90 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(9) ス ダ エ ミ コ須田恵美子(昭和1
医学博士 乙第718号昭和60年4月19日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者) パーキンソニズムと痴呆の研究第1編 臨床症状の分析
第2編 形態学的背景
(主査)教授 丸山 勝一 (副査)教授 梶田 昭,教授 重田 笹子論 文 内 容 の 要 旨
研究目的 近年特発性パーキンソニズムに痴呆を伴う症例の存 在することが注目されてきた,しかし臨床的には特発 性パーキンソニズムと血管性パーキンソニズムを区別 することはかならずしも容易ではなく,また痴呆の頻 度には報告者によって,20~80%の開きがある。本研 究の目的は2,700例の連続剖検例から特発性パーキン ソニズムと血管性パーキソソニズムとを抽出し,痴呆 の頻度,臨床症状および病理所見について検討し,両 群での異同を明らかにすることにある. 研究対象ならびに方法 東京都養育院付属病院における過去10年7ヵ月間の 剖検2,700例より,67例の特発性パーキンソニズムと60 例の血管性パーキソソニズムを抽出し,それぞれ痴呆 (+)群と痴呆(一)群に分け,臨床症状と病理所見を 対比検討した.さらに特発性パーキンソニズム13例に ついては,大脳皮質のLewy小体,老人斑, Alzheimer 神経原線維変化を半定量的に検索した. 結果及び考察 1)痴呆の頻度は特発性パーキンソニズム67例中41 例(61.2%),血管性パーキンソニズム60例中34例 (56.7%)で,痴呆の頻度に両三で有意差はなかった. 2)特発性パーキソソニズムでは,高年齢になるにつ れて,痴呆の頻度は高くなるが,血管性パーキンソニ ズムでは,年齢と痴呆の頻度に関連はなかった. 3)パーキンソニズムの3徴候の出現は特発性パー キソソニズムの痴呆(十)群で29%,痴呆(一)群で 68%に認められ,3徴候の出現率は痴呆(十)群では 痴呆(一)群に比し,有意に(p<0.01)低かった.血 管性パーキンソニズムは痴呆(十)群で39%,痴呆(一) 群で43%にみられ有意差はなかった. 4)平均脳重量は特発性パーキンソニズムの痴呆 (十)群で1,236.5±146.1g,痴呆(一)群で1,295.0± 136.6g,血管性パーキンソニズムの痴呆(十)群で 1,217.4±126.7g,痴呆(一)群で1,235.8±152。6gで あり,平群とも痴呆(+)群は痴呆(一)群に比し, 脳重量は軽い傾向がみられたが,有意差はなかった. 5)特発性パーキソソニズム13例の大脳皮質の検索 では,痴呆を有する例は老人斑,Alzheimer神経原線 維変化の出現が高度であり,大脳皮質型Lewy小体の 出現も高頻度であった. 結語 多数例の老年者剖検例ではパーキンソニズムを呈す る症例は少なくなく,特発性,血管性ともに痴呆を有 する比率は高い.特発性パーキソソニズムの痴呆を有 する例では組織学的に老人斑,Alzheimer神経原線維 変化の出現が高度で痴呆の発現と関連があると考えら れるが,そのほか大脳皮質型Lewy小体の存在も,重 要な意義を有するものと推測される, 一712一91
論 文 審 査 の 要 旨
本論文は,特発性パーキンソンニズムおよび血管性パーキソソニズムの両群において,臨床症候, 特に痴呆について,その頻度や他の症候との関連性を追究するため,多数例の剖検例によって臨床病 理学的検討を行ない,痴呆は血管性パーキンソニズムで有意に頻度が高く,また,脳の血管性病変, その他アルツハイマー神経原線維変化などの存在に高い相関が有ることを明らかにしたもので,学術 的に価値ある論文である. 主論文公表誌 パーキンソニズムと痴呆の研究 第1編 臨床症状の分析 東京女子医科大学雑誌 第54巻 第10号 1047~1055頁 パーキンソニズムと痴呆の研究 第2編 形態学的背景 東京女子医科大学雑誌 第54巻 第10号 1056~1064頁(昭和59年10月25日発行) 副論文公表誌 1)老年者におけるoral dyskinesia 最新医学 29(2)290~298(1974) 2)脳幹部梗塞におけるLolked-in syndromeと意 識障害の臨床病理学的検討 日干千三 11(6)402~407(1974) 3)再生不良性貧血の蛋白同化ステロイド反応例に おけるErythropoietin-Responsive cell (ERC)およびErythropoietinの変化 ホルモンと臨床 25(12)1363~1369(1977) 4)脳のアミロイド・アンギオパチーにおける臨床 症状の検討Annual Report of the Ministry of Health
and welfare Amyloid Neuropathy Resench
Committee, Japan,179~186(1980) 5)痴呆患者の診断一痴呆症例の神経学所見一 神経内科 14(3)216~221(1981) 6)Parkinson病と痴呆 現代医療 14673~681(1982) 一713一