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民間信仰を活用した高等学校日本史教育の研究

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(2) 民間信仰を活用した高等学校日本史教育の研究. 目 次. 問題の所在と研究の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  1. 序章. 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状・・・・・・・・・・…  3.  第1節民問信仰の定義と類型化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 3    1 民間信仰の定義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  3    2 日本における民間信仰研究の特徴・・・・・・・・・・・・・・・…  5    3 民間信仰の類型化・・・…  5・・・・・・・・・・・・・・・…  6. 第2節 民間信仰活用の成果と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  10 学習指導要領の分析からみた成果と課題・・・・・・・・・・・・…  10.   2. 教科書記述の分析からみた成果と課題・・・・・・・・・・・・・…  17.   3. 先行授業実践の分析からみた成果と課題・・・・・・・・・・・・…  31.  節123. 章1 2第. 第.   1. 日本史教育における民間信仰活用の意義と方法・・・・・・・・・・…  37. 民間信仰を活用する意義一歴史教育と民俗学の視点から一・・・・…  37. 柳田社会科の考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  37. 現行の歴史教育の問題点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 41.  日本史教育に民間信仰を活用する意義・・・・・・・・・・・・・…  44. 第2節 日本史教育における民間信仰活用の方法・・・・・・・・・・・・…  46   1 「通史学習に位置付けられた主題的学習」の構想・・・・・・・・…  46.   2. カリキュラム構成の原理・・・・…  一・・・・・・・・・・…  48.

(3) 第3章民間信仰に視点をおいた日本史教育内容開発・・・・・・・・・・・… 50  第1節民間信仰に視点をおいた日本史カリキュラムの提案・・・・・・・… 50    1 民間信仰に視点をおいた日本史カリキュラムの提案・・・・・・・… 50    2 カリキュラムを構成する単元の概要・・・・・・・・・・・・…  9・53  第2節 小単元r「天神御霊信仰」を事例とした日本人の生活信仰」』の授業開発・56.    1 教材解釈・・・・・…  ●。●●●●●●。’●●●’●”●●”56    2  「天神御霊信仰」教材化の視点・・・・・・・・・・・・・・・・…  61.    3 rr天神御霊信仰」を事例とした日本人の生活と信仰』の教授計画書・・〔辺. 第3節 小単元rrええじゃないか」にみる幕末維新』の授業開発…  ∴・・78    1 教材解釈・・・・・・・・・・…  。●’●●●●●●。●●●●∴78    2 rええじゃないか」教材化の視点・・・・・・・・・・・・・・・…  85    3 『「ええじゃないか」にみる幕末維新』の教授計画書・・・・・・…  89. 終章. 研究の成果と今後の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  101. 引用・参考文献一覧・9・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  108. 資料編.   【資料1】先行授業分析事例一覧表・・・・・・・・・・・・・・・・・…  111.   【資料2】先行授業実践分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…  113   【資料3】教授計画書で使用する資料 (1)・・・・・・・・・・・・・…  143.       教授計画書で使用する資料 (2)・・・・・・・・…  ●・…  158. イ寸言己・ 。 。 。 。 。 ・ ・ ・ …    9 。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …    。 ・ ・ 9 ・168.

(4) 序章 問題の所在と研究の目的. 序章 1 問題の所在と研究の目的.  文化と伝統が重視される風潮の中で、民俗学が注目を集めている。地域の伝統や 伝承を保存する団体が各地で設立され、積極的な活動が展開されている。一部の若 い世代は、その中で伝統や伝承と出会い、そして、その意義や重要性について理解 を深めている。まさに、「生きた歴史」を学んでいる。このことは、固定化した知識. の習得・理解に終始する歴史教育のあり方に、多くの示唆を与えてくれるものであ る。.  現行のr高等学校学習指導要領 地理歴史 日本史B』の中で次のような記述が 見られる。   文化に関する指導に当たっては、各時代の文化とそれを生み出した時代的背景との関連(略)  また、生活文化については、時代の特色や地域社会の有様などと関連付けるとともに、民俗学.                    1  などの成果に基づきその具体的な様相を把握させること  これは、年代史的な扱いを中心とする政治史中心の内容構成に加えて、生活や日 常性の視点を重視して、内容を構成しようという主旨である。「風土」「環境」r心性」. r民俗」などの概念を用いて、直線的な時間の流れだけでは捉えられない歴史事象 を扱おうとするものであり、歴史を過去のものとして捉えるだけではなく、自己の 経験を生かして学びとることが必要であることを理解できる。.  しかし、現行の歴史教育においては、系統主義的ないわゆる通史学習に意義を認 める見方が多い。歴史学研究の成果を誤りなく伝達する場が授業であり、政治・社. 会・経済等あらゆるものを取り上げ、それらをモザイクのように組み合わせて関連 付け、固定化した知識を習得させる。そして、その習得は、暗記主義・網羅主義の 「知識の教授」が中心となっている。それでは、因果関係の追究や分析といった思. 考過程まで掘り下げることができない。また、過去の時代に生きた人間の姿や心性 といったものが描き出されることは少なく、「生きた歴史」の視点が欠落してしまっ ている。.  本研究では、そのような問題を克服するための方策として民俗学の研究成果の中 で特に民問信仰に着目し、歴史を過去のものとして捉えるだけではなく、現在をよ りよく理解するための学習として、生活の中にある身近な事例を通して歴史を考察 する高等学校日本史カリキュラムと授業モデルを提示することを目的とする。. ・1・.

(5) 序章 問題の所在と研究の目的. 2研究の対象と方法 高等学校日本史教育における民間信仰に関連する事象を研究対象とする。. ①初期社会科から現行の高等学校学習指導要領において、民俗学の内容がどのよ  うに組み込まれていたかを検討する。そしてその成果と問題点を整理する。. ②民俗学の研究成果の中で特に民間信仰に着目する。そして、民間信仰を大きく.  五つに分類した分析フレームワークを提示し、これまでの民間信仰に関連する.  先行授業実践を分析する。また同様に教科書記述の分析を行い、その成果と課  題を明らかにする。. ③以上の研究成果をもとにして、「通史学習に位置付けられた主題的学習」を提案.  し、民間信仰に視点をおいた日本史カリキュラムと教授計画書を提示する。そ  して、その成果と課題を明らかにする。. 1.   平成11年度高等学校学習指導要領地理歴史r日本史B」の内容の取り扱い(1)のウ. ・2・.

(6) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状. 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状  本章では、民間信仰についての定義と類型化、一般的特徴を整理する。そし て、高等学校学習指導要領 地理歴史科 日本史の中で民問信仰に関連する内. 容や観点がどのように含まれ、解釈され生かされているかを考察し、各改定に ともなう民間信仰の取り扱いの変遷を把握する。.  次に、教科書記述、先行授業実践の分析を通してその成果と課題を抽出する。. 第1節 民間償仰の定義と類型化  本節では、民間信仰の定義を明らかにし、我が国における民間信仰研究の. 特徴を整理する。次に、上述の定義と特徴を踏まえながら、高等学校日本史 学習における、民間信仰項目の類型化をおこなう。. 1 民聞信仰の定義 堀一郎氏によればr民問信仰」という語について、次のように述べている。   まだ学問上はっきりと規定された術語にはなっていない。従って概念規定は曖昧で、  人によりいろいろな用い方がある。俗信・迷信と考えられる類のものだけをさす場合も  あり、占い、禁忌、呪術の現象や、新興教団のあるものをこの名で呼ぶこともある1.  そこで、まず民間信仰の定義を明らかにしたい。堀氏は、民間信仰の特色を 次のように述べている。   民間信仰の中心的特色は、自然宗教と直接的に、或は残留的、集合的に連続した性格  を持つ点にある。それは特定の構成者を持たず、またあっても極めて類似性の強い習合  複合の形をとっており、しかもその構造を支持する主体が、類型的な信仰受容者の欲求  の中にあるべきものである。それは上から下に向かって垂示され、放出されるよりは、  下から上に向かって願望され、希求される要素が大きい。従って宗教の上部構造が常に  受け身に、消極的にこれに対応しているところに、民問信仰全般に見られる生活的功利  性、呪術性、小集団(封鎖性)、同時併存性(多様性と重層性)等の特色が馴到せられた.           2  とも見られるのである  このように、堀氏の見解からも明らかなように、民間信仰は極めて多義的な 内容を有する。そこで、民間信仰の名称で理解される幾つかの基本観念を多少 立場の異なる三つの辞典r精選 日本民俗辞典』『日本史辞典』r大辞林』から 抽出して共通点を確認する。. ○高柳光寿、竹内理三編r日本史辞典』角川書店、1966年   特定の教団組織や教理体系をもたず、教祖が存在しない宗教現象で、民 ・3・.

(7) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状. 間において自然発生的に行われている信仰形態。一般に自然宗教的・呪術 的で現世利益の色彩が強くて、性的観念・呪術観念を伴っている。いわゆ る新興宗教は民間信仰に基礎をもつ。また、既成教団の下部構造を形成し ている。. ○松村明編『大辞林』三省堂、1988年   特定の教祖・教理体系・教団組織をもたず、民衆生活において伝承的に  無秩序に採用されている信仰形態。庶民信仰. ○福田アジオ他著r精選 日本民俗辞典』吉川弘文館、2004年   原始・古代以降の宗教が蓄積されている一方で、創始宗教との交渉を通  して、あるいは国の宗教政策、社会の変化・変貌などによって、変容・変  質しながらも、生産活動や人問関係をはじめとする人々の日常生活・社会  生活を基盤として現れる宗教現象。民間信仰は民族の中の宗教現象、宗教  の中の民族的現象と言い換えることができる。    とある。三つの辞書の中で共通に見られる点は、     ①特定の教祖を持たず、.     ②人々の日常性を基盤としている宗教現象.  である。次に、民間信仰と対立する宗教現象として、特定の創始者の存在す る既成宗教との比較をおこない、その差異を明確にする。ここでいう対立とは、. 教義での対立を意味するのではなく、成立背景や信仰形態、あるいは信仰組織 の在り方において構造的に違いが認められるものを対象とする。.  既成宗教の定義として、桜井徳太郎氏は次のように述べている。  まず、宗教の創始者たる教祖の出現がみられる。そして、その教祖によって創始され た教義・教理が存在する、と同時に該教理・教義のもとに結集し、それを広く俗世間に 布教弘宣する伝道者とそれの組織的な布教活動が展開する。したがってその布教伝道に よって組織された信徒の結成する教団が成立する。このような教祖=宗祖コ伝道者=信 徒が有機的組織形態をとりながら宗教的社会的機能をはたすもの、それが巷間に存在す る既成の組織的宗教であると考えてよかろうと思う3.  つまり、既成宗教は特定の教祖の存在が認められ、信者に対する教義や教理 が存在する。そして、そのもとに組織的な教団を形成していることがあげられ る。このことから、一般にいう既成宗教は、キリスト教、仏教、イスラーム教. 等の世界的宗教を指すものと解することができる。また、民間信仰は「下から. 上」に「願い」を照射し、そのr教え」は古いしきたりの中にある知恵や生活 習慣・伝承等で伝えられ、残存しているのに対して、既成宗教はr上から下」 に「教え」を照射していることが理解できる。 ・4一.

(8) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状.  このように、民間信仰は一般に、教祖・教理・教団に規制されない宗教現象 であり、既成宗教(キリスト教や仏教など世界宗教)に対して、地域社会にあ. って自然発生した宗教現象と捉えられる。また、文化の二分法による表層・基. 層の範疇から言うと、人々の日常生活・社会生活に基盤を置く民間信仰は基層 文化に位置付けられる。.  しかしながら、民間信仰はその多義性ゆえ、既成宗教と完全に一線を引ける ものではない。既成宗教と種々の面で係り合い、吸収・変質して新たな創出を おこなったりするなど、混融複合的なものとして考慮しなければならない。.  以上のことから、堀一郎氏、桜井徳太郎氏に依拠して、民間信仰の定義を、 以下のように整理した。.  民間信仰は、永い伝統的な系譜をもちながら、特定の教祖を持たず、. 教団的にも不完全にしか組織されない。信仰受容者の欲求は下から上に 向かって希求され、生活的功利性、呪術性、同時併存性などの特色を持. つ。また、既成宗教との混融複合的な関係を保ちながら、一定の地域社. 会に培われてきた人々の日常生活に密着した形で展開した歴史的宗教現 象であり、文化の面では、基層文化に位置付けられる。. 2 日本における民閻信仰研究の特徴  ここでは、民間信仰研究の側面から整理したい。日本における民間信仰研究 について、池上広正氏は次のように述べている。   国史研究の補正という見地から、民俗学の一つの分野として民間信仰研究が進められ  たのである。随って我が国の民間信仰研究は、民俗学(土俗学)の進展と共に歩みを一  つにするものであり、r民間信仰」の意味付けや、その研究方法は民俗学の立場からな.      4  されてきた  とある。つまり、日本でいう民間信仰研究5では、民間信仰とは、民俗学の 一分野として位置づけられていることが理解できる。.  民俗学的観点の詳細については、本論第2章第1節で述べることとして、こ こでは、民俗学と民間信仰の関連性という観点でだけ触れておきたい。そもそ も民俗学とは、r精選日本民俗学辞典』(吉川弘文館)によれば、次のように定 義されている。. 一5一.

(9) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状.   世代をこえて伝えられる人々の集合的事象によって生活文化の歴史的展開を明らか                         6   にし、それを通して現代の生活文化を説明する学問である.  つまり、民衆の中に生きている、伝承や習慣の現在の姿を基礎として、日本 人の古い生活、意識の在り方を明確にすることにある。池上氏の指摘するとお り、民問信仰研究の考え方と民俗学の考え方は合致するものである。.  また、宮田登氏は、民間信仰研究の側面から次のように指摘している。.                                 7   日本の民間信仰研究には、その背後にある歴史的背景が考慮される必要がある   社会の変革期や民衆の危機意識による宗教的な要求が存在するものと、(略〉伝統的.  な地域社会に現実に機能する民問信仰8.  すなわち、時系列を軸に民間信仰を位置付ける立場と、農民、山民、漁民に みられる地域の独自性に根ざした民間信仰の二つの立場を主張している。.  以上のことから、池上広正氏、宮田登氏に依拠して、我が国における民間信 仰研究の特徴を、以下のように整理した。.  民間信仰の研究は、現在の信仰、行事の姿から出発して、古い信仰意識や 信仰行事の様相を通して、日本人の古い生活、意識のあり方を明確にする。.  ただし、現在みられる信仰や伝承、習慣等は昔の姿のまま全てが残存してい ることは稀であり、歴史的過程の間に、新しい要素が習合され変容しているこ. とや地理的要因を考慮しなければならない。しかし、民俗学の一分野としての. 民間信仰をより深く掘り下げることは、過去の時代に生きたr民衆の姿」やr願 い」を現存する信仰や伝承・習慣等を手がかりとして、より豊かにその姿を浮 かび上がらせることが可能であることを民間信仰研究の特徴から理解できる。. 3 民間信仰の類型化 (1)類型化について.   前述したように民間信仰の概念を一義的に規定するのは不可能だとしても、. 教材化を図る上ではこれを類型化し、整理することが必要である。なぜなら  ば、民間信仰を一つの概念として捉えると、包括する範疇が大きすぎ、高等. 学校日本史の学習項目において、どの歴史事象がどのような民間信仰と関連  しているのかを定義付けることが困難となってしまうからである。. ・6・.

(10) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状. そこで、圭室文雄・平野榮次・宮家準・宮田登著『民間信仰調査整理ハン ドブック上理論編』9に依拠して類型化を考えてみた。四氏は、「民間信仰研. 究のありかた」の中で、民間信仰の調査にあたって以下の12の項目を挙げ ている。. 1.神社祭礼 2.小祠信仰 3.仏教民俗 4.年中行事 5.人生儀礼. 6.俗信 7.道教・陰陽道 8.シャーマニズム 9.山岳信仰・修験道 10.民間宗教者  11.巡礼・遍路  12.習合宗教. これは調査研究方法としての分類である。すなわち民間信仰の調査という. 視点で分類されたものであるが、この調査方法に示された12項目の概念を. 基点としながら日本史学習における民間信仰関連の歴史事象を分析する視 点としての類型化を試み、神社祭礼、小祠、儀礼、仏教民俗、俗信の5つの カテゴリーに分類した。. (2)5つのカテゴリーに分類した際に整理したそれぞれの概念   ここでは、五つに大別した概念の内容について概観する。   (なお、概念整理については、前掲r民間信仰調査整理ハンドブック上 理論編』、前  掲r日本民俗辞典』、國學院大學日本文化研究所編r神道事典』弘文堂、1999年、前掲r民  問信仰』に依拠しておこなった). ①神社祭礼   神社については、r日本民俗辞典』で「神道の信仰にもとづいて神々をまつるた  めに建てられた建物。または施設の総称をいう」と定義されている。ここでは神  社を中心として行われる祭礼を神社祭礼と定義する。具体的には、天神信仰、稲  荷信仰、伊勢信仰などがあたる。. ②小祠信仰   小祠信仰とは、概念上、社殿・社地を持つ規模の大きな「神社」・ヤシロに対  置されるもので、岩崎敏夫氏は前掲r民間信仰調査整理ハンドブック上 理論編』の  中で「公の名簿や神社帳にももれ易いような、名もなき民間の祠」と規定してい  る。ここでもこれに従い、国家神道の末端に位置していた公的な村氏神を除いた、  ムラ・イエの中に見られる民間の神仏を対象とする諸信仰を定義する。具体的に  は家の神、山の神、田の神、流行神、屋敷神、聖地信仰、石信仰、庚申信仰など  があたる。. ③儀  礼   年中行事については、年々に繰り返される周期的な行事をさし、柳田國男は『民  間暦小考』の中で、「節」というものが比較的近い言葉であるとし、「この日は単  なるやすみではなく、モンビ・カミゴトともいい、元来は神祭りのために物忌み 一7・.

(11) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状. を行う日として、平常の労働を休まねばならない日」としている。また、折口信 夫はr年中行事』の中で、r年中行事は、周期伝承であり、年ごとの折り目には 神を迎え、供物をささげ、神人共食を行い、折々に願い事の成就を感謝し、そし て最後には一定の方法で神送りをするといった形式が認められる」としている。 また、人生儀礼とは、人の一生の間に経験する誕生・養育・成年・結婚・厄年・ 死亡などの儀礼習俗である。ここでは、一日・一年・一生の節目で行われる儀式 的な要素を持つものを儀礼と定義する。. ④仏教民俗   仏教的習俗の成立や民俗行事といわれるものの仏教的変質の中に「民俗」をみ  ようとするもので、これを堀一郎は前掲r民間信仰』の中でr日本的潜在意識」と  している。r仏教民俗」のr民俗」は広義な意味で捉えられる。仏教も、教義や  経典からの解釈だけでなく、庶民の信仰実態を含めた総体の上に立って、その宗  教現象の解明を行うような、仏教研究を広い意味から捉えなおすものの一環とし  て仏教民俗を位置づけることができる。   民間宗教者という概念は非常に包括的な概念で、古代の聖から中世の遊行上人、  近世の芸能民、被差別民を含む呼び方である。仏教でいえば、一遍上人、行基、  空也などがあげられる。   慣用的な意味での巡礼とは、ある宗教的理念によって関係付けられた複数の聖  地に対する連続的な参詣行為をさす。なお遍路とは、四国八十八所の巡礼の意味  で用いられるのが一般的である。他に西国三十三所がある。   習合宗教は、一般に二つ以上の異なる思想や構成要素が交じり合って、一つの  観念や実践を形作っているものをさす。典型的な例として、外来宗教と土着宗教  の習合二神仏習合などがあげられる。   以上のことから、神仏習合の基礎に立ち、一般民衆に広がりを見せた仏教的な  習俗をここでは定義する。. ⑤俗  信   r俗信」は、頻繁に用いられる用語ではあるが、内容は多岐にわたり、概念規  定も容易ではない。前掲r民間信仰調査整理ハンドブック上理論編』の中で井ノロ  章次氏は、「俗信というのは、超人的な力の存在を信じ、それに対処する知識や  技術であって、非常に基本的な、広い範囲の文化表層の一つである」としている。  また、真野俊和氏は、r人間をとりまく自然・動植物の現象や人事現象について、  人々の観察・体験を通じて原始以来の長い歴史の間に蓄積されてきた心意現象を  指すもの」としている。つまり、長い年月をかけて形成されてきた民間知識的も  のであるといえる。具体的には、予兆・占い・禁忌・まじない・怪異奇現象・懸  物などを定義する。   シャーマニズムは、シャーマンと呼ばれる宗教的職能者を中心とするひとっの  呪術=宗教的形態とされている。通常トランスのような異常心理状態において、  超自然的存在(神・精霊・死霊)と直接接触・交流し、この過程で予言・宣託・  治病行為などの役割を果たす人物を中心とする宗教形態を定義する。   道教は、儒教とともに、中国人固有の思想や信仰を体系化したものである。r大  辞泉』によれば、「中国、古代の民問信仰を基盤とし、不老長生・現世利益を主  たる目的として自然発生的に生まれた宗教。のち、仏教への対抗上、神仙説など. 一8・.

(12) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状. 道家の思想、および仏教の教理儀礼が取り入れられた。五世紀前半、北魏の冠謙 之が教祖を黄帝・老子とし、張道陵を開祖として道教教団を形成した例もあるが、 多くは民問信仰として発展」とある。陰陽道については、令制官庁の陰陽寮を母 体とし、平安時代に成立した学術・宗教の体系で、平安時代中期には呪術祭祀を 盛んにおこなうようになり、陰陽道の名称が成立すると共に、陰陽寮の一官名で あった陰陽師も職種名化した。占術、方違などの吉凶判断などがみられるものを 定義する。.  日本の風土の根幹を形成するものは、連綿と連なる山岳である。山岳は古から、 農耕・狩猟・漁労といった生業の差異を超えて、住民から自然崇拝の対象として 崇められてきた。厳しさを持つとともに親しみのある山岳に、宗教的意味を与え て尊崇し、それらを対象として宗教儀礼をおこなうのが山岳信仰である。修験道 は、山岳信仰を中核にすえ、山岳で修行をすることによって得た、超人的力によ って、呪術・宗教的活動を行う宗教で、外来宗教や民間習俗が接触・混溝して、 平安時代末期に成立したものを定義する。俗信については、少し広い概念形成と なってしまっているが、超人的な力の存在を信じ、それに対処する人間の知識や 技術を含めた呪術的なものとここでは定義する。.  以上、五つの概念にもとづいて類型化した民間信仰を図示すると、以下の ように示すことができる。. 〈五つの概念で類型化した民間信仰の模式図>. ①神社察礼 ②小祠僧仰. 民俗学. 民間信仰. ③儀. 礼. 年中行事 人生儀礼. ④仏教民俗. 習合宗教 民間宗教者 巡礼・遍路. ⑤俗. 信. シャーマニズム 山岳信仰・修験道. 道教  陰陽道. ①紳社祭礼…神社祭礼にみる民間信仰. ②小祠信仰一地域に根ざした民間信仰. ③儀  礼…年中行事、人生儀礼にみる民間信仰. ④仏教民俗…仏教民俗、習合宗教、民間宗教者、巡礼・遍路にみる民間信仰 ⑤俗  信…俗信、シャーマニズム、山岳信仰・修験道、道教・陰陽道にみる民間信仰. ・9一.

(13) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状. 第2節 民間信仰活用の成果と課題 本節では、前節における民間信仰の定義と類型化を踏まえ、学習指導要領 における民問信仰活用の変遷を考察し、次に、教科書記述、先行授業実践の 分析を通して、その成果と課題を明らかにする。. 1 学習指導要領の分析からみた成果と課題 (1)学習指導要領の分析. 民間信仰に関連する内容の記述が、1947(昭和22〉年度版から現行 の学習導要領の中でどのように表されているかを分析した。分析結果は 以下の【表1】の通りである。. 【表1】学習指導要領分析 民間信仰関連の記述項目(抜粋). 年度 In乙. 日本史の特殊目標. 現代社会の諸問題の歴史的理解を深め、そ. の問題解決に必要な能力を発達させるこ と。 4.. 現代社会の生活文化を総合的・発展的に理 解すること。. 6.. 日本の各時代・各社会に共通する人間性の はあくに努めること。. 9.. を育て、さらにわが国に対する愛情を深め、. 昭和26. そのよい伝統を保持し、伸張する態度を養. 年慶版 (1951 年度). 試案. わが国の文化遺産を社会性との関連におい て正しく理解し、これを尊重愛護する精神. H. うこと。. 日本史各時代指導上の参考目標および参考. 内容. A.参考目標 「原始社会」.  1.原始社会を理解することにより、現代の         社会生   活を理解すること。 「古代社会」.  1。古代社会を理解することにより、現代の         社会生   活を理解すること。.  9。神話・伝説等を科学的に取り扱う態度を 一10一. 考察 ・初期社会科 ・問題解決学習. ・1日本史の特殊目標の2の 項目にあるように、現代社 会の諸問題の歴史的理解に 学習の視点を置き、過去の 時代の文化、生活あるいは 人間性を理解することによ って、現代の社会生活を理 解していこうとする学習の 視点がみられる。.

(14) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状.   養うこと。 .参考内容 原始社会」. 2.特質.  ○原始的信仰   起源、状態、現代社会に残る原始的信仰。 古代社会」. 2.特質  ○貴族文化.  現代社会に残る貴族文化。 封建社会」. 2.特質.  ○武士の文化と町人文化.  現代社会における町人文化、現代社会に  残る武士文化。 ・社会科日本史. 1.目標. 中学校社会科の歴史的内容を主とするものの 習では、日本史の発展過程を主体とし、それ 関連づけながら、世界史の流れのあらましを はあくさせようとしている。. 高等学校の日本史においては、中学校よりも 度の高い歴史的知識を与え、日本史をより深 、科学的、系統的に理解させる。 .留意事項 昭和31 慶版 1956 度). 1) 目標にも示したとおり、日本社会の発展 いくつかの時代に区分して、その特質や推移 理解させ、時代の概念を明らかにすることは、. 等学校日本史の学習においては、特に重要で ることはいうまでもない。. 4) 文化の取扱において、文学や美術作品な に親しむ態度を養うことはたいせつである 、日本史の学習においては、それらの文化を み出した歴史的条件を考えさせることを忘れ. 復古的系統主義学習に傾斜 3.留意事項の(1)にある うに、時代を区分して系 立てて学習することの重 性が説かれている。また、. 化の取り扱いについて 、現代的な視点よりもそ 文化を生み出した歴史的 件にウエイトが置かれて る。つまり、従来の生活 験カリキュラムから、系 的・体系的な注入主義に とづいた教育内容を主体 したものとなっている。. のことは、現行の歴史教 においても踏襲されてい ことではないだろうか。. はならない。. 3 内容の取り扱い 昭和45 度版 1970 度). ・民間風俗という表現では、. ウ 史跡その他の遺跡、遺物、道具、民間 俗などの具体的な文化遺産を取り上げ、わ われの祖先が文化の創造、発展および伝播 努力したことを具体的に理解させること。. 活の中に対象となる事象 多数存在し、焦点化する が困難である。しかし、. 活文化の重要性が具体的 取り上げられたことは、 義が大きい。. ・11一.

(15) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状. 3 内容の取扱い (1) 内容の全体にわたって、文化とそれを生. ・内容の取り扱い(1)の中. み出した時代的背景との総合的な関連、異質文 化との接触や交流による文化の変容の過程など 着目させ、その時代の文化の性格とそれを形 した様々な要因について多角的、総合的に考 察させるようにする.その際、政治・経済・社 会的諸事象の取扱いに当たっては、文化の総合. に当たっては、民俗学の成 果を活用し…」とあるよう 、民俗学の成果の活用が. 的学習という「日本史」の基本的性格に留意し、 昭和53 年度版 1978 慶). 文化的事象との関連に重点を量くとともに、細 かな事象や程度の高い専門にわたる事項は避け ようにする.また、生活文化の取扱いに当た っては、民俗学などの成果を活用して、その具. で、 「生活文化の取り扱い. 述されている。また、(4). cの中で、衣食住、年中 行事、冠婚葬祭といった具 体例の記述もみられる。つ まり、これまでの系統主義 的な学習ではみられなかっ た、生活文化についての学 の必要性が感じられる。. 体的な様相を把握させるようにする. (3)工 史跡その他の遺跡、遺物、風俗、伝承. などの文化遺産を取り上げて、それらについて の理解と尊重の態度を育てるようにすること. (4) ア c衣食住、年中行事、冠婚葬祭、生. 産用具などの生活文化の展闘を、社会との関連 において学習できるもの <日本史A> 3 内容の取扱い (3) 我が国の歴史の展開を、時代ごとに区切. らずに考察することを通して、学習の深化と歴 的思考力の育成を図るため、次のアからオま でのうち二つ程度を選択して学習させるものと. 平成元 度版 1989 度). ・人々の生活や文化の地域的 特色などについての理解と 認識を深め、国際社会に主 体的に生きる日本人として 要な自覚と資質を養うこ があげられ、 r新しい学. 力観」に対応するものとし. する。. て、これまでの社会科から、. 工 日本人の生活と信仰 日本人の衣食住を中心とした生活様式の変化 及び精神生活の推移について、時代的背景や地 域とも関連付けて考察きせる。. 地理歴史科と公民科に、再 編成され、地理歴史科には A・B科目が設置された。 また、知識を一方的に教え むことになりがちであっ 授業から、生徒が、自ら び、自ら考える教 への転換を図ることが求 られ、主題学習が設置さ. 日本史B>.  内容の取扱い 1〉 ウ 文化に関する指導に当たっては、各 時代の文化とそれを生み出した時代的背景との れた。 関連、外来の文化などとの接触や交流による文 ・日本史Aの3(3)エでは、 化の変容や発展の過程などに着目させ、我が国 主題学習の1テーマとして 「日本人の生活と信仰」が の文化と伝統の特色とそれを形成した様々な要 因を総合的に考察させるようにすること。また、. 生活文化については、時代の特色や地域社会の 有様などと関連付けるとともに、民俗学などの 果に基づきその具体的な様相を把握させるこ 。. ・12一. 設けられている。さらに日 本史Bにおいても民俗学の 成果の活用についての記述 見られる。現代との関連 視点にはやや欠けるもの.

(16) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状. (4) 生徒の歴史的思考力を深めさせるため、. 次の事項に留意しながら、適切な主題を設けて 行う学習を実施するよう配慮するものとする。 ア 主題の設定に当たっては、例えば次のよう 観点が考えられること。 工) 衣食住、年中行事、冠婚葬祭、生産用具. などの生活文化について、時代や地域の特性と. の、時代の特色や地域社会 と生活文化の関連を重視す る考えがみられ、現代との 関係を重視する視点は弱い 感じられる。. 初期社会科にみられる問題 習の視点がみられる。. の関連において学習できること。. <日本史A> 2 内  容 (1) 歴史と生活  身近な生活文化や地域社会の変化などにかか る主題を設定し追究する学習を通して、歴史 の関心を高めるとともに、歴史的な見方や考 え方を身に付けさせる。. 平成10 年度蔵 (且998. 慶). ウ 現代に残る風習と民間信仰 現代に残る風習や民間信仰が本来どのような 意味をもち、それがどのように変化してきたか を現代の人々の生活と関連付けて追究させる。 <日本史B> 2 内  容 (1)歴史の考察 イ 歴史の追究 我が国の歴史の展開について、時代ごとに区 切らない主題を設定し追究する学習を通して、 歴史的な見方や考え方を身に付けさせる。 (ア) 日本人の生活と信仰. 衣食住の変化、習俗や信仰などに着目して、 日本人の生活様式や精神生活の推移について迫. ・日本史Aの中では、平成元 年版のテーマをさらに深化 させ、 「現在に残る風習と. 民間信仰」という表現で現 との視点が加わり、生活 中に残る信仰や風習に視 をあて、これまでの系統 主義的な学習では捉えにく かった現在と過去を、ダイ ナミックに捉えることが可 能となった。. ・日本史Bにおいては、A科 目に比べ、新しい視点にっ. いてはやや遅れを感じる が、主題学習のテーマとし 「日本人の生活と信仰」 設定されている。しかし、. 内容は平成元年度版のA科 目と共通点が多く、 「時代. の特色や地域社会の有様な と関連付ける…」の記述 にみられるように、現代と. の視点は強調されていな い。. 究させる。. 3 内容の取扱い (1) ウ 文化に関する指導に当たっては、各. 時代の文化とそれを生み出した時代的背景との 関連、外来の文化などとの接触や交流による文 化の変容や発展の過程などに着目させ、我が国 の文化と伝統の特色とそれを形成した様々な要 因を総合的に考察させるようにすること。また、. 生活文化については、時代の特色や地域社会の 有様などと関連付けるとともに、民俗学などの 成果に基づきその具体的な様相を把握させるこ と。. (表中の太字は、民間信仰により関連の深いもの). ・13一.

(17) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状. (2)成果と課題.  1951(昭和26)年度以降の学習指導要領を分析した結果、以下の3点が 明らかとなった。なお1947(昭和22)年度版r学習指導要領 社会科編H  (試案)』では、高等学校における選択科目は、イ 東洋史、ロ 西洋史、. ハ 人文地理、二 時事問題とあり、日本史は科目として登場しないため、 参照程度にとどめた。. a 1947年度版r学習指導要領 社会科編1(試案)』と1951年度版r学習 指導要領 社会科編n(試案)』は初期社会科と呼ばれ、問題解決学習に重 点が置かれている。現代社会にある諸問題についての歴史的理解に学習の視 点をおき、rなすことによって学ぶ」という考え方のもと、過去の時代の文 化や生活、あるいは人間性を理解して、現代社会を理解していこうとする姿 勢が強い。しかし、実際的問題解決を志向した結果、知識の主観的な偏りが 批判されたように10、系統的な知識理解を達成できず、逆に過去の時代の時 間軸がぶれてしまい、歴史の変遷を捉えにくくしてしまった。. b 1956(昭和31)年度に改定された学習指導要領では、時代を区分して系  統立てて学習することの重要性が説かれ、文化の取り扱いについても、現代  的な視点よりもその文化を生み出した歴史的条件に重点が置かれている。ま  た、問題解決学習から、系統学習に大きく方向転換している様子が窺える。 C 1978(昭和53)年度版の学習指導要領にはr民俗学の成果を活用して(略)」.  とあるように、民俗学の文字が高等学校学習指導要領に初めて登場し、生活. 文化についての学習の必要性が高まったことがわかる。さらに、1990年代に. なると文部省はr自ら学び、自ら考える力を育成する」ためにr問題解決能 力の育成を重視した学習を進め(略)」とあり、地理歴史科でも1988(平成. 元)年度版では「主題学習」Uが重視され、民間信仰をテーマとした主題が. 設けられている。これは、1998(平成10)年度版にも踏襲されている。こ. のことは1956(昭和31)年度改定以降主流となっていた系統的な通史学習 ではカバーできない問題が顕在化してきていることを示している。. 一14一.

(18) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状.  以上の分析から、高等学校日本史教育と民俗学との関連を歴史的に整理し てみると、下記のく民間信仰活用の視点でみた学習指導要領の変遷>示した ように、大きく三期で捉えることができる。.  第一期は、初期社会科の1947∼1955(昭和22∼30)年頃、第二期は1956 ∼1977(昭和31∼52)年頃、第三期は1978(昭和53)年∼現在である。  第一期では、民俗学的な視点が重視され、積極的な活用が窺える。しかし、. 初期社会科が目指した経験主義的な学習形態は知識の断片化を表出する結 果となっている。.  第二期では、第一期からの反省もあり、系統的・体系的な学習形態が主流 となっている。.  第三期に入ると、第二期の反省から経験主義的な学習の必要性が高まって きていると考えられる。このことは、第一期への退行現象とみることもでき. るが、他方、第一期での問題点を克服できていない現状もあり、歴史学を中. 心とした歴史教育は一種の閉塞状態12にあるのではないかと考えられる。た だ、第三期で述べられている主題学習は先に述べた閉塞状態の打開をはかろ うとする意図も感じられる。. <民間信仰活用の視点でみた学習指導要領の変遷> 第一期. 歴史教育と民俗学をどのように結びつけるかを模索した時. 1947∼1955年. 代であるといえる。つまり、初期社会科にみられる問題解決. (昭和22∼30)年. 学習や経験主義的な学習形態はそのあらわれである。. 第二期. 民俗学活用の視点で捉えると衰退期にあたる。この方面へ の関心が薄れ、従来の生活経験カリキュラムから、系統的・. 1956∼1977年. 体系的な注入主義にもとづいた教育内容を主体とした学習形. (昭和31∼52)年. 態となっている。. r自ら学び、自ら考える力を育成する」やr主題学習」の 第三期 1978年∼現在 (昭和53年∼現在). 設定にみられるように、民俗学活用の再興期と捉えることが できる。ただし、その内容は主題学習を中心としたもので、. 第二期にみられる系統的・体系的な学習形態には大きな変化 はみられない。. ・15一.

(19) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状. (3)民俗学導入の背景とr新しい歴史学」.  社会科教育への民俗学の研究成果導入の背景について、米田豊氏は「新し い歴史学」と「民俗学」との関連について、次のように指摘している。  歴史教育を支える歴史学会の閉塞状態とそれを超える形で登場した新しい歴史学 (アナール派)が民俗学との関連を重視していることから、歴史を広くとらえ民俗学 が導入された18.  アナール学派とは、フランスのリシュアン・フェーブルとマルク・ブロッ. クによって創刊されたr社会経済史年報』とともにはじまった歴史刷新の動 きである。アナール学派の活動について、竹内敬温氏は次のように述べてい る。.  事件史や物語史を拒否し、その関心を政治の世界から経済活動、社会組織、集合心 性に向け、歴史と他の人間諸科学とを接近させようと努力した。第二次大戦後、この 「新しい歴史」を推進する動きは、『年報一経済・社会・文明』の名称のもとに新し く生まれ変わった雑誌の周辺に、rアナール』学派と呼ばれるグループを形成し、(略). 1970年代には、歴史人類学、歴史民俗学のすぐれた成果をあげ、心性史の領域をひ らいて(後略)14.  つまり、政治史を中心とした歴史学から、総合社会科学たるべき歴史学へ の志向が窺える。以上のことから、米田氏の指摘するとおり、「新しい歴史. 学」の動向が、高等学校学習指導要領日本史の中に民俗学が導入された背景 の一因であることが考えられる。このことは、次に示した学習指導要領の抜 粋からも、読み取ることができる。  生活文化の学習については、時代的背景や特色、地域社会のありようなどと関連さ せるとともに、人々の生活や考え方についても触れることが大切である。そのために は、民俗学や考古学、文化人類学その他の歴史学に関連する学問の成果を活用して、 具体的に把握させるとともに、身近な生活を見直し、生活を構成している一っ一っの 事象が歴史の産物であるとの認識に立って、生活の中から我が国の歴史や文化を理解 させることが必要である15. ・16・.

(20) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状. 2 教科書記述の分析からみた成果と課題 (1)教科書記述の分析対象  既に述べてきた民間信仰の定義と類型化にしたがって、教科書記述の中に 散見する民間信仰関連の項目を抽出し、神社祭礼、小祠、儀礼、仏教民俗、. 俗信の五つのカテゴリーで分類した【表2】∼【表4】に示すように、民間 信仰に関連する記述別に学習のねらい・目標と関連づけをおこない、日本史 学習の中における民間信仰に関連する記述項目の位置づけを明確にした。な. お、抽出教科書については、『7 実教日BOO6』実教出版(日本史B)、2003. 年、『81 山川日BOO1』山川出版、2002年(詳説日本史B)の2冊を対象  とした。教科書の選定の理由は、記述が丁寧であり資料や図版の取り上げ方 が詳細で適切なものであると判断したためである。 各表の主旨については以下の通りである。. 【表2】学習計画及び各章のねらい・目標と民間信仰関連項目.    学習のねらい・目標と民間信仰の関連項目との関連づけをおこなっ    たものである。. 【表3】学習指導要領における民間信仰関連項目と指導内容.    現行(平成10年度版)の学習指導要領の指導内容と教科書記述に    散見する民間信仰関連項目を関連付けたものである。 【表4】教科書に散見する民間信仰の関連項目のラフスケッチ.    【表2】を簡略化したものである。. 一17一.

(21) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状. ○対象教科書.  1 7 8. 【表2】学習計画及び各章のねらい・目標と民間信仰関連項目. 実教日BOO6(2003年. 日本史B、実教出版). 山川日BOO1(2002年. 詳説日本史B、山川出版). 内容. 時代. 学習のねらい・目標. 神社 礼. 小祠. 儀礼. 仏教 俗. 俗信. 1旧石器時代と縄文時代の人々の 生活や社会、文化が、発掘調査の成 果によって明らかにされてきたことや、. 考古学の成果を考える。 第. 1 2 日本の旧石器時代の遺跡は約3. 章1. 本文化. 日. 万年前にはじまる後期旧石器時代に 属することや、その時代の遺物、遺構. から当時の人々の生活や社会、文化 理解させる。. あけぼ. の. の. 3完新世になるころ、土器を伴う新た 文化や、縄文土器や磨製石器など の遺物、竪穴住居、貝塚などの遺構 から人々の生活と社会、文化につい. アニミズム. 抜奮 土偶. 屈葬. て考える。また土偶の製作や屈葬など の呪術的風習から、縄文時代の人々 の精神生活について考える。. 原 始. 石棒. ・古代. 1弥生文化の形成と、身分の分化や 階級の成立にみられる社会の変化に. (青銅祭器). いて考える。. 2章 水稲農 業の. 第. と社. 開 始 ム爪. 生 活 の 進 展. 2 弥生時代に小国や地域的な連合 から邪馬台国が形成した過程を、中. 鬼道. の歴史書の記載内容や考古学の 掘成果を用いて理解する。. 3大和政権が西日本を中心とした各 地の首長の連合体として形成された。. 統一国家形成と、その政権の特質に ついて理解させる。. 4 古墳の出現と各地への広がりと、 その規模や副葬品に着目し、大和政 支配や大陸文化の影響を理解させ. 祖霊僧仰. 。. ・18一. 祈年の癖り 聲の察り. 襖・祓 占の法 神操湯.

(22) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状. 1.大和朝廷の国内統一、律令体制 の成立から奈良時代に至る政治の動 向、および律令に基づく土地と人々に 3章 東ア ア文・. 、φ. ■の響 影 と 律ム η制. 化. あ成. 度. 対する統治の体制が整備されてきた ことを理解させる。. 2.東アジア世界との関係と、古墳時 代の大陸文化の伝来や、その後の遣 (行墓). 階使・遣唐使などによってもたらされ た文物・制度の影響に着目させ、文化 の特色について考察させる。. 3.儒教・仏教や諸制度の摂取、国家 による仏教の興隆、造寺・造仏や歴史. 宇佐. 書・地誌の編纂や国家事業が進めら れたことなど、文化と古代国家の展開. 八幡神. を考える。. 立. 4.古事記・日本書紀・風土記・万葉集. などの記載や諸資料から、古代人の え方や、背景としての生活について. 御霊僧仰. 神仏習合. 修験道. 本地垂述説. ケガレ 陽五行磁. 考察させる。. 1.東アジア世界との関係、地方にお ける支配体制の動揺、公領の変質や. 荘園の拡大と武士の台頭に着目さ せ、律令体制の変質、摂関政治や院 4章 摂関政.. 静弟. と尊. ξム. 口. 政が展開したことを考える。. 2.遣唐使の停止や地方の動向に着 目させ、従来の大陸文化を消化して しい貴族文化が進展していったこと. 北野天神. を理解させる。.  大蔵. 3.平安時代の末期には都の貴族文. 茂緊 ■御霊会 ひな県. が地方に普及するとともに、説話集. や絵巻物に庶民の姿が見え始めたこ. 夕相換節. ・制の展開 r園公領.. 壮. を理解させる。. 4.荘園支配の動向や武士の台頭、 文化の面で武士や庶民の生活が反映 されたことに着目させ、中世社会の萌 芽を考える。. 一19・. 陰陽道、 (空也). 忌,方違.

(23) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状. 1.公家政権との抗争の中から、鎌倉 幕府が独自の武家政権を創出したこ とを考える。. 2.承久の乱を経て公武二元政権か 弟5. 帥. ら武家単独政権、執権政治となったこ とを考える。. 武家.社A 五の成立と文・化の新機. 直 早. 3.鎌倉武士の生活と、荘園経済の発 達および地頭による荘園侵略の経過 を考える。. 4.公家文化と武家文化とを対比させ ながら、鎌倉文化の特質を考えさせ 。. 山岳. 伊勢神道 (一逼). 神本仏  鑑謹. 修験道. 運. 5.貨幣経済の進展や、元題を契機と した御家人制度の崩壊が進み、悪党. 中世. らの反社会的な行動も隆盛化して、鎌 倉幕府が滅亡していったことを理解さ せる。. 1.日本の諸地域の動向に着目させ る。その際、アイヌとの交易や琉球の. 継貿易、日明貿易が日本の貨幣流 6章 武家社 会の と室町文・化片. 展 開. 弟. に大きな影響を与えたことなど東ア ジア世界との交流にも留意する。. 石清水 幡宮. 2.諸産業の発達などを背景に庶民 が台頭したこと、応仁の乱後の下克上 の風潮を背景に戦国大名が登場し、. 領国の経済発展と軍事力強化をはか ったことを多面的に考察させる。. 3.武家政権の支配の進展や庶民の. 祇園祭. 頭、東アジア世界との交流に着目さ 唯一神道. 普及の様相を理解させる。. ・20一. 地蔵尊. 扁り 流宮座. て、武家文化と公家文化のかかわ や庶民文化の萌芽、地方での文化. 一味同心 味神水.

(24) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状. 1ヨーロッパ人の来航と外来文化の 受容がそれ以後の日本の歴史に果た した役割や意義を考えさせる。 弟7. 帥. 2織田信長・豊臣秀吉の統一過程を とらえさせるとともに、検地や刀狩等を. 幕 藩. 中心に全国的な支配体制を確立する 一方で、朝鮮侵略に至る秀吉の対外. 体制あ展開と. 章. 文化. 近 世. 政策についても明らかにする。. 3徳川家康から家光に至る治世に確 した幕藩体制と対外関係を構造的 にとらえさせるとともに、大名等の統. 制のあり方や鎖国制の実態について 考えさせる。. の. 成 立. 4士農工商の身分制度の実態を明 らかにするとともに、農村や都市など. 垂加神道. の自治支配機構の諸相や近世的な 文化をとらえさせる。. 近 世. 1文治政治的な傾向を強めた幕府 政治が展開されるに至った背景をとら させるとともに、商品経済の発展が 建制に及ぼした影響を考えさせ、幕 政改革の諸相を理解する。. 義民. 大嘗祭. 服忌令. 茂葵祭. 8出. 第. 2各地の産業の発達と交通網の整. 幕. 備によって、全国的な商品流通経済. 藩 体. を考える。. あ動揺. 早. 制. 文化. と. 3欧米列強のアジア進出とその対応 の変化が幕藩体制や鎖国制に及ぼし た影響について考えさせる。. の. 成 熟. 4江戸の中・後期における町人文化 形成とその諸相、学問・思想の新た. な展開に注目して、幕藩体制の動揺 と近代化へのアプローチについてとら. 郷蔭参り 復古神道 教派神道. えさせる。. 一21・. 孟薦盆会. 庚申講. 五節句 彼岸会.  遣礼 国33ヵ所 坂東33ヶ所 秩父34ケ所 四国88ケ所. 日待. 月待.

(25) 第1章 日本史教育における民問信仰の取り扱いの現状. 1.日本開国の世界史的背景に留意 しながら、開国の衝撃を契機として幕. の政治的激動が進行した過程を理. ええじゃ. ないか. 解させる。. 2.討幕派の形成から幕府の滅亡に. 神仏分離令. いたる政治過程と、明治新政府による 弟9章 近代. 片. の転. へ. 中央主権体制の確立過程について理. 廃仏段釈. 解させる。. 3.藩閥専制政府のもとで実行された 一連の近代化政策の意義を、考察さ せる。. 換. 4.初期の対外関係の諸相について 理解させるとともに、新政府の政策が 生み出した様々 な国内問題についても理解させる。. 近5. 5.近代文化の草創期の特質を理解 させる。. 代. 1.立憲政をめぐる自由民権運動と藩. 閥政府との対抗関係の歴史を考察 し、成立した明治憲法体制の特質を 理解させる。. 2.日清・日露の両戦争を世界史的背 第1 0章. 代国 家の. 近. 景をもとに理解し、政治構造の変化に ついて考える。. 3.日清・日露の両戦争をへて日本が どのような国際的立場を獲得したの か、考えさせる。. 4.本格的な資本主義経済が成立し 形 成. たこと、経済と社会の変化がどのよう. な社会的問題を生み出したかについ ても理解させる。. 5.欧米文化の模倣と導入からはじま った日本の近代文化について考察さ. 教派神道. せる。. 一22一. 廃仏段釈.

(26) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状 第1 1 章. 間の 日 本. 両 大 戦. 市民. と. 文 化. 帥弟. 2章 十五. 1. 1.第一次世界大戦の原因と経過、そ め世界史的意義をとらえる。. 2.第一次世界大戦が日本の社会に 及ぼした変化を明らかにし、また、戦. 間期の世界の構造の特質を理解させ る。. 3.第1次護憲運動から第2次護憲運 動にいたる政党政治の成立過程を理 解する。. 4.都市化と中産階級の成長を背景 に誕生した大正・昭和初期市民文化 の理解を深める。. 1.満州事変が日本の孤立をまねい たと同時に、軍国主義への道に進む 契機となった。. 2.軍国主義化が進展する中で日中 戦争が勃発し、戦争が軍国主義のも とで総動員体制を進行させたことにつ いて理解を深める。. 3.アジア太平洋戦争の開戦にいたる 経緯を当時の国際情勢とあわせて理. 争と. 年. 戦 日. 解する。. 本. 4.戦時下の国民生活の実態につい て理解を深める。. 1.非軍事化と民主化を要とする占領 政策が戦後日本の政治・社会・経済 の基礎を築いたこと、戦後改革が実 弟13章. 帥. 現したことを理解させる。. 2.冷戦構造の深まりが占領政策を転 換させ、サンフランシスコ講和と安保. 条約によって戦後日本の対外関係の 基軸を理解させる。. 日. ジア政策に協力することによって日本. ﹃代の. 現. ⋮と新 い文・. 本. 3.高度経済成長、また、アメリカのア. は国際的地位を高めたことについて 理解させる。. し. 4.高度経済成長の終わりとともに、 55年体制の崩壊にいたる政治構造の. 化. 変化を考える。. 5.冷戦構造の崩壊による流動的な 世界情勢と日本が直面している課題 について考える。. 課題学習. 歴史の探究. 日本史の展開について、時代ごとに 切らない主題を設定して追究するこ を通じて、歴史的事象を多面的・多 的にとらえられるような、歴史的な 方や考え方を身につけさせる。. 伊勢神宮出 大社 佐八幡 沿神宮 崎大師 田山. ・23・. 三猿 人生儀礼. 地償祭. 験道 蘭盆会. 陽道.

(27) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状. 【表3】学習指導要領における民間信仰関連項目と指導内容 指導要領内容. 民間信仰関連項目. (ア)資料をよむ. 様々な歴史的資料の特性に着目. ア歴史と資料 歴史における資料の 特性とその活用及び 化財保護の意義に いて理解させる。. して、資料に基づいて歴史が叙述 されていることを理解させる。 (イ)資料にふれる. 物館などの施設や地域の文化 産についての関心を高め、文化. 財保護の重要性について理解さ せる。. (ア)目本人の生活と信仰. 衣食住の変化、習俗や信仰など 着目して、日本人の生活様式や. 神生活の推移について追究さ せる。. (イ)日本列島の地域的差異. 文化の特色、人々の生活、都市 の形成、他地域との交流などに着 目して、日本列島の諸地域におけ. 1)歴史の考察 歴史を考察する 基本的な方法を 理解させるととも. に、主題を設定し. て追究する学 習、地域社会に かかわる学習を 通して、歴史へ の関心を高め、. 歴史的な見方や 考え方を身に付. る歴史の差異について追究させ る。. イ歴史の追究 我が国の歴史の展開 について、時代ごとに. (ウ)技術や情報の発達と教育の. 普及び人々の生活の変化に着目 して、各時代における産業や生活 の中の技術、交通、情報などの発. 区切らない主題を設 定し追究する学習を. 達や教育の普及の影響について. 通して、歴史的な見方. 追究させる。. や考え方を身に付け させる。. (エ)世界の中の日本. 我が国と外国との交流や相互理 解などに着目して、外国人が日本 をどう見ていたか、また日本人が 世界をどう見ていたかについて追. けさせる。. 究させる。. (オ)法制の変化と社会. 様々な法制の特色や変化に着目 して、各時代における法と人との. かかわりや法が社会に果たす役 割について追究させる。. ウ 地域社会の歴史 と文化. 地域社会の歴史と文 化について、その地域. の自然条件や政治 的、経済的な諸条件と. 関連付けて考察させ る。. 一24一. 伊勢神宮、出雲大社、宇佐八幡 明治神宮、川崎大師、成田山、 鎮祭、人生儀礼、孟蘭盆会、 三猿、修験道、陰陽道.

(28) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状. ア日本文化の黎明 (2)原始・古代の. 自然環境や大陸からの文化の影響による生活の変化に着 目して、旧石器文化、縄文文化及び弥生文化の時代の社. 抜歯、屈葬、アニミズム、土偶、石. 棒. について理解させる。. 会・文化と東ア ジア. 原始社会の人々 生活の変化、. 和朝廷による 一、律令に基 づく古代国家の 成立と推移及び 文化の形成につ いて、東アジア世 界の動きとも関 付けて理解さ る。. (3)中世の社会・. 化と東アジア. 武家政権の成立 から戦国大名の 時代に至る武家 社会の進展と文 化の展開につい 、東アジア世. 界の動向と関連 付けて理解させ. イ古代国家の形成と東アジア が国における国家の形成と律令体制の確立の過程、晴・ など東アジア世界との交流に着目して、古代国家の展開 と古墳文化、天平文化などの文化の特色について理解させ る。. ウ 古代国家の推移と社会の変化 アジア世界との関係の変化、荘園・公領の動きや武士の 台頭など地方の動向に着目して、古代国家の推移と国風文 化の展開及び中世社会の萌芽について理解させる。. ア武家政権の成立 士の土地支配と公武関係、宋・元とのかかわりに着目し て、武家政権の形成過程と鎌倉新仏教など文化に見られる. 青銅祭器、鬼道、祖霊信仰、祈 の祭り、新嘗の祭り、瑛・祓、. 占の法、盟神探湯、宇佐八幡 神、御霊信仰、神仏習合、修験 道. 北野天神大祓、賀茂祭、祇園御 会、ひな祭、七夕、相撲節、本 地垂述説、ケガレ、陰陽五行説、 陰陽道、物忌、方違. 伊勢神道、神本仏述説、 山岳・修験道. 新しい気運について理解させる。. イ武家政権の展開と社会の変化 本の諸地域の動向、日明貿易など東アジア世界との交 流、庶民の台頭に着目して、産業経済の発展や下剋上など 中世社会の多様な展開及び武家文化と公家文化のかかわ や庶民文化の萌芽など文化の動向について理解させる。. 石清水八幡宮、唯一神道、地蔵 尊、祇園祭、盆踊り、風流、宮 座、一味同心、一味神水. 。. ア織豊政権と幕藩体制の形成 ヨーロッパ世界との接触とその影響、鎖国などその後の対 外関係、支配体制と身分制度や儒学の役割、文化の特色 に着目して、織豊政権、幕藩体制の特質について理解させ. 垂加神道. る。. (4)近世の社会・. 文化と国際関係 織豊政権及び幕 体制の特色と 移、社会・文化. の動向につい て、国際関係の 変化とその影響 も触れながら. イ産業経済の発展と都市や村落の文化 藩体制の下での経済機構や交通・技術の発展、都市の 繁栄に着目して、農業や商工業の発展及び町人文化の形 成、農山漁村の生活文化について理解させる。. 義民、大嘗祭、賀茂葵祭、服忌 令、御蔭参り、復古神道、教派 道、庚申講、孟蘭盆会、五節 句、彼岸会、巡礼、西国33所、. 坂東33所、秩父34所、四国88 所、日待・月待. 理解させる。. ウ 国際環境の変化と幕藩体制の動揺 欧米諸国のアジアヘの進出、学問・思想及び産業の新たな 展開に着目して、幕藩体制の動揺と近代化の基盤の形成 を理解させる。. ・25・.

(29) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状. ア明治維新と立憲体制の成立 文明開化など欧米の文化・思想の影響や国際環境の変化 (5)近代日本の. 成とアジァ. 開国、幕府の滅 亡と新政府の成 立からの明治時 代の近代日本の. 着目して、開国、明治維新から自由民権運動を経て立憲 制が成立するまでの我が国の近代化の推進について考. イ国際関係の推移と立憲国家の展開 条約改正、日清・日露戦争とその前後のアジア及び欧米諸 国との関係の推移に着目して、我が国の立憲国家としての. アジアにおける. 展開について考察させる。. る。. ウ 近代産業の発展と近代文化 国民生活の向上と社会問題の発生、学問の発展や教育制 の拡充に着目して、近代産業の発展と近代文化の特色 について考察させる。. (6)両世界大戦. 期の日本と世界 第一次世界大戦 から第二次世界 大戦に至る我が 国の歴史につい て、世界情勢と 国内の動きを関 付けて考察さ る。. ア第一次世界大戦と日本の経済 国際社会の中の日本の立場に着目して、第一次世界大戦 前後の対外政策の推移や大戦が国内の経済・社会に及ぼ した影響について考察させる。. イ政党政治の発展と大衆文化の形成 都市の発達と大衆社会の成立に着目して、政党の役割と政. 治や社会運動の動向及び文化の特色について考察させ る。. ウ 第二次世界大戦と日本 際社会の動向、国内政治と経済の動揺、アジア近隣諸国 の関係に着目して、対外政策の推移と戦時体制の強化な ど第二次世界大戦と日本とのかかわりにっいて考察させ る。. (7)第二次世界. 戦後の日本と 界第二次世界大戦. の終結から今日 に至る我が国の 歴史について、. 世界の動向と関 連付けて考察さ. ア戦後政治の動向と国際社会 第二次世界大戦後の国際関係の推移に着目して、占領政 と諸改革、新憲法の成立、平和条約と独立など我が国の 出発及びその後の政治の推移と新しい外交関係の確立 ついて考察させる。. イ経済の発展と国民生活 生活意識や価値観の変化に着目して、戦後の経済復興、 技術革新と高度成長、経済の国際化など日本経済の発展 と国民生活の向上について考察させる。. せるとともに、広. い視野から日本 の文化や課題に ついて認識させ る。. 仏分離令、廃仏段釈. 察させる。. 歩みについて、. 国際環境と関連 付けて考察させ. 御蔭参り、ええじゃないか、. ウ現代の日本と世界 国際理解の推進と日本文化の特色、世界の中の日本の立 場や我が国の国際貢献の拡大などに着目して、現代世界 の動向と日本の課題及び役割について考察させる。. ・26・. 教派神道、廃仏殿釈.

(30) 第1章 日本史教育における民間信仰の取り扱いの現状. 【表4】教科書に散見する民間信仰の関連項目のラフスケッチ. 神社祭礼. 小祠. 儀礼. 抜歯・屈葬 祈年の祭り 新嘗の祭り 年中行事. 祖霊信仰 八幡信仰 御霊信仰. 原始 古代. 仏教民俗. 俗信. 神仏習合 本地垂遊説. アニミズム 土偶、石棒、鬼道. ケガレ、喫・祓. 太占の法 盟神探湯 陰陽五行説 物忌・方違. 中世. 祇園信仰 伊勢神道 一神道. 地蔵尊. 近世. 庚申講 義民. ええじやないか. 近現. 修験道一味同心. 踊り. 石清水八幡宮. 賀茂葵祭 復古神道 伊勢信仰. 陰陽道 山岳信仰. 祇園祭 宮座 風流 五節句 彼岸会 孟蘭盆会 日待・月待. 一味神水 服忌令. 神仏分離令 仏鍛釈. 教派神道. 課題 習. 垂加神道 巡礼. 歴史の探求. 日本人の生活と信仰. (2)教科書に散見する民間信仰関連の記述分析.  【表2】∼【表4】で示した、教科書に散見する民問信仰の関連項目を対 象として、以下に示す分析視点をもとに、教科書記述の分析をおこなった。. 分析結果は【表5】である。. 分析視点. A…成立背景、信仰についての記述 B…歴史事象との因果関係での記述 C…現代的視点の記述. 一27・.

参照

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