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橋台と橋脚をダンパー材で連結した耐震補強対策

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Academic year: 2022

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図-3  現橋照査 A1−P1 構造系 

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(   1 0 0 k N   ) ダ ン パ ー 鋼 製 ブ ラ ケ ッ ト

橋台と橋脚をダンパー材で連結した耐震補強対策

中央コンサルタンツ(株)福岡支店  ○正会員 杣辰雄  正会員 田中智行  正会員 愛敬圭二  正会員 岩根英義   

1.はじめに 

  現在、既設橋脚の耐震補強として橋脚の耐力およびじん性を向上させる工法、変位を制御する方法、水平力分 散支承や免震支承設置により橋脚の地震力を低減させる等の耐震補強工法が検討および実施されている。耐震補 強工事については、現地の状況により仮設費(締切り工、桟橋等)が嵩み、耐震補強費を増大させる場合もある。 

  このような状況を踏まえ仮設費が低減でき、かつ従来の耐震補強以外の工法として、既設橋台と既設橋脚間を 制震ダンパー材で連結させた耐震補強対策について概要を示す。 

2.現橋の概要 

  図-1 に示す橋梁は、昭和 45 年竣工、橋長 33m(支間割 5.65m+26.2m)、幅員 24.8m(上下線)、橋脚はRC ラーメン式(2柱)、上部構造形式は鋼桁である。耐震補強対象として既設橋脚が現在の耐震レベル(道路橋示方 書Ⅴ耐震設計編 2002.3)を満足していないため、耐震補強対策が必要になった。耐震補強検討を行うにあたり、

既設橋脚が鉄道に近接していることや、A1 橋台側に接近していることによりオープン掘削が困難である。したが って橋脚補強に対しては、鋼矢板による締切り 

工法か他の工法を検討する必要性が生じた。 

検討後、経済性、耐震性、施工性に優れ  た橋台と橋脚をダンパー材で連結させた耐  震補強工法にて設計および施工を実施した。 

3.現橋の耐震検討      図-1 側面図 

  現橋の耐震検討は、P1 構造系および A1-P1 構造系による検討を行った。照査項目は、橋軸方向、橋軸直角方向 に対して応答塑性率、応答回転角(橋脚基部)、残留変位、応答せん断力である。検討結果は、橋軸直角方向は、

全て許容値を満足したが、橋軸方向に対して  最大応答塑性率および橋脚基部の最大応答回  転角が許容値を満足しない。各構造系のモデ  ル化については、図-2 および図-3 に示す。 

4.現橋の耐震補強 

  現橋が橋軸方向において満足しないた  め A1 橋台と P1 橋脚を減衰の期待できる  ダンパー材で連結(図-4)し、地震のエネ  ルギーをある程度集中させ、既設橋脚の地  震応答値の低減を図った。モデルは図-5 に示す。 

                 

図-2  現橋照査 P1 構造系 

図-4  補強対策(ダンパー材設置)  図-5  補強後 A1−P1 構造系  ダンパー材

I-072 土木学会西部支部研究発表会 (2005.3)

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5.補強後の解析結果 

  解析結果についてはタイプⅡ(3波平均値)の結果を表-1 に示す。但し、(  )内は補強前の最大応答値を示す。 

表-1 橋軸方向の応答値 

   

   

表-1 に示すようにダンパー設置後(詳細図は図-6 に示す)、既設橋脚は、最大応答塑性率および橋脚基部の最 大応答回転角は許容値を満足した。なお、図-5 に示す補強後 A1−P1 構造系に対して、橋台部の背面土圧による影 響を考慮した解析も行い、その結果、既設橋台および既設橋脚について許容値を満足した。 

  ダンパー材は履歴応答図の図-7 に示すように地震エネルギーを確実に集中していることを確認ができた。 

ダンパー材の履歴は、図-8 に示すように設置箇所4カ所の 性能保証は確認済みである(設計は少し余裕を持たせた)。 

6.まとめ 

  今回、橋脚補強を実施した結果以下のことがいえる。 

1)既設橋脚の耐震補強を行う場合、現場の状況によるが、

従来の工法と比べて、本工法は経済性、耐震性、施工性に 優れた工法である。 

2)ダンパー材を設置した結果、地震エネルギーをダンパ ー材に吸収させることにより、表-1 に示すように既設橋脚 の応答値の低減が図られた。 

3)今回は橋軸方向のみの補強効果を図ったが、橋軸直角方向 にも耐震効果を期待する場合は、ダンパー材をクロス配置によ りその機能は発揮できる。 

4)ダンパー材に将来損傷が発生した場合や耐久性低下が生じ てもその取替えが可能である。 

5)今回の補強工法は、比較的支間の短い橋梁には十分効果が 期待できる。また、河川橋や今回のような跨線橋において仮設 費等が嵩む場合、その適用性に優れる。 

6)この工法のみで補強効果の期待が少ない場合は、他の耐震 補強工法を併用すれば合理的な補強工法となると思われる。 

7)この工法は、基礎工に対する影響がほとんどないため(今 回の場合は、かなり低減された)基礎工の補強を必要としない。 

8)今後の課題としてダンパー材の耐久性の確認が必要である。 

写真-1 はダンパー材の補強設置状況を示す。 

【参考文献】 

・(社)日本道路協会;道路橋示方書Ⅴ耐震設計編,2002.3 

・耐震ダンパ−検査記録表,2004.6 

タイプⅡ  単位  最大応答値  許容値  最大応答塑性率  −  1.03(2.41)  2.05 

残留変位  m  0.001(0.034)  0.085  最大応答回転角  1/m  1.80E-03(8.58E-03) 7.28E-03  最大応答せん断力  KN  473(735)  1095  ダンパーの最大変位  ㎜  34  100 

A1-P1構造系 ダンパー履歴図

-120 -100 -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 100 120

-60 -40 -20 0 20 40 60

変位(mm)

抗力(kN)

図-7  ダンパー履歴図 

図-8  ダンパー性能保証図 

写真-1  ダンパー材の設置状況(4 箇所)

図-6  ダンパー詳細図 

I-072 土木学会西部支部研究発表会 (2005.3)

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参照

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