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学位論文審査の要旨 主査

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Academic year: 2021

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博 士 ( 獣 医 学 ) 森 田   豊

     学位論文題名

イヌにおける超音波内視鏡検査の応用に関する基礎的研究 学位論文内容の要旨

  医学領 域に おい て超音 波内 視鏡 (EUS) は日 常的な画像診断法のーっと し て広く 利用 され、特に膵臓疾患の診断に対する高い有用性が明らかにさ れ て い る 。 一 方 、獣 医 学 領 域 で はEUSはま だ導 入され てお らず 小動物 臨 床 へ の 応用は 検討 され てい ない。 本研 究で は、 イヌの 膵臓 疾患 におけ る EUSの臨床応用に必要な基礎的検討を行うことを目的として、正常な膵臓、

実 験 的 急 性 膵 炎 およ び 膵 臓 の 萎 縮 性 病変 につ いてEUS検査 を行 った。 超 音 波 内 視鏡装 置は 日立 一ベ ンタッ クス 社製FG−32UAを 用い 、超 音波画 像 表 示 装 置 の 目 立 メ デ ィ コ 社 製EUB−565Aに 接 続 し た 。EUS検 査 と 併 せ て 行った 体表 からの超音波検査(US)は超音波画像表示装置の目立メディ コ 社 製EU B‑ 450に6.5 MHzの 探 触 子EUP−V33を 接 続 し て 行 っ た 。   第1章で は臨床 的に 健康 な成 犬12頭 を用 いて 、正常な膵臓の描出方法の 検 討およ びEUS画 像の 集積 を行 った。 膵臓 は、 脾静脈、横行結腸、門脈、

胃 十二指 腸静 脈、前膵十二指腸静脈および十ニ指腸を超音波解剖学的指標 と するこ とに よって、膵臓の左葉および右葉の各遠位端を除き、概ね膵臓 全 体を良 好に 描出 するこ とが でき た。EUSでは 、皮膚、皮下脂肪、筋層お よ ぴ消化 管ガ ス詮どによる超音波の減衰や反射を避けることができ、さら に 、周波 数の 高い探触子を使用することにより高解像度の超音波画像が得 ら れ、膵 臓実 質の小葉構造およぴ膵管など微細な構造まで明瞭に観察する こ とがで きた 。また、カラードプラおよびパルスドプラ法を利用すること に より、 膵臓 の血管や血流に関する情報が得られた。これらの成績から、

EUSを イヌ 膵臓の 画像 診断 に応 用する とき に必 要な基礎的凝走査法を確立 し 、 EUSに よ る イ ヌ 膵 臓 の 正 常 画 像 を 初 め て 明 ら か に し た 。   第2章 で は 膵 臓実 質 の 微 細 な 変 化 の 描 出 に おけ るEUSの 有 用 性 を 明 ら か にする 目的 で、 臨床的 に健 康な 成犬7頭 を用 い実験的にセルレイン誘発 性 膵 炎 を 作 出 し 、EUSお よ ぴUSで 経 時 的 に 観察 し 比 較 検 討 を 行 っ た 。 ま た 、 得 ら れ たEUS画 像 の ヒ ス ト グ ラ ム解 析に より算 出さ れた 平均輝 度

(MD) 値の変 動と 病理 組織 学的変 化を 対比 する ことに より 、超 音波に よ る組織性状の診断(U It rasonic tissue characterization)の有用性にっ い て 検 討 し た 。EUSで は 、 セ ル レ イ ン 投与 開始 後60な ぃし90分 に初め て 辺 縁部領 域の 膵臓実質がやや低エコーに描出された。その後、問質の浮腫

(2)

や腺房細胞の空胞変性に由来する低エコーないし無エコー領域が観察され、

そ れ らは 時間 の経 過と 共に広 範囲 に認 められ るよ うに なっ た。一 方、US で はセル レイ ン投与開始後120ないし150分に初めて膵臓の異常画像所見が 観 察 さ れ た 。EUSで はUSよ り も 早 い 時 期か ら 膵 臓 実 質 の 変 化 を 確 認 す る こ と が で き 、EUSはUSと 比 較 し て 膵 臓実 質 の よ り 微 細 な 変 化 の 描 出 に 優 れ て い る と 思 われ た 。 ま た 、 得 られ たEUS画 像の エコ ー輝度 のヒ ス ト グ ラ ム 解 析 で は 、セ ル レ イ ン 投 与 開 始 後30分か ら60分 に か け てMD値 が 有 意 に 低 下 し 、MD値 はEUS画 像 の 変 化が 判 読 さ れ る よ り も 早 く 変 化 し た。病 理組 織学的検索で、投与開始後30分までは膵臓実質に読むべき変 化 は観察 され なかったが、投与開始後60分で腺房細胞の空胞変性が観察さ れ 、問質 の水 腫も認められた。これらの所見は時間の経過と共に顕著とな り 投与開 始後240分に は腺 房細 胞の重 度の 空胞変性と水腫が認められた。

以 上 の成 績か ら、MD値 の低下 は腺 房細 胞の空 胞変 性お よび 問質の 水腫 に 由 来 する と思 われ た。 さらに 、MD値の 低下の 時期 は病 理組 織学的 変化 が 認 められ た時 期と よく 一致し てい たこ とか ら、EUSを用いたヒストグラム 解 析 によ るMD値は 膵臓 実質の 微細 な組 織性状 の変 化を 反映 すると 考え ら れた。

  第3章 で は 体 表 から のUSで は 描 出 が 極めて 困難 な膵 臓の 萎縮性 病変 の 画 像 診 断 に お け るEUSの 有 用 性 を 明 ら かにす る目 的で 、臨 床的に 健康 な 成 犬5頭 を 用 い 実 験的 に 膵 管 を 結 紮 し て膵臓 萎縮 犬を 作出 し、経 時的 に EUSを 行 っ た 。 ま た 、 得 ら れ たEUS画 像 の ヒ ス ト グ ラ ム 解 析 を 行 い 、 MD値 とヒ スト グラ ムの 標準偏 差(SD) 値を求 め、 それ それ の値の 変動 と 病 理組織 学的 所見 とを 比較し 、EUSを 用い た組織性状の診断の有用性を検 討 した。EUSで は、膵管結紮後2週にはやや蛇行した拡張膵管が描出され、

問 質 の 低 工 コ ー 領 域も 観 察 さ れ た 。 結 紮 後4週 にはEUS画 像 に よ っ て 膵 臓 実質の 萎縮 性変化が判読でき、12週後ではほば完全に萎縮した膵臓はほ と んど厚 みの ない 高工 コー領 域と して 描出 された。EUSでは、膵臓の萎縮 性 病変を 常に 明瞭 に観 察する こと がで きた ことから、EUSが膵臓の萎縮性 変 化 の 描 出 に 優 れ てい る こ と を 明 ら かに でき た。 また、 得ら れたEUS画 像のヒストグラム解析では、エコー輝度の指標とナょるMD値は膵管の拡張、

問 質の浮 腫に より低下し、膵臓の線維化などの組織学的変化を反映して上 昇 し た。 さら に、 エコ 一輝度 の不 均一 さの指 標と なるSD値 は、膵 管の 拡 張 や結合 組織 および導管系細胞の増加などのエコー輝度の異なる組織の存 在 を 反 映 し て 上 昇 した 。 こ れ ら の こ と か ら 、MDお よ びSD値 の 変 動 を 評 価 す る こ と に よ っ てEUSを 用 い た 膵 臓 実質の 超音 波組 織性 状の診 断に 有 用 な情報 を得 るこ とが できる と思 われ た。 これらの成績より、EUSは膵臓 実 質の微 細な 変化の描出および萎縮性病変の描出に優れていることを明ら か に し 、 ま た 、EUSを 用 い たMDお よ ぴSD値 の 測 定 の 意 義 を 示 し た 。   本 研 究 に よ っ て 、イ ヌ に お け るEUSの臨床 応用 に必 要な 基礎的 情報 を

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得ることができた。EUSはイヌの膵臓の描出に適応性が高く、膵臓疾患の 新しい超音波診断法として有用性が高いことを初めて明らかにした。さら に、膵管系、膵臓の血行動態の評価およぴ膵臓実質のEUSによる超音波 組織診断への応用の可能性が示唆された。今後、EUSによるドプラ法の応 用や種々臓器の組織病変に対するヒストグラム解析値の集積などを行うこ とに よ り、EUSの 応 用性 を さら に 高め る ことができると 思われた。

(4)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教 授   橋 教 授   藤 教 授   葉 助教授  安

本    晃 永    徹 原 芳 昭 田    準

     :   学位論文題名

イヌにおける超音波内視鏡検査の応用に関する基礎的研究

  医 学領域 で、 膵臓 疾患 などの 画像 診断 における必須のモダリテイとなってい る超 音波内 視鏡 (EUS) 検査 は、 獣医学 領域 では 未だ その有 用性 が明 らかにさ れて いない 。本 論文 では 、イヌ の膵 臓疾 患に おけるEUSの臨 床的 応用 に必要な 基 礎 的 検 討 を 行 う こ と を 目 的 と し てEUS検 査 を 行 い 、 以 下 の 成 果 を 得 た 。   最 初に、 正常 犬を 用い 膵臓描 出の ため のEUSの 基礎 的な操 作法 の確 立及ぴ正 常画像の集積を行った。膵臓を描出するための超音波解剖学的指標となる臓器・

組織 を系統 的に 示す と共 に、膵 臓実 質の 微細な構造が描出できることを明らか にした。

  次 に、セ ルレ イン 誘発 性膵炎 を作 出し 、EUSに よる 経時的 観察 を行 った。体 表か らの超 音波 検査 と比 較して 、EUSで は膵 臓実 質の 微細な 変化 を早 期から描 出 で きた 。EUS画 像 の ヒ ス ト グ ラ ム解 析 で は 、 平 均 輝 度 (MD) 値が膵 臓実 質 の病 理組織 学的変化を反映して変動すること が明らかとなり、EUSによる超音 波組織性状の診断の有用性を示した。

  さ らに、 膵管 結紮 によ る膵臓 の萎 縮性 病変 を作出 し、 経時 的EUS検 査を行っ た。EUSでは 萎縮 性変化 の進 行を 明瞭に 観察 する こと ができ たこ とか ら、膵臓 の萎 縮性病 変の 描出 に優 れてい るこ とが 分かった。超音波組織性状の診断にお け るEUS画 像 の ヒ ス ト グ ラ ム 解 析 で得 ら れ たMD及 び 標 準 偏 差(SD)値 の評 価 の意義を明らかにした。

  以 上のよ うに 申請 者は 、EUSを イヌ膵 臓の 画像 診断 に応用 する ため に必要な 基礎 的な操 作法 を確 立し 、EUSに よる正 常画 像を 初め て明ら かに した 。また、

EUSは イヌ 膵 臓 の 新 し い 画 像診 断法 として の有 用性 が高 く、EUS画像の ヒス ト グラ ム解析 によ る超 音波 組繊性 状の 診断 への応用の可能性を示した。これらの 成績は、獣医学領域における画像診断の進展に大きく貢献するものと思われる。

よ っ て審 査 員 一 同 は 、 森 田 豊氏が 博士 (獣 医学) の学 位を 受け るのに 充分 な 資格を有するものと認めた。

参照

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