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障害理解の教育と啓発に関する研究 : 障害のある教員の視点から

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(1)平成23年度 学位論文. 障害理解の教育と啓発に関する研究  一障害のある教員の視点から一. 兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 特別支援教育学専攻 心身障害コース.    …0104G仲村 貴子.

(2) 一目 次一 第1章 問題の所在と研究の目的.........,.1  第1節 問題の所在.....、、.....、....................................1.   1.ノーマライゼーションと社会の障害者観...............1  2.障害理解の教育について..............1、....................4.  3.学校における障害のある教員の現状と意義............6  4.障害のある教員の学校における課題..1...、..............8  第2節 本研究の目的......................................1、.....10. 第2章 方法........、...................11  第1節 対象と調査方法......,........、......、.....,.............11   1.対象...............................................,........,......11.  2.調査方法.........................................................12.  第2節 インタビュー項目と分析方法........................13   1.インタビュー項目.............................................13  2.分析方法.、....................、...............................、..13. 第3章 結果............................15  第1節 教員A(視覚障害) 、..、.............................、..15  第2節 教員B(視覚障害) ........、...........................23  第3節 教員C(視覚障害) ..........、...............、..、......33.  第4節 教員D(肢体不自由) .........、....、..................45  第5節 教員E(肢体不自由) .................................56. 第4章 考察...............、........、...62  第1節 生徒の障害理解1...........、....................、........62.   11初めての出会いと興味..、.....  ........................62   2、自然な対応....、.....1..、...................,、...................63.   3.障害のある教員の意義.......................、...............64.  4.障害について気づき理解する.、.....................、...、.66   5.行動や態度の変容......................................,......67.

(3)  6.教員への様々な反応.........、..........、..、..................68.  第2節 周りの教員の障害理解...................、.、..........70.  1.障害のある教員への配慮..............    .......、..70  2.気づきと慣れ.............,、......、..、...、......................70.  3.教員への様々な反応.............................、.、..........71.  4.周りの教員との協力................................、........72.  第3節 障害理解のための実践....、..........1................74  1.出来る事をする....................、..............、......、...、、74.  2.障害を意識せず自然な自分でいる........................79  第4節 今後の要望...........1.、............1.............、.......80.  1.公的支援・制度の制定が必要........1.....................80  2.教育現場への要望...................,........................,82  3.人としての理解..1...........1................................84.  4.障害のある教員が日常的にいること................、....86.  5.同じ障害のある教員とのコミュニケーション.........87  第5節 総合考察.................、.........、....、....,............89.  1、障害理解の教育と啓発の現状...........,....、.、.、.........89  2、今後の課題.............................1............、..........91. 引用文献................................93. 謝 辞.

(4) 第1章 第1節. 問題の所在と研究の目的. 問題の所在.  1.ノーマライゼーションと社会の障害者観  1950年代にデンマークのハンクーミケルセンやスウェーデンの. ニィリェ等によって確立されたノーマライゼーション理念の影響 を受け、国連を中心にさまざまな障害者施策が制定され世界の障. 害者福祉の発展に寄与している。ノーマライゼーションとは、障 害者が通常と変わることのない生活をし権利を享受できること、 さらに障害者が社会に存在していることがノーマルであるという. 考え方とそれを実現するための方法を意味する。わが国でも1970 年代からこの理念が注目され始め、国際障害者年を契機に障害者 福祉を見直す基本理念として認識されるようになり、障害児・者 を取り巻く物理的・制度的環境が改善されつつある。.  この理念の実現には、障害者を取り巻くまわりの人々の理解や 支援は欠かせない。しかしながら、内閣府(2007)が実施したr障. 害者に関する世論調査」において「世の中に障害者への差別や偏. 見があると思う」と回答した国民は全体の8割を越えている。ま た、芝田(2010)も社会に障害理解は浸透しつつあるが、健常者 の多数が抱いている一般的な障害者観、障害に対するイメージは 十分なものではないとし、具体的には、社会は障害児・者の人格、. 能力等についてその実態を見ず過小評価し、さらに障害児・者と の間に不当で無用な距離を置く傾向にあることを指摘している。.  このような現状から、ノーマライゼーションは理念として認識 されつつあるとはいうものの、現実的には障害者への理解には至. っておらず、今後さらに障害者に対する社会の理解や支援につい て考えていく必要があるだろう。.               1.

(5)  内閣府(2005)は、障害当事者の多くが知ってほしいと希望す る内容を明らかにし、今後の国民への意識啓発の取組に活用する として「障害について知ってほしいこと」の具体的な事項を列記 している。その申で、障害当事者が挙げた必要な配慮の主なもの は次の5つであった。. 1位「本人や家族の努力だけでは解決できないことが多くある」 (75,5%). 2位「障害があっても働きたいと願っているので、働くための支 援や働く場を確保して」(70.4%). 3位「障害者に関わる専門家は必要な知識をしっかりと身につけ て」(68.5%). 4位「障害があるからできない、と決めつけずに、できることを 一緒に考えて」(67.4%). 5位「障害だけを見るのではなく、一人の人間として全体像を見 て」(65.4%). また、上記以外に障害種別の視覚障害では、「思いこみや押し付け. の援助ではなく、援助が必要かどうかを尋ねてから必要な援助を して」(87.3%)や、「特別扱いではなく普通の人としてさりげなく. 接して」(82.9%)などがあった。このような障害当事者の思いを社. 会の人々が知ることは、障害や障害者を理解していく上で大切な ことである。そのことはノーマライゼーション理念の実現のため にも重要なことであるだろう。また、社会の障害や障害者に対す る理解とともに、社会の意識や態度の改善も望まれるところであ る。.  芝田(2007)は、社会の障害者観は障害者の心理や社会参加に 強く影響を与えるものであり、社会が障害を正しく理解し、手を. 広げて障害者を受け入れる姿勢があれば、障害者の不自由さもそ れだけ軽減され、その人らしい自立と社会参加を可能にすること ができると述べている。そこで、社会の障害者に対する意識と態.               2.

(6) 度を、その心情性と関心性の程度によって次の4領域に区分して 類別している(図1)。.  ①A領域(関心があり理性的):障害者の人権・主体性・自立性 の尊重、共感.  ②B領域(関心があるが感情的):障害者への過保護、同情  ③C領域(無関心だが理性的):障害者への不干渉、無視  ④D領域(無関心で感情的):障害者への人権無視、差別.  現実に求められるのは共感的姿勢を基礎としたA領域だが、問. 題視されるのはB領域であるという。B領域の態度は、障害者に 対する過保護・同情といった「知性に欠けた関心」であると言い、. 理性的(他者尊重的). A領域. C領域 無関心. 関心. (非受容). (受容). B領域. D領域. 感情的(自己中心的). 図1 障害者に対する社会意識と態度 (芝田,2009).

(7) 相手の立場を尊重しない自己本意な態度であるということだろう。 その結果、障害者の権利剥奪につながるものであると言う。やや. もすると我々は、B領域になってしまいがちではあるまいか。自 己判断で障害者本人の気持ちを無視してはいないか、常に意識し て障害者と接することが大切であろう。そのことは人として接す る上で大事なことであり、障害の有無に関係なく心しなければな らないことである。.  教育関係者であるならぱなおさら、障害者に対して関心をもち、. 障害者を受容・理解しているだけでなく、常にA領域の意識と態 度を保持し、それが維持できるよう努める必要があるだろう。ノ. ーマライゼーション社会を実現するためにも、障害者が社会に正 しく理解され、受け入れられ社会参加できるよう、一人ひとりが 認識していけるような努力が望まれる。.  2.障害理解の教育について  教育においても、ノーマライゼーション理念の影響を背景に、. 障害児と健常児との対等平等な人間関係構築のための「交流・共 同教育」の実践が提起された。その後、その事前指導としての障 害や障害者間題の学習が、障害理解学習として展開されるように なった(山本ら,2007)。障害理解教育について徳田(2005)は、「障. 害のある人に関わる全ての事象を内容としている人権思想、特に ノーマライゼーションの思想を基軸にすえた教育であり、障害に 関する科学的認識の形成をめざしたものである」と定義している。. すなわち、障害者を情緒的に理解するだけではなく、その前に障 害者に関する知識を伝え、子どもたちに適正な認識が形成される ようになることを目指し、具体的には、障害のある人々の困難、. 彼らに対する支援のあり方について学ぶことを通して、障害のあ る人々を受容し、自発的に援助することができることを目的とし. ている。また、柳澤は障害理解の教育が最終的にめざすものとし.               4.

(8) て、「障害に関する一般的な知識や身近な障害のある仲間について. 学ぶことを通して、障害の有無に関係なく一人ひとりを認め合え る心、すなわち一人ひとりの人権を尊重する心を育む事であると 考えられる」としている(大沼・吉利,2007)。.  小学校・中学校における障害理解の教育の現状として水野 (2005)は次のことを指摘している。教えている内容としては障. 害者が感じるバリアやバリアフリー施設・設備に関するものが多 く、その施設・設備の発見学習に終わっている場合が少なくない。. また、障害理解の教育の方法として、車いす体験や目隠し体験な どの疑似障害体験や障害者による講演も多いが、安易な疑似障害. 体験は障害に対する恐怖心をあおったり、講演も内容によっては 障害者を「困難に負けず頑張っている人」とだけ認識したり、自 分の生活とかけ離れた人と感じることもあると述べる。この場合、. 子どもが障害者を身近に感じられるように、障害者の日常生活に ついて話してもらうことが大事だと指摘している。そして、障害 者が困っている事を知り、児童生徒自身がどのような取り組みが できるのか、何に配慮しなくてはならないのか、共に社会で生活 していくためにどのようなことに気をつけたらよいのか、につい. て考えるようにしなくてはならないと述べている。加えて、指導 する際に「優しさ」や「思いやり」などを強調することも多いが、. 子どもたちに障害に関する適切な認識を与えていくことを重視す るよう主張している。高校においては、イベントとして障害者の 講演を聞く、障害者施設を訪問するなどの取り組みを行っている. 学校はあるが、系統的な教育は実施されていないのが現状だとい う。.  内閣府(2009)が障害のある人に行った、障害者施策の「広報・. 啓発」に関する調査によると、障害や障害のある人に対する理解 を深める啓発・広報活動で特に重視する方法として、「学校教育」. が64.6%と最も多く、次いで「新聞・テレビ・ラジオ・雑誌・映.               5.

(9) 画・社内野外広告」、「交流活動」となっている。そのことを踏ま. えると、学校教育における障害理解の教育の果たす役割は大きい と言える。水野(2005)も述べているように、障害理解の学習に よって、障害や障害のある人への認識が誤ったものにならないよ うに留意しなければならない。そして大切なことは障害のある人. 本人のことについて知り、児童生徒自身が出来る事について考え ていけるよう、今後の障害理解の教育を改善していく必要がある だろう。.  3.学校における障害のある教員の現状と意義  ところで、学校における障害のある教員の状況として三宅ら (1997)は、1980年代までは大変厳しい時代があったが、国際障. 害者年の追い風に乗って、視覚障害教員の現場復帰や新採用が地 元の人々の支援を得て少しずつ広がったことを報告している。指 田も、1996年に国が障害教職員の採用に積極的に取り組むよう勧. 告したことから、教員採用の事例も増えつっあるとしている(全 国視覚障害教師の会(JVT),2007)。また、2011年現在文部科学. 省の調べでは、教員採用試験において64県市が障害者受験に対す る特別の配慮について明文化している。中でも神奈川県では身体 に障害のある教員について、 「支援教育」をさらに進めることの. みならず、子どもたちに対する極めて高い教育的効果が期待され るとし、積極的に採用するための特別選考を行っている。全国聴. 覚障害教職員協議会(2007)によると、聴覚に障害のある教職員 (教諭・寄宿舎指導員・講師・事務職員)が全ての都道府県に配 置されていることを明らかにしている。また、複数の大学では、 障害のある教職員への支援実施要項を作成しており、障害のある 人の学校現場における状況は徐々に改善されつつある。  田中ら(2009)も、身体障害のある教員が教壇に立っ機会が増え. ているとし、車いすの教員が行った教育実習での児童のアンケー.               6.

(10) ト調査から、児童は当初戸惑いを覚えるもののだんだんと違和感 が薄れ、興味を引く授業内容、一人ひとりを大切にする意識、触 れ合う時間をとることで信頼関係が築けると述べている。さらに. 教員のアンケートからも、障害のある教員の利点として「生き様 を見せること、心の教育をすること、障害について共に考えるこ となどを挙げ、時には弱さも見せながらありのままでいることが 教育的効果を高められる」とし、障害のある教員の意義を挙げて いる。.  「全国視覚障害教師の会」は、視覚障害を持ちながら教壇に立 つ教師たちによって、教育実践の研修を通して自らの資質を高め、 障害者への理解を深める目的で結成されている。そのアピールで、. 生徒と教師が全人格的な関係の中で成長することが教育の基本理 念であり、心が見えてくる教育こそ目指す教育の理想像であると している。その時に視覚障害は決して教員としての基本的な要件 を損なうものではなく、健常の教員と変わらない教育理念の元で. 教育活動が出来ることを主張している。むしろ今日の学校教育の 中では、積極的な存在意義さえあるとし、障害を持つ人も持たな. い人も共存できる学校でこそ真の教育を実践できるのではないか と提言している(全国視覚障害教師の会,1997)。.  また2010年に全国聴覚障害教職員協議会が文部科学省に提出 した意見書では、障害のある教職員の役割の1つとして、通常学 校に勤務する聴覚障害のある教職員について「その教職員がもつ 障害と配慮すべき諸事項について、校内外に啓発することで社会 理解を広げることができる」とその意義を認めている。.  障害者権利条約では第24条で、障害者の権利実現の確保を助長 するためには、手話又は点字についての適格性を有する教員(障 害のある教員を含む)を雇用するための並びに教育のすべての段 階において教育に従事する専門家及び職員に対する訓練を行うた めの措置をとるとし、その訓練には、障害への認識、適切な拡大・.               7.

(11) 代替コミュニケーションの様式、手段及び形態の使用、並びに障 害者を支援するための教育技法及び教材の使用を組み入れなけれ ばならないことが明示されている。.  以上のように学校や社会においても、障害理解の教育や社会啓 発のために障害のある教員の果たす役割は重要なものであり、そ の存在意義は高まってきていると言える。特に学校現場における 障害のある教員の存在は、児童生徒にとって障害や障害者につい て身近に学ぶことのできる機会となり、また障害のある教員を支. 援・援助する立場にある周りの教員に対しても、障害や障害者に 対する関心や気づきが高まり、その支援や援助のあり方を日々の 触れ合いの中で自然に理解できるようになる等、大きな役割を果 たすであろうと考える。.  4.障害のある教員の学校における課題  毎目新聞2010年1月の紙上で、障害を乗りこえ職場復帰し、中 学校で教壇に立っ全盲の教員は、「私が受けているような周囲から. の配慮と工夫さえあれば、障害があっても十分働ける。自分が例 外になってはいけない」と述べたコメントが掲載されている。そ の一方で、 「現場は想像以上に忙しく、サポートがなければ継続. 勤務は難しい」と支援のための教員増員態勢の継続を要望してい る。また、その支援団体も「既存の制度ではなく、障害を持つ教 師を助ける人的支援として加配する制度が必要だ」と訴えている。. 市町村立校では教材費は原則、自治体が負担することになってい る。初年度は「緊急措置」として県費で賄ったが、県教育局は「今. 後は町が負担することになる」と説明しているが、障害のある教 員を受け入れた場合、自治体の負担が増えるということになり、 そうなるとどこも受け入れてくれなくなる可能性もある。今後と も県費で負担してほしいと柔軟な対応を求めているという。この. ように現状はまだまだ多くの課題が山積しており、障害のある教.               8.

(12) 員への状況を改善するためには今後一層の努力が必要となる。.  現在の状況下で、障害のある教員はさまざまな思いを抱いて学 校での職務に就いているだろうと思われる。馬場は、障害を持ち ながら教壇に立つことは、本人にとっても周囲の人にとっても毎 日が苦労と困難の連続であるとしている(全国視覚障害教師の会 (JVT),2007)。障害のある教員が身近に存在することは障害理解. の教育を考えた時に、その果たす役割は非常に大きいものがあり. 意義のあるものだと考える。しかし現状は前述したような状況で あり、その改善のためにはどうすればよいのかを考えていく必要 がある。. 9.

(13) 第2節. 本研究の目的.  障害当事者である障害のある教員自身は、児童生徒に対する障 害理解の教育や、周りの教員に対する障害理解の啓発についてど のように感じているのだろうか。障害当事者である本人の考えを 知ることは、障害理解の教育や啓発を考える上で重要なことであ るだろう。障害理解の教育や啓発のために、障害当事者が求めて いる事は何であるのか、障害当事者自身に聞くことによって、本 当に必要なことを具体的に示すことができるのではないかと考え る。.  そこで本研究は、障害のある教員が授業や学校生活を通して考 える、児童生徒の障害理解の教育と、周りの教員に対する障害理 解の啓発について、現状と課題を明らかにすることを目的とする。. 10.

(14) 第2章 方法 第1節. 対象と調査方法.  1.対象.  通常学校に勤務する身体に障害のある教員4名と、これまでに 通常学校に勤務経験のある障害のある教員1名を対象とした。障 害種は、視覚障害3名(男性2名・女性1名)、肢体不自由2名(男 性2名)である(表1)。. 表1障害のある教員のプロフィール 対象 教員A 教員B 教員C 性別. 女性. 男性. 男性. 教員D. 教員E. 男性. 男性. 肢体不自 障害種. 視覚障害. 視覚障害. 視覚障害. 光覚. 全盲. 全盲. 由・電動 車いす 使用. 肢体不自. 由・雨上 肢欠損. 障害程度. 1級. 1級. 1級. 1級. 1級. 教職経験. 27年. 25年. 12年. 12年. 4年. 高校. 小学校. 中学校. 中学校. 1校. 3校. 6校. 1校. 特別支援学. 高校. 小学校. 中学校. 中学校. 校 英語. 英語. 算数. 数学. 英語. 所属校の 経歴. 現任校. 担当教科. 障害を負 った時期 ・他. 中学校 1 校、特別支. 援学校1校. 幼少時・教. 職12年目 身体障害者. 教職5年. 幼少時. 4歳時 出生時. ・事故に. 目. よる. 手帳を取得 11.

(15)  2.調査方法.  対象者に事前にインタビュー項目を郵送し、前もってインタビ ュー. ?レについて考えて頂けるようにした。個別にインタビュー. を行い、時間は約50分程度とした。インタビュー内容は対象者の 了解を得てレコーダーに録音した。. 12.

(16) 第2節. インタビュー項目と分析方法.  1.インタビュー項目  インタビュー項目作成にあったては、通常学校に勤務経験のあ る視覚障害のある教員の助言を参考に策定した。インタビュー項 目はプロフィールを含む以下の5つである。.  ①プロフィール(性別、教職経験、所属校の経歴、障害種、障 害の程度、障害を負った時期・他).  ②Q1.生徒に対してあなたの存在が障害や障害者理解につなか ったと思う出来事は何ですか (以後、この質問に関する事項を生徒の障害理解とする).  ③Q2.周りの教員に対してあなたの存在が障害や障害者理解に つながったと思う出来事は何ですか (以後、この質問に関する事項を周りの教員の障害理解とする).  ④Q3.障害や障害者理解のために心がけている事、実践してい る事は何ですか. (以後、この質問に関する事項を障害理解のための実践とする).  ⑤Q4.今後の教育において障害や障害者理解はどのように進め ばよいと思いますか (以後、この質問に関する事項を今後の要望とする)  2.分析方法.  分析は以下の手順で行い、ラベル名・カテゴリー名付けは、客 観性をもたせるため著者と他1名の大学院生と共に行った。  ①録音したデータを全て文字化した。.  ②文字化したデータを切片化してラベル名をつけた。  ③同類のラベルをまとめて、カテゴリー名をつけた。.  ④インタビュー項目ごとに、各教員に共通するカテゴリーをま とめて下位項目を付けた。.               13.

(17)  表記については以下のように示した。  ①カテゴリー名は《 》内に示した。  ②ラベル名は< >内に示した。.  ③【AOO∼E○○】の表記は、考察において教員A∼Eの発言を 示すために用いた。.  ④「そこで」や「そんなこと」等、指示代名詞が意味する内容 や、語りの中で省略された主語や修飾語は( )内に示した。. 14.

(18) 第3章 結果 第1節. 教員^(視覚障害).  1.生徒の障害理解 《視覚障害者との初めての出会いと興味》 <視覚障害者との初めての出会いの機会> 【A01】生徒たちは全然視覚障害者と触れ合ったことのない子がほ とんどだと思う。. <障害のある教員への不安感> 【A02】最初の頃は、生徒は授業が出来るのかと不安(に思う)。. 健常の教師の中にポツンと障害の教師がいると大丈夫なのかと思 うかもしれない。. <白杖や点字の教科書への興味> 【A03】珍しいので白杖とか点字の教科書に興味を持って、触りに 来たり見せてと来たりするところから始まった。. 《障害のある教員と接することで障害について理解していく》 <目の不自由な事への生徒の気づき> 【A04】生徒は見えているので、どの点が不自由なのかわからない. が、黒板に書く字が曲がってしまうとか書きにくいこと(を理解 する)。. 【A05】チョークを落としたときすぐ見つけられないので授業中、 前の(席の)子が立って拾いに行く。. 【A06】見えていないので仕方がない、とこちらの失敗を多めに見 る。. <授業を通して支援をすれば出来ることを知る> 【A07】授業が始まると(生徒は授業が)出来るんだと思ってきて、.               15.

(19) こちらがこういうふうに支援すれぱうまくいくという(事を)お 互い時間が経つにつれて分かっていくところがある。. <小学校時代の障害についての学習体験> 【A08】生徒は小学校の時にアイマスク体験や障害のことを勉強し ている事はたまにある。. <視覚障害のある教員と接することで障害について理解する> 【A09】生徒は(直接)言わないが、人権作文で私のことを書いて. いる作文を担任の先生が見せてくれ、目の見えない先生が中学校 にいることは最初びっくりしたが、すらすら歩いていたし、そう いうことも出来るんだという作文がいくつかあった。. 《さまざまな場面で手助けする生徒がいる》 <生徒は手助けしようとする気持ちが増える> 【A10】一緒に授業したり生活したりする中で自分たちが助けない といけないという気持ちはだんだん増えてくる。. <授業に関する事を積極的に手助けする生徒> 【A11】英語の授業の中で絵を使いたい(時)、誰か描いてくれな. いかと言ったら申し出て書いてくれる子もいる。自分から書きた いと言う子もいる。. 【A12】黒板に書くのが大変そうだったら書いてくれる子もいる。 【A13】教科係りに板書を手伝う仕事を与えると、次の学期の係を やりたい子が立候補する流れになっていく。. <授業以外で積極的に手助けする生徒> 【A14】授業以外では、給食の時におかずがここの位置にあります とか、今日はこういうメニューですと教えてくれる子もいる。 【A15】食べにくいきなこパンの時、(食べやすいように)手袋が ついていた。給食の片づけもさりげなくやってくれることもある。 (手伝う生徒は)決まった子が多い。. 16.

(20) 《障害のある教員への反応は様々》. <子どもによって教員への反応は違う> 【A16】障害について興味のある子はいるので、そういう子たちは. 興味を持って教えてと来るが、興味の無い子はずっと興味のない ままである。. <生徒の優しい声がけ> 【A17】大変なことも多いが、よかったと思うことは、小さいこと. だが子どもが声をかけてくれたり、優しい言葉をかけてくれたり するとまだやれるかなと思った。. <生徒の障害のある教員への配慮> 【A18】障害についての(全体)集会の質問では、(障害について). 聞けないこともあることを生徒はよくわかっているので、あまり 差し障りのない質問を考えてくる。. 《学校にいること自体に意義がある》 【A19】私が居続けたことが実践。年度末の頃になったら今年こそ. は辞めようと思うことを毎年も繰り返していて、気持ちにゆとり の無いときはもう今年でもう辞めにしようと思う場面が何回もあ る。だけどそこで居座ったというか、辞めないで良かったという ことが実践ということで一番大きい、辞めるのはいつでも辞めら れる。.  2.周りの教員の障害理解 《周りの教員の配慮》. <障害があっても配慮があればできること> 【A20】主(主導する教員)になってサブ(補助する教員)の方に 入ってもらうとやりやすい。. <障害のある教員への配慮について考える機会> 【A21】サブは授業についていけない子に的確にアドバイスできな.               17.

(21) いといけないので、見えないからきっかったが、それがかえって (教員が)考えることになるということもある。. <周りの教員の仕事への考慮> 【A22】私に割り当てる係りや役割分担などは、いろいろ考えなが. らも決めないといけないので、頭を使うだろうと思う。 <事前の相談>. 【A23】あらかじめ相談があってその係りが決まる。. 《障害のある教員への理解は様々》 <障害理解については子どもも大人も変わらない> 【A24】大人も子どももあまり変わらない。. <周りの教員の障害者に対する理解の個人差> 【A25】考えない人はやっぱり考えないと思う。面倒くさい、手が 掛かると思う人は思うだろう。. <生徒のことに一生懸命な教員は理解がある> 【A26】(今の職場の)職員はすごく理解がある、先のことを見通 して、(生徒を)社会にどういうふうに関わらせるかとか、そうい. ったことに一生懸命考えているような先生は(障害についても). 理解があり、話していても通じるなど思うところがある。.  3.障害理解のための実践 《障害についての話ができた》. <生徒へ障害についての話ができた> 【A27】前任校で障害理解の話を何回かさせてもらったが、生徒の. 感想で聞けてよかったというものがあったので、ちょっとは役に たったのかなと思った。. 《生徒の話しを聞いてあげる》 <生徒と個人的に話す> 18.

(22) 【A28】大勢の前で話すのは構えるし、言っていいこといけないこ. ともある。個人々々子どもと話す時は、この子だったらここまで 言っていいとか、全体の場で言えないことでも個人では言えるこ とがある。. <障害のある教員だからこそ生徒は話せた> 【A29】親に障害のある子や、クラスで浮いている子がよく話しに 来る。生徒の事情を聞く事やそういう話をするのは嫌いじゃない。. <孤立した生徒の話し相手になる> 【A30】集団にとけ込めない子が寄ってくることが多かった。私の. 所へ来れば、話し相手になってくれるし、自分の出来ないところ を私はカバーできるみたいな、そういう自信みたいなそういうの もあったりして、そういう阻害されている子はよくお手伝いして くれたりする。子ども同士も色々あるのだろう、気が合っても合. わなくても1目同じ教室にいて、逃げたい時もあるだろうし、そ ういう時の逃げ場みたいな感じにも少しはなれていたかなと思う。 <ただ生徒の話を聞くことも必要> 【A31】(生徒は)クラスがおもしろくないとか(話すが)、励ます. ことや、話を聞くだけ。私の経験から、(生徒に)何かしてやろう. と思うとあまりよくない。いくらしてやろうと思っても、それは その子が勝負しないといけないことで、いじめなどは別だが、ク ラスの友だち関係とか、漠然とだるいとか、おもしろくないとか は本人が頑張るしかないので、愚痴のゴミ箱になり、聞き流すと. いった感じ。人間は動かないと淀んでしまう、滞ってしまい、感. 傷的になり落ち込んでいくけど、しゃべるという1つの行動を起 こすと、ちょっと澱みが解消されたりすることもある。. <教員の様子を察知して生徒は話をしに来る> 【A32】私はポーツと立っていることが多かったので、その立って. いるのがよかったのかもしれない。みんな先生忙しそうだから、. 聞いてもらえる先生が立っているっていうことかな。給食室の係               19.

(23) りで立っている時の事である。先生暇そうだなと思って話してく るとか、そんな感じだったと思う。. く障害のある教員への共感> 【A33】おじいちゃんが見えなくなったと言う子が話に来たりした こともあった。. 《見えない世界と見える世界の交流をしている》 〈障害について質問する生徒> 【A34】障害のことについて、立ち入った事は聞きにくいことだが、. 興味のある子は個別に聞いてくる。. 〈見えない世界と見える世界の交流をしている> 【A35】いつ頃見えなくなったかどの程度見えているのか、もし今. から見えるようになったら何が一番見みたいか、○○先生はどん な顔をしていると思いますかとか、そんな言葉を通して見えない 世界と見える世界の交流みたいな(ことをしている)。個人々々話. している中では、どんな風に見えているのかについてはすごく興 味がある。真っ暗な訳じゃないとか、これは見えるあれは見える ってそういう話は全体ではできないが(個人的にはできる)。  4.今後の要望. 《公的支援が必要》. <障害のある教員が働きやすくなるよう公的支援が必要である> 【A36】障害を持った教師がやりやすくなるためには、一番は公的. なところがもっと頑張ってもらわないと、と思う。下(現場)か ら頑張って勝ち取らないといけないものかもしれないけれど。 <配慮や支援の必要性を訴える>. 【A37】働きやすいようにサブ加配(教員)*(注1)をつけると. か、プラスワンにするとかそういう配慮って全然進まない。ポン と放り込んでおいて、職場の中で何とかしろという、上がそうい.               20.

(24) う考えできているからそれは無理もない。しわ寄せを現場の者に 強要する訳である。それは厳しいなって思われてもしょうがない ところがある。それでは困るという声を現場から挙げてもらって. 勝ち取っていくというような風になってほしい。昔だったら組合 が強かったのでそのようになったかもしれないが、今はそういう のはない。働きやすいといったらそこが一番ではないか。 *(注1):加配教員とは、公立学校の教員定数に上乗せして文部. 科学省が配置する非常勤の教員。教育困難校対策やチ]ムティー テング・少人数指導・習熟度別指導の実施などを目的として配置 一される。. <障害ゆえに仕事に時間がかかる>. 【A38】大人の場合一緒に仕事をする中で手がいるので、1人私の 替わりに健常の先生がいる方が時間的にも早く済むだろう。 《気持ちのゆとりの必要性》 【A39】普通通校の先生は余裕がないので、考える時間とか気持ち の上でゆとりとかあればもっと考えるのではないか。 《障害のある教員への配慮》 <行事へ参加しづらい雰囲気> 【A40】行事は一番いやな時間である。移動もあるし、不規則に動. かないといけないので、いっもやり慣れないことをやることは私 たちにはとっては一番きつく、行事とかはいやだった。参加する ことが当たり前だと思うが、まだまだそういう雰囲気じゃない。 気使って参加しないようにした。. <TTの教員への気遣い> 【A41】授業ではTT*(注2)で協力してもらって一緒に(やるが)、. でもやっぱり私の方が合わせるようにしてしまう。こちらの意志 を出さないようにする。主だったら主なりに進めるのはこっちな               21.

(25) ので、やっぱり主であってもペアで進める以上相手の人にも(授 業で)活動してもらうよう気を遣う。それは視覚障害があろうが なかろうが、TTとなったらやっぱり主は副にも(授業で)活動し てもらうための工夫をしないといけないと思う。 *(注2):TT(チーム・ティーチング)とは、複数の教師が協力. して授業を行う指導方法で、TTによる指導には従来の1学級又は. 1教科1担任制のもとでは行われにくかった個に応じた指導の充 実が期待されている。. <周りの教員への要望> 【A42】(障害に対する個人差は)やっぱり感じる。その辺がもう ちょっと考えてもらえたらと思うが、個人々々の考え方なので(仕 方ない)。. 《障害の有無に関わらず他者理解が大切》 <障害の有無に関わらず他者理解が大切> 【A43】何というか他者、自分以外の人というか、障害を持ってい. る、いないに関わらず理解。障害理解だけじゃなくそれも含まれ てくると思う。そこまでいけば他者理解になってくる。. <教員に余裕があればもっと他者理解できる> 【A44】難しく(障害理解は難しい問題で)どうしたらよいのかわ. からないけど、もうちょっと時間的な余裕を先生も持って、本を. 読んだりそういう機会をたくさん持たないと、あくせくものすご く時間に追われてやっている限り他者理解なんて難しいのかも。. 《同じ障害のある教員と話をする事》 【A45】視覚障害で困っている先生がいるとみんなで集まって、私. の時はこうだったとか、私もこんなで困っているとか、話を持ち. 寄ってみんなでいい解決法はないか話している。大抵良い解決方 はないが雑談するだけ。.               22.

(26) 第2節. 教員B(視覚障害).  1.生徒の障害理解 《生徒の障害への興味》 【B01】「先生見えないのに、どうなんですか、点字ってどうなん. ですか」と私に興味を持ってくれる生徒がいれば話をする。他の. 先生が企画した授業で、生徒たちが私にインタビューをして「先 生見えなくなってどんなことが一番卒かったですか」とか「先生 見えなくなってよかったと思う点はどんなことですか」とか、す ごくシビアな質問や割とおもしろい質問をする。そんないろいろ な質問に答えた。. 《障害を意識せずに自然な流れで話す》 【B02】意識的に(自分の体験した)話はしない、そういう流れに なったら(する)。だから特別意図的にそれを計画して言おうとも 思っていないので、自然の流れの中で(話す)。. 《周りが障害者であることを忘れる》 <障害を意識しない関わり> 【B03】(生徒は)この先生は障害者なんだからこういうことをし ないといけないと意識せずに関わっている。. <周りが障害者であることを忘れる> 【B04】私のことを、視覚障害者だといつも意識しているというよ りも、「あ、先生は目が見えていなかったんだ」と(見えないと) いうことを忘れてしまうぐらいの感じかもわからない。実際、時々. 言われることがある。それは周りの先生たちもそうである。 《授業で毎日会う生徒は理解が早い》 【B05】(言葉で伝えることは)個人差がある。授業で接している.               23.

(27) 生徒は毎日出会っているので1,2ヵ月と経てぱわかってくる。 《障害を意識しない関わりは障害理解に繋がる》 【B06】授業で関わる生徒も、積極的な生徒はどんどん私に話しか. けてくるし、私が視覚障害者だから何か話さないといけないと思 って話してくるわけではなくて、それは障害者の理解という意味 では障害者が他の人とまったく変わらないという理解に繋がって いるとは思う。. 《言葉で言うこと以外は他の教員と変わらない理解》 〈障害のある教員に対する生徒の配慮> 【B07】生徒たちが私にコミュニケーションをとる時は音声を使う ようになった。. <障害のある教員も他の教員と変わらない理解> 【B08】私に対して生徒たちは、先生は視覚障害を持っていると思. うより、他の先生と変わらないと思っていると思う。唯一違うの は、言葉で言わないとわからないということだと思っている。. 《障害の有無に関わらず生徒の態度は様々》 <説明後の新入生の態度の変化>. 【B09】(言葉で伝えてほしいと説明した)次の目から1年生の態. 度は変わる。あいさつ程度だが、rこんにちは」とかrおはようご ざいます」と声をかけくる。. <生徒の態度はさまざま> 【B1O】生徒もまだ子どもなので、その時の気分で見えないから言. 葉で伝えないとわかっていても、いつでも言葉で伝えるとは限ら ない。それは目の見える先生にでも言えること。. <自分から声をかけてくる積極的な生徒> 【B11】授業で接していない生徒は、仏とすれ違うときに声をかけ.               24.

(28) てくれる。例えば「こんにちは先生」と言ってくれる。自分をア ピールしたい生徒は、だれだれですと名前とか言ってくる。それ は生徒の性格なので、見えない私に(だけ)ではなくどの先生に も声がけてくる。そういう子はその他の場面でも積極的である。.  2.周りの教員の障害理解 《障害の理解と配慮の習慣化》 <周りの教員の配慮の習慣化> 【B12】目の見える先生は紙に書いた文章で会議でも進めていくが、. 私の場合、紙に書かれたものは見えないので、その場で先生たち が私のために読んで下さることが、習慣化してきている。100%で. はないが、少人数の会議などでは読んでもらうことが普通になっ てきている。. <電子データの定着> 【B13】私が読まなくてはいけないような文書であれば、電子デー. タやパソコンで読める形で送って頂けることが、ここ数年定着し てきた。. <障害への配慮> 【B14】(周りの教員は)自分の作ったもの(資料)は紙ではなく、. 電子データで渡さないといけないんだということを理解してくれ るようになっている。. <障害への配慮は徐々にわかる> 【B15】(周りの教員は)唯一は自分たちが目の代わりをしないと. いけないこと、それは徐々にわかるだろうと思う。声で言わない といけないだとか、紙の文書ではなく電子データを渡さないとい けないだとか、紙しかない時は先生のために読んであげようとか、 そこはしないといけないと徐々にわかる。 《周りの教員と相互に協力》 25.

(29) 〈顧問教員との分担>. 【B16】(英語劇の)顧問はもう1人いるので、その先生には主に アクションの部分を指導してもらって分担している。 く他の教員からの要請> 【B17】去年、別の先生が教えていた授業でユニバーサルデザイン. をテ]マにした授業をしていて、その中で乙武さんの話だとか、. 他の障害のある人の話を学んだらしく、その最後の登場人物とし て私が登場してほしいと言われてその授業に招かれて行った。 く遠足時の学校待機>. 【B18】遠足とか年間2回ほどあるが、行事とかはあまり行ってい ない。行くとすれば誰かの先生か生徒と一緒に歩くことになるが、. それはそれでいいが、好みもあるかもしれない。私自身がそのこ とにそれほど重要性を感じていないので、その時は学校待機組で 学校にいることにしている。. <音声部分での劇の指導を担当> 【B19】文化祭・体育祭の時には、私がやる係りは特別援助を必要. とする場面はそれほどない。文化祭ではESSの顧問で劇の指導と いうことで、普段はその指導は音声部分で指導をし、セリフの読 み方の指導をしている。. <文化祭本番の見守り> 【B20】普段の練習の中で生徒たちのトレーニングはしているので、. 文化祭の当目に私が何か必要とすることはない。.  3.障害理解のための実践 《出来る事を増やす努力》 〈出来ることを増やす> 【B21】自分が出来ることをできるだけ増やしていこうということ はある。. 〈座席表、生徒の名前を早く覚える努力>.               26.

(30) 【B22】生徒の名前を覚える、生徒の座席を覚えることはとても大 事なことなので覚える。. <できる能力に目を向ける> 【B23】自分の障害も何かが欠けていると思うとネガティブになる. が、逆にそれ以外に自分が持っている能力に目を向ければ、まだ これだけのことが出来る、持っているものをフル活用すればいろ いろなことが出来る、という見方をすればプラスになる。なので、. けしてマイナスではなくてプラスの考え方でいこうと、私は英語 の教師なので「シンクポジティブ」(ポジティブな考え方)の精 神で人生は歩んでいく方がいい。. <仕事に積極的に挑戦する> 【B24】いろいろな委員会でも自分から進んでやっている。. <努力してパソコン操作を勉強した> 【B25】一般高校なので文書がすべてだが、パソコンの使い方を勉. 強するまでは文書作成は出来なかったが、自分で努力して音声ソ フトを使いこなし文書が作れるようになった。. <目標を決め出来る仕事を増やす努力> 【B26】少しでも他の先生たちがやっている仕事の中で、自分が出. 来る部分を増やしていこうということはある。年に1個ずつ増や そうと、ここ5,6年そう思っている。ある年には(委員会の仕事 で)スピーチだけじゃなくディベートをやろう、あるときには留 学生の仕事をやろう、ある年は国際科のオープンキャンパスの企 画をしようとか、あるいは、授業では担当している学年の総合チ ーフをやるというふうになってきている。. <他の教員のやりたがらない仕事をする> 【B27】労働組合(の仕事)はそのチーフになると毎週出張しない. といけないので、語もやりたがらないが、誰か絶対しないといけ. ないので、毎年みんな若干押し付け合いみたいになる。今年もな り手がなかったが、私がやりますということでさせてもらってい.               27.

(31) る。. <仕事を自分から進んでやる> 【B28】いろいろな委員会でも自分から進んでやっている。. 《障害への理解を促すための話》 <自分の障害を知らせる>. 【B29】1年生が入ってきた時は、毎年4月の頭に全校集会でちょ っと時間をとらせて貰って、自分は全盲だから言葉でコミュニケ. ーションをとってもらわないとわからないと言うことを一言伝え る。. <盲学校での講演> 【B30】ずいぶん昔に盲学校で講演したこともある。私が歩んでき. た道を話した。聞いている相手が障害を持った子どもたちなので、. 障害を持った人間がどうやって自分の障害を受け入れるかと言う ことで、ネガティブに生きるよりポジティブに生きるほうがいい (という)考え方(を話した)。. <機会があれば話してもいい> 【B31】機会があれば(自分の体験を)しゃべってもいいなあとい う程度(である)。. <障害のある教員による配慮の説明> 【B32】授業でも、例えば何かがわからないと顔の表情で伝えても わからないので、最初の授業では言葉で伝えるように言っている。. 《自分の自然な姿を出すことが大事》 <自然体で自分がしたいことをやっていく方が大事> 【B33】私がこの高校に来た最初の数年くらいは、自分が障害者だ. と意識していたと思う。周りからどんな目で見られているかとい うことを気にしていたと思う。やっぱり長年経ってきて、人が自. 分のことをどう思うかなんてことは、はっきり言ってどうでもい               28.

(32) いことだと言うように悟るようになった。それよりは自分がした いことをやっていく方が大事だということで、すごく自分が自然 体になってきていると思う。. <障害の話を意図的にはしない> 【B34】(留学での)話を(意図的に)、生徒たちにどこかでしよう と言う気持ちは別にない。. <自分の自然な姿を自然に出すことが大事> 【B35】野球が大好きだとか、歌、カラオケが好きだとか、いろい. ろそういう自分の好きなことを(生徒たちに)言っている。もち ろん英語が好きだから授業もスピーチやディベート等も頑張るけ ど、余暇の時間ではプロ野球の応援をしたりとか、お酒を飲んだ りそれが普通の私のライフスタイルなので、普通に毎日どういう ことをしているか、自分の自然な姿を自然に出しているのが一番 いいだろうなあと思っている。. <言葉で伝えること以外は他の教員と変わらない> 【B36】見えない事は言葉で言わないといけない、という部分は気. をつけないといけない点で、その他の部分に関しては他の先生と 関わっているのと変わらない。. 《頑張る姿が周りに影響を与える》 <頑張る姿への影響は個人差ある> 【B37】(生徒や先生への影響については)個人で違うとは思うが、. それをポジティブに捉える人なら、見えないのにこんな仕事をや れるとか頑張っているな、いろいろチャレンジしているなど思う だろうし、実際そう言われることもある。 <周りの教員に評価される> 【B38】リーダーとして仕事を多くやっている。他の先生がそれを 見て先生すごいねと言ってくれたりする。. <障害のある教員の様子に生徒は驚く>.               29.

(33) 【B39】Nさんは右側に座っている、Oさんは左側に座っていると か覚えて、そこを指し示しながらそちらの方向をみながら極力生. 徒の顔を見ながらしゃべるので、先生見えているみたいな気がす ると言われることもある。. 《自分の障害についての体験を語った》 <自分が体験した事について生徒へ語った> 【B40】最近はしていないが、(自分の体験談を)かって何度か話 したことがある。「アメリカ留学したときに同じ視覚障害者が前向. きに学んでいる姿を見て、人生は状況じゃない考え方で変わる」 と感じたことを授業でも話したことがある。 <留学時の体.験を語った>. 【B41】「先生見えなくなってそういう人生の中で何を学びました. か」と聞かれた時に、今まで体験した話をしたことは生徒たちに とって、とてもよかったと思う。.  4.今後の要望. 《障害ゆえの物的・人的配慮の必要性》 <障害ゆえのできないことの社会のカバー必要> 【B42】障害を持っているがゆえに出来ない事は歴然としてあるの で、その出来ないことの部分は社会がカバーすべきであると思う。 <視覚障害者への配慮> 【B43】私の場合で言うと、印刷物は読めないので印刷物の代わり に電子データを用意してもらうこと。. <電子データ・点字での情報の共有> 【B44】視覚障害者は情報障害とよく言われるが、情報を保障する. ということでは、電子データあるいは点字ということになる。電. 子データか点字で同じ情報が共有できるよう制度化されるのが望 ましい。.               30.

(34) く勤務先での物的な支援> 【B45】会社や学校、障害者が属している団体でそういうこと(電. 子データか点字で同じ情報が共有できること)が処理されるよう になればいいξ思う。それは物的な支援になる。 く人的な支援>. 【B46】人的な支援ということになれば、パソコンがあれば全て支. 援が出来るということではないので、やはり見えないので誰かが 横にいてちょっとした手助けがあれば出来ることはある。. <板書・ノートチェックはアシスタントが行う> 【B47】例えば、授業中でアシスタントがいるが、そのアシスタン. トが黒板に板書したり生徒のノ]トをその場でチェックしたりし てもらう。. く障害ゆえに出来ない事は人的支援が必要> 【B48】授業の計画は視覚障害者の私も出来るし、パソコンでプリ. ントも作れるが、書いた文書をちょっと最終チェックしてもらう こと(は必要)。. 〈障害をカバーする人的支援と物的支援の整備が必要> 【B49】障害をカバーすると言う意味では人的支援と物的支援が整 うことが大切。. く障害者への特別視をなくすためにも人的・物的支援が必要> 【B50】見えないゆえに特別視されるという部分はやはりあるので、. 見えないがゆえに特別な目で見るという意識は取り除く必要があ る。その意味では先ほど言った、物的支援や人的支援があれば仕 事が出来る、ということを周りの人に理解してもらうことは大切。. 《精神的には他の人と変わらないという意識と理解》 <障害以外他の人と変わらない>. 【B51】もう1つは心の問題。障害を持った人は障害がゆえに出来. ない部分についてはカバーする必要があるが、しかしそれ以外は               31.

(35) なんら別に障害がない人と変わらないということ。. <精神的には他の人と変わらないという意識と理解> 【B52】精神的な(部分で)自分と同じであるという意識と理解、 それは生徒に対しても教師に対しても(同じ)である。. 《障害の有無に関わらず人間関係を大事にすること》 【B53】視覚障害者であるなしに関係なく、人間である以上、人間. 関係を大切にするという気持ちを持つことが大切である。これは. 別に障害があるなしではなくて、例えば障害のない人間ばかり集 まっていても、その中ではいろいろな人間関係の問題が出てくる ので、けして障害者(だけ)の問題ではないと思う。. 32.

(36) 第3節. 教員C(視覚障害).  1.生徒の障害理解 《子どもたちは教科の授業で点字に出会う》 <子どもの点字への興味> 【CO1】授業中点宇本を読んでいるので、点字を見て「先生こんな の読めるの?」とか(聞くので)、「君だったらもっと早く読める. よ、形覚えたらすぐ覚えるよ、ひらがな覚えるのと一緒。でも先 生は指で覚えないといけないし、繋がり方によって全然違うから. 時間かかるけど、覚えてくれたらうれしい」と(やり取りしてい る)。. <子どもは点字に初めて触れる> 【C02】子どもにも触らせる、強く触ったら点がつぶれるから優し. く触るんだとか、ブツブツだとか。4年生は教科書で「手と心で 読む」という点字についての話が出てくるので、点字という言葉 は知っていても実際触ったことがない。. 《障害のある人と自然に触れ合い手引きの出来る環境》 【C03】(障害のある教員がいなければ)触れ合いや手引きするこ とはないだろう。r先生手引き(するよ)」*(注3)、r一緒に行こ. う」と自然に来る子がいる。1回(手引きを)したらちょっと勇 気が出るだろうし、他の人がしているのを見たら自分もしてみよ うかなと思うかもしれない。(手引きを)してもらったらrすごい. ね、上手だね」とできるだけ褒めるようにする。登校時もバスか ら降りて学校まで歩く時に、登校中の子が「C先生手引き(する よ)」と来てくれたりする。. *(注3):手引きは、手引き者が視覚障害者の半歩程度前に立ち、. 手引き者の肘の上を視覚障害者に持ってもらい歩行する方法であ る(図2)。.               33.

(37) ’ゴ. 図2 手引きによる基本の形態(芝田,2007) 《障害のある教員が学校にいる事の意義》 <学校は子どもと継続的に接していける> 【C04】(登校時に)学校に入る時に、幼稚園の子どももそこで待 っているので、幼稚園の子とも話をしたりして(いた)。その子が. 1年生に入ってきたら「幼稚園の時、そこで待っていたんだ」と 話してくる。繋がっていくことは素敵なことだなと思う。そうい う風に学校っていうのは1点ではなくて継続的な線になって(子 どもと)接していることに意義があると思う。. <百聞は一見にしかずで、1人でも歩ける事を知る> 【C05】1人で歩けるかは、学校で歩いている姿を見ているし、本 当に「百聞は一見にしかず」でこんなことも出来る(ということ に子どもは気づく)。. <障害者はテレビだけの中の話ではないこと知る> 【C06】(障害についての話をした)後、子どもたちの声は聞いて いないが、感想文を頂いて「身近な人が(障害者いる)・・」とあ. り、テレビの中の話じゃなくて実際自分たちが体験している所で.               34.

(38) (いるんだということ)。. 《障害理解の最初の段階》 【C07】(成長する)自然の中でもうちょっと大きくなったら、(障. 害理解のためには)こういうこと必要だとか制度もあるというこ とも(理解できるだろう)。(小学生は)まだ(障害理解について は)最初の段階。. 《障害のある教員の行う障害についての授業》 <経験談を話す授業の設定> 【C08】子ども達に向けての自分の経験(障害についての話し)は、. 総合の時間とか道徳とかで設定をして授業に呼んで頂いたらそう いう話をしている。. <子どもへ視覚障害について理解を促すための方法> 【C09】交流給食をさせていただく時には、クラスに視覚障害につ. いて(事前に)話をして預けたらとお伝えし、必要だったら私も 行っている。いきなり (教室に)入るのではなくて、こういう事 (視覚障害についての話し)を(事前に)話して頂いて(いる)。. <テープを使っての視覚障害理解のための工夫> 【ClO】去年、私が年間スケジュール出して、6年生の(給食に). 行く前に、私を扱った道徳の授業で、私の思いを吹き込んだテー プを流してもらい、こういう思いを持っているんだとわかっても らって(給食に)行ったら、最初の入り(生徒の反応)が全然違 っていた。. <疑似障害体験による障害についての理解> 【C11】(手引きの疑似障害体験等は)学年がそういう授業を設定. したら行ったこともある。やっぱり青眼(目が見える)の人同士 でやるよりも、片方はアイマスクだが、実際に私を手引きしても らったほうがいい。手引きと言っても、最初から最後までしなく.               35.

(39) ても行ける所まで行ったらいいとか、場所を教えてもらったら後 は自分で聞くからとか(教えている)。. 《障害のある教員を助けてくれる子ども》 <障害のある教員への支援が自然にできる子ども> 【C12】障害理解かはわからないが、例えばプリントが落ちたらパ ッと取ってくれたりとか、黒板に書く時に、「先生そこに何か書い てある」(上書きしようとしている事を教えてくれる)とかそれぐ らい。そういうのが自然にできる。荷物(カバン)探していたら、. 「先生カバン探しているの?」と。誰でも探していたらそうする 普通の事。. <手引きをやってくれる子ども〉 【C13】普段は子どもは私が一人で歩いているのを知っているから、 その時は手引きという形で(やってくれる)。. 《障害のある教員との関わりで変わる子ども》 <障害のある教員と関わることで変わる子ども> 【C14】今年度、その子(私に向かってrバカ」って言って逃げて 行った子:【C31】)が先頭をきって、授業で私をすごく助けてくれ た。. <障害のある教員の周りにいる子どもは優しくなる> 【C15】今の子は私が3年いるのを知っていて、小さい時から声を. かけている。学校の先生には、先生の周りにいる子どもらは優し くなると言っていただいた事があってそれはうれしかった。. 《障害のある教員への反応は様々》 <挨拶する子どもしない子ども> 【C16】私は休み時間とか朝の登校時「おはよう」と、下校時に「さ. よなら」と声がける。そしたら返事をする子もしない子もいる。.               36.

(40) その時は別に何も言わない。「さよなら」って返したら「ありがと つ」つて言つ。. <挨拶を通して子どもの成長を願う> 【C17】そういう(挨拶し合う)中で子どもたちも育ってくれたら. と思う。いきなりみんなが「さよなら」って言わないと思う。 <よく話す子どももいる> 【C!8】(積極的に)動いていかないと(と思っている)。よく話す. 子は、声を覚え名前も覚える。. <障害に対する子どもの柔軟性>. 【C19】1年生の子どもは頭が柔軟で、意外な発想で“タッチ鬼ご っこ”のような一緒にできる遊びを思いついたりして、こちらの 方がびっくりした。子どもは小さいほど自然に理解が進む。.  2.周りの教員の障害理解 《障害のある教員への理解についてはわからない》 <時間がかかる授業作りへの理解>. 【C20】小学校(の担任)は持ち時間が多く30時間、自分は10 時間でその違いはある。私は1つの授業を作るのに、まずは音声 で教科書を読んでもらって、それをパソコンで打ち込んで、そこ. からの授業作り。点字本で読んだりとか、見えない部分ですごい 時間がかかるが、その辺はどう思われているかわからない。 <障害のある教員の教材研究> 【C21】私は学校より家の方が作業(仕事)が進む。周りが静かな. ぼうが音声も自由に使えるので家での作業が多いが、その辺はど う思っているかわからない。. 《障害のある教員への反応は様々》 〈周りの教員もいろいろ> 【C22】教員の方はわからない。よく声をかけてくれる先生はすれ.               37.

(41) 違う時でも声をかけてくれる。. <一緒に授業する教員はよく声をかけてくれる> 【C23】一緒に授業する先生はよく声をかけてくれ、何かあったら 「C先生とうですか?」とかある。今、アシスタントの方もいて、. その方と打ち合わせをして、模擬授業をして授業をする。担任の 先生に補助に回っていただくこともある。.  3.障害理解のための実践 《機会を捉えて障害について子どもに話す》 <会話の中で障害について話す>  【C24】給食に1週間ずつ交流給食をさせてもらっているので、そ. の生活の中で例えばrおかずが何時の方向にある*(注4)と教え ともらうとわかりやすいとか、手引きをしてもらって座る時は、. イスに触らせ背もたれを確認したら座りやすいとか、食べる時も. 場所を時計の方向で教えてもらったらおいしく食べられる」とか 給食時間の中で、設定されていない会話の中で(障害のことを話 す)。. *(注4):テーブルの上のコップや皿等の位置は、クロックポジ. ションとよばれる時計の文字盤に置き換えた方法で説明する。こ. れは手前が6時、向こう側を12時とした文字盤を自分の前に置い たことを想定するもので、例えば「12時の位置にコップがありま す」と言う説明方法である(図3)。  【C25】こういう質問があって答えるじゃなく、その申(給食時間). でいろいろな事を話している。(話の内容は)日常的なことで、rお. 風呂どう入っているの」とか、「シャンプーはどうするのですか」  r1人で食べられるんですか」とか(を聞いてくる)。. <低学年でも教えたら障害について理解は可能>  【C26】C先生からみて時計の方向でこっちに何があるとか、こっ. ちは何時?3時!等。そうしたら何があるか分かるんだと(説明.               38.

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