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博士 (工 学) 寺川雅嗣 学 位 論 文 題 名

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Academic year: 2021

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博士 (工 学)    寺川雅嗣

学 位 論 文 題 名

液晶テレビの高画質化と省エネルギー設計に関する研究 学位論文内容の要旨

  我 が 国 の テ レ ビ シ ス テ ム は,21世 紀 にか けて , プラ ウン 管 テレ ビの 使 用を 前提 と した アナ ロ グ放 送方 式か ら ,よ り臨 場 感を 高め る こと を目 的 とし たデ ジ タル 放送 方 式へ と発 展し た.但し,デジタル 放送 方式 に おけ る高 精 細テ レビ (High Definition TV;HDTV) の検 討に 当 って は, プ ラウ ン管 テ レビ の全 盛期 で あっ たた め に, フラ ッ トパ ネル デ ィス プレ イ (Flat Panel Display;FPD)を用いた十分を 検証 が不 足 して いた . 大型 液晶 テ レピ が一 般 家庭 に普 及 した 今と 教 って 初め て ,FPDの視 聴環 境 や視 聴条 件が 研 究さ れ, 明 らか にを っ てき てい る .更 にFPDにお い ては ,液 晶 ディ スプ レ イ及 びプ ラ ズマ デ ィ ス プ レ イ で , そ の 物 理 特 性 は 十 分 に 改 善 さ れ て お り , 今 ま で のHDTV放 送方 式 に準 拠す る こと を目 的と し た設 計, 即 ちデ ィス プ レイ の物 理 特性 をひ た すら 向上 す るこ とを 目的 とした設計から,テ レピ シス テ ムの 原点 に 返る てと が 求め られ て いる .

  さ て, テ レビ 受像 機 の理 想系 を 考え た場 合 ,直 接, も のを 見る 場 合と ,テ レピ 受像機を介して見る 場合 の視 覚 情報 が, 同 一と をる こ とが 理想 で ある .よ っ て, テレ ビ 受像 機の 最適 化のためには、撮像 か ら 観 察 ま で の イ メ ー ジ ン グ・ パイ プ ライ ン全 体 を考 えを け れば をら を い. その 時 ,重 要と な るの は、 実際 の 視聴 環境 , 視聴 条件 , 伝送される映 像信号の特徴,人 間の視覚特性,被 写体の特性を考慮し たシ ステ ム 作り であ る .

  一 方, 昨 今の 環境 問 題へ の関 心 の高まりから ,液晶テレピの設 計においても省工 ネルギー(省工ネ)

の観 点は 欠 かす こと が でき をぃ 要 素で ある . 地球 温暖 化 防止 の取 組 みの 中で ,テ レピが占める消費電 カの 割合 は 無視 でき を いレ ベル に あり ,世 界 各国 のテ レ ピ受 像機 に 対す る省 エネ 基準は,年々厳しい もの にを っ てき てい る .

  よ って , 今後 の液 晶 テレ ビ設 計 を考 えた 場 合, 従来 か ら行 われ て きた 「高 画質 化設計」と環境問題 を配 慮し た 「省 エネ 設 計」 を両 立 させ る必 要 があ る. 但 し, これ ら ニつ の設 計要 素は相反する特性を 持つ .例 え ぱ, テレ ピ 受像 機が , より きれ い に見 える た めの 基本 要 素と して 明る さがあるが,液晶テ レ ピ を よ り 明 る く す る た め には ,テ レ ピの 消費 電 カの 大部 分 を占 める バ ック ライ ト の消 費電 カ を大 き く す る 必 要 が あ り , 「 高 画 質 化 設 計 」 と 「 省 工 ネ 設 計 」 を 両 立 す る こ と は で き を い ,   以 上よ り ,本 研究 の 目的 を次 の よう に定 め た.

(1)人 間 の 視 覚 特 性 や 被 写 体 の 特 性 を 考 慮 し た 液 晶TVの 画 質 に 関 す る 評 価 指 標 を 導 入 し , (2)評 価指 標を 使 った 設計 指 針に ,省 エ ネの 観点 を 加え て,

(3)液 晶テ レピ の 「高 画質 化 設計 」と 「 省エ ネ設 計 」を 両立 さ せる こと

  第1章 で は ,HDTV放 送 方 式 の 各 パ ラ メ ー タ が ど の よ う に 決 め ら れ た か , そ し て そ れ に 対 し て液 晶 テ レ ビ の 性 能 が ど の よ う に向 上し て きた か, 更 に今 より 効 率の 良い テ レビ シス テ ムを 開発 す るた めに ,視 聴 者の 視聴 環 境や 放送 コ ンテ ンツ に 対し てど の よう を研 究 が行 われ てい るかを述ベ。今後テ レピ 受像 機 が目 指す べ き方 向性 と 共に 本研 究 の目 的を 明 確化 する .

  第2章 , 第3章 で は , 人 間 の 視 覚 特 性 や 被 写 体 の 特 性 を 考 慮 し た 液 晶 テレ ピの 画 質に 関す る 評価

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指標 を 導入 する .

  第2章で は ,色 域の 評 価指 標として,CRC( Coverage of Real objectC010r)を導入する.従 来の色域 評 価 は , 二 次 元 の 評 価 指 標 で あ るxy色 度 図 上 で 行 わ れ て い た , ま たNTSC比 やEBU比 をど , テレ ビ 放送 方 式で 規定 さ れた 色域 を 基準 に評 価 が行 われ , 実際 の被 写 体の 色分 布 が考 慮さ れ てい をい,CRC はテ レ ピ受 像機 に 表示 され る 被写 体の 特 性と して , 実際 の物 体 色の 存在 範囲を明確化し,そ れに対す る デ ィ ス プ レ イ の 表 示 性 能 を , 明 る さ を 含 め た 三 次 元 空 間 で 評 価 す る 新 し い 評 価 指 標 で あ る .   第3章 で は , 色 の 知覚 状態 の 評価 指標 と して ,CMI(ColorModeIndex)を 導入 す る, テレ ビ 受像 機 にお け る色 再現 に おい ては , 被 写体 の 特性 に忠 実 を色 再現 とい う要 素と, 視聴者がよ り好まし く見 え るよ うを 包 再現 と い うニ つの 側 面が ある . この 内, 好 まし い色 再現については,伝 送される 色信 号 を, 単に よ り鮮 やか を 色信 号に 変 換す るだ け では ,違 和 感( 色の 知覚状態の変化)を 感じるこ とが あ る. 従来 は ,こ の許 容 限界 につ い ての 評価 指標が存在し教 かった.CMIは,表面色知覚 ,発光・

螢 光 色 知 覚 の モ ー ド境 界 を主 観評 価 実験 によ り 定量 化し た もの で。 各 色度 のモ ー ド境 界に 相 当す る 明 度 をCMI=100と して 算 出す るこ と がで きる . これ を用 い れば ,再 現 され た包 に 関し て, 人 の知 覚 状態 に 起因 する 画 質評 価が 可 能と をる .

  第4章で は ,液 晶テ レ ビの 高画 質 ,省 エネ 設 計の 設計 事 例と して , 広色 域と 省 エネ を同 時 に実現す る可 能 性を 持つ 多 原色 技術 を 取り 上げ , その カラ ー フア ルタ (CF) 設計 の最適化について検 討する.

新 た 極 原 色 点 の 追 加 に つ い て は , 第2章 で明 確 化す る設 計 指針 を用 い ると とも に ,設 計し た 広色 域 ディ ス プレ イを 第2章 で 定義 したCRCを 用 いて 評価 す る.

  第5章 で は , 第4章と 同 様に 多原 包 技術 を取 り 上げ ,画 素 サイ ズの 最 適化 につ い て, 線形 計 画法 を 用い た 数値 解析 に よる 設計 方 法を 示す . 更に ,画 素 サイ ズの 最 適化 によ っ て,I沁Bに 黄色 を加えた4 原包 パ ネル が, 色 域の 拡大 (高画質化 設計)と光利用効 率の向上(省エネ 設計)を両立できる ことを明 らか に する .

  第6章 で は , 第4章 , 第5章 で 検 討 し た 多 原 色 技 術 に つ い て , 色 域 の 拡 大 や 省 エ ネ 効果 以 外の メ リ ッ ト に つ い て 述 べ る . 第2章 で 導 入 し たCRCを べ ー ス に , 被 写 体 の 特 性 を 考 慮 し た 最 も 効 率 の 良 い シ ス テ ム と し て導 き 出し た多 原 色技 術で あ るが ,見 方 を変 える こ とで 次の ニ つの 効果 が 明ら か と を っ た . 一 つ 目 は デ ィ ス プ レ イ の 階 調 表現 にお け る高 性能 化 であ り,RGBシ ス テム より も 少橡 い ビッ ト 深度 で滑 ら かを 階調 表 現が 実現 で きる .二 つ 目は 高解 像 度化 であ り。追加したサプピ クセルを 制御 す るこ とで , エイ リア シ ング や偽 色 とい った 弊 害を 最小 限 に押 さえ つつ,輝度情報の水 平解像度 を 高 め る こ と が 出 来 る . こ れ ら ニ つ の メ リ ッ ト に つ い て 具 体 的 に 記 載 す る .   最 後 に, 第7章 では , 本研 究全 体 を通 して 得 られ た成 果 を総 括し , 工業 的応 用 ,今 後の 展 望につい て述 べ る,

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学位論文審査の要旨 主査    教授    宮

副査    教授    野 副査    教授    小 副査    教授    小

永喜 一 島俊 雄 柴正 則 川恭 孝

学 位 論 文 題 名

液晶テレビの高画質化と省エネルギー設計に関する研究

  本 論 文で は, 次 世代 の液 晶 テレ ピ設 計 を考 えた 場 合, 従来 か ら行 われ てきた「高画質化設 計」と環 境 問 題 を 配 慮 し た 「省 エ ネ設 計」 を 両立 させ る 必要 があ る と考 え, そ のシ ステ ム 評価 を新 た に提 案 し, 「 高画 質化 設 計」 と「 省 工ネ 設計 」 を両 立し た 新し い映 像 装置 の設 計・開発・実現につ いて述べ てい る 。そ もそ も ,こ れら ニ つの 設計 要 素は 相反 す る特 性を 持 つ, 例え ば,テレビ受像機が ,よりき れい に 見え るた め の基 本要 素 とし て明 る さが ある が ,液 晶テ レ ピを より 明るくするためには ,テレビ の消 費 電カ の大 部 分を 占め る バッ クラ イ トの 消費 電 カを 大き く する 必要 があり,「高画質化 設計」と

「省 エ ネ設 計」 を 両立 する こ とは でき 教 い.

  本 論 文の 目的 は 次の 各項 目 と謡 って い る,

(1)人 間 の 視 覚 特 性 や 被 写 体 の 特 性 を 考 慮 し た 液 晶TVの 画 質 に 関 す る 評 価 指 標 を 導 入 し , (2)評 価指 標 を使 った 設 計指 針に , 省エ ネの 観 点を 加え て ,

(3)液 晶テ レ ピの 「高 画 質化 設計 」 と「 省工 ネ 設計 」を 両 立さ せる こ と

  第1章 で は ,HDTV放 送 方 式 の 各 パ ラ メ ー タ が ど の よ う に 決 め ら れ た か , そ し て そ れに 対 して 液 晶 テ レ ビ の 性 能 が どの よ うに 向上 し てき たか , 更に 今よ り 効率 の良 い テレ ビシ ス テム を開 発 する た めに , 視聴 者の 視 聴環 境や 放 送コ ンテ ン ツに 対し て どの よう 謡 研究 が行 われているかを述ベ ,今後テ レビ 受 像機 が目 指 すべ き方 向 性と 共に 本 研究 の目 的 を明 確化 し てい る.

  第2章 , 第3章 で は , 人 間 の 視 覚 特 性 や 被 写 体 の 特 性 を 考 慮 した 液 晶テ レビ の 画質 に関 す る評 価 指標 を 導入 して い る.

  第2章で は ,色 域の 評 価指 標と し て,CRC( Coverage of Real object Color)を導入した. 従来の色 域 評 価 は , 二 次 元 の 評 価 指 標 で あ るxy色 度 図 上 で 行 わ れ て い た , ま たNTSC比 やEBU比 を ど , テ レ ピ 放 送 方 式 で 規 定 さ れ た 色 域 を 基 準 に 評 価 が 行 わ れ , 実 際 の被 写 体の 色分 布 が考 慮さ れ てい を い.CRCは テ レ ビ 受 像機 に 表示 され る 被写 体の 特 性と して , 実際 の物 体 色の 存在 範 囲を 明確 化 し. そ れ に 対 す る デ ィ ス プ レ イ の 表 示 性 能 を , 明 る さ を 含 め た 三 次 元空 間 で評 価す る 新し い評 価 指標 で ある .

  第3章で は ,色 の知 覚 状態 の評 価 指標 とし て ,CMI( Color Mode Index)を導入した.テレ ビ受像機 にお け る色 再現 に おい ては , ¨被 写体 の 特性 に忠 実 を色 再現 とい う要 素と, 視聴者がよ り好まし く見 え るよ うを 色 再現 と い うニ つの 側 面が ある . この 内, 好 まし い色 再現については,伝 送される 色信 号 を, 単に よ り鮮 やか を 色信 号に 変 換す るだ け では ,違 和 感( 色の 知覚状態の変化)を 感じるこ

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とが あ る , 従 来は ,こ の許 容限界 につい ての評 価指標 が存 在しな かった.CMIは, 表面色 知覚, 発光 ・ 螢光 色 知 覚 の モー ド 境 界 を 主 観評 価 実 験 に より 定 量 化 し たも の で,各 色度の モー ド境界 に相当 する 明度 をCMI〓100と して 算 出 す る こと が で き る , これ を 用 い れ ば,再 現され た色に 関し て,人 の知覚 状態に 起因す る画質 評価 が可能 とをる ,

  第4章 で は, 液 晶 テ レ ビの 高 画 質 , 省エ ネ設 計の設 計事例 として ,広色 域と 省エネ を同時 に実現 す る可 能 性 を 持 つ多 原色 技術 を取り 上げ, そのカ ラーフ アル タ(CF) 設計の 最適 化につ いて検 討した . 新た を 原 色 点 の追 加 に つ い て は, 第2章 で 明確 化 す る 設 計指 針 を 用 い ると と も に , 設計 した広 色域 ディス プレイ を第2章で 定義し たCRCを用 いて評 価した .

  第5章 で は, 第4章 と 同様 に 多 原 色 技術 を 取 り 上 げ, 画 素 サ イズ の最適 化につ いて, 線形計 画法 を 用い た 数 値 解 析に よ る 設 計 方 法を 示 し た. 更に ,画素 サイズ の最適 化に よって ,RGBに黄色 を加え た 4原 色パネ ルが, 色域の 拡大( 高画 質化設 計)と 光利用 効率 の向上 (省エ ネ設計 )を両 立で きることを 明らか にした .

  第6章 で は , 第4章 , 第5章 で 検 討し た 多 原 色 技 術に つ い て , 色域 の 拡 大 や 省エ ネ 効 果 以 外の メ リ ッ ト に つ い て述 べ て い る ,第2章 で 導 入し たCRCをべ ー ス に , 被写 体 の 特 性 を考 慮 し た 最 も効 率 の良 い シ ス テ ムと し て 導 き 出 した 多 原 色 技 術で あ る が , 見方 を 変える ことで 次の ニつの 効果が 明ら かと を っ た . ーつ 目 は デ ィ ス プレ イ の 階 調 表現 に お け る 高性 能 化 で あ り,RGBシ ステ ムよ りも少 教 いビ ッ ト 深 度 で滑 ら か 誼 階 調 表現 が 実 現 で きる . 二 つ 目 は高 解 像度化 であり ,追 加した サプピ クセ ルを 制 御 す る こと で, エイ リアシ ングや 偽色と いった 弊害 を最小 限に押 さえつ つ, 輝度情 報の水 平解 像 度 を 高 め る こ と が 出 来 る , こ れ ら ニ つ の メ リ ッ ト に つ い て 具 体 的 に 記 載 す る .   最 後 に , 第7章 で は , 本研 究 全 体 を 通し て得 られた 成果を 総括し ,工業 的応 用,今 後の展 望につ い て述べ ている .

  以上よ り, 本論文 では, 次世代 の映像 装置 に必要 教,「 高画質 化設 計」と「省工ネ設計」を両立させ た新 シ ス テ ム につ いて 述ベ ,その 設計理 論から ,具体 的を 装置の 開発・ 実現に つい て詳細 に検討 し、

新 情 報 化 社 会 に 適 し た 映 像 シ ス テ ム の 提 案 ・ 開 発 を ど , 十 分 を 成 果 を 挙 げ て い る .   こ れ を 要 する に ,筆 者は, 「高画 質化設 計」 と「省 エネ設 計」を 両立さ せた 新しい 映像シ ステム の 開発 を 行 い , より 実 世 界 に 忠 実な 高 画 質 化 設計 技 術 を 実 現し , 同時に その省 エネ 設計も 提案し てい る。 こ れ に よ り, 新し い映 像技術 ,映像 システ ムの設 計・ 開発・ 実現に 関する 多く の有益 顔知見 を得 ており ,情報 科学・ 工学 の分野 に貢献 すると ころ 大春る ものが ある.

  よ っ て 筆 者 は , 北 海 道 大 学 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る .

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参照

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