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藤 沢 正 也

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(1)

一119‑一 一

ノ ー ト.ギ ル マ ン の 利 潤 率 低 下 論

J.M.Gillman,TheFallingRateofProfit,1957.

に つ い て

藤 沢 正 也

Gillmanは ア メ リ カ で は,マ ル ク ス 主 義 的 な 経 済 学 者 と 目 さ れ,Sienceand Society誌 に 屡 々 面 白 い 論 文 を 寄 稿 し て い る 。 彼 のAnEvalutionofJ.M,

Keynesと い う ケ イ ン ズ 批 判 論 文 は,玉 井 氏 に よ って わ が 国 に も紹 介 さ れ て い る 。 本 書 は こ れ に 次 ぎ1957年 に ロ ン ド ン で 出 版 され た 著 作 で,マ ル ク ス の 利 潤 率 低 下 の 法 則 を,ア メ リ カ 資 本 主 義 に 則 し て 実 証 的 に 究 明 し た もの で あ る。

だ が 本 書 の 問 題 点 は,理 論 的 に は 目 新 し い もの で は な い 。 マ ル ク ス は 剰 余 価 値 率(

搾 取 率)を 一 定 と す る と,資 本 の 有 機 構 成 の 上 昇 は 利 潤 率 の 傾 向 的 低 下 を 招 く と い っ て い る が,有 機 構 成 が 上 昇 す るの に,剰 余 価 値 率 を 一 定 不 変 と 仮 定 す る こ と は 不 合 理 で は な い か 。 も し そ れ を 一 定 と す れ ば,生 産 力 の 発 展 を 誘 致 す る=有機 構 成 の 上 昇 は, 実 質 賃 銀 の 向 上 を 意 味 す る こ とに な り,労 働 者 階 級 の 貧 困 化 と い う マ ル キ シ ズ ム の 基 本 法 則 と も矛 盾 し な い か 。 この よ う な 疑 問 は,オ ー ス トリ イ マ ル キ ス トか らの み な ら ず,J.RobinsonやP.Sweezy等 か ら も投 げ か け られ て い る。Gillmanは そ れ らの 批 判 を 容 認 し,特 にSweezyの 見 解 に 同 調 し な が ら,次 の よ う な テ ー ゼ を 打 出 し て い る 。 す な わ ち有 機 構 成 を 上 昇 させ る よ う な 型 の 資 本 蓄 積 は,剰 余 価 値 率 を 引 上 げ る 可 能 性 が あ る が,最 大 限 利 潤 の 追 求,そ の た め の 極 大 投 資 と い う個 別 資 本 の 至 上 命 令 は,折 角 増 産 され た 剰 余 価 値 の 実 現 を 無 駄 に させ る。 こ の 矛 盾 は 周 期 的 経 済 恐 慌 の 形 を と って 表 面 化 し,利 潤 率 を 引 下 げ る 。 利 潤 率 は 周 期 的 に 鋭 く低 落 す る ば か り で な く,恒 久 的 に も低 下 傾 向 を み せ て い る 。 そ れ は 剰 余 価 値 を 実 現 す る た め の 経 費 が,特 に 独 占 段 階 で は 恒 久 的 に 増 加 せ ざ る を 得 な い か らで あ る と。

わ れ わ れ は,本 書 が 『資 本 論 』 の 言 葉 尻 を 断 片 的 に と ら え て,混 乱 に お ち い って い る 節 の あ る こ と を 認 め る が,利 潤 率 低 下 の 法 則 を,彼 の 身 近 な ア メ リ カ資 本 主 義 を 姐 上 に 精 緻 に 立 証 し よ う と し て い る こ と,し か も そ の よ うな 実 証 分 析 か ら,現 代 資 本 主 義 の 重 要 な 特 徴,す な わ ち 独 占 段 階 で は 無 駄 使 い の 経 済(consumptioneonomy)と,

一 般 的 な 危 機 に 移 行 す る とい う必 然 性 を 導 き出 し て い る 点 に ,少 な か ら ぬ 興 味 を 惹 か れ る 。

・ 本 書 は1.利 潤 率 低 下 の 理 論 的 意 義,2.こ の 法 則 の 体 系,3.こ の 法 則 の 問 題 点, 4.5.こ の 法 則 の 統 計 的 検 証,6.算 定 方 式 を 修 正 す る 必 要,7.剰 余 価 値 と不 生 産 的 支 出,8.こ の 法 則 の 運 動,9.周 期 的 経 済 恐 慌 の 激 化,10.大 衆 の 慢 世 的 貧 困 化,以 上 の10章 か ら構 成 され て い るが,わ れ わ れ は こSで は 利 潤 率 低 下 の 問 題 に し ぼ って,彼 の 実 証 分 析 の 成 果 を 紹 介 し て み た い 。

(2)

1

マ ル クスは 資 本 論 の第3篇 に お い て,利 潤 率 の低下 傾 向を 問 題 と した 際 に,搾 取 率 を コソ ス タソ トとす る有 機 構 成 の上 昇 が 利 潤 率 の 低下 を招 くとい う自明 な 理 論 が,実 際 に は 『反対 に作 用 す る諸 原 因 』に よって 打 ち 消 され る可 能 性 のあ る こ とを 指摘 して い た 。す なわ ち,生 産 技 術 の進 歩 は労 働 を強 化 させ た り,前 貸 資 本 の諸要 素 を 低廉 化 し,そ して特 に相 対 的剰 余 価 値 を増 加 させ る。 剰 余価 値 率 の 引 上 げが 有機 構成 の 上 昇 を 上 回 るな らぽ,利 潤 率 の 低下 は み られ な い 。 この よ うに 剰余 価 値 率が 有機 構 成 の変 動 に応 じて伸 縮 す る可変 要 因 で あ る とす れ ば,Sw㏄zyが 述 べ て い る よ うに,『 利 潤 率 の変 動 す る方 向 は不 確 定 な もの に な る。 』 現 代 で は,労 働 生 産 力 の増 大が 特 に不 変 資本 の価 格 を 引下 げ る効 果 は,マ ル クスの 時 代 とは 異 って,『 特 殊事 情 』 で は な く,工 業 生産 の 『原 則 』 とな って い る。そ うだ とすれ ば利 潤 率 の低 下 は,傾 向的 な 法 則 と して も,実 際 問 題 と して は十 分 の 説 得 力 を もて な くな るので は なか ろ うか 。す べ て 法 則 は, 諸 事 実 に則 した 結 論 を引 出 し得 る限 りしか 効 力 を もて な い 。 マル クス の時 代 に は,こ の法則 を 立 証 す る資 料 に 乏 しか ったが,今 日で は豊 富 な事 実 が 蓄 積 され て い る。Gillmanは この よ うな 問題 意 識 か ら,ア メ リカ資 本主 義 の発 展 に則 し て,こ の法 則 の 再 検 討 に と りか 玉る。

Gillmanは ア メ リカ 合 衆 国 に お け る 資 本 の 有 機 構 成,剰 余 価 値 率,利 潤 率 三 老 の セ キ ユ ラ ー 。 ト レ ソ ドを 把 握 す る た め,工 業 セ ソ サ ス(U.S.Censusof

Manufactures)を 利 用 して い る 。 しか し こ の セ ン サ ス で は,固 定 資 本 の 現 在 高 や 償 却 費 が 分 らな い 。 そ こで 彼 は 一 応 固 定 資 本 の 償 却 費 を 別 と し て,各 工 場 に お け る年 間 の 原 材 料,燃 料 動 力 の 使 用 額 をCと し,賃 銀 支 払 額 をVと じ,

出 荷 額 か ら これ らを 控 除 した も の をSと して,問 題 の 比 率 を 検 出 して い る。

こ の よ うな 支 出 額 を 基 礎 と した 算 定 方 式(flowbasis)に よ る 結 果 は,第1表

の 通 りで あ る。

(3)

ギル マ ンの利 潤率低下論 につい て(藤 沢) 一121一

第1表 フ ロ ー ・ベ ー シ ス に よ る利 潤 率

(不変 資本中の原 価償却 費 を除 く)

年 次

1849 59 69 79 89

1904

09 14 ユ9

13579(2(∠((∠ (﹂Q74Q)33Q

有機構成 ÷ 剰余価値率S 利潤 率 S C十V 2.3

2.7 3.2(2.9) 3.6 2.7

96

125 125(ユ20) 108

123

29 34 30(31) 24 33 3.4

3.7

(3.6) 3.7

5.8

147

155

(148) 148

ユ47

34 33

(33) 32

31

3.3 3.3 3.5(3.4) 3.4 3.4

132 142 157(155)

161 181

31 33 35(35)

37 41

3.2 3.4 3.6 3.5 3.5

(3.4)

178 184 ユ54(167)

149 172

43 42 33(38) 33 38

(原 本p.37よ り)

な お彼 は1919〜39年 間 に つ いて は,税 務 統計 を基 礎 に,固 定 資 本 の償 却 費 を

ふ くめた 不 変 資 本 を 算 定 して,諸 比 率 を 求 め て い る。 原表 は年 次 別 に算 出 され

て い るが,こ れ を大恐 慌 前 後 に 分 け て 夫 々の 平 均 値 を求 め る と,

(4)

有 機 構 成 剰 余 価 値 率 利 潤 率 1921〜29年3.613830

1931〜39年3.714531

の 通 り,第1表 に 比 して 当 然 有 機 構 成 は 高 目,そ の 他 の 比 率 は 低 目 と な る。 こ の よ うに 償 却 費 を 無 視 した 有 機 構 成 や 利 潤 率 の 趨 勢 を 論 ず る こ と に は 無 理 が あ

る が,彼 は 一 応 第1表 か う次 の よ うな 結 論 を 引 出 して い る。

有 機 構 成 は 前 世 紀 を 通 じて 一 貫 して 上 昇 し,'マ ル ク ス の 仮 設 を 裏 付 け て い る が,今 世 紀 に 入 る と上 昇 率 は 鈍 化 し,第 一 次 大 戦 後 は 殆 ど停 滞 して い る 。 剰 余 価 値 率 は 前 世 紀 を 通 じて 略 々不 変 で あ った が,今 世 紀 に は か な り急 激 に 伸 び て い る。 した が っ て 利 潤 率,は マ ル ク ス の 推 論 を 裏 切 っ て 低 下 傾 向 を 示 して い な

いo

第 皿表 ス ト ツ ク ・ベ ー シ ス に よ る利 潤 率

1880 90 1900

12

ユ9

1920 21 22 23 24 25 26 27 28 29

有機構成 剰余価値率 利 潤 率

1.5

L9

2.6(2.7)'

3。2

4.3

102 114 132(122) 137 125

69 60 50(50.O)

42 29

4.3 5.6 4.7 4.2 4.4

(4.5) 4.3

4.4 4.4 4.5 4.4

103

121

(132) 136

139

159

18

29

(29.4) 32

32

36

(5)

ギ ル マンの利 潤率低下 論につい て(藤 沢) 一123一

O1234567893333333333 O1234567890124444444444555

5.1 5.9 7.3 6.7 5.4

(5.3) 4.7

4.3 4.0 4.9 4.3

147

150

(142) 130

130

151

25

22

28

33

35

(28.6)

4.0

3.4

2.7

2.2

2.1

2.5

3。3(3.2)

3.3

3.5

3.8

3.6

3.5

3.6

一(ユ33)

129

129

ユ41 133

132

…(37

.6)

39

4.07)439

(原 本pp.55〜6よ り)

だが 実 際 に は,資 本 の集 積 や 集 中 に と もな う在 庫 品 の増 加 や 固 定 資 本 の膨

脹,そ れ ら現 物 資本 の回 転期 間 の延 長 は,企 業 家が 慣 習 的 に投 資 決定 の基 準 と

す る利 潤 率 に 重大 な影 響 を与 え て は い な いか 。 この意 味 に お け る利潤 率 を算 定

す るた め には,投 下 資 本 の残 高 を 基礎 とす る算 定 方 式(stockbasis)に よ らな

け れ ぽ な らな い 。 こ う してGillmanは 上 記 の よ うな 第 五表 を作 成 して い る。

(6)

こ の表 に は,工 業 セ ン サ ス の ほ か にB.1.Rの 所 得 統 計,B.L.S.の 労 働 統 計 等 が 用 い られ て い て,第1表 とは 基 礎 資 料 を 異 に し て い る 。 ま た 利 潤 率 計 算 の 分 母(総 投 下 資 本)に は,可 変 資 本 が ふ く ま れ て い な い 。 こ れ は Gillmanに よ る と,可 変 資 本 の 回 転 は 速 い(週 給 も し くは 旬 払)か ら,投 下 資 本 残 高 と して は ネ グ リジ ブ ル だ との 理 由 に よ る 。 第II表 に よ る と,有 機 構 成 は 緩 慢 な 上 昇 曲 線 を 画 い て い るが,剰 余 価 値 率 は 極 め て 弾 力 的 な た め,利 潤 率 は 必 し も低 下 し て い な い 。30年 代 に お け る利 潤 率 の 低 下 は,有 機 構 成 と の 関 連 に よ る とい う よ りは,経 済 不 況(depression)の 影 響 に よ る も の で あ る と彼 は み て い るQ以 上 何 れ の 算 式 に よ る に せ よ,第 一・ 次 大 戦 ま で は 剰 余 価 値 率 を 一 定 と す る有 機 構 成 の 上 昇 は,利 潤 率 の 低 下 とな っ て 現 わ れ て い た が,大 戦 後 に は こ の 関 係 は 乱 れ て い る。 した が っ て 彼 に よ る と,マ ル ク ス の 利 潤 率 低 下 の 法 則 は,資 本 主 義 が 十 分 に 発 達 して 機 械 化 され た 段 階 に は,そ の ま エで は あ て は ま らな くな っ て い る。 「これ は 工 場 制 手 工 業 か ら機 械 工 業 へ の 資 本 主 義 の 転 換 が,小 規 模 の 競 争 生 産 の 状 態 か ら大 規 模 の 独 占 生 産 の 状 態 に 転 換 した こ とを 意 味 す るた め で あ る とい っ て よい 。 こ の よ うに 新 し い 諸 条 件 が 支 配 的 に な る と,

マ ル クス の い った 反 対 に 作 用 す る 諸 事 情 が,新 な 質 的 強 度(newquali‡ative intensity)を お び る 。 」(原 本P.60)資 本 主 義 は 技 術 革 新 や 経 営 管 理 の 改 善 に

よ って,往 年 の よ うに 不 変 資 本 の 追 加 投 資 を 強 化 しな く と も,剰 余 価 値 率 を 引

上 げ る こ とが で き る よ うに な っ た 。 で は こ の 法 則 は,現 代 で は 根 底 か ら揚 棄 さ

れ て し ま った と断 言 で き るだ ろ うか 。 これ に 対 す るGillmanの 解 答 は こ う で

あ る 。 す な わ ち マ ル クス の 法 則 は,独 占 資 本 主 義 の 諸 条 件 の も とに 効 力 を 失 っ

て し ま っ た と い う よ りは,「 この 法 則 の 作 用 を 立 証 す る た め に,わ れ わ れ に よ

っ て 用 い られ て い た 従 来 の 方 式(formula)が,新 情 勢 の も とで は 妥 当 し な い

と い う見 解 を と りた い 。 … … た と え ば 投 下 資 本 を 追 加 す る こ と な しに 附 加 的 剰

余 価 値 が 生 産 さ れ る 可 能 性 が 生 じた 玉め に,剰 余 価 値 実 現 の 主 要 形 式,そ の 資

本 へ の 転 換 の 主 要 形 式 が 傷 つ け られ る に 至 って い る 。 こ の 場 合 資 本 主 義 体 制 が

運 動 し続 け るた め に は,剰 余 価 値 実 現 の 新 しい 形 式 が 見 出 さ れ な け れ ば な ら

な い し,法 則 を算 定 す る方 式 と して も,そ う した 新 し い形 式 が 考 慮 さ れ な け れ

ば な らな い 。 」(原 文p.61)

(7)

ギ ル マンの利 潤率 低下論につ いて(藤 沢) 一IZ5一

こ うしてGillmanは,次 の三 つ の根 拠 か ら,こ の法 則 を再 編成 す る 必 要 を 説 い て い る。

1.独 占資 本 の制 度,お よび余 剰 価 値 の生 産 と実 現 の独 占形 式 の成 熟

ア メ リカの 帝 国主 義 は,前 世 紀 末 キ ューバ や フ イ リッピ ンに対 す る軍 事 占領 の形 で 出発 したが,そ の 後広 汎 な 国 内市 場 や 資 源 に恵 まれ て,対 外 的 に は 門 戸 開放 主 義 や 高 率関 税 政策 を と った 。この よ うな政 策 の主 体 は,前 世 紀 末 の恐慌 に 刺 戟 され て結 成 され た トラ ス トお よび持 株 会 社 組 織 の独 占資 本 で あ る。だ が 斯 る組 織 は,第 一 次 大 戦 後 『マ ネイ トラス ト狩 』 の対 象 と され た エめ に,独 占資 本 の支 配 は 別種 の巧 妙 な制 度 に置 替 え られ た 。 何れ にせ よ 「独 占資本 は競 争 を 排 除 し,生 産 技 術 を発 展 させ る こ とに よ って収 益性 の 改 善 に努 め て い る。 … … 彼 等 は 市場 を支 配す る こ とに よって,何 時 で も,ま た特 に恐慌 のお それ あ る場 合 は,価 格 引下 げ の不 安 を 軽減 し,そ れ に 生産 を 支 配す る こ とに よって,価 格維 持 の た め 生 産制 限 を行 う。 」(原 文p.99)彼 等 は 不 断 に 生産 技 術や 経 営 管理 を 改 善 し,そ うした 低 コス トの商 品 を市場 に供 給 して い るが,し か も旧式 な 高 コ

ス トの 設 備 を 温 存 し,後 者 に よ っ て 市 場 価 格 の 調 節 を 図 っ て い る。 労 働 生 産 性 上 昇 の 果 実 は,こ の よ うに し て オ リ ゴ ポ リイ の 独 占利 潤 と して 吸 収 され る 。 ア

メ リカ の 巨 大 企 業(giants)は,第 一 次 大 戦 前 に 成 立 し,戦 時 お よび 戦 後 の 相 対 的 安 定 期 を 通 じ て 今 日の 大 を な した 。 金 融 業 を 除 く200の 大 会 社 は,1909年 に は 全 会 社 資 産 の33%を 占 め て い た が,1929年 に は 約50%,1933年 に は57%

を 占 め た 。 ま た1947年 に は 全 工 業 会 社 の 僅 か0.5%弱 の 大 会 社 が,全 会 社 正 味

資 産 の46%を 掌 握 して い る。 こ の よ うな 巨 大 企 業 は,も と も と ヲ ー ル ス ト リー

トの 金 融 的 庇 護 の も とに 成 長 した も の で あ るが,「 巨 大 工 場 が 自己 の も の とな

るや,『 マ ネ イ ト ラ ス ト』 に 結 び つ い て い た 膀 の 尾 を た ち 切 って い る 。 彼 等 は

い ぜ ん と し て 重 役 交 換 制 度 に よ り,後 者 か ら養 分 を 吸 収 して は い るが,減 価 償

却 積 立 金 や 未 処 分 利 益 金 か ら益 々多 くの 自己 金 融 を 行 っ て い る 。 こ の 条 件 も

第 一 次 大 戦 後 に 成 熟 した も の で あ っ て,金 利 が 低 下 し,工 業 会 社 の 長 期 債 が 償

還 さ れ る に つ れ て,産 業 利 潤 が 増 大 した こ と を 意 味 した 。」(原 文P.74)

(8)

2.技 術 革 新 と科 学 的 管理 方 法 の 改 善

第 一 次 大 戦 後 の ア メ リカ産 業 の 特 色 は,部 品 や 製 品,生 産 行 程 の規 格 を統 一 一 し,工 場 や労 働 の 生 産 効率 を改善 し,副 産 物 を利 用 して 全 国 的 に 生 産 の 無 駄 を 省 い た こ とで あ る。 「これ はす べ てCの 価 値 を 引下 げ,C単 位 当 りの労 働 利 用 を増 進 させ,金 にお け るvの 腫 をた か め,か くて 資 本 の磯 構 成 の 上 昇 を 阻 止 す る 傾 向が あ った 。」(原 文P.75)斯 る 合 理 化 の 主 要 な 契 機 は,電

力 に よ る 蒸 気 力 の 代 置 で あ って,そ れ は 大 規 模 な 計 測 操 業(instrumentation) を 可 能 な ら しめ た 。 コ ソ ト ロ ー ラ ー,イ ン デ イ ケ ー タ ー,レ コ ー ダ ー 等 の 要 素 か らな る 計 測 装 置 は,そ れ らを 具 備 した 独 占企 業 に 産 出 高 の フ レ キ シ ブ ル な 調 整 能 力 を 補 償 した 。

オ ー トメ ー シ 。ン・ は 機 械 の 消 耗 を ふ せ ぎ,そ の 耐 久 力 を 強 化 しな が ら も,生 産 の ス ピ ー ド ア ップ を 促 進 し た 。 た とえ ば フ ォ ー ドの 乗 用 車 一 台 当 りの 生 産 期 間 は1920年 の21日 か ら31年 の14日 に,そ し て 最 近 で は50時 間 に 短 縮 さ れ て い る 。 ま た 生 産 の 合 理 化 は,産 出 高 単 位 当 り固 定 資 本 の み な らず,原 材 料 や 燃 料 動 力 等 流 動 資 本 の 節 約 を と も な って い る。 鋼 塊 の 産 出 高 は1947年 か ら54年 の 間 に4%増 加 した が,鉱 石 は4%,石 炭13%,石 灰 は6%,ス ク ラ ップ は9%も 節 約 され た 。 火 力 発 電1Kw当 りに 必 要 な 石 炭 は,1902年 の6.5ポ γ ドか ら30年 の1.5ポ ソ ドに 低 下 した 。 新 技 術 導 入 に よ る原 材 料 品 質 の 改 善 は,治 金 工 業 や 繊 維 工 業 に 著 しい 。

以 上 の よ うに 技 術 革 新 は,資 本 節 約 的 な 効 果(capitalsavingeffect)を 発 揮 し な が ら,産 出 高 単 位 当 の 必 要 労 働 日を も大 巾 に 短 縮(1aboursavingeffect)

して い る 。 工 業 の 労 働 生 産 性 は,1909〜19年 間 に5倍,1919〜29年 間 に10倍 も

上 昇 し た 。 し た が っ て ア メ リ カ で は,生 産 の 合 理 化 に も 拘 らず,資 本 の 有 機 的 構

成 は 比 較 的 に 停 滞 しい い る 。 だ が 物 財 資 本 の 効 率 が 上 昇 した こ とは,労 働 の 搾

取 率 が 強 化 され る結 果 と な った 。 第1,II表 に お け る両 大 戦 間 の 剰 余 価 値 率 の

上 昇 は,こ の こ と を 立 証 して い る。 「要 す る に 第 一 次 大 戦 後 は,不 変 資 本 の 性 格

に 質 的 な変 化 が お こ っ た 。 そ れ は 従 来 の 量 的 表 現 で は 隠 蔽 され て い た の で あ

る 。 高 価 な 工 業 用 の 機 械 が 比 較 的 安 価 な 装 置 に よ って 大 い に 置 換 え られ た こ と

(9)

ギルマンの利潤率低下論について(藤 沢)‑127一

や,原 材 料 の消 費 が 大 巾 に節 約 され た こ とは,不 変 資本 の 量 的 な膨 脹 を価 値 的 に も素 材 的 に も緩 慢 な らしめ た。 … … けれ ど も工 業 装 置 の整 備 は,不 変 資本 の 質 的 機 能,す なわ ち 剰 余 価 値 造 出 の基 盤 と して奉 仕 す る機 能 を緩 慢 な ら しめ な か った 。」(原 文P.80)賃 銀 の 上 昇 は,労 働 生産 性 のそ れ か ら遙 か に 立 遅 れ て

い る。1919年 後 有 機構 成 の上 昇 な くして,剰 余 価 値 率 が 増 進 した 秘 密 は こxに あ る。 とは い え この 関 係 は,他 の 条件 を一 定 とす る と,利 潤 率 上 昇 の可 能 性 を 制 約 す るに至 る。 す なわ ち 新 技 術 体 系 は,原 材 料 を節 約 し,固 定 資 本 の耐 用期 間 を延 長す る こ とに よ って,長 期 的 には投 下 資 本 お よび投 資 市場 を 縮小 させ る 傾 向が あ る。 工 業 化 が 有 機構 成 の上 昇 を と もな って いた 時 代 に は,そ れ が 資本 財 お よび投 資 の大 き な捌 口に な った 。 「しか し今 や 事情 は 一変 して,資 本 財需 要 の弱 点が 強 くあ らわれ て い る。 新 技 術 は 新 しい 市 場 問題 を 惹 起 し,潜 在 的 な産 出高 を どの よ うに処 理 した らよいか とい う問 題 を深 刻 な もの に して い る。」(原 文P.81)

3.経 営 管理 費 す なわ ち 剰 余価 値 実 現 の諸 経 費 が 増 加 した こ と

前 述 の よ うにGillmanの 検 出 した剰 余 価 値(S)は,工 業 セ ソ サ ス の 出 荷 額,も し くは所 得 統 計 の附 加価 値 か ら,賃 銀 部 分 そ の他 を控 除 した もの で あ る が,金 利,地 代,公 租 公課 は もち ろ ん,企 業 主 体 の負 担 とな る流 通 費 を ふ くん で い る。 と ころで 彼 に よる と,マ ル クスの時 代 に は 『資 本 家 』 は な お す ぐれ て

『企業 家』であ った ば か りで な く,『 経営 の管 理 者 』 で もあ った 。 したが って表 式 上 のSは,金 利 や地 代 は別 と して,お よそ 産 業 資本 家 に利 潤 と して 帰 属 す る傾 向が あ った 。「しか る に現 代 の よ うに工 業 の 集 積,集 中が 高 度 化 し複 雑 化 し て くる と,資 本 家 は最 早 唯 一 の主 要 な経 営 者 で は あ り得 な くな る。 マル クスの 規定 した 個人 資本 家 は,実 際 に はか な り消 滅 して,集 団資 本 家 た る会社 が 登 場 す る。今 や 「資本 家 』 は管 理 人 を使 用 して い て,以 前 は 支払 利 息 や地 代 は 別 と

してす べ て 占有 して いた 余 剰価 値 を,多 数 の 管 理 者 に分 与 して い る。 したが っ

て もはやSはPと 等 し くは な い 。今 や そ れ(P)はSか ら新 しい業 務 の 経

費 や,大 い に膨 脹 した管 理 費 を 差 引 い た もの に 等 しい 。」(原 文PP.82〜3)販

売,広 告 等 の流 通 費 や 管 理 費 は,過 去 数十 年 来,資 本家 の剰 余 価 値 に喰 い こみ

始 め た 。 これ らは 他社 か ら顧 客 を 奪 取 し,か つ 会社 に よ って 消費 者 か ら一 弗で

(10)

も余 計 に奪 取 し よ うとす る独 占競 争 の コス トで あ る。斯 る諸 経 費 は,過 速 度老 朽化 の原 理(principleofacceleratedobsolescence)に よって 規制 さ れ,特 に 耐 久 財 の道 徳 的 磨 滅 を促 進 す る。 さ らに こ う した諸 経 費 は 資 本主 義 の 高度 化 に ともな い,総 販 売価 格 の 一部 と して増 加せ ざ るを得 な い 。 「資本 の個 人 的 蓄 積 が 生産 を規制 して い る よ うな経 済 で は,生 産 は き ま って 消費 者 市場 の 消化 力 を 超 過 す る傾 向が あ る。 資 本主 義 の成 長 は,後 述 の よ うにそ れ が 窮 極 の 消 費 者 市 場 の能 力 を制 限 す る傾 向が あ る限 りは,資 本 の継 続 的 蓄 積 の可 能 性 を次 第 に 枯 渇 させ る こ とを意 味 す る。 この よ うな状 態 の も とにお い て は,売 上 高 を 増 や し,生 産 物 の 処 分 を容 易 な らしめ る対策 費 を支 出す る こ とに 不 断 の 努 力が 集 中 され ね ば な らない 。」(原 文p.83)斯 る諸 経 費 は剰 余 価 値 を生 産 す る た め で は な く,そ れ を 実現 す るた め の コス トで あ る。そ れ らは,工 場 の 門外 に 支払 わ れ る流 通 費 と して の不 生 産 的 な支 出(unproductiveexpenditure)で あ る。 実 業 家 は,過 数十 年 来 流 通 費 や 公 租諸 負 担が 増 加 した Σめ,投 資 に対 して 『適 正 な利 潤 』 が 得 られ な くな った とこぼ して い る。 「経 済全 体 と して も,こ の よ う な 『不 生産 的諸 支 出 』 の増 加 は,生 産 され た 剰余 価 値 を 蚕 食 し,実 現 され た純 余 剰 価 値率 を減 退 させ る よ うに は た らきか け る傾 向が あ る。 資 本家 の経 営 決 意 を規 制 し,資 本家 的発 展 の諸 傾 向 を決 定す る もの は,ま さに この 純 益 で あ る。

利 潤率 低 下 法 則 の効 果 を1919年 以 降 に つ い て 立 証 す るた め に は,こ れ を測 定 す る工 夫 を 加 え なけ れ ば な らな い。 わ れ われ が さ きに 用 い た 方式 で は,と て も斯 る純 収 益 を表 示 す る こ とはで きな い 。」(原 文p.85)

W

マル クス にお い て は,剰 余 価 値 の生 産 は 資 本 家 的 生産 行 程 の 第 一 局 面 と し

て,そ の 実現 は第 二 局 面 と して統 一 的 に 処 理 され て い る。 この 方 法 は 独 占資 本

主 義 の 段 階 で も適 用 され ね ぽ な らぬが,慨 念 の 明確 を期 す るた め に は,当 面 の

問 題 た る 第 二 局 面 を 立 入 っ・ て 分 析 す る 必 要 が あ る 。 生 産 を 実 現 と

区 別 す る こ と は,生 産 的 支 出(生 産 的 労 働)を 不 生産 的 支 出(不 生産

的労 働)と 区別 す る こ と 二密切 な関 連 が あ る。 前 述 の よ うに,資 本 主義 的 生 産

(11)

ギルマンの利潤率低下論にっいて(藤 沢)一 一 一129=一"

労 働 とは他 人 の た め の 効 用(販 売 の た め の商 品)を 生 産 し,使 用者 側 に収 益(

剰 余価 値)を もた らす労 働 で あ る。商 業労 働 は 剰余 価 値 を 実 現 し,体 制 の運 動 を維 持 す るた め に は不 可 欠 の サ ービ スで あ るが,直 接 に は 有価 物 を 生産 しな い ば か りで な く,剰 余 価 値 か らの控 除 を意 味 す る。 この意 味 に おけ る不 生産 的 な 経 費 をUと す れ ば,S‑Uが 産業 資本 家 に と って正 味 の剰 余価 値 で あ り,彼 等 の 利 潤 率(純 益 率)は,フ ー ベ ー シ ス で は で 轟 恥 一,ス トツ ク ベ ー シ

S‑‑U

U一 と な る 。 こ う し てGillmanの 命 題 に よ る 。と ・ 「独 占 以 前 の 資 ス で は

本 主 義,お よび 有 機構 成 が 上 昇 して い た段 階 には,C経 費 は比 較 的 に些 細 な 要素であ って,法 則 の基灘 ÷ 〉 ÷ におかれ ていた・ しか る噺 技術を と '

りいれ ・不生齢 支 出をふや してい る独 占資本議 の鵬 では ド 号 は比灘 に安定 して いて,法 則 の基蹴 辛 〉暑 におか れ て い る.」(原 文P.9・)彼

は こ の 係 数 を表 出 す る に あ た っ て,若 干 の 注 目す べ き予 備 的 事 実 を 指 摘 し て い る。 た と え ぽ 広 告 費 は1867年 に は5千 万 弗,1900年 に は15億 弗 強,1919年 に は 23億 弗,1929年 に は35億 弗,1955年 に は90億 弗 に 膨 脹 して い る と推 定 して い る 。

ま た 配 給 業 務 の 従 業 者 の 工 業 関 係 有 職 者 数 に 対 す る創 合 は,1870〜80年 代 の12

〜3%か ら1930年 代 の27%に 上 昇 し て る。1910〜40年 間 に 総 労 働 者 数 は40%増 加 した が,事 務 関 係 の 職 員 は234%,簿 記,会 計,出 納 関 係 の 職 員 は189%oも 増 加 した 。 ま た 全 米 工 業 会 社 の 生 産 労 働 者 に 支 払 わ れ た 賃 銀 に 対 す る ホ ワイ ト

・カ ラ ーに 支 払 わ れ た 俸 給 の 割 合 は,1899〜1914年 平 均 の26 .2%,1919〜28年 平 均 の30.7%,1929〜38年 平 均 の39.6%と 増 加 し て い る。 これ ら 配 給 及 び,事 務 関 係 の ホ ワ イ ト・カ ラ ーす べ て を 不 生 産 的 労 働 者 とみ な す こ と は で き な い が,ア

メ リカ 独 占 資 本 主 義 の 成 熟 に と も な っ て,流 通 関 係 の サ ー ビ ス に 益 々多 数 の 人 手 が 動 員 さ れ て い る こ と は 明 ら か で あ る 。 彼 は 以 上 の 事 実 を 念 頭 に お い て,U 経 費 を 次 の 如 く算 出 して い る。 す な わ ち 前 述 のSか ら,税 務 当 局 の 推 計 した 工 業 会 社 の 利 益 金,お よ び 金 利 と地 代 を 控 除 した も の と して 。 彼 の 計 算 に よ る

と,不 生 産 的 経 費 の 剰 余 価 値 に 対 す る比 重 は,第III第IV表 の 通 りで あ る。

(12)

第1表 不 生 産 的 経 費 の 比 重

1.総 剰 余 価 値

̀2.工 業 会 社 税 込 利 益 金 3.支 払 利 息 及 び 地 代

4.不 生 産 的 経 費 〔1‑一(2十3)〕

5.純 余 剰 価 値(1‑‑4) 6.可 変 資 本

瑚 余剰価解(÷ ×…)

1919年 12,956 5,566 855 6,535 6,421 9,614

67

8.投 下 資 本(ス ト ツ ク ・ べ ■ 一 … シ ス)41,566

9・純利潤率(÷ ×1・ ・)

・ ・渕 余価骸 現の顯 率(÷) U呵 変費本の顯 率(÷)

15.4

50

68

(単 位 百 万 弗) 1929年1939年

17,77413,776 4,9903,634

969652 11,8159,940 5,9594,286 10,8359,253

5546

47,54038,750

12。511.1

6069

1Q9103

Q)01((﹂4.5122222291 (Q74(Q)((

率 潤 利 純 た し 除 控 を 費 経 的 産 生 不 表 W 第

6

σ

(

護 謬 利 ド

純 依

余 率 剰 値

純 価

の 率 値 価 費 余 剰 経

の 率 本 資 費 変 可 経

68 70 104 72 77 86(90.5) 93 88 100 106 109

50 63 90 58 60 66(66.7) 65 63 69 67 66

67 41 11 52 51 45(45.3) 49 52 44 53 55

15.4

9.2

2.0

10.6

ユ2.2

10.2(IO.2)

11.4

11.8

10.0

11.9

ユ2.5

12.C

8.0

2.1

9.8

9.8

8.3(8.6)

8.8

9.4

8.0

9.3

9.6

(13)

ギル マンの利 潤率低下論 について(藤 沢)

一131・ 一・

O1234567893333333333

13ユ82 15695 159UO

l3185 10677

(118.9)(80.1) 9469

9966 9067

"12081

10369

Q)72

5.7 1.3

233.4 325.8

(30.2)(6.5) 428.9

5111.9 4311.0 295.9 4611.1

4.9 1.2

3.8

5.6

(5.2)・

7.2

8.6

7.9

4.7

8.2

表 記 の 如 く,U経 費 の可 変 資 本 お よび 剰余 価 値 に対 す る比 率 は 年 々増 加 の 一途

を 辿 り,産 業 資 本 の純 収 益 を圧 迫 して い る。 統 計 資 料 の 関 係 で,こ の 純 利 潤率

(純 益率)を 独 占以 前 の 段 階 と比 較 す るこ とは で きな いが,前 述 の よ うに商 業労

働 の比 重 が増 加 して い る との事 実 認識 か らす れ ば,U経 費 は 絶 対 的 に も相 対 的

に も増 崇 して い る もの と推 察 され る。但 し会社 の税 込 利 益 金 が 過 小 評 価 され て

い る とす れ ば,U経 費 は過 大 に表 出 され るこ とに な るが,そ のU経 費 に は 相 当額

の 生 産 的 サ ーヴ イ ス料 が ふ くまれ て い る とみれ ぽ,両 者 は 相 殺 され る。 何 れ に

せ よ両 大 戦 間 に お い て は,年 次 的 に トレ ソ ド と して不 生 産 的 経 費 が 逓 増 して い

る こ とは疑 い の余 地 が な い 。彼 に よ る と,こ の よ うなU経 費 を控 除 した 純 利 潤

率(A)は 「従 来 の マ ル キ ス トが 算 定 した 利 潤 率 よ りは ビ ジ ネ スの収 益 を よ り

現 実 的 に反 映 す る」(原 文p.97)と い う。 な お このU経 費 を,支 出 され た 資

本 と して,可 変 資 本や 不変 費 本 に 追 加 し,フ 胃一ベ ー シ スで 純余 剰価 値 に 対す

る比 率 を求 め る と,第IV表 の 純 利潤 率(B)の 如 く,そ の低 下 傾 向 は一 層 明 ら

か とな る。 また 企業 採 算 と して は,租 税 負 担 も関 心事 で あ る。工 業 会社 の 法人

税(連 邦所 得 税,超 過所 得 税,同 州附 加税)は,1929年 の635百 万 弗か ら,39

年 の755百 万 弗,49年 の5,810百 万 弔 に増 加 して い る。会 社 の 附 加 価 値 か ら賃

銀,俸 給 お よび償 却 費 を差 引 い た もの(利 益金)に 対 す る上 記 法 人 税 の 割 合

は,'1929年 の5.2%か ら39年 の8.2%,49年 の22.7%と 増 加 して い る。前 世紀

(14)

に は,こ の よ うな租 税 負 担 は ネ グ リジ ブルで あ った とい う。 ところでGillman に よれ ば,租 税 負 担 の 増 大 は,内 外 に 独 占 資 本 の 有 利 な 投 資 の 雰 囲 気(

favonrableclimateforprofitablebusinessinvestment)を 醸 成 す るた め の 政策 費 り増 加 を意 味 す る。 「政 府 支 出 の増 大 は,主 と して 増税 に よ って 賄 われ なけ れ ば な らな い 。そ して税 金 は広 告 費 や 販 売 対策 費 と同様 に不 生 産 的 な経 費 で あ る。 事 実,税 金 は 資本 家 的 世 界 市場 を拡 張 し,防 衛 す るこ とを 目的 と して用 い

られ る限 り,一 種 の販 売 対策 費 で あ る。」(原 文pp.103〜4)

Gillmanは 以 上 の よ うな 現 実分 析 の結 果,利 潤 率 低 下 法 則 は 次 の よ うに ダ イ ナ ミッ クに解 釈 され なけ れ ば な らな い と結 んで い る。 す なわ ち剰 余 価値 率 を 一 定 とす る有 機構 成 の上 昇 とい うマ ル クスの 仮 定は,前 世 紀 に は 真 実 性 をも って いた が,独 占資本 主 義 の 現 段 階で は,剰 余 価 値 の 生産 と実 現 の方 式 が 質的 に転 換 され た 玉め に,事 実 に則 さな くな った 。利 潤率 低下 法則 を 現 代 的 に吟 味 す る た め に は,算 定 方 式 を修 正(modificationoftheformula)し て,相 反 す る 諸 力 の相 互 作 用 を十 分 に 反 映 させ なけ れ ば な らな い 。 有 機構 成 の 上 昇 は,事 後 的 に労 働 の 生産 性 を 引上 げ る。 そ れ は また 物 的 産 出能 力,お よび資 本 家 的 採 算 か ら特 に 重要 な 剰余 価 値 の生 産 能 力 を 増 進 させ る。 だ が この 能 力 と現 実 は 同 一 物 で は な い 。 有 機構 成 の 上 昇 は,労 働 の 生 産性 や 物 的 産 出能 力 を 増 加 させ るば か りで な く,資 本 蓄 積 とは不 釣 合 に雇 用 水 準 を 停 滞 させ,失 業 者 を増 加 させ る 作 用 が あ る。 した が ってそ れ は 産 出能 力 の増 進 に比 して消 費 者 市 場 能 力 の増 進

を 鈍 らす傾 向が あ る。 「斯 る能 力 の矛 盾 は,遅 か れ 早 か れ 市 場 に おけ る余 剰 価 値 実 現 の 困難 を強 化 す る もの と して現 わ れ る。 独 占以前 の段 階 に お い ては,こ

うした 実 現 難 に対 す る特 徴 的 な反 応 は,価 格 の 引 下 げ で あ った 。 しか るに 独 占 段 階 の 特徴 的 な反 応 は,価 格 維 持 と販 売 諸 経 費 の増 嵩 とな って い る。 何れ も利 潤 率 の低 落 を招 く。 独 占以前 には,物 価 の 引下 げ が 有機 構 成 の 上 昇 に よ って 招 来 され るべ き÷ の引上げ を阻止 した・ 独 占階 脚 よヂs課 が 実 現 の 騰

を 克 服 し よ う とす る 努 力 を 反 映 す る数 値 で あ る 。」(原 文P.109)つ ま り独 占 段

階臨 け る÷ の停 滞は ド 呈 の聴 こよつて置換 え ら漁 けれ ばな らな い・

独 占 以前 に 有 機 構 成 の上 昇 に よ って実 現 され て い た剰 余 価 値 は,今 や 不 生 産 的

に 支 出 され る 以外 行 方 を 失 って い る。そ の不 生 産 的 支 出は,消 費 者 信 用 や 公

(15)

ギ ル マンの 利潤率低下 論にっい て(機 沢)‑133一

債,お よ び 株 式 や 社 債 等 の 擬i制 資 本 の 造 出 に よ って 促 進 さ れ て い る 。

V

利 潤 率 は 周期 的 に 惹 起 され る恐 慌 期 の鋭 い低 落 を通 じて,長 期 的 に低下 して い る。 そ して 周期 的 恐 慌 が 激 化 す れ ばす る程,利 潤率 は長 期 的 に も低 下 す る傾 向が 強 くな る。有 力 な 景 気 学 者(た とえ ぽBurnsやMitchell)は,景 気 の振 巾 は ひ らい て い な い とい う意 味 で,恐 慌 激 化 の歴 史 的必 然性 を 否 定 し て い る が,景 気 の鍋 底(trough)の 深 さ,不 況 の平 均 的 な 深 さ,不 況 の 巾(持 続 期

間)を 加 味 した総 合指 数 に よ る と,今 世 紀 に 入 ってか ら恐 慌 は激 化 して い る と み て よい 。(原 文P.122)Gillmanは この 原因 と して,有 効 需 要 の性 格 が 変 化 した こ と,労 働 者 の増 加が とま った こ と,お よび 不 生産 的支 出が 増 加 した こ と 以 上 の三 点 をあ げ てい る。 彼 は 有 効 需要 の減 退 に つ いて は,前 述 の よ うに有 機 構 成 上 昇率 の停 滞 に よ って,剰 余 価 値 の 生 産 資本 へ の 転化 が 困難 に な った ため で あ る と して,ポ ス トケイ ソジ ア ソの 長期 沈 滞 理論 を拒 りぞけ て い る。 「資本 主義 の恐 慌 は,こ の体 制 が 沈 滞 す るに いた った た め 」 で は な く,資 本主 義 が 健 康 を維 持 す るた め に,生 産 的 に な り過 ぎ たた め で あ る。 … … 資 本 主 義 の 恐 慌 は,剰 余 価 値 が 生 産 資 本 の 累 進 的蓄 積 に よ って究 極 的 に 実 現 され るに は,過 大 に 生産 され て い るた め に惹 起 され るだ ろ う。」(原 文P.126)産 業 予 備 軍 は 景気 恢 復 の 前 提 条 件 で あ るが,ア メ リカで は 前 資 本主 義 的 領 域 の 消滅 に ょって,

この プ ール は枯 渇 して い る。 完全 雇 用 は 周期 的恐 慌 を成 熟 さ せ る 条 件 に も な る。 以 上 二 つ の 問題 に 関す るGillmanの 説 明は 簡 単 に 失 し て 理 解 に 苦 し む が,不 生 産 的 支 出が恐 慌 を緩 和 しな い し,利 潤 率 の 低下 傾 向を阻 止 し得 な い と い う主 張 には 力点が こめ られ て い る。

U経 費 は,大 恐 慌 前 は販 売 費 や 広 告 費 お よび経 営管 理 費 とい っ た 古 典 的 な

形 態 を と って い たが,そ の 後消 費 者 信 用 の 便宜 に よ って益 々増 加 す るにい た っ

た 。表 面 的 にみ る と消 費 者 信 用 は 一種 の 資 本 蓄 積 で あ り,こ れ に よ って剰余 価

値が 実 現 され るか ら,U経 費 とは異 な る よ うに み え るが,「 本 質 的 に は古 典 的

な型 のU経 費 を 促進 す る手 段 に過 ぎな い 。 そ れ は 後者 の代 替 物 で あ る。」(原

文P.130)売 手 は 消費 者 信 用 に よ って販 売 活 動 費 を省 け るが,そ の信 用 は 将 来 の

(16)

消 費 者 所 得 を 抵 当 に と っ た よ うな も の で,一 種 の 擬 制 資 本 の 蓄 積(spurious formofcapitalaccumulation)に ほ か な らな い 。 証 券 信 用 の 膨 脹 も,そ れ に

よ っ て 実 現 され た キ ヤ ピ タ ル ・ゲ イ ン は 奢 修 的 消 費 を 刺 戟 す る 傾 向 が あ る か ら,そ の 効 果 は 消 費 者 信 用 と 同 様 で あ る 。 しか し大 恐 慌 後 は 公 債 発 行 を も っ て す る政 府 の 不 生 産 的 支 出 が,過 大 に 生 産 され た 剰 余 価 値 の 主 た る捌 口 と な っ て い る 。 剰 余 価 値 の 公 債 投 資 の 効 果 は 二 重 で あ って,1つ は 消 費 者 信 用 や 証 券 信 用 と 同 様 に,政 府 に 消 費 資 金 を 附 与 し,1つ は 経 常 産 出 高 を 増 加 させ る 。 け だ し財 政 需 要 は 益 々増 加 す る傾 向 が あ る し,公 債 に 投 資 され た 余 剰 価 値 は,自 動 的 に は 資 本 市 場 に 還 流 し な い か らで あ る 。 公 債 発 行 を も って す る 政 府 支 出 の 効 果 は,恐 慌 対 策 と し て の ニ ユ ーデ イ ー ル の 場 合 も,冷 戦 状 態 に お け る軍 備 拡 充 の 場 合 も 同 様 で あ る 。 「そ れ は 一 種 の 剰 余 価 値 の 実 現 で あ るが,販 売 に よ っ て 生 産 物 を 貨 幣 資 本 に 転 化 させ る の で も な け れ ば,貨 幣 資 本 を 生 産 的 資 産 に 転 化 させ る こ とで もな い 。 だ か らそ れ は 全 く幻 想 的 な 形 態 の 投 資 で あ る。」(原 文 P.132)か くてGillmanは 不 生 産 的 投 資 の 周 期 的 恐 慌 に お よぼ す 意 義 に つ い て,次 の よ うに 述 べ て い る。 「不 生 産 的 支 出 は,セ ール ス マ ンや 政 府 職 員,軍 人,失 業 者 等 の 『第 三 』 消 費 者 の 購 買 力 が,消 費 財 の 処 分 お よ び 剰 余 価 値 の 貨 幣 資 本 と して の 実 現 を 容 易 な ら しめ る限 りは,生 産 を 維 持 す る に 役 立 つ 。 だ が そ れ は ほ か で 生 産 され た 剰 余 価 値 か ら引 出 され る限 りは,純 利 潤 率 を 低 下 させ る傾 向が あ る 。 こ の 面 に お け る不 生 産 的 支 出 の 上 昇 は,剰 余 価 値 の 実 現 を 促 進 す る とい うそ の役 割 が,不 況 の 激 化 を 引 き の ば し緩 和 す る傾 向 が あ るの と ま さ に 同 様 に,不 況 を 深 め,拡 げ る 傾 向 が あ る 。」(原 文P.131)で は 第 二 次 大 戦 は,そ の 後 の 周 期 的 恐 慌 お よ び 利 潤 率 の 運 動 に ど の よ うな 影 響 を 与 え て い るだ

ろ うか 。 合 衆 国 は こ の 戦 争 に ょ っ て 与 え られ た 三 つ の ス プ リン グ に ょ っ て,ブ ー ム に 導 か れ た 。 す な わ ち 資 本 輸 出 と労 働 力 の 増 加(復 員 や 共 稼 ぎ)お よ び オ

ー ト メ ー シ ・ ン で あ る 。 前 二 者 は 別 問 題 と し て オ ー ト メ シ 。 ン の 効 果 に 関 し, 彼 の 観 察 を 附 記 して お こ う。 オ ー トメ ー シ ョソ は 最 も ド ラ ス テ ィ ッ ク な労 働 節 約 的 な 装 置 で あ るが,そ れ に 劣 らず 資 本 を 節 約 す る 効 果 を も って い る 。 第II表 を み る と,戦 後 数 ケ年 の 有 機 構 成 は 戦 前 の 水 準 に 及 ん で い な い こ とが 分 る 。しか

し これ は ま だ オ ー トメ ー シ 。ン の 装 置 が 建 設 され た ば か りで,完 全 に 労 働 節 約

(17)

ギルマンの利潤率低下論について(藤 沢)‑135‑一

な 効果 を発 揮 してい な いか らで あ る。近 い将 来 に,新 技 術 革 命 の懐 妊 期 間が お われ ば,『押 ボ タ ン。が もの を い うよ うに な るだ ろ う。(産 出効 果)ま た 遠 い将 来 に は,計 測操 業 の歴 史が そ うで あ った よ うに,僅 か な 改 良投 資が 多 数 の労 働 力 を 吸収 す る よ うに な るか も知 れ ない 。 何れ にせ よ伝 統 的 な熟 練 労働 者 は,近 代 的 技 術 者 に と って代 え られ,賃 銀 と俸 給 の隔 差 が 拡 大 す る こ とが 考 え られ る。そ の 場 合 に は 有機 構 成 と剰 余 価 値 率 に 関 す る従来 の マル キ ス トの公式 は 根 本 的 な変 化 を 蒙 る こ とに な るだ ろ うとGlimanは 予 測 して い る。 「Vを 『生 産 的労 働 者 の賃 銀 』と規 定 す る こ とは,も はや 無 意 味 に な るだ ろ う。賃 銀 が 厳 密 にVを 表 示 す るとすれば ド 号 碍 もおそ らく撒 上 は上 昇す るだろ う・ 今後 マルキ ス

トの 方 式 を適 用 して 利 潤 率 低 下 の 法 則 を 検 討 し ょ うと す る 者 は,ま さ に わ れ わ れ が,急 激 に 増 大 し て い るU経 費 を 附 加 して 『Cを ふ く ら ませ よ う』 と した よ うに,『 生 産 労 働 者 の 俸 給 』 を ふ くめ て,『Vを ふ く ら ませ る」 方 法 を 工 夫

し な け れ ば な らな くな る だ ろ う。」

コ メ ン ト

Gillmanに よ る と,ア メ リカで は 資 本 蓄 積 の 増 大(資 本 主 義 の 発 展)は,必 し秀有機 構成 の上 昇 を と もな って い な い ・、技 術 革 新 と経 営 者 革 命 は 生産 的 な労 働 を 節約 す る と と もに,物 財 資 本 を も節 約 す る よ うな型 の投 資 を可 能 な ら しめ なが ら労 働 の 生 産 力 を飛 躍 的 に発 展 させ,し たが って彪 大 な剰 余 価 値 を 生産 し て い る とい う。 この 現状 分 析(計 測 方 法)に は 若 干 の疑 問が あ るが,そ れ は別 問 題 と して,次 の 点 は理 論 的 に再 検 討 の要 が あ る と考 え る。

1.上 述 の よ うな投 資 は利 潤 率 を 引上 げ る可 能 性(少 く とも低下 傾 向 を相 殺 す る効 果)が あ るが,彼 は そ れ に も拘 らず 利 潤 を低 下 させ る要 因 を剰 余 価値 実 現 の 困難 に限 定 して い る よ うで あ る。(P.61.109.126.)こ れ は 彼 が過 少 消 費

説 の ペ ース に捲 き こ まれ て い る こ とを 示す 。(p.83)周 知 の よ うに 市 場(実 現)の 問 題 は,生 産 物 の余 剰 価 値 部 分 のみ な らず,不 変 資 本,可 変 資 本 を 包括

した 商 品 価値 の 全構 成要 素 に關 連 す る 。販 売 費,広 告費 等所 謂流 通 費 は,単 に

剰 余価 値 を実 現 す るに必 要 な経 費 と して ばか りで は な く,投 下 資 本 を 回収 す る

に必 要 な 経費 と して も,競 争 的 に檜加 せ ざ るを得 な い 。

(18)

2.彼 も認 め る よ うに,商 業 資本 の運 動 は(そ れ が 独立 しよ うと,産 業 資本 と 癒 着 して機 能 しよ うと),価 値 を 附 加 しな い し,況 や 剰 余価 値 も生 産 しな い 。産業 資 本 が確 立 され た 以 降 の 段 階 で は,商 業 上 の諸 経 費 は剰 余 価 値 の控 除 を なす も

の と して資 本 に とって は 明 らか に 不 生 産 支 出で あ る。 また この よ うな流 通 費 の 剰 余 価 値 に対 す る比 重 が,独 占段階 で は益 々増 加 して い る こ と も立 証 され よ う。

だ が 流 通 費 の増 加 が直 楼 に利 潤率 の 低下 を表 示 す る もの とみ た り(P.82),濁 立 に利 潤 率 を引下 げ る要 因 に な る とみ なす こ とは(P.85),誤 りだ ろ う。(流 通 主 義 的 偏 向)マ ル クスが 傾 向的 に低 下 す る と規定 した 利 潤 率 は,社 会 的平 均 利 潤 率 で あ って,そ れ は い うまで もな く社 会 の総 剰 余価 値/総 資 本 で あ る。この総 剰 余 価 値 は ヴ イジ ブル な利 潤 と しては,地 代,利 子,企 業 家 利 得(商 人 利 潤,産 業 家 純 収 益)等 に結 実 す る。彼 が 独 占段 階 に おけ る利 潤 率 を表 示す るに 相応 しい fo.!.rrnUlaとして 打 出 したS‑U/Cは,粗 雑 な 内 容 の 資 本 ス トッ クに対 す る企 業 家 家 利得(純 収 益)の 割 合 で あ

って,利 潤 率 とは 縁 遠 い。 産業 家 と して の企 業 利 得 の 増減 は,疑 い もな く産業 資本 の 経 営 規模 を 左右 す る投 資 決 定要 因 と して

重 要 な もので あ るが,こ の点 は 資 本 主 義 が 独 占段 階 に 移行 しよ う とし まい と 同 断 だ ろ う。わ れ わ れ は彼 の よ うな 方 式 で 算 出 したUは,ど の よ うに 変動 しよ うと も,利 潤率 を 規 制 す る要 因で は な く,逆 に 厳 密 な 意味 の利 潤 率 に よ って 規 制 され る從 島 墾数 であ る と考 え る。端 的 に い え ば,統 計 上 このU経 費 が 増 加 して い る とす れ ば,そ れ は産 業 資本 の 生産 し,実 現 し得 る余 剰 価 値 が 増 加 して い る(何 れ も濁 占の 堅 力 に よ って 強化 され る)た め で あ る。 またU経 費 の増 大が 純 収 益(S‑‑U)の 減 少 を招 い て い る とす れ ば,そ れ は 工 業 会 社 の金 融費 本 に 対 ナ る從 麗(後 者 に よ る吸上 げ)を 意 味 す る もの だ ろ う。 も っ とも,流 通 費 の増 加が 利 潤 率 の変 動 に無 関 係 だ とい うわ け で は な い。流 通 費 の増 加 は,そ の他 の不 生 産 的 な 支 出,た とえ ば行 政 費 や軍 事 費 と同様 に,生 産 的投 資(蓄 積 )を 制 約 す るこ とに よ って,間 接 に利 潤 率 の 重 大 な 引下 要 因 とな るだ ろ う。

3.彼 は実 現 問 題 の対 策(不 況 対 策)は,独 占以前 で は 価 格 引 下 げ(price

cutting)に 重 点 が お か れ,独 占以 後 で は価 格 維 持 と流 通 費 の増 額 に 重 点が おか

れ て い るが,何 れ も利 潤 率 の 低 落 を招 くとい って い る。(p.109)だ が 彼 は 残

念 な が ら この点 を 立 入 って論 究 して い な い 。(pp.67〜74の 説 明で は 不充 分)

(19)

ギルマジの利潤率低下論について(藤 沢)一 一 一137‑・

わ れ われ は利 潤 率 低 下 法 則 の現 代 的 意義 を 明 らか にす る鍵 は,こ の相違 を具 体 的 に 追 究 す る調 査 に懸 って い るも の と考 え る。 独 占資本 主 義 お よびそ の よ り高 次 な発 展 段階 と して の 国家 独 占 資本 主義 の 時代 に は,彼 が 指 摘 して い る よ うに, 形 式 的に は 資本 の所 有 と経 営 は 最 大 限 に 分 離 され る。(p.82)そ して経 営 老 の

『適 正 利 潤 』 は脅 か され て い る。(p.85)だ が これ は彼 が 規 定 し て い る よ うな

意 味 の抽 象 的 な レ ヴエ ル に おけ る剰余 価 値 の 生産 と実 現 の 矛盾 を克 服 す るた め

の 努 力 と して の商 業 活 動 を強 化 す る必 要 か ら とい うよ りは,す ぐれ て金 融 資本

(そ れ は 所 有 と経 営 を 実質 的 に統 一 す る)に よって 体 系 的 に駆 使 され,強 化 さ

れ て い る猫 占 とい う装 置の 璽 力 に よ る もの で あ る と考 え る。彼 が 不 生 産 支 出の

近 代 的 手 段 とみ な して い る擬 制 資 本(p.130)も,金 融 資 本 に よって意 図 的 に

拡 張 され る限 り,最 大 限利 潤 の 追 求 に役 立 つ 。 ヲ ール ス トリー トの マ ネイ トラ

ス トと工 業 会社 の 『隣 の尾 』 は,彼 が 述 べ て い る よ うに は たち 切 られ て は い な

い ので は な い か 。(こ の 点 はPerlo=TheEmpireofHighFinanieで 鋭 く実

証 され て い る。)不 生 産 的 支 出 の利 潤 率 効果 の二 律 脊 反 的 現 象(p.131)を 合 理

的 に説 明す るた め には,金 融 資 本 の機 能 を 全 経 済 的 に掘 り下 げ てみ る必要 が あ

る と思 う。本 書 は 全 体 と して,こ の 点 の分 析 が ネ グ レ ク トされ てい る とい わ な

け れ ば な らな い。(1958年11月)

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