一1一
Londonmoneymarketの 構 造 的 変 化 に つ い て
藤 沢 正 也
、
1問 題 の 所 在
正disc・Unth・Useの 発 展 と そ の 伝 統 的 な 金 融 効 果 皿moneymarketの 金 融 資 本 え の 順 応
IVdiSCOUnthouseの 変 貌
1問 題 の 所 在
英 国 は今 次 大戦 前 、40億 £を超 え る純対 外資 産 の所 得 に よつ て 、2割 に も及 ぶ貿 易 バ ラ ンス の逆 調 を補 つ て いた 。 だが 大戦 は こ の 正 味 資 産 を帳消 に した 挙 句 、 戦 前 か らあま り顧 りみ られな か っ た 国 内 産 業 設 備 の更 新 を著 し く妨 げ た 。 したが つ て戦 後 、 この 国 の国際 的 済 済力 の低 下 は覆 うべ く もな く、 国 際収 支 の危 機 は屡 々表 面 化 して い る し、 国 民 所 得 水 準 もか つ ては そ の植 民 地 属領 で あつ た国 々か らい た ま し く追 い越 されて い る。 し か も高 額 所 得 者 が減 少 し て所 得 構 成 が 梢 々水平 化 され た ことは\ 『資 本 蓄 積 の阻 路 』 と して 、 特 に金 融
ロ ラ
市 場 の寒 心 の的 と されて い る。 しか し これ らの事実 は、 英 国金 融 資 本 の 国 内的 地位 が衰 頽 した とか 、 動揺 して い る ことを意 味 す る もので はな い 。現 在 で も全 国 民 有財 産 の60%は 総 人 口の僅 か2%の 手 申 に掴 られ てい るし、 工 業 で は使 用 職工500人 以 上 の工 場 が 純生 産 高 や労 働 者 数 の50〜60%を 占め 、 しか もか う
した大工 場 は 僅 か 数 拾 社 の コンバ イ ンに よつ て支 配 きれて い て 、 これ らの 巨 大 会 社 は全 国商 工 業 会 社 粗 収 入 のV3を 呑み こん で い る と云 う。 コ ンバ イン或 は トラ ス トの彪 大 な利 潤 は、 単 に 自己 が経 営 し支 配 す る事 業 か ら直 接 に ひ き出 され てい るばか りで な く、 「生 産 費 を引 き下 げな が ら市 場 を操 つて 、 物価 を 高
くヨラ
水 準 に維 持 で きるよ うに生 産 を統 制 す る こと」に よつ て 間接 に 増殖 され て い る。
(1)NormanMacrae.TheLondonCapitalmarket.1955.P.4ρ.
(2)Aaronovitch.AstudyofBritishmonoPlyCapita玉ism.1955.P.17.
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か うした独 占資 本 にお け る戦 時 戦 後 の 目立 つ た特 徴 は、 国 家の権 力 と資 本 が 最 大 限 に利 用 されて い る ことで、 国有 化 され た産 業 は もとよ り、幾 多 の国 家的統 制 機 関 も例 外 な く 「トラス トに よつて 支 配 されて お り、(政 府 の経 済 活動 の強 化 は)国 家 の ト ラス トへ の 従属 と云 う(独 占資 本主 義 の)新 しい段 階 を示 す も
く ラ
のに ほか な らな い 」 とも見 られて い る。
尤 もこの よ うな独 占的 支配 や統 制 の強 化 は、 必 し も公 式 的 に生 産 力 の停 滞 や 雇 用水 準 の低 下 を惹起 しなかつ た 。 た とえば最 近 の工 業 生 産指 数 を見 る と、 戦 前 基 準 の2倍 強 、 輸 出 高 は実 に2.4倍 で 、失 業 者 は1/6に 減 小 して い る。 これ は 多分 に 内外 に お け る軍 事 的 支 出の 増 加 に よつて 支 え られ た もの として も、 猫 占競 争 が 極 め て効 果 的 に行 はれ て い る ことを立 証 す る もの と云 え よ う。 英 国 の 金 融 組 織 は この独 占競 争 を保証 す る装 置 と して 、 戦 後 も特 殊 な 伝 統 的強 味 を 発 揮 して い る。即 ち それ は戦 時 戦 後 の重畳 的 悪条 件 に もか ㌧わ らず 、 貸 付 資本 の 本 来 的 要求 に こた えて 、そ の安全 有 利 な投 資 口 えの誘 導 をは か つ て い る。 こ
の役 目を果 す た め には 、 金 融 機 関 自 体 も経理 の健 調 を保 持 しな け れ ぼな らな い 。 英 国最 大 の金 融 機 関 は 云 う迄 もな く五 大預 金銀 行(bigfive)で あつて 、 1953年 末EngIand及 びWalesに お け る銀 行 預金 総 額67億 £の85%弱 を 占
め て い るが 、そ の流動 性 比 率 は36%強 を示 し、 戦 前 の30%台 よ りは遙 か に流動 化 され て い る。 この高度 なliquidityratioは 、根 本 的 に は 「国 家が 純預 金 残
ぱ ラ
高 の2/3を 吸 収 し て い る(国 家 資 金 と して 貸 付 け られ て い る}」 と云 う戦 後 の 特 殊 性 に よ る もの で あ るが 、 銀 行 か ら短 期 公 債 や 手 形 を 担 保 に コ ール マ ネ ー を受 け 、 流 動 化 され た 大 蔵 手 形 や 商 業 手 形 を 供 給 して い る手 形 割 引 業 者 か らな る moneymarketの 役 割 を無 視 す る こ とは で きな い 。 ま た 今 日 の 預 金 銀 行 が 高 収 益 資 産 えの 資 金 運 用 に お い て 、Gilbartの 原 則 を 固 執 して い る と見 る こ とは 当 らな い が 、 少 く と も事 務 的 に は 、 貸 出 は 特 定 顧 客 え の 大 口長 期 貸 付 を 拒 み 、 証 券 投 資 もギ ル トエ ツ ヂ な もの を 選 好 す る努 力 を 怠 つ て は い な い よ うで あ る 。 こ れ は や は り往 年 のmerchan七bankerを 母 胎 とす る保 険 会 社 、投 資 信 託 、 プ ア イ ナ ン ス ・コ ン パ ニ ィ 等 専 門 的 長 期 信 用 機 関 か ら な るcapi七almarketの 存
(3)JhonGo】1知Britishpo】iticalsystem.1954・P・115.
(4)Beckhart.Bankingsystem.1954.p。784.
Londonmoneymarketの 構造的変化 につ いて(藤 沢)Pt3一
立 に よ る もの で 、 こ の よ うな 貨 幣 市 場 、 資 本 市 場 の 独 自 な発 展 こそ 、 金 融 資 本 の 安 定 を維 持 す る線 に 沿 つ て 、 巨大 銀 行 間 の 伸 士 的 競 孚 を 可 能 な ら し め る金 融 制 度 的 な 基 礎 とな つ て い る。
さてcapi七almarke七 は本 稿 の 論 外 と して 、 手 形 割 引 業 者 は 現 在 果 し て か の Bagehotが 描 い た よ うな イ ニ シ ア テ ィー ブ を 以 て 、moneymarketを 規 制 し
て い るで あ ら うか 。1953年 末 、 ロ ン ドン の 全 割 引 業 者12の 保 有 す る総 資 産11 億 £の 内 訳 を 見 る と、 大 蔵 手 形 が750百 万 £ を 占 め 、 商 業 手 形 は50百 万 £ に 過
ぎ な い 。 こ れ よ り先 こ の 国 は 過 去20年 間 の 金 融 史 を 特 徴 づ け たcheap moneypolicyか ら脱 し て 、 正 常 的 な金 融 政 策 に 転 換 しつsあ つ た が 、 ・な お 割 引 業 者 の 保 有 す る大 蔵 手 形 と 同 担 保 借 入 短 資 の 利 鞘 は 極 め て ネ グ リヂ ブル で 、 1953年11月 末 現 在 で は 約1/3%強 に 過 ぎず 、 商 業 手 形 の 取 引 も事 情 は 同 断 で あ つ た と察 せ られ る。 「大 蔵 手 形 の 取 引 に よ る利 潤 は 今 日 で は 微 細 な もの で あ る。 ブ ロ ー カ ー の 口先 か ら もれ る 『地 味 の 稼 ぎだ 』 と云 う言 葉 も彼 等 に は 珍
に タ
らしい言葉 通 りの真 実性 が こ もつ て い る。」 この よ うな事情 か ら割 引 業 者 は も つ とマ ーヂ ンの 多 い短 期 化 され た債 券 の 取 引 に活 路 を求 め、1953年 末 に は300 百 万 £の短 期 債 を抱 くよ うに な つ た。 しか し この マ ー ヂ ン も 多 分 に 財 政 金 融 当局 のf手 心 』 にかsつ て お り、 割 引 業者 本来 の手 腕 を不 可欠 とす る取 引 の所 産 で は な さそ うで あ る。 結 局 割 引 業者 の支 持 者 と 目 され る諸 家 の 見解 を通 して も、 そ れ は現 在 の ところ僅 か200人 内外 の低 廉 な人 件 費 で 、 預 金 銀 行 のた め に 流 動 資産 を 仲 継 し 余 裕 金 の 捌 口 となつ てい る事 実 と、 究極 に お い ては 当 局が.
そ の あ と しまつ をせ ま られ る金 融政 策 のshockabsorberと して の機 能 、 即 ち 預 金 銀 行 と金 融 当局 に伝 統 的 に̀̀都 合 の よい緩 衝 器"で あ ると云 うこ と以 外 に 積 極 的 な弁 護 は見 当 らない。 割 引 業 者 の おか れ た この よ うな立 場 か らす れ ば、
そ れ らが 市場 と して表 面 的 に は 如 何 に独 立 した金 融 機 関 の アス ペ ク トを見 せ た と して も、 所 詮有 力銀 行 へ の従 属 を 余儀 な くされ る ことは怪 むに足 らない 。 た
とえば 重役 交換 制 に よつ て、AlexandersがLloyds銀 行1こつ な が り、Union がNTationalprOvincial銀 行 の系 列 に属 してい るよ うに。 しか し割 引 業 者 の
自立 性 の喪失 は、 何 も今 次 大 戦 後 の 目新 しい現 象 で は なが つ た。 そ れ は収支 面 (5)Sayer.MOdernbanking.1951.p.56.
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で は 、 大恐 慌 後 の1930年 代 に もつ と深 刻 な危機に 見 舞 は れて い るし、 そ うし た危 機 の本 質 的 要 因 は、 既 に第 一次 大戦 前 に さか の ぼつ て胚 胎 して いた の で あ る。以 下 本稿 は この よ うな割 引 業 者 の 衰 頽 過程 を、moneymarketの 構 造 的 な 攣 化 と見て 、 前後 の事情 を考 察 して み た い。 もし この点 が 明 らか に され \ば、
英 国金 融 資 本 の金 融制 度 的 な特 質 の一 端 を窮 ひ知 る ことが で きよ う。
丑 噸counthouseの 発 展 と そ の 伝 統 的 な 金 融 効 果
英 国 の 手 形 取 引 に お け る 仲 買 業 者(billbroker)か ら 割 引 業 者(bilI dealer)と し て のdiscoun七houseえ の 発 展 に つ い て は 、1830年 代 が 劃 紀 と
さ れ て い る。 そ れ ま で は 専 門 業 者 と云 つ て も、 急 激 な 工 業 化 の た め に資 金 の 逼 迫 しつsあ つ たYorkshireやLancashireの 地 方 銀 行 家 が 保 有 し て い た 手 形 を とつ て 、 こ れ を 資 金 の 豊 富 な 農 村 地 帯 、 た とえ ばSomerse七shireや
Norforkの 銀 行 家 に 割 引 を斡 旋 し仲 介 す る 伸 買 人 に 過 ぎ な か つ た の で 、 そ の 場 合 業 者 は 貸 手 側 の 銀 行 家 に 対 し て は 譲 渡 し た手 形 に つ い て 明 確 な支 払 責 任
くめ
は もた ず 、 か つ 業 者 の 収 入 は専 ら借 手 側 か ら徴 す る手 数 料 に依 存 して い た 。 だ が ブ ロ ー カ ー は 、 特 定 の手 形 や 商 品 の 流 通 に 専 門 的 に 通 暁 す るよ うに な るに つ れ て 、手 形 の鑑 定 力 は 一 段 と強 化 され 、 か つ そ の手 腕 が 銀 行 家か ら高 く評 価 さ れ る よ うに なつ た 。 か う し た信 用 に よ つ て 、"長 靴 と か ば ん 以 外 に 目星 しい 資 本 を もた な か つ た ブ ロ ー カ ー"も 、 多 額 の 負 債 を ひ き うけ る こ とが で き る よ う
ゆ ラ
に なつ た。 こ の 負 債 が は つ き りと銀 行 家か らの借入 金 と云 う形 態 を と り始 め た の は、1825年 のパ ニ ツ クか らと見 られ て い る。 従 来 、市中 銀 行 家 は顧 客 の た め に割 引 い た手形 を、準 備金 の一 部 とみ なす こ とはで きなか つ た 。 そ れ を英蘭 銀 行 以 外 に再 割 に出す と、 自分 の信 用 を傷 つ け るお そ れが あつ た 。 しか し1825 年 のパ ニ ツ クに よつ て 、 英 蘭銀 行 の再割 もあて に な らない ことを知 らされ て か
ら、 「彼 等 は も う英蘭 銀 行 に 再割 を求 め な くなっ た し、 彼 等 の裏 書 は貨 幣 市 場 に は見 られ な くなつ た。 い まや資 金 を コール で 、 大 きな貨幣 商 人(手 形 割 引業 者)に 放 出す ると云 うや り方 が益 々普 及 す るよ うになつ た。 ロン ドンの銀 行 家
(1)バ ジ ョ ツ ト 宇 野 弘 蔵 訳 ロ ン バ ー ト街p.265.
(2)前 掲 書P・263.
Londonnloneymarketの 構 造 的 変 化 に つ い て(藤 沢)‑5一
く ラ
が 突 然 の資 金 需 要 に応 じ られ るの は 、 この 方 法 に よ る もの で あ る。」 地 方 の 株 式 銀 行(prOvincialbank)が コ ー ル 資 金 を 手 形 業 者 に 出 し始 め た の は 、 これ よ り少 し お くれ て 、1836年 頃 か らと 云 は れ て い る。 農 村 銀 行 は 既 に ブ ロ ー カ ー と 契 約 し て 、 毎 週 一 定 額 の手 形 を と る契 約 を 結 ん で い た 。 しか し そ の 他 の地 方 の 資 金 需 要 は毎 週 不 変 で は な い か ら、 ブ ロー カ ー が 受 け と る こ と に 同 意 し て い た 手 形 に 応 じ切 れ な い 場 合 が あつ た 。 「だ が 銀 行 は ブ ロ ー カ ー に 契 約 通 りの 資 金 を うけ と る よ うに 要 求 す る こ とが で きた か ら、 しば し ば 再 割 が 減 退 す るよ うな と きで も、 限 度 ま で 送 金 す る義 務 が あ る と感 じ て い た の は 当 然 で あつ た 。
・… ・・こ の よ うな事 情 の もと に お い て は 、 ロ ン ドン に 送 金 され た 短 期 余 裕 金 は、 ブ ロ ー カ ー 自体 そ れ を 運 用 で き る機 会 が あ れ ば 、 必 要 な際 に は何 時 で もr呼 び 戻 し得 る』 と云 う形 で 、 ブ ロ ー カ ー の 処 分 に ゆ だ ね る以 外 に適 当 な方 法 は あ り
の
得 な か つ た 。」 以 上 が 所 謂moneyatcallandshortnoticeの 端 緒 で 、銀 行 側 か らは この 資 産 は現 金 に 次 ぐ準 備 金 と し て 重 視 さ れ る よ うに な る と共 に 、 プ ロ
ー カ ー も こ の よ うな方 法 で 資 金 を調 達 す る こ とに よ つ て、 自然 に 自分 の 名 儀 と 計 算 で 、 取 引 當 事 者(principa1)と し て 手 形 を割 引 き、 満 期 日 まで 保 有 し 、或 は 裏 書 し て 再 割 に 出 すdealerと な つ た 。 このdealerの 収 益 は もは やbroker
と は 異 つ て 、単 な る仲 立 の 口銭 で は な く、割 引 と再 割 の 利 鞘 、或 は 短 資 コ ス トと 割 引 歩 合 の 利 鞘 で あ つ て 、 自己 の信 用 を売 る と こ ろ の 一 種 の銀 行 資 本 と し て の
ゆ ラ
利 潤 で あ る。
dealerと し て の 割 引 業 者 の 地 位 は1833年 、 商 業 手 形 が 高 利 制 限 法 の適 用 外 と さ れ た こ と 、 短 資 利 率 が 不 断 に低 下 し た こ と、 及 び 決 定 的 に は こ れ よ り先 (1830年)後 述 の よ うに 、 英 蘭 銀 行 と の 割 引 勘 定 が 認 め ら れ た こ と等 の 諸 事 情 に よ つ て 上 昇 の 一一路 を 辿 り、1840〜50年 代 に は 総i数29の 業 者 がLombart dt艶e七 に 舞 い て繁 を き そ つ た と 云 は れ て い る が 、 うちdealerと して の discounthouseと 目 さ れ た も の は 、Overendgurneyを 丁 点 と す る Alexander's.Sanderoon's及 びBruceの4者 で 、 他 はbrokerの 範 瞬 に 属
(3)Gilbart.thehiStory,principlesandpracticeofbanking.p.301.
(4)King.HistoryoftheLondondiscountmarket.1936.P.48.
(5)バ ジ ョ ツ ト 前 掲 書p・269.
一6一 商 学 討 究 第6巻 才3号
くの
し てい た。 しか し何 れ にせ よ これ ら業 者 の店 舗 が 、 公 衆 と銀 行 の手 形 移 動 をつ な ぐ公 開 市場 となつ た わ けで、 このmoneymarketの 金 融的 効 果 は次 の よ う な意 味 で オル ソ ドッ クス な もので あつ た 。 「手 形 市 場 は あ らゆ る銀 行 と接 触 し てい て、 あ る銀 行 が(資 金 を)回 収 して も、 そ れ は別 の銀 行 の 余 裕金 と して直 に再現 され る傾 向が あ る。 そ こで 市 場 は資 金 が 銀 行 間 を移 動 して も、 その残 高 の利 用 を保持 してい る。 だ か ら市 場 は 流 動 性 を さほ ど目立 つ て失 うこ とな し に・ 流 動性 の乏 しい 資 産 た る手 形 に運 用す る ことが で きる。 単 ・一銀 行 の 場 合 は英 蘭 銀 行 に 直 接 再 割 を求 め るか 、 競 争 相手 の銀 行 か ら"英 蘭銀 行 の 資金"
くの
を借 受 る用意 が なけ れ ば そ うす る こ とはで きな い。」 市 中 の金 融 が 繁 忙 を 畢 し て くると、 業者 はい ち早 く逼 迫期 に な る前 にお ち そ うな手 形 を選 び、 かつ 割 引 歩 合 を 引 き上 る。 こ うして 逼 迫期 に入 る と、勿 論 取 引高 は減 少 して市 場 に放 出 され る資 金 も減 退 す るが 、 市場 に は前 か ら保有 して い た手 形 が 満期 にな るにつ れて 資金 が 流 入 す るか ら、 業者 の収 益 は減 つて も流動 性 は傷 つ け られ な い。 こ の限 りで は、 割 引業 者 は割 引歩 合 に よつて 信用 を調 整 ナ る イ ニ シア テ ィー ブ を もつ て い ると見 る こ とが で き る。 し か し繁 忙 が パ ニ ツ クの様 相 を呈 して く る と、 どだ い満 期 の手 形 も書 替 か 不 渡 に な るばか りか 、 コール も目立 つて 一 斉 に ひ きあげ られ る。 こ 、で 業者 は 「彼 等 の仕事 の性 質 上 、銀 行 家 の準備 金 に よつ て必 要 な支 持 を求 め ざ るを得 ない と云 う丁 度 そ の時 に、 銀 行 家 は其 の準 備 金 を 強 化 す るた め に、彼 等 か ら巨額 の金 を と り去 るの で あ る。 非 常 に大 きな負 担 が 丁 度 そ れ に堪 え る力 が 最 も少 い と きに 追加 的 にか け られ る ことに な 魂 」 この よ うな デ イ レン マ を 打 開 し た の が 、moneymarke七 に対 す る英 蘭 銀 行 の 割 引 勘 定 の 開 設 で あ る。 即 ち1825年 の パ ニ ツ ク後 、 諸 銀 行 業 者 は 非 常 の 場 合 に は 英 蘭 銀 行 え の 依 存 も 頼 み に な ら ぬ こ と を 自 覚 し 、 英 蘭 銀 行 預 金(Banker's dePOsit)の 形 で 平 常 か ら準 備 金 の 充 実 に つ と め る よ うに な る と 共 に 、 英 蘭 銀 行 自体 も銀 行 券 の 発 行 や 支 払 準 備 に"一 層 慎 重 な 政 策"を 要 す る よ う に な つ た 。 か う して 民 間 銀 行 は 漸 次 申 央 銀 行 か らは 独 立 し 、 後 者 はBankra七eを 公
(6)King.ibid・,P.121.
(7)Balogh.Studiesinfinancialorganiz亀tion.1950.P.ユ20.
(8)ノN'ジ ヨ ツ ト 前 揚 書P.273.
Londonmoneymarketの 構 造的変 化 につい て(藤 沢)‑7一
定 歩 合 と し て 、 な るべ く劃 一 的 か つ 固 定 的 に維 持 す る 方 針 を きめ 、 そ の 公 定 歩 合 を効 果 的 に 実 現 す る 手 段 と し て 、 は じ め てborrowingoneonsolsや
quaterlyadvanGeと 云 うよ うな 公 開 市 場 操 作 を 実 施 す る よ うに な つ た 。 しか しそ れ の み で は 内 外 の 要 因 に よ る金 融 梗 塞 の 不 安 を機 動 的 に除 去 す る こ と は で きな い 。 前 述 の よ うに 株 式 銀 行 はBanker'sdepositの ほ か に 、 貨 幣 市 場 に 放 出 し た コ ー ル 資 金 も準 備 金 の 一 部 とみ な し始 め て い た か ら、 「金 融 逼 迫 の 圧 力 を 最 初 に 蒙 る の は 市 場 で あ る。 し た が つ て 割 引 業 者 が 英 蘭 銀 行 に 接 触 し得 る権 利 を もつ て い る限 り、 資 金 供 給 の 空 隙 は 、 彼 等 が 正 式 に 融 資 を 申 込 み さ え す れ
く ヨ
ば 自動 的 に、 かつ 円滑 に充 され るで あ ら うことが 明 らか に なつ た 。」 こ の 場 合 割 引 業者 は貸 出 に おい て限 られ た顧 客 と しか 取 引 しな い銀 行 に較 べ て、 公 衆 や 特 に あ らゆ る金 融 業者 と公開 取 引 をや つ て い るか ら、 申 央 銀 行 の市場 を通 ず る 資 金調 整 の効 果 は一 層 廣 汎か つ 迅 速 で あ る。 こ れ に よ つ て 中 央 銀 行 はthe
工enderoflastresortと して 、 後 述 の よ うに弾力 的 な金 利 政 策 を遂 行 す る足 懸 を固 め る と共 に、 割 引業 者 自体 も銀 行 か ら短 資 を調 達 す るギ ャラ ンテ ィ を一 段 と強化 した わけ で あつ て、 「もし英 蘭銀 行 の市 場 に対 す る再 割施 設 が制 度 化 され なかつ た とす れ ば 、 短 資 の取 引 は実 際 に は大規 模 な もの には な らなか つ た だ ら うし、 したが つ て割 引市 場 は手 形 仲買 制 度 の消滅 と共 に 自立 性 を失 い 、 商 業銀 行 は今 日なお 英 蘭銀 行 に 直 接 再 割 を求 めな けれ ば な らぬ事 態 に なつ て い た
ロの
で あ らう」。
しか しJ.Loydがr驚 くべ き施 設 』 と 自讃 したmoneymarketの 安易 な 利 用 は、 融 通手形 や投 機手形 の濫 発 と結 びつ い て寧 ろ は げ しい金 融恐 慌 の温 床 とな つ た。 周 知 の よ うに ピ ー・ル 銀 行 法 は 、 通 貨 と して の銀 行券 さえ統 制 され sば 金 融 恐慌 は片附 くと云 うcurrencygchoo1に 立 脚 して 、 英 蘭銀 行 を分 離 し、 発行 部 を金 の紐 に あや つ られ るr自 動 的 な機 械 装 置 』 と したが 、 出資 者 の イン タ レス トが銀 行部 で主 張 され る こ とを さま た げ なつ た 。 した がっ て銀 行部 は資 金 運 用 に お いて積 極 的 に市場 との競 争 に乗 り出す よ うに なつ た。 即 ち債 券 投 資 は資 本価 値 の不確 定 性 か ら敬遠 され ね ば な らなか つ たか ら、 営 業 の 力点 は
(g)Kin9.ibid.,.P.88.
C10)King.ibid.,P.89.
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商手 割 引 また は商 手 担 保 の貸 付 に集 申 され る結 果 となつ た。 そ れ と共 に申 央銀 行 の割 引政 策 は 、 従 来 の よ うに金 利 を釘 付 とす る家父長 的 な量 的 調整 を揚 棄 し
て 、市 場 との競 孚 的 な接鯛 を強 化 した。 手 形 は 市 場 の 格 付 に照 応 して選 別 き れ ・優 良手 形 に適 用 され る最 低 率(minimum)の み を公 定 し、其 他 の手形 は期 間 や品位 によつ て割 増 歩合 を徴 した。 金 利 操 作が いま や中 央 銀 行 の信 用 調 整 の 最 有 力 の武 器 と され た 。 だ が この よ うな 銀 行 部 の 市 場 に対 す る積極 的 な競 争 も・割 引業 者 に は懸 念 され た程 の打撃 を与 えなか つ た。 蓋 し 当 時 の銀 行 業 は な お単 一銀 行 組織(uni七bankingSys七em)を とつて お り、 そ れ ら地 方 銀 行 の 増 加 した預 金 は、 古 くか らそ の投 資対 象 と され て い た 大 蔵 証 劣(exchequer bil1)が 鉄 道 社 債 等 に お され て 人気 を失 うと共 に 、申央 銀 行 もこの証 劣 の 支 持
を や め た ので 、 割 引業 者 に コール を出 し、 当該 業 者 か ら手形 を とる以 外 に 運用 のす べ は なか つ た し、 また 割 引 業者 の地 方 顧 客 は 、 最 後 の貸 手が 市 申銀 行 で あ れ 申央 銀 行 で あれ意 に介 しな か つ た ためで あ る。 なお これ に加 えて 、地方 銀 行 が 保有 す る手形 を再 割 に 出す ことにつ いて は、 当時 多数 専 門家 の支 持 を得 て い ・ た こ とが 指 摘 され る。 か うしたmoneymarketの 繁 栄 は 、そ れ 自体手 形 の 出 廻 を促 進 したが 、40〜50年 代 か ら輸 出 貿易 の急 激 な膨 脹 に と もなつ て 、貿 易 手 形 が 増 加 す る よ うに なつ た 。 だが そ の頃 の交 通通 信 施 設 で は、 特 に東 洋 貿易 等 に お い て、 手形 の書 替(長 期 化)は 不 可避 と されて い たば か りか 、 同一 の品 勿 の 多数 の売手 や 買手 が 同 時 に長 期 手形 を振 出 し、 そ の品 物 が最 終 的 に実現 され る 数 カ月前 に何 れ もmoneymarketを 通 して 資 金 を入 手 す るのが常 則 で あつ て 、 「資 金 難 に お ち入 つ た商 社 は、 前 の投 機 で 失 つ た資 本 の補 填 を新 な前 貸 に お いて 見 出す た め に買 うと云 う慾 求 が 益 々大 き くなつ た 。 そ こ で 仕 入 は も は や 供給 と需 要 に よつ て は調 整 されず 、 行 詰つ た商社 の金 融 操 作 の最 重要 部 分 と
ロ ラ
なつ た。」1847年 及 び1857年 の 恐 慌 は この よ うに して擬 制 資本 をでつ ち あげ ると ころ の商 社 の融通 手形 の濫 発 と、 銀 行 家 や割 引商 の安易 な 引受 、 割 引 に よ つ て 激化 され た わ けで あ る。
しか しKingに よ る と、 これ に は英 蘭 銀行 に も重 大 な責 任 が あつ た 。 そ れ は 当 時既 に事 実上 唯 一 の 発劣 銀 行 として短期 金 利 を調 整 し得 る立 場 に あつ たば か
(11)マ ル ク ス 向 坂 逸 郎 訳3巻3分 冊P.131・
Londonmoneymarketの 構 造的変化 につ いて(藤 沢)‑9一
りで な く、 「商 業 銀 行 が 英 蘭 銀 行 を準 備 金 の 保 管 者 と見 倣 し 、 英 蘭 銀 行 に対 す る預 金 を手 許 現 金 と 同 一 視 始 め た こ と、 及 び小 切 手 制 度 が 発 展 す る よ うに な つ た 事 実 に 照 応 して 、 英 蘭 銀 行 に よ る新 規 投 資(証 券)や 手 形 の 買 入 は 、 今 日 の よ うに追 加 的 な 銀 行 現 金(bankcash)を 造 出 し た の で あ る・ これ に と もな つ て 今 日 ほ どで は な くて も、 多 分 英 蘭 銀 行 の 保 有 す る証 劣 資 産 の 増 加 は 、 そ の
くユめ
直 接 的効 果 よ りは派 生 的効 果 の方 が大 となつ た。」 蓋 し英 蘭銀 行 の新 規 貸 出 資 金 は 結 局 他 行 に 預 金 され て それ らの現 金 準 備 を増 加 させ たので 、 一 般 に商 業 銀 行 は各 自の流 動 性 を傷 け られ る こ と も な け れ ば 、 英 蘭 銀 行 の 準 備 金 を縮 小 さ せ る こ と も な しに 、 相 当 額 の 追 加 資 金 を造 出す る こ とがで き るよ うに なつ たか らで あ る。 た とえ ば市中 銀 行 の預 金 は ピール銀 行 法施 行以 後釦 年 間 に わ たつ て ・35百 万£ か ら145百 万 £ えと約4倍 も膨 脹 し、 内 外 の手形 出 廻 高 も
これ に と もなつ て激 増 したが 、英 蘭銀 行銀 行 部 の準 備 金 は この 間 、年 平 均12〜
13百 万 £ に保合 し、 そ の預 金 も2倍 強 の増 加 を示 したに 過 ぎな い 。 この よ うな 状 態 で 英蘭銀 行 は、 単 一準 備 制 度 の基底 として国 内金 融 業 者 の唯 一 の支 払 準 備 機 関 ばか りか 、 国 際金 融 の究極 の決 済 機 関 となつ た 。 しか も 「英 蘭 銀 行 は 自 か ら大 規模 の割 引業 務 に従 事 して い るし、 また 自か ら凡 る種 類 の手形 に貸 付 け 得 られ る もの と考 えて い るので 、 ビル ブ ロー カー はそ の最 も恐 るべ き商売 敵で あ る。 彼 等 は 常 に資 金 に対 して高 い 利率 を払 つ て い るの で あ るが 、そ れ が た め に彼 等 は英 蘭銀 行 よ り安 くしな けれ ば な らない ことに な る。 ま た普通 の時 は 安 くして い るので あ る(Bankと の競 争 上)。 しか し最 後 の支 払 準 備金 は英 蘭銀 行 だ けが 保 有 して い るの で、 ビル ブ ロー カ ー も必 ず この最 後 の準 備金 に頼 らざ ・
ロ ラ
るを得 な い。」 し たが つてmoneymarketは 、 こSで 相 反 す る方 向か らの圧 力 を受 け た。 即 ち一 方 で は銀 行 が競 争 して預 金 を 吸収 す るた め に支 出 す る経 費 を補 うべ く短 資 に相 当 な利 率 を要 求 した こ と、 他方 で は 同 じ銀 行 側 が 増加 した 預 金 を以 て直 接 に手形 を買 い 向 うの で は な いか と云 う懸 念 、 しか も市 場 の徴 し 得 る金 利 は、 英 蘭 銀 行 の公 定歩 合 に よつ て決 定的 に制 限 され てい た の で あ る。
だ か ら割 引業 者 は彼 等 の手 に負 え ない諸 力 、 就 中金 利水 準 の 一 般 的低 下 と、各
(12)King.ibid・,P.155.
(13)バ ジ ヨ ツ ト 前 掲 書P.13.
一10一 商 学 討 究 第6巻 才3号
種 金 利 の 利幅 の 縮小 に よ るマ ーヂ ンの 減 小 に抵抗 す るため に は、 銀 行資 本 と し ての 立場 を 自か ら制 掘 す る と ころの準 備金 の 節 約 と、 取 引規 模 の拡 大以 外 に方 法 は なか つ た。 事実 、 多数 の 割 引業 者 は金 融 が梗 塞 す れ ば英 蘭銀 行 で再 割 が得 られ るこ とをあて に して 、 平 時 は コ ール に よつ て積 極 的 か つ 意 識 的 に 二 三 流 手 形 まで 割 引い て 、必 然 的 にOvertradingお ち入 つ てい る。勿 論 、英 蘭銀 行 の援 助 を受 け る場合 、逮 鞘 の損 失 を蒙 るこ とは よ く知 られ て い たが 、 この損 失 は平 常 の取 引高 増 大 に よ る収 益 で充 分補 填 で き る もの と老 え られ てい た。「端 的
ノ の
に云 つ て、 これ は堂 々た る博 打(fairgamble)で あつ た 。」そ の ため1857年 のバ ニ ツ クに は、 英 蘭 銀 行 発行 部 は銀 行法 を停 止 して 「法 定 限 度 以 上200万 £ の銀 行券 発 行 」 を余儀 な くされ る一方 、銀 行部 は146万 £ の準 備金 で全 国銀 行
j●d5)
に対 す る貸 出800万 £、 市 場 に は実 に900万 £ を貸 出 して い る。 この オ ーバ ー ・ ロー ンは も と よ り英 蘭 銀 行 自体 の採算 目当 の貸 出 で は な く、 恐 慌 対 策 と して のそれ で あつ た 。 申 央 銀 行 が この よ うに危 険 な対 策 を繰 返 さな けれ ば な らなか つ た の も、 ひ と り割 引業 者 や銀 行 の放 慢金 融 の 失態 に よ るば か りで な く、 や は り英 蘭銀 行 が銀 行 部 にお いて、 事 前 か ら営 利 的 に市 場 と競 争 す る と云 う態 度 そ の ものに問 題 が あつ た ため で、 申央 銀 行が 平 常 は適 格 性 を もつ と見 る手 形 も、
そ れ は個 別資 本 と しての 英 蘭 銀 行 に対 す る担 保(security)で は あつ て も、穂 資 本 に劃す る憺保 に はな らな か つ た こ とを意 味 す る もの で あ る。 か うして 「英 蘭 銀 行 は 事 実 歴 史 的 に大 きな一 つ の転換 期 に立 つ た。 そ れ は原 資 の と るに足 らぬ 増加 分 で、 あ り得 べ きそ して実 際 の彪 大 な責 任 に と り くま な けれ ば な らな か つ た 。 …・・そ れ は、 今 やそ の 原 資 が そ れ 自 か らを媛 小 化 した と ころ の機 構'
ロの
を規 律 す る と云 う問題 に直 面 した。」
こ 、で 英 蘭銀 行 は市 場 と営 業 的 に競 争す るの で な く、 市 場 と合 理 的 に接 鯛 し て ピ ラ ミツ ド的 信 用 機 構 を規制 すべ きで あ る との新 方 針 の もとに 、(1).市 場 に 対 して は ア トラ ンダ ムに干渉 しな いが 、 市 場 か らは遊離 しない よ うな金 利 装 置 をつ くる、(2}.無 制 限 に 銀 行 券 を発 行 して市 場 の面 倒 を見 る こ とはで きない
(14)King.ibid.,P.187.
(15)ア ン ド レ ア ー デ ス 町 田 義 一 一 郎 訳 英 蘭 銀 行 史 論P.467.
(16)King.ibid.,PP,192〜193.
Londonm・neymarketの 構造 的変化 につい て(藤 沢)‑11一 が 、 最 悪 の 場 合 は(金 融 恐 慌)究 極 の 貸 手(thelenderoflastresort)と
して 、 必 要 な援 助 を 行 うと 云 う態 度 に 転 換 し た 。 そ の結 果 に つ い て 、先 づ 金 利 体 系 を 見 る と、40年 代 に は 公 定 歩 合 は 屡 々 市 場 利 率 を 下廻 つ て い た が 、50〜
コの
60年 代 に は繁 栄期 を除 い て数 志 の逆 鞘 が常 則 とな つ た 。 か うした金 利決 定 の公 準 と して は 、準 備 金 が愈 々重視 され た が 、 当 時 は金 利 政策 にお い て、 其 他 め要 因 を無視 して まで不 当 に準 備 金 の現 在 高 の 動 き の み に焦 点 を しぼつ た ことは 、 大 巾な金 利 の変 動 と金 融 市場 の不 安 定 を惹 起 し、 商 工 業界 に悪 影響 を及 した も
の と見 られ てい る。 内外 の物 価 や金 利 の変 動 を勘 案 して 、 事 前 に準 備金 の変 動 を規 制 す る よ うな 巨視的 な金 融 政策 が 実行 され るよ うに なつ た の は、 や は り今 世紀 に 入 つ てか らで あ る。 次 に中 央 銀 行 は融 資 の質 的規制 を強 化 して い る。 即 ち銀 行 部 は 不 良 手 形 を 厳 し く詮 議 し、 そ れ らの割 引 や担 保 貸 付 を拒 否 し たば か りで な く、重 要 な こ とはmoneymarketの 活動 をよ り狭 い 限界 内 に 閉 じ こ
め るた めに 、 市 場 え の再 割 勘 定 を一 時 閉鎖 し、財 政 資金 の…揚超 期 にの み定 期 的 に貸 出 す こと ㌧し、特 に プ ロ・一 カ ーに対 して は も ち こ ま れ る手 形 の品位 如何 に拘 らず 、 業 者 の信 用 力(自 己 資 本)を 考 慮 す る こ と 〜した 。 これ らの措 置 は 当然 市 場 に衝 撃 を与 え、 そ の た めG皿neyは1859年 、公 定 歩 合 の 引上 に対
して 、 英蘭 銀 行 に 巨額 の預 金 を積 み 、 そ れ を突如 千 膀銀 行 劣で 引出 す と云 うよ うなfい やが らせ 』 を試 み たが 、 英 蘭 銀 行 の選 別 融資 方 針 は徐 々に財界 に徹 底 し そ の 支 持 を 得 た。 したが つ て不 良 手形 や融 通 手形 を扱 う業 者 は 自か ら罰 せ られ る と云 う危 険が 自覚 され る と共 に、 銀 行 側 も申央 銀 行 が相 手 とし ない よ う な業 者 とは取 引 を停止 す るよ うにな つ た。 尤 もこの よ うな市 場 政 策 は、今 世紀
にい た るま で 申央 銀 行 のcornerstoneと なつ たが 、 当 時 はそ れ ほ ど厳 重 に実 施 され た わ けで は な い。 割 引業 者 と中 央 銀 行 が一 段 と緊密 な関係 を結 び、 業 者 が 定 期 的 に銀 行 部 にバ ランス シ ー トを供 し、 業者 の資産 内容 や取 引 内容 に関 す
ロの
る銀 行 部 の"示 唆"が"指 図"の 性 格 を もつ よ うになつ た のは、 業者 の会 社組 織 に よ る再 建 整 備 が 行 はれ た1870年 代 以 降 か らで あ る。 それ と共 に申 央 銀 行 が手 形 の適 格 条件 を変 え る ことに よつ て 、 金 融 政策 の有 効 な武 器 とす る こ とが
(17)附 表A
(18)Balogh.量bid、,P.123.
・・・…12一 商 学 討 究 第6巻 才3号
で き る よ うに な つ た が 、60年 代 は ま だLombartstreetと 七hreadneedle stree七 の 反 目 が 絶 え な か つ た よ うで あ る。 しか し この 反 目が 深 刻 な金 融 的 摩 擦
を 惹 起 し な か つ た の は 、 一 般 的 に は この 国 の 資 本 主 義 が 、 レ ッセ フ ェー ル の 果 実 を 貨 幣 資 本 の形 態 で 速 か に 回 収 し蓄 積 す る 上 昇 期 に あ つ た こ と と、 特 殊 的 に は オ ー ス トラ リア、 カ リフ ホル ニ ア 等 に お け る新 産 金 の 流 入 や 、 大 陸 諸 国 の 政 情 不 安 に よ る ロ ン ド ン え の 正 貨 流 入 に と もな つ て 、 市 申 は 空 前 の金 融 緩 和 に よ る ブ ー ム を 満 喫 で き た か らに ほ か な らな い 。 この よ うな背 景 の もと に 、 割 引 業 者 も 自己 資 本 の 充 実 に 努 め 、 有 限 責 任 会 社 へ の 組 織 変 更 を 行 うと共 に 、 有 力 業 者 は 剰 余 金 の 一 半 を長 短 の 公 債 投 資 に 向 け 、 他 の 一 半 を以 て コー ル 依 存 を 自 制 し、 弱 小 業 者 は銀 行 え の 再 割 を強 化 す る線 で 回 転 速 度 の上 昇 を は か る と云 う 分 化 を辿 つ た 。
㎜moneymarketの 金 融 資 本 え の 順 応
前 述 のよ うに、 英蘭銀 行 は19世 紀 の後 半か ら準 備金 の充 実 につ とめ、 融資 の 質 的規 制 を強化 す るよ うにな つ たが 、 これ はまだ 当局 が総 銀 行 資本 の長 期 的 安 定 を 目途 した責 任 感 か ら と云 うよ りは 、 金 融 恐慌 か ら自己 の安 全 を守 るだ けの 狭 隙 な 打算 に よ り強 く立 脚 し て い た よ うで あ る。 申 央 銀 行 が 市 場 と合理 的 に 接 触 してそ れ を規制 す るに は、 解 決 を 要 す る重 大 な問 題 が 山積 して い た。 就 中 、 公 定歩 合 を生 かす た め には 、 た えず低 下 す る市 場 利率 の線 まで前 者 を接 近 させ ね ばな らぬが 、 公 定 歩合 は銀 行 預金 利率 や コール レー トの公 準 と され て い たか ら、 そ れ を 引下 ることは一 段 と銀 行 や割 引業 者 の低金 利 競争 を刺 戟 し、 こ れ に よつ て 乗数 的 に低 下 す る金 利水 準 は 、 一 方 で は 投 機 的 な証 劣投 資 を激 化 し、他 方 で は準 備金 の 国 外流 出 を招 く危 険 が あつ た。 この よ うな危 険 を事 前 に
くい とめ るた め には 、 英 蘭銀 行が 平 時 で も金 融 ブ ー ムに行 き過 ぎない よ うに、
指 導的 に警 報 を出せ るよ うな メ カニズ ム を整 備 しな けれ ば な らない 。 そ れ には や は りBankが 名 実 共 に政府 や銀 行 の上 に立 つ 銀 行 と して 、 一 部 の 株 主 や顧 客 の近視 眼的 な利 害 に動 か され るこ とな く、 特 に信 用政 策 にお い て営 利 的 な動 機 を 自か ら制 限 す ると共 に、 金 融 業者 間の 自由 な競 争 が拘 束 され る ことが 必 要 か つ必 然 となっ た。 この要請 に こた えるた め の制 度 は、 英 国資 本主 義が1860〜
Londonmoneymarketの 樺造的変化について(藤 沢)‑13‑
70年 代 か らの発 展 にお い て 用 意 し た わ け で 、 金 融 資本 の確 立 が これで あ る。
1890年 にお け るBaringの 破 産 が 、 全 金 融 機 構 を震 憾 す る金 融恐 慌 を誘 発 す るに至 らな い前 に救 済整 理 きれ た こ とは、 金 融 資 本 の偉 力 を立証 す る もの と云 へ よ う。 「英蘭 銀 行が 中央 銀 行 と して 金 融 情 勢 を効 果 的 に統 制 す るた めに は、
公 衆 の選 好す る銀 行券 の形 で 、現 金 を発 行 す る力 を もつ ば か りで な く、 公 衆 や 銀 行 が 流 動 性 を要求 し、 この要求 が(充 され ぬ ため に)産 業 活動 を不 当 に麗 乱 す るおそ れ あ る場 合 には 、 一層 多 くの現 金 を造 出す ると云 う断 固 た る責 任 を も
く ラ
た な けれ ば な らな い。」 この責 任 を確 実 に履 行 す る こ とが、 金 融 界か ら高度 に 信 頼 され るよ うに なれ ば 、 各 種 金 融 機 関 は好 況不 況 を問 はず 比 較 的 に 安定 した 準備 率 で 活動 す る ことがで き るよ うに な る。 後 に 英 蘭 銀 行 は 他 行 の一定 の準 備 傘 を基 礎 に、 か な り効 果 的 な 金 融統 制 を実施 して い る。 た と えばcheap moneypolicy。 しか し慣 習 的 な係 数 にせ よ この 準 備 率 を安 定 させ るに至 つ た 1as七resortと して の貸 出 も、勿 論 無 差 別 に な され た わ けで は な い。 再割 や貸 付 担 保 と して と る適 格 手形 の条 件 は、60〜70年 代 か ら漸 次 ひ きあげ られた ので あつ て、就 申 引受人(aeceptor)た る商 業銀 行 やaGceptancehouseの 資 力 が著 し く重 視 され るよ うに なつ た 。 か うした 融 資 の質 的規 制 の強 化 は、 公 定 歩 合 を平 常 は市 場 利率 よ り高 目にお く方 針 と共 に 、 銀 行資 本 の集 中 とそ の 職能 的 分 化 を促進 した 。即 ち預金 銀 行 を中 心 として貨 幣 市場 、 資 本市 場 を構成 す る夫 々 の業 者 が、 準 備金 の 構成 と規 模 にお い て犯 し難 い縄 張 りの なか で 、 排 他 的 に 新 参 者 を駆逐 す る と云 う体制 を打 ち出 した ので あ る。 英 国 で は長 期 にわ た る商
工 業 の レツゼ フ ェール に拘 らず 、 金 融 業 者 間の 実 際 に 自由 な競 争 の期 間 はそ う 永 続 きしな か つた 。 即 ち1840年 代 には 『全 国 を 銀 行 券 で水 び た しに した 』 privatebankerも 、 株 式 銀 行 に よつ て駆逐 され始 めた が 、 そ の頃 実 施 された ピ 〒ル銀 行 法 は 、既 に株式 銀 行 の新 設 を困 難 な らしめ、 そ の面 か ら既 設 の市 申 銀 行 を温 室的 に助長 す る規 定 をふ くん で いた し、1862年 にお け る会社 法 の株 式 銀 行 へ の適 用 、 同 じ く1879年 の 法律 に よ る株式 銀 行 の有 限責 任 原 則 の適 用 、 この よ うな一連 の法 的 措 置 は 、 当 時商工 業 に お け る自由競 争 の場 か らは じ き出
(1)Sayer.ibid・,P。109.
一14・ 一一 商 学 討 究 第6巻 才8号
された 中小 資 本 家 の資 本 を 、 市 中銀 行 の 出 資金 や預 金 と云 う貸 付 資本 の形 態 を と つて 、小 数 銀 行 え と誘 導 し、 集 申 させ る と共 に、大 規 模 な銀 行 合 同(amalga mation)え の道 を清 掃 す るこ と ㌧なつ た 。 こ の 銀 行 合 同 は 株 式 銀 行 が手形 交
換 所 に強 引 に割 りこん だ こ と、 これ に よつ て特 に市 中銀 行 の預 金 創 造 が容 易 に な つ た こ と等 と も関連 が あつ て 、 「1858年 に 地 方 小 切手 の た め の交換 所 が で きて か ら、小 切手 は普 通 の支 払 手 段 として、 地方 で も銀 行 券 に代 つ て用 ひ られ る よ うに なつた 。 こ うして 支 店 銀 行 制 度 は 唯 一 の 実 際 に 有 要 な制 度 となつ
で ノ
た 。 この よ うな 事 情 は 当 然 銀 行 合 同 え の 動 き を促 進 した の で あ る。」 有 力 銀 行 は競 つ て 私 立 銀 行 業 者 を 吸 収 し、或 は 株 式 銀 行 間 で 合 併 し 、右 合 同 件 数 は1862
〜1902年 の40年 間 に 、 実 に291件 に 上 り、 併 合 さ れ た 銀 行 は す べ て 大 銀 行 の 支 店 、 出 張 所 に 転 化 さ れ 、 こsに 亘 大 な 支 店 銀 行 制 度(branchbanking
ゆ
System)が 形 成 され る ことに なつ た 。 この支 店銀 行制 度 は(1}手形 、小切 手 の低 廉 迅 速 な清算 、(2)当座勘 定 に よ る無 利 息預 金 の吸 収 、(3巖 小 限 の適 正 準 備 で最 大 限 の資金 運 用 を可能 な らしめ た こ と、 〔4)大企業 に個 有 な経 営 の合 理 化 、特 に
くの
間 接 費 の 節 約 と云 うよ うな 効 果 を あ げ な が ら、 彪 大 な預 金 を 吸 収 し造 出 した 。 た と えば1850年 に お け る株 式 銀 行 の 総 預 金 は 、110行 で1億 £内 外 と推 定 さ れ て い た が 、1884年 に は118行 で282百 万 £ に 、 大 戦 直 前 の1913年 に は50行 で809百 万 £ に膨 脹 して い る。 し か も こ の銀 行 預 金 は益 々 巨 大 銀 行 に 集 申 きれ
た の で あ つ て 、1900年 代 に は24行 で 総 預 金 の68%で あつ た が 、1913年 に は Barclay.Lloyds.Midland,Westminster.Nationalprovincial.の 所 謂
●
bigfiveが50%を 占 め、戦 後 の1920年 に は右五 大 銀 行 の預 金 集 申 率 は実 に83
%に 達 した 。 このた め1918年 、 大 蔵 省 に よつて 設 置 され た銀 行 合 同対 策委 員 会 も、 合 同の行 過 ぎは(1)負債 に対 す る自己 資 本(特 に資本 金)の 割 合 を不 当 に 低 下 きせ 、預 金 者 の安全 を脅 か す お そ れが あ る こと、(2)公 正 な競 争 ま で 過 度 に 抑 圧 され る危 険 、「就 中 そ れ は貨 幣市 場 に関連 が あつ て、 市 場 の存 立 は 自由 な競 争 に よつ て短 期 資 金 の供 給 を受 け る と云 う条件 に依 存 して い た(の に、 この 条
(2)Truptil.BritishbanksandtheLondonmoneymarket.1936.P.62.
(3)附 表B
(4)Sayer.jbid・,PP.23〜24.
Londonmoneymarketの 構造 的変 化 について(藤 沢)‑15一
件 を切 崩 す 可 能 性)。 そ れ か ら一 流 の ア クセ プ タ ー が 減 少 して 、 英 蘭 銀 行 や 外 国 の 買 手 が 、 合 同 さ れ る銀 行 に よ つ て 附 与 され る引 受 手 形 を と ら うと す る限 度 が
くちラ
せ ば め られ るお そ れ 。」 〔3)moneytrustの 形 成 は 申 央 銀 行 の優 位 に対 す る挑
くの
戦 とな る、以 上 の見地 か ら合 同 の抑制 を勧 告 して い る。 右 の うち特 に第3点 に つ い て は、 英 蘭銀 行 の資 力 が最 も充 実 して い た と見 られ る1913年 を とつて み て
も、 民 間銀 行 の8億 £の預 金 通 貨 に対 す る現 金 準 備 は116百 万 £(cashratio 14%強)、 うち半分 がbanker'sdepositで 、 銀 行 部 で は こ れ に 政 府 預 金 其 他 若 干 の資 金 を加 えて71百 万£の預 金 、 これ を支 え る銀 行部 の 準備 金 は24百 万 £
(proportion34%)で あつ た。 要 す るに英 蘭銀 行 の預 金 は 、民 間銀 行 の8%
弱 に低 下 して も、 そ の僅 か な準備 金 が 約30倍 の預 金 通 貨 を支 え ると云 う体 制 。 した が つて 公 定 歩合 を不 断 に低 下 す る市場 利 率 とひ き離 して 、 それ よ り高 目に お こ うとす れ ば 、 預 金 利率 や コール レー トは依 然 きび し く公 定 歩合 に規 制 され ざ るを得 な いか ら、 当然 市 中銀 行 や割 引業 者 のマ ーヂ ンは減 少 して不 良 手形 え の 食 慾 を増進 させ る こと にな る。 だ か ら先 づ預 金 利率 を公 定 歩 合 とは濁 立 に協 定 して引 き下げ る ことが 必 要 に なつ た。 尤 も英 国 で は第一 次 大 戦 前 まで は 、市 中 銀 行 のは げ しい競 争 の ため に、 必 し も円滑 な協 定 には達 しなか つ た ので あ る が 、1876年Westminsterが 要求 払預 金 の レー トを公定 歩 合 の1.5%低 目 と し た の が契 機 となつ て 、 翌 年市 申銀 行 は協 定 して要 求 梯 預 金 を無 利息 と し、 定 期 預 金 につ い て のみ公 定 歩 合 の1.5%低 目 と し、 戦 後 は更 にそ の利 巾 を2%に 拡 大 して い る。 こ うして公 定 歩 合 は市 場 利 率 ばか りで な く、 預 金 レー トに対 す る 効 力 を も失 つて 、 英 蘭銀 行 は信 用 調 整 の手 懸 りをマ 切 失 うか に見 えたが 、 しか
も準 備金 の集 中 的 一元 的保 管 者 と して の中央 銀 行 の必 要 性 は 無 視 され得 なか つ た。 か うして交換 所 加 盟銀 行 か らは独 自の準 備銀 行 案 も出て 、 金 利調 整 と準備 政 策 の主 体 は分離 され るか の岐 路 に 立っ た。 だ が 事 実 は、銀 行 や割 引 業者 の極 大 利 潤 を狙 う独 占 を確 立 す るため の競争 がBankの 解体 を救つ た。 これ につ い てKingは 次 の通 り述 べ て い る。 「貨 幣 市 場 は整 合 され た もので は な いか ら、
中 央 銀 行 が 逼 迫期 に先 立 つ て 予 防措 置 を講 ず る ことが 、 彼 等 に最 善 の利益 を も (5)Balogh.ibid・,Pユ0.
(6)Trupti1.ibid.,p.65.
一16‑一 商 学 討 究 第6巻 才3号
た らす もの と納 得 させ る ことは困 難 で あ る。彼 等 の深 刻 な競 争 は 、 割 引歩 合 の 上 昇 が 文字 通 り避 け られ な くな るまで 引下 げ て しま う。 そ こで もし無 責 任 な市 場 が 、 自発的 に予 防措 置 を講 じよ うと しな け れば 、英 蘭銀 行 が イニ シ アテ ィー
の
ブを とつ て、 必 要 な手 段 を強 行 しな けれ ば な らない ことは 自明で あつ た。」 「市 申銀 行 の反 目は、 英 蘭銀 行 の最 も有意 義 な味方 で あ ること を立 証 した。 もし市 申 銀 行 が もつ と協 力 的 な心 構 を示 しさ えす れ ば 、73年 代 の申 頃 にお け る討議 の挙 句 は、 金 融市 場 の伝統 的 組織 を徹 底 的 に再 編 成 す る ことに なっ たか も知 れ
くおラ
な い 。」しか し英 蘭銀 行 の道 徳 的 優 位 をた て直 した の は、 そ うした民 間有 力銀 行 資 本 にお け る独 占 を確 立 す るため の競 争 の ほか に 、 財 政 バ ラ ンス が金融 市 場 に 強 力 な作用 を与 え始 め た と云 う重 大 な フ ァク ター一が あ る。即 ち70〜80年 代 にか け 、財 政支 出 の 目立 つ た増加 に と もなつ て、特 に納税 期(揚 超 期)に は、 か な り金 融 は逼 迫 す るよ うに なっ た た め、 そ の都 度 市場 は英 蘭銀 行 の資金 に依 存せ ざ るを得 なか つ た(Marketin七heBank)。 しか も平 時 に は 市場 の強 気 な ゲ ー ム に よつ て、 市場 利 率 は公 定 歩合 よ り大 巾 に低 下 し、 準 備 金(正 貨)の 流 出 を誘 致 した。 市場 利 率 を内外 に対 して 安 全 な 水 準 ま で 引上 るた めに は、最 早 consolの 売 オ ペ レ ー シ ヨ ン の み で は 不 充 分 に な つ た。 そ こで 英 蘭銀 行 は Lidderdale総 裁 の も とに、r財 政資 金 を管 理 す る』 と云 う異例 の措 置 を案 出 し た。即 ち従 来 コール に放 出 され て い た 地 方 財 政 資金 や イ ン ド政府 の 余裕 金 を預 金 と して 吸上 げ 、 英 蘭銀 行 の イニ シ ア テ ィー ブで 貸 付 る と云 う操 作 で あ る。 こ
の市 場 利率 に対 す る作 用 は徐 々に あ らわ れて い た が、 更 に政府 は財 政 資金 を調 達 す るた め にconso1の 発 行や 英 蘭銀 行 か らの借 入 金(Waysandmeangat
theBank)に よ らず に、大 蔵 手形(treasurybill)を 発 行 す るよ うに なつ て か ら、英 蘭 銀 行 の 信 用 統 制 力 は決 定 的 となつ た。 そ れ は周知 の よ うに1877年 、 Bagehotの 答 申 に もとつ いて法 制 化 され た期 限1年 以 内 の 政 府 約 束手形 で 、 民 間に は先 づ競 争 入 札 の形 で発 行 され た。 大 蔵手 形 は商 業手 形 の様 式 を完 備 し て い て、 そ め支 払 に は疑 問 の 余地 は な く、 譲 渡 に裏 書 を要 しな かつ た か ら、 古
くか ら発 行 され て い たexchequerbi11の よ うな短 期 債 を駆逐 して よ く消 化 さ
(7)King.ibid・,P.287.
(8)King.ibi(瓦,p.296.
Londonmoneymarketの 構造的変化について(藤 沢)‑17一
れ たが 、当初 は公 債整 理 の 手 段 の み に用 ひ られ、 大戦 前 の ピ ー ク も 翫 百万 £ の 蔑 高を超 えた ことは なか つ た 。 しか し戦 時戦 後 に いた るや赤 字財 政 の主 要 な金 融 的手 段 とな り、後 述 の よ うにmon町marke七 に も恐 るべ き影 響 を及 す よ う に な る。 と もあれ それ は英 蘭銀 行 のadvanGeと は異 つ て 、市 申 で消 化 され る 限 り民 間金 融 機 間 のキ ヤツ シユ を増 加 させ 、 中央 銀 行 の統 制 が及 ば な い範 囲 外
まで金 融 を緩 和 させ るお それ は毛 頭 な く、 寧 ろそ の発 行 に よ つ て市場 は緊 張 を 持 続 し、納 税 期 の第 三4半 期 は もとよ り、 政 府 が 大 きな借 手 とな る第 四4半 期 で も、英 蘭 銀 行の 統 制 力 を強 化 させ る挨 子 となつ た 。 か うし て 英 蘭 銀 行 当局 は、大 蔵 省 の バ ツ クア ツプ に よつ て 、金 融 市 場 に流 通 す る資 金 量 を調 節 し、 貸 出 につ い ては 当局 が適 当 と見徹 す レー トで 、 一 流 の短 期手 形 と一 流 の割 引 業者 の み を相 手 と して 選 び 、 これに よつ て 過 当取 引や投 機 的 取 引な あ る程 度 ま で索 制 す る ことが で きるよ うに なつ 。「だ が 実 際 には、Lidderdaleは 市 場 に英 蘭銀 行 か らの 借入 を奨 励 して い た ので あ る。何 者 、彼 は市 場 が そ うす ればす る程 英 蘭 銀 行 の力 は大 となh、 か つ流 通 して い る手形 の種 類 や取 引 の規 模 に もよ く精 通 す るよ うに な る と確信 して い たか らで あ る。か うして英 蘭銀 行 の融資 が 、一 流 の 短 期 証 劣 を身返 に、 資 本 金 に対 して 負債 が 適 正 な関係 に あ る業者 に対 し、徴 罰 的条 件(公 定 歩 合 もし くはそ れ 以上)で な され る限 り、 再 割 施 設 の復 活 は市場 の過 大 取 引 を招 来 す る こ とな く、 事 実 上 英 蘭銀 行 が そ れ を阻 止 し、制 御 す るよ
く ラ
うに な つ た 。」 以 上 は 金 利 体 系 に お い て も実 証 さ れ る と ころ で あ つ て 、1898〜
1913年 の 間 は 、 公 定 歩 合 の3〜4%に 対 して 市 場 利 率 は 約0.6〜0.7%低 目、 預 金
ロの
利率 は1.5〜2%の 水準 に 安定 す る傾 向 を示 して い た 。
これ に と もな つ て当 時既 に唯 一 の発券 銀 行 と なつ た英 蘭銀 行 は 、 民 間 資本 と して の性 格 を揚 棄 して事 実上Whitehallの 一 局 に転 化 す る と共 に、民 間の 寡 頭 株式 銀 行 の独 占的地 歩 が 固 め られ る ことに なつ た。 しか し英国 の大 銀 行 は独 占的地 位 の確 立後 も、 短 期 資 金 の供 給 を眼 目とす るcommercialbank或 は dopositbankか ら逸脱 しな か つ た ことが特 徴 的 で あ る。「英 国銀 行 業 の根本 原 則 は、先 づ小 切 手 によ る要 求 払 の預 金 を受 入 れ 、次 に短期 の利子 附 資 金 を供 与 す
(9)King.ibi己,p.305.
(10)附 表C.1
一18一 商 学 討 究 第6巻 才3号
る ことで あ る。・… ・銀 行 の資 金 は極 力 流 動化 されて い な けれ ば な らな いか ら、小 口分 散 して短 期 で 、 しか も規 則 的 に 回収 され るよ うな貸 付 を選 好す るこ とを秘
く ラ
さな い 。」この貸 付 は二 大 戦 間 にお い て 、大恐 慌 前 か ら後 にか け貸 付 先 の 減 小 か ら総預 金 の53〜54%よ り40%内 外 に低 下 し、 収 益 資 産 と して丁 度 これ を カバ ー す る程 度 に 、証 券 投 資 が14〜15%よ り29%内 外 に増 加 して い る。増加 した証 劣 の な か に は固定 貸 付 の肩替 りと云 う性 格 を もつ もの も混 入 され て いた に は相 違 な い が 、 そ の大 半 はgi1七edgedsecuri七yと して の公債 で あつ た 。 大 恐 慌 後 、
「産 業 に対 す る債 権 者 の関係 は、 多 くの場 合 漸 次 同袋 者(sleepingpartner)
の それ に転 化 しつ 〜あっ た こと は疑 い の余 地 は な く、 特 に 綿 紡 、造 船 、 金 属 精 煉 、 鉱 業及 び 農 業部 門 にお い てそ うで あつ た 。産 業 家が 各 自の立 場 を改善 す るに必 要 な処 置 を と り得 な くな ると、 銀 行 は再 建 、合 併、 合 理化 等 に関 す る方 策 を指 示 す る こと を余儀 な くきれ た。 銀 行 は債 権 の一 部 を放 棄 し或 は再 建 整 備 さ れ た 新 し い 企 業 の株 式 、 ま たは そ の受益 証 劣 を貸 付債 権 と肩 替 す る ことに よつ て これ を援 助 した。 彼 等 は この強 力 な処 理 を講 ず る ことを余儀 な くされ た の で あつ て、 そ れ を政 策 と して 発展 させ る意 企 が なか つ た こ と は 明 らか で あ
ロ ラ
る。」即 ち銀 行 は貸 付 や証 券 投 資 を通 じて 直 接 に特 定 の商産 業資 本 を支 配 もし く は管 理 す る こ とな く、 借手 の経 営 に干 渉 しない と云 う原 則 を捨 て なか つ た と見
られ て い る。 「英 国 に お け る銀 行 信 用 組織 の基 調 は、債 務 者 も債 権者 も最 大限 の 自主 性 を以 て 行動 し、相 互 の束 縛 か らま ぬが れ てい るこ とで あ る。 この点 英
い ヨラ
国 と大陸 組 織 の最 も大 きな相 違 を見 出 す。」以上 は銀 行 資本 の借方 に お い て 、い ぜ ん 株式 資 本 は預 金 の保 証 資金 と して僅 か な割 合 を 占 め るに遇 ぎ ず、 債 券 発行 や英 蘭銀 行 をふ くめて の他 行か らの借入 、 お よ び手 形 を再 割 に 出す こと まで 、 預 金 を除 いて 他 人資 本 は一切 こ れ を 敬 遠 し て い る 事 実 に 照 応 す る もの で あ
る。
この よ うに銀 行 は、 短 期 の貸 付 資 本が 本 来 的 に指 向す る流動 性 と収 益性 を最 適 度 に発揮 させ る金 融 機 関 と され たか ら、 個別 銀 行 間 の預 金 吸収 や安 全有 利 な
(11)Thomas.おritisbbanksandthefinanceofindustry1931.pll3.
(12)「1'ruptil。ibヨd・,PP.107〜108.
く13)Thomas.ibidりP.115.