第4章 考察
第2節 周りの教員の障害理解
1.障害のある教員への配慮
次に示した教員教員A・B・Eに共通したカテゴリーから、障害 のある教員への配慮という下位項目にまとめられた。
・周りの教員の配慮(A)
・障害の理解と配慮の習慣化(B)
・周りの教員の気使いのもどかしいさ(E)
Aは周りの教員が役割を決める時は頭を使うだろうと思う
【A22】やTTとの授業の時に困った【A21】と語り、周りの教員の 配慮を気にしながらも十分に満足してはいない様子が例えた。E も管理者や周りの教員は、仕事を割り振る時等に気を使ってくれ るが、逆にそれがもどかしく感じる【E12】【E14】と語り、Eに対 して必要以上に気を使い過ぎる現状があるようだ。
それに対しBは、周りの教員による配慮について肯定的に捉え ている。具体的には、会議等で文章を読んでくれた【B12】、電子 データが定着した【B13】【B14】、自分たちが目の代わりをしない といけないことが徐々にわかるだろうと思う【B15】等、周りの教 員がBに対して適切な配慮を行っていることがわかる。その背景
にはBが長い間同じ学校に勤務しており、そのため周りの教員が Bに対する適切な配慮を熟知しているからだと思われる。
そのことから障害のある人への適切な配慮のためには、周囲の 人の障害に対する知識と理解が必要であり、それには障害者本人 との直接の関わりをある程度時間をかけることで可能になると思 われる。周りの教員への障害理解の啓発には時間をかける必要があ ると考えられる。
2.気づきと慣れ
次に示した教員D・Eに共通したカテゴリーから、障害のある教
員への気づきと慣れという下位項目にまとめられた。
・共に働くことで障害に対する抵抗は少なくなる(D)
・障害のある教員の様子に慣れていく (E)
・障害があっても出来ることを理解する(E)
・出来ない事は出来ないと伝える事が障害理解に繋がる(E)
Dは転勤等でいろいろな教員と一緒に働ける所に良さを感じ、
共に働くことで周りの教員の抵抗は少なくなっていると言う
【D17】【D18】。またEも周りの教員も自分の日頃の様子に慣れ、
担任も出来ることをわかってくれた【E15】【E17】、出来ない事は 頼むことを心がけ、受身ではなく自分から出来ない事は出来ない
と伝えることが理解に繋がる【E18】【E19】と述べている。
DやEが語るように、周りの教員は障害のある教員と一緒に仕
事をすることで、その様子に慣れ仕事が出来ることを理解していく。そして障害ゆえに出来ないことは他の教員に頼んでやっても らっている。そのことは児童生徒と同様に周りの教員が障害につ いて知る機会になり、その関わりの中でその支援の仕方について も理解することに繋がると思われる。
3.教員への様々な反応
次に示した教員A・Cに共通したカテゴリーから、障害のある教 員への様々な反応という下位項目にまとめられた。
・障害のある教員への理解は様々(A)
・障害のある教員への反応は様々(C)
・障害のある教員への理解にっいてはわからない(C)
Aは周りの教員の障害者に対する理解には個人差があり、子ど もも大人も変わらないと言う【A24】【A25】。考えない人や面倒く さい手が掛かると思う人はいるだろうが、生徒のことに一生懸命 な教員は理解があるとも語っている【A26】。Cは授業時数が少な いが授業の準備にすごく時間がかかり家での作業が多いが、その 71
ことについて周りの教員がどう考えているかわからないと述べて いる【C21】【C20】。またよく声をかけてくれる教員もいるが、C への教員の反応はさまざまであると言う【C22】。
AとCは共に視覚障害があり、周りの教員とのコミュニケーシ
ョンとして言葉を通してのやり取りは健常な人よりも重要なもの であるだろう。しかしそれが十分に出来ていない状況があるよう だ。障害のある教員と周りの教員がお互いの事を分かり合い協力 しあうことは、児童生徒の障害理解の教育にとっても必要なこと であると考える。周りの教員が障害のある教員に関心を持ち、理 解しようと歩み寄ろうとする気持ちは児童生徒へも良い影響を及ぼすと思われる。
芝田(2010)は、校長、教頭含むその他すべての教員が障害に対 して適正な認識を保持することで本当に意味のある障害理解教育 が実践できるとし、まず教員自身に障害理解教育と社会啓発に関 する理解を深める努力が求められると指摘している。周りの教員 が障害理解の適正な認識の必要性を感じ、障害のある教員に対す る理解があってこそ、学校における障害理解の教育は進んでいく と考えられる。
4.周りの教員との協力
次に示した教員Bのカテゴリーから、周りの教員との協力とい う下位項目にまとめられた。
・周りの教員と相互に協力(B)
Bは学校での教育活動のあらゆる場面で周りの教員と相互に協 力している。学校行事では仕事を他の教員と分担して行っている
【B16】【B19】。また周りの教員の要請で障害のある人についての 授業への協力も行っている【B17】。外に出る行事では学校に待機 し、もし行くとすれば教員や生徒が一緒に歩くことになるが、B 自身はそのことにそれほど重要性を感じていないという【B18】。
このようにBは多くの場面で自分の出来る事を生かし、周りの 教員と協力して仕事をしている。「周りの教員との協力」の項目に
該当したカテゴリーはBのみであったが、それはBが長年この学
校に勤務し仕事の流れを熟知しているため自分の出来ることが最 大限に発揮できる状況であると考えられる。そして、出来ない部 分にはそれ程こだわらず、出来る事に目を向けるBのポジティブ 精神があるからこそだと思われる。73