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博士(工学)大平雅司 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)大平雅司 学位論文題名

鋼材によるコンクリートの拘束効果を利用した 合成構造のカ学的特性に関する研究

学位論文内容の要旨

  近年、我国では、多大な被害をもたらす地震や火山噴火等の自然災害が多発し、地盤 の地割れや変形、更には構造物の崩壊等が数多く報告されるなど、社会資本の被害には、

目を覆うものがある。また、東海地震を始め各地で大地震の発生が危惧され、過去の歴 史的記録からも自然災害を避けて通ることが出来ないことは明白である。そのため、地 上の構造物はもとより、地下街や地下駐車場をはじめ地中の構造物についても安全性を 向上させることは急務であるが、社会資本の整備に対する省力化施工や工期短縮等のコ ス卜縮減の命題が一層強く課せられるようになってきた。特に、都市部での連続立体化 事業に伴う鉄道線路近接工事や地下工事等のように、施工が困難で、用地や作業時間あ るいは環境問題等、各種の制約を受ける建設事例が急増してきている。このような制約 条件に対して、施工効率の向上を図ると共に、施工の安全性を確保し、工期の短縮が可 能な構造が求められている。この様な厳しい条件を満足する構造の―つとして、鋼とコ ン ク リ ー ト と を 組 合 せ た コ ン ク リ ー 卜 充 填 式 の 合 成 部 材 が 挙 げ ら れ る 。   そこで本研究では、コンクリート充填式円形鋼管合成部材の供試体、コンクリート充 填式角形鋼管合成部材の供試体とそのコンクリートにプレストレスを導入した供試体お よび新たに開発を目指すスタッド付きH形鋼・コンクリート合成部材の供試体として、

合計3種類の供試体を用い、コンクリートの拘束効果に着目したカ学的特性の検討およ び考察を行った。

  本論文は全5章から構成されている。

  第1章は、序論であり、本研究全体の概要を述べた。

  第2章では、コンクリート充填式円形鋼管合成部材の軸圧縮耐荷性状について、最初 にその研究に至った背景とその目的を述べた。本合成部材の鋼管内面に、二硫化モリブ デンが球状の微粒子となって混合された常温施工が可能なグリースを新たな分離材とし て塗布することを試みた。それによって円形鋼管による拘束効果が十分に発揮されたこ とを示した。また、鋼管内面に分離材を塗布した本合成部材の耐力算定に、本来RC部材 に用いら れているCEB−FIPの拘束 コンクリートの見かけの強度と終局ひずみの増加式

( 以 後 、CEB−FIPの 式 と 表 す ) の 適 用 が 可 能 で あ る こ と を 明 ら か に し た 。   第3章では、コンクリート充填式角形鋼管合成部材の軸圧縮耐荷性状、曲げ耐荷性状 およびせん断耐荷性状について、最初にその研究に至った背景とその目的を述べた。軸

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圧縮耐荷性状に関しては、載荷荷重の増加と共に鋼管の辺と隅角部で拘束効果が一様で なくなり、鋼管の各辺が最初曲げによって降伏し、続いて隅角部に側圧が集中して、最 終的には隅角部近傍も引張カで降伏したことを明らかにした。一方、荷重増加に伴って 角形断面が大きく変形し、円形断面に移行する過程において、再度耐カが増加すること もわかった。角形鋼管によってコンクリートが有効に拘束される部分と有効に拘束され ない部分を考慮することで、CEB一FIPの式を本部材の耐力評価に安全側に適用出来るこ とを明らかにした。また三次元の非線形有限要素法解析によっても鋼管の隅角部に側圧 が集中し、耐カが増加することを示した。曲げ耐荷性状に関しては、充填コンクリート にプレス卜レスを導入した場合も、鋼管隅角部による拘束を考慮することでCEB―FIPの 式 を曲 げ耐 カの 評価に 適用出来ることを明らかにした。尚、通常のPC部材と同様にPC 鋼材を偏心配置することで、耐カのより一層の向上が予想される。せん断耐荷性状に関 しては、曲げ耐荷性状と同様、CEB−FIPの式を適用することにより実測値に近似した荷 重一変位関係が得られたことから、本式の適用が妥当であることを示した。せん断耐カの 計算値について、実用的には鋼材が受持っせん断耐カの分担分は、角形鋼管梁で全て受 持つとすることで、実測値に対して十分安全側であることを示した。本部材の破壊モー ドは鋼管側面の降伏よりも鋼管の上面、下面の降伏が先行し、最終的に座屈をおこす曲 げ破壊性状であったことがわかった。また、実験終了後、鋼管側面を剥したことによっ て、終局時では、せん断スバン内のコンクリートが端部支圧板によって拘束されるため、

斜 め ひ び 割 れ が 途 中 か ら 水 平 方 向 へ と 伸 展 し た こ と が 観 察 で き た 。   第4章 では 、ス タッ ド付きH形鋼・コンクリー卜合成部材の軸圧縮耐荷性状、曲げ耐 荷性状およびせん断耐荷性状について、最初にその研究に至った背景とその目的を述ぺ た。スタッドの利用目的に関しては、いままでは主に鋼とコンクリートとのずれ止めと して用いられているが、本合成部材ではスタッドに引張材としての働きも持たせること を試みた。軸圧縮耐荷性状に関しては、二本のH形鋼腹部に頭付きスタッドを溶接し、

スタッドどうしを交互に挟み込むように並べてコンクリートを充填した合成部材である。

コンクリートにはポアソン効果によるトラス状の拘束域が形成され、見かけの強度と終 局ひずみの増加が得られたことを示した。スタッド長は、長い方がトラス状の拘束域の 面積が大きくなり、コンクリートの軸強度が増加することがわかった。スタッドによる 拘束効果を考慮するため、本論文で提案している有効面積の算定方法を用いることで、

耐力評価にCEB−FIPの式を安全側に応用出来ることを証明した。また、三次元の非線形 有限要素法解析によってもスタッドによるトラス状の拘束域が形成されることを示した。

曲げ耐荷性状に関しては、スタッドによる拘束効果と共にH形鋼とコンクリートとの一 体化によって、梁としての変形能カが向上したことを実証した。コンクリートの拘束効 果により断面圧縮域の維ひずみが大きい上段側に配置されたスタッドは下段側よりも拘 束効果に大きく寄与していることがわかった。本合成部材の曲げ耐カは、断面の圧縮域 のスタッド本数を考慮し、CEB―FIPの式を適用することで概ね評価できることを明らか にした。また、三次元の非線形有限要素法解析によってもスタッドによる拘束域が形成 されることを示した。せん断耐荷性状に関しては、H形鋼腹部のタイドアーチ的な圧縮 域に配置されたスタッドが、腹部の変形を制限することによって、曲げ供試体の場合と 同様に梁としての変形能カが高まったことを実証した。またせん断耐カの評価にCEB―

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FIPの式の適用も可能であり、コンクリート充填式角形鋼管合成部材の場合と同様に、

せん断耐カの計算値について、実用的には鋼材が受持っせん断耐カの分担分は、H形鋼 梁で全て受持っとすることで、実測値に対して、十分安全側の値が得られることを示し た。

  第5章では、本論文全体の結諭を述べた。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

鋼材によるコンクリートの拘束効果を利用した     4

     合 成 構 造 の カ 学 的 特 性 に 関 す る 研 究

  近 年 、 社 会 基 盤 構 造 物 の地 震被 害が 多く 見ら れ、 安全 性の 向上 が重 要な 課 題と なっ て い る 。 ま た 、 コ ス ト 縮 減 への 要求 から 工事 の省 力化 や工 期短 縮が 求め られ 、 さら に都 市 部 で は 近 接 工 事 や 地 下 構 造物 の増 加、 環境 問題 など から 施工 上の 制約 条件 の 厳し い事 例 が 増 え て い る 。 こ れ ら に 対 応 す る た め 、 各 種 の 複 合 構 造 の 活 用 が 考 え ら れ て い る 。   本 研 究 は 、 鋼 材 に よ る コン クリ ート の拘 束効 果を 利用 する 複合 構造 とし て 、付 着の な い コ ン ク リ ー ト 充 填 鋼 管 合 成 部 材 お よ び ス タ ッ ド 付 きH形鋼 ・コ ンク ルー ト 合成 部材 の カ 学 的 特 性 に つ い て 検 討 し た も の で あ り 、 論 文 は5章 か ら 構 成 さ れ て い る 。   第1章は 序論 であ り、 本研 究の 概要 が述 べら れて い る。

  第2章 で は 本 研 究 の 基 礎 と し て 、 付 着 の な い コ ン クリ ート 充填 円形 鋼管 合 成部 材の 軸 圧 縮 耐 荷 性 状 に 関 す る 研 究に つい て述 べら れて いる 。鋼 管と コン クリ ート と の付 着を 取 除 く た め 、 常 温 施 工 が 可 能な 分離 材と して 二硫 化モ リブ デン が混 合さ れた グ リー スを 考 案 し 、 こ れ を 鋼 管 内 面 に 塗布 した コン クリ ート 充填 円形 鋼管 合成 部材 の軸 圧 縮実 験を 行 い 、 分 離 材 が 所 要 の 性 能 を有 する こと を実 証す ると とも に、 拘束 効果 によ ル コン クリ ー 卜 の 軸 圧 縮 強 度 お よ び 終 局圧 縮ひ ずみ が増 加す るこ と、 およ び鉄 筋コ ンク リ ー卜 柱部 材 を 対 象 と す るCEB―FIPに よる 拘束 コン クリ ート の強 度と 終局 ひず みの 算定 式 が、 本合 成 部 材 の 耐 荷 性 能 の 評 価 に も 適 用 可 能 で あ る こ と を 明 ら か に し て い る 。   第3章 で は 、 付 着 の な い コ ン ク リ ー ト 充 填 角 形 鋼 管の コン クリ ート にプ レ スト レス を 導 入 し た 合 成 部 材 の カ 学 的特 性に 関す る研 究に つい て述 べら れて いる 。ま ず 軸圧 縮実 験 を 行 い 、 鋼 管 の 辺 部 と 隅 角部 とで 拘束 効果 が一 様で はな く、 鋼管 の各 辺が ま ず曲 げに よ っ て 降 伏 し 、 そ の 後 は 隅 角部 に拘 束圧 が集 中し 、最 終的 には 隅角 部近 傍も 側 方引 張カ に よ っ て 降 伏 す る こ と を 示 して いる 。ま た、CEB―FIP式に おい て、 拘束 され た 軸方 向鉄 筋 本数n‑ニ4と等 価で ある と近 似す るこ とに より 、本 合 成部 材の 耐荷 性能 の評 価に 同式 を適 用 で き る こ と を 明 ら か に し て い る 。 曲 げ 耐 荷 性 状 に 関し ても 、鋼 管に よる 拘束 効果 をn

‑4と 近 似 し てCEBーFIP式 を 適 用 す る こ と に よ り 、 曲 げ 耐 荷 性 能 の 評 価 が 可 能 で ある こ

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雄 一

生 志

輿 浩

正 博

田 藤

田 沼

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とを明らかにしている。せん断耐荷性状に関しては、鋼管ウェブは鋼管部材としての分 担せん断カを受持つと同時に、コンクリート部材に対するせん断補強鋼材としての役割 があることを明らかにしている。その際、鋼管ウェブの降伏耐カは両者の相互作用によ り決定されるため、後者の影響を無視し前者のみによって降伏すると仮定しても誤差は 小さく、かつ安全側の近似となることを示し、これを実用設計法として提案している。

  第4章 では、スタッド付きH形鋼・コンク1」ート合成部材の開発研究について述べら れている。スタッドは、従来主として鋼とコンクリートとのずれ止めとして用いられて いるが、本合成部材ではコンクリートに対する拘束効果を期待する点に特徴がある。ま ず軸圧縮耐荷性状に関する実験を行い、スタッドに働く引張カによルコンクリートにト ラス状の拘束域が形成ざれ、圧縮強度と終局ひずみの増加が得られること、スタッドの 長さが拘束域の面積に影響することなどを明らかにしている。また、スタッドにより拘 束さ れるコンクリート有効面積の実用的な算定方法を提案するとともに、これをCEB− FIP式に 適用することにより、部材の耐荷性能の算定が可能であることを明らかにして いる 。次に曲げ耐荷性状に関しては、スタッドによるH形鋼とコンクリートとの一体化 およびコンクリー卜に対する拘束効果により、部材としての変形能カが大きく向上する ことを明らかにする・とともに、部材の曲げ圧縮部に配置されたスタッドによる拘束効果 を考慮しCEB−FIP式を適用することにより、曲げ耐カを算定することを提案している。

また、せん断耐荷性状に関しては、コンクリート充填角形鋼管合成部材の場合と同様に、

H形鋼ウェブのコンクリー卜せん断補強鋼材としての分担を無視し、H形鋼部材が全せん 断カを受け持つとの仮定が十分な近似であることを明らかにし、これを実用的設計法と して提案している。

  第5章では、本論文全体の結諭が述べられている。

  これを要するに、著者は、鋼材によるコンクリートの拘束効果を利用する合成構造と して、付着のないコンクリート充填鋼管合成部材、およびスタッドをコンクリ一卜拘束 材として利用するスタッド付きH形鋼・コンクリート合成部材のカ学的特性,を明らかに するとともに、実用的な設計法を提案したものであり、構造工学、とくに複合構造工学 の発展に貢献するところ大なるものがある。よって著者は、北海道大学博士(工学)、の 学位を授与される資格あるものと認める。

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参照

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