第4章 考察
第3節 障害理解のための実践
いことを伝えている【C38】【C39】。また、児童と握手勝負や握力 勝負【C40】を通してコミュニケーションを図っている。さらに、
交流給食の会話等で機会を捉えて障害について話し、児童の質問 に答え、自分の日常生活の様子や手引き・援助の方法、教員の思
いを伝えている【C24】【C25】【C26】【C27】【C28】【C29】【C30】【C31】。
Dは数学の授業を楽しくやる【D20】【D21】、生徒へ声をかけコミ ュニケーションをとり言語障害のある人とも抵抗なく話せること をねらう【D22】、感謝する場面を意図的に作り生徒の存在を認め て心を育てている【D23】【D24】。Eは掃除等で率先してやる姿を 見せる【E21】、生徒がふざける場面で自分の障害を交えて諭すた めの話しをしている【E22】。
A〜E全ての教員がr障害や障害者理解のために実践しているこ と」の質問に対し、児童生徒のためにできる事をする、という答 えが返ってきた。それは各教員が、日々の学校生活の中で児童生 徒とのコミュニケーションを通して、お互いに関わっていくこと を大事にしていることが例えた。インタビュー時に著者が感じた 事は、どの教員も日頃から障害や障害者理解について児童生徒に 指導しなければいけないという気持ちはそれ程強くはないという
ことであった。それよりは、どの教員も児童生徒に対し、挨拶等 で積極的にコミュニケーションを取ったり話しを聞いてあげたり しながら、自然に接していくことを大事にしていた。そして、そ のコミュニケーションの中で、児童生徒から障害について聞かれ た時に答えてあげるというケースが多かった。特別に設定された 授業の中で障害について話す例もあった。
インタビューした5名の教員の中で、児童生徒に対し一番多く 障害についての話をしているのはCであった。小学校教員である Cはあらゆる場面を利用して、自分の障害についての具体的な支 援の方法や教員の思いを伝えている。小学生の発達段階において は、Cの行っているような具体的で丁寧な説明をする必要がある 75
からだろうと考える。徳田(2005)は、障害理解のレベルとして 表2に示すような発達段階を想定することができるとしている。
徳田が示すように小学生低学年の「障害理解の発達段階」は、第 1段階の気づきの段階で「障害のある人がこの世に存在している ことを気づく段階」である。そこでCが子どもたちに丁寧に説明 することは、徳日ヨの言う「子どもは差違に気づき興味を持つが、
そこにマイナスのイメージを持たせたり子どもの気づきを無視し たりしないなどの配慮が必要である」の通り、子どもに配慮した ものであり大切であることがわかる。
その段階を経て、第2段階では差違がもつ意味を知り知識を得 ていく知識化の段階となる。Cがあるゆる機会を捉えて、子ども たちに視覚障害への具体的なことを教えている場面はこの第2段 階であるだろう。子どもたちへの丁寧な説明を通して、第2段階 である障害児者との直接的な接触や間接的な接触を通して障害者 を『心で感じる段階』にも繋がっている。ネガティブな感情も含 まれるというが、さらにいろいろな体験を通して障害児者をより 身近に感じられるように促していくよう教育していく、情緒的理 解の段階である。学校生活において身近に障害のある教員がいる ことで、この第3段階は教員が言葉で説明するよりも実体験でき る状況であり、障害理解のためには最良の環境であると言える。
十分な第2段階の学習と第3段階の体験を経た結果、適切な認
識(体験的裏づけをもった知識、障害者観)が形成され障害者に対する適正な態度ができる第4段階、さらに第5段階である援助
行動が自発的に出来る子どもも現れていた。小学生の段階でこの ような高い障害理解のレベルを示したのは、やはり障害のある教 員の存在があったからこそである。小学校低学年の子がCと一緒 に遊ぶためのルールを思いつき、 タッチ鬼ごっこ などの遊びを 考えることができる柔軟さは、Cの存在があったからこその出来 事であるだろう。このように小学生の時期に障害のある教員と触表2 障害理解の発達段階(徳田,2005)
〈第1段階〉 気づきの段階
障害のある人がこの世に存在していることを気づく段階。子ども では差違に気づき興味をもつが、そこにマイナスのイメージをも
たせたり子どもの気づきを無視したりしないなどの配慮が必要
である。この段階は障害や障害児者に対するファミリアリティ(親しみ)向上の第1期と位置づけることができる。
〈第2段階〉 知識化の段階
差違がもつ意味を知る段階。そのためには自分の身体の機能を知 り、また障害の原因、症状、障害者の生活、障害者への接し方、
エチケットなどの広範囲の知識を得なくてはならない。
〈第3段階〉 情緒的理解の段階
障害児者との直接的な接触や間接的な接触(テレビ、映画、書物、
周囲の大人の話など)を通して障害者のdisability(機能面での 障害)やhandicap(社会的な痛み)を「心で感じる段階」と言え る。ネガティブな感情も含まれるが、そのことは特に問題にしな い。さらにいろいろな体験を通して障害児者をより身近に感じら れるように促していくよう教育していく。
〈第4段階〉 態度形成段階
十分な第2段階の学習と第3段階の体験を経た結果、適切な認識
(体験的裏づけをもった知識、障害者観)が形成され障害者に対
する適正な態度ができる段階。第2段階の学習と第3段階の体験
が皆無、あるいはきわめて不充分である幼児や小学校低学年の子どもは態度が形成されていないと考えるべきである。
〈第5段階〉 受容的行動の段階
生活場面での受容、援助行動の発現の段階。すなわち自分たちの 生活する社会的集団(学校、クラブ、会社、趣味のグループなど)
に障害者が参加することを当然のように受け入れ、また障害者に 対する援助行動が自発的に現れる段階。
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れ合うことは、自然に障害者を受け入れることに繋がり障害理解 教育における重要な役割を果たすと考えられる。
中学生・高校生の場合は、これまでの学校教育の中やテレビ 映画・書物などを通して障害者についての知識はある程度あり、
心で感じている第3段階の情緒的理解の段階であるだろうが、そ
の感じ方は生徒それぞれであるだろう。この段階について徳田
(2005)は「さらにいろいろな体験を通して、障害児者をより身 近に感じられるように、またより受け入れられるように促して教 育していく」と述べているが、それは障害のある教員が学校にい ることで実践していることであり、生徒の発達段階に応じた接し 方として適切な環境となっている。
このように障害のある教員が身近にいることによって、障害理 解は発達段階に応じて適切に進んでいく。さらに障害のある教員 の日々の実践の積み重ねによって、児童生徒とのコミュニケーシ ョンが深まり、障害のある人を自然に受け入れる事が出来るとい う望ましい状況であると考えられる。
18のカテゴリーのうち5つのカテゴリーは「自分の出来ること に取り組む」であった。
・出来る事を増やす努力(B)
・頑張る姿が周りに影響を与える(B)
・外へ出て様々な事へ挑戦する(C)
・障害のある教員の挑戦は障害への理解に繋がる(D)
・自分にしか出来ない事がある(E)
Bは自分が持っている能力に目を向けrシンクポジティブ」の 精神でいろいろな仕事に積極的に挑戦し、出来る仕事を増やす
【B23】【B21】【B24】【B26】【B27】【B28】や、音声ソフトを使い文
書が作れるようになった、仕事を頑張っていると評価された等で あった【B25】【B37】【B38】。Cは外に踏み出す、研修会やいろい ろな所へ行く【C41】【C43】、授業上達のためのサークルヘの参加
を挙げている【C42】。Dは今後担任や校長等に挑戦し障害理解の 深まりを望むと言う【D25】。Eは出来る範囲で今ある仕事を精一 杯やり、プラスアルファやる【E23】【E24】、出来ない部分が多い
が私でしか出来ないこともたくさんあると述べている【E31】。
以上のように各教員ともポジティブな気持ちを持ち、自分の可 能性を広げようと努力している様子が例えた。各教員それぞれに 勤務年数や障害の種類、障害を負った時期等に違いがあり、本人 の障害に対する思いも様々だと思われるが、仕事に対する態度は 共通して前向きに取り組んでいることがわかった。このような障 害のある教員の態度は、児童生徒への障害理解の教育や周りの教 員への啓発に繋がっていくだろうと考えられる。
2.障害を意識せず自然な自分でいる
次に示した教員B・D・Eに共通したカテゴリーから、障害を意 識せず自然な一自分でいるという下位項日にまとめられた。
・自分の自然な姿を出すことが大事(B)
・ありのままの姿を見せ子どもを認める(D)
・日頃障害を意識せずに生きている(E)
BやEは、障害を意識せずに自分の自然な姿を出すことが大事
だと述べる【B33】【B35】【E20】。勤め始めの頃は障害を意識したが、今は言葉で伝えること以外は他の教員と変わらないと言う
【B36】。Dもありのままの姿を見せそれで教育的な効果をねらい、
子どもの存在を認めることで障害理解に繋がると語る【D19】。
上述の話から、日頃から障害を意識せずに自分のありのままの 自然な姿で生活することを心がけ、またそれが大事だと考えてい ることがわかった。そのような障害のある教員の自然な意識や振 る舞いは、生徒たちに伝わって自然に接することができ、それが 自然な形での障害理解にも繋がっていると考えられる。
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