• 検索結果がありません。

博士(工学)李 炳煕 学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(工学)李 炳煕 学位論文題名"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博士(工学)李   炳煕 学位論文題名

繊維層におけるふく射熱伝達に関する研究 学位論文内容の要旨

  

繊維物質は、その優れた断熱性能と製造・取り扱いの便利さから幅広い領域で応用されて おり、繊維層における伝熱特性の正確かつ簡便な評価法が求められていた。繊維層における 熱伝達は、繊維と空気層の熱伝導、繊維と繊維の間の接触による熱伝導、自然対流及びふく 射による熱伝達からなる。繊維層の多くはその体積割合が比較的低く、ふく射による熱伝達 は、室温レベルでも全体の熱伝達の中でかなり大きい割合を占め、温度レベルが高ければ高 いほどその割合は大きくなる。したがらて、繊維層の伝熱特性を評価するにあたり、ふく射 による熱伝達の正確な評価が求められていた。

  

吸収・放射・散乱性媒体を透過するふく射エネルギーの解析は、媒体における散乱が等方 散乱でなぃ限り、散乱による影響を正確に把握することが難しく、特に繊維のような円柱形 状の物体における散乱強度は、球状物体と違って入射角と散乱角の関数で表されるため、そ のふく射伝熱解析モデルの確立が難しかった。

  

繊維層におけるふく射熱伝達に関する今までの研究には、実験的に求めた繊維層の吸収率 あるいは放射率を用いて熱流束を求める解析モデルと、電磁波理論を用いて求めた繊維一本 の光学特性値を用い、2 流束近似に基づぃて透過熱流束を求める解析モデルがあった。前者 の実験的モデルでは、繊維単体の光学物性値、及びこれらの配向が一定で、繊維層の厚さあ るいは繊維の体積密度のみ変化する場合でも繰り返して実験を行い、吸収率あるいは放射率 を求める必要があり、また後者の従来の2 流束近似による解析モデルは、繊維層内でのエネ ルギ―の吸収・散乱・自己放射に関するミクロ的な解明は難しく、また実際の値に比べ過小 に評価されることが示されている。また、いずれの場合も入射ふく射エネルギ―の波長分布 が透過に及ぼす影響に関しては、明らかにされていなぃ。

  

そこで、本研究では繊維層におけるふく射エネルギ―の吸収・散乱・自己放射挙動を正確 に模擬できるモンテカルロ法を用いた解析モデルを開発するとともに、従来の2 流束モデル を改良して、実際の値に近い結果を簡便に得ることのできる実用解析モデルを確立した。つ いで、入射ふく射エネルギ→の波長分布が繊維層の伝熱特性に及ばす影響を明らかにした。

また、電磁波理論の適用が難しくなる大サイズパラメータの繊維を有する繊維層に関する解 析モデルも提案し、その妥当性を実験的に確認した。

  

第1 章は本論文の緒言であり、繊維状物質の応用状況と本研究の目的、従来の研究及び本 論文の概要を述べた。

第2 章では、円柱散乱に関する基礎理論、及び第3 ,4 ,6 章に必要を円柱のふく射特性値の

130

(2)

計算式 を導出し、各種パラメ―タの影響を調べた。単一円柱のふく射特性値すなわち減衰・

散乱効 率因子、散乱アルベド及び散乱位相関数は、サイズパラメ―タ、複素屈折率、入射角 の関数 で表されるが、これらの値はKerker、Van de Hulstの電磁波理論により求めている。

また、 この計算に必要なベッセル関数の数値計算法を示し、各種パラメ―タがふく射特性値 に及ぼ す影響 を明らか にした 。

繊維層 での散乱を独立散乱・連続体近似によってモデル化し、モデル化した繊維の配列分布 を用い て、円柱表面で射出されるふく射エネルギ←の方向分布の式を導出し、モンテカルロ 法によ る繊維 層の光学 特性値 の解析手 法につ いて述べ た。

  第3章では、 繊維層を 透過す るふく射 エネル ギ―の基 礎式及 びモンテカルロ法による解析 手法を 述べた。 モンテカ ルロ法 の導入により、繊維層の温度分布、繊維層の各断面を通過す るふく 射エネル ギ一分布 及び壁 面熱流束を正確に求めることができ、繊維層の無次元厚さ、

繊維材 の複素屈 折率及び 繊維の 配向が上記の解析結果に及ぼす影響を明らかにした。壁面か らラン ベルト余 弦則に従 って射 出されたふく射エネルギ―は、繊維層透過中も方向別強度分 布はほ とんど変 化しない 。

  第4章 では、2流束近 似に基 づく実用 的な改 良解析モ デルを 提案した 。ここで はまず 従来 の2流 束モデル 及びモデ ルに必 要な逆散 乱割合 の計算法 に存在する問題点を指摘した。つい で 、Milne―Eddington近似に基 づく改良解析モデルを提案し、モンテカルロ法による計算結 果 との比 較により 、その 妥当性を 確認した。また、この実用解法で壁面熱流束の計算に必要 な 繊維層 の減衰効 率因子 、散乱ア ルベド及び逆散乱割合の値を、広い範囲でのサイズパラメ ー タ、複 素屈折率 及び2つの典 型的な繊 維の配 列(繊維 が3次 元空間 でランダ ムな方 向に配 列[Case (a)]と繊維が平行平板に平行な面内でランダムな方向に配列[Case (b)])に対してグ ラ フ化し て示した 。これ により、 複雑な計算をすることなしに、各種条件の繊維層を透過す るふく射エネルギー量の算出が可能となった。

  第5章では 、大サイ ズパラ メ―タ( 繊維の 径が入射 波長より遥かに大きい場合)を有する 繊維 層におけ るふく射 エネルギ一透過特性解析をモンテカルロ法により行い、その妥当性を He―Neレ ―ザをニ ッケル 繊維シ―トに通した実験により確認した。本章では幾何学的散乱の 概念 を用いて 、円柱表 面での散乱を鏡面反射(あるいは乱反射)とFraunhofer回折とし、モ ンテカルロ法によって解析する手法を開発した。また、この手法を用いて繊維表面の反射率、

繊 維の 配 向 分 布及 び 直 径分 布 が ふく 射 エ ネルギ ―の透 過に及ぼ す影響 を明らか にした。

  第6章では、 ふく射 エネルギ ―の透過 に及ぼ す入射波 長分布の影響に関して述べた。固体 壁面か ら射出さ れる波 長分布を 有するふく射エネルギ―に関し、代表波長による解析と実際 の波長 分布を考 慮した 場合の誤 差に関して、グラスフんイバ層とニッケル繊維層に対して改 良2流束モデ ルによる 有効熱 伝導率の 計算式 を用いて 解析を 行い、入射波長分布が壁面熱流 東に及 ぼす影響を明らかにした。グラスファイバについてiま、波長変化によりふく射特性値 が大き く変化す るため 、入射ふ く射の波長分布のピーク波長を代表波長として用いた解析は 波長分 布を正し く考慮 した解析 と異なる結果を示すが、ニッケル繊維層については、かなり 近いこ とが示さ れた。

第7章 は、本論 文の結 言であり、本研究より得られた結果をとりまとめている。

    ー131―

(3)

学 位 論 文 審 査 の 要旨

主 査   教 授   工 藤 一 彦 副 査   教 授   伊 藤 献 一 副 査   教 授   福 迫 尚 一 郎

学位 論文題名

繊 維 層 に お け る ふ く 射 熱 伝 達 に 関 す る 研 究

  繊維 物質 は、 その 優 れた 断熱 性能 と 製造 ・取 り扱 いの便利さから幅広い領 域で応用されて お り、 繊維 層に おけ る 伝熱 特性 の正 確 かつ 簡便 な評 価法が求められていたが 、ふく射による 熱 伝達 が室 温レ ベル で も全 体の 熱伝 達 の中 でか なり 大きい割合を占め、また 温度レベルが高 い ほ ど そ の 割合 は大 き くな るた め、 ふく 射 によ る熱 伝達 の正 確 な評 価が 求め ら れて いた 。   そこ で本 研究 では 、 繊維 層に おけ る ふく 射エ ネル ギーの透過特性を正確に 模擬できる解析 モ デル の開 発と 、実 際 の値 に近 い結 果 を簡 便に 得る ことのできる実用解析モ デルの確立を目 的 とし て解 析を 行い 、 その 妥当 性を 実 験的 に確 認し た。

本研究で得られた結 論をまとめると以下のように なる。

1. ぬrker、Van de I‑blstの 電 磁波 理論 によ り 求ま った 単一 円柱 の ふく 射特 性値 を用 い、独   立 散 乱 ・ 連 続 体 近 似 を 仮 定 す る と 、 モ デ ル化 した 繊 維の 配列 分布 に対 し て、 円柱 表面 で     放射 さ れる ふく 射エ ネル ギ ーの 方向 分布 の 式が 導出 され るこ と を利 用し て、 モン テカル     ロ法による繊維層 のふく射透過特性の解析手 法を開発した。

2. 上 記 モ ン テ カ ル ロ法 によ る解 析 手法 によ り、 繊維 層 の温 度分 布、 繊維 層 の各 断面 を通 過   す る ふ く 射 エ ネ ル ギ ― 方 向 分 布 及 ぴ 壁 面 熱流 東を 求 め、 繊維 層の 無次 元 厚さ 、繊 維材 の   複 素 屈 折 率 及 ぴ 繊 維 の 配 向 が 上 記 の 解 析 結 果 に 及 ば す 影 響 を 明 ら か に し た 。 3.Mi Ine‑Eddington近 似 に 基 づ く 改 良2流 東解 析モ デ ルを 提案 し、 モン テ カル ロ法 によ る     計算 結 果と の比 較に より 、 その 妥当 性を 確 認し た。 また 、こ の 実用 解法 で壁 面熱 流束の     計算 に 必要 な各 種の パラ メ ータ は、 グラ フ 化し て示 した 。こ れ によ り、 複雑 な計 算をす     るこ と なし に、 各種 条件 の 繊維 層を透過 するふく射エネルギ―量の算 出が可能となった。

4. 大 サ イ ズ パ ラ メ ―タ の繊 維層 に おけ るふ く射 エネ ル ギ― 透過 特性 解析 を モン テカ ルロ 法     により行い、その 妥当性をHe ‑Neレーザをニッケル繊維シ―トに通した実験により確認した。

5. ふ く 射 エ ネ ル ギ ―の 透過 に及 ば す入 射波 長分 布の 影 響に 関し て調 べ、 グ ラス ファ イバ に     っい て は、 波長 変化 によ り ふく 射特 性値 が 大き く変 化す るた め 、入 射ふ く射 の波 長分布     のピ ー ク波 長を 代表 波長 と して 用い た解 析 は、 波長 分布 を正 し く考 慮し た解 析と 異なる     結 果 を 示 す が 、 ニ ッ ケ ル 繊 維 層 に っ い て は 、 か な り 近 い こ と が 示 さ れ た 。   これ を要 する に著 者 は、 繊維 層に おけ る ふく 射エ ネルギーの透過特性を正確 に評価できる モ ンテ カル ロ法 を用 い た解 析モ デル を開 発 する とと もに 、 従来 の2流 束 モデル を改良して、

実 際の 値に 近い 結果 を 簡便 に得 るこ との で きる 実用 解析モデルを確立すること により、熱工 学 上 有 益 な 多 く の 知 見 を 得 て お り 、 熱 工 学 の 進 歩 に 寄 与 す る と こ ろ 大 で あ る 。   よ っ て 著 者 は 、 北 海 道 大 学 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る資 格あ るも のと 認 める 。

参照

関連したドキュメント

  

   本論 文は, カオス的 混合と 乱流拡散 に際し て,物質 線を模擬 したマ 一力粒子からなる粒 子列 の伸張 率によっ て混合 速度を定 量化する 方法を

   さらに,第 II 編第 5 章では,仮想の政策シナリオを

そこで,本論文では,第

  

   第2 章と第3 章では,高精度な音声分析システムを構築することを目的として,従来の一括型 AR モデ ルに よる 線形 予 測分 析法

いか にし て緩 和さ れて いる かに つい て検討 して いる 。と くに 界面の近傍で の残

     著者は,前項の理論的基礎に基づぃて,内部メカニズムが未知または計算    コスト の高いシ ステムを ,単純 GA と