現 代 の ロ ン バ ー ド 街
一 キ ン グ 『ロ ソ ドソ 割 引 市 場 史 』 に 寄 せ て 一
藤 沢 正 也
1
本 書 はHistoryofTheLondonDiscountMarketと い うわ れ わ れ に は 梢 々 な じ み薄 の 表 題 が 附 さ れ て い るが,イ ギ リス の 金 融 文 献 の な か で,,こ れ ほ ど 広 く知 られ 重 宝 が ら れ て い る書 物 は 稀 れ で あ る。 そ れ は ま さ にBagghot著
LombardStreetの 現 代 版 で あ つ て,金 融 市 場 に 関 心 を もつ 銀 行 家 の 伴 侶 と し て ば か りで は な く,金 融 論 の 生 きた テ キ ス ト と して も貴 重 な 実 証 研 究 で あ る 。 本 書 の 申 心 テ ー マ は,手 形 割 引 市 場 の 独 自 な 発 達 が,イ ギ リス の 金 融 組 織 に どの よ うな 影 響 を お よ ぼ し た か とい う問 題 で あ る 。 著 者 は こ れ に つ い て,16〜
17世 紀 の い ろ い ろ な 前 期 的 金 融 業 者 が 手 形 仲 買 人(BillBroker)か ら手 形 割 引 商 会(DiscountHouse)に 転 化 し,そ れ が 前 世 紀 の 後 半 か ら引 受 商 会(Ac・
ceptanceHouse)と 表 裏 し て,国 内 の み な らず 国 際 的 金 融 市 場 の 立 役 者 と な つ た 経 緯,お よ び 資 本 主 義 の 全 般 的 高 度 化 に と もな つ て,手 形 割 引商 会 は そ れ 自 体 と し て 高 収 益 を追 求 す る こ とは で きな くな つ た が,申 央 銀 行 と商 業 銀 行 の緩 衝 器 と して,シ テ ィ で は 欠 くべ か ら ざ る地 歩 を確 立 す るに 至 つ た 過 程 を,金 融 政 策 や 制 度 の 変 転 と関 連 させ て 体 系 的 に 記 述 し て い る。 著 者 は これ に よ つ て イ ギ リス 金 融 組 織 の 伝 統 的 特 色 を 明 らか に し た 。 イ ギ リス が よ く整 備 され た 割 引 市 場 を もつ て い る とい う構 造 的 な特 色 は,現 代 で も一 つ の 国 際 的 モ デ ル と し て 現 実 的 な 重 要 性 を もつ て い る 。
し か し な が ら 割 引 市 場 の 機 能 は,第 一 次 大 戦 後 の 経 済 情 勢 の 変 化 に 照 応 し て
著 し い 変 貌 を み せ て い る。 特 に 本 書 の 出 版 さ れ た 当 時(1936年)は,明 らか に
管 理 通 貨 制 度 に 移 行 し た に も拘 らず,財 界 の 不 況 は 容 易 に 克 服 され な か つ た た
め に,割 引 商 会 は 深 刻 な 苦 境 に 追 い こ ま れ て いtc。Gregory教 授 は 本 書 の 序 文
に お い て,割 引 商 会 の 本 来 的 業 務 は,商 業 銀 行 等 か ら短 資 を借 りて 商 業 手 形 を 割
引 くこ とに あ るか ら,こ の種 の手形 の 出廻 りが 減 退 す るよ うな こ とに なれ ば 割 引商会 を主 役 とす る市 場 は存在 理 由 を失 い,し たが つ て金 融 政 策 の方 式 に つい て も根 本 的 な再検 討 をよ ぎな くされ るだ ろ うと述べ てい る。教 授 の推 論 は,第 二次 大戦 お よび 戦 後 の過程 に おい て 実 証 され た よ うに み え る。 ま こ とに 最 近 まで,割 引商 会 の機能 は一 方 的 に金融 当 局 の通 貨 政 策 や財 政 政 策 に左 右 され て い て,往 年 の よ うな信 用調 整 の イニ シア テイ ー ブ を失 つ て い た 。 だ が これ は戦 時経 済 の影響 に よ る変 則 的 な現 象 で あ つ て,資 本 主 義経 済 の正 常 化 に と もない, そ れは 再 び重 要 な役 割 を演 ず る こ とに な るの で は あ るまい か 。 この 問題 は金 融 制 度 の全 般 的 な 改 革 と絡 ん で,目 下Radcriffe委 員 会 で検 討 中 で あ る と伝 え られ てい るが,こ の委 員 会 の討議 はMacmillan委 員 会 の そ れ に 次 い で,イ ギ
リス金融 史 上重 大 な意 義 を もつ こ とに な るだ ろ う。
著 者 は現 在Banker誌 の編 輯長 と して,ま たEcomist誌 の副主 筆 を兼 ね, シ テ ィの輿 論 指 導 に健 筆 を ふ るつ てい る。彼 は最 近 の金 融 論 争 に おい て は,公 定 歩 合 の 弾力 的 な変 更 を武 器 とす る通貨 政策 を支 持 す る立 場 に あ り,し た が つ
て 自由 な公 開市 場 として の金 融市 場 お よ び割 引市 場 の復活 を繰 返 し力説 して い る。 これ は 一 部 の有 力金 融 業者 の 声 を代弁 す る もの で は あ ろ うが,ジ ヤ ー ナ リ ス トに は稀 れ な深 い 学 問的 な論 拠 を もつ て い る。厳 しい 歴 史 的 実証 主義 の賜 物 として の 本書 が これ で あ る。
さて著 者 最 近 の論 説 をみ る と,古 典派 的 な色 彩 が 濃厚 で あ るが,古 い酒 を も るに は新 しい皮 袋 が 必 要 な こ と も充 分 に認 めて い る よ うで あ る。本 書 の前 半 で は,通 貨 主 義 的 な制 度 や そ の銀 行主 義 的 な運 営 も金 融 恐慌 を防 げ なか つ た ば か りで な く,か えつ て これ を激 化 す る要 因 に なつ てい た こ とが 立証 され て い る し, 後 半 で は イギ リス資 本主 義 の高 度 化 に と もな つ て,パ ニ ツ クは もは や経 済 発展 の必要 悪 として傍 観 され得 な くな つ た こ と,こ れ を予 防 す るに は,通 貨 お よ び 財 政 当局 の意 図 的 な統 制 を必 要 とす るに至 つ た所 以 が 鋭 く指 摘 され てい る。 し か し彼 の現 状 分 析 に よ る と,最 近 の金 融 政策 は 角 を た めて牛 を殺 してい る憾 み が あ る。 当局 は一 方 では 公債 の価 格 支 持 の た め 通 貨 や信 用 を増 発 し,他 方 で は イン フ レ対 策 の た め質 的 統制 を強 化 してい る。 こ うして何 れ に せ よ金 融 市 場 に は 不 断 に圧 力 が か け られ る よ うに な つ た 結 果,経 済 の 自然 的 均衡(Natural一
Equibrium)を 維 持 す るに不 可欠 な金融 要 因 の発動 が益 々1制約 され るにい7Cつ た 。 この矛 盾 を打開 す るた め には,い まや 当局 が金 融 市場 の 自由 化 を も くろ む 以 外 に手 は ない 。彼 は 『通貨 の弾 力性 と完 全 雇 用 』 と題 す る論 文 で,次 の よ う に説 い てい る。 「金 融 機 構 の 二 つ の大 きな変 化(財 政 政 策 と為 替管理 を指 す) に よ つズ,金 融 当局 は た えず 市場 に干 渉 しな け れ ば な らな くな り,金 融 的 諸 力 の運動 は 多か れ 少 な か れ 当局 の政 策に 依 存 して い る現 況 で あ る。今 や 当局 の市 場 対 策 として は,自 然 の環 境 とは 何 か とい ふ こ と に つ い て 見 識 を もち,幾 分 な りと もそ れ に 即 応 した 金 融 方 式 を打 出 すべ きで あ る。 も くろ ま れ た 自由 (ContrivedFreedom)と い ラ構 想 は空 想 的 に響 くが,こ れ に沿 つ た措 置 が 不 断 に講 じ られ ない と,金 融 機 関 の真価(敏 感 に して選 択 的 な調 整 者 と して の) は少 な か らず消 滅 して し ま うだ ろ う。 した が つ て金融 操 作 の原 則 は,先 ず 当局 の干 渉 を要 請 してい る諸 力 を最 小 限 に抑 え,次 に 自然 的均 衡 を歪 めて い る もの
ロ
を規制 す るよ うに干 渉 を加 え る こ とで あ る。」 わ れ わ れ は ζの 自然 的均 衡 を保 証 す るた め の金 融 組 織 な らび に 金 融市場 は,既 に ヴ ィ ク トリア後 期 か らい ろい ろ な摩 擦 をお こ してい たが,本 格 的 な危 機 に直 面 した の は,大 恐 慌 後 の金 本 位 制 度 の停 止 か らで あ る とみ るキ ング の見 解 に 同意 した い 。以 下 第 一 次 大戦 後 今 日にい た る割 引市場 に焦点 をお い て,本 書 の もっ現 代的 意 義 を考 察 して み たい 。
罫
皿
第 一 次 大 戦 直 後,シ ティ は か な り深 刻 な ペ ニ ツ クに 襲 わ れ た 。 当 局 は こ れ に 対 処 してTheCurrencyandBankNoteAct(1914/8)に よ つ て,ピ ー ル 銀 行 法 を 停 止 し て 保 証 発 行 の 枠 を鉱 大 す る と と もに,金 本 位 法 を も実 質 的 に 停 止 し て 積 極 的 な イ ンフ レ ー シ ヨ ン政 策 を と つ た 。 この イ ン フ レ政 策 に よ る通 貨 お よ び 公 債 の膨 脹 は,両 大 戦 間 を 通 じ て イギ リス 経 済 に 重 圧 を加 え る こ とに な つ た が,大 恐 慌 に い た る ま で は,伝 統 的 な 金 融 組 織 は 殆 ど破 壊 さ れ な か つ た と み て よい 。 す な わ ち割 引 商 会 を中 心 とす る金 融 市 場 は,金 融 組 織 に 発 生 す る あ ら ゆ る過 剰 資 金 を最 大 限 に動 員 して,短 期 信 用 を与 え,全 国 的 に 資 金 が 逼 迫 す る
(1)W.T.C,KingFlexibleMoneyandFullEmploymentTheBankeτ 1954年11号P.279.
と見 られ る場 合 に の み,最 後 の貸手(TheLenderofLastResort)と して の イ ング ラ ン ド銀 行 の援 助 を求 め る。割 引商会 は あ らゆ る銀行 や め ぼ しい商社 と 接触 して,コ ール マ ネーそ の他 の短 資 の 取手 とな っ てい る。特 定 の銀 行が コー ル を回 収 して も,そ れ は手形 交換 所 で貸 越 とな る別 の銀 行 の過 剰 資金 とな るか
ら,後 者 が また そ の 出手 とな る。 つ ま り公 衆 の流動 性 選 好 を一 定 とす れ ば,イ ン ターバ ンクに資 金 移 動 が あつ て も,市 場 の利 用 し得 る短 資 の残 高 は比 較 的 に コ ンス タ ン トで あ り,割 引商会 は た えず これ を手形 割 引 等に 運 用 し得 る。 した が つ て市 場 は,貸 手(銀 行)に とつ て は何 時 で も回 収 し現 る短 期 資 金 を,借 手 (商 社)の 便 宜 の た めに,よ り長期 の資金 に転化 させ るわ けで あ る。か くて市 場 は事 実 上短 期 資 金 の全 国 的 な貯水 池 で あ るか ら,割 引商 会 は こ の水 位 が低 下 す る とみ るや,先 ず 手形 の選 別 を強 化 し,割 引歩 合 を引上 げ る。 この引締 めは コール レー トや公 定 歩 合 の引上 げ に先 行 す る場 合 も少 くない が,そ の効 果 は特 に金 融 当局 の意 図 的 な 引締措 置 に よ つて 倍 加 され る仕 組 み となつ てい た。 た と え ば 貿 易収 支 が逆 調 とな つ て為 替相 場 が 悪 化 す れ ば,正 貨 が流 出 す る。 それ が 申 央 銀 行 の保有 す る準 備 金 か らみ て,危 険視 され る程 度 に 達 す る と,公 定 歩 合 は 引上 げ られ る。 市場 の資 金 が潤 沢 に 失 して 公定 歩 合 の市 場 利 率 に対 す る効果 が不 充 分 の場合 には,公 開市 場 で 売 オペ レー シ ヨンが行 わ れ る。 こ うして 市場 利 率 が 上 昇 す れ ば,先 ず商 社 の在庫 金 融 を引締 め,こ れ に よ る産 業 家に対 す る
ミ
発 注減 は物 価 の下 落 と生 産 や雇 用,ひ い て は所得 の減 退 を招 くだ ろ う。 設 備投 資 も短期 利率 に照 応 す る長 期 利率 の上 昇 に よ つ て阻 止 され よ う。結 果 は 国 内 の 賃銀 物 価 水 準 の全 面 的 な下 落 で あつ て,そ れ は ロング ス トツ プに貿 易 収支 を好 転 させ る原 因 とな るば か りで な く,金 利 の上 昇 そ れ 自体 は外資 を導入 す る誘 因 とな つ て,国 際収 支 の改 善 に 寄 与す る。以 上 の よ うな金 本位 制 度 に よ る金 利機 構 は,金 融 市場 に対 す る当 局 の干 渉 を最 小 限 に くい とめ る 自動 的 な金 融 装置 と
して,第 一次 大戦 後 のCunliffe委 員 会 に お い て も支 持 され る ところ とな つ て い た 。
金 融 当局 は,戦 後 は も とよ り戦 時 申 に お い て す ら,国 際 金 融 の中 心 地 と して の 厚 ン ドンの信 用 を維 持 す るた め に,正 貨 準備 の充 実 と為 替相 場 の 安 定 に全 力 を つ くした。 しだ が つ て公 定 歩 合 は1920年4月 には7%に 引 上 げ られ,1ケ 年
・も囎 力
、れ ナこ後 に融 引下 げ られ夢こが,2・ 年 代 の 後 半 も な お4‑5%の 高 水 准 が維 持 され て い た 。 そ の結 果,不 幸 に して公 定 歩合 は 国 内の 景況 と離 反 す る お そ れ が あ つ たが,そ の ギ ヤ ツプは屡 々 公 開市 場 操 作 に よつ て カ ヴア ー され た。 操 作 の対 象 は,戦 時赤 字 財 政 の 遺産 として 増 発 され た大 蔵省 証 券 で あつ て, この相 当額 が イング ラ ン ド銀 行 に 保 有 され て い ナこ。 そ こで 当局 は銀 行 組 織 が 過 度 に 流動 化 され るた め,公 定 歩合 の 活用 が 制 約 され る とみ るや,売 オペ レー シ ヨンに よつ て流 動 性 を引締 め るばか りで な く,季 節 的 な財 政金 融 事情 や 国 際収 支 関係,な らび に 財 政 当局 の 借 替操 作(Funding)等 に よつ て,流 動 性 が逼 迫 す る とみ るや,適 時 買 オ ペ レー シ ヨ ン も行 つ た。高 価 な金 融 引 締 を主 眼 とす る 銀 行 当局 の この よ うな意 図 的 な政 策 に よ つ て,少 くと もこの 国 の金 為 替 ポ ジ シ ヨ ンは改善 され,1925年 に は 旧平 価 に よつ て金 本位 制 度 に復 帰 す る こ とが で き ナこ。
20年 代 の金 利構 造 をみ る と,第1表 の通 り,割 引市場 は 短 資 を平 均3.5%弱 で 借受 け,一 流手 形 の 割引 に 約4.15%で まわ して い る。 勿 論 市 場 で最 も機 敏 に 変 動 す るの は手 形 割 引 歩合 で,そ れ を牽制 す る コ ール レー トは,公 定 歩 合 と密
接 な 関 連 を もつ て い た 。 公 定 歩 合 は 平 均4.8%,預 金 利 率 は そ の2%下 鞘 と さ れ て い た か ら,市 場 の ラ ン ニン グ プ ロ フ ィツ 野は ・商 業 銀 行 の 短 資 マ ー ジ ン と 略 々 同 程 度 の0.6〜0.7%内 外 で あ つ た 。
第1表1920年 代 の 金 利 構 造
(毎 月平均 年率)
1919 1920 1921 1922 1923 1924 1925 1926, 1927 1928 平 均
公定歩合
5,15 6,82 6.12 3.79 3。49 4.00 4,55 5.00 4.65 4.50 4,81
一 流 手 形 割 引 歩 合
3.92 6.40 5,21 2.65 2.70 3,54 4.10 4,51 4.24 4、15 4.15
短 資
条 件 モ ノ 3.48 5.16 4,57 2.30 1.87 2.62 3.47 4.06 3.74 3.65 3.49
預 金 利 率
3.19 4.69 4,10 ユ,69 1.49 2,00 2.58 3,00 2.65 2.50 2,79
2.5%利 付
コ ン ソル 利 廻 5.50 5,32 5.21 4.43 4.32 4,38 4.44 4,54 4.55 4,77 4.75
公 定 歩 合 が,そ の他 の金 利 に対 して どの程 度 まで 指 導性 を もつ てい たか に つ ぴ て は 問題 が あ るが,当 時既 に公 定 歩 合 の効果 は,実 際 の 取 引 を通 じて直 接 に は た ら きか け る とい うよ りは,全 国 準 備金 の保 管者 で あ り究極 の貸 手 となつ た申 央 銀 行 の基準 レー トで あ る とい う心理 的 な権 威 に よ るよ うに な つ だ こ とは 事 実 だ ろ う。 公定 歩 合 に対 す る各 種 金 融 機 関 の金 利 反応 は,商 業銀 行 や 割 引 商会 の 公 然 もし くは 非 公式 の協 定 に よつ て損 わ れ なか つ た ば か りで な く,寧 ろそ れに よ つ て歩 調 が整 え られ る傾 向 が あ つ た。 これ は その よ うな金 利 協定 が,イ ン グ ラ ン ド銀 行 の指導 もし くは斡旋 に よ つて 行 わ れ た の もさ る こ とな が ら,基 準 金 利 た る公定 歩 合の決 定 に つい て,金 融 市場 の実 勢 が決 して ネグ レ ッ トされ なか つ た た めだ とい わ れ てい る。Kingは 前掲 論文 に お い て,「 金 利 協定 は イ ン グ
ラ ン ド銀 行 の指 導 とあい まつ て,市 場 利 率 の不 自然 な突発 的変 動 を 制 限 す る こ とに よ つ て,適 正 な均 衡 状態 を維 持 す るの が 目的 で あ つ た。 ……公 定 歩 合 と市
くヨノ
場 利 率 の 関 係 は 間 接 的 で 柔 軟 性 が あ り,自 然 に きめ られ て い た の で あ る … ・ ・ 」 と述 べ て い る 。 こ の 自然 的 均 衡 を は か る 最 も精 巧 な 装 置 は コー ル 市 場 で あ つ た 。 手 形 交 換 所 加 盟 銀 行 は,市 場 に 出 す 期 日 もの(Fixture)の ミニ マ ム を き め る際 に は,預 金 金 利 を考 慮 す る。 そ して 後 者 は 前 述 の よ うに 公 定 歩 合 の2
%下 鞘,コ ール の期 日 もの は1.5%下 鞘,日 貸 も し くは 夜 越 貸(DaytoDay
くの
loan,OverNightMoney)は1.25%下 鞘 とな っ て い た 。 後 者 に は 最 低 利 率 の 協 定 は な く,主 と し て 外 国 銀 行 等 ア ウ トサ イ ダ ー の 放 出 す る 資 金 量 に 規 制 さ れ,相 当 弾 力 的 に 変 動 し て い た よ うで あ る 。 日貸 は 理 論 的 に は 期 日 もの よ り低 利 な 筈 で あ るが,20年 代 のDear‑MoneyPolicyの 段 階 を通 じて,前 記 の よ う に 割 高 とな っ て い た 。 これ は 当 時 市 場 が イ ン グ ラ ン ド銀 行 に 移 つ た 場 合(Mar・
ketintheBank),公 定 歩 合 を 引 上 げ な くて も,期 限 一 週 間 の期 日貸 に つ い て,公 定 歩 合 の0.5%上 鞘 と す る とか,適 格 担 保 の 掛 目 を 引 下 げ る とか,益 々
くの
厳 しい措 置 を と り,不 断 か ら市 場 の 業 者 を爪 先 き歩 き させ るよ うに仕 向 け てい た か らで あ る。 この よ うな事1青で金 本位 復 帰 後 は 公定 歩 合 と市場 利率 の利 巾は 0.5%以 内に と どめ られ てい る。
(2)Ibidpp.276〜9.
(3)BaloghFinancialOrganisation1950年 「P.129,
(4)奥 田 勲 英 国 金 融 市 場 論 昭 和2年P.233,
金 融 当局 が通 貨 の価 値 を維 持 し,か つ 各種 金 融 機 関 の 利鞘 稼 ぎ を尊重 す るよ うな意識 的 な通 貨 政策 を行 っ た結果,第II表 の通 り手 形 市 場 で は 内 国手形 に比 して 国際 手形 の比 重 が 増加 す る こ と 、な つ た 。 ・
91 890工2345678901122222222223
内国商業手形 大蔵省証券
第II表20年 代 の手 形 流 通 高
年間平均 百万 £ 計
4220898813832ユQ788911999071221112211121 006661252789656000165444455554
外 国 手 形 192 322 334 234 241 281 365 415 302 315 365 317 268
994 919 946 1.039 1.099 994 1.OlO l.068 1.031 907
この ス ター リン グ手 形 は,イ ギ リス 自体 の貿 易 金 融 の み な らず,イ ギ リス の 関 与 しない 国 際貿 易 の決 済手 段 とな つ た。 だ が そ の出廻 りは必 ず し も国 内 の貯 蓄 資 金 を圧 迫 しな か つ に 。蓋 し ロ ン ドンば,こ の国 が忠 実 に金 本位 制 度 を擁 護 し よ う として きたお 陰 で,世 界 各 国 の短 期 資金 を吸収 で きた か らで あ る。 この短 期 資 金 の 一 部 は 割 引商 会 に 預 託 され,彼 等 は それ で 海 外 の 手 形 を 割 引い てい た。 こ うして 割 引市 場 は,と りわ け外国 の短 期 資 金 を外 国 で振 出 され た手 形 に 変 え る複 雑 な 自動 装 置 とな っ た。 た とえ ば割 引歩 合 が 上 昇す れ ば,ロ ン ドンは 国 際 的 に債 権 者 に は有 利,債 務 者 に は不 利 とな っ て,こ れ に照 応 した短 期 資 金 の 流 入 を誘 致 して金 融 を緩 和 す る し,金 利 が下 れ ば逆 の流 れ を惹 起 す る とい う 機 構。 しか もこの市場 利率 は 公定 歩 合 と間接 に リン ク され て い るか ら,「 公 定 歩 合 の 引上 げは,単 一 の計 画 当局(為 替平 衡基 金)の 干 渉 が な くて も,ロ ン ド
ンの対 外 的 短期 債 権 の減小 と同時 に短 期 債 務 の 増加 を招 き,こ れ らの 両面 か ら 送 金 用 の スタ ー リング手 形 の需 要 を喚 起 し,公 定 歩 合 の 上 昇 に よっ て惹 起 され
驚
る一 層 根 本的 な調 整(国 民 所得 の変 動)が 葵 功 す るに 先 立 っ て金 の 流 出 を くい
に エ
とめ るめ が 常 で あ つ ,ナ こ。 こ れ らす べ て は 割 引 市 場 の 機 能 を 通 じて な さ れ た 。」
こ の よ うに 割 引 商 会 は,持 味 とす る金 利 に対 す る鋭 い 感 受 性 に よ つ て,引 受 商 会 と表 裏 し て,ロ ン ドン を再 び 国 際 金 融 の 申 心 地 に 引 上 げ た わ け で あ る・
な お 手形 市場 は,国 内 の通 貨 お よ び信 用調 整 の暢 として も・依 然 として 重 要 な機 能 を果 してい た 。 それ は第 一 に,株 式 銀 行 が 当 座預 金 の増 加 に と もな っ て 益 々資 金 の流 動性 を保 持 す る必 要 に せ ま られ るに つ け,保 有 す る手形 にっ い て 2ケ 月 以 内に 満期 とな り,し か も事務 処 理 を 合理 化 す るた めに,名 儀 や 支払 期 日 別 に よ く分 類 され整 理 され た手 形 の束 を一括 して選 好 す るよ うに な つ た ので, 割 引 商会 と して は 銀 行 の そ の よ うな 要求 に応 じ な けれ ば な らな か つ た 。 割 引 ノ 商 会 は海 外 か ら直 接 に
,或 は外 国銀 行 の ロン ドン支 店 を通 じて 集 中 的 に手 形 を 買 い とれ た か ら,銀 行 各 自が 必要 とす る手 形 を割 引 くよ りは や は り有 利 な立 場 に あ つ た 。市場 に よっ て繁 雑 な事 務 を免 れ た銀 行 は,相 当 の手 数 料 を支払 うこ
とが で きる筈 で あ る。 だ か ら引 受商 会 の介 入 に よ っ て割 引商 会 の うけ とる信 用 保 証 料 が 多少 せ ば め られ て も,以 上 の よ うな 貨 幣商 人(MoneyDealer)と し
て の報 酬 に は あ りつ け たわ けで あ る。Sayersは 書 い てい る。 「銀 行 が 手形 束 を 買 い とる と きの割 引歩 合 は,他 の事情 が 不変 な ら,割 引 商会 が様 々 な手 形 を一 括 して割 引 く場 合 の 平均 利率 よ りは 低 目に な ろ う。両 方 の利 鞘 は,手 形 保 有期 間申 をっ な ぐ金 利 と,危 険 プ レ ミア ム お よび 手 数 料 を 加 味 し た もの と み て よ い 。 この手 数 料 は,銀 行 が 帳簿尻 を合 わ す た め に求 め てい る種 類 と期 日の手 形
く
を,割 引商 会 が蒐 集 してや つ た こ との代価 で あ る。 」市 場 の取扱 う手形 の大半 が 国 際 的 な バ ン クビル とな って も,そ の信用 状 態 に は 多少 の差 異 は 残 るか ら, 業者 自体 の信 用力 に よ つて手 形 の品位 を改善 し,売 買差 益 を稼 ぎ出 す 余地 も全
く封 じ られ てい た わ け で は ない 。 「市場 は銀 行 に売 付 け る手 形 束 の なか に,イ ング ランr銀 行 の適 格手 形 の よ うな優 良 手形 の ほ か に,そ れ ほ どの信 用 を もtc な い した が つ て高 利 を徴 す る こ との で きる手 形 もこみ に して差 出す 。手形 の供 給 が 乏 し くな る と,銀 行 もそ うした 〃混 合 束 〃 を優 良手 形 並 み の 利率 で購 入
(5)DaceyBritishBankingMechamism1952年P.60, (6)SayersModernBanking1951年P、51.
す る用 意 が あ る。雪 したが っ て そ の手形 が 不 渡 とな らない 限 りは,割 引商 会 と
し て プ レ ミア ム を実 現 す る機 会 が あ つ た 。
割 引 商 会 が 信 用 商 人(CreditDealer)と し て特 別 の 手 腕 を 発 揮 し た の は,短 資 の 取 扱 い に お い て で あ つ た 。 そ れ は 交 換 所 加 盟 銀 行 の み な らず,諸 々 の 商 社 の 短 期 余 裕 金 を然 るべ き貸 付 資 金 に 転 化 させ る とい う機 能 で あ る。 前 述 の よ う に 諸 々 の 短 資 を 分 類 し て,変 動 す る資 産 内 容 に 応 じ資 金 コス トを最 低 限 に す る た め の 選 択 的 取 引 。 な お コ ール レ ー トは,差 出 さ れ る 担 保 物 件 に よ つ て 異 な る 。 ま た そ れ らの 短 資 を市 場 の 判 断 で 歩 留 りの よ い 良 貨 と悪 貨 に 選 別 し,後 者 を一 応 の 安 定 帯 とみ な さ れ る 全 借 用 金 の20%内 に 止 め よ う とす る 業 務 。 尤 も Baloghに よ る と,市 申 銀 行 と割 引 商 会 の 間 に は 当 時 既 にCommunityInterest
の 関 係 が 結 ば れ て い て,「 割 引 業 者 は い か な る場 合 で も,こ の 借 入 金 は 全 く不 測 の 事 態 が お こ らな い 限 りは,自 動 的 に 更 新 され る もの と 自認 し て い る。 こ の よ うな 諒 解 は,一 寸 不 合 理 の よ うに 考 え られ るが,銀 行 と業 者 の 関 係 は,市 中
に お け るそ の他 幾 多の取 引 と同様 に,必 ず し も目先 の短 期 的 利 潤 の み を考 慮 し て成 立 して い るわ け で は ない 。特 に無 条件 もの に っい て は,塑 方 と も金 利 や 期 限 に っ い て,極 力 窮屈 な と りきめ を避 け よ うとしてい る。銀 行 は金 融 が 著 し く綬 慢 な 際 に も,資 金 の満足 な捌 口 を確 保 して お くた めに は,逼 迫 した と きに市 場 を守 り抜 かね ば な らない こ とを知 っ てい る。一方 割 引業 者 は,銀 行 外 か ら低 利 資金 を得 られ る機 会 に め ぐま れて も,銀 行 か らの借 入金 を完 済 す るよ うな こ
とは しない 。蓋 し割 引業 者 は イ ング ラ ン ド銀 行 を別 とす れ ば,加 盟銀 行 が唯 一一 の 資 金 源 とな るよ うな 事 態 の 出現 を 銘 記 して お か な け れ ば な らない か らで あ
く
る。 」 銀 行 と業 者 の こ の よ うな 融 合 は,金 利 の硬 直 化 を 招 く技 術 的 な要 因 とな
つ た 。 ρ'
こ う して 割 引 商 会 は,漸 次 商 業 銀 行 特 に 総 預 金 の80〜go%を 集 積 す るBig Fiveの た め に,銀 行 の 選 好 す る 流 動 資 産(ΩuickAssetsと し て の 一 流 手 形 と
コ ール ロ ー ン)を 取 継 ぐ仲 介 機 関 とな り,ま た 業 者 の マ ー ジ ンは 次 第 に 圧 縮 さ れ,リ ス ク の み を転 嫁 さ れ る銀 行 の 従 属 的 な 機 関 に 転 化 す る可 能 性 が あ つ た 。
(7)BaloghIl)idp,125.
(8)BaloghIbidp.126,
しか も割 引商 会は,20年 代 には 商 業 銀 行 とは異 っ て,申 央 銀 行 と颪 結 して お り,そ の金 融 政 策 を効 果 的 に実現 させ る金 融 機 関 として の独 自性 を もつ て い た よ うに 思 われ る。割 引商会 の収益 は依 然 として形式 的 に は単 な る手 数 料 で は な く,自 己 の 計算 を以 て取 引 す る借入金 や預 金 の支 払 利 息 と,割 引料 とい う受 取 利息 の差 額 に立 脚 して い た 。 そ れ は基 本 的 に は短 期 資 金 と中 長期 資 金 に 相 当 な 利 巾が 認 め られ るよ うな金 利変 動 に依 存 し,か つ金 利水 準が 一 般 的 に低 下 す る
とい う予測 が,公 衆 の期 待 に先 行 して実 現 され る場 合 に は,特 別 利 潤(Capital Gain)を 貧 る こ と もで きる。 た とえ ば3ケ 月 手形 の 割 引歩 合 が6%か ら3%
に低 下 す る もの と予 測 し,そ れ を1ケ 月 手 持 して銀 行 に3%で 再 割 させ る こ と が で きれ ば,業 者 の利 廻 は12%弱 とな る。 これ を2〜3%の コー一・ル で っ な げば, 純 益 率 も10%に 近 い とい う具合 。勿 論 逆 な ら10%の 損 失 に な る。 したが つ て市 場 に とっ て は特 に短資 レー トの変動 が 関心 事 で あつ て,手 形 を割 引 く場 合 に は, その手 形 を保 有 す る期 間 に わ た つ て,コ ール や短 期 通 知貸 の 利率 を予測 しな け れ ば な らない 。3ケ 月 手形 の割 引現 在 値 は,当 座の短 資 レー トばか りで な く次 の3ケ 月 を通 ず る彼 等 の期 待水 準 に かsる こ とに な る。金 融 が 逼迫 して銀 行 側 が 一 斉 に コール を回収 す れ ば,市 場 も新 規 の割 引 を手 控 え,割 引 歩合 の上 昇 に 拍 車 が か け られ るが,こ の場 合 もし申央 銀 行 が金 融恐 慌 の発現 を阻止 す るよ う な線 で 公定 歩 合 を決 め,再 割 や担 保貸 付 に応 ず る用意 が あ れ ば,少 く と も割 引 商 会 や それ に つ なが る諸 々 の 金 融機 関 の 連鎖 反 庵 的 な倒 産 を 回避 で きよ う。
即 わ ち 「割 引商会 は,イ ング ラン ド銀 行 の支 持 をあ お ぐ必 然性 が あ るか ら,そ の割 引歩 合 を イ ング ラン ド銀 行 に よ っ て認 め られ る水 準 に維 持 させ よ う と気 を 配 る。 市 場 は平 常 の現 金 供 給者 た る銀行 の コー ル回収 に応 じ られ るよ うに,い っで も現 金 が放 出 され る こ とを よ く知 つ てい るが,そ の場 合 の代 価 は イン グ ラ
ら
ン ド銀 行 に よ つ て きめ られ る とい う こ と も心 得 て い る 。 イ ン グ ラン ド銀 行 は こ
く ノ
うした 市場 との関係 を通 じて,割 引歩 合 を有効 に統制 して い るの で あ る。 」 こ の慣 習 は,大 恐 慌 まで保 持 され て い た とみ て よい 。
皿
20年 代 の金 融 政 策 は,国 際 金 融 の 円滑 をは か り,各 種金 融 機関 の 経 営 を安定 (9)SayersIbidp.49.
さ せ る とい う目 的 に 関 す る限 りは,以 上6よ うな オ ■ ・ptソド ック ス な 措 置 に よ っ て ほ ぼ 成 功 を お さ め た の で あ る が,こ の 間 既 に 金 融 界 と産 業 界 の 間 に は 大 きな ギ ヤ ツ プ が 形 成 さ れ て い た 。 そ れ は 根 本 的 に は 産 業 資 本 の 利 潤 率 に 対 し て 金 利 が 高 目 に 失 す る い う関 係 に よ る もの で,1929年 の恐 慌 後 高 金 利 の 経 済 的 弊 害 は 誰 の 目 に も明 らか と な つ7c。Macmillan委 員 会(1931年)も 恐 慌 対 策 と し て 金
利 の 引 下 げ を 要 請 し た 。 こ う し て 公 定 歩 合 は,29年 の パ ニ ツ ク レ ー ト6.5%か らい くつ か の 段 階 を 経 て32年 に は2%に 引 下 げ られ,こ \に 以 後20年 間 に わ た る低 金 利 政 策(CheapMoneyPolicy)の 幕 が 切 られ た 。 低 金 利 政 策 とは 端 的
ロ の
に 「閉 鎖 経 済 を現金 で飽 和 させ る」 膨 脹 政 策 で あ る とい わ れ てい る。 金 利 を低 目に 釘付 け る程 度 に現 金 の供 給 を増加 させ るた め には,再 び銀 行 雰 の見 換 を停 止 して(1931年),金 為 替 の対 外的 流 出入 が 通 貨 の 増減 に お よ ぼす 影 響 を事 前
に処 理 しな けれ ば な らなか つ た。 この た め1932年 に 為替 平 衡 資金 勘 定(E.E.
A・)が 創 設 され,長 期 的観 点 か ら為 替相 場 を経 済力 の実 勢 に相 応 して均 衡水 準 に 安定 させ,国 内 の通 貨信 用 量 を国 際浮 動 資金(FunkMoney)の 移 動 か ら中 立 化 す る こ とに なつ た。 こ うして イギ リスは,申 央 銀 行 と財 政 当 局 を一体 とす る権威 筋 に よ る本 格的 な 管 理 通 貨 制 度 に 移行 した 。 ポ ス ト・ケ イン ジ アン は
「わ が 国 の真 の金 融 革命 は,要 す るに金 本 位 制 度 を容赦 な く撤 廃 して,適 正通 貨 量 の裁 定者 を,国 際 収 支 の 自動 的 指 標 に 代 つ て,国 会 の意思 を法 的 に承 認 す
ロ リ
る こ とに よっ て行 わ れ た」 と述 べ てい る 。
だ が30年 代 の割 引 市場 は,こ の よ うに金 利 を低 目に 釘付 け よ うとす る管理 通 貨 制 度 に よっ て,深 刻 な危 機 に直 面 した。 そ の困 難 は かね て か ら展開 され てい た少 数 巨大銀 行 の独 占競 争(OligopolisticCom.petition)に よっ て倍 加 され た 。 恐 慌 後 産 業界 の資金 需 要が 減 退 す れ ば す る程,商 業銀 行 は健 全 な 貸 付 先 を開 拓
す る競 争 に狩 りた て られ た 。 この競 争 は,手 形 割 引に おい て 割 引歩 合 を引下 げ る とか,担 保物 件 を重 視 す る とい うよ りは,寧 ろ諸般 の附 随 サ ー ヴ イス を こめ た 当座 貸 越 を強 化 す る線 で行 わ れ た 。 これ は 銀行 の顧 客 系 列 を固 め る と共 に, '
内国手 形 の出廻 りを一段 と減 退 させ るこ とに な つ た 。外 国 手形 の供 給 もそ れ に 劣 らず 減 小 してい る。 これ は各 国 が 関税 弓Lヒに よ つ て輸 入 を制 限 した り,為 替
(10)U.K.HicksBritishPublicFinances1954年P.192, (11)DaceyIbidp,118,
管 理 を実施 したた め,多 角的 国 際貿 易 が 減小 した こ と,お よ び貿 易金 融が 内 外 の商 業銀 行 の貸 付 に よ って賄 わ れ,か つ一 覧 払手形 や 電信 為 替 に よ って決 済 さ れ るケ ースが 多 くな つ た た めで あ る。世 界恐慌 が 沈 静 して手 形 債 権 者 の立 場 が 有 利 に な っ て か ら も,債 務 者 は ロ ン ドン金 融 市場 よ りは 安 易 な金 融 ル ー トを見 出 し得 る限 りは,引 受 商 会 や 割 引商 会 に依存 す る必 要 は な くな つ た 。 そ の結 果 内 外 の商 業手形 の出廻 りは 第III表 の よ うに20年 代 に比 して半 減 して い る。
第III表30年 代 の手形 流 通 高
単位百万 £
1921〜1929平 均 1930
31 32 33 34 35 36
内国手形 外国手形
198 172 142 111 111 119 121 133
315 268 186 136 134 130 138 143
小 計 513 440 328 247 245 249 259 276
大蔵省証券
497 467 485 571 558 443 505 580
合 計 1.OlO
907 813 818 803 692 764 856
これ に対 して 大蔵 省 証 劣(蔵 券)は,E.E.A.の 正貨 買 上 げや長 期 公 債 の償 還 の た めに 一 時的 に増 発 され た が,大 半 は 政府 の 自己金 融(政 府 機 関 に対 す る
タ ツプ ビルの発 行)に よつ て 消 化 され,市 場 に 出廻 る テ ンダ ー ビル は 必 し も増
へ
加 しな か つ た。30年 代は 総合 的 に健 全 財政 の方 針 が と られ て い た の で,蔵 券 の' 発 行 は商 業手 形 の減 退 を ガ ヴ アーす るには い た らなか つ たが,後 者 の 出廻 減 に よつ て手 形 流通 高 に 占 め る前者 の比 重 は70%に 達 す るよ5,に な っ た 。蔵 券 は 商 業手 形 の様 式 を備 え て はい るが,そ の償 還能 力 には 疑 問 の 余地 は な く,譲 渡 に も裏 書 を要 しない 持 参人 払 の短 期 手形 で あ る。 割 引商会 は本 来 信用 の品位 を鑑 識 し評 価 す る専 門 家 と して活 動 して い た が,政 府 の金 融手 形 の取 扱 い に は 内 外 の 商 業手形 の よ うな専 門的 知識 を必 要 としない 。 したが って,蔵 劣 が商 業 手形 を圧 倒 す る こ とは,割 引商会 か らプ レ ミア ム稼 ぎ の手 懸 りが 失 わ れ るこ とを意 味 した 。 しか もこの蔵 劣 は,1934年 の突 発 的 な 外資 の流 出 に よつ て著 し く減 小 した 。す なわ ちE.E.A.は これ に よ つ てか な りの正 貨 を売 却 し,そ の手 取金 を タ ツプ ビル に 運 用 し才こた めに,大 蔵 省 は テ ンダー ビル の発 行 を大 巾に抑 制 し
た 。 こ う して 蔵 劣 の 市 場 へ の 出 廻 りは 異 例 の 低 水 準 に お ち,こ ㌧に 深 刻 な手 形 飢 謹(BillFamine)が 惹 起 され た 。 そ の 結 果 金 利 水 準 は 著 し く低 下 す る と と
もに,金 利 体 系 も乱 れ た 。 市 中 銀 行 そ の 他 の金 融 業 者 は,流 動 資 産 と し て の 手
ら
形,特 に 蔵劣 を積 極 的 に 買 漁 つ た。 短 資 の 無 条 件 もの は1%の 低 位 に あつ た が,蔵 劣 の 割 引歩 合 は そ れ以 下 に な つ た。 その 他 の優 良 手形(銀 行手 形)を 含
めて,市 場 に お け る手形 の利廻 りと短 資 コス トの利 鞘 は 殆 ど消滅 し,屡 々逆 鞘 、 に さえ な つ た。 したが っ て市場 の短 資 需 要 も激 減 し,銀 行 の資 産 構成 も変 則 化
した 。 当座貸 越 や コー ル ローンの 減小 に も拘 らず,預 金 は 増 加 して い た の で余 裕 金 の運 用 をあ せ る市 申 銀行 は,手 形 担保 の短 資 と同 等,も し くは そ れ以 下9
利率 で直 接 に手 形 を割 引 き始 め た。
1930 31 32 33 34 35 36 37 38
第IV表30年 代 の金 利 構造
(毎月平均年率)
公定歩合 南薪羅 魏 灘 墾件モ騰 条件モ鰹 行預書
3,41 3,97 3.0ユ 2.00 2.00 2.00 2.00 2,00 2.00
2.57 3.61 1.87 0.69 0.82 0.58 0.60 0,58 0.63
2,48 3,59 1.48 0.59 0.73 0.55 0.58 0.56 0,61
2,27 2,94 1.61 0.69 0.82 0.73 0.50 0.50 0.51
2.45 3.07 1.82 0.77 0,86 0,75 0.50 0.50 0,51
ユ,00 4.00 0,5 0,5 0.5 0.5 0.5 0,5 0.5
こ の よ うな 銀 行 攻 勢 に よ る手 形 市 場 の 危 機 は,資 金 需 給 の 自 由 な 力 関 係 に よ っ て 金 利 を 自然 に 決 定 させ る手 順 に よ つ て で は な く,当 局 や 大 銀 行 の圧 力(シ テ ィ の エ チケ ツ ト)に よ つ て 全 金 利 体 系 を人 為 的 に 釘 付 け る方 法 に よ っ て,打 開 さ れ よ う と し7。 す な わ ち(1)1933年11月,加 盟 銀 行 は 手 形 担 保 の 短 資
(BillMoney)の 利 率 を1%か ら預 金 金 利 と同 率 の0.5%に 引 下 げ る こ と に 同 意 した 。 債 券 担 保 の 短 資(BondMoney)の 利 率 は,従 来 通 りに 据 置 か れ,し
ヒ
た が っ て 両 者 に は 利 巾 が つ け られ た が,こ れ に よ つ て 市 場 は 債 劣 取 引 を公 け に 認 め られ る こ とに な っ た 。(2)1935年 初 頭,加 盟 銀 行 は ア ウ トサ イ ダ ー を ま き
こ ん で,ビ ル マ ネ ー の 利 率 以 下 で は 手 形 割 引 を 行 わ な い とい う協 定 を結 ん だ 。
これ は市 場 が どん な手 形 を銀 行 に 持 込 ん で も損 失 を裳 らない こ と,お よび銀 行 が 手形 の貿 漁 りに よ つ て市場 に対 す る翌 日 もの の 貸 付利 率 よ りは 低 利 で 期 限3
ケ月 間 も貸 付 け な けれ ば な らぬ よ うな不 合理 な操 作 を防止 す る効 果 が あ つ た。
ρ
(3)従 来 か ら銀 行 は蔵 券 の入札 に は 参 加 しない し,発 行 され た ば か りの ホツ トピ ル を買 付 け ない こ とが 不文 律 と され てい た が,改 めて 発 行後 一 週 間以 内 の ホ ッ トビル を割 引 か ない との 申 し合 せ を行 つ た 。 これ に よ つ て蔵 券 の 落札 者 は すべ て最 低 一 週 間 は保有 し,そ の資 金 を 自己 の計 算 で賄 わ な けれ ば な らない こ とに なつ たか ら,空 売 を防 ぐ効果 が あ つ た 。以 上 の よ うな銀 行 側 の 協定 に も拘 らず, 市場 で は同 業 者 の競 争 に よ っ て,蔵 劣 の 申込 は 入札高 を遙 か に突破 し,1935年 の春 に は入 札35百 万 膀 に対 して申 込 は116百 万 硝 に 上 つ た た め,こ の面 か ら金 利 協 定 は危 殆 に頻 した。 そ こで大手 筋 に るAlexander,National,Unionの 三 社 が 中心 とな っ て市 場 の あ らゆ る業者 を網 羅 し,申 込 を 自制 す るた め のシ ン ジ ケ ー トを組 織 し,銀 行 もこの組織 を黙 認 す るこ と \した。 シ ン ジケ ーは 各 割 引 業者 に,資 本金 を基 礎 に 入 札 を割 当 て,そ の最 抵 価 格 を同業 者 の談 合 で きめ て い た し,ま た これ に つ い て イン グ ラン ド銀 行 当 局 の指 図 や諒 解 を うけて い た よ うで あ る。 この よ うな市場 統 制 に つ い て,Baloghは 次 の よ うに 述べ て い る。
「割 引市場 の活 動 に対 す る統 制 の強 化 は,銀 行 と割 引業 者 との協 力 に よ つ て, 競 争 を 益 々強 く制 限 した 直接 の 結 果で あつ た。 この 新 しい 市 場 の 運 営 組織 を
〃人 為 的 な もの 〃 と銘 打 ち,貨 幣 利率 が 全般 的 に銀 行 と割 引商会 の取 引 に よ つ て きめ られ てい た状態 とは つ き り と区 別 す るこ とは 軽 卒 か も知 れ な い が,新 し い 組 織 が戦 前 の体制 よ りは 〃自然 〃で 〃有 機 的 〃で あ る とみ るこ とは 困難 で あ る。後 者 は 銀 行 と市場 が 夫 々 の業 務 に立 脚 して活 動 しな け れ ば な らな か つ た よ
でユを
うな状 態 に著 しい変 化 を与 え た圧 力 の もとに 脱 皮 す るに い た つ た の で あ る。 」 彼 の い う圧 力 とは,大 蔵 省 を申心 とす る政府 各 省,外 国 為替 平 衡 資金 勘 定,お
よび イ ング ラン ド銀 行 等 の公 共 資金 の比重 が 増加 し,各 種 の 短 期 金利 水 準 が 公 定 歩 合 よ りは遙 か に低 目に釘 付 け られ た こ と,公 開市 場 操 作 が益 々重 要 な もの
(12)BaloghIbidp.138.
KIngは 最 近 の 論 説 に お い て,当 局 の 統 制 緩 和 を 力 説 し て い る が,業 者 の 自 主 的 統 制(シ ン ジ ケ ー ト)に つ い て は,こ れ を 擁 護 す る 立 場 を と つ て い る 。 Economist1955年6月11日 号 お よ びBanker1955年9月 号 参 照.
となつ た こ と,お よ び貿 易 や 国際 金融 の 仕組 が 一一変 した こ と等で あ つ て,こ れ らの諸 事 情 が 割 引市 場 の国 家独 占資本 主 義 的 な統 制 を必 要 とした 根 本 的 な要 因 で あつ た と考 え られ る。以 上 の よ うな統 制 に よつ て,割 引 商 会 は手 形 取 引(主
と して 蔵 券)を 続 け られナこが,彼 等 の収 入 は結 局 大銀 行 の代 行 者 として の手 数
ロ ヨ
料 の域 を出ず,市 場 の沈 滞 は覆 い 難 い ものが あ つ た 。
しか し割 引商 会 は この よ うな 窮地 に お い こ まれ なが ら も,ス ペ キユ レー タ ー として の本 性 を粘 り強 く追求 して,債 券 取 引 に乗 り出 した 。彼 等が 第 二 次大 戦 お よび戦 後 の本 格的 な低 金 利政 策 の段 階 にお い て も不死 身 の力 を保 持 し得 た の は,嘗 て は危険 視 され てい た債 券 取 引 の兼営 に活 路 を見 出 した か らに ほ か な ら な い 。 そ れ は第 一 次 大 戦 当時 発 行 され た軍 事 公債 や借 替 公債 の うち で満 期 日に 接 近 す るに と もな つ て短期 化 され た債 券 や期 閻5年 以 内の 国庫 証 券 の売買 で あ つ て,そ れ らの 債 券 は短期 金 利 の硬 直 化に も拘 らず 利廻 の変 動 は相 当大 巾で, 利 鞘稼 ぎや 売買 に よ つ て利益 をあ げ る機 会 は残 され てい た。 「市場 は い まや 政 府 債 券 の 取 引 に手 を 拡 げ る こ とに よ つ て,情 勢 の変化 に 順 応 す るよ うに な つ た。 割 引商会 は第 二次 大戦前 に は ロン ドンに お け る最 も重 要 な証 劣 業 者 に な っ てい た 。1933年 以降,手 形 の売 買 お よび そ の伸 介 か ら得 られ た収 入 は 毎期 経 常 費 を償 う程 度 に 遇 ぎず,場 合 に よ つ ては それ さえ お よば なか つ#。 彼 等 の利 潤
第V表 割引市場 の主要勘定
(単位 百万 £)
1927 28 29 30 31 32 33 34 38
コ ー ル マ ネ イ 100 106 105 113 101 96 80 90 210〜225
手 形
202 199 203 223 205 219 212 ユ92 145〜155
証 券
24 27 30 34 27 40 56 70 70〜75
総 資 産 226 226 233 257 232 259 268 262 215〜230
(13)SayersIbidp.56、
「蔵 券 の 取 引 は 地 味 な 稼 ぎだ と い う業 者 の つ ぶ や き に は 言 葉 以 上 の 真 実 性 が こ もっ て い た 。 」
ロの
は主 と して 債券 取 引か ら引 出 され た。 割 引業 者 の バ ラン ス シ ー トを総 合 す る と 第V表 の通 り,恐 慌 前 は証 券投 資 の総 資産 に 占め る 割合 は1割 強 に す ぎ なか つ
たが,1934年 以 降 は25〜26%に 達 して い る。
市 場 が この よ うに 証 劣 取 引 に傾 頭 す るよ うに な つ た のは,や は り1932年 以 降 に お け る短期 金 利 の人 為 的 引下 げ の影 響 に よ る もの で,「 市 場 の強 気 に まか せ て 売 買益 を稼 ぐとい う思 惑 も,手 形 取 引 が格 別 不振 な状 態 に お か れ てい た とい う消 極 的 な動 機 に よ つ て補 強 され るこ とが な か つ た な らば,そ れ ほ ど強 い 誘 因
ロの
に は な らな か つ た だ ろ う」 とい わ れ て い る。34年 後,証 劣 相 場 は 好転 してい る が,こ の原 因 の一 半 は,短 期 資 金 を証 券市 場 に導 入 す るジ ヨツバ ーの よ うな役 割 を果 した割 引 商会 の動 きに よ る もの と考 え られ る。 当 時2.5%利 付 コン ソル 公 債 の 利廻 りで さえ3%を 割 つ てい たか ら,市 場 の保有 す る短 期債 の利廻 り も 2%内 外 で あ つ た と推 定 され るが,割 引商会 が これ を コ ール で 繋 げ ば 無 条 件 も ので さえ0.85%程 度 の金 利 負 担 にす ぎ なか つtcか ら,1%強 の利 鞘稼 ぎ は確 実 で あ つ た。短 期 金 利 の著 しい 低 下 と証 券価 格 の上 昇 が期 待 され る雰 囲 気 の もと で は,そ の売 買 益 も少 なか らぬ収 益 を生 ん だ もの と想嫁 され る。
金 融 当局 も第 二次 大 戦 前 か ら,公 債 消化 の手 段 として,割 引 業者 の 証 劣 業 者 へ の転 換 を保護 し奨 励 す る方 針 に 出 たが,そ の前提 として 業界 の整理 に よ る資 本金 の拡 充 を要 請 し た。 マ ク ミラン委 員 会 の 調査 報 告 に よ る と,1931年 に は市j 場 は3っ 株式 会 社(Alexander.Union.National)と4つ の個 人 組織 の有 限 会 社,17の 個人 企 業 計24の 割 引業 者 と8つ の走 り仲 買 人(RunnigBroker)か ら な っ てい7C。 そ の総 資 本金 は約16百 万 膀 と推 定 され てい たが,う ち三 大会 社 の 資 本 金 は6.2百 万 膀 で40%弱 に す ぎ なか っ た 。 しか るに そ の後 個 人組 織 の整理 統 合 が 行 わ れ,1938年 に は3つ の株 式 組織 の ほか5つ の有 限 会社 と4つ の無 限 責 任 会 社 お よ び5つ の合 名 会社 が残 り,業 者 の総 数 は都合16と なつ た。 そ れ ら の総 資 本金 は11百 万 膀 と5百 万 膀 も減小 した が,こ れ は個 人企 業 の退場 に よ る もので,三 大 会 社 は1.6百 万 硝 も増資 され,大 会 社 の市場 総 資 本金 に 占め る割 合 は70%に 上 昇 した。 これ らの業 者 は資 金調 達 の面 で は大 同小 異 で あつ たが,運
(14)BaloghIbidp.190.
(15)DaceyIbidp.63.
金金ぴイ定他債よネ勘本備鵡翻の負
金 甜
資準預コ手其総
第VI表 割 引 会 社 主 要 勘 定
1938年 末 単位 千 £
Alexanderl.000 1.000 31.263
1.291 380 34.934
National l.000 1,100 4ユ.201 9.020 304 52.625
UniOU 2,750 1.000 51.505 9.083 736 65.074
計 4.750 3.IOO
123.969 19.394
L420 152,633
金券付形他産
手の資引
現証貸割其総
674 9.673
83 24.066
438 34.934
1.158 5,200 151 45.964
152 52.625
1.503 6,265 3.269 53.632 405 65,074
3.335 21.138 3.503 123.662 995 152.633
用 の面 で は夫 々特 色 が あつ た 。 た とえば 引受商 会 と緊密 な関 係 に あ る業 者 は 銀 行手 形 に重 点 をお き,特 定 の商 社 と古 ぐか らつ な が りの あ る業 者 は な お商 業手 形 の割 引 に重 点 をおい てい た。同様 に手形 割 引 に専 念 す る業者 も,蔵 券 や イ ング
ラン ド銀 行 の適 格手 形 の如 き優 良手形 を選 好 す る業 者 と,再 割 に出 さぬ 方針 の 業者 で は 自己 資 本 に対 す る資 産比 率 を異 に した の は 当然 だ ろ う。1938年 に お け
る三 大 会社 の資 本 構成 をみ る と第VI表 の通 り,自 己 資 本 に対 す る他 人 資金(預 金,借 入 金)の 倍 率 は,AlexanderとUnionは 夫 々14〜15倍 だが,NationaI
は20倍 で 一段 と高 い 。 これ は資 産 面 で 債 劣投 資 の比 重 が低 い た めで あ る し(自 己 資 本 に対 す る倍率 は2.6倍),Unionの 債 券 投 資 が特 に低 位 な の曝(1.7倍) 顧 客貸 付(loan)が 相 当額 に上 つ てい るた めで あ る。 以 上 の大手 を除 く個 人 業 者 とな る と,自 己 資本 は 何 れ も百 万 膀 内外 で浮 沈 が は げ し く,企 業 として は安 定 を欠 い て い た 。 そ うした個 人 業者 が 自己 資 本 の25〜30倍 の他 人資 金 に 依存 し 倍 内外 の証 券投 資 を行 つ てい た の も,信 用力 の大 きな 証 拠 で は な く,伝 統 的
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な 方 法 に よ る低 収 益 に 満 足 で きず,た え ずovertradingに 狩 りた て られ た た め
で あ る。 この よ うに 割 引 商 会 とい つ て も,夫 々 の 業 務 に 特 色 が あ り,階 層 の 分
化 もあ る が,戦 前 力〉ら独 占 的 に コ ン ソ リデ ー トさ れ て い た 三 社 で さ え ・1938年 現
在 の 一 社 平 均 自 己 資 本 は2.6百 万 膀,総 資 産 は50百 万 硝 で,五 大 銀 行 の 一 行 平 均
の資 本金 や資 産 の夫 々%,%に す ぎ な か つ た。しか もそ れ らの株式 の 一部 は 巨大
く の
銀 行 の株主 に保 有 され,銀 行 か ら重役 も派 遣 され てい た よ うで あ る。 この よ う に金 融 資 本 家 を中 核 とす る重 役 交換 制度 は,国 家 の信 用 と共 に,第r次 戦 お よ び戦 後 の金 融 危機 か ら市 場 を守 る有 力 な安全 弁 とな つ てい た よ うに思 わ れ る。
IV
イギ リスで は1940年 代 を通 じて:戦 前 か らの低 金 利 政 策 を踏襲 し,か つ これ
を 一 段 と強 化 し た 。 そ れ は 政 府 民 間 の 金 利 負 担 を 緩 和 し,金 利 を そ の低 い 水 準 に 釘 付 け る こ とに よ つ て,金 融 的 な摩 擦 要 因 を除 去 し よ う とす る意 図 に よ る も の で あ る。 そ の た め に は,こ の 国 で は 伝 統 的 に 敬 遠 さ れ て い た 質 的 もし くは 選 別 的 な 政 策(Ωualitative,SelectiveControl)も 強 化 き れ た が,市 場 の 機 能 が 完 全 に 無 視 さ れ た わ け で は な か つ た 。 しか し加 味 され た 量 的 な 政 策(9uanta‑
tiveControl)は,公 債 管 理 を 申 心 とす る膨 脹 政 策 で あ つ た 。
第1に 国 債 の 発 行 高 は,戦 前 の70億 膀 か ら終 戦 時 の210億 膀 と約3倍 も膨 脹 し た が,そ の30%内 外 が 流 動 債(FloatingDebt)で,そ の 他 の中 長 期 債 も平 均 期 間 は 前 大 戦 の そ れ よ りは短 期 化 さ れ,右 債 券 の 約60%は15年 以 内 に 満 期 とな る もの に よ つ て 占 め られ て い た 。 この よ うに 全 般 的 に 公 債 の 期 間 を短 縮 す る一 方 で は,新 規 発 行 の 際,各 種 応 募 者 の 流 動 性 と収 益 性 を考 慮 して,各 層 に 丁 度 マ ツ チ す る よ うな 銘 柄 の 債 券 を タ ツ プ 発 行 す る。 た と え ば 市 中 銀 行 に は 大 蔵 省 預 り証 劣(T.D.R)を,企 業 家 に は 納 税 準 備 証 劣(T.R.C)を,一 般 大 衆 に は 市 場 性 の な い 長 期 の 貯 蓄 債 券(S.C)を とい う よ うに 債 券 に バ ラエ テ ィ を もた .せ,か つ 全 体 と し て 短 期 債 か ら長 期 債 に い た る量 的 な ギ ヤ ツプ を圧 縮 し た 。 前 大 戦 の 際 は,長 短 の ギ ヤ ツ プ が し こ りに な つ て 金 利 の 平 準 化 を妨 げ,政 府 の 発 行 条 件 を悪 化 させ る傾 向 が あ つ た と み られ て い た 。 そ し て こ の 発 行 調 整 に は, 予 算 外 の 政 府 筋 資 金(DepartmentalFund)の 下 引 受 と,公 開 市 場 へ の 機 宜 を
(16)BaloghIbidp.49.
「こ の 表(5大 銀 行 の 重 役 が,重 要 会 社 や 金 融 機 関 の 重 役 を 兼 務 して い る こ と を 示 す)は,シ テ ィ の 社 会 層 を 興 味 深 く反 映 し て い る もの で あ つ て,そ れ は シ テ ィ の 〃輿 論 〃の 強 固 な 団 結 に 寄 与 して い る 。 そ れ は 必 然 的 に 大 き な 政 治 的 意 義 を もつ て い る が,こ の 重 役 交 換 組 織 は,イ ギ リス の 銀 行 組 織 が 恐 慌 を うま く切 抜 け る の に 相 当 役 立 つ て きた とい う こ と も,こ れ を 認 め ね ば な ら
,な い 。 」
得 た放 出が 行 わ れ,国 債 の発 行条 件 や 利廻 りを安定 す るに 役立 つ た。尤 もこの よ うな政 府 筋 の介 入 が 長期 金 利 を積極 的 に 引下 げ る効 果 が あ つ たか ど うか に は
ロの
争い が あ るが 。 イギ リスで は 以上 の よ うな発 行調 整 に よ つて,ア メ リカの よ う に申 央銀 行 それ 自体 が直 接 に長 期債 の挺 入 れ をす る とい う統 制 は,少 く と も戦
くユ ラ
時 に は 避 け られ た とい わ れ て い る 。
第 二 に 蔵 券 に 対 す る イ ン グ ラ ン ド銀 行 の 裏 口市 場 操 作(OpenbackDoor
System)は,低 金 利 の よ り重 要 な 基 軸 と な つ て い て,そ れ は 短 期 金 利 を直 接 に 釘 付 け る ば か りで な く,長 期 市 場 を 絶 え ず 緩 和 す る緩 衝 機 に な つ て い た 。 そ し て こ の 制 度 は,イ ギ リス σ 伝 統 的 な 通 貨 政 策 を 変 容 させ た 決 定 的 な 要 因 と され, 割 引 市 場 に も重 大 な 影 響 を与 え た 。 す な わ ち イ ン グ ラ ン ド銀 行 は,特 定 の ラン ニ ン グ ブ ロ ー カ ー(Secomb ,Marshal1&Campion)を 指 定 し て,そ の 代 理 店 (SpecialBuyer)と す る。 そ し て 当 局 は 公 定 歩 合 とは 一 応 無 関 係 に,当 局 の 慾 す る金 利 で 蔵 劣 の 取 引 を させ る。 尤 も戦 時 そ の 目標 は1%の 釘 付 レ ー トで あ つ た 。 し た が つ て 金 利 決 定 の イ ニ シ ア テ ー ブ は 当 局 が 握 り,資 金 量 決 定 の イ ニ シ ア テ ー ブ は 市 場 が 握 る。 こ れ は 一 説 に よ る と,「 公 開 市 場 操 作 が 往 年 の 技 術
く ラ
と し て の 金 利 政 策 に 接 合 さ れ た もの で あ る」 とい う。 こ の 操 作 は 開 戦 前,E.E A.の 売 オ ペ レ ー シ ヨ ン に 伴 う市 場 の 金 詰 りを 一 時 的 に 緩 和 す る 目的 で 行 わ れ た もの で あ る 。 し た が つ て 当 初 は,当 局 の 援 助 の対 象 は 割 引 商 会 で あ つ た 。 こ の 時 既 に 市 場 を イ ン グ ラ ン ド銀 行 に 移 して(MarketintheBank),公 定 歩 合
を懲 罰 歩 合 と し て 働 か せ る とい う古 典 的 な手 順 を排 除 し て し ま つ た わ け で あ る が,当 局 は さ らに 一 歩 を 進 め て,代 理 店 は そ の 他 の 割 引 商 会 と取 引 す る ば か り で な く,市 申 銀 行 と も取 引 で き る よ うに させ ア こ。 し か も当 局 は 買 オ ペ レ ー シ ヨ
ン の 際,市 場 を不 当 に 放 慢 化 し な い よ う,な るべ く満 期 日 に 近 い 蔵 券 を買 上 げ さ せ た 。 し か し こ の よ うな適 格 手 形 は,戦 時 申 に は 市 申 銀 行 に集 申 され る よ う に な つ て い た か ら,こ の 代 理 店 を通 ず る買 オ ペ レ ー シ ヨ ン は,主 と し て 市 申 銀 行 に 対 し て な され る こ とに な つ た 。 す な わ ち 銀 行 は 準 備 金 を維 持 す るた め に,、
N流 動 債 を 薩 接
に 代 理 店 に 売 つ て 現 金 を補 充 し,こ れ で コ ー ル ロt・ …ン を市 場 に 放
(17)NevinTheProblemoftheNationalDebt1954PP.98〜99.
(18)SayersCentralBankingaftelBagehot1958P.25.
(19)PerkinsBritishEconomy1952年p.216.