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博士(工学)堀内 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)堀内 学位論文題名

積雪寒冷地における自動車の安全走行に関する研究 学位論文内容の要旨

  本研究 は, 自動車 の構造 ,及び 機能 と,雪 氷路で の車両 の操縦 性安 定性や 自動車タイヤの諸特 性にっ いて解 明し て,積 雪寒冷 地にお ける自 動車 の安定 走行の 確保に 寄与 することを目的として 行った もので ある 。

  すなわ ち, 積雪寒 冷とい う厳し い気 象条件 下での ,雪氷 路用夕 イヤ の性能 試験,評価方法,な らびに 車両の 適正 な使用 方法等 にっい て明ら かに すると ともに ,冬型 事故 の特徴と車両構造,及 び機能 との関 係に っいて 解明し た。

  次に, 冬道 の安全 に関し て行わ れて 来た運 転者教 育の現 状にっ いて 把握し ,スタッドレスタイ ヤによ る適正 な運 転技術 を普及 するた めの方 策に っいて 考え, 積雪寒 冷地 における安全で快適な 自動車 交通を 実現 するた めの工 学的な 方策を 得る ことを 試みた 。

  第1章 は序論 であ り,本 研究の 目的と 得ら れた成 果の概 要,並 びに関 連す る研究 の動向 にっい て記述 した。

  第2章 では, 筆者 が本研 究で使 用した 各種 の計測 装置等 にっい て記述 した 。すな わち, 制動時 の減速 度の測 定に 使用す るタプ レイ・ ブレー キ・ メータ が各国 で車両 の制 動性能の検査や路面の 滑り抵 抗の測 定用 として 使用さ れてい るので ,こ れに対 して学 術研究 用に 使用されている歪計式 加速度 変換器 ,錘 の慣性 を利用 した自 記制動 計, 第5輪 式制 動性能 測定装 置,及び機械式のGメー タを乗 用車及 び大 型貨物 車によ る実車 走行試 験に 使用し て性能 の比較 実験 を行い,それらの特性 に基ず いた有 効な 利用方 法を検 討した 。また ,ト ラック .バス 用タイ ヤ試 験機,ブレーキペダル

・スト ローク イン ジケー 夕,ブ レーキ ・モニ 夕, 改良型 木下式 雪面硬 度計 ,あるいは氷面硬度測 定のた めのバ ウマ ン硬度 計接触 子等に 対して ,研 究の途 上で幾 っかの 工夫 を行い,新たな手法を 開発し た。そ の結 果とし て,ー 般の路上でタイヤの滑り特性が求められるようにナょり,スパイク タイヤ とスタ ッド レスタ イヤの 性能比 較が容 易に なり, 滑り易 い路面 での 安全走行のための方策 を提言 出来る よう になっ た。

  すなわ ち, 従来提 唱して きたポ ンピ ングブ レーキ の方法 はタイ ヤチ ェーン 装着時やスパイクタ

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イヤ装着時には急制動を避けるために,または,やむを得ず急制動した場合に横滑りやスピンを 回避するために必要な制動方法であるが,スタッドレスタイヤ装着車では〃―s特性の滑り率20

%程度の最も〃の高いところを利用するソフト・ブレーキを訓練して慣れることが冬道安全運転 に必要であることを明らかにした。

  なお,アンチロックブレーキシステムは普通の車両では新車のオプション装置であり高価であ るが,ブレーキ・モニタは低価格でどの様な車両にも装着出来て,しかも,取付簡単なものであ る。

  第3章では,北海道における冬期の自動車事故例を多数解析して,スルップ事故の原因やわだ ちに起因する事故とその対策にっいて検討した。また吹雪や地吹雪時の追突事故を防止するため に,尾燈類の視認性を向上させることが必要なことを実験により確認した。なお,事故事例を調 査 し た 結 果 と し て , 尾 燈 類 の 視 認 性 評 価 方 法 が 妥 当 で あ る こ と が 立 証 さ れ た 。   そして,市民が走行上不安を感じる路面の滑り易さにっいて,札幌市内及び小樽市内の路上で の測定を行い,さらに,急な坂道での登坂発進実験を行って,雪質を理解して的確な運転操作を 行うことによって,運転者の不安を解消出来ることを立証した。

  第4章では,雪氷路面でゴムタイヤが滑る最大の原因は,夕イヤ接地部に生成される水,また は水膜であることを,低温恒温室内のスキッドレジスタンステスタのゴム試験片による氷板面と の摩擦実験により立証した。また,走行中のタイヤではトレッド表面に熱が発生し,接地面に水 が出来て滑りを促進していることを実験により確かめた。また,ゴムの軟らかさを増すと氷板面 との摩擦カが向上することを実験により明らかにした。さらに,スパイクタイヤとスタッドレス タイヤ,及びタイヤチェーンによって各種の制動試験や牽引力試験を行い,それらの滑り特性に っいて明らかにした。

  そして,この数年来,各夕イヤメーカーが開発して来た乗用車用スタッドレスタイヤでは,ス パイクタイヤの性能に近ずけるための努カがなされて来た結果として,夕イヤ口ック状態での制 動時の摩擦係数はほぼスパイクタイヤに近い性能にまで改良され,しかも,スリップ率が20%前 後のところでは,スパイクタイヤよりも優れた摩擦特性,例えば餌一S特性のうちの立ち上がり 特性が得られていることを低温恒温室内のタイヤ試験機による実験や実車走行試験により明らか にした。

  これらのことから,滑り易い路面での駆動や制動にっいての運転技術の改善策と車両構造面で の改良策とを,具体的に提言した。

  第5章では,これまでのタイヤ,あるいは車両性能に関する各種実験の結果をふまえて安全運

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転教 育に関 する基 本的 な問題 を検討 した結 果にっ いて 記述し た。

  そし て,冬 型事 故を防 止して安全で快適な交通を確保するためには,運転者が,夕イヤ,車両,

さら には雪 質と滑 り易 さとを 十分に 理解し ,的確 な運 転操作 に習熟 して,冬道運転での不安を解 消す ること が緊急 の方 策であ るとの 結論に 達した 。そ こで, 今まで に研究してきた教育訓練内容 及び 訓練方 法を実 験し てその 効果を確かめるために,制動,わだち,スラ口一ム及び登坂訓練コー ス等 を特設 し,普 通の 車両の 他にア ンチロ ックブ レー キ装置 のある 車両も使用して,一般市民を 対象 にした 座学と 実技 とを伴 う受講 時間3時間 の冬道 安全運 転講 習を, アンケ ート調 査を 行いな がら2シ ーズン にわた って実 施し た。そ して, その85%以上 の参加 者から 講習内 容そ の他に っい て高 い評価 を受け た。 さらに は,こ の実験 的研究 の成 果は札 幌市の 脱スパイクタイヤ対策のーつ とし て採用 されて ,そ の後も 毎シー ズン開 催され てい る。

  第 6章 は 結 諭 で あ り , 本 研 究 で 得 ら れ た 結 果 を 総 括 し て 言 己 述 し た 。

学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主査   教授   村山   正 副査   教授   鵜飼隆好 副査   教授   加来照俊

副査   教授   寺尾日出男(農学研究科)

  本 研究 は,自 動車の 構造, およ び機能 と雪氷 路での 車両の 操縦 性安定 性,あ るいはタイヤの諸 特 性など を解 明して ,積雪 寒冷地 におけ る自 動車の 安全走 行に寄 与す ること を目的として行われ た もので ある 。

  第1章は序 論であ り,研 究の 目的と 得られ た成果 の概 要,な らびに 関連す る研究 の動 向にっ い て 記述し てい る。

  第2章 では, 著者 が本研 究で開 発し, 供試 した各 種の計 測装置などに関しての記述がナょされて い る。す なわ ち,制 動時の 減速度 測定の ため のタプ レイ・ プレー キ・ メータ ほか,各種の学術研 究 用測定 装置 による 比較実 験から ,それ らの 特性に もとづ いた有 効な 利用方 法を検討している。

ま た,ト ラッ ク・バ ス用タ イヤ試 験機, プレ ーキペ ダル・ ストロ ーク インジ ケー夕,ブレーキ・

モ ニ夕, ある いは氷 面硬度 測定装 置ナょどに対して幾っかの工夫を行い,新たな手法を開発してい

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る 。そし て,そ れら の装置 を使用 して, 一般路 上で のタイ ヤの滑 り特性 を求 めて,スタッドレス タ イヤ装 着車で は, スリッ プ率20% 程度 の最も 〃の高 い領域 を利用 する ソフトブレーキングが,

冬 道の安 全運転 に対 して必 要なこ とを明 らかに して いる。 また, 本研究 で開 発されたブレーキ・

モ ニタに よれば ,低 価格で 車両へ の装着 が簡単 であ り,ロ ックブ レーキ をあ る程度防止できるこ と を示し ている 。

  第3章で は,北 海道 におけ る冬期 の自動 車事 故例を 多数解 析して ,スリ ップ あるい はわだ ちに 起 因する 事故と その 対策に っいて の検討 を行っ てい る。そ して, 吹雪や 地吹 雪時の追突事故を防 止 す る た め に は , 尾 燈 類 の 視 認 性 の 向 上 が 必 要 な こ と を 実 験 に よ り 確 か め て い る 。   第4章で は,雪 氷路 面でタ イヤが 滑る最 大の 原因が ,タイ ヤ接地 部に生 成さ れる水 ,また は水 膜 である ことを ,低 温恒温 室内で のスキ ッドレ ジス タンス テスタ による ゴム 試験片と氷板面との 摩 擦実験 により 明ら かにし ている 。また ,走行 中の タイヤ ではト レッド 面に 熱が発生し,接地面 に 水がで きて滑 りを 促進す ること を実証しているが,一方ではゴムの柔らかさを増すことにより,

氷 板面と の間の 摩擦 カが増 加する ことを も明ら かに してい る。さ らに, スパ イクタイヤとスタッ ド レスタ イヤ, およ びタイ ヤチェ ンによ って, 各種 の制動 試験や 牽引力 試験 を行い,それらによ る 滑り特 性にっ いて 求めて いる。 そして ,乗用 車用 スタッ ドレス タイヤ では ,タイヤロック状態 の 制動時 の摩擦 係数 に関し ては, スパイ クタイ ヤに 近い性 能が得 られる こと を,夕イヤ試験機に よ る実験 や実車 走行 実験に より明 らかに してい る。

  第5章で は,夕 イヤ ,ある いは車 両性能 に関 する各 種実験 の結果 をふま えて ,安全 教育に 関す る 基本的 な問題 を検 討した 結果に っいて 記述し てい る。そ して, 冬型事 故を 防止して安全で快適 な 交通を 確保す るた めには ,運転 者が, 夕イヤ ,車 両,さ らには 雪質と 滑り 易さとを十分に理解 し て,的 確な運 転操 作に習 熟し, 冬道運 転での 不安 を解消 するこ とが重 要で あるとの結論に達し て いる。 そして ,現 在まで に研究 されて きた教 育訓 練内容 および 訓練方 法の 効果を確かめるため に ,制動 ,わだ ち, スラロ ーム, および 登坂訓 練コ ―スな どを設 営して ,普 通の車両のほかにア ン チ口ッ クプレ ーキ 装置を 装着し た車両 を使用 して ,一般 市民を 対象と した 座学と実技とを含む 冬 道安全 運転講 習を 実施し ている 。この 試みは 各方 面から 高い評 価を受 け, この実験的研究の成 果 は , 北 海道 お よ び 札 幌 市の 脱 ス パ イ クタ イ ヤ 対 策 のー っ と し て 採用 され るに 至って いる。

  第6章 は 結 論 で あ り , 本 研 究 で 得 ら れ た 結 果 を 総 括 し た 記 述 が な さ れ て い る 。   こ れを要 する に本論 文は, 自動車 工学 ,特に 積雪寒 冷地に おける 自動 車の安全運転に寄与する と こ ろ 大 であ る 。 よ っ て 著者は ,博士 (工学 )の学 位を 授与さ れる資 格があ るも のと認 める。

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