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Microsoft Word - A7_白血病タイピングR.DOC

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(1)

はじめに

目印(マーカー)の効用

血球は、すべて骨髄中の造血幹細胞を起源として、それぞれの細胞系統(cell lineage)に分化します。幹細胞から分化 した細胞は、それぞれの細胞系統に固有の分化段階を経て成熟し、末梢血に放出されます。分化・成熟に伴う形態学的、 機能的変化を反映して、細胞表面には各種のタンパク分子(細胞表面抗原)が発現または消失します。したがって、この ような分子を「目印」(マーカー)にして、「白血病細胞がどのような細胞表面抗原を発現しているか」を調べることで、細胞 系統や分化・成熟段階を推測できます。これが「白血病タイピング」です。

フローサイトメトリーの原理

フローサイトメトリー(略して FCM)とは、細胞あるいは細胞成分を浮遊液の状態にして、流体系の中を高速で通過させ、 そこにレーザ光線等を照射して各細胞から得られる光学的情報を検出部を通して電気信号に変換し、さらにコンピュータ を使って各細胞の生物学的特徴を研究解明していく分野として定義されています。このための装置を総称して、フローサ イトメーターと呼びます。 z フローセル中の細胞にレーザが照射されると、前方散乱光(FS;細胞の大きさと関連)、側方散乱光(SS;細胞の内 部構造と関連)、および蛍光を検出することができます。 z 白血球の前方、側方散乱光を 2 次元でプロットすると(サイトグラム)、リンパ球・単球・顆粒球分画が得られます。 z 分析したい領域にゲートを設定すると、その領域内にある細胞の蛍光強度分布ヒストグラムが得られます。 z 設定したゲート内における蛍光陽性群の占める割合=抗体の陽性率 リンパ球 単球 顆粒球 FS

白血病細胞マーカー分析

(白血病タイピング)

7

Air-cooled Argon Ion Laser

FL1

FL2 FL3

FL4

FL5 Side Scatter Red Solid-

(2)

タイピング抗体の選択

Ⅰ. 特異性と感度

細胞を分類するためのマーカーは、「特定の細胞系統または分化段階に限って発現し、他には発現しない」(特異性; specificity)、「特定の細胞系統または分化段階には必ず発現する」(感度;sensitivity)の両方を満たすことが要求されま す。しかし、現実には特異性と感度を同時に満たす細胞表面抗原はほとんど存在しません。例えば、T 細胞マーカーでは、 pan-T 細胞マーカーとされる CD2、CD5、CD7 はいずれも感度の面では申し分ありませんが、T 細胞以外の細胞系統 にも発現がみられます。一方で、T 細胞に特異的な CD1a や CD3 は、いずれも T 細胞の分化・成熟段階の特定の ステージにしかみられません(表1)。 表 1: T 細胞マーカーの特異性と感度

マーカー

未熟 T 細胞 中間型 T 細胞

成熟T細胞

B 細胞

NK 細胞

骨髄細胞

CD2

+/-

CD5

-/+

CD7

+/-

-/+

CD1a

CD3

したがって、T 細胞系統を特定するには、これらのマーカーを複数用いて、総合的に判断を下す必要があります。同じこと が、他の細胞系統にもいえます。このため、主として表 2 に掲げた細胞表面マーカーから 15~20 種類程度を選択して 組み合わせた「抗体パネル」を用いて白血病タイピングが行われています。 今後は、このほかにも、腫瘍細胞の薬剤耐性をみる上でも有用な MDR1(P-glycoprotein)(文献 1)、フィラデルフィア 染色体陽性の ALL 細胞に発現する KOR-SA3544(文献 2)などの染色体異常に関連したマーカーも、抗体パネルに追 加されていく可能性があります。 表 2: 白血病タイピングで用いられる細胞表面マーカー

T 細胞系

B 細胞系

骨髄系

赤芽球系

巨核球系

その他

CD1a

CD2

CD3

CD4

CD5

CD7

CD8

TCRαβ

TCRγδ

CD19

CD20

CD22

CD23

FMC-7

Ig-κ

Ig-λ

CD11c

CD13

CD14

CD15

CD33

CD64

CD65

CD117

CD235a

(Glyco-phorin A)

CD41

CD42b

CD61

CD10

CD25

CD34

CD36

CD38

CD45

CD56

CD71

HLA-DR

Ⅱ. 標識蛍光色素の選択

近年のフローサイトメトリーの進歩、特に PE 標識抗体が普通に用いられるようになり、従来は検出できなかったレベル の細胞表面抗原でも解析できるようになっています。白血病タイピングにおいても、発現の弱いマーカー、例えば CD10、 CD13、CD19、CD33、CD34、CD117 などに PE 標識抗体を用いれば、より高感度にマーカーを検出することができ ます。

(3)

陽性率 50% 陽性率 50%

細胞表面マーカー分析のポイント

一般に、白血病タイピングは「リンパ球サブセット分析に比べて難しい」と考えられていますが、これは主に次のような 理由によります。 z 検体が骨髄液だったり、細胞数が異常に多い(あるいは少ない)など、サンプルに特別の前処理を要することが多い。 z FCM のサイトグラム上で、解析する細胞集団の位置(ゲーティング領域)が決まってない。 z 蛍光ヒストグラムのパターンが一定でなく(しばしば蛍光強度が低かったり、抗体の非特異的反応が強い)、検体中 の白血病細胞の割合も様々なため、データの解釈が難しい。 すなわち、これらが白血病タイピングのキーポイントであり、これらの要因をクリアできれば白血病タイピングはそれ ほど難しいアプリケーションではないということができます。

Ⅰ. 検体(サンプル)の前処理

白血病タイピングに用いるモノクローナル抗体試薬の至適細胞数は、おおむね 0.3~1x106個/テストです(製品ライン により異なりますので、添付文書またはデータシートを参照して下さい)。したがって、白血球数の異常に多い検体 (WBC が 10,000/μL 以上)は希釈し、異常に少ない検体(WBC が 1,000/μL 未満)はバフィーコートに濃縮します。 また、白血病検体では、しばしば Fc レセプタを介した非特異的反応が強くみられることがありますので、分離単核球を 検体とするときは、必ず Fc レセプタのブロッキング操作を行ってください。

Ⅱ. サイトグラム上での白血病細胞のゲーティング

リンパ球サブセット分析の場合は、解析ゲートを常にリンパ球領域に設定すればよいのですが、白血病タイピングでは、 白血病細胞が分布する領域にゲートを設定しなければなりません。白血病タイピングに用いる検体は、しばしば検体中 の腫瘍細胞の割合が少ない(正常血球の割合が高い)ことがあります。白血病細胞の割合が少ないほど、サイトグラム では白血病細胞以外の正常リンパ球、単球、顆粒球等の集団の比率が大きくなるため、正しいゲーティングが困難に なります。骨髄液では赤芽球の混入も考慮しなければなりません。このように、白血病細胞の割合の少ない検体では、 解析ゲートの設定や結果の解釈が困難となる場合があります。 散乱光のサイトグラムは、細胞の大きさと内部構造(顆粒密度など)を反映しますので、リンパ系腫瘍はおおむねリンパ 球領域、あるいはそれより前方散乱が強い領域に分布します。非リンパ系腫瘍では、分化度の低い AML-M1 はおおむ ねリンパ球領域かリンパ球領域と単球領域の中間に、分化段階が進むにしたがって側方散乱が強くなり、AML-M3(APL)では顆粒球領域に近接した位置に分布する傾向がみられます(文献 3)。したがって、白血病細胞のゲーティ ングには、形態学的情報が重要です。 CD45 蛍光を用いた白血病細胞のゲーティングについては後述します。

Ⅲ. 蛍光ヒストグラムのパターン(分析結果の解釈)

白血病細胞は細胞表面抗原の発現に異常をきたしている場合が少なくなく、多くのマーカーでしばしば蛍光強度に異常 がみられます。蛍光強度が異常に低い場合、「陽性」集団のピークが陰性コントロールで設定した「陽性」領域より「陰性」 側に分布することがあります。この場合、見た目の「陽性率」は低くなります。例えば、「陽性率 50%」という結果は、陰性 細胞と明らかな陽性細胞が半々である場合(図1左)以外に、100%陽性でも蛍光強度が低いために半分が「偽陰性」に なっている場合(図1右)も考えられます。したがって、白血病タイピングの分析結果を「陽性率」の数値だけで判断する のは危険で、ヒストグラムデータを添付するか、図1右のような場合は、「弱陽性」など何らかのコメントを付す必要があり ます。CLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute:旧 NCCLS)のガイドライン(H43-A2)や JCCLS のガイド ライン(H2-P)でもこの点が指摘されています(文献 4,25)。

(4)

Ⅳ. 「陽性」、「陰性」の判別

これから白血病タイピングを行うという方から、しばしば「陽性率が何%以上なら陽性と判定するか?」というご質問を いただきます。文献では、陽性率 10~40%の範囲でカットオフ値を設定しているものが複数みられますが、前述の理由 から、すべてのマーカーに画一的に「カットオフ陽性率」を設定するのは適当でないと考えられます。さらに、検体中の 白血病細胞の割合が様々であり、用いるマーカーの多くが正常血球(の一部)にも反応することから、マーカーごとで あってもすべての検体に画一的にカットオフ値を設定することはできません。 したがって、「陽性」(あるいは「弱陽性」)と「陰性」の判定は、 ● 解析ゲート中に正常血球がどれくらい含まれているか(白血病細胞の純度) ● そのマーカーが混入する正常血球成分にどのくらい反応するか(マーカーの特異性・感度) ● 白血病細胞のマーカー発現が十分に強いか(蛍光ヒストグラムのパターン) の 3 点を常に念頭に置いて判断する必要があります。

(5)

CD45

ゲーティングの有用性

CD45 は白血球共通抗原(Leukocyte Common Antigen; LCA)として知られています。正常骨髄において、細胞系統 や分化段階によって、CD45 の発現レベルに違いがみられること(文献 5)や、急性白血病、特に CD20 陰性の B 細胞 性 ALL で高率に「CD45 陰性」の症例がみられ、「CD45 陽性率」が低いほど予後が良いことが報告されています(文献 6)。その後、CD45 蛍光と側方散乱で白血病細胞を精度良くゲーティングする方法論が提案され(文献 7-9)、現在では ルーチンの白血病タイピングでも、CD45 を用いる施設が増えています。 CD45 ゲーティングでは、リンパ球および単球より CD45 蛍光が弱く、側方散乱が同程度の位置に分布する集団が白血 病細胞(芽球細胞)になります(図 2 下)。 ただし、この方法論では、多くの成熟リンパ腫瘍など、CD45 の発現レベルが正常リンパ球と変わらないものは分別でき ません。このため、従来の前方散乱×側方散乱によるゲーティングを併用する必要があります。CD45 の蛍光強度には 抗体により差異がみられることが報告されていることからも、CD45 ゲーティングには J33 抗体が適しています(文献 10)。 図 2 CD45 ゲーティングによる白血病タイピング例

CD45 dim blast

CD45-gating

Mononuclear cell

CD45 dim blast

Scatter-gating

(6)

MPO/CD79a/CD45

CD19/CD33/CD45

細胞質内マーカーの有用性 前述のように、細胞表面抗原には、いずれの細胞系統においても特異性と感度を同時に満たすマーカーは見出されて いません。一方で、CD3 など系統特異性の高い分化抗原のいくつかが、分化段階の初期から細胞質内に存在している ことは以前から知られていました。しかし、容易かつ確実な分析方法が確立されていなかったこともあり、フローサイトメト リーによる細胞質内抗原の検出は、長い間、限られた研究室のみで行われるアプリケーションでした。現在では、固定・ 膜透過処理試薬(IntraPrep)が市販されており、細胞質内抗原の検出が容易になったことから、このアプリケーションの 白血病タイピングへの応用が幅広く行われるようになってきました。

欧州 7 カ国の研究者で構成される European Group for the Immunological Classification of Acute Leukemias (EGIL) は、1995 年に急性白血病の免疫学的分類に関する基準案を発表しています(文献 11-13)。この基準案では、 各細胞系統を規定する上で、細胞表面マーカーに加え、cyCD3,cyCD79,MPO などの細胞質内マーカーも重用して います。また、Biphenotypic Acute Leukemias (BAL)の鑑別に関して、下表のようなスコアリングシステムを提唱して います。このスコアリングシステムでは、CD3、CD79、MPO 等の細胞機能に直接関わる、系統特異性の高い細胞質内 マーカーに高いポイントが付けられています(表3)。

表 3: Biphenotypic Acute Leukemias (BAL)*鑑別スコアリングシステム(EGIL)

ポイント**

B 細胞系

T 細胞系

骨髄細胞系

2

CD79a

cy IgM

(cy) CD22

(cy/m) CD3

TCR-α/β

TCR-γ/δ

MPO

1

CD19

CD10

CD20

CD2

CD5

CD8

CD10

CD13

CD33

CD65

CD117

0.5

TdT

CD24

TdT

CD1a

CD7

CD14

CD15

CD64

注) * : B 系または T 系のいずれか一方と、骨髄細胞系が 2 ポイント以上の場合に BAL と判断。 ** : 各陽性マーカーについて、それぞれ対応するポイントを加算する。 細胞質内マーカーには細胞系統に固有の機能に直接関係するものが多く、その分析結果は、系統特異性をより強く 反映していると考えられます。 図 3 に分析例を示します。細胞表面抗原では、白血病細胞は B 細胞系統、骨髄細胞系統の Biphenotype を呈します が、細胞質内マーカーでは、CD79a 陽性 MPO 陰性であり、この細胞が B 細胞起源であることがわかります。正常な 顆粒球は CD79a 陰性 MPO 陽性であり、分析の過程には問題なかったことが分かります(図 3 下側)。 このように、CD45 ゲーティングに加えて、細胞表面マーカーと細胞質内マーカーを併用することで、白血病タイピングの 確実性が高まることが期待されます。 図 3 Biphenotype Leukemia の細胞質内マーカー分析例

(7)

また、同じく細胞内抗原を応用した例として、aberrant expression の認められる ALL や AML と上記の Biphenotypic acute leukemia に相当する mixed-lineage leukemia を鑑別する基準も提唱されています(文献 14)。この基準におい ても細胞系統特異性の高い CD3,CD79a,MPO などが採用されています(表4)。

表4: 骨髄系マーカー陽性 ALL、リンパ系マーカー陽性 AML、mixed-lineage leukemia の鑑別基準(Campana et al.)

B-lineage My

+

ALL *

Ly

+

AML *

Leukemic cells are:

1. CD79a+ or cIgμ+ or CD19+ and CD22+ 2. CD3-

3. MPO-

and express CD13,CD15,CD33, or CD65

Leukemic cells are:

1. MPO+ or express at least two other My markers

2. CD3- 3. CD79a-

and express CD2,CD5,CD7,CD19,CD22 or CD56

T-lineage My

+

ALL *

“True” mixed-lineage leukemia

Leukemic cells are:

1. CD7+ and CD3+(surface or cytoplasmic) 2. CD79a-

3. MPO-

and express CD13,CD15,CD33, or CD65

Leukemic cells coexpress: 1. MPO and CD79a or cIgμ or

2. MPO and CD3 or

3. cCD3 and cIgμ

*:すべての基準を満たすこと。

My+ALL:骨髄関連抗原陽性の ALL, Ly+AML:リンパ系抗原陽性の AML

多発性骨髄腫細胞解析における

CD38

ゲーティングの有用性

多発性骨髄腫(Multiple Myeloma)は、骨髄において形質細胞が単クローン性かつ進行性に増殖している造血器腫瘍の 一種であり、高齢者で多く認められます。その解析には、形質細胞が CD38 強発現であることを利用したゲーティング (CD38 ゲーティング)が一般的に行われており、形質細胞のみを識別することが可能です。抗 CD38 抗体を用いたゲー ティングと多重染色による表面抗原解析から、形質細胞を多クローン(CD19+CD56-)単クローン(CD19+CD56+ or CD19-CD56+ or CD19-CD56-)に判別でき、他の抗体を組み合わせることで、その分化段階も知ることができるとされ ています(文献 15)。 しかし、CD38 抗原は形質細胞に特異的なマーカーではなく、T 細胞、B 細胞、単球等にも発現していることや、骨髄腫 細胞の CD38 発現量が低い症例も存在することから、CD38/SSC によるゲーティングのほかに CD38/CD45 を用いた ゲーティングの併用や形質細胞に対して特異性が高い抗 CD138 抗体により CD38 によるゲーティング領域の適正を判 断するなどの方法も利用されています。 図4 抗 CD38 抗体を用いた骨髄腫細胞ゲーティング例

CD38/SS

CD38/CD45

(8)

参考文献

1. 和田守正ほか(1998): Mebio vol. 15: 121-130. 2. T. Mori, et al. (1995): Leukemia vol. 9: 1233-1239. 3. 青木定夫(1987): 日血会誌 vol. 50: 958-970.

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6. F.G. Behm, et al. (1992): Blood vol. 79: 1011-1016.

7. G.T. Stelzer, et al. (1993): Ann. NY Acad. Sci. vol. 677: 265-280. 8. M.J. Borowitiz, et al. (1993): Am. J. Clin. Pathol. vol. 100: 534-540. 9. 西川 潔ほか(1996): 臨床病理 vol. 44: 548-553.

10. C.W. caldwell, et al. (1993): Blood vol. 81: 562-563 (Letter). 11. MC Bene, et al. (1995): Leukemia vol. 9: 1783-86.

12. MC Bene,et al.(1998): Blood vol.92: 596-599 13. EGIL,1998:Leukemia vol.12: 2038

14. D Campana,et al.(2000): J.Immunol.Methods vol.243: 59-75 15. 河野 道生(1999): 現代医療 vol.31:245-252

16. CH Pui, et al. (1993): Blood vol. 82: 343-362.

17. BF Haynes, et al. (1989): Immunology Today vol. 10: 87-91.

18. EL Reinherz and SF Schlossman (1981): Cancer Res. vol. 41: 4767-4770. 19. FM Uckun (1990): Blood vol. 76: 1908-1923.

20. KC Anderson, et al. (1984): Blood vol. 63: 1424-1433. 21. AS Freedman, et al. (1987): Blood vol. 70: 418-427. 22. HG Drexler (1987): Leukemia vol. 1: 697-705. 23. JD Griffin, et al. (1986): Blood vol. 68: 1232-1241.

24. SF Schlossman, et al. (ed.) : Leucocyte Typing V, 1995, Oxford. .

(9)

【付 1】 白血病細胞マーカー分析に用いられるマーカーの分布図および注意点

(文献 16-24)

( 細胞表面 細胞質内)

T 細胞系(および関連)

分布範囲 CD

推奨

する

標識

Stem Celll Pro-thymic Cell Early Thymocyte Inter-mediate Thymocyte Mature Thymocyte Circulating T-Cell 備考 CD1 CD2 NK の大半が+ CD3 細胞質内染色有用 CD4 単球は dull+ CD5 B-CLL の 95%で+ CD7 AML の一部+、NK+ CD8 NK の一部+ CD34 PE

B 細胞系(および関連)

分布範囲 CD

推奨

する

標識

Stem Celll Early Pre-B PreB Immature B Mature Resting B Activated B Plasma Cell 備考 CD10 好中球は dull+ CD19 PE CD20 正常 B は bright+ CD22 CD79 細胞質内染色有用 CD38 形質細胞は Bright+ CD34 PE HLA-DR B、単球、活性化T、 骨髄細胞が+ Igκ 免疫グロブリン軽鎖 Igλ 免疫グロブリン軽鎖

骨髄系(および関連)

分布範囲 CD

推奨

する

標識

Mono Pro-mono CFU-GM Myelo- blast Pro-myelo Myelo PMN 備考 CD13 PE CD14 Gr と一部 B が dull+ CD33 PE CD34 PE CD117 PE HLA-DR B、単球、活性化T、 骨髄細胞が+

(10)

【付 2】 白血病細胞マーカー分析パネル例 《3 カラー分析,急性白血病》

≪3 カラー分析パネル設定にあたっての注意事項≫

1. CD45 ゲーティングすることで、腫瘍細胞の割合の少ない検体でも正常細胞と異常細胞の区別が容易になる。 CD45 ゲーティングが有効でない場合は、散乱光サイトグラムでゲーティングする。 2. 検出感度と蛍光強度のバランスを考慮して、発現の弱いマーカーや陽性・陰性の分離が悪いマーカーに PE 標識を使用する。 例: CD10、CD13、CD33・・・・・…FITC 標識では、偽陰性の恐れがある。 3. 抗体の isotype が IgG2a/IgG2a、IgG2a/IgG2b、IgG2b/IgG2b となる組み合わせでは、抗体の非特異反応に よる false double positive が起こる場合があるため、片方が IgG1 となるように設定するとよい。

4. 各蛍光色素間の蛍光コンペンセーションを必ず調整・確認する。とくに、PC5 蛍光への PE 蛍光の漏れ込み 補正が適切でないと、CD45 陰性~弱陽性の細胞集団の分布位置が試験管によってばらつくことがある。

≪白血病解析パネル例 1 - 18 項目分析≫

FITC

PE

PC5

1 MsIgG(control) MsIgG(control) CD45

2 CD2

CD56

CD45

3 CD4

CD8

CD45

4 CD3

CD1a

CD45

5 CD5

CD19

CD45

6 CD20

CD10

CD45

7 CD7

CD13

CD45

8 CD14

CD33

CD45

9 HLA-DR

CD34

CD45

10 CD41 CD235a

(Glycophorin A)

CD45

≪パネル説明≫

① コントロール抗体のアイソタイプはパネル抗体と同一のものを推奨いたします。 ② T 細胞系と NK 細胞系の把握。T 細胞は CD2+/CD56-、NK 細胞は CD2+/CD56+(CD3+T 細胞のごく一部も CD56+)。CD56 は骨髄系腫瘍でも陽性となることがある。 ③ T 細胞の CD4,CD8 比率把握。ATL では CD4↑CD8↓、伝染性単核球症では CD4↓CD8↑。中間型胸腺段階 では CD4+/CD8+。 ④ T 細胞系と分化段階の把握。CD3 は T 細胞系に特異性の高いマーカー。中間型胸腺段階では CD3-/CD1a+ (細胞質内 CD3 は+)。 ⑤ CD5 は T 細胞系マーカーであるが、B-CLL の場合、CD5+/CD19+(CD20+)となる。 ⑥ Pre-B 段階では CD10+/CD20-(CD19+)。成熟 B 細胞は CD10-/CD20+(CD19+)。 ⑦ CD7 は T 細胞マーカーであるが、骨髄系腫瘍で陽性となることがある。CD13 は骨髄系マーカー。 ⑧ 骨髄系と単球系の把握。CD14 は単球系マーカーであるが、M4,M5 では陰性の場合もある。CD33 は骨髄系 マーカーであり、成熟単球は CD14+/CD33+。 ⑨ CD34 陽性あるいは CD34+/HLA-DR+で他のマーカーが陰性の場合は造血幹細胞由来の可能性があり、CD7 も陽性の場合は可能性が更に高い。 ⑩ 赤芽球は CD235a(Glycophorin A)+なので、骨髄検体の場合、CD45-の細胞集団が白血病細胞かどうかの確認

(11)

≪白血病解析パネル例 2 - 18 項目分析≫

FITC

PE

PC5

1

MsIgG(control) MsIgG(control)

CD45

2 CD2

CD56

CD45

3 CD3

CD5

CD45

4 CD4

CD8

CD45

5 CD34

CD10

CD45

6 CD20

CD19

CD45

7 CD7

CD13

CD45

8 CD14

CD33

CD45

9 HLA-DR

CD117

CD45

10 CD41

CD235a

(Glycophorin A )

CD45

≪パネル説明≫

① コントロール抗体のアイソタイプはパネル抗体と同一のものを推奨いたします。 ② T 細胞系と NK 細胞系の把握。T 細胞は CD2+/CD56-、NK 細胞は CD2+/CD56+(CD3+T 細胞のごく一部も CD56+)。 CD56 は骨髄系腫瘍でも陽性となることがある。 ③ T 細胞系の把握。T 細胞は CD3+/CD5+、B-CLL における CD5 陽性例では CD3-/CD5+(CD19+,CD20+)となる。 ④ T 細胞の CD4,CD8 比率把握。ATL では CD4↑CD8↓、伝染性単核球症では CD4↓CD8↑。中間型胸腺段階では CD4+/CD8+。 ⑤ CD34 陽性で他のマーカーが陰性の場合は造血幹細胞由来の可能性あり。pre-B 段階では CD10+(CD19+,CD34 も しばしば陽性)。 ⑥ B 細胞系の把握。成熟 B 細胞は CD19+/CD20+。Pre-B 細胞では CD19+/ CD20-(⑤の CD10 も参照)。 ⑦ CD7 は T 細胞マーカーであるが、骨髄系腫瘍で陽性となることがある。CD13 は骨髄系マーカー。 ⑧ 骨髄系と単球系の把握。CD14 は単球系マーカーであるが、M4,M5 では陰性の場合もある。CD33 は骨髄系マーカー であり、成熟単球は CD14+CD33+。

⑨ HLA-DR は B 細胞系白血病や AML のほとんどで陽性(APL では陰性)。CD117 は骨髄性白血病の多くで陽性。 ⑩ 赤芽球は CD235a(Glycophorin A)+なので、骨髄検体の場合、CD45-の細胞集団が白血病細胞かどうかの確認も可

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【付3】白血病解析に用いられる抗体

JCCLS ガイドライン(H2-Pv1.0 文献 25)より引用

【急性白血病のための抗体】 1. 主に B リンパ球系と反応 CD19:B リンパ球系 ALL のほとんどすべてに発現。 骨髄性白血病でも時に陽性。 CD20:CD19 よりは低頻度 CD22:通常発現しているが dim。細胞質により強く 発現。 CD10:B リンパ球系 ALL の多数に発現。T-ALL でも発現。

CD79a:B リンパ球系 ALL の大部分に発現。AML でも発現例あり。

SmIgM,monoclonal immunoglobulin light chain: B リンパ球系 ALL の一部に発現。 2. 主に T リンパ球系と反応 CD2: T-ALL の大部分に発現。AML でも発現例あり。 CD5: T-ALL の大部分に発現しているが、しばしば dim。 CD7: T-ALL で最も高頻度に発現。AML の一部にも 発現 CD3: 発現頻度は高くないが T リンパ球に特異的。 細胞質内 CD3 は T-ALL の最も特異的で sensitive なマーカー CD1a:しばしば発現。CD4,CD8 を同時に発現する こともあり。 CD71:大部分で陽性。 CD38:大部分で陽性。 3. 主に骨髄系細胞と反応する抗体 CD13,CD33: 骨髄系白血病のほとんど全例でいず れかが発現。しばしば ALL(T,B)でも。 CD14: 単球系への分化を示す骨髄系白血病でしば しば陽性。 CD15,CD11b: 分化傾向を示す骨髄形白血病で陽性 CD41,CD61: 巨核芽球性白血病の診断に有用 CD235a(Glycophorin A): 赤白血病の診断に有用 CD34: 造血幹細胞のマーカー

HLA-DR: AML,B-ALL のほとんどで陽性。T-ALL,APL ではしばしば陰性。

TdT: ALL(T,B)の大多数で陽性。AML でもしばしば 陽性。

【慢性リンパ性白血病やリンパ腫のための抗体】 1. 主に B リンパ球と反応

細胞表面免疫グロブリン: light chain restriction を 示す

CD19,CD20,CD22,CD37:B-ALL で通常陽性 CD10: follicular center B cell から発生したリンパ腫

や白血病で陽性。B-CLL では陰性。 CD23,CD5,CD20:CLL/SLL(small lymphocytic lymphoma)と MCL(mantle cell

lymphoma)の鑑別に有用

CLL/SLL:CD23+,CD5+,CD20 dim MCL:CD23-,CD5+,CD20 bright CD103: hairy cell leukemia で陽性

CD25 と CD11c:同時に発現すると hairy cell leukemia に特徴的 2. 主に T リンパ球と反応 CD3,CD2,CD5: T-CLL の大部分で陽性 CD8 or CD4: T-CLL の大部分はどちらかが陽性 CD5: B 細胞性白血病・リンパ腫の一部、特に B-CLL で陽性 CD7: T 細胞性腫瘍でしばしば消失。 αβTCR: T 細胞性リンパ腫の大半で陽性 3. 主に骨髄系細胞と反応する抗体、その他 CD11c: B-CLL の一部、特に hairy cell leukemia で

陽性

CD56,CD57: large granular lymphoproliferative disease でしばしば陽性

CD25,CD30,HLA-DR: transformed lymphocyte 由来 のリンパ腫でしばしば陽性 CD38: 形質細胞性腫瘍で強陽性

(13)

【付4】TQ-Prep による白血病検体処理法フローチャート

末梢血検体

細胞数調 整(3~10×10

6

/mL)

① 希釈 (>10×10

6

/mL の場合)

同一患者 血 漿または正常 AB 型血漿または

EDTA 加 NBS で希 釈

患者血漿・・・・・・・・・・患者末梢血を 500×g で

5 分間遠心した上 清

EDTA 加 NBS・・・・・培養用新生仔ウシ血清に

EDTA を添 加 (0.15%)

② 濃 縮 (<3×10

6

/mL の場合)

検体を 500×g で 5 分遠心後、上清を吸引除去

骨髄液・リンパ節

血清加PBSを添加して遠心洗浄

4℃ 400×g で 4 分間遠心

上清除去

同一患者 血 漿または正常ヒト AB 血清または

EDTA 加 NBS に再浮遊

細胞数調 整(3~5×10

6

/mL)

(末 梢 血 検体と同様 に操作する)

ナイロンメッシュ(40μφ)でろ過

A M L - M 4 ま た は M 5 等 、 非 特 異 結 合 が 著 し い と 予 想 さ れ る 場 合 は ヒ ト γ ― グ ロ ブ リ ン を 最 終 濃 度 5mg/mL 程 度 に な る よ う に 添 加 す る 。 正 常 ヒ ト A B 血 清 な ら ば 最 終 濃 度 2~ 5%に な る よ う に 加 え る 。 室 温 で 30 分 放 置 。

試 験管( 12×75mm)に検体とモノクローナル抗体を分注

よ く攪拌 し、 インキ ュベ ーショ ン( 室温 30~45 分,遮光)

TQ-Prep で溶 血処理

5~ 10 分 放 置 後PB Sで 洗浄( 2 回 、サイ トス タット , IOTest は 1 回 でも可 )

400~450×g で 5 分間遠心、上清除去

適 量の 0.5%PFA 加 PBS に再浮遊(直ちに測定する場合は PBS でも可)

細 胞 凝集塊 等の 異物が ある 場合は ナイ ロンメ ッシ ュでろ 過

FCM にて 測定

(14)

Immunophenotyping Results

考えられる白血病細胞型

使用する抗体

中間型

(胸

)T

細胞

成熟T

成熟B

骨髄球

単球

前骨

赤芽

球系

巨核球系

幹細胞

CD1a

CD2

CD3

CD3

(細胞質内)

CD4

CD5

CD7

CD8

CD19

CD20

CD79

(細胞質内)

CD13

CD14

CD33

CD10

CD34

CD41

CD56

CD117

HLA-DR

Glycophorin A

:+ :+/- :-

表 3:  Biphenotypic Acute Leukemias (BAL)*鑑別スコアリングシステム(EGIL)  ポイント**  B 細胞系  T 細胞系  骨髄細胞系

参照

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