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早稲田大学審査学位論文(博士)の要旨

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Academic year: 2022

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(1)早稲田大学大学院社会科学研究科. 早稲田大学審査学位論文(博士)の要旨. 学. 位. 申 専. 論. 請 攻. 名 者. ・. 文. 研. 称 氏. 究. 題. 名 指. 導. 目. 博士(社会科学) 尾山 地球社会論専攻. 清仁 政治思想研究指導. アーミッシュの死生観研究 A Study of Amish Thanatology. 「神の国」理解と共同体論の考察 論. 文. 副. 題. Analysis of the Amish Concepts of the "Kingdom of God" and of Community.

(2) 「博士(社会科学) 」学位申請論文審査要旨 尾山 清仁(学位申請者) アーミッシュの死生観研究 ――「神の国」理解と共同体論の考察――. 1.論文のテーマ アメリカ合衆国東部から中西部を中心に集住しているアーミッシュ(Amish)は、徹底 した近代文明忌避・外部社会忌避の立場を貫きながらも、500 年にわたってほぼ同一の 価値観を継承し、さらに 20 年ごとに人口が 2 倍になっている点――2016 年現在の人数 は約 30 万人――で、他の宗教的マイノリティとは一線を画す集団であるといえる。本 論文は、「死生観」を軸としてアーミッシュ社会の各文化領域――共同体観、労働観、 教育観、葬制文化など――を考察し、その共同体の性質を解明しようとするものである。. 2.論文の構成 本論文は、目次・注・文献リストを含めるとA4版で 418 頁、文字数にして 52 万字 をこえる。序章を含めて 11 の章から成っており、構成は以下のとおりである。 序章 方法論と研究史の整理 第 1 節 はじめに 第2節 Worldview Study の方法をアーミッシュ研究に適用することについて 第3節 Worldview に関わる用語の整理 第4節 「共時的」 、 「通時的」および「神話」という用語の説明 第5節 方法論 第6節 先行研究 第1章 Worldview Study 第1節 この概念の起源 第2節 文化人類学における Worldview 概念の系譜 第3節 アプローチの仕方 第4節 Worldview の機能 第5節 Worldview の性格 第2章 アーミッシュ形成の歴史的考察 A. アーミッシュ形成の歴史と発展 第1節 起源 第2節 エラスムス. 1.

(3) 第3節 チューリッヒの政治、経済、文化的背景 第4節 ウルリッヒ・ツウィングリ 第5節 ツウィングリの政治性 第6節 ツウィングリの教会改革初期の追随者たち 第7節 ツウィングリとの決別 第8節 アナバプテスト派の胎動 第9節 アナバプテスト派教会の誕生と迫害の歴史のはじまり 第 10 節 アナバプテスト派と『殉教者の鏡』 第 11 節 アナバプテスト派の内部改革:『シュライトハイム信仰告白』 第 12 節 メンノー・シモンズによる改革 第 13 節 「忌避」に関するメノナイト派の分裂 第 14 節 ヤーコブ・アーマンの改革 第 15 節 ハンス・ライストとの論争 第 16 節 ヨーロッパにおけるアーミッシュの消滅 第 17 節 約束の地アメリカ 第 18 節 まとめ B.現代アーミッシュにおける共同体の絆と「神の国」観 第1節 アーミッシュの絆としての「神の国」の希求 第2節 アーミッシュ共同体の求心力 第3節 徹底した「社会保障」を提供する運命共同体 第4節 共同体の絆を強める「教育」 第5節 まとめ 第3章 アーミッシュと教会――小共同体論をめぐって 第1節 宗教集団の位置付け 第2節 信じる者たちの集まり 第3節 ウェーバーとトレルチのセクト論 第4節 セクトについての再考察 第5節 言語とエスニック・セクト 第6節 セクトと制度化(官僚制化) 第7節 ウィンターの「二構造論(Two Structures) 」 第8節 アントニー・F・C・ワーラスの「再活性化運動(Revitalization Movement) 第9節 まとめ 第4章 アーミッシュの労働観と経済活動 第1節 キリスト教的労働観 第2節 アーミッシュの労働観:マックス・シェーラーの倫理学的視点から 第3節 マックス・シェーラーの認識論 第4節 まとめ:シェーラー倫理学とアーミッシュ 第5節 ウェーバー理論の位置付け. 2.

(4) 第6節 ウェーバー理論におけるアーミッシュの位置付け 第7節 まとめ:ウェーバーとアーミッシュ 第5章 アーミッシュの教育 A. アーミッシュ生活の概観 第1節 アーミッシュとの遭遇 第2節 働く子どもたち 第3節 最初の晩 第4節 犯罪も自殺もない 第5節 借金をしない 第6節 結婚式 第7節 アーミッシュに対する幻滅 第8節 アーミッシュを辞める 第9節 アーミッシュの再評価 B. アーミッシュ教育の理念と実践 第1節 洗礼という通過儀礼:成人会員となることを目指した教育 第2節 アーミッシュの教育:家庭 第3節 アーミッシュの教育:教会教育 第4節 アーミッシュの教育:学校教育 第5節 アーミッシュの教育:コミュニティの責任としての教育 第6節 教育理念の違い 第7節 アーミッシュ教育のゴール 第8節 優先順位の問題 第9節 言行一致させる教育 第 10 節 アーミッシュ教育の理念と実践のまとめ C. アーミッシュの教育の現状 第1節 社会と統合された教育 第2節 愛国心と教育 第3節 老人を尊重する文化 第4節 義務教育との葛藤 第5節 アーミッシュの教育観の米国教育への影響 第6節 まとめ 第6章 アーミッシュの赦しと和解 −− 『アーミッシュの赦し』の再考 A. はじめに 第1節 事の発端 第2節 赦しの信憑性 第3節 赦しの習慣 B. アーミッシュの赦しの神学 第1節 アーミッシュの「赦し」の姿勢. 3.

(5) 第2節 実践の信仰 第3節 『主の祈り』の重要性 第4節 「われわれが赦す如く」のアーミッシュの理解 第5節 赦すとは預けること 第6節 赦しの心理学 第7節 文化的に赦しを理解する 第8節 赦しの功罪 第9節 二段階の赦し C. アーミッシュの和解 第1節 あの事件から十年 第2節 赦しは過去を、和解は現在を扱う 第3節 礼拝よりも優先される和解 第4節 赦しは外と和解は内と 第5節 より具体的な和解の理解のために 第6節 和解の神学 第7節 まとめ 第7章 アーミッシュの死生観研究 −− 「創世記」の葬儀理解をめぐって…284 はじめに 第1節 死を意識して生きる 第2節 アーミッシュの葬送:フィールドスタディ 第3節 アーミッシュの「創世記」葬送理解:1.サラの死(創世記 23:1-20) 第4節 アーミッシュの「創世記」葬送理解:2.アブラハムの死(創世記 25:7-11) 第5節 アーミッシュの「創世記」葬送理解:3.デボラの死(創世記 35:8) 第6節 アーミッシュの「創世記」葬送理解:4.ラケルの死(創世記 35:16-20) 第7節 アーミッシュの「創世記」葬送理解: 5.イサクの死(創世記35:27-29) 第8節 アーミッシュの「創世記」葬送理解:6.ヤコブの死(創世記47:27—50:21) 第9節 アーミッシュの「創世記」葬送理解:7.ヨセフの死(創世記 50:22-26) 第 10 節 まとめ 第8章 アーミッシュ、ハッタライト、メノニータスの相違性と類似性 第1節 ハッタライト、メノニータスの歴史的考察 第2節 ハッタライトの宗教、家族、教育、および経済活動 第3節 メノニータスの宗教、家庭、教育、および経済活動 第4節 死生観と共同体 第5節 日系集団の抱える課題 第9章 結論 第1節 章ごとの結論 第2節 方法論における仮説の確認. 4.

(6) 第3節 結論 第4節 本論文の位置付け 第 10 章 今後の課題 あとがき 参考文献. 3.論文の概要 以下に本論文の概要を章ごとに記す。 序章では、方法論および仮説の提示と研究史の整理がなされる。いくつかの概念用語 の説明とともに、本論文においては文化人類学の領域でポール・ヒ―バートらが提唱し た Worldview Study のアプローチをアーミッシュ研究に援用すること、およびアーミッ シュの死生観を「神の国」観と共同体観という2つの視点から検証することが説明され る。その際、以下の3つの仮説を検証することが本論文の主旨であるとされている。す なわち、(1)Worldview Study では、あらゆる文化にその文化固有の「あの世とこの世」 の概念があるとされるが、アーミッシュ文化においてはこの「あの世とこの世」すなわ ち「神の国」概念が、社会活動全般を方向づける重要な規範となっていること、 (2)Worldview Study においては、ある文化の主要なテーマは危機的状況においてより 顕著に現れるとされるが、アーミッシュ文化において死生観を構成する「神の国」概念 と共同体概念の展開は、この規定に該当するということ、(3)Worldview Study におい ては、文化は「知的―情緒的―価値評価的」の3つの層において評価しうるとされ、こ のうち最も基層に位置するのが文化の「価値評価的(社会規範的)」な層であるとされ るが、アーミッシュの死生観がこの「価値評価的」層にまで及んでいるということ、の 3つである。また序章では、アーミッシュにかんする先行研究を「アメリカにおける研 究論文」 「メノナイト派の研究雑誌 Mennonite Quarterly Review に掲載された論文」 「日 本における研究」「死生学に関する論文」に分けつつ、それぞれの代表的研究について 言及している。そのうえで、先行研究を「古文書分析にもとづく歴史的考察」「社会科 学的視点からの総合的分析」 「医療的観点からの研究」 「アーミッシュと外部世界との軋 轢についての研究」「アーミッシュ自身による自叙伝的著作」に分類しつつ、本論文が 第2の「社会科学的視点からの総合的分析」に属するとしたうえで、本論文がアーミッ シュの死生観を、アーミッシュ形成史、共同体論、経済学、労働観、教育論、人間関係 論、神学、類似セクトとの比較といった観点から考察することを説明している。 第1章は、本論文が援用する Worldview Study についての説明にあてられる。 Worldview という概念は哲学や文化人類学において用いられてきたものであるが、本論 文では、おもに文化人類学者ポール・ヒ―バートによって規定される Worldview の方法. 5.

(7) を援用するとする。これは、たんに知的な世界認識や世界像にとどまらない、世界につ いての情緒的また評価行動的な認識を含むものであり、ある文化集団内で意識的・無意 識的に共有されているものであるとされたうえで、アーミッシュ研究に Worldview Study の方法を援用することの有効性が説明されている。 第2章は、アーミッシュ形成の歴史的考察である。アーミッシュの起源をルターやカ ルヴァンではなくチューリッヒにおけるツウィングリの宗教改革運動に求めつつ、そこ から誕生したアナバブテスト(再洗礼)派の説明に及び、さらにアナバプテスト派内で のメンノー・シモンズの改革によりメノナイト派が誕生したこと、メノナイト派の分裂 や一致のなかでアーミッシュという名のもととなったヤーコブ・アーマンの改革が起こ ったこと、迫害によってヨーロッパからは消滅したアーミッシュがアメリカに新天地を 求めて定住したこと、が説明されている。そして 500 年に渡る迫害と受難の歴史をつう じて、アーミッシュの中にこの世ではなく「神の国」を求めていきる信仰、そして「神 の国」を共同体として希求する姿勢が強固に培われてきたと述べている。 第3章は、アーミッシュの教会観を宗教社会学における小共同体論の文脈で検討して いる。ウェーバー、トレルチ、インガーらの宗教集団類型論――教会、デノミネーショ ン、セクト、カルト等の区別――を紹介した後、アーミッシュが、外部からの加入なし に、官僚制化を避けた内省的かつ凝集的セクトの性質を 500 年にわたって保ち続けるこ とができている理由を、ラルフ・ウィンターの「二構造論」とアンソニー・ワーラスの 「再活性化運動」を用いて検証している。すなわち本論文は、アーミッシュが 200 名を こえると株分けをして個別の共同体を形成する点や、子どもたちが共同体に残るか否か を猶予期間を経た個人の選択に委ねている点に、団体内部の統合と外部への拡大とを両 立させる二構造論の特徴や、個人の回心を基礎にした集まりを徹底する再活性化の特徴 を見出している。そのうえで、「神の国」の拡大を現世忌避の共同体形成というかたち で遂行するアーミッシュの死生観が、こうした教会論の根底に存在していることを指摘 している。 第4章は、アーミッシュの労働観と経済活動概念を、アルフォンス・デーケンが紹介 しているマックス・シェーラーの倫理学の枠組みを用いて説明し、くわえてウェーバー の労働倫理の概念を用いてアーミッシュの経済活動を検討しようと試みている。デーケ ンの描くシェーラーの倫理学は、以下の9つの特徴を持っている。すなわち、(1)実質 的価値序列の絶対性、(2)個々の文化的・歴史的価値の相対性、(3)道徳的善の完成可能 性、(4)時宜にかなった道徳的要請を示す「カイロス」の概念、(5)一つの感情を繰り返 し体験する「精神の自家中毒」としての「ルサンチマン」の概念、(6)悔恨の重要性、 (7)人間存在の中核としての「愛の秩序」の概念、(8)模範となる人格モデルの重要性、 (9)「調和の時代」を期待する未来志向的態度、の9つである。さらにシェーラーは、 「支配知=実証科学」 「本質知=形而上学」 「救済知=宗教」という3つの知の形態の相 互補完と調和を主張した。学位申請者によれば、こうしたシェーラーの統合的倫理学は、 悔恨にもとづく愛の秩序の回復をもって救済と倫理観の統合を成し遂げようとするも のであったが、神の愛に圧倒された者たちが神への応答として愛の共同体の建設に励む というアーミッシュの倫理観は、シェーラーの倫理学に合致する部分が多いという。ま た本章では、こうした宗教的エートスがもたらす社会改革効果について、世界 142 か国. 6.

(8) の民主主義への移行過程にミッショナリーが及ぼした影響を統計学的に分析したロバ ート・ウッドベリーの研究が紹介されている。さらに、二重予定説を否定し、共同体を 強調し、農業を重視し、世俗内ではあるが逃避型禁欲であるといった諸点で近代の個人 主義的かつ世俗改革的なカルヴィニズムの資本主義精神とは異なるとはいえ、アーミッ シュの労働倫理のなかに、ウェーバーが禁欲的プロテスタンティズムの労働倫理として 定式化した精神が認められることが指摘されている。アーミッシュの死生観にもとづく 「プロテスタンティズムの倫理と生活共同体の精神」がアーミッシュの農業社会のうち に見いだされうるとされている。 第5章は、アーミッシュの教育を、家庭教育・学校教育・教会教育・コミュニティ教 育の各側面から眺め、その理念・実践・現状を明らかにしている。この章では、学位申 請者がアーミッシュを本格的に研究しようとして 25 年前に初めてアーミッシュの村を 訪れた際の子どもたちの行動にかんする印象から始まって、その後の学位申請者の研究 態度におけるアーミッシュとの距離感が語られる。ある社会集団を対象とした比較文化 のフィールドワークを実践する際に、観察者的な視点と当事者的な視点との双方を持つ 必要性が確認されている。アーミッシュにおける教育の中心が家庭教育とりわけ父親の 正直な生き方を通じた信仰の継承にあることが述べられ、家庭・学校・教会・コミュニ ティが相互に補完しあって神の国のエートスを共有する共同体の責任ある自覚的メン バーを育てるという教育観のうちに、アーミッシュの死生観が浸透しているとされる。 そして、アーミッシュの教育が統合的なものとなりえていることの背後には、アーミッ シュの社会自体が、神に対する謙遜と従順という基準を共有した、世代間の断絶が少な いシームレスな社会であることがある、という考察がなされている。同時に、アーミッ シュが 500 年以上存続するだけでなく人数的にも拡大していることから、こうした共同 体教育が個性の発展を阻害する洗脳教育ではなく、個性の尊重と各成人メンバーの自発 的選択によるものであるという指摘もなされている。子どもの帰属を第一に神、第二に 教会、第三に家庭としてとらえつつ、家族が中心となり、学校と教会とコミュニティが 協力して教育していくアーミッシュの理念と方式は、ホームスクーリング・ムーヴメン トとしてアメリカやその他の国々に影響を与えている。 第6章は、歴史の中でアーミッシュの共同体としての持続性を担保してきた重要な要 素とされる「赦し」と「和解」の理念と実践について、神学や心理学の視点にくわえて、 インタビュー調査の知見も交えつつ論じている。犯罪や事故の被害者となったアーミッ シュの家族が加害者やその家族を赦すだけでなく、その後長年にわたってサポートし続 けた複数の事例を紹介した後、こうした赦しの実践が可能になった理由として、他のキ リスト教教団とは異なるアーミッシュ独特の聖書理解がなされる聖書箇所が2箇所検 討されている。「我らに罪をおかす者を、我らがゆるすごとく、我らの罪をもゆるした まえ」(マタイ福音書6章 12 節)の「主の祈り」を、「神に赦された者が他の人を赦す 限りにおいて、神の赦しは有効に働く」と解釈するアーミッシュの聖書理解は、神との 関係と共同体との関係とを有機的に結びつける働きをし、アーミッシュ共同体存続の鍵 となっているとされる。学位申請者は、「赦しとは被害者が加害者を赦免することでは なく、怒りの感情を神にゆだねることである」とするアーミッシュの理解が、赦しを「悪 の容認」や「出来事の忘却」や「法的懲罰の赦免」や「和解」と区別して、「加害者へ. 7.

(9) の憤りの克服」であるととらえる現代心理学の理解と重なることを指摘している。同時 に、赦しを個人ではなく集団の問題ととらえるアーミッシュの観点が、被害を受けた個 人に赦しを強制し、「全体最適」のために「部分最適」を犠牲にしてしまう負の側面へ の可能性も持ちうることも指摘されている。ただし、学位申請者は、アーミッシュの「赦 し」を「短期的な行動の決意」と「長期的な憤りの感情の克服プロセス」の二段階に分 けて、赦しには双方が必要であると説明することで、「赦しへの強制」を回避し、みず からの弱さを正直に認める回復を実行する可能性を提示している。さらに本章では、ア ーミッシュにおいて被害者側の「赦し」をこえて被害者と加害者の「和解」が目指され るプロセスについても考察がなされている。学位申請者によれば、「赦し/和解」とい う概念と「忌避/破門」という概念は、両方ともアーミッシュ文化の主要な特徴であり、 両者が補い合いつつ「神の国」にふさわしい「共同体」を形成するというかたちで、ア ーミッシュの基層文化を構成している。 第7章は、アーミッシュの死生観が集約的に表明される葬儀の理解について、おもに フィールド調査の知見をもとに考察している。尊厳死や看取りのあり方が注目され、死 生学が医学とともにこうした課題を担いつつある現代にあって、アーミッシュが死とど のように向き合ってきたか――アーミッシュの葬制文化――を、旧約聖書創世記にみら れる族長たちの死をアーミッシュがどのようにとらえたかを軸として考察している。学 位申請者は、葬制文化がアーミッシュ共同体にとって信仰の共有と維持発展にきわめて 重要な役割を果たしているとし、その特徴を次の8点にまとめる。すなわち、(1)父性 社会における母性への思慕(厳しさと優しさを兼ね備えた社会)、(2)天国信仰(「神の 国」観)、(3)葬儀を通じた残された者たち同士の赦しと和解(共同体の維持強化)、(4) 共同墓地の意味(共同体の維持強化)、(5)教育の場としての看取りと葬儀(死生観教育)、 (6)悼み悲しみの共有(共同体の力)、(7)看取りのあり方(ホスピス;共同体の力)、(8) 揺籃から墓場まで及ぶ死生学教育、の8つである。アーミッシュ共同体が 500 年にわた って共有してきたエートスとは、天国への希望であり、地上におけるこの希望の実現の ために共同体の総力をあげて聖書に従い、謙遜に愛し仕え合う共同体を建設していくこ とであると説明される。 第8章は、アーミッシュと共通するアナバプテスト派という歴史的ルーツを持つハッ タライトとメノニータスの宗教、家庭、教育、経済活動を、アーミッシュとの比較をも 意識しつつ概観している。アーミッシュとハッタライトとメノニータスは、それぞれ私 有財産制(アーミッシュ)、共有財産制(ハッタライト) 、共有財産の私的配分制(メノ ニータス)といった特徴を持ち、後二者は産業の機械化を受け入れるなど、経済活動に おいては異なるものの、この世を仮の世および天国への準備期間ととらえながら、「神 の国」をこの世で促進しようとする死生観・共同体観において共通している。学位申請 者によれば、これらの集団の共同体としての強固な凝集性を可能にしているものは、来 世への信仰を共同体単位で実行するというその具体的・実践的な死生観であった。 第9章は、本論文全体を章ごとに振り返って要約しつつ、序章において設定された3 つの仮説の妥当性が論証されたことを述べ、本論文の意義を再確認している。学位申請 者による本論文の意義とは、アーミッシュの死生観についての包括的な研究であるとい うことである。アーミッシュの死生観については、これまで心理学、医学、文化人類学. 8.

(10) の見地から個別的に研究がなされてきたが、基層文化研究の手法として Worldview Study をとりいれることで、アーミッシュの共同体・労働・経済など、主要な文化テー マと文化諸領域にまで及ぶ死生観の影響の広がりを確認できたとしている。 第 10 章は、本論文にとって残された課題に触れている。すなわち、本論文では十分 におこなえなかった点として、アーミッシュの死生観の歴史的発祥の経緯やアーミッシ ュの聖書解釈にかんする歴史神学的考察、複数のアーミッシュ居住区に調査対象を拡大 することによる居住区ごとの背景の相違の検討、アーミッシュのルーツとなったメンノ ー・シモンズやヤーコブ・アーマンの書簡や信仰箇条の分析による初期アナバプテスト 派の死生観の検討、アーミッシュを離脱した3種類の人々――追放処分に処せられた者、 みずからの意志で出た者、成人時にアーミッシュに残らない選択をした者――すべてへ の聞き取り調査の必要性、があげられている。. 4.公聴会での質疑応答 2019 年 1 月 12 日実施の公聴会においては、以下の趣旨の諸点について、審査員より コメントと質問が寄せられ、学位申請者による応答がなされた。 (〇:審査員 ●:学位申請者) 〇本論文は、Worldview 理論をふまえた体系的考察である点、現代のアーミッシュ研究 の第一人者であるホステトラーの先行研究を踏まえてアーミッシュの本質である死生 観に踏み込んでいる点、アーミッシュと長年にわたる友人関係を築くことで、葬儀に参 列するなど外部者が入れないコミュニティ内部に入って知見を得ている点で、高く評価 できる。これは学位申請者が数十年間米国に居住していたからこそできたフィールドワ ークの成果であり、日本に住んで数年おきの夏休みにアーミッシュの居住区を訪問する だけでは得られない体験と知見がある。 〇パラティン以外のアーミッシュ・コミュニティで今後着目すべきは、ペンシルヴァニ ア州ミフリン郡にあるキシャコキラヴァリーのコミュニティであろう。旧派アーミッシ ュの馬車の色も黒色だけでなく黄色や白色と多様性があり、新派アーミッシュやビーチ ー・アーミッシュなどのアーミッシュに加えて、メノナイトやブレザレンなどの諸集団 が共存・集住しており、アーミッシュ内部の集団間の差異だけでなくアナバプティス全 体からもアーミッシュを考察することができる。 〇アーミッシュの核心にあるのは「社会的忌避」である。アーミッシュは忌避を徹底す るために内部で破門の措置をおこなう。破門になる理由としては、大きく「戒律違反」 と「個人的宗教体験の表明」の2つがあるが、後者による破門と社会的忌避との関係を、 さらに深めて考究することができるのではないか。 ●自分が対象としたコミュニティ以外のアーミッシュについても今後探査していきた い。また、破門理由の相違による分類、とくに個人的宗教体験を理由とする破門につい ても、友人である元アーミッシュとの連絡を含め、さらに考察を広げていきたい。. 9.

(11) 〇とりわけ第6章で扱う赦しと和解のテーマは、今日の世界情勢、例えば日韓、日中関 係などを考える上でも、多くの示唆的な視点を含んでいる。日本国内においても、記紀 神話に語られている国譲りや明治維新における政治的局面において、様相は異なるとは いえ、この赦しと和解のテーマが流れているように思われる。今後の展開として、比較 文化的な視点から検討してみる価値があると思われる。 〇アーミッシュの経済活動や労働を扱うことで社会科学的視点が導入されているのは 分かる。しかし、経済学研究とアナバプテスト研究を結合した榊原巌の先行研究のうち、 経済学研究の部分が本論文では扱われていない。近代における宗教と社会科学との関連 は重要なテーマであり、たとえばツウィングリにも中世自然法への意識が見られる。ア ーミッシュの考察に「法」の側面からの議論を含めてもよかったのではないか。 ●榊原巌の初期のほうの業績はフォローしきれていなかった。アーミッシュ自身は政府 や近代法を徹底して忌避するのではあるが、アーミッシュと法とのかかわりを考えるこ とで、社会科学的視点からの考察を進めることも今後の課題としたい。 〇マタイ福音書や創世記をめぐって、一般的なキリスト教会の解釈とアーミッシュの解 釈との相違が提示されているが、アーミッシュの聖書解釈はどこまで独自のものなのか。 アーミッシュの聖書解釈のルーツを、アーミッシュ自体のルーツと同じくツウィングリ や再洗礼派に求めてもよいか。 ●アーミッシュの聖書解釈が厳格化していくのは、メンノー・シモンズからではなくヤ ーコブ・アーマンからだと考えている。 〇『殉教者の鏡』をアーミッシュがどのように位置づけ、解釈するかについて、もう少 し知りたい。『殉教者の鏡』はかなりの分量を持つ書物であるが、アーミッシュは『殉 教者の鏡』のどの部分を重視するのか。『殉教者の鏡』のアーミッシュに特徴的な解釈 の仕方があるのかどうか。アーミッシュ以外に『殉教者の鏡』を重視する教団やセクト の解釈と、アーミッシュによる解釈とのあいだに何か違いがあるだろうか。 ●アーミッシュは高等教育を受けないので、書物の読み方は文字通りの素朴な読解であ り、 『殉教者の鏡』も信仰者のモデルとして読まれている。 〇アーミッシュの労働観を論じた第4章で、シェーラーの統合的倫理学が紹介されてい るが、シェーラーの枠組みを用いることでアーミッシュの労働観のいかなる側面に光が 当てられたのか。そもそもマックス・シェーラーへの理解がアルフォンス・デーケンの 書物に依拠している点に、問題があるのではないか。 ●シェーラー自身が聖書に造詣の深い哲学者であり、デーケンの描くシェーラー倫理学 の9つの特徴が、アーミッシュの和解のプロセスと重なっていると理解したためである。 〇Worldview もしくは死生観の現れでないようなアーミッシュの生活文化領域があるの か。あるとすればそれは何か。アーミッシュにとっては生活すべてが死生観の表出であ るのが事実かもしれないが、それを論文として論じる場合に、死生観という基層文化へ の還元主義に陥ってしまうことはないか。. 10.

(12) ●Worldview にはつねに正反対のテーマ(対抗テーマ)が附随する。「赦し/和解」と いう概念と「忌避/破門」という概念は、ともに Worldview のテーマではあるが正反対 の概念であり、こうした正反対の概念が相補的に結合しているところにアーミッシュ基 層文化の特徴があると考えている。必ずしも狭義の単一概念に還元されることはないと 考える。. 5.本論文の評価 まず、章ごとに本論文の評価を記す。 序章における方法論の提示と研究史の整理は、アーミッシュの死生観をひろくその世 界観や生活態度にまで浸透するものとして解釈する本論文の手法の由来を説明すると ともに、死生観と共同体観のつながりを指摘することで、死生観の観点から共同体論を 含む先行研究を包括的に整理することに成功している。 第1章では、文化人類学における Worldview の手法が、人間集団の知的世界認識面に とどまらず情緒面や行動規範面をも視野に入れていることが論じられ、この手法をアー ミッシュの生き方の分析に適用することの適切さが論じられる。世界観を、知的・哲学 的世界像としてだけでなく、情緒的にもみずからのアイデンティティの構成要素として 取り入れ、さらにそれが個人と集団の双方において社会規範として作用するものと位置 づける Worldview Study の手法は、アーミッシュのような信仰共同体を内側から理解す る際には有効であると考えられ、研究テーマの考察に必要な方法が採用されているとい える。 第2章は、アーミッシュの死生観の中心をなす「神の国」理解と共同体観の由来を、 アーミッシュ形成の歴史から説明し、くわえて、歴史のみからでは説明できない現在の アーミッシュ共同体の凝集力の理由としての「神の国」信仰にも言及する。アーミッシ ュの歴史は先行研究でも取り上げられることが多いが、本論文では、チューリッヒ宗教 討論会の経緯の追跡を通じて、ツウィグリからアナバプテスト派が分かれた時点がいく ぶん詳しく解説されている点に特徴があるといえよう。 第3章は、共同体論の諸類型にかんする社会学上の諸先行研究を足掛かりに、アーミ ッシュが数百年にわたって「セクト型」の共同体を維持しえた理由を分析している。内 部的統一と定期的刷新の双方が有効に機能したことが「セクト型」共同体の維持発展の 鍵であったことが説得的に論証されている。 第4章では、アーミッシュの労働観がウェーバーらの理論枠組みを援用しながら説明 されている。ウェーバーがカルヴィニズムに当てはめたプロテスタンティズムの労働倫 理を、アーミッシュというセクトに当てはめることで、世俗「外」 「隠棲」でも世俗「内」 「禁欲」でもない世俗「内」「忌避」の労働倫理という視座を導入している点は本論文 の独自性といえよう。 第5章は、アーミッシュの共同性を形成してきたその教育について、筆者の経験やフ ィールドワークを交えつつ解説する。教育のシステムと実践の双方にアーミッシュの死. 11.

(13) 生観が浸透し、教育の基盤となっていることが有効に提示されている。 第6章は、アーミッシュが実践する「赦しと和解」を、その実践的神学理解およびア ーミッシュ襲撃事件の事例をもとに論じる。歴史的伝統とのかかわりにおいて集団での 「赦しと和解」を考察する本章は、社会科学において近年注目されている和解の概念と 実践についても貴重な示唆を与えているといえる。 第7章は、アーミッシュの葬儀にあらわれる死生観を、アーミッシュが旧約聖書「創 世記」に登場する族長たちの葬送をどのように理解していたのかを参照しつつ考察する。 死を経由した「神の国=永遠のいのち」への希望が端的に表現されるのがキリスト教葬 儀の特徴であるが、自分たちの歴史的遍歴と族長たちの遍歴を重ね合わせるアーミッシ ュの創世記理解がこうした希望をさらに強めている、という指摘は正鵠を得ている。 第8章は、アーミッシュと似たルーツを持つハッタライトとメノニータスの家庭観・ 教育観・経済観を解説し、アーミッシュとの類似と相違を明らかにしている。来世への 希望をアーミッシュと共有しつつも経済制度において異なる他集団との比較をつうじ て、アーミッシュの特徴がより明確になっている。 第9章における論文の要約と意義の再確認は、本論文の位置づけをより簡潔に示して いる。 第 10 章で触れられている今後の課題は、本論文をさらに発展させるために必要な点 について、本論文が適確に自覚していることを示している。 つぎに、社会科学研究科博士論文審査基準にしたがって本論文の評価を記す。 ①着眼点、方法、内容、結論等におけるアイディア、独創性 ②論文のテーマ設定の妥当性、重要性 ③テーマに応じた論文の構成の妥当性 着眼点における本論文の学術的意義と独創性は、これまで特異な宗教セクトとして 「社会的忌避」や「シンプル・ライフスタイル」に焦点が当てられがちであった、もし くはキリスト教神学の内部で宣教学や教会史の文脈でのみ語られてきたアーミッシュ について、彼らの生活態度や戒律の根底にある世界認識としての「死生観」にまで遡り、 アーミッシュの共同体観、労働観、教育観、「赦し」観、葬送理解を、その死生観の現 れとして提示した点に存している。結論部分および論文全体をつうじて、アーミッシュ の死生観において「神の国」理解と共同体観が独自の役割を果たしている点が明らかに されている。 アプローチ面では、アーミッシュ自身の自覚的信仰態度を世界認識として内在的に把 握するために、世界観を知的側面のみならず情緒的側面また行動規範的側面からも考察 する文化人類学の Worldview Study の方法を採用している点にも、アーミッシュの基層 文化研究としての独自性が認められる。また、比較対象として、アーミッシュと教理の 多くを共有しつつも制度化された教会組織を持ち、社会に開かれ、近代社会文明を受容 しているような他のプロテスタント教団や、教理や制度や社会への態度においてアーミ ッシュと共有部分を多く持ちつつも近代文明をある程度受容しているようなハッタラ イトやメノニータスが採用されることで、比較文化論的な分析も可能になっている。. 12.

(14) 本論文の手法上の特徴の一つとして、近代文明と外部社会の「忌避」ゆえに文字資料 としての一次史料をみずから残すことが少ないアーミッシュ内部の実情について、アー ミッシュ自身による自叙伝的記述や先行研究文献にもとづく考察だけでなく、アーミッ シュへのインタビュー調査にもとづく分析を導入している点があげられる。ニューヨー ク州パラッツバーグ市にあるオールド・オーダー・アーミッシュ「パラティン」集落に 関する 25 年以上にわたる実地調査と、その集落を出てモンタナ州に移住した元アーミ ッシュとの会話をつうじて得たアーミッシュの内情についての情報が、効果的に使われ ている。 ④先行研究のサーベイをふまえた専門分野における貢献度 ⑤データや資料に裏付けられた実証性 本論文は文献探査とインタビュー調査という2つの手法にもとづいている。 文献探査についていえば、国内外における多くのアーミッシュ関連文献――とくに Mennonite Quarterly Review が提供する歴史的資料――が渉猟されている。主要な参 考文献として欧文文献 93 点(邦訳があるものを含む)、日本語文献 16 点があげられ、 それにくわえて副次的参考文献として欧文文献 159 点(邦訳があるものを含む)、日本 語文献 35 点があげられている。広範な文献を取り入れることで、アーミッシュについ ての総合的見地からの検討が可能になっている。 インタビュー調査については、学位申請者は 25 年以上にわたって年に一度アーミッ シュ・コミュニティを訪問して面接をおこない、さらに書面やメールによる質疑応答を 繰り返している。アーミッシュと長年にわたる友人関係を築くことで、葬儀に参列する など外部者が入れないコミュニティ内部に入って知見を得ている点は、米国長期在住経 験によって可能となったフィールドワークの成果として高く評価できる。長年にわたる 交流を通じてアーミッシュおよび元アーミッシュの人々の口から得られた「アーミッシ ュの死生観」に関する情報は、現代におけるアーミッシュの内実をかなりの程度反映し ていると考えられる。 ⑥論旨展開における論証力、説得力 ⑦専門用語や概念の使い方における正確さ、妥当性、充分性 ⑧引用の仕方、注の付け方、資料の利用の仕方、文献リストの作り方における正確さ、 妥当性、充分性 アーミッシュの世界認識や自己理解を内在的に把握するために不可欠な聖書用語や 神学概念について、学位申請者はきわめて精通しており、くわえて本論文ではウェーバ ーやトレルチらの宗教社会学が批判的に摂取されるなど、宗教社会学や文化人類学の枠 組みや知見が効果的に取り入れられている。そのことによって、アーミッシュの死生観 の解明のみならず、その死生観が共同体観や労働観とどのように結合しているかについ ても説得的な説明がなされているといえる。 注の付け方や文献リストの作り方などもおおむね正確かつ妥当になされていると判 断される。. 13.

(15) ⑨社会科学研究科の独自性から要請される学際性、実践性 ⑩論文全体としての卓越性 本論文は労働・教育・葬制文化などアーミッシュ共同体が持つ多くの側面を解明しよ うとするものであり、神学、歴史学、心理学、社会学、人類学などの知見を動員してい る点で学際的な意義を有する論文である。あわせて、凝集性と拡大性を両立させながら どのようにして共同体が持続・発展しうるかという視点から、「赦し」や「和解」の共 同体論的意義についても論じられており、文化コミュニティのサスティナビリティの検 討という点でも実践的な意義を持つと考えられる。専門性、総合性、学際性、実践性に おいて優れた論文であると評価できる。 本論文の課題についても触れておく必要があろう。公聴会での質疑や、本論文最終章 であげられている「今後の課題」に表れているように、アーミッシュ死生観の歴史的形 成過程についての考察や、近代社会科学と宗教マイノリティの接点についてのより掘り 下げた考察、さらに多くのアーミッシュ・コミュニティを視野に入れた広範囲でのフィ ールドワークなどは、本論文の不足点ないし今後の研究課題として指摘されてよいであ ろう。 こうした不足点にもかかわらず、アーミッシュ共同体の多くの側面を「死生観」を軸 に統一的・総合的に考察するカヴァー範囲の広さと体系的考察の深さからしても、また、 多くの文献資料と長年のインタビュー調査にもとづいてアーミッシュ自身の自覚にか なり近いかたちでその現状と内実を反映している実証性からしても、本論文が従来のア ーミッシュ研究に大きく貢献するものであるという評価は動かない。本論文は同時に、 「赦し・和解」といった、現代社会にとって実践的意義を持つ問題への視座をも提示し ている点で、学際的応用の可能性を宿している。 以上をふまえ、審査委員会は全員一致で本論文が「博士(社会科学)」の学位に値す るものと認める。. 審査委員 主査. 早稲田大学社会科学総合学術院教授 博士(政治学)早稲田大学 厚見 恵一郎. 副査. 早稲田大学名誉教授. 副査. 早稲田大学名誉教授. 経済学博士 早稲田大学. 古賀 勝次郎. 副査. 高崎経済大学地域政策学部教授. 文学博士 シドニー大学. 大河原 眞美. 池田 雅之. 14.

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