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中空断面橋脚の耐震性能に関する実験的検討

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Academic year: 2022

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(1)

RC 中空断面橋脚の耐震性能に関する実験的検討

1.はじめに 

  平成 24 年の道路橋示方書の改定により

リート橋脚の地震時保有水平耐力及び許容塑性率の 算出方法が見直されたが,その適用範囲は充実断面 の鉄筋コンクリート橋脚とされている.また,

断面を有する鉄筋コンクリート橋脚(以下,

断面橋脚という)について,塑性変形能が確実に発 揮できるような形状及び配筋についての

新たに規定されている.そこで本稿では

以前の基準に基づいて設計・施工された高速道路の RC 中空断面橋脚について載荷実験を行い,その耐震 性能の検証を行うとともに,H24 道示の規定

について検討を行った. 

2.実験概要 

  実験は,既設の RC 中空断面橋脚を模した 尺の供試体に対し正負交番繰返し載荷

供試体は図-1に示す寸法とし,No.1 を標準供試体と して,まず軸方向鉄筋比と軸応力を変化させた

(No.2,No.3)を設定した.さらに H24

された構造細目に着目し,中間帯鉄筋のフック形 の配置を鋭角フックと直角フックで千鳥配置とした 1 体(No.4)と内空基部を高流動コンクリート及び軽 量モルタルで充填し充実断面とした 2

を加えた合計 6 体について実験を行った

の諸元を表-1に示す.また,実験時のコンクリート 圧縮強度は 32〜40N/mm2,弾性係数は

の範囲であった.充填材料の高流動コンクリート,

軽量モルタルの圧縮強度はそれぞ れ 2.6N/mm2であった. 

載荷時に与える水平変位については

求めた初降伏荷重(最外縁の軸方向鉄筋が初めて降 伏する時の水平力)に達した時の水平変位と計算上 の降伏水平耐力から算出される降伏

倍の水平変位とし,各ステップで同じ水平変位を 回ずつ繰り返す漸増載荷を行った.

  キーワード  RC 中空断面橋脚,正負交番繰返し載荷   連絡先      〒194-8508 東京都町田市忠生

中空断面橋脚の耐震性能に関する実験的検討

(株)高速道路総合技術研究所

(株)高速道路総合技術研究所

年の道路橋示方書の改定により鉄筋コンク リート橋脚の地震時保有水平耐力及び許容塑性率の たが,その適用範囲は充実断面 の鉄筋コンクリート橋脚とされている.また,中空 断面を有する鉄筋コンクリート橋脚(以下,RC 中空 断面橋脚という)について,塑性変形能が確実に発 形状及び配筋についての構造細目が れている.そこで本稿では,平成 24 年 の基準に基づいて設計・施工された高速道路の 載荷実験を行い,その耐震 道示の規定の適用性

中空断面橋脚を模した約 1/6 縮 繰返し載荷を実施した.

を標準供試体と 軸方向鉄筋比と軸応力を変化させた 2 体 H24 道示で規定 中間帯鉄筋のフック形状 の配置を鋭角フックと直角フックで千鳥配置とした 高流動コンクリート及び軽 2 体(No.5,No.6)

体について実験を行った.各供試体 また,実験時のコンクリート

,弾性係数は 27〜32kN/mm2 充填材料の高流動コンクリート,

軽量モルタルの圧縮強度はそれぞ れ 34.5N/mm2

は,計算により 向鉄筋が初めて降 伏する時の水平力)に達した時の水平変位と計算上 降伏変位δyの整数 とし,各ステップで同じ水平変位を 3

3.実験結果及び考察 

(1) 荷重−変位関係と損傷状況 図-2に供試体 No.2 と供試体 変位関係を示す.両供試体 は同程度であるが,No.2 は 大幅な低下が見られたのに対し,

耐力を保持し 6δyにおいて となった.載荷時の損傷状況

δyにおいて外側軸方向鉄筋の座屈及び コンクリートの剥落が生じ,

側軸方向鉄筋の座屈及び内面かぶりコンクリートの 剥落が生じている.このことから,内面かぶりコン 正負交番繰返し載荷,終局変位塑性率  

東京都町田市忠生

1-4-1

(株)高速道路総合技術研究所

図-1  実験供試体の概要 表-1  供試体の諸元

1 2

119 197

2.9 4.5

外側 35 23 内側 35 23

2.8 4.1

外側 内側

※中立軸位置は供試体断面の外縁からの長さを表す 供試体No.

鉄筋径(mm)

鉄筋比(%) せん断スパン比

軸応力(N/mm2) 種別 中立軸位置(mm)

鋭角 直角 軸方向

鉄筋 間隔(mm)

内空基部充填材料 充填なし

横拘束 鉄筋

フック形状 鉄筋径(mm)

間隔(mm) 体積比(%)

種別

正会員  ○高原  良太 正会員    青木  圭一

荷重−変位関係と損傷状況

と供試体 No.5 の水平荷重-水平 供試体ともに水平荷重の最大値 は変位 5δyにおいて耐力の 大幅な低下が見られたのに対し,No.5 は 5δyまでは において大幅な低下が生じる結果 載荷時の損傷状況については,No.2 は 4 外側軸方向鉄筋の座屈及び外面かぶり コンクリートの剥落が生じ,その後 5δyにおいて内 側軸方向鉄筋の座屈及び内面かぶりコンクリートの 剥落が生じている.このことから,内面かぶりコン

(株)高速道路総合技術研究所

TEL 042-791-1625

実験供試体の概要

供試体の諸元

3 4 5 6

96 179 169 166

2.9 4.5 4.5 4.5

60 35 23 23

60 35 23 23

1.7 4.1 4.1 4.1

高流動con 軽量モルタル

※中立軸位置は供試体断面の外縁からの長さを表す

鋭角 直角 充填なし

4.4

SD345 D10

SD345 D6 45 1.8

鋭角,直角 千鳥配置

土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

‑235‑

Ⅰ‑118

(2)

クリートの剥落の発生が耐力の大幅な低下につなが ることが明らかとなった.この損傷過程は No.1 にお いても同様であったが,軸方向鉄筋比の低い No.3 は 耐力の低下が生じても内面のはらみ出しは発生しな かった.No.3 は断面中立軸の位置が唯一内側軸方向 鉄筋位置よりも外側となっており,中立軸の位置が 内面損傷の発生に影響していると考えられる.一方 No.5 は,4δyにおいて外側軸方向鉄筋の座屈及び外 面かぶりコンクリートの剥落が生じる状況は No.2 と 同様であったが,5δyにおいても内面の変状が生じ ることはなく,6δyにおいて外側軸方向鉄筋の破断 が生じ耐力の低下に至った.この損傷過程は No.6 に おいても同様であった.これより,内空基部を充実 断面とすることにより,内面の損傷発生を抑制する ことができ,結果として変形性能の向上につながる ことも明らかとなった.No.2 の終局後の損傷状況を 写真-1に示す. 

(2) 終局変位塑性率 

図-3に軸方向鉄筋比と終局変位塑性率μδuの関係 を示す.μδuは,繰返し 1 回目の最大荷重が計算耐 力以上であり,かつ,繰返し 3 回目の最大荷重が 1 回目の 85%以上であるという条件を満たす最大の変 位のδyに対する倍率を表している.μδuは,軸方向 鉄筋比が増加するとともに低下する傾向となった.

なお,内空基部を充填した No.5,No.6 は充填してい ない No.2 に比べμδuが高い値となっており,内空基 部の充填によりじん性が向上していることが分かる.

また,中間帯鉄筋のフック形状の配置を千鳥配置と した No.4 は外側をすべて鋭角フックとした No.2 と 比較してもμδuの値は変わらず,フック形状の配置 がじん性に及ぼす影響は顕著には表れなかった. 

4.まとめ 

  既設の RC 中空断面橋脚を模した供試体についての 正負交番繰返し載荷実験の結果から以下のことが明 らかとなった. 

(1) RC 中空断面橋脚は変形が進むと,まず外面の損 傷が生じた後に内面の損傷が生じ,水平耐力の大幅 な低下に至るが,断面中立軸の位置により内面の損 傷状況は異なる. 

(2) 軸方向鉄筋比が高いほど断面中立軸は内空側に 位置し,終局変位塑性率μδuは低くなっていくが,

内空基部を充填し充実断面とすることで内面の損傷 が抑制されじん性は向上する.  

参考文献 

1)湯川保之,緒方辰男,須田久美子,斉藤宗:中空 断面鉄筋コンクリート高橋脚の耐震性能,土木学会 論文集,No.613/V-42,pp.103-120,1999.2 

No.2 No.1

No.4 No.3

No.5 No.6

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

1 2 3 4

終局変位塑性率du

軸方向鉄筋比(%)

じん性の向上

図-2  水平荷重−水平変位の関係 

写真-1  供試体 No.2 の損傷状況  (a)外面の損傷  (b)内面の損傷 

-1000

-800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 1000

-200 -100 0 100 200

水平荷重(kN)

水平変位(mm)

供試体No.2

-1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 1000

-200 -100 0 100 200

水平荷重(kN)

水平変位(mm)

供試体No.5

図-3  軸方向鉄筋比と終局変位塑性 土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

‑236‑

Ⅰ‑118

参照

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