− 3 1 −
最近における我国の経済成長は国際的に驚異の的とされている︒まことに実質国民総生産の伸び率は戦後の復興期
を過ぎた後も強含みを続け︑二九三七年の平均成長率は九・四%を示し︑西ドイツの七・四%を抜いて資本主義諸
国のトップを切っている︒この高度成長は周知のように主として法人企業の旺盛な投資活動によるもので︑その投資
支出は二九三七年の間に国民総支出の一八・七%︑総資本形成の五六%を占めた︒また同期間に分配国民所得は名
目で約二・六倍となったが︑法人所得は実に四・三倍で︑勤労所得やその他の個人所得の伸びを大巾に上回ってい目で約二・六缶
る︒︵第1表︶
企業の投資支出は景気サイクルに敏感で︑三三年のレセッションにはかなり減退したが︑趨勢的には最近まで上昇 I法人企業資産の膨脹 我国における企業金融の問題点
Ⅲ Ⅱ I
企業の資金膨脹
企業の資金調達
資本構成のアンバランスと利潤率の低下
藤沢正也
j/
ー 3 2 −
第1表国民支出と法人企業の投資
単 位 億 円
9法人 / fg / 所得
│f
e /分配国 / d民 所 得
b 総 資 。
総 設 備 投 資
a 国 民 e 法 人
企 業 設 備投資
C
法人企 業投資
/ad/
/ab/ /bc/
総支出 本 形 成
%
% 8b8 40.0
% 24.5
% 42.0
%
29年 73,793 18,147 7,61︑コーllqqll1四1J副1列ql訓alll制別11凱到llm劃lllm旬111 20.5 6,051 60,224 5,322 15,076
30年 81970621,32926.1 7,4034.714,69118.2 5,56637.467,1895,9738.8 31年 89,96526,75229.715,3557.320,44922.210,14150.576,276 9,39012.4 32年 101,23134,24734.120,3059.726,84326.714,53254.182,8579,90112.0 33年 99,72924,69724.211,9648.226,65326.713,93852.685,190 8,4209.8 34年 120,38740,42033.622,7256.732,63227.216,89950.2100,37314,04114.0 35年 140,65351,79137.030,5961.043,39931.025,28958.1119,37119,53215.9 36年 172,03074,75843.948,9465.359,85235.236,07961.0141,96423,19716.4 37年 189,95872,95239.039,4953.465,34634.2135,468︒〆◎ ○q︾ 99 生Qン o〆O ︒Qu53.8oFD ○・Qu●● on⑥ 157,82522,90814.6 累 計 1,098,382365,09333b2204,4055.9304,94127.6 ー 1 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ −
(国民所得統計)
の一路を辿った︒これは投資支出の大半が設備投
資に向けられたためで︑二九三七年についてみ
ると法人企業の設備投資はその投資支出の八○%
強を占めていた︵第1表︶・産業の設備投資︵固
定資本形成︶は在庫投資とは異って︑産出・売上
によって投下資本が回収されるまでは社会的には
諸生産要素の需要に追加的な圧力をかけ︑所得膨
脹を刺激する傾向がある︒しかも我国の三○年代
における設備投資は︑戦時戦後のインフレーショ
ンによって減粍した固定資産の価値を復旧するだ
けでなく︑大規模な新設・拡充︵拡張再生産︶の形
をとった︒生産財のみならず消費財部門まで全般
的に諸企業の設備や装置は大型化されたばかりで
なく︑先進国の新らしい技術を導入して有形固定
資産の質は一段と高度化された︒こうした産業の
近代化にともなって︑重化学工業の地位は画期的
に向上した︒経済審議会の国民所得倍増計画の中
間報告によると︑三七年度には重化学工業の付加
価値生産額は全製造工業の六三%︑重化学工業品
− 3 3 −
第 2 表 法 人 企 業 の 資 産 膨 脹
単 位 百 万 円 29〜37年 2 9 年 3 7 年 の倍率
社数│総資産'一社当社数│総資産'一社当 社数│謹資'三
農 林 漁 業 石 炭 鉱 業 そ の 他 鉱 業 建 設 業 商業・不動産 業
運輸・通信業 電気・ガス業 サ ー ビ ス 業 製 造 業 食 料 品 繊 維 紙・パルプ 化学・肥料 窯 業 鉄 鋼 非 鉄 金 属 金 属 製 品 機 械 器 具 船 舶 そ の 他
計
5582●● ●●●●●●●●●●ゞ●●●●●●●●●5135531643135547974
938 629 024 8321 273 769 034 172 055 514 990 706 847 773 807 367 536 244 233 037 397
120.〔
42. 1,512. 335. 18. 14. 86.
3
,714 166 776 722 226 633 127 4091
1011
202 226 529 241 130 799 769 131 120 571 293 784
99︐︐9︐9999︐︐$︑︐︐993999571715498083913934027蝸駈銘肥馳蛇伽別弱弱剥沌馳測瓢和的刊妬別999999999199212191122520
114
2,040 133 437 19,484 154,8451
7,713
148 20,252 106ウ009 23,028 13,601 3,580 4,677 29538 1,215 1,383 6,379 13,095 1,063 34,450 3119061
936 127 481
2901
9型 060 928 636 760 692 104 184 522 527 008 309 068 179 521 646 113 859 201, 146, 357, 2,279, 668, 881, 125, 4,087,
461, 723, 189, 493, 146, 544,
86, 72, 664, 151, 555, 8,834,
・ 四
2,214.6 270.94.04 1.
29, 209, 15,
・囮
70. ●●● 280520
55.C ・囮
155b ●四
8,614.4〕、85 5,958.
●●●●●68032
3255 20.
01220421●●●●
99︐︐9991993008524622534521121
130.4 54.g
88.6 、囮
286°C〕、68 30 09 08 57 601. 〕、91
●●●57705414
。121.C ●●●●● 5306743037
908. .C
62.4 234.4
46.
●●●●10251541
1
216.C 0.56 122.6 ●●● ︶04︶44 ●●●今54 ●賂
60. 49,
450, 89.4
28.4
(大蔵省理財局,法人企業統計年報)
− 3 4 −
の輸出額は全輸出額の五○%強に上り︑産業構造
は先進国なみに発展しているという︒
以上のような高度成長および産業構造の変化
は︑法人企業の資産状況に反映されている︒第2
表によると︑全産業の会社資産は二九年の八・八
兆から三七年の四○・三兆と約四・六倍となった
が︑重化学工業部門の会社資産の膨脹はこの平均
を遙かに上回っている︒我国の金属機械および石
油工業等の消長は伝統的に軍需に左右され政府の
保護・干渉を受けていたが︑三○年代に入ってか
ら資本主義的な企業体として自立する姿勢をみせ
始めたことは注目に価する︒企業の資産構成をみ
ると︑第3表の通り固定資産比率は成長期を通
じてかなり上昇した︒それは製造業では二九年の
三六・六%を示していたが︑三七年には四一・三
%に上っている︒固定資産は戦後のインフレ過程
で著しく過小評価されていたが︑二六二九年間
に再評価は完了したとみられていた︒しかもその
後償却率は毎年上昇の一路を辿っているが︑固定
第 3 表 法 人 企 業 資 産 の 推 移
単 位 億 円
全 産 業 製 造 業
a譽薑│・塁臺│・総資産│、ノ。 a譽蟄│、暑臺│・総資産│、ノ。
26年 26,123 13,774 40,161 34.3 15,074 6,229 21,421 29.0 29年 53,050 34,663 88,341 39.2 25,697 14,975 40,878 36.6
30年 61,126 39,899 101,539 39.3 28,132 17,148 45,528 37.7 31年 74,225 46,742 121,475 38.5 34,177 20,133 54,561 36.9 32年 97,423 60,491 158,687 38.1 48,132 27,248 75,778 36.0 33年 103,250 72,045 176,123 40.9 51,281 32,963 84,650 38.9 34年 122,866 81,799 205,605 39.8 57,857 37,500 95,861 39.1 35年 167,015 111,234 279,655 39.8 76,595 53,326 130,517 40.9
菫204,588239,449 135,358161,258 341,783403,074 39.640.0 113,67194,836 66,11280,771 161,797195,581 41.340.9
(大蔵省理財局,前掲書)
− 3 5 −
資産蚕一九三七年に四・六倍も増加したことは︑企業の新設拡充が霧しい勢で行われたことを示している︒その結
果労働の装備率も著しく高度化された︒すなわち従業員一人当りの有形固定資産額を製造業についてみると︑一三年
の三八万円から三七年の八一万円に増加した○また資本金一億以上の大企業の場合それは七六万円から一六三万円に
上った︒繊維︑食品︑雑貨等の製造業は戦前いわゆる軽工業として︑有機構成や資本係数は低くかつたが︑三七年現
在それらの労働装備率も五○六○万円︑従業員一人当りの売上高二三百万円に上り︑なかんずく少数の大メーカ
ーとなると︑その労働装備率や資本集約度は重化学工業の中小企業に劣らない︒インノベーションの波は消費財の生
産部門にも波及しているわけである︒
流動資産の比率は低下しているが︑その絶対額は固定資産の膨脹に応じて増加している︒第4表によると流動資産
のなかでは特に現金・預金および売掛金の比率が上昇している︒しかしこのような当座比率の上昇は必ずしも企業資
産の流動化を示すものではなく︑最近では逆に支払能力の悪化や金融機関からの借入れが困難になったことを意味しゞ
ている︒これに対して棚卸資産︑仕掛品︑原材料在庫の比重は傾向的に低下している︒たとえば棚卸資産の比率︵総
資産に対する百分比︶は製造業で陸一九年の二七%から三七年の一七%に低下する一方︑その回転率︵売上高との比
率︶は五・五回転から六・五回転に上昇している︒これは経営規模の拡大︵量産化︶にともなって︑原材料の節約や流
動資本ストックの管理が多かれ少なかれ改善されたことを意味するものだろう︒製造業における生産期間の短縮︵生
産のスピード・アップ︶にともなって︑原材料や燃料・動力の消費高は当然増加したが︑それらの輸入物価は三三年
以降下り気味であった︒これに対して工業製品の卸売物価は全般的にかなり安定していた︒したがって企業の売上高
利益率は減価償却費や賃銀コストの上昇にも拘らず好調を示していた︒製造業の売上高営業利益率をみると︑三○年
には六・三%台であったが三二二年の好況期には七%強︑三五六年の繁栄期には八%強に上昇した︒このように
製品の利益率が好調にみえたこと︑もしくは少くとも製品の直接費を合理化しえたことは︑商品市況の部分的︑一時
/〆
− 3 6 −
第 4 表 法 人 企 業 の 資 産 構 成
全 産 業 , 単 位 億 円 29〜37年 37年 の 倍 率 2 9 年
% 60.1 10.2 21.1 21.4 10.1 5.0 6.3 7.3 39.2 1.1 35.1 0.5 2.5
% 59.6 12.1 25.7 15.4 7.6 4.7 3.1 6.4 40.0 3.1 30.4 0.7 5.8 流 動 資 産
現 金 ・ 預 金 売 掛 金 棚 卸 資 産 製 品 在 庫 仕 掛 品 原 材 料 在 庫 そ の 他 定 資 産 士 地 有 形 固 定 資 産 無 形 固 定 資 産 投 資
53,050 9,019 18,668 18,909 8,948 4,411 5,550 6,454 34,663 998 31,031 463 2,171
239,449 48,678 103,699 61,131 30,064 18,389 12,678 25,941 161,258 12,630 122,612 2,722 23,294
4.51 5.33 5.72 3.21 3.33 4.16 2.29 4.83 4.74 1.25 4.08 5.91 11.20 固
繰 延 勘 総 資
定産 628
88,341 0.7 100
2,366 403,074
0.4 100
3895●●34
社 311,061
万 円 2,839
名 7,820,830
万円 113
社 450,784
万円 8,936
名 14,507,176
万円 278
( 会 社 数 ) ( 一 社 当 総 資 産 ) ( 従 業 員 数 ) (同上一人当総資産)
1.44 3.15 1.86 2.52
(大蔵省理財局,前掲書)
− 3 7 −
第5表法人企業の付加価値形成
単 位 億 円 全 産 業
従 業 員
売上高付加価値一人当サープラ売上高 付加価値ス
(万円)
製 造 業 従 業 員 常 用 労 働 付加価値一人当者雇用指労
付 加 価 値 数 生
(万円)(%)(
働 産性
%)
381 71.6
75.4 58.9 60.6; 66.4 74.6 77.9 410
582
397
767 690 342 447
6''098j
62,852 76,936 109,247 113,324 121,847 169,091
999991955855991112223
1717
254 492
999999199235215551111222334
41
詔刎蛆妬開閉
84.8 89.7 84.1 86.5 92.0 44
川 C ,091 100 100
108.3 110.7 186,537 43,882
111.4 116.8 217,010 48,906
(大蔵省理財局,前掲書・通産省,通産統計)
的悪化の不安を払拭して︑生産拡張のための投資
支出を刺激する要因となったものと思われる︒何
れにせよ三○年代の初頭から数カ年にわたって空
前の設備投資が行われたにも拘らず︑特に製造業
では生産高が目立って増加したため︑三五年頃掌
では総資本および固定資本の回転率もそれほど低
下しなかった︒通産統計によると製造業の生産お
よび出荷高とも二九三七年に三倍強も伸びてい
る︒企業の売上高も支払条件はともかくとして同
期間に三・六倍も増加した︒生産財︑消費財何れ
にせよ市場の隆路は産業構造の高度化という線に
沿った拡張再生産によって打開されるようにみえ
た︒
かくて我国の産業は三○年代を通じて予想外の
繁忙に恵まれ︑したがって産業資本の期待利潤率
は高目に評価され︑長期投資のリスクが甘くみら
れていたことは否定できない︒資本の限界効率の
上昇は高度成長の根本的ファクターとして強調さ
れているが︑これを経済学的に考察すれば︑やは
− 3 9 −
て特別利潤を創出したが︑それが消費財部門に波及することによって実質賃銀.ストを合理化す効果をもたなけれ
ば︑繁栄を持続することは困難である︒我国の場合企業の新設︑拡充のための投資が全体として生産財や資本財部門
または不安定な輸出産業に偏り︑拡大再生産の国内的均衡条件がネグレクトされたこと︑たとえば生活必需品部門の
近代化・合理化や社会的間接資本の拡充が立遅れたことは︑安定成長の構造的隙路となった︒
しかしながらこのような投資の再生産的アンバランスも︑三○年代の前半までは法人企業の所得および資産の成長
の妨げにはならなかった︒これは特に生産手段部門において多数の企業力新設され︑また商社︵商業資本︶の活動が
強化されたので︑生産財や資本財の需要が窮極の消費力︵支払能力︶の限度を超えて拡張される傾向があったからだ
ろう︒二九三七年の間製造業の法人企業数は四○%増︑その総資産は四・八倍となったが︑うち特に金属・機械巽
業関係の会社数墜一倍以上︑総資産は七八倍も増加した︒卸売商社の資産や取引高もこれに劣らず膨脹している︒
企業の経営規模の拡大は一社当りの資産や売上高の成長によって明らかであるが︑大企業の資産集中も著しい︒第6
表によると資本金一億以上の大会社は一三年には全産業総資産の五五・六%を占めていたが︑三七年に塗ハ四%によ
った︒また同年には資本金一○億以上の巨大企業六三八社が総資産の約半分を占めている︒しかしこうした大企業の
売上高シェアーは相対的には伸び悩んだ︒特に金属・機械工業では資本金一億未満の中小企業が社数︑売上高ともか
なり増加している︒重工業セクターにおける企業の新設拡充競争は我国の三○年代における投資ブームの特色をなす
ものであって︑既存会社による資本集中の形で経営規模を拡大した英米とは対照的である︒それは大企業の直営によ︲
る集中的な投資方式によるよりは︑企業間の取引高を増加させることによって架空需要をふくらませる危険があっ
た︒三○年代の後半におよんで危機的な様相を露呈した企業の過小資本へオーバー・ポローィングは多分に以上のよ
うなミクロ的投資競争によるもので︑銀行の安易な貸出態度︵信用創造︶は特に設備投資の過大・重複を一段と激化
させたものとみてよい︒
、
− 4 1 −
は不可避な不況期に対しては︑個別資本として自主的に切抜けるほどの蓄積力を増強したかどうかは疑わしい︒重要
産業の実物資産や生産能力は飛躍的に拡充されたが︑産業資本の資金蓄積力や信用力は不均衡に立遅れているようで
ある︒すなわちリスキイな実物資産をカバーすべき自己資本や長期低利資金の不足は克服されていない︒これはいわ
ゆる﹁過剰供給型﹂の開放体制に移行した現段階において︑金利や償却費等の資本費が企業利潤を洞渇させるという
結果を齋し︑ひいては産業の国際的競争力を制約する重大な梗桔となってきた︒
一般に企業の資本を調達の面から静態的にみると︑自己資本と他人資本に分けられる︒前者は出資者として企業の
経営に参加した者から調達された資本金と出資者の勘定に帰属する企業の剰余金からなる︒後者は企業の負債であっ
て債券の発行や借入および買掛︑未払︑前受金等の信用によって調達されたものである︒それらは貨幣資本または現
物資本の形で企業に流入し︑生産手段や労働力に転化され︑収益を生む資本として機能しなければならない︒このよ
うに企業資本は自己資本や他人資本の増減によって変動するが︑資本力を左右する客観的要因は企業の収益性であ
る︒また企業の収益率が高ければ高いほど︑留保利潤や減価償却という形で内部資金を蓄積する可能性もある︒こう
した内部資金による企業の資金調達を自己金融といい︑西欧諸国では大恐慌後証券市場や金融市場による資本動員が
円滑に行われ難くなったり︑大企業は独占利潤を社内留保することができるようになったため︑一九三○年代この方
自己金融の傾向が強化されていた︒特に英米の大企業は第二次大戦および戦後のインフレーションによる過剰流動性
圧力が漸次解消されたあとも︑外部資金︵証券発行や借入金︶にはあまり依存していない︒
第1表によると英米の法人企業は一九五○年代後半を通じて総資金の六○%強を内部資金で賄い︑これに株式発行
による資金を加えると総資金の七○八○%は自己資本によって調達している︒西ドイツの企業は我国と同様に自己
資本の比重は低く︑外部負債に強く依存しているが︑減価償却を厚くして準備金を充実している︒これに対して我国
では選ばれた大企業︵資本金一億以上の上場会社︶でさえ︑内部資金依存度は一三%にすぎず︑英米はもとより西独
一 盤 ・ 一
締が強行された関係もあって︑特に大企業の資本構成やクレジット・ベースは従来になく改善されていた︒ところが
昭和三○年代に入って三一二年︑三四五年のブームに企業の売上高やその利益率は顕著に上昇したにも拘らず︑
前述のように投資支出特に設備投資が異常に増加したため︑企業の総資金需要における内部資金︵貯蓄︶の充足率は
かえって低下した︒たとえば本邦事業成績分析によると︑第二表の通り主要企業の内部資金充足率は三○年の三五%
から三七年空一六%弱におちこんでいる︒その絶対額は減価償却の増加によって三倍強も増加しているのであるが︑
第2表大企業の資金調達構成比 全 産 業 単 位 % 30年度34年度37年度
100
資 金 需 要 100
設 備 資 金 部 資 金 供 給 留 保 利 潤 減 価 償 却
100
62.2 64.2 55.0
23.8 25.8 35.4
4.8 3.1
736862●●●●●●59472526
19.0 22.7 76.2 74.2
部 資 金 供 給 借 入 金 短 期 長 期 新 規 発 行 株 式 社 債 そ の 他 固 定 負 債
23.3 33.5 9.0 16.6 14.3 16.9 16.0 17.4 11.3
961 ●●● 285 15.5
670●●●827 98●●12
15.8 2168 20.8
支払手形・買掛金
4.7 16.7 14.6
そ の 他 流 動 負 債
30.5 27.5
自 己 資 本 比 率 ) 38.6
一
(三菱経済研究所,本邦事業成績分析)
外部資金特に金融機関から
の借入金が激増しているた
めに自己金融からは益々遠
ざかってしまった︒また日
本銀行の産業資金供給調に
よると第3表のように︑三
一年以降自己資金の形成や
株式・社債の発行も増えて
はいるが︑それらにもまし
て外部負債特に銀行借入が
膨脹しているため︑成長期
︵二九三七年︶を通ずる
企業の総資金需要︵外資お
よび企業間信用を除く︶の
−− 一
・−.44−。
第 3 表 産 業 資 金 供 給 調凸
単 位 億
貴│騨雷│騨鯉
979
】‐卜 013 99▲ 16f174
QジnUa
09
蕊
1, 9, 1,
2‐
】‐HHも
う.ノリ1(】‐ソL
(日本銀行,本邦経済統計年報)
約四五%は借入金に依存していたことになる︒
しかし法人企業全体としての資金の蓄積︵金融
資産保有︶は外部負債の増大に前後して相当伸び
てはいる︒日本銀行の金融取引表によると第4表
の通り︑法人企業の資金蓄積は三一年には前年の
二倍︑三六年には前年比六○%というように増加
し︑二九三七年間の累積はニハ九千億に上り︑
同期間における全法人企業の総収入︵売上高︶
三︑○○八千億の約五・六%にあたる︒だがこれ
によって企業の金融ポジションが強化されたわけ
ではない︒事実はむしろ逆で︑金融負債の増分は
毎年金融資産の増分を大巾に上回り︑両者の差額
は累計九・六兆に達している︒この資金不足は理
論的には法人企業全体の粗貯蓄に対する投資の超
過分であって︑それは専ら個人セクターの貯蓄と
海外部門の資金過剰︵国際収支の逆調︶によって
補填されたのである︵第5表参照︶・金融機関は
こうした部門間および各経済主体間の資金過不足
を調整したが︑それによって国民経済全体として
− 4 5 −
第4表法人企業部門の金融取引
単 位 億 円
29〜37
31年32年33年34年35年36年37年年
1 累 計 29年 30年
金 融
』丹全
篭
L,
ー
〕,
2
,
JⅢ
3−
94f687
Fへ口︺凸■日上︹咽クロ
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金 融 現 金
室 L,
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2
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5
. 金
杲隙
リ
金0941金.2951金.9221全.2
命̲7261全.3,91会
△3.6971全
(日本銀行,、金融取引表)
= 妬 一
の貯蓄と投資が価値的に均衡したわけではない︒金融
セクターの取引をみると第六表の通り︑主として貸出
の如き流動性の低い金融資産を引当にして︑現金や預
金通貨の如き流動性の強い負債をふくらませている︒
つまり貯蓄と投資のマクロ的均衡は銀行組織の信用創
造というマネタリー・ファクターによって維持された
のである︒現行の管理通貨制にあっては︑現金や預金
第5表部門間の資金過不足 単 位 億 円
引くPt
△八 49706799G338
口△△八
八 と
吋・/卜 △10,726
△5,319
△9,477
△14,094
△24,295 八16.922
△△八○1244462JdL7171
牛 △ 年 八
副一Hz卜
(日本銀行,前掲表)
第 6 表 金 融 部 門 の 取 引
単 位 億 円
借 貸
現金通貨│預金通貨│雲蓄篁 投 資有価証券貸│ 出│対外債権 そ の 他
29年 94 541 4,371 2,006 3,758 256 △1,014
30年 310 2,632 6,809 1,746 5,525 2,721 △△
242 31年 873 3,911 6,868 1,327 11,476 △ 246 905 32年 230 1,049 7,860 △1,174 13,104 △1,703 △1,088 33年 375 3,149 10,161 2,082 12,266 1,042 △1,249 34年 1,118 3,846 12,716 1,790 16,290 1,215 △1,615 35年 1,682 5,960 14,588 887 21,535 1,533 △1,725 36年 2,143 6,153 17,299 △ 393 28,560 △△
915 △1,656 37年 1,718 7,660 22,567 3,203 31,989 677 △2,570
(日本銀行,前掲表)
− 4 7 −
通貨の供給は国民所得に対してはパシーブであるが︑銀行
の授信活動は所得変動やその配分関係に積極的な影響を及
ぼす︒銀行の対民間融資残高は第七表の通り︑三○三七
年間に三・八倍弱に上り︑G・N・Pの成長率を大巾に上
回っている︒この間英米の銀行の対民間貸出は二倍内外︑
西ドイツでさえ二・五倍程度の増加率であった︒
しかも我国の銀行貸出はいわゆる産業資金として︑専ら
法人企業の生産的投資支出に用いられている︒全国銀行の
貸出残高を産業別にみると︑第8表の通り商業︑建設業︑
サービス業に対する融資も増えているが︑全体の比重から
みるとやはり製造業なかんずく重化学工業に対する融資が
大きい︒ところで同表によると︑三○三七年間に設備資
金の割合は若干上昇しているが︑それは三七年末でも一七
%で︑残余は運転資金となっている︒しかもキイ・レンダ
ーたる普通銀行では全貸出の九割強は運転資金とされてい
る︒またその貸付条件も表向きは期限一年以内の手形貸付
や手形割引が圧倒的に多い︒しかしこれは普通銀行が企業
の新設拡充︵追加投資︶に積極的に働きかけなかったこと
を意味するのではない︒借手の企業は銀行に直接管理され
第7表銀行信用および通貨の供給高と国民総生産の推移 単 位 億 円 全 国 銀 行 の 現 金 ・ 預 金前 年 比 前 年 比 前 年 比 マ ー シ ヤ 対 民 間 融 資 国 民 総 生 産 ル K
残 高 通 貨 供 給 高 %% %
30年 36,498 11.6 23,313 15.8 81,706 10.7 28.5 31年 46,727 8322 ●● 05
16.4 30.2
27,144 89,965 10.1
32年 57,704 28,237 4.0 101,231 12.5 27.9
33年 67,394 16.8 31,845 12.8 99,729 △ 1.5 31.9 34年 79,665 18.2 37,108 16.5 120,387 20.7 30.8 35年 96,615 21.3 44,201 19.1 140,653 16.8 31.4 36年 116,208 20.3 52,577 18.9 172,030 22.3 30.6 37年 136,517 17.5 61,573 17.1 189,958 10.4、 32.4
(日本銀行,本邦経済統計年報)
F
薑−48−
る︒繁栄期には特に然りで三四五年には大企業でさえ︑証券発行や長期借替のあてもなく︑短期信用で固定資産の
拡張をはかった︒建設資材や機械も延払の形で取得されたが︑そのような企業間信用の膨脹は︑英米の分割払金融業
インターメデイアリイ者角言胃のご扁巴の如き︵金融仲介者︶を欠く我国では︑主として普通銀行の貸出によって支えられざるを得な
かった︒産業セクター全体としては設備投資は産出高や売上高の増大を伴ったとしても︑個別的には企業の自己資本
第8表全国銀行業種別融資残高
単 位 億 円
│貸出締設鑿 I貸出残高37年末資 金うち設備
製農鉱建商金不運
造 業 うち重化学工業 林 漁 業 業 設 業 業 融 ・ 保 険 業 動 産 業
14,930 7,016 553 988 663 9,700 537 142 1,590 1,175
1,141 706 90 202 8 58 1 61 921 1,093 105 170 12
57,784 33,562 1,656 2,066 3,549 31,536
9,782 6,500 328 566 263 885 1,874 13 1,373 508
輸 ・ 通 信 業 5,221 2,368
電 気 ・ ガ ス ・ 水 道 サ − ビ ス 業 地 方 公 共 団 体 そ の 他
合 計
3,446 3,239
469 2,985 1,081
674 812 203
338 1,752 153
31,762 3,862 114,054 19,422
ない限りは借入金を自己資金と同
様に自由に使用することが出来
割る︒国民所得統計や金融取引表に
熊よると三○二一七年間における法
行人企業の設備投資は累計一五・八銀本兆に達したが︑その内部資金充足日く率︵留保利潤と減価償却による︶
は約七○%︑大企業の場合は五○
%程度に過ぎなかった︒残余分は
結果的にみると株式や社債の発行
によってカバーされ︑ストック・
ベーシスでは固定長期適合率にさ
ほどの不安はないようにみえる
が︑長期資金の調達と設備投資支
出の間にはタイム・ラッグがあ
−49−。
を大巾に超える固定資産が形成されたこと︑それをカバーする外部負債が銀行組織の信用創造によって強く支えられ
ていたとは自明の事実である︒
何れにせよ企業の成長資金需要を左右する決定要因は固定資本や流動資本のストックではなく︑フローである︒特
に製造業では運転資本として人件費や原材料が営業費の大平を占めている︒三○年代に展開ざれた技術革新はそれら
の経費を合理化したが今しかも原材料費は売上高の五○%︑人件費は同じく一○%を示している︒こうした運転資本
は一般に産出物の実現に先立って企業から前払されなければならないから︑売上高のシェアーをふやすためには追加
資金の調達が必要になる︒銀行貸出がこうした増加運転資金に用いられたとすると︑それは企業の経営規模を拡張さ
せることによって︑諸生産手段や労働力の追加需要を促進させたことになる︒工業統計によると三○年代に入ってか
ら︑生産財や資本財の生産および工場出荷額は消費財のそれよりは大巾に伸びている︒こうした再生産のアンバラン
スが前者の過剰生産恐慌を惹起しなかったのは︑重化学工業品の輸出増加もさることながら︑産業技術の近代化という
構造的変化の過程で︑銀行の信用創造により企業の新設拡充が大規模に行われたからにほかならない・だが我国ではそ
のようなデマンド・インフレにも拘らず︑最近まで通貨価値の不安やコスト・インフレの危険は抑えられていた︒卸
売物価水準は長期的に安定していたし︑国際収支の悪化も平価切下をまたずして金融引締により一応は克服されてい
た︒これらは何といってもインフレ・マネィがたとえば英国のように不生産的な擬制資本︵政府証券︶の消化に用い
られたのではなく︑質的信用統制︵邑四澤翼どの日①島庁8三geによって輸出産業や資本財の生産部門に重点的に注
入されたこと︑および設備資金の産出効果が貿易・為替管理による原材料輸入の優遇措置によって速かに実現されて
いたからであろう︒
しかしながら以上のような銀行のオーバー・ローンによる企業の高度成長も三○年代の後半から行詰りの兆候がみ
られた︒それは単なる設備投資の行過ぎによるリアクションというよりは︑資本蓄積の全機構的なジレンマによるも
− 5 0 −
ので︑もはや個々の企業の自主的な経営合理化では全産業の盲目的全力疾走を安全運転のギァーに切替えることは困
難だろう︒というのは一方では生産財や資本財の国内市場が胞和状態に近ずいてきたのに︑賃銀や資本費等の硬直的
コストが目立って上昇してきたからである︒賃銀やサービス料金の上昇は労働力の払底が二重構造の底辺︵商工業の
中小企業及び農林漁業︶にまで及んできたためであるが︑それらの経営を本格的に合理化し︑人手を節約するためには
過剰資産の整理︑廃棄処分を前提とする大規模な企業合同が必要だろう︒しかるに現状では大半の企業はデマンド・
インフレによって水ましされていた実物資産の限度一杯まで借入金に依存しているから︑貸手側に資金の固定化︑貸
倒れのリスクを転嫁する以外に過剰資産を整理する方法はない︒現在既に石油精製︑特殊鋼︑工作機械︑セメント︑
普通鋼等の諸企業に対する銀行融資は増産資金としてよりは︑単に資産価値を維持するための滞貨融資や操短資金の
性格をおびてきていると思われるが︑そういう資金はいうまでもなく付那価値やサープラスの形成には役立たない︒
現在の段階では銀行側も単に各自の流動性や預貸率を改善して金融を正常化するという観点のみからは貸出を引締め
るわけにはいくまい︒それは単に取引先を倒産に追込むばかりでなく︑パニックを誘発する危険さえあろう︒現状で
は全般的な金融引締めが困難だとしても︑間接金融方式によるオーバー・ローンの継続は前述のように資金の不生産
的浪費を伴わざるを得ない︒
そこでこの転換期の危機を切抜ける新しい産業金融方式として︑全経済的な視点から企業と金融機関の協調体制を
確立する必要があるといわれている・たとえば金融制度調査会のオーバー︒ローンの是正についての答申は︑市場原
理や自己責任の原則を強調しながらも︑﹁経済の安定成長が経済各界における合理的行動にまつところが大きいとは
いえ︑従来のような過当な競争要因が働く状況では︑個々の企業ないし銀行の合理的感覚に基く経営努力には目から
限界があろう︒このため今後は企業相互間︑銀行相互間並びに金融界と産業内の間に合理的行動を推進する方向で協
調の関係が積み重ねられていくことが必要だろう﹂︵銀行金融年報︑昭和三八年版P九六︶と結んでいる︒我国の普
− 5 1 −
問題は企業集団間の競争が系列融資によって不当に激化したため︑支配の利潤を確保するほどの有機的なまとまり
をみせていないことである︒普通銀行は信用創造によって通貨を供給する能力をもっているから︑系列化の主導権を
まかされると︑いわゆる資金効率を無視してもオーバー・ローンによって過大投資を刺激しがちである︒開放体制に
あってはこれ以上の資本の社会的浪費が許されないとすれば︑少なくとも主要銀行は企業集団のインテレストを超越
した全国的な視野に立って協調融資を行ない︑過剰投資を調整するイニシアテイーブをとることが期得されている︒
だがそのようなシンジケートは︑現行の金融構造では成立し難い︒というのは我国の金融構造は英米のそれと異って︑
一︑各種の金融機関が機能的に専門化されず︑長短金融が未分離の状態にあること︑二︑これと表裏して金融資産の
流動性を補強すべき公開の金融市場が整備されていないからである︒
周知のように我国の預金銀行︵普通銀行︶は三○年代の成長期を通じて正味の現金準備率は三四%で︑預貸率は九
五%内外︵都市銀行は一○○%以上︶というオーバー・ローンを続けている︒これは金融当局︵日銀︶の援助が個々の銀 銀行の系列融資であるとみられている︒ 通銀行は伝統的に西欧大陸型の兼営銀行︵昌寓&冨晏言いの湧話日︶の性格をおびていて︑企業との関係は正常な金融業務の域を越えて緊密であったが︑この傾向は第二次大戦後の慢性的なオーバー・ローンによって益々強化された︒特に旧財閥系の大銀行は株式の持合や役員の派遣および大口融資の継続等によって特定の大企業と密接な関係を保っている︒この意味では銀行と企業の結びつきは西欧諸国にはみられないほど強固なものかも知れないが︑そのため夫々の業務の責任が不明確となり︑資金のフレキシブルな移動が拘束されるという欠陥をはらんでいる︒企業は前述のような資本不足の状態のなかで︑高成長の波に乗って経営規模を拡大するためには︑資本所有の安全限界を超えて外部資金を動員しなければならなかった︒こうして最小限の資本所有で最大限の産業支配をはかるため︑有形無形のコネクションを通じて主要企業はすべて集団化されている︒そしてかかるコネクション化の最も重要な接着剤は︑
I
|→
‑−52−
行に対する貸出の形で安易に行われがちであるという事
情のほかに︑公衆特に個人の金融資産選好が銀行預金に
片寄るということによって助長されている︒前述のよう
に三○年代における高度成長は法人企業の著しい投資貯
蓄超過によって推進されてきたのであるが︑このような
過大投資︵デマンド・インフレ︶がにわかにコスト・イン
フレに転化しなかったのは︑多分に個人の高い貯蓄率に
よる︒それは三五年以降平均二○%を超え︑英米の二
三倍に上っている︒この高い貯蓄率は個人セクターのな
かに直接投資を行う個人業主がふくまれているためであ
るが︑勤労者の貯蓄率も一五%内外に達している︒そし
て個人貯蓄の一部は住宅投資等の実物資産の形をとる
が︑その大半は金融資産として保有されている︒我国で
も証券ブームの過程で直接投資の性格をもつ株式・社債
・投資信託の需要がかなり増加したが︑個人の流動性お
よび安全性に対するプレファレンスは依然として根強
く︑個人部門の金融資産構成によると三七年末銀行預金
は全体の五四%を占め︑証券投資は二○%強にすぎない
︵第9表︶︒なお全国銀行の預金構成をみると総預金の
第 9 表 個 人 の 金 融 資 産 保 有
単 位 億 円
(うち|
株式)│%
現金・
通貨性 預 金
貯蓄性 保 険 有 価 証
% % % % 計 %
預 金 信 託 券 投 資
10655.7813●●●●●●●●●022344321444444444
■■■ⅡⅡⅡⅡ8.80■ⅡⅡⅡ8Ⅱ■Ⅱ8lb■9︲0Ⅱ8口日■■ⅡⅡ82日fⅡ0■■■日廿ⅡBⅡⅡ■ⅡⅡ■1.口ⅡⅡⅡⅡⅡⅡⅡⅡⅡⅡ■vI6Ⅱ口日g9aPI8■■8■ⅡⅡ001■■■■B■■■P8DT601Ⅱ100■■■■■且■■ⅡⅡⅡ1Ⅱ■Ⅱ910250837878229061102432912839︐︐999999716297657122334567111111︐111︲I957358550●●●●●●●●●肥妬朋飢卯別別釦
麓
│
Ⅲ11,71415.89,50515.414.7
,4;4541,65
基蕊:
:灘:
29年 12,451 3,5938.3 5935212.4 43,115100
30年 14,060 5,15710.1 5,82511.4 51,038100
31年 16,496 6,51310.5 7j62112.3 61,824100 32年 17,319 8,44711.4 9,12812.3 74,313100 33年 1ユ⑥色︑ QU制工乞 9§ 89︑ 45○26
10,70912.3 10,60012.1 87,396100
34年 13,39412.7 10,03411.4105,567100
35年 26,378 16,65213.0 14,03910.9128,402100 36年 31,991 20,73913.3 18,20311.6156,373100
I
郷 37,307 25,86413.8 22,0871168186,962100 恥、
(日本銀行,国際比較統計)
− 弱 一
約四○%を占める個人預金の大半は定期預金の形をとっている︒このように我国の銀行が貯蓄性の強い個人預金の吸
収にも力点をおいているのは︑それが定期預金のみならず普通預金も歩留りがよく安定性が強いと目されているから〃
であろう︒何れにせよ公衆の余裕金が銀行に集中される傾向が強いのは︑彼等の保有し得る金融資産としてはほかに
安全有利な運用先に乏しいという事情のほか︑銀行側が積極的に大衆のアイドル・バランスをも貯蓄預金として吸上
げようとするサービスを強化しているからである︒このような銀行のビヘビアーは兼営銀行に相応しい長期資金を実
質的に造成する効果をもっていたとはいえ︑サービス競争の激化によって資金の増加にも拘らず︑預金利率や経費率
の引下げは容易でなくなっている︒全国銀行の預金コストは三七年度でも平均六・六%で︑預金銀行としては国際的
にいぜん割高であり︑それは外部負債︵日銀借入やコール・マネィ︶の金利負担や貸出リスクの増大とあいまって貸
付金利の弾力的引下を困難ならしめている︒
全国銀行の預金は二九三七年間に年率一八・七%も伸びた︒他国の追従を許さないこのような預金膨脹は︑一方
では公衆の貯蓄率の上昇によるものだが︑他方では貸出による通貨供給の増加を意味する︒法人預金の増加は特にか
かる信用創造の所産である︒だが最近産業資金供給の大手筋であった都市銀行の預金が伸び悩んでいることは注目に
価する︒これは永年のオーバー・ローンによるインフレ政策がついにコスト・インフレを誘発し︑消費者物価水準の
上昇率が銀行の預金利率を上回るとか︑都市銀行から貸出された資金が地方銀行その他の金融機関に流出して還流し︑
ないとかいう事態が惹起されるに至ったためで︑何れにせよ兼営銀行主義による産業資金供給⑳限界を示しているよ︸
うに思われるp欧米諸国でも一九五○年代の末から過剰供給型の低圧経済に移行するにともなって︑インターメディ
アリイに対する預金銀行の資力の相対的低下が問題になっている︒我国の場合︑形式的には典型的なミックスド・シ
ステムの都市銀行以外に専門的長期金融機関としては長期信用銀行や信託銀行および保険会社や投資信託があり︑中
小企業金融機関としては多数の地方銀行︑相互銀行︑信用金庫があり︑しかもそのような民間金融を補完すべく様々