146 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(60) モリ マサ キ(昭和33
博士(医学) 乙第1224号平成3年11月15日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
大腸癌に対する術前OK・432腫瘍内投与の免疫学的意義に関する検討 (主査)教授 羽生富士夫 (副査)教授 内山 竹彦,串田つゆ香論 文 内 容 の 要 旨
目的 悪性腫瘍に対する免疫療法として,腫瘍内への免疫 賦活剤局所投与が近年行われているが,大腸癌につい てその意義や効果を明確にした報告は少ない.そこで, 大腸癌患者に免疫賦活剤OK-432を術前経内視鏡的に 腫瘍内投与し,この投与の免疫学的意義について,所 属,遠隔リンパ節の抗腫瘍性免疫能および全身的な細 胞性免疫能から検討してみた. 対象および方法 当科で手術された大腸癌のうち,溶連菌製剤OK- 432を手術7日前に10KE腫瘍内投与した14症例およ び非投与の11例を用い,以下の2点について検討した, 1)リンパ節の抗腫瘍性免疫能 術中に摘出した所属および遠隔リンパ節よりリンパ 節リンパ球を採取し,natural killer(NK)細胞活性, lymphokine activated killer(LAK)細胞活性, OK- 432act量vated killer(OKAK)細胞活性など,その細 胞障害活性を測定して検討した. 2)全身的な細胞性免疫能 腫瘍内投与前,術当日,術後1週間に末梢血リンパ 球を採取し,リンパ球数,リンパ球PHA幼若化反応, Tcell subsetsなどを測定した.そして,投与前から 術前後にわたる変動を検索した. 成績および結論 1)OK・432腫瘍内投与により,所属リンパ節リンパ 球のK-562細胞に対する細胞障害活性(NK細胞活性) は増強する. 2)OK-432腫瘍内投与の有無にかかわらず,所属,遠隔リンパ節リンパ球からLAK細胞およびOKAK細
胞は誘導できる. 3)こうして誘導された所属リンパ節しAK細胞の K-562細胞,Daudi細胞に対する細胞障害活性(LAK 細胞活性)は,OK・432腫瘍内投与により増強する.4)同様に,所属リンパ節OKAK細胞のK-562細
胞,Daudi細胞に対する細胞障害活性(OKAK細胞活 性)も,OK-432腫瘍内投与により増強する. 5)OK-432腫瘍内投与により,末梢血リンパ球数は 増加,PHA幼若化反応は上昇し,その術後低下を防止 しうる. 6)OK-432腫瘍内投与により,末梢血リンパ球T cell subsetsのうち, CD4+(helper/inducer T)上ヒは 術後上昇する. 以上の成績から,術前OK-432腫瘍内投与の免疫学 的意義として,所属リンパ節の抗腫瘍性免疫能増強作 用,.術後の全身的な細胞性免疫能の低下防止作用など .が考えられる.これらは大腸癌の様々な形式の再発防 止に有用であろうし,また症例によってはリンパ節郭 清の範囲を縮小させる有効な手段ともなりうる.本投 与法は,大腸癌に対する術前補助療法として臨床的に も有用な治療法であると思われる. 一750一147