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博士(工学)高谷裕浩 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)高谷裕浩 学位論文題名

Fraunhof er 回折による超精密加工表面テクスチャの 測定評価法に関する研究

学位論文内容の要旨

  近年 の高度情 報化社会 の発展 において 、大規 模集積回路を生み出す半導体製造 技術お よび光 情報通信 、光コ ンピュー ク技術 の中核となる光技術は欠かせないも のとナよってきており、それらの先端技術を支える基盤技術として、超精密加工技 術の重要度はますます高まってきている。また、応用分野も多岐にわたっており、

その発 展は単 なる既存 製品の 機能向上 をもた らすのみでなく新たな製品を生み出 していく原勁カとなっている。

  現在nm (10‑9fll)の 加 工 精度 を 実 現し て い る超 精 密 加工 は 、 機 械、 工 具 、 材料といった基本的な加工要素の高精度、高機能化にとどまらず、設備保全技術、

加工技術、言十測技術、加工環境管理技術ナよど加工に関する周辺技術の全てが高度 に整備 され、 それらが 適切に 監視、制 御され て初めて達成される。従って、安定 した高 精度加 工の実現 に加え さらに精 度の向 上をはかるためには、個々の要素技 術の高 精度化 とともに 加工プ 口セス全 体を考 慮した加工工程管理や製品管理のシ ステム を整え ていく必 要があ る。その ために はナノメータオーダの表面テクスチ ヤを加 工中あ るいは加 工直後 に定量的 に評価 できるインプ口セス計測技術の開発 が不可 欠な要 素となっ てきて おり、従 来の触 針式組さ計をインプロセス計測ヘ適 用 す る た め に は 、 困 難 な 問 題 が 数 多 く 残 さ れ て い る の が 現 状 で あ る 。   そこ で、本研 究はイン プロセ ス計測へ の対応 を考慮した超精密加工表面テクス チャ測 定評価 技術の開 発を目 的とし、Fraunhofer回折に基づく新しい測定評価法 の提案 、表面 テクステ ャに含 まれる粗 さおよ び傷などの表面欠陥と微細溝形状の 具体的 な評価 方法の提 示、さ らに光学 式非接 触センサの試作および計算機による 測定デ 一夕処 理システ ムの開 発とそれ を用い た測定評価実験による本測定法の有 効 性の 検 証 を行 っ た も のであ り、本論 文はそ れらの成 果を鍵 めたもの である。

  本 論 文 は全8章 か ら構 成 さ れて お り、 各 章 の概 要は 以下の とうりで ある。

  第1章では 、超精密 加工表 面テクス チャの 測定評価 法におけ る問題 点を指摘す るとと もにそ の原因の 分析と 解決への アプロ ―チにっいて概説し、本研究の必要 性と目的及び研究の概要にっいて述べている。

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  第2章では、まず超精密加工技術の現状にっいて調査し、代表的なものとして 超精密ダイヤモンド切削加工技術、超精密研磨加工技術そして微細溝のりソグラ フィ一加工技術にっいてまとめている。そして、特にりソグラフイ―技術に関連 し、加工環境によって測定技術への新しい要求が生まれている顕著な例としてク リーンルーム技術にっいても言及している。

  次に従来のナノメータオーダの精度をもっ表面測定技術にっいて調査し、表面 テクスチャを構成する表面粗さ、表面微細欠陥そして表面微細溝形状の各々に対 するインプロセス計測の観点から問題点を指摘し、本論文で提案している測定方 法の位置づけを行なっている。

  第3章では、本測定法の基本原理である光学的フーリエ変換の原理にっいて述 べており、Fraunhofer回折理論の数学的な展開とレンズの位相変換作用を用いた 場合の光学系の構成方法にっいてまとめている。また、表面の微細な幾何学的形 状とFraunhofer回折光強度の間の数学的関係を導入し、Fraunhof er回折光強度に よる表面テクスチャの評価方法にっいて言侖じている。

  第4章では、超精密切削加工によって創成される周期的表面粗さを対象とし、

その測定評価法にっいて検討している。まず、切削加工表面における幾何学的形 状とFraunhofer回折光強度との関係の理言侖的な解析結果に基づく表面粗さの定量 的な評価 方法を提案 し、計算 機シミュレーションによる解析から200nm以下 の超精密切削加工表面粗さを10%以内の誤差で測定評価できることを明らかに した。さらに、公称値8nm R.axの磁気ディスク表面に対する測定実験を行い、

提案した測定評価法の有効性を示した。

  次に、インプ口セス測定センサの開発を行い、ナノメータオーダの粗さを持つ 超精密ダイヤモンド切削面の回転中の測定を試み、本測定法のインプロセス測定 への適用性を示した。また、これらの成果をもとに、切削加工中の工具摩耗や工 具送り量などのモニタリングの基礎的な解析方法として、Fraunhofer回折による 表 面 祖 さ の パ ワ ー ス ペ ク ト ル 推 定 法 の 解 析 を 行 な っ て い る 。   第5章では、超精密研磨加工によって創成されるランダム表面粗さを対象とし、

その測定評価法にっいて検討している。まず、ランダムな表面祖さを統計モデル で表わし、統計モデルとFraunhof er回折光強度との関係を理論的に解析し、それ に基づいてランダム表面粗さの自乗平均平方根粗さを定量的に評価できる方法を 提案している。また、ランダム表面モデルによる計算機シミュレ―ションによっ て120nm以 下 の 超精密研 磨加工表 面粗さを10%以内の誤 差で測定 司能であ ることを明らかにした。そして6nmR r.s程度のシリコンウェハ表面を測定し、

さらにS TMによる測定結果との比較を行なって、提案した測定評価法の有効性 を示している。

  第6章では、ナノメータオ―ダの超精密加工表面上に発生したサプミクロンオ

―ダの微細な傷およびピンホ―ルナよどの表面欠陥や、クリーンル―ム内での加工 において問題となる微小粒子などの表面付着異物の検出とそれらの評価方法を提

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案している。まず、収束ビームを照射した場合の微細傷による回折光強度分布に っいての実験的検討を行ない、境界要素法を用いた電磁波散乱解析シミュレータ に よ っ て 微 細 傷 の 大 き さ と 回 折 光 強 度 の 関 係 を 明 ら か に し て い る 。   次に、付着粒子およびピンホールの直径を回折パターンによって定量的に評価 する方法にっいて解析し、さらに両者の定性的識別方法として偏光特性を利用す る方法を提案した。そして偏光・回折光学系を構成し、粒径1.0皿mおよび0. 6ロmのポリスチレンラテックス標準粒子の測定評価によって本測定法の有効性 を示し、さらに偏光度によるピンホ―ルとの識別方法の実験的検証を行なった。

  第7章では、サプミクロンオーダの幅あるいは深さをもつ微細な溝を対象とし、

その測定評価法にっいて検討している。まず、矩形溝形状モデルとFraunhofer回 折光強度の関係の理論的な解析を行ない、溝のピッチ、幅、深さなどの形状パラ メータを定量的に評価する方法を提案し、さらに計算機シミュレーションによっ て台形溝形状に対する本手法の適応性および溝表面の微小な粗さによる影響につ い て 解 析 し た 。 ま た 、 ピ ッ チ2.0ロm、 溝 幅1.0ロm、 溝 深 さ100nmの 標準格子板を用いた測定実験によって本測定法の有効性を示し、さらに光ディス ク ス タ ン パ の ト ラ ッ キ ン グ 用 案 内 溝 の 測 定 も 行 な っ て い る 。   次に、回折パタ―ンから溝形状を復元できる新しい理論である逆散乱位相法を 提案 し、ピッ チ1.6ロm、深 さユ00 nmの溝 形状モデ ルの復元 シミュレ―シ ヨンによってその有効性を検証している。

  第8章は本論文の結諭であり、本研究で提案した回折光による超精密加工表面 テクステャの測定評価法の有効性とインプロセス計測への応用の可能性にっいて 論じ、超精密加工表面テクスチャを構成する表面粗さ、表面欠陥、付着異物そし て表面微細溝形状の各々に対して開発された測定評価法にっいて得られた知見を まとめている。

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学位論文審査の要旨

主査  教授  斎橋勝政 副査  教授  池田正幸 副査  教授  岸浪建史

副査  教授  三好隆志(大阪大学大学院工学研究科)

    学位論文題名

Fraunhofer回折による超精密加工表面テクスチャの測定評価法に関する研究   本論文はインプロセス計測への適応性を考慮した超精密加工表面テクスチャ 測定評価技術の開発を目的とし、表面テクスチャに含まれる粗さおよび傷など の表面欠陥と微細溝形状の具体的な評価方法を示し、さらに試作した光学式非 接触センサ及び計算機による測定デ―夕処理システムを用いた測定評価実験に よって本測定法の有効性を検証し、Fraunhof er回折に基づく新しい測定評価法 の研究成果を纏めたものである。本論文は全8章から構成されており、各章の 概要は以下のとうりである。

  第1章では、超精密加工表面テクスチャの測定評価法における問題点を指摘 するとともにその原因の分析と解決へのアプ口一チにっいて概説し、本研究の 必要性と目的及び研究の概要にっいて述べている。

  第2章では、まず超精密加工技術の現状にっいて調査し、超精密ダイヤモン ド切削加工技術、超精密研磨加工技術及び微細溝のりソグラフイ一加工技術に っいてまとめ、クリーンルーム技術にっいても言及している。また、従来のナ ノメータオーダの精度をもつ表面測定技術にっいて調査し、表面テクステャを 構成する表面粗さ、表面微細欠陥そして表面微細溝形状の各々に対してインプ ロセス計測の観点から問題点を指描し、本論文で提案している測定方法の位置 づけを行なっている。

  第3章では、本測定法の基本原理である光学的フーリエ変換の原理にっいて 述べ、表面の微細な幾何学的形状とFraunhofer回折光強度の間の数学的関係を 導入し、Fraunhofer回折光強度による表面テクステャの評価方法にっいて論じ ている。

  第4章では、超精密切削加工によって創成される周期的表面粗さを対象とし

、表面の幾何学的微細形状とFraunhofer回折光強度との関係の理論的な解析結

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果に 基づ く表 面粗 さの 定量 的な 評価方 法を 提案 し、 さらに、公称値8 nm Rmaxの磁気ディスク表面に対する測定実験によって提案した測定評価法の有 効性を示している。また、ナノメータオ―ダの粗さを持つ超精密ダイヤモンド 切削面の回転中の測定によって本測定法のインプロセス測定への適用性を示し

、さらに切削加工中の工具摩耗や工具送り量などのモニタリングの基礎的な解 析方法として、表面粗さのパワースペクトル推定法の解析を行なっている。

  第5章では、超精密研磨加工によって創成されるランダム表面粗さを対象と し、統計モデルで表わされるランダム表面粗さとFraunhofer回折光強度との関 係を理論的に解析し自乗平均平方根粗さの定量的な評価方法を提案している。

ま た 、6n mRrms程 度の シリ コン ウェ ハ表 面を 測定 し、STMに よる 測定 結 果 と の 比 較 を 行 なっ て 、 提 案 し た 測 定 評 価法 の有 効性 を示 して いる 。   第6章では、超精密加工表面上に発生したサブミク口ンオーダの微細な傷お よびピンホ―ルなどの表面欠陥及びクリーンルーム内での加工において問題と なる表面付着異物の検出とそれらの評価方法を提案している。まず、収束ビー ムを照射した場合の微細傷による回折光強度分布についての実験的検討を行な い、次に付着粒子およびピンホールの直径を回折パターンによって定量的に評 価する方法にっいて解析し、さらに両者の定性的識別方法として偏光特性を利 用する方法を提案している。そして偏光・回折光学系を構成し、粒径1.0皿 mおよび0.6ロmの標準粒子を用いて本測定法の有効性を示し、さらに偏光 度 に よ る ピ ン ホ ― ル と の 識 別 方 法 の 実 験 的 検 証 を 行 な っ て い る 。   第7章では、サプミクロンオ―ダの微細な溝を対象とし、矩形溝形状モデル とFraunhof er回折光強度の関係の理論的な解析を行ない、溝のピッチ、幅、深 さなどの形状パラメータを定量的に評価する方法を提案し、ピッチ2.O皿m

、 溝 幅1.Oロm、溝 深. さ100nmの 標準 格子 板及 び光 ディ スク スタ ンパ の トラッキング用案内溝を用いた測定実験によって本測定法の有効性にっいて検 討している。また、回折パターンから溝形状を復元できる新しい理論である逆 散 乱 位 相 法 を 提 案し 、 ピ ッ チ1.6ロm、 深 さ10 0nmの溝 形状 モデ ルの 復 元 シ ミ ュ レ → シ ョ ン に よ っ て そ の 有 効 性 を 検 証 し て い る 。   第8章は本論文の結論であり、本研究で提案した超精密加工表面テクスチャ の測定評価法の有効性とインプロセス計測への応用の可能性にっいて論じ、超 精密加工表面テクスチャを構成する表面粗さ、表面欠陥、付着異物そして表面 微細溝形状の各々に対して開発された測定評価法にっいて得られた知見をまと めている。

  以上のように本論文は、ナノメータオーダの表面微細形状による光の回折現 象を利用した超精密加工表面テクスチャの新しい評価方法を提案すると共にそ の有効性にっいて検証し、超精密加工面の表面計測評価技術に関する有益な新 知見を得ており、精密工学および応用光計測工学の進歩に寄与するところ大で ある。よって著者は博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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