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博士(水産学)石田 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(水産学)石田 学位論文題名

Phylogeny of the suborder Scorpaenoidei         (Pisces : Scorpaeniformes)

(カサゴ亜目魚類の系統分類学的研究)

学位論文 内容の要旨

  カサゴ 亜目 魚類は ,世界 中の熱 帯から 寒帯 に分布 する多 様に分 化し た分類 群で,約100属500種 から成 り立っ ている 。こ の魚類 の系統 類縁関 係の 研究は ,骨学 的資料 による ものを中心に比較的 多く 行 わ れ て きた が , い ずれ も少数 の種類 の一部 の形 質を根 拠とす るもの で,Matsubara(194 3) に 至るま で,亜 目全体 にっ いての 仮説は なかっ た。 彼は, 我が国 周辺海 域に分 布す るもの に っいて ,骨格 系と, 鰾お よびそ の付着 筋を観 察し ,この 魚類の 系統発 生的起 源と属間の類縁関係 を推定 してい る。し かし ,彼の 研究にfま ,鰓弓 ,尾骨 などの系統類縁関係の推定にあたって重要 と考え られる 部位の 資料 を用い ておら ず,ま た, 我が国 以外の 標本を ほとん ど扱っていないこと から, 外国の 海域に のみ 分布す る重要 な分類 群の 情報が 欠けて いる。 それに もかかわらず,これ 以降半 世紀に わたり ,本 亜目魚 類を包 括した 系統 類縁関 係に関 する研 究がな かったため,最近の 研究者 も事実 上彼の 分類 体系を 踏襲し ている 。一 方,近 年の魚 類系統 分類学 では,骨格系だけで なく筋 肉系の 比較形 態に も基づ いた研 究が主 流と なって きてい る。本 研究の 目的は,世界中のカ サゴ亜 目魚類 にっい て, 全身の 骨格および筋肉系の詳細な比較検討から系統類縁関係を再構築じ,

それに 基づい た新分 類体 系を提 唱する ことで ある 。

  観察は ,稀 種のみ を含む ものを 除く55属のカ サゴ亜 目を解 剖し ,頬筋 ,頭部腹面の筋肉,鰓弓 の筋肉 ,肩帯 ・頭蓋 骨・ 舌弓・ 鰓弓の 間の筋 肉, 胸鰭の 筋肉, 腹鰭の 筋肉, 背鰭・臀鰭の筋肉,

鰾と付 属筋, 頭蓋骨 ,囲 眼骨, 両顎, 懸垂骨 ,舌 弓,鰓 弓,脊 椎骨と 付属骨 格,尾骨,肩帯,腰 帯, お よ び 背 鰭・ 臀 鰭 の 支持 骨格か ら合計95の形 質を選 択した 。1っの形 質に対 して3つ以 上の 状態を 認めた 場合も ある 。ある 形質の 状態の 間の 原始一 派生の 関係は ,外群 として選んだ一般的 なスズ キ亜目 の状態 と一 致する ものを 原始的 と判 断した 。カサ ゴ亜目 に特有 でスズキ亜目と比較 できな いもの は,疑 いな く特殊 と考え られる もの を派生 的とし ,どち らが特 殊か明らかでないも のは, カサゴ 亜目内 で特 殊化の 程度が 比較的 低い と考え られる メバル 科およ びフサカサゴ科に見

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られ るもの を原始 的と仮 定した 。系 統類縁 関係の 推定は 分岐 学的手 法を用 いた。 形質状態は等価 と仮 定した 。原則 として 形質状 態の 逆転を 認めな かった 。分 岐図は ,進化 の段階 数,っまり形質 状態 の変化 の数が 最も少 なくな るも のを選 んだ。

  観 察 し た カサ ゴ亜目 の各 属は, 眼下骨 棚を形 成する こと ,上神 経骨が1個 以下と 少なく なっ て い るこ と , の2っの 派 生 形 質 を 共有 する ことが 明らか にな った。 この2形質 は,カ サゴ亜 目だ け では なく他 の多く のカサ ゴ目魚 類も 共有し ている ので, これ だけで カサゴ 目の単 系統性を証明す るわ けでは ない。 そこで ,他の いく っかの 形質を 検討す るこ とによ って, カサゴ 目の他の分類群 であ るアイ ナメ科 ,ギン ダラ科 ,コ チ亜目 ,ホウ ボウ科 ,キ ホウボ ウ科, および カジカ亜目の起 源が カサゴ 亜目に 属する もので ない ことを 明らか にした 。し たがっ て,カ サゴ亜 目は自然群であ ると 考えら れる。

  構築 した分 岐図か らカ サゴ亜 目の55属 にっ いて系 統類縁 関係を 推定し ,そ れに基 づいて,従来 の 科の 枠 組 み を で きる だ け 保 っ よう に新た に11の 科を設 定した 。新 科メバ ル科Sebastidaeは,

他 のカ サ ゴ 亜 目 全 体に 対 す る 姉 妹群 で あ る 。 新科 シ ロ カ サゴ 科Setarchidaeと新 科ヒレ ナガ カ サ ゴ科Neosebastidaeと は姉 妹 群 で , 両科 の 共 通 祖 先と 残 りの カサゴ 亜目と は姉 妹群で ある。

フ サ カ サ ゴ 科Scorpaenidaeは, 前3科 を 除く 他 の カ サ ゴ亜 目 と 姉 妹 群 の関 係 に あ る 。新 科 ハ チ 科Apistidaeと ハ オコ ゼ 科Tetrarogidaeは 姉 妹 群 で , 両科 の 共 通 祖 先は 残 り の カ サゴ 亜 目 と 姉妹 群 で あ る 。 オニ オ コ ゼ 科Synanceiidaeと フ エ フ キオ コゼ科Congiopodidaeは姉 妹群 で,

両 科の 共 通 祖 先 は 残り3科 の 共 通祖 先 と 姉 妹 群で あ る 。Gnathanacanthidaeは , 互い に姉妹 群 の 関 係 に あ る イ ボ オ コ ゼ 科AploactinidaeとPataecidaeの 共 通 祖 先 と 姉 妹 群 で あ る 。   メ バ ル 科 は ,閉 顎 筋 のalが そ れ ほ ど 前方 ま で 延 び ない , 脊椎骨 数が25以上あ る,と いう2つ の 派 生 形 質 を 持 ち , メバ ルSebastes, ユ メ カ サ ゴHelicolenus, キ チ ジSebastolobus. ミ ナ ミ キ チ ジTrachyscorpia, ヒメ キ チ ジPlectrogeniumな ど の8属 を 含 む 。 こ の科 は , メ バ ル,

ユ メカ サ ゴ , キ チ ジな ど の5属 と, ミ ナ ミ キ チジ と ヒ メ キチ ジの2属の2っ の幹か らなる 。シ 口 カ サ ゴ 科 は ,obliquus dorsalis2を 持 つ , 第4‑5眼 下骨 と 皮 蝶 耳 骨 を失 っ て い る ,な ど の4 っ の派 生 形 質 を 持 ち, シ ロ カ サ ゴSetarches, ヤセ アカカ サゴLioscorpfus, およ びク口 カサゴ Ecとrepose6asえesの3属 からな る。 ヒレナ ガカサ ゴ科は ,extrinsicが 上擬鎖 骨に直 接付い てい る , 上 神 経 骨 を 失 っ てい る , な ど の4っ の 派 生 形質 を 持 ち , ヒレ ナ ガ カ サ ゴAkosP60sとPsと A飽エfZ臣cosぬの2属 からな る。フ サカサ ゴ科は ,眼 下骨と 頭蓋骨 を結ぶ 感覚 管を失 ってい ると い う1っ の 派 生 形 質 を 持 ち , ヒ オ ド シPo凡Cfnus, フ サ カ サ ゴscoゆ0ena, ハ 夕夕 テ カ サ ゴ ルocundus,イ ソカ サゴ&:0′.paenodes,ミノカサゴPぬrofs,ボロカサゴR統n()pぬs,ハダカ

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ハ オ コ ゼTaenianotusな ど の16属 を 含 む 。 この 科 で は , ヒオ ド シ な ど の3属 が残 りの13属 と姉 妹 群 , 残り の13属 のう ち フ サ カサ ゴなど の4属が残 りの9属と 姉妹群 である と考え られ た。し か し, 科内 の16属の 間で12もの平 行進化 現象が 認め られ, 互いに 極めて 近緑 である と考えられ,亜 科 を 設 定し なかっ た。ハ チ科は ,hyohyoides inferiorisおよ びcoracoradialisを失 ってい る,

独立 したintrinsicを持つ ,など の11の 派生形 質を持 ち,観 察し た属と しては ハチ´ゆfsとUsl属 を 含 む 。ハ オ コ ゼ 科 は ,infracarinalismediusの 分 枝 が 腰 帯に 付 着 す る ,第1・2脊椎 骨の神 経棘 が前 方に固 着する などの5っ の派生 形質 を持ち ,ce凡えrop昭o凡 ,ハチ オコ ゼ〇cos泣,ハオ コ ゼ 麗 ゆ0め 地s, 己focmmum, ツ マ ジ ロオ コ ゼA6ぬりs,Rfcんordsomcん とりsな ど の10属 を 含 む 。 オニ オ コ ゼ 科 は ,第2咽 鰓 骨 歯を 失 っ て い る, 第1・2脊椎 骨 の 神 経 棘が短 い,な どの8 っ の 派 生形 質 を 持 ち , オニ オ コゼ ム鹹mfcUs, オニダ ルマオ コゼs.シ 凡anceぬ ,ダル マオ コゼ 母.0恥 ,〔沈oHdnc炒fUs,およ びヒメ オコ ゼMf凡0Usの5属を 含む。 フエ フキオ コゼ科は,lev― atorposteriorを失 っ て い る ,左 右 の 上 耳 骨が 接 し て いる, などの26の派 生形質 を持ち ,フエ フ キ オ コゼc0昭fopodMs,ホ ソクチ オコ ゼAfe凡fcんと りs,およ び挽凡cめrり 凡cんHsの3属を 含 む 。Gnathanacanthidaeは,coracoradialisお よ び 前 鋤 骨 歯を 失 っ て い る, 尾 部 棒 状 骨, 準 下尾 骨, および 下尾骨が癒合している,などの11の派生形質を持ち,Gnロ£んona飽凡とんusのみか らな る。 イボオ コゼ科 は,鰓 蓋挙 筋が翼 耳骨と 後側頭 骨から 起発 する, 肋骨を 失っている,など の6っ の派 生 形 質 を 持ち , イ ボ オ コ ゼApfoncとfs,ア ブオ コゼD屯spんば, および &轟e凡0pUs を 含 む 。Pataecidaeは , 腹 鰭 の 筋 肉要 素 , 基 蝶 形骨 , および 間在骨 を失っ てい る,上 尾骨が1 つ, 下尾 骨が1十1に滅少 して いる, などの29の派 生形質 を持ち ,APt〔やcHs,P(zぬecMs,およ び| 忱( )paぬecMsの3属から なる。

学位論文審査の要旨

  カ サゴ 亜目魚 類は世界の熱帯から寒帯にかけて広く分布し,著しく多様に分化した大群である。

こ の類の 系統 類縁関 係に関する研究は比較的多くなされてきたが,いずれも少数の種類にっいて,

夫 嵩

邦  

  一

岡 田

尼 箕

授 授

教 教

査 査

主 副

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一 部の 形質 か らな され た もの である。松原は日 本周辺海域に分布す る本亜目魚類の骨 格と鰾など か ら包 括的 な 研究 を行 い ,属 間の類縁関係を推 定し,それに基づぃ た分類体系を提唱 した。この 体 系の 基本 は 画期 的な も のと して半世紀にわた って世界で通用して きた。しかしなが ら彼の研究 は 材料 のほ と んど が日 本 産に 限られていたこと ,解剖部位の資料が 十分でないこと, 及び近年,

系 統 の 分 析 方 法 が 変 化 し た こ と な ど に よ っ て 本 亜 目 の 系 統 分 類 の 再 検 討 が迫 られ て いた 。   本研 究は 世 界の カサ ゴ 亜目 魚類55属にっいて ,全身の骨格系及び 筋肉系の詳細な比 較検討から 系 統類 縁関 係 を構 築し , それ に基づいた分類体 系を提唱することを 目的として行われ た。観察の 結 果,95形 質 を選 択し , 極性 は一般的スズキ亜 目の状態と一致する ものを原始的と判 断して決定 した。分析 は分岐分類学的手 法を用いて,形質 の状態の逆転を認め ず,形質状態の変化の数がもっ とも少ない ものを選んだ。

  本論 文の内容を要 約すると次のようで ある。I.カサゴ亜目の単系 統群としての設定 にっいて,

本 亜目 魚類 は 眼下 骨棚 を 形成 する こ と及 び上 神 経骨 が1個 以下 で ある こと の2派生形 質を共有す る 。ま た, こ れら の形 質 を所 有するカサゴ目内 の他の魚群を他の形 質によって排除す ることによ り,本亜目 の単系統性を証明 した。1I.カサゴ 亜目の系統類縁関係 にっいて,95形質によって構築 し た分 岐関 係 から55属 の 類縁 関係を推定し,そ れに基づいて11の科 を設定するのが妥 当であると の 結論 に達 し ,新 分類 体 系を 提唱した。科の枠 組みは出来る限り従 来のものを保持す るように配 慮 し,3新科 を設 立 した 。結 果 にっ いて そ れぞ れの 枝を支持する形 質とその科に所属 する属を分 岐の順に従 って述べる。

  (1)メバ ル科(新科)は閉 顎筋のalがそれほ ど前方まで伸びない こと及び脊椎骨が25本以上あ る こと の2個 の共有派生形質を 持ち,最初に分化 した。この科にはメ バル,ユメカサゴ ,キチジ,

ヒ メキ チジ な どの8属を 含む 。 この 科は メ バル ,キ チ ジ属 など と ヒメ キチ ジ属などの2小枝に分 かれる。(2)シロカサゴ科(新科)と(3)ヒレナガカサゴ科(新科)は次に共通の枝で分岐する。前 科 はobliquus dorsalis2を も っ こ と な ど の4派生 形 質を 共有 し ,シ 口カ サ ゴ, ヤセ ア カカ サ ゴ ,ク ロカ サ ゴの3属か らな る 。後 科は 上 神経 骨を 失 って いる な どの4派生形質をも ち,ヒレナ ガカサゴな どの2属 からなる。

  (4)フサカサゴ 科は眼下骨と頭蓋骨 を結ぶ感覚管を失 っているという唯一の派生形質で支持され る もっ とも 大 きい 群で , フサ カサゴ,ヒオドシ ,ミノカサゴ,ボ口 カサゴ,ハダカオ コゼなどの 16属を 含む 。 その 内, ヒ オド シな ど の3属 はボ ロカ サゴなど他の13属と姉妹群を形成 する。さら に,この13属ではフサカサゴ 属など4属 と残りの8属は姉妹群である 。

  (5)/ヽチ 科( 新 科) はhyohyoides inferioris及びcoracoradialisを失うなど11個 の派生形質

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をもち,ハ チ属のみを含む。

  (6) ハオ コゼ 科 は第1‑2脊 椎骨 の 神経 棘が 前 方に 固着するなど5派生形質をも ち,ハオコゼ,

ツマジ口オ コゼなど10属から なる。

  (7) オニオコゼ科は第2咽鰓骨歯 を失っているなど の8個の派 生形質を共有し, オニオコゼ,ダ ルマオコゼ ナょど5属 を含む。

  (8)フエフキオコ ゼ科は左右の上耳骨が接しているなど26個の派生形質をもち,フエフキオコゼ,

ホソクチオ コゼなど3属からなる。

  (9) Gnathanacanthidae科はcoracoradialis及 び前 鋤骨 歯 を失 って い るな ど11派 生形 質を も ち,Gnathanacanthusのみからなる。

  川イ ボオ コ ゼ科 は鰓 蓋 挙筋 が翼 耳 骨と 後側 頭 骨か ら起発するなど6派生形質を もち,イボオコ ゼ,アブオ コゼなど3属からなる。

  (11) Pataecidae科は1個の 上尾 骨 をも っな ど29派 生形質を共有し,Aetapcus,P.缸ecHsなど 3属からなる。

  以上 のよ う に本 亜目 魚 類の 単系統性を明確 に定義づけたこと ,多数の種類と多 数の形質に基づ い た系 統類 縁 関係 を構 築 した こと及び,この 関係に基づいた新 分類体系を提唱し たことは魚類の 系統分類学 の分野に著しく貢 献をなしたものとし て高く評価された 。

  本論 文に っ いて ,以 上 の点 を主査,副査が 評価し,申請者が 博士(水産学)の 学位を受ける資 格があると 認定した。

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