ユ2
(6)
氏名(生年月日)
本 籍
学位の種類
学位授与番号
攣位授与の日付 攣位授与の要件学位論文題目 論文審査委員
依田雄弘(昭和1
ヨ ダ タ.ケ ヒロ医学博士
甲第27一号
昭和41年4月15日
学位規則第5条第1項該当(医学研究科口腔外科学専攻,博士課程修了者)
口腔侵襲の末梢脈波に及ぼす影響 (主査)教授 村瀬 正雄
(副査)教授 渡辺 宏助,教授 岩本彦之下
弓 文 内 容 の 要 旨
研究目的:著者は,種女なる口腔侵襲が末梢循環に対 1/ていかなる影響iを与えるかを,photoelectric plethys-
mographを用いて観察研究し,第1報には歯牙電気刺激 による基礎的問題を,第2報には口腔夕卜科手術の際の頭 都,および指導部脈波についての観察結果を報告した.
第1報,歯牙電気刺激時の側頭部脈波,および指尖部 脈波の変動について.
実験方法:被験者は東京女子医科大学職員で,18~36 才の健康人20人を対象とした.
装置および実験方法は,光電脈波計,ならびに呼吸測 定用ZnSO,入りゴムバンドを用い,ロ腔侵襲の末梢循
:環に及ぼす影響をみるため,健康歯牙を3-msecの矩形 波単発刺激により閾値を測定し,その2倍の電圧で,30
サイクル,2秒間の電気刺激による影響を側頭部,およ び指尖三三波,呼吸の変動により観察した.
実験成績:頭部および指尖部における脈波の変化は,
.刺激前20秒間の脈波波高の平均値と,刺激後A)3~10 秒目B)13~20秒, C)23~30秒の3区間の平均値を比 較したところ,側頭部では13~20秒に増加の,また指尖 部では3~10秒,23~30秒に減少の有意性ある変化がみ
られた.
同様の方法で脈波持続時間の変化をみると,刺激後に 三間の延長,短縮に有意の変化がみられなかった.
側頭部,指尖三三波波高の増減の組合わせにより次の 念種の型を分類する事ができた.
A)型,側頭部増加,指尖部減少 B)型,側頭部,指尖部共に減少
C)型,側頭部,半解三共に増加
A)型は14例中6例で最:も多く,B)型は5例であっ た.このように交感神経刺激様パターンが刺激直後にあ らわれ,頭部皮下血行と末梢指尖部血行とは相関がある ことがわかった.しかし,数秒の刺激でも被刺激性,お よび非特殊的反応性は個体で異なる.ため,定位,順応,
防禦の各反射もあらわれた.
刺激による基線の動揺は,次の4型にわけることがで
きた.
1)刺激後直ちに下降,次に上昇し暫次回復 2)刺激後直ちに上昇,次に下降し暫次回復 3)刺激後直ちに下降,そのまま回復 4)無変化
1)型は指尖部で15例中6例にみられ,また2)型は側頭 部で15例中6例にみられ,他の型は少なかった.
呼吸の変動は刺激した時期 1)呼気相
2) 吸気相 3) 呼気相の終り 4) 吸:気相の終り
5)休止期
等種々であったのでその変化も延長,短縮各相が浅く,
または深く等種々であった
第2報,外来患者の抜歯時,入院患者の口腔外科手術 時の末梢循環(頭部脈波と指尖部脈波)の変動 実験方法:被験者は,口腔タト科学教室をおとずれた患
者で,身体的著患のないもの25名を選んだ.対象とした
“308 一
13
手術は,1)外来におけるものは抜歯手術,2)入院を 要したものは,歯性上顎洞炎根治手術,濾胞性歯牙嚢胞 摘出手術である.入院例にはpremedicationを行なっ
た.
脈波の誘導は,頭部は耳垂より,指尖は第2指先端よ り,外来例は歯科治療椅子に座し,入院例は手術台に仰 臥した姿勢で誘導した.
手術中の脈波の測定時期は,安静時から,手術終了ま で,外来例は6期,入院例は7期にわけ行なった.
実験成績:手術における最初の荊激である局所麻酔時 における変化では,耳垂部脈波波高は,外来例で19例中 9例増加,引例無変化,3例減少,入院例は,6例中3 例増加,3例無変化,指尖部脈波波高は,外来例で18例 中17例が減少,!血肉変化,入院例は5例中3例減少,
2例無変化,持続時間の変化では,タト式例で,19例中10 例延長7例無変化,2例短縮,入院例では6例中3例延 長,2例無変化, !例短縮である.手術経逼にともな い,波高の変化ならびに持続時間の変化はあらわれにく
くなり,手術の終りちかくでは,外来例に指尖部波高の 増加例があらわれてくるが,入院例では耳垂部,指尖部 波高共に減少し増加例は認められない.
手術中にいわゆる脳貧血を伴なった例が4例あった が,その時の脈波波高の変化は、耳垂部では増加,指尖 部では減少を示した.特にタト来2例には著明にあらわ
れ,持続時間は共に著明に延長した.
術後16例にAschner’s testを行なった結果, (十)の 例は3例あり,脈波波高の分類ではA)型とC)型であ
り,脳貧血を起こした例はAschrer’s testでは正常であ
った.
脈波の分類では,外来例の局麻時にA)型が18例中9・
例認められ,持続時間の変化では,9例中7例が延長を 示している.他はB)型で18例中3例,持続時問は無変 化である.
他の時期ならびに入院例では種々なろ型(A,B,C)が みられた.
結論:
1)本法による血行動態の管理が有効なる手段である 事がわかった.
2) 手術経過にともない波高ならびに持続時間の変化.
はしだいにあらわれにくくなる.
3)一般的に手指尖部と頭部表層血管との間には逆相 関的血行の動きがみられ(特に刺痛時),脳貧血を起こ/、
た例では更に頭部の内夕トにおいても逆相関が考えられ
る.
の 手術的侵襲に対しては,入院その他にみられる仰 臥位が刺激に対する反応として,より安定した状態の姿 勢であると考えられる.
論文審査の要旨
口腔侵襲の身体に及ぼす影響についての報告は種々あるが,循環動態の変化については未だ明らかでな い.著者は,photoelectric plethysrnographを用い末梢循環の変化を観察した.
第1報においては,歯牙電気刺激により脈波波高は,頭部,指尖部波高の変化によりA)頭部増加,指 尖部減少,B)頭部,指顧部共に減少, C)頭部,指尖三共に増加の3種の型を認めた.第2報において
は,手術の初期における波高の変化は,頭部は増加,指尖は減少で,持続時間は延長する型が多くみられ た.脳貧1血の際の変化は,頭部波高は増加,指尖部波高は減少,持続時間は延長を示した,以上を総括すると,本法による血行動態の管理は有効な手段であり,一般的に手指尖部と頭部表層との 間には,逆相関的血行のはたらきがみられ,脳貧血の際には更に頭部の内外においても逆相関が考えられ る.以上は従来の報告において,未開の分野の研究であり,学問上,また臨床上にその価値を高く評価す るもので,学位に値する研究である.
主論文公表誌
口腔侵襲の末梢脈波に及ぼす影響.
第1報,歯牙電気刺激時の側頭部脈波及び面面血脈波 の変動について.
za 9報,外来患者の抜歯時,入院患者の口腔外科侵襲
時の末梢循環(頭部脈波と指尖部脈波)の変動.
口腔外科学会雑誌 第11巻第3号113~140 (昭和40年12月1日)
参考論文公表誌
1) 東京女子医科大学口腔外科における最近5年間の 一309一
14
顎骨骨体骨折について.
口腔外科会誌 8(2)142~144(昭37年7月)
2)原因不明の慢性下顎骨骨髄炎による下顎骨全摘の 1例.
東女医大誌 33(5)195~201(昭38年5月)
3) 口腔外科領域におけるSpiramycinの治療効果.
東女医大誌 33(6)241~245(昭38年6月)
4)強度な顔貌の変形を伴った下顎関節頭のHyper-
ostosisの1例.
口腔外科会誌 10(3)261~265(昭39年12月)
5) 口腔外科領域におけるKimopsin錠の臨床成
績.
iコ腔外科会誌 10(3)288~291(昭39年12月)
一310一