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第4章  考察

第4節 今後の要望

 1.公的支援・制度の制定が必要

 次に示した教員A・B・C・Dに共通したカテゴリーから、公的支 援・制度の制定が必要という下位項目にまとめられた。

・公的支援が必要である(A)

・障害ゆえの物的・人的配慮の必要性(B)

・国が制度として補償してほしい事(C)

・物的・コミュニケーション・仕事を増やす支援が必要(D)

・障害者に関する制度の制定で理解が進むこと(D)

 ほとんどの教員が公的に障害のある教員の支援を保障する制度

の制定を望んでいた【A36】【B42】【B49】【C45】【C46】【C47】【C48】

【D26】【D27】【D28】【D29】。支援についての具体的な要望も数多 く挙がった【B43】【B44】【B45】【B46】【B47】【B48】【C4g】【D27】

【D28】【D29】。この結果からもAの言うように、現状は障害のあ る教員のことを職場で考えるしかない状況であり【A37】、そのた め学校に障害のある教員がいることは厳しいと思われても仕方が ないと言えるのではないか。Bも見えないがゆえに特別視される ことがあり、そのような意識を取り除くためにも物的支援や人的 支援が必要であると言う【B50】。Cも国が制度として補償があれ ば復職の道は開け、出来ることも増えるだろうと語っている【C47】。

 第1章の「問題の所在」で「現場は想像以上に忙しくサポート がなければ継続勤務は難しい」と述べたように、障害のある教員 への支援は必要であり、それを職場で考えるしかない状況はやは り大変厳しい状況であることがわかる。その対策として支援団体 が訴えていたように、人的支援として教員を加配する制度が必要 であるだろう。また「障害のある教員を受け入れた場合、自治体 の負担が増えるということになるとどこも受け入れてくれなくな る可能性もあり、今後とも県費で負担してほしいと要望している」

という状況であったが、今回のインタビュー調査からも同じよう な状況を確認できた。

 AやCは障害ゆえに仕事に時間がかかり、健常な教員を雇った

方がお金は少なくて済むだろうと述べている【A38】【C48】。この

ように障害のある教員は十分な保障のないまま職務に就いている ため、周りに気を使い引け目さえ感じながら日々過ごしている現 状であった。またCは中途障害で復職を果たしたが、その道はす ごく困難だったと言う【C48【C49】】。このような状況も制度とし て保障されていないためであるだろう。さらにCは現在の職場の 場所が生活面で不便なため転勤を希望しているが、受け入れ先が なく転勤できない状況であるという。その理由は転勤先での設備 投資(視覚障害者用誘導ブロック・スロープ・アシスタント等)

でお金がかかるからだ。

 このような状況の元では、今後、障害のある教員の採用が増え たとしてもその教員の立場は厳しいものとなり、児童生徒への教 育に携わる以前の問題である。今後、障害のある教員への支援が 制度化され、自治体に任せるのではなく、県や国として保障され ることが望まれる。財政の確保については社会全体の障害者福祉 に対する考え方に保ってくるだろう。また社会の一員である私た ち一人ひとりの障害者福祉に対する理解も欠かせないだろう。障 害者雇用のための財源の確保の必要性を、私たちはどれ程肯定的 に捉えることが出来るかは、社会における障害理解や福祉に関す る理解が必要であるだろう。その重要性を認めることのできる社 会であるならば、障害のある人の社会参加に必要な制度が整って いくのではないかと考えられる。Dも制度の制定の必要性を訴え ており、それによって障害者への理解も進んでいくと語る【D30】

【D31】【D33】【D32】。今後、法の整備が進み社会全体として障害 理解が浸透し、障害のある教員が健常の教員と同じように自分の やりたいことをやれ、最大限にカが発揮できる環境になっていく       81

ことを期待したい。

 2.教育現場への要望

 次に示した教員A・D・Eに共通したカテゴリーから、教育現場 への要望という下位項目にまとめられた。

・気持ちのゆとりの必要性(A)

・障害のある教員への配慮(A)

・今後の学校への要望(D)

・周りの教員の意識が変わることが必要(D)

・出来る部分を伸ばせる学校体制作り(E)

・自由に発言でき適度に相手の事を思う場(E)

 Aは教員には気持ちのゆとりが必要ではないかと述べる【A38】。

また行事については参加することが当たり前だと思うが、まだそ ういう雰囲気ではなく気を使って参加しないと言う【A39】。Aが 語ったように視覚障害者にとってやり慣れないことをすることは

きつく、行事もそれにあたるのであろう。その辺りのAの思いに 対する配慮はないようである。障害に対する個人差は感じるが個 人の考え方なので仕方ないと語る【A42】。

 後藤は、視覚障害のある教員と周りの教員との人間関係は、け して容易ではない一面をもっと指摘している(全国視覚障害教師 の会(JVT),2007)。その理由として、日々職務に忙殺されている 同僚にr目を借りる」こともなかなかできないことを挙げ、同僚

としては、時間的、体力的に余裕がある場合は心安く引き受けて くれるだろうが、いつもそのような余裕があるとは限らず、特に 期限に迫られた仕事に忙殺されている場合など、時として車L櫟や 摩擦を生ずることもあると説明している。上司や同僚がその問題 をどのように認識するかが、視覚障害教員の教育活動全体の中で 如何を左右することにもなるとしている。

 芝田(2007)による「社会の障害者に対する意識と態度」とし

て、教員にはA領域が求められた(図1参照)。つまり障害者に対 して関心があり理性的で障害者の人権・主体性・自立性を尊重し、

共感できる意識や態度が求められるが、現実問題として上司や同 僚の中には視覚障害のある教員の存在を拒否・否定する人も少数 いるのが現状だという。

 このような教員の意識や態度は芝田(2007)の言う、あっては ならないD領域の、障害者への無関心で感情的で人権無視、差別 がある状態である。人を育てる立場である者として問題であり、

その考え方を改めなければならない。もちろん大多数の教員はA 領域であるだろうが、人は誰でも感情があり余裕のない場合も時 としてあるだろう。そのためにも人的支援として教員を加配する 制度があれば、障害のある教員は周りの教員に対し気がねせずお 互いに仕事が出来るのではないかと考えられる。

 Dは今後の学校への要望をいくつか挙げている。まずは学級担 任をしたい希望である【D34】【D35】【D36】【D37】。Dは教職10年 経つがまだ学級担任をしたことがなく、新しいことに挑戦して次 の世界を作る事をDは希望している【D37】。またDは教員の意識 や考え方が変わることを望んでいる【D40】【D41】【D412】【D42】。

教育活動の中に自分の特異性を埋め込んでいきたいが、それには 同僚の意識がそこまでいっていないと難しくそれがこれからの課 題【D42】と言い、学校の教員が変わることで教育効果が出ると指 摘している【D40】。

 またEは学校側への要望として生徒や教員を育てていく上で、

出来る部分を伸ばしていける学校体制作り【E25】と、気持ちよく 自由に発言でき適度に相手の事を思う事の出来る場を挙げている

【E26】【E27】。

 内閣府(2005)のr障害について知ってほしいこと」での必要 な配慮として、r障害があるからできないと決めつけずに、できる ことを一緒に考えて」があったが、それはEのいう「出来る部分       83

を伸ばしていく体制」やDが体験している「担任をしたいができ ない」「新しいことに挑戦したい気持ちはあるができない」という 残念な現状と重なっている。障害のある教員の気持ちをもっと受

け入れる教育現場となることが望まれる。そのためには芝田

(2007)の言うr障害者理解に必要な考え方」として①社会は持 ちつ持たれつで人の世話にならない人はいない、相互にあてにし あてにされる互恵性社会が望ましいあり方である、②個々の違い を相互に尊重し受容する、③障害者を受け入れられない社会自体 が不適応・不健全な弱い社会であるという考え方が大切になって

くるだろう。

 このように障害のある人を1人の大切な個人として受容できる 社会こそが、お互いを受容できる社会であり、あるべき姿であろ う。障害のある教員を受け入れることのできる健全な社会のため にも、まずは管理者や周りの教員がそのことを理解することが、

教育を行う者として必要であると考えられる。

 3.人としての理解

 次に示した教員A〜E全てに共通したカテゴリーから、人とし

ての理解という下位項目にまとめられた。

・障害の有無に関わらず他者理解が大切(A)

・精神的には他の人と変わらないという意識と理解(B)

・障害の有無に関わらず人問関係を大事にすることが大切(B)

・障害のある教員の思い(C)

・意識せずとも気づいたら人間理解していた状況(D)

・特別な道具の使用以外は他の人と同じ理解(E)

・特別扱いされず普通でいたい(E)

 Aは障害理解だけではなく他者理解が大切で、教員に余裕があ ればもっと他者理解ができると語り【A43】【A44】、Bも障害ゆえ の出来ない部分をカバーする必要がある以外は、精神的には他の

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