などを実施して います。6
いこいのカフェ
★毎月第 2 木曜日(祝日の場合は第1 木曜日、8 月、12 月は休み)、主原町 6-1、市社会福祉協議会☎ 627・0033 全スタッフが認知症の介護経験者で、 安心して相談できます。また、大正琴 の演奏に合わせて合唱を行っています。5
アピスパーク
★月末の水曜日、西駅前町 13-25、NPO 法 人 ボ ラ ン テ ィ ア ネ ッ ト コ ル ☎ 620・ 0909 お菓子やお茶が振舞われ、ハンドマッサー ジやスタッフによるマジックも行っていま す。3
子民家よってこ
★木曜日、午後 1 時~ 4 時、耳原三丁目 6、 100 円、市社会福祉 協議会☎ 627・0033 古民家を改修してつ くられたカフェ。座 敷席があり、ゆった りとくつろげます。いばらき
オレンジ
かふぇ
み
んなで
集
まろう
いばらきオレンジかふぇ
運営団体募集
いばらきオレンジかふぇを 運営したい、または同様の活動 をしている団体は、高齢者支援 課までご連絡ください。7 2017.3 広報いばらき