180 (74) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ハヤ ノ チ エ早野千恵(昭和36
博士(医学) 乙第1420号平成6年1月21日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
大動脈解離の高速らせんCT一腹部大動脈身枝についての検討一
(主査)教授重田 織子
(副査)教授小柳 仁,林 直諒
恕 文 内 容 の 要 旨
目的 現在,CTは大動脈解離の存在診断の第一選択であ るが,大動脈弁逆流および主要分枝の罹患診断には不 充分である.高速らせんCTはX線管球を連続的に回 転させながら,寝台を体軸方向に移動させて撮影する 方法で,短時間に連続したデータを得ることができ, 従来のCTに比べ,主要分枝に関する診断能の向上が 期待される.本研究では腹部大動脈に解離がおよぶ症 例に対し高速らせんCTを行い,主要分枝の同定を中 心に検討した. 対象および方法 対象は慢性大動脈解離17例で,うち13例には高速ら せんCT施行以前に通常のCTが行われていた.また 対照として大動脈解離のない12症例に対して高速らせ んCTを行った.連続回転型CT装置を用い,水溶性 ヨード造影剤70mlを静脈内に注入し,注入開始30秒後 および約1分後に寝台移動速度2cm/秒で腹部大動脈 全長を2回スキャンした.画像は1cm厚で再構成し, 真腔および偽腔の造影効果の経時的変化,主要分枝起 始部の同定を行った. 結果 偽腔の開存している16例中14例で真腔と偽腔の造影 効果に時間差があった.2回目のスキャンでは全例で 真腔,四三とも造影されていた.主要分枝の起始部は 2例で下腸間膜動脈が不明であったほかはすべての分 枝が正しく判定された.13例に行われた通常のCTで は,主要分枝起始部は2症例5血管が誤って判定され ており,下腸間膜動脈については5例で同定不能で あった.対照群12例の高速らせんCTでは1例で肝腎 動脈が,1例で下腸間膜動脈が不明であった他はすべ て同定が可能であった. 考察 腹部大動脈に解離がおよぶ場合,臓器虚血が予後に 関わるため,分枝罹患の診断が重要である.高速らせ んCTでは真腔が高濃度に造影される時相に腹部大動 脈全長にわたるスキャンが可能であり,従来のCTに 比べ主要分枝の同定が容易であった.また真筆と偽腔 の造影程度に差のある画像が得られ,主要分枝がいず れより起始しているかの判定に極めて有用であった. 寝台移動速度が速いことによる画質の低下は読影能に 影響されなかった.なお2回スキャンを行うことによ り,血流の遅い偽腔も充分に造影され,血栓化の程度 も正しく評価できた.使用した造影剤は総量70mlで, 当施設における従来の使用量(100~150ml)に比べ少 量で充分な造影効果が得られ,腎臓への負担を軽減す る意味でも有用な方法と考えられた. 結語 大動脈解離症例における高速らせんCTは,従来の CTでは不充分とされていた腹部主要分枝の罹患の有 無ならびに罹患状態の詳細な把握に優れており,臨床 上高い有用性が示唆された. 786一181