176 (64) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
オオ モリ ナオ フミ大森尚文(昭和1
医学博士 乙第1142号平成2年12月21日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)
右半結腸憩室群発症例の検討 (主査)教授 羽生富士夫 (副査)教授 浜野 恭一,内田 幸男論 文 内 容 の 要 旨
研究目的 結腸憩室は欧米では主に左側結腸の群発性仮性憩室 であり,本邦では主に右側結腸の孤立性真性憩室であ るとされてきた.しかし本邦においても最近右側結腸 群発例が多くみられるようになった.同じ右側結腸憩 室でも,群発例と孤立例では発生原因も病態も異なる 可能性があり,この点を明らかにするため,右側結腸 群発例の病態を,右側結腸孤立例,左側結腸群発例の 病態と比較検討した. 対象および方法 1967年12月より1984年12月置に東京女子医科大学消 化器病センターにおいて注腸X線検査で結腸憩室症 と診断された1,254例のうち右側結腸群発例227例を対 象とし,年次別部位別発生頻度,臨床症状,血液生化 学検査所見,手術適応,病理学的所見について右側結 腸孤立例689例および左側結腸群発例144例と比較検討 した. 結果 (1)発生頻度:結腸憩室症の発生頻度は1967年12月 ~1971年8月は全注腸X線検査施行例の6.6%であっ たが,1982年1月~1984年12月は11.0%と増加した. このうち右側孤立例は55%,右側群発例は18%左側群 発例は11%であった. (2)臨床症状:右側孤立例は種々の腹部症状を訴え たのに対し,右側群発例は腹痛44%,下痢34%が主で, 左側群発例と類似の症状を呈した.病悩期間は右側孤 立例の64%が3ヵ月以内であるのに対し,右側群発例, 左側群発例は6ヵ月を越えるものが夫々62%,57%で あった.排便習慣は,右側孤立例の多くが一日1~2 回普通便~軟便であったのに対し右側群発例,左側群 発例は一日3~5回下痢~軟便であった. (3)血液生化学検査:右側孤立例では白血球数増多 を示す症例は5%であったが,右側群発例,左側群発 例では19%,39%であった.中性脂肪値は右側孤立例 は平均102mg/dlであったが,右側群発例は平均171 mg/dlで,左側群発例は平均176mg/dlであった. (4)手術症例:手術を要した症例は右側孤立例では 0.3%であったが右側群発例では4。4%,左側群発例で は8.3%であった. (5)病理組織:切除標本の病理所見で,右側孤立例 は真性憩室であったのに対し,右側群発例,左側群発 例は共に仮性憩室であった. 総括並びに結語 1.結腸憩室症のうち右側群発例が増加し左側群発 例と同程度に見られた. 2.臨床症状,病悩期間から見て右側孤立例は,右側 群発例,左側群発例とは異なる病像を呈した. 3.右側孤立例より左右群発例は白血球増多,高脂血 症が著しかった. 4.手術適応例は右側孤立例より左右群発例で高率 であった. 5.右側孤立例は真性憩室で,左右群発例は仮性憩室 であった. 以上より右側群発例は右側孤立例とは異なり,左側 群発例と同じ発生原因,病態であり,右側結腸憩室群 発例の治療方針は左側結腸憩室群発例の治療方針と同 一786一177 様でなければならないと結論づけられた.