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藤 沢 正 也

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Academic year: 2021

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畿瀧大学澱蓄幾蕃卑一

− 1 −

イギリスは一九四九年に三○・五%という大幅な平価切下げを行なってから︑その後漸進的に貿易・為替を自由化

し︑一九五八年にはほぼ完全にポンドの交換性を恢復した︒自由化の過程で︑国際収支は屡々悪化してそのつど金融

の引締めをよぎなくされたが︑一九六○年代に入ってからもポンド危機は克服されず︑平価の切下げが流布されてい

た︒そして昨年二月遂に再び一四・三%の切下げが断行された︒切下げ幅は前回に比べると予想外に小さく︑交易

条件に対する直接的効果はさほど期待できまいが︑問題はそれと共に公定歩合の引上げとか銀行貸出しや割賦信用の

抑制︑および法人税の増徴や財政投融資の制限等︑財政金融の強力な引締めに乗り出したことである︒こうした国内

金融の引締めは︑労働党内閣の主たる政策目的であった経済成長にはもちろんブレーキをかけるだろう︒イギリスの

成長率は最近やや上昇していたが︑一九六一五年間におけるGNPの実質的伸び率は年三・四%に過ぎず︑日本や

EEC諸国に比べると低調であるばかりか︑年次的に乱れがちであった︒これは根本的には重要産業の経営者や労働

者もカルテルやトラストに安座して経営の合理化や労使関係の調整を怠ってきたためだろうが︑国内における擬制資

本の累積による信用膨脹も﹁安定成長﹂の大きな障害になっているようである︒ポンド危機の直接的動機はイギリス

I

.49.川q

白心■

︑与袴

金融要因

藤沢正也

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− 3 −

のマーケット・オペレーションは金融政策の唯一の有効な武器であると断定し︑当時の金融情勢を巨細に分析した

結果︑インフレ対策としては国償の借換操作︵昏且言函8①恩so目︶による長期金利の合理的引上げを提唱してい

ところでラドクリフ委員会後最近までの経過をみると︑金融当局は少なくとも長期金利の引上げという点では委員

会の意見を尊重して︑活発なオペレーションを繰返していた︒最近の金利体系をみると︑短期金利はゴー・ストップ

政策に照応して大幅に上がり下がりしているが︑長期金利︵コンソルスの利回り︶は確実に上昇のトレンドを示して

いた︒この国では前世紀を通じて長期の基準金利は三%であると目されていたが︑一九五○年代の後半は四五%︑

一九六○年代には実に六六・五%台に達して︑最近は未曽有の高金利となっていた︒それにもかかわらず物価や賃

銀はチープ・マネー時代に勝るとも劣らず根強く上昇の一路を辿っている︒卸売物価は輸入価格が比較的に安定して

いたので上昇率はにぶいが︑消費者物価およびGNPデフレーターは一九五八六五年の間に二割近くも上昇した︒

しかもこの間に賃銀は定額指数でみると三割︑名目個人所得は実に六割も昂騰した︒このように賃銀や個人所得の上

昇率が国民総生産や労働生産性の伸びを上回っているという現象から︑この国のインフレのパタンはコスト・プッシ

ュ型であるという見解も有力である︒たとえば︑ハロッドは一九五○年代を通じてGNPの実質的増加率よりは個

人所得の名目的増加率の方が大きいという事実から︑インフレのファクターとしては︑コスト・プッシュを強調して

︵ワ﹄︶

いた︒彼のインフレ指標によると︑一九六○年代もコスト圧力は減退していない︒こうして政府当局は所得政策の名

で専ら賃銀の凍結を要請する一方︑国際収支が悪化するつど公定歩合の引上げと共に増税や財政投融資の制限および

道義的説得による直接的信用統制等のいわゆるミックスド・ポリシィを強行していた︒

一九六一年および一九六四五年の金融引締めは直接には国際収支の逆調に直面して事後的に実施されたもので︑

何れの際も公定歩合は七%に引上げられた︒イングランド銀行はこれに前後して市中銀行の流動比率を規制する目的

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− 4 −

で特別預金制度︵§の︒巨烏gの詳豊蔚昌︶により預ヶ金率を引上げたり︑また銀行貸出の制限を要請した︒貸出の

制限については個々の銀行の貸出を過去の実績によって量的に規制したり︑あらゆる銀行のパースナル・ローンやフ

ィナンシアル・ローンを質的に抑制するというような手厳しい手段もとられた︒それのみならず最近はこうした信

用統制は加盟銀行に限られず︑割賦金融専門の金融会社や住宅金融プロパーの住宅金融組合および保険会社︑割引

︵曲︾︶

業者︑引受業者にまで及んだ︒イングランド銀行の統制は必ずしも法的権限にはよらず︑専らシティーのモラルに頼

っているから強制力はないとしても︑金融機関や企業の資産調整の自由を拘束するのは当然である︒したがってシテ

ィーは戦後早くから直接的信用統制の緩和による金融政策の正常化を要望していたし︑ラドクリフ委員会も前述のよ

うに平時には質的信用統制を回避すべきであると勧告していたのである︒ではなぜ当局は最近も金融界の競争力を去

勢するような金融措置に依存せざるを得なかったのか︒それは通説によると︑経済の新しいリアル・フホーセスによ

って資金の流れが旺盛となり︑いわゆる総合政策︵冨鼻樹①烏の一︶によらなければ不健全な信用インフレを防止し

︵︒4︶

得ないからであるという︒イギリスでは信用のアペラピリティ効果を重視する者はインフレ対策として産業や金融に

対する全般的な直接統制や財政措置を主張する者が多い︒しかしラドクリフ委員会の主役セィャーズはいぜんとして

国債管理を中心とする金利政策の﹃安定成長﹄に対する効果を重視している︒以下彼の立論を手掛りとしてポンド危

機の金融要因に接近しよう︒

セィャーズは人冨o口只畠弓言侭胃色目富︒口①菌ご℃呂昌冒固畠盲目.届gVという論文において︑ラドクリ

フ・ドクトリンを銀行主義的に擁謹した︒それによると貨幣と非貨幣的金融資産の区別や貨幣の活動残高と遊休残高

の区別も実際には不明確であるから︑貨幣の流通速度という概念は金融分析には役立たないという︒それに彼は俗に

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−5.−.

通貨といわれる銀行券や預金通貨は経済の流動性の釣銭に過ぎないとまで断言している︒では有効需要の決定要因は

何か︒それは﹁需要を即時行使する者の手に財貨やサービスを取得する力を付与するものなのであって︑銀行のみが

︵や︒︶

との力を付与するのではない︒﹂彼はこのような非貨幣的信用理論によって一九六四年には八旨︒号獄昌国画冒置畠V

を大幅に改訂して︑イギリス金融組織の現状を全面的に分析している︒本書の旧版は貨幣供給と物価水準の関係につい

ては貨幣数量説の讃辞から出発して︑銀行の信用創造についても正統派的な見解を示していたが︑新版では表現ス

タイルのみならず理論的な内容にも微妙な修正が施された︒彼はまず法貨と預金通貨の区別は形式的人為的なものに

過ぎず︑いかなる貨幣形態︵通貨︶が適当かは人々の主観や慣習に依存すると述べたあとで︑銀行の行動が社会の特

殊な関心事とされるのは︑請求権の交換という取引によって金融情勢に影響を及ぼすからであると説く︒たとえば貸出

によって銀行の提供する預金債務は確実な購買力であるのに︑顧客の提供する金融資産︵借用証書や担保物件︶は不

確実で限定された購買力に過ぎない︒したがって銀行貸出は追加的購買力を形成し︑財貨や用役の総需要を増加させ

るが︑それは請求権の交換に過ぎないから︑ストック・ペースでみると銀行や顧客の正味資産を増加させるという

﹃致富効果﹄をもつわけではない︒かくて銀行取引が経済活動に作用するのは︑貨幣の供給によるのではなく︑公衆

の流動性ポジションを変化させることによってであると考えられる︒

セイャーズは以上のような﹃新しい金融理論﹄によって金融機関の機能を再検討する︒本書の特色はイギリスの伝

統的な銀行組織の枠外にある金融仲介者の行動を重視し︑それら仲介者の信用創造は加盟銀行と同様に経済の一般流

動性を強化することによって︑インフレーションを触発する可能性があるとみていることだろう︒この国では一九五

○年代から金融取引が自由化される過程において︑住宅金融組合とか︑金融会社及び保険会社や投資信託の如き仲介

者が活溌な運動を展開するようになった︒彼等は必ずしもニューフェースというわけではないが︑全国的な規模で大

衆的サービスを強化し︑金融取引のシェアーを高めた︒そのためイングランド銀行は加盟銀行の貸出や流動比率を規

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− 6 −

制するのみでは信用膨脹を効果的に抑制し得ないのみか︑加盟銀行の業務を一方的に束縛して金融界のひずみを惹起

するおそれがあるといわれている︒セイャーズはこの点を重視して︑信用創造における貨幣的金融機関︵ョ◎目の冨昌

旨昌目冨Cロ︶と非貨幣的金融仲介者Spmpo邑旨扇両日①島画昌︶には機能的な差異はなく︑何れも金融操作のいか

んによっては全経済的にインフレ・デフレ圧力をかけることができると強調している︒しかしその論拠は余りにも単

純であって︑要するに金融仲介とは請求権の交換にほかならないが︑一般に仲介者宛の請求権はその取引先宛の請求

権よりは流動性が強いから︑彼等の仲介業務︵金融取引︶は取引先を通じて個人や企業の流動性ポジションを強め

︵Pb︶

て︑総需要圧力を増加させる可能性があるというに過ぎない︒

たとえば︑住宅金融組合の機能については次のように述べられている︒それは本来営利を目的としないローカルな

不動産金融機関であって︑貯蓄の奨励と住宅資金の融資という公共的使命を果してきたが︑最近では支店網を張りめ

ぐらして広域的に活動する大型機関の発展が目立ってきた︒組合の源資は主としてシェアーといわれる一カ月据置の

預金に依存しているが︑組合は状況に応じて期限前の払戻に応じたり︑本支店勘定で出納の便宜をはかる︒したがっ

て組合の.ハランスは益々銀行預金に類似して貨幣性︵日︒口9口①mの︶をおびてきたという︒また金融会社は専ら耐久

消費財の購入資金を前貸する金融業者であって︑その源資は借用金や資本発行のみならず預金に依存している︒この

預金は期限三六カ月の有期預金であるが︑預金利率は銀行より二三%高く︑大口預金者には交渉次第高利回りが

附される︒それは以前から不健全な消費ブームを刺激するものとして︑資本発行や借入れを制限されてきたが︑資本

発行委員会の信用統制が撤廃されてから︑多数の業者は安易に信用を供与して︑経営難におちいったものも少なくな

かった︒しかし大銀行はこれに対して事業出資やフイナンシアル・ローンによって積極的な援助を与え系列化してい

るので︑預金の取付けは防止されたばかりか︑現在では有力業者の預金は銀行預金に劣らず安全な金融資産とみなさ

れている︒セィャーズは以上の金融機関のほか商社の金融的代理店︵蕨92︶や地方債のブローカーをあげ︑それら

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−7−‐

の仲介者も公私の請求権を取引することによって︑交換性および流動性を強めていると指摘する︒したがって人々は

銀行の.ハランスを仲介者に移転しても安全かつ有利であると想定して資金を動かす︒これはセィャーズによると次の

ようなプロセスで乗数的な信用創造を惹起する︒﹁信用拡張︵所得インフレ︶は人々が財貨や用役に対する支出をふ

やそうと決意したからおこるのではなく︑誰れかが銀行のバランスを減らして︑組合のシェァーをふやしても安全だ

と決意しただけで惹起されるものと考えられる︒この事実が重要である︒誰れかの資産調整がインフレ過程を惹起す

るのは銀行貸出を減退させることなしに組合の融資を増加させることができるからである︒それは単なる貨幣所得の

形成過程ではなく︑金融仲介者の債務が乗数的に拡張する過程である︒こうした銀行以外の債務︵資産︶がニァー・

︵旬I︶

マネイとみなされるほど︑この過程は進行し得るのであって︑銀行預金の流通速度に対する抵抗は少なくなる︒﹂

右の規定は彼の信用創造論の核心をなすものとみてよいが︑これは次の二つの面から批判されねばならない︒第

一にビルディング・ソサエティなりファイナンス・カンパニィなりが銀行信用とは独立に信用を創造するのは︑それ

らの借手の貨幣支出によって形成される所得の一部が仲介者に還流して彼等の源資を培養する結果だろう︒だが仲介

者の源資が増加するのは資金の委託者︵貸手︶からみるとそれが即時購買力として機能し得るからというのではな

く︑アイドル・・ハランスを運用しようという動機によるものではないか︒それは一種の貸付資金にほかならない︒銀

行の定期預金もある程度までこのような性格をもっている︒しかし︑銀行以外の仲介者は一般に加盟銀行よりは低い

準備率で貸付や証券投資を行なうから︑経済全体としては通貨︵銀行券や預金通貨︶の流通速度を上昇させるのは当

然だろう︒かくてセイャーズは人冨&①門口国︑ロ底目顕Vの新版では︑前記の論文で拒りぞけた流通速度の概念を密輸

入するわけである︒それはともかくとして住宅金融組合や金融会社の貸付は少なくとも銀行貸出よりは長期でリスキ

イであるとみなければならないから︑加盟銀行よりは安定した貯蓄資金を吸収しなければ積極的に融資を拡張するこ

とは難しい︒但し彼等も多数者の零細資金を集中的にプールすれば︑貯蓄銀行のように短期資金を長期資金に転化さ

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せる力はつくだろうが︑これは長期的トレンドと考えられるから︑それによって当局の手に負えないほどの投融資が

刺激されるとは考えられない︒それに彼等がそのような非流動資産に資金を運用すればするほど︑自己宛の債務を銀

行の当座勘定のようにそのまま第三者に譲渡させたり購買力として活用させる便宜をはかることはできなくなる︒し

たがって総需要を増加させるという意味の信用創造もしくは金融取引は根本的には貨幣的金融機関の信用創造による

ものであって︑その他の金融仲介者は銀行組織の力を借りなければ︑信用インフレーションを惹起することはできま

い︒換言すれば厳密な意味の金融仲介者は商品流通に必要な貨幣量を超過してまで通貨を創造し供給する能力をもて

ないから︑通貨価値の減価を伴なうような性質のインフレーションを誘発するおそれはないとみなければならない︒

第二にセィャーズにあっては︑個人の消費金融︵流通信用︶と企業の投資金融︵資本信用︶の経済的影響の相違が

軽視されているといわなければならない︒住宅金融組合や金融会社の供与する資金は生産された耐久消費財を購入す

るための資金であって︑社会的に追加所得または附加価値を増殖する資本として機能するのではない︒それらの金融

業者は元来賃銀や俸給の如き個人所得の伸びを予想しなければ︑たとえ潤沢な資金を保有していても積極的には融資

に応じられないだろう︒この個人所得を乗数的に増加させる原動力は基本的には政府の財政支出か企業の投資支出に

依存する︒イギリスの場合さすが﹁福祉国家﹂兼﹃国防国家﹄なりに︑GNPにおける財政支出の比重は高い︒最近

は特に地方公共団体の支出が目立って増えている︒しかもこうした財政支出は増税その他の経常収入では力・ハーされ

ず︑事実この国の金融取引表は公共部門の慢性的な資金不足を示している︒何れにせよイギリス当面の所得インフレ

は前世紀型の消費ブームとは区別されねばならない︒それは必ずしも商社なり金融業者の楽観論や単なる資産調整

︵帳簿操作︶でもりあがった流通信用の膨脹によるというよりは︑むしろ国家の信用によってパック・アップされた擬

制資本の拡張によるものと考えられる︒この種の資本信用は銀行組織のほか保険会社や投資信託︑証券業者等の活動

に依存している︒それらは企業に対して財貨であれ用役であれ資本として機能する商品を生産するための資金を供給

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gこの活動によるものと

な関連があることである︒ している︒なかんずく産業装置や機械等の固定資本や社会的間接資本を形成するための融資は関連企業の新規投資を 促進して所得の乗数効果を発揮し易い︒かくてイギリスにおける最近のインフレーションは幾多の財政措置によって 助成された民間企業および公共団体の投資︑特にその設備投資を容易ならしめた機関投資家︵旨罪昌員さ口匙旨ぐのい︐ 宮門︶の活動によるものと考えられる︒しかも重要なことは︑それら機関投資家の活動は銀行組織の信用創造と密接

保険会社︑投資信託︑ユニット・トラストおよび民間の年金基金等の如き機関投資家の資産または負債は最近益々

増加した︒それらは直接間接法人企業の資本発行を促進したようである︒金融業者を除く上場会社の資本発行の規模

は一九五○年代後半の二億ポンド平均から一九六五六年には倍増している︒これは当然証券市場の取引高増加とな

ってあらわれた︒したがって証券の流通資金や起債前貸の如き証券金融のための追加資金が必要となる︒こうした追

加資金の供給はやはり銀行組織すなわち加盟銀行や引受業者の活動に依存せざるを得なかった︒一九六○年代の初頭

には加盟銀行の預金や貸出が相対的に低下してイングランド銀行総裁自から銀行の競争力の低下に注意を喚起すると

いう一幕さえみられたが︑実はそれ以前から銀行業務には﹃新しい波﹄が拾頭していたようである︒銀行統計をみると︑

従来警戒されていたパーソナル・ローンやフイナソジァル・ローンが目立って増加している︒これはさすがの大銀行

も大衆化の動きを示すものとして注目されたが︑こうした貸付金の一部は証券市場に流れて株式や社債の投資および

投機資金として利用されたものと思われる︒それのみならず銀行は積極的に産業資金の供給をふやした︒一九五九

六五年にかけて製造工業に対する貸出残高は二倍︑土建業に対するそれは三倍弱も伸びた︒法人企業に対する貸出は

専ら当座貸越によるが︑実質的には設備資金の前貸がふえているという︒﹁銀行はまだ一般に産業の固定資本に対し

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− 1 0 −

ところで加盟銀行の預金業務は預金利率の競争によってではなく︑専ら預金の譲渡性を強化するというサービスに

依存しているようである︒たとえば銀行間のクレジット・クレアリング・システムによって顧客の送金︑出納の便を

はかるとか︑取引先企業の従業員に対する賃銀︑俸給の支払に当座勘定を利用させる等のインノベーションがこれで

︵Q︾︶

ある︒こうした出納業務のサービスは要求払預金の回転速度を上昇させた︒それは手形交換高からみると一九五七

八年の四○回から一九六四五年の七三回に上昇した︒しかも注目すべきことには預金吸収の裏口競争︵冨鼻Q8H

8日R爵5口︶が異種金融機関と結びついて展開されたことである︒たとえば加盟銀行は特定の金融会社を系列化し

て︑なりゆき金利で大口預金を導入するとか︑マーチマント・・ハンカー型の金融業者を新設拡充してユーロダラーの

︵︑︶ みならず国内からも利殖預金の吸収に努めているという︒引受業者の預金は加盟銀行のそれよりは大輻に伸びている たことを示している︒ 以上のような銀行貸出の増加に伴なって︑彼等の資金ポジションもかなり変化している︒加盟銀行についてみる

と︑預賃率は一九五○年代を通じて三○%内外であったが︑一九六○年代に入ってからは五○%を超えるようになっ

たし︑流動比率も屡々三○%を下回るようになった︒これは大蔵省証券その他の政府証券の売処分によるもので︑ラ

ドクリフ委員会当時銀行組織の信用膨脹の主因とみられていたそれらの金融資産は明らかに減少している︒それにも

かかわらず銀行預金は同委員会後むしろ急激に伸びた︒通貨供給要因分析によると︑国内居住者の預金は一九六○

五年間に二三億ポンドも増加したが︑これは銀行組織の対政府貸付の減︑対民間貸付の増というプロセスで実現され %に上昇している︒ て長期資金を融通する傾向はないが︑そのような目的の一時貸付やまた個人所得の増加を予想しての一時貸付には好

︵の︑︶

んで応ずるようになった︒﹂また上場会社の.ハランス・シートをみると︑正味資産に対する銀行借入れおよび長期借

入れの比重は一九五八年にはそれぞれ四・三%︑二・五%程度に過ぎなかったが︑一九六五年には八%︑一四・三

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− 1 1 −

が︑これも後者の.ハック・アップがあっての発展であった︒しかし︑この種の金融業者預金は加盟銀行の当座預金と

同様に短期性の.ハラソスで不安定である︒最近加盟銀行では当座勘定に比して預金勘定の.ハランスがやや増加してい

るが︑その大半は七日の通知預金であって当座勘定への振替えは自由であるから貨幣性は強い︒したがって加盟銀行

の預金はその他の金融仲介者の預貯金とはやはり区別されねばならない︒つまり消費信用︑資本信用の何れにせよ信

用膨脹によって銀行預金の流通速度は上昇しよう︒だがこうした流通速度の上昇に対する銀行の抵抗は︑セィャーズ

が示唆するように無条件に低下するのではない︒一九六○年代に銀行券や預金通貨の流通速度が実際に上昇したの

は︑金融当局の援助があったからではないか︒すなわちイングランド銀行は一九六一年には割賦払の輸出信用︵期限

一八カ月以内のもの︶も輸出信用保証局a浜で︒風Q①豊庁の巨胃目蔚のロの℃餌貝目の日︶の保証があれば再割引に応ず

るし︑それを銀行の適格流動資産として公認するとか︑一九六三年にはこの流動比率のルールを三○%から二八%に

引下げた︒また一九六二年以来銀行の商業手形の保有が著しく増加している事実からみると︑金融当局の再割引適

格基準が緩和されたものと考えられる︒しかし最近における銀行組織の信用膨脹は以上の金融措置によるのみではな

い︒むしろそれはイングランド銀行の特殊な買オペレーションによって支えられたものといわざるを得ない︒

公開市場操作はイギリスでは伝統的に公定歩合を効果的に行使する金融政策の補助手段と目されていた︒しかしマ

クミラン報告は慢性的不況下にあった一九三○年代の癖観情勢のもとでは︑公定歩合の対内的効果には狭い限界があ

るとみて︑むしろマーケット・オ︒ヘレーションを重視し︑積極的な買オペによって長期金利を引下げれば景気を振興

し得るものと期待していた︒﹁中央銀行が直接行動を起すと共に他の銀行も当局の供給する休息資金を活用しようと

努力する結果︑政府証券の価格は上昇するものと結論しても大過はない︒政府証券の価格上昇はやがてある程度まで

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他の一流でない証券価格の上昇に反写される︒⁝一流証券の価格が目立って上昇傾向を示せば︑従来資金を流動化さ

︵M︶

せようとしていた多くの人々は証券投資の態度を変えるだろう︒﹂同書はこうした証券市場の活況によって︑少なくと

も一流企業の長期資金コストは低下し︑それに敏感な建設・公共事業の投資が誘発されるものと考えていた︒ラドク

リフ委員会はこれとは逆にクリービング・インフレという審観情勢におかれていたが︑その政策論にはマクミラン報

告と共通の要素もある︒すなわちラドクリフ報告は︑インフレーションに対する金融措置としては単に公定歩合によ

って短期金利を引上げるよりは︑マーケット・オペレーションによって市場の期待もしくはコンフィデンスを変える

ことが重要であると強調する︒﹁長期金利の一般的水準に一つの基準が存在するという観念が普及していて...⁝特に

その意見が経済組織を動かすある種の根強い力にもとづいているとすれば︑長期金利がその基準から比較的僅か上昇

︵砲︶ するだけで︑迅速に債券需要の増加を刺激して︑市場が頑迷な反応をする危険は最少限にくいとめられるだろう︒﹂

だがこれに対して金融当局側の証人は委員会の席上で︑長期金利の決め手となる市場の期待は来年の価格がどうなる

かとの予想ではなく︑翌日翌週の予想にかかっているのが実情であるから︑当局が現在価格を下げてまで売出すと将

来の市場と政府の信用を傷つける危険があると反論していた︒この点についてセイャーズは八国目函屏彦呼胃︺◎旨

与蔚門の鼻宛胃の︐畠9Vと題する論文において次のように釈明している︒それによると当局側は公けには市場の期待

を左右するほどの操縦はできないと言明しているが︑実際には委員会における討議にしたがって︑ひそかに操作方針

を修正している︒一九五七八年には金融引締めによって︑内外からの金融危機は暫定的に回避されたが︑ここでも

し当局が積年のクリーピング・インフレを克服する目的で市況にさからって長期金利を引上げようとすれば︑﹁債券

︵旧︶ 投資家に絶対的な減価損を負わせることなしに︑意図的な措置を実行することができたはずである︒﹂そして実際問

題として当局はチャンスを掴んで︑当時から証券価格を指導するようなオペレーションを実施していたという︒これ

はセィャーズによると国債の長期借換えという財政目的に合致するばかりでなく︑長期金利の引上げによって一般流

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− 1 3 −

動性を圧縮する効果をもつのだから︑金融政策としても新機軸であるという︒なお彼は一九六○年代も当局はこのよ

うに価格を指導する立場に恵まれているとして次の条件をあげている︒1︑インフレ・マインドが潜在して金利の期

待値をおしあげる傾向がある︒2︑インフレの進行速度は不確実で臆測の域を出ない︒3︑同様に短期金利も不規則

に変動して的確な予想が困難である︒このような事情で市場の期待は極めて流動的にして不安定な状況にあるから︑

当局は実際には大規模なオペレーションを敢行しなくても︑期待の︒ハタンを変えるだけで金利体系を意図的に規制し

セイャーズによると戦後の情勢では投資および消費支出とも総需要は極めて強く︑相当な高金利をもってしても需

要圧力をせきとめることは困難であったが︑今や貯蓄と投資の実体的な流れはかなり正常化され︑.九六○年代の永

続性のある需要は多かれ少なかれ充足され易い性格のものであって︑支出を決意する場合に資本費は従来よりはシリ

︵M︶ アスに考慮される傾向がある︒﹂企業は資本の自由化に対処するため産業の合理化・近代化を要請されているし︑生

活水準の向上に伴なって耐久消費財の個人的需要も増加するから︑設備投資はいぜんとして根強いものがある︒こう

した設備投資はやはり長期金利と関連がある︒﹁インフレーションの不安が目立って持続的に存在する限りは︑貨幣性

をもつ資産︵金融資産︶の需要は﹃実物資産﹄の需要に比して悪影響を蒙るだろうから⁝⁝金利は上昇するものと信

︵鴫︶ ずべき理由がある︒﹂したがってこの不安を解消させるには︑長期金利の目標を五六.五彩の高水準においても不自

然ではないという︒しかし金融当局は長期金利の引上げには理論的に同意していない︒イングランド銀行総裁のオブ

ライエンは一九六四年の国際銀行ゼミナールで︑マーケット・オペレーションの方針について次のように説明してい

る︒﹁操作対象の公開市場は将来の利回りや価格の方向に関する期待の変動には極めて敏感な市場であって︑一日一価

格が下落すると一層下落するおそれがある︒市場の進行方向に拍車をかけるか︑または市場動向の歩調を緩和しよう

とすることと︑中央銀行それ自から市場の動向を左右するのとは別問題である︒というのは資本損益の実現が経常所 得るだろうという︒

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− 1 4 −

得と同様に重視されている市場は価格の下落が需要を増加させるというような一般法則に従うものとは考えられない

からである︒よく中央銀行は国債の金利体系か期間構成の何れかを選択することはできるが︑両者を同時に決定する

ことはできないといわれている︒けれども実際問題としては他を排除しては何れの目的も達成することはできない・

われわれの最近の経験によると︑両者の利害を計算してみる必要はあったが︑そうしながらも市場を操縦するのでは

︵応︶ なく︑せいぜい指導しようと意図していたのである︒﹂銀行局長のホロムも一九六四年の講演で右の説と全く同様

に︑国債の売オペレーションによって強引に銀行の流動性を絞ろうとすると︑活発で敏感な資本市場を麻揮させる危

険があると前提して︑次のように注目すべき事実を明らかにしている︒すなわち政府は平時でも慢性的な純借手とし

てイングランド銀行に国債の引受をおしつけてくるので︑同行は過剰流動性を吸収するためには︑民間に対しては純

売手に回らなければならない︒﹁だがこの目的にもかかわらず︑当局は屡々純買手となる必要があったし︑また時々

巨額の買オペレーションを実施した︒これは当局が市場を援助して他の一連の売処分を吸収するに必要な弾力性をつ

︵︶ けてやれば︑長期的には巨額の純売手にまわる機会をつかめることになるだろうという信念によるものである︒﹂し

かしイングランド銀行は一九六○年代の前半を通じて︑ネットでは売手側に立つ機会をつかむことなしに最も深刻な

ポンド危機に遭遇してしまった︒これは基本的には赤字財政の重圧によるものとみなければならない︒財政統計によ

ると︑国家の経常収支はかなりの黒字を計上しているが︑資本収支は継続的に赤字を示しているばかりでなく︑最近

は地方公共団体や公社の債務が目立って膨脹している︒それにもかかわらず市中銀行の国債保有が減少したのは︑や

はりイングフンド銀何か符に銀何組織し硴迦辻と稚狩ごぜようとして︑絶えず買オペレーションを実施しているか

らだろう︒事実同行発行部の手持証券をみると毎月毎年増加の一路を辿っている︒これは当局が長期金利を高目に支

えようとして長期債を売出しても︑他方では短期債や流動債を買取らざるを得ないため︑ネットでは買手に回り︑そ

の分だけ追加資金を放出していることを意味する︒

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− 1 5 −

セイャーズは八言︒号H回国目蚕品Vの各節で︑銀行の流動比率を一定とすると︑その預金創造は大蔵省証券の供

給によって規制されると強調している︒それによると︑イギリスの場合テンダー・ピルには割引業者による全額応募

の慣行とイングランド銀行が最終的貸手として割引市場を援助する義務があるから︑当局は現金比率によって銀行預

金を規制することは困難であると断定する︒﹁事実︑大蔵省証券は過剰発行の傾向があるし︑イングランド銀行は自

己の選択した金利で市場の逼迫を救出するから︑同行は加盟銀行に好むだけの現金をもたせる︵後者が大蔵省証券を

差出すことができれば︶︒所要の現金比率は八%とされている︒⁝⁝かくて預金が現金準備を決定するのであって︑

︵肥︶ その逆ではない︒銀行を効果的に規制するのは︑銀行︵および割引市場︶の保有する大蔵省証券にある︒﹂彼は銀行

組織からの大蔵省証券の流出が銀行の信用創造をチェックする可能性のあることを容認してはいるが︑大蔵省証券が

アプリオリに流動的な金融資産であるという自説を変えていない︒インフレ対策としてファンディソグ・オペレーシ

ョンが重視される所以である︒だが実際の経過をみると︑一九六○年以降テンダーピルの発行は減退したばかりか︑

加盟銀行や割引業者の保有ピルは目立って減少したにもかかわらず︑銀行預金は大幅に増加した︒クローチはこの事

実を直視して︑ファソディソグ・オ・ヘレーションのみでは金融引締めは不十分であって︑それを補完するためにはネ

ットで資金を吸い上げるための積極的な売オ︒ヘレーションが不可欠であると強調する︒彼の人弓胃甸貝昌q具句匡︲

且旨いゞ己3Vと題する論文によると︑ファンディングが行なわれても銀行は割引業者とタイ・アップしてテンダー

・ビルの割引歩合を引下げることによって必要なだけのビルを取得し︑所要の流動比率を守り抜くことができる︒こ

うして短期金利は下落するから長期金利を一定としても長短の金利隔差は拡大する︒したがって公衆は大蔵省証券を

より収益の高い金融資産に乗換える︒それに銀行は所定の流動比率を上回る資金で貸出や証券投資を行なったり︑割

引業者も商業手形の割引によって大蔵省証券の不足を補填する可能性がある︒﹁通貨管理の装置としてのファンディ

ング操作の弱点はその過程で短期金利が長期金利に比して相対的に低下することである︒この相対的低下を阻止する

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唯一の方法はイングランド銀行が公開市場で売操作を実施することである︒公定歩合の引上げもそれを効果的にする

︵胸︶ 完オペレーションを伴なわなければ︑同じ効果をあげることができないということは銘記されねばならない︒﹂これ

に対してイングランド銀行の売オペがネットで行なわれるならば︑たとえ銀行の流動比率が可変的であっても︑次の

ようなプロセスで銀行預金は縮小するという︒すなわち同行が公開市場で大蔵省証券その他の政府証券をx額だけ売

出して︑それが公衆によって消化されるとすれば︑銀行の預金および現金は同額だけ減少する︒したがって銀行の現

金は八%x不足するが︑銀行は直ちに割引業者からコール・マネィを回収して所要の現金比率を恢復する︒そこで

市場はイングランド銀行の手に移る︵冨画鼻鼻冒夢①国画口乞が︑その際公定歩合が市場利率より割高であるとする

と︑すなわちペナル・レートとなると︑割引業者は結局手持証券を処分するか手形割引を制限して同行の借入れから

脱却するから︑銀行の現金比率は再び八%以下に低下せざるを得ない︒こうしたプロセスによって︑他の条件を一定

とすると銀行預金は最大限一二・五xだけ減少することになるという︒これは要するに︑マクミラン報告で説かれて

いたようなオーソドックスな見解にほかならない︒

これより先キングは以上のポイントをラドクリフ委員会に提出したメモランダムでより精綴に体系づけていた︒彼

はまず金融政策の鍵は市場操作のテクニックにあると前提して︑﹁通貨管理の市場技術は貨幣市場および金縁市場の利

子率を通じて作用し︑これによって銀行信用︵預金︶の総額に影響を及ぼすことである︒このような市場技術は一部に

︵︶

は全金利構造の反応を通じて︑公衆の流動性および流動性選好を左右する﹂という︒ところで金融当局の伝統的テク

ニックは公定歩合の変更と公開市場操作にもとづき︑主として貨幣市場の金利を左右することによって銀行の流動性

および銀行信用を規制していた︒たとえば当局の金融引締めによって短期金利︵手形割引歩合︶が上昇すれば︑手形の

供給を減退させる一方︑銀行以外︵アウトサイダー︶の手形需要を刺激した︒以上の過程は銀行の資金およびその流動

比率を低下させ︑また凡そ同程度に貨幣市場資産を減退させた︒しかし今や市場資産の大半は金利に対する供給弾性

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の低い大蔵省証券によって占められているので︑銀行以外の金融仲介者や公衆にそれを消化させなければ︑銀行の流

動性や信用創造をチェックすることは不可能となった︒そのため当局は少なくとも大蔵省証券の利率を預金利率より

は引上げる必要がある︒こうした短期金利の上昇は多少のトラブルを惹起しようとも︑銀行の流動性選好を強めるこ

とによって金融引締めを惹起する可能性がある︒当局が市場技術を能率的に駆使するためには︑割引業者による大蔵

省証券の入札方式を改めるとか︑公共団体の起債を自由化する︑引受信用を奨励する等金融取引の弾力化および自由

化を促進しなければならない︒﹁私見によれば︑市場技術によるいかなる管理方式も市場の重要なセクターを他のセ

クターの動向から絶縁させるような措置︵直接統制︶が行なわれると︑満足には作用しない︒市場が弾力的になれば

なるほど︑その価格裁定過程は貨幣市場と金縁市場の利率および市場利率と銀行利率との間に心理的慣習的なリンク

︵瓢︶ とは別個の﹃現実的﹂リンクを確実に設定するだろう︒﹂彼は以上のようにプライス・システムの自由化を要請した

後に︑マーケット・オ︒ヘレーションおよび国債管理の技術的改善を提言する︒

キングによると︑一九五一年以降短期金利はかなりフレキシブルに変動するようになったが︑イングランド銀行は

いぜんとして財政収支の金融取引に及ぼす影響を相殺するため︑マーケット・オペレーションによって受動的とはい

え絶えず市場に介入している︒この消極的な自動操作は金融政策の積極的意図的な目的に使用されるべきメリットを

阻害している︒﹁イングランド銀行はもはや金利を釘付けにしてはいないが︑政府勘定の大規模なオペレーションに

よって惹起されるおそれのある技術的偶発的な撹乱から金融市場を中立化するために︑なお不断に干渉することをよ

ぎなくされている︒私見によれば公開市場操作がこの受動的な目的のために要請されているという事実は︑積極的に

活用されるべき価値を傷つけているように思われる︒市場が当局の﹃援助﹄不足のために公定歩合で借入れねばなら

ぬ場合にその決定が意図的に行なわれるのか︑それとも当局の誤算の結果に過ぎないのかは疑わしいケースが屡々あ

る︒イングランド銀行は公開市場取引の利率を意図的に変更すること︑すなわち必要な際にはほんの僅か高目でなけ

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れば手形の買上げは行なわないというような措置によって︑以上のような峻昧な態度を捨て︑市場管理をより機敏に

︵理︶ 実施することができるはずである︒﹂なお彼はこの覚え書においてこのように国債管理特にその借換操作の重要性を

力説しているが︑長期借換えの必要が大蔵省証券の絶対的過剰によるのではないと述べている点が注目される︒﹁銀行

の流動性を規制することが困難になったのは︑原則として大蔵省証券発行の規模が法外に増加したとか︑それには換

金性が強いとかいう事実によるのではなく︑この種の借入れの規模が事実上借入れコストの変動に反応しないとの事

実によるものである︒したがって大規模なファンディングを行なっても問題の解決にはならない︒そこで要望される

ことは︑金融政策の変転する必要に応じて長期の借換えや短期の借換えを継続的に実施し︑大蔵省証券の発行を恰も

︵銅︶ 金利に反応するように変動させるべきである︒﹂彼はセイャーズと同様にマーケット・オペレーションの﹃インノペ

ーション﹄を提言していたが︑それはイングランド銀行のイニシァテイーブで行なわれる余地のあること︑および短

期金利と密肴して操作されるべきであると強調している点で後者とは挟を分っていた︒

しかしイングランド銀行はラドクリフ委員会後︑前記のようにファンディングによる長期金利の上昇を誘導する方

針をとったが︑舞台裏で選ばれた金融業者および国庫そのものの流動性や支払能力を補償するために︑短期資金の対

外的流出を喰いとめる程度の金利で惜しみなく資金︵銀行券および預金︶を供給していた︒長期金利の趨勢的上昇にも

かかわらず超過需要を抑制し得ないというジレンマは︑オーソドックスな観点からすると︑まさに異常なマーケット

・オペレーションによって誘発されたものといわざるを得ない︒しかしマーケット・フホーセスによる金融措置の効

果はキングが主張したように︑自由な金融取引による市場の単一化を前提とする︒現実には巨大銀行や割引業者によ

って形成されている中央の高度市場とそれによって競争を制限されている地方的顧客市場のギャップは︑大衆的金融

仲介者の活動にもかかわらず埋められた形跡はない︒一九六七年に公表された所得政策委員会亀凰︒①色目旨8日の

国O胃eの報告によると︑加盟銀行は預金・貸出の主要業務において︑その他の金融仲介者に比して取引上の地位が

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低下しているにもかかわらず利潤の著しい増加にめぐまれたのは︑彼等の自発的な経営合理化によるというよりは︑

むしろ外部から附与された要素︵①且︒葛目①具①房冒の日︶によるものであるという︒すなわち加盟銀行の預金・貸出

の金利は公定歩合に杓子定規にリンクされていて︑各行のイニシァテーブでは弾力的に変更されない︒特に預金貸出

の利鞘は画一的に硬直化しているので︑公定歩合の引上げは彼等に独占利潤を補償するが︑異種金融機関に対する競

争力は長期的には低下せざるを得ない︒銀行業の経営効率を改善するためには︑加盟銀行間の金利協定を撤廃すると

共に当局の貸出制限や流動比率の引締めの如き金融措置は銀行以外のあらゆる金融業者にも及ぶように改めることが

のぞましいという︒だが加盟銀行はこの勧告には極めて冷淡な態度を示しているようである︒この点についてアーテ

ィスは人冨o目色国q石島9画且国目ロ︒冨冒員のH日①島四国①Vと題する論文で﹁イングランド銀行の金融組織に対す

る管理がそのような基礎︵道義的説得や非公式の権限︶に立脚している限り︑同行は同業者の集団や団体を育成する

ことによって︑影響を及ぼしたり規制する土台を造成しなければならない︒この土台はそれのみで︵立法措置がなく

ても︶通貨管理の機椛および特に信用の割当効果の実現に依存する政策にとって必要な基盤をなす金融機関相互の様

々な規律を支えるに十分である︒換言すれば同行は金融界を安定させるために︑寡占的協定を奨励し︑したがってま

た直接間接に技術革新の資任を既存の金融機椛の外部における機関の発展に負わせ︑既存の金融機関に対する差別扱

いにほかならぬ措置を制限することによって︑金融政策の挫折を惹起するような状況をつくり出してきたものと非難

︵理︶ されよう﹂と厳しく批判している︒セイマーズの目に金融仲介者の無差別な信用創造と映した現象の根底にはこのよ

うな椛造的基盤のもとに金融当局がインフレ・マネーを供給するという要因が潜んでいる︒まことにアーティスの批

判はポンド危機の構造的要因を衝いているように思われる︒

︵1︶○︒ヨョ胃$◎己暮①君◎異言い具号の冨呂①冨昌の蔚肩目.両go弓.93$F

︵2︶詞.巽勉胃◎旦暮の国臥蔑︑写同⑥◎国︒自学胃④忠.雨.勗鱒

(20)

切削叩旬旬幼酬印割卸卸動到到動到到副副鋤卸説 くくくくくくくくくくくIくくくlくくくくくく

J.S.G.Wilson,MonetarypolicyandtheDevelopmentofMoneyMarket,1%6・p、p.120‑131・

J.C.R.Dow.theManagementoftheBritishEconomy,1964,p.p、326〜9.

R、C.Sayers・MonetaryThoughtandMonetarypolicyinEngland,theBanker,1960.Oct.p、676.

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1.画I

参照

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