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博士(工学)高畑雅博 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)高畑雅博 学位論文題名

酸化鉄ー炭素混合触媒を用いた メタンハイドレート生成反応の研究

学位論文内容の要旨

ガ スハ イド レー トは 、籠状 の水 分子 の結 晶中 にメ タン ・ブ タン ・二酸化炭素等 を 取り 込ん だ氷 状の 物質で ある 。内 包さ れる ガス がメ タン のみ である場合、化 学 式はCH4.5.75H20となる 。メ タン ハイドレートの特徴は、ハイドレートlrri3 に水0.8rri3、メタンガスl72:cri3と高密度にガスを含むことと、自己保存効果と呼 ば れる ガス を取 り囲 む氷が 圧力 容器 の役 目を 果た し、 大気 圧下 でも急速には分 解 しな いこ とで ある 。その 性質 を利 用し たメ タン ガス の貯 蔵・ 輸送の大幅な効 率 化が 期待 され てい る。そ こで 本研 究で は、 北海 道の 各所 に存 在する農業・漁 業 から 発生 する バイ オマス 等を 利用 した 小規 模メ タン 発生 源か らの簡便なメタ ン ガス の回 収・ 輸送 および 貯蔵 シス テム に必 要で あり 、同 時に 北海道の冬季に お ける 多量 の雪 を原 料およ ぴ冷 媒と して 利用 でき る環 境低 負荷 エネルギーシス テ ム構 築の ため の基 礎研究 とし て、 メタ ンハ イド レー ト製 造の ための触媒の開 発 に取 り組 んだ 。こ れは、 バイ オマ スエ ネル ギー の有 効利 用と 、従来のハイド レ ート 生成 法に くら べて、 原料 とな る水 を冷 却す るエ ネル ギー の削減効果を同 時 にも たら す北 海道 の地域 特性 に即 した プロ セス であ る。 触媒 には、安価に入 手 でき 環境 負荷 が小 さい酸 化鉄 ー炭 素系 材料 に着 目し た。 酸化 鉄ー炭素系材料 は 、メ カニ カル ミリ ングを 利用 して 活性 化す るこ とで その 触媒 能を変化させ、

ハ イド レー ト生 成に およば す影 響と その 機構 を調 査し た。 また 、酸化鉄―炭素 系 材料 の一 種で 、鉄 鋼業に おい て余 剰と なっ てい るコ ーク ス粉 の有効利用を考 慮 して 、コ ーク ス粉 の発生 機構 とハ イド レー ト生 成触 媒へ の効 果にっいて調査 を行った。

本論文の構成は以下の通りである。

  第1章 に おい て 、 ガス ハイ ドレ ート研 究を 分類 し、 それ ぞれ の研 究の 現状 お よ ぴ既 往の 研究 のレ ビュー を行 った 。加 えて 北海 道に おけ る農 業、漁業およぴ 林 業か ら排 出さ れる バイオ マス の種 類と 量を 調査 し、 エネ ルギ ーとして利用す る 場合 の可 能性 を調 査する こと によ って 、ガ スハ イド レー ト利 用の観点からの 検 討を 行った。これにより、研究課題を抽出し、本研究の目的を明らかにした。

  第2章 に おい て は 、弱 攪拌 条件 でのハ イド レー ト生 成実 験を 行っ た。 弱攪 拌 条 件の 定義 は、 ハイ ドレー トや 氷な どの 固体 が生 成す ると 、そ れによって回転

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が 停止 する 条件 に対 応し 、ハ イド レート 生成 にと って は不 利な 条件 を意 味し て い る。 した がっ て本 研究 では 、反 応の初 期段 階に 着目 して 解析 を行 った 。こ の 結 果、 酸化 鉄― 炭素 系触 媒が 比較 的高温 、低 圧に おい てハ イド レー ト生 成に 対 し て有 効で ある こと を明 らか にし た。速 度解 析の 結果 、得 られ た混 合触 媒の 活 性 化エ ネル ギー は、 空気中保存触媒では、固体(メタンハイドレートまたは氷)

中 のメ タン の拡 散律 遠、 水中 保存 触媒で は化 学反 応律 速に 近い と推 定さ れた 。   第3章 に お い て は、 強 攪 拌 条 件 でのハ イド レー ト生 成実 験を 行っ た。 強攪 拌 条 件で は、 ハイ ドレ ート 生成 して も攪拌 が継 続さ れ、270Kまで は停 止し ない 。 弱 攪拌 条件 では 、明 らか にな らな かった 、酸 化鉄 一炭 素系 材料 をミ リン グし た 効 果に つい ても 速度 解析 によ って 明確に した 。気 液界 面に おけ る液 境膜 中の メ タ ンの 物質 移動 とハ イド レー ト表 面での 化学 反応 (ハ イド レー ト生 成) から な る 反応 モデ ルを 提案 し、 それ に基 づいて 速度 解析 を行 った 。そ の結 果、 ハイ ド レ ー ト 生 成 反 応 は273Kか ら276Kへ と 温 度 が3K上 昇 す る と 、 律 速 段 階は 、 化 学 反応 律遠 から 物質 移動 と化 学反 応の混 合律 速へ と変 化す るこ とが 分か った 。 速 度解 析の 結果 から 触媒 の存 在は 、液境 膜中 の物 質移 動に 大き な影 響を 持つ こ と が分 かっ た。 ミリ ング の効 果と しては 、6時間 ミリングした触媒の効果に比べ て 、長 時間 のミ リン グ効 果は 小さ く、ハ イド レー ト生 成反 応に 対し ては 、短 時 間のミリングで十分な効果があることが示された。.

  第4章 で は 、 実 際に 自 然 の 雪 を 原料と した 実験 を行 った 。こ れに よっ て雪 を 原 料と した 、ハ イド レー ト製 造が 可能で ある こと を示 した 。積 雪に よっ て、 雪 は 結晶 粒を 成長 させ 、氷 の粒 子の 集合体 とな る。 これ を想 定し 、粉 砕し た氷 に よ る実 験結 果と 合わ せて 、未 反応 核モデ ルを 用い た速 度解 析を 行い 、雪 によ る ハ イド レー ト製 造プ ロセ スの 可能 性を検 討し た。 その 結果 、自 然の 雪を 用い た ハ イ ド レ ー ト の 生 成 は 可 能 で あり 、降 雪直 後の 雪は 、粉 砕し た氷( 直径 約2mm

¢ ) に 比 べ て 最 大 約3倍 の 反 応 速 度とな るこ とを 明ら かに した 。ま た、 速度 解 析 の結 果か ら自 然の 雪、 粉砕 した 氷およ び粉 砕し た氷 に混 合触 媒を 添加 した 場 合での活性化エネルギーは、それぞれ、94.2kj/mol、79.6kj/molおよび109.8kj/mol と 決定 され た。 粉砕 した 氷に 触媒 を添加 した 場合 も、 弱攪 拌、 強攪 拌の 場合 と 同様、触媒効果があることが分かった。

  第5章 で は 、 現 在鉄 鋼 業 で 多 量 に発生 して いる 、コ ーク ス粉 をハ イド レー ト 生 成反 応の 触媒 とし て適 用可 能で あるか どう かを 調査 した 。そ の結 果、 コー ク ス 粉は 、ミ リン グし た酸 化鉄 ー炭 素材料 と同 等ま たは それ 以上 の効 果が ある こ とが分かった。

  第6章 は 、 本 論 文の 総 括 で あ り 、以上 の研 究に より 得ら れた 知見 をま とめ る と とも に、 ガス ハイ ドレート利用技術にっいての展望、課題にっいてまとめた。

  以上 の様 に、 本研 究が 念頭 に置 く、雪 を原 料・ 冷媒 とし て用 いた 場合 の比 較 的 高温 ・低 圧下 での ハイ ドレ ート 生成が 可能 であ るこ と、 また 酸化 鉄― 炭素 系 材 料が メカ ニカ ルミ リン グ処 理に よって 有効 な触 媒能 を示 すこ とを 明ら かに し た 。こ れら の結 果に よっ て、 自然 の雪を 出発 材料 に、 メタ ンハ イド レー トの 製 造プロセス構築が可能であることを明らかにした。

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学位論文審査の要旨 主査   助教授   柏谷悦章 副査    教授    高 橋英明 副査    教授    井 口    学 副査   教授   林   潤一郎

学 位 論 文 題 名

酸化鉄一炭素混合触媒を用いた メタンハイドレート生成反応の研究

ガスハイドレートは、籠状の水分子の結晶中にメタン・ブタン・二酸化炭素等を取り込ん だ氷状の物質である。内包されるガスがメタンである場合の特徴は、高密度にガスを含む ことと、自己保存効果と呼ぱれるガスを取り囲む氷が圧力容器の役目を果たし、大気圧下 でも急速には分解しないことである。その性質を利用したメタンガスの貯蔵・輸送の大幅 な効率化が期待されている。そこで本研究では、北海道の各所に存在する農業・漁業から 発生するバイオマス等を利用した小規模メタン発生源からの簡便なメタンガスの回収・輸 送および貯蔵システムに必要であり、同時に北海道の冬季における多量の雪を原料および 冷媒として利用できる環境低負荷エネルギーシステム構築のための基礎研究として、メタ ンハイドレート製造のための触媒の開発に取り組んだ。これは、バイオマスエネルギーの 有効利用と、従来のハイドレート生成法にくらべて、原料となる水を冷却するエネルギー の削減効果を同時にもたらす北海道の地域特性に即したプロセスである。触媒には、安価 に入手でき環境負荷が小さぃ酸化鉄一炭素系材料に着目した。酸化鉄―炭素系材料は、メ カニカルミリングを利用して活性化することでその触媒能を変化させ、ハイドレー卜生成 におよばす影響とその機構を調査した。また、酸化鉄―炭素系材料の一種で、鉄鋼業にお いて余剰となっているコークス粉の有効利用を考慮して、コークス粉の発生機構とハイド レート生成触媒への効果にっいて調査を行った。

本論文の構成は以下の通りである。

  第1章において、ガスハイ ドレー卜研究を分類し、それぞれの研究の現状および既往の 研究のレビューを行った。加えて北海道における農業、漁業および林業から排出されるバ イオマスの種類と量を調査し、エネルギーとして利用する場合の可能性を調査することに よって、ガスハイドレート利用の観点からの検討を行った。これにより、研究課題を抽出 し、本研究の目的を明らかにした。

  第2章においては、弱攪拌 条件でのハイドレート生成実験を行った。弱攪拌条件の定義 は、ハイドレートや氷などの固体が生成すると、それによって回転が停止する条件に対応     ―991

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し、ハイドレー卜生成にとっては不利な条件を意味している。したがって本研究では、反 応の初期段階に着目して解析を行った。この結果、酸化鉄―炭素系触媒が比較的高温、低 圧 に お い て ハ イ ド レ ー ト 生 成 に 対 し て 有 効 で あ る こ と を 明 ら か に し た 。   3章においては、強攪拌条件でのハイドレート生成実験を行った。強攪拌条件下では、

ハイドレート生成反応が生起後も攪拌が継続され、270Kまで反応は停止しなぃ。気液界面 における液境膜中のメタンの物質移動とハイドレート表面での化学反応(ハイドレート生 成)からなる反応モデルを提案し、それに基づいて速度解析を行った。その結果、ハイド レ ート 生 成 反応 は273Kから276Kへ と温度が3K上昇す ると、律 速段階 は、化学 反応律 速 から物質移動と化学反応の混合律遠へと変化することが分かった。速度解析の結果から触 媒の存在は、液境膜中の物質移動に大きな影響を持っことが分かった。ミリングの効果と しては、6時間ミリングした触媒の効果に比べて、長時間のミリング効果は小さく、ハイド レ ー卜 生 成 反応 に 対しては 、短時 間のミリ ングで 十分な効 果がある ことが 示された 。   4章では、実際に自然の雪を原料とした実験を行った。これによって雪を原料とした、

ハイドレー卜製造が可能であることを示した。積雪によって、雪は結晶粒を成長させ、氷 の粒子の集合体となる。これを想定し、粉砕した氷による実験結果と合わせて、未反応核 モデルを用いた速度解析を行い、雪によるハイドレート製造プロセスの可能性を検討した。

その結果、自然の雪を用いたハイドレートの生成は可能であり、降雪直後の雪は、粉砕し た 氷 ( 直 径 約2mm¢ ) に 比 べ て 最 大 約3倍 の 反 応速 度 と なる こ と を明 ら か にし た 。   第5章では、 現在鉄 鋼業で多量に発生している、コークス粉をハイドレート生成反応の 触媒として適用可能であるかどうかを調査した。その結果、コークス粉は、ミリングした 酸 化 鉄 ー 炭 素 材 料 と 同 等 ま た は そ れ 以 上 の 効 果 が あ る こ と が 分 か っ た 。   第6章は、本 論文の 総括であり、以上の研究により得られた知見をまとめるとともに、

ガ ス ハ イ ド レ ー 卜 利 用 技 術 に つ い て の 展 望 、 課 題 に つ い て ま と め た 。   これを要するに、著者は、雪を原料・冷媒として用いた場合の比較的高温・低圧下での ハイドレート生成が可能であること、さらに酸化鉄―炭素系材料がメカニカルミリング処 理によって有効な触媒能を示すことを明らかにした。これらの結果は、北海道の雪の有効 利用、およぴメタンガス輸送・貯蔵に関わるエネルギーの効率化に関する工学の進歩に貢 献するところ大なるものがある。よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与さ れる資格あるものと認める。

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参照

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