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藤 沢 正 也

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一61一

カ ー ノ レ・ トー マ ス 「 信 用 銀 行 の

貸 出,割 引 及 び 有 価 証 券 投 資 」

KarlThomas:Ausleihungen,Diskontierungenund

NVertpapieranlagender]Kreditbanken,1957.

藤 沢 正 也

ま え が き

英 米の商業銀 行 にお いて は,有 価証券 は総資 産のか な り重要な比重 を占 めて い る。 その大半 は所謂 ギル トエ ヅジ ドセキ ュ リテイであ って,就 中流通性 あ る国債 が主な もの と推 察 され るが,最 近銀行 は戦時戦後 と異 なって,自 発 的に これ を保 有 しよ うとす る傾向 が強い 。勿 論その動機 は,貸 出需要 に伴 う収益 の低 下 をカバ ーす るた めであって,公 債 か らの受取 利息 は経常 収 入の相 当額 に上ってい るよ う で あ る。特 に イギ リスで は国債 か らの金利収入 がな けれ ば,銀 行業務 の経 常費 を 賄 えない状態 にあ り,結 局 「政府 は銀 行組織 が重要な外部 経済の役割 を果 して い るこ とを認 めて,政 府 自体の創 出す る資金 で,銀 行の保有 す る国債 の金利 を払 う ことによって,銀 行の組織(及 び預金者)を 助成 して い る」(Nevin,TheProble鵬 oftheNationaldebt)と さえ云 われてい る。以上の よ うに英米の文献 では,銀 行 の 有価証 券 を収益性 の見地か ら,ま た は財政金 融政策の観点 か ら重視 して い るも の が多い が,カ ール ・トー マス博士 は 『信用銀 行の貸 出,割 引及 び有価証券投 資 』 にお いて,英 米独の銀行 資産 の構 成 を歴史 的に検 討 して,有 価証券 は単 に貸 出を 収 益面か ら補償す るばか りで な く,銀 行 の流動 性 を平衡化 す(auagleichen)こ によつて,長 期 的 に総資 産(信 用)を 安定 させ る効果があ る もの として,証 券 を 銀行 の授 信業務 内に組織的 に導入 すべ き旨を提 唱 してい る。蟷

独逸 の信用銀 行 は,改 めて ヒル フアーデ ィングを引用す る迄 もな く,有 価証 券 を発 行 し取 引す る業務 に力点 をおいて発 達 して きた。大 銀行 は 創業利得 の前取 り や証券投機 によつ て,独 占的地 歩 を築 きあげた と云 われて いた 。 しか し トー マス 博士 によ る と,両大 戦間 に入 って か らは,信 用銀行 はイギ リス流の古典 原則 を 遵 守

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一62一 商 学 討 究 第8巻 第2号

し,資 金の大半 を 自己流動的な資産 に運用 しよ うと努 めてい る。企業 に 長期の投 資 信用 を融 通す る場合で も,証 券 発行 の前貸 しと云 う性 格が強 く,少 くとも形式 的 には短 期間 にkonsolidierung(funding)さ れて い る。信 用銀行 が 自分 の計算 で 多 額の証券投 資 をす る ことは,銀 行資産 の流 動性 や安全 性 を尊重す る と云 う見地 か らは警戒 を要 す る もの とされて いた。事実大恐 慌後 も,証 券投 資 の総 資産 に対 す る割合 は英米 の30〜40%に 比 して略10%内 外 に過 ぎない。独逸経 済の軍事化 が 一 段 と強化 され てか ら も

,赤 字 財政 は専 ら短期の 国庫証券 に よつて カバー され る と共 に,こ れ を ラィ ヒスバ ンクは殆 ど無 制限に割引 く体 制 を とつてい たので,信 用銀 行の証券保 有 は極 めて ネグ リジブルで あっ た。第二次大 戦後 も基 本的 には こ の 傾 向が貫徹 され て いて,最 近 の数年 間を見て も,有 価証 券は総資産 の4〜5%

に過 ぎない。だ が信用銀 行は,こ の 国の貯 蓄資金 の大半 を吸収 してい る。 そ して ζれ によ り実質 的 に企業 の長中期資本 まで融通す る 破 目にお ちいって い る。 した がって この ま \で は,調 達資金 の性 格 が貯蓄資金で あ るとして も,形 式 上は要 求 払預金 が大 半 を占 めてい ると云 う受信構 造か ら云 って,景 況 の如何で は銀 行経営 の健全性 が脅か され る可能性 があ るわけであ る。そ こで銀行 の実 質 的な 長 期貸出 を証券市場 の資金 で整理 す る途 はな いだ ろ うか。 それ には 銀行官 身が組 織的 に証 券投資 を先発 して,公 衆の証券市場 に対 す る関心 をたか め る ことに した らど うだ ろ うか 。博 士 は以 上の よ うな問 題意識 の もとに,次 のよ うな構 成で 自説 を展 開 し て い る。

理 論 篇A.問 題の一般的な取 扱 い方

B,信 用組織 におけ る貸 出,割 引及び証 券投資 C.銀 行の授信業務へ の証券投資 の導 入 経験 論篇A,ア メ リカ商業 銀行 の貸 出 と証 券投資 B.イ ギ リス預金銀 行の貸 出 と証 券投資 C,西 独逸信 用銀行 の授信業務

本書 は以下立 入って紹介す るよ うに,第 一次大 戦前 の独逸信用銀 行の発展 が余 りに もロマ ンチ ックに美化 され てお り,か っ金 融論的 には銀 行本位 な偏 向が認め られ ないで もな いが,西 独逸 経 済学者 の 支配 的な見解 に 呼応 して,自 由 市場 の Ordnungを 強 調 して い る点 は甚だ興 味深 い ものがあ る。我 国の銀 行 も西独 の現 況 と同様 に,英 米 に較べて 証券投資 の地位 は まだ砥い が,一 部 には これ を拡充せ よ との意 見 もあ ると聞 いてい る。以下私 は問題 を銀行 の証 券投資 に しぼ り,本 書 の 前半の理 論篇 と後半 の独逸経験 論篇に限定 して,そ の要 旨 をかいっ まんで紹介 し てみ よ う。

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カール ・トーマス 「信用銀行の

貸出,割 引及び有価証券投資」(藤 沢)‑63‑

1

銀 行 は他 の企 業 と同様 に,長 期 に わ た る極 大 利潤 の 追求(収 益 性)を 至 上命 令 とす る。 しか し銀 行 の資 本 は主 として預 金 と云 う形 態 を とつ た他 人資 金 で あ

る か ら,資 産 の 流動 性 に特 別 の考 慮 を加 え な けれ ば な らな い 。銀 行 の 流動 性 と .は,云 う迄 もな くその主 た る債 務 を な す預 金 を現 金(法 貨)に 転 化 す る能 力 で あ つ て,銀 行 は この能 力 を維 持 す る こ とに よつ て,貯 蓄 預 金(Spareinlagen)

は一 定 の据 置期 間後 に,要 求 払預 金(Sichteinlagen)は 預 金 者 の要求 次 第,現 吐金 で払 戻 す と云 う約 束 に応 え て い る

。 貯 蓄 預金 は文 字 通 り預金 者 の貨 幣 支 出 の '節約 に よつ て発生 す る もの であ つ て,銀 行 に お け る この種 の預 金 増加 は,多 く

の場 合 国 民 経済 的 に購 買 力 発 動 の繰 延 に照応 す る。 したが つ て銀 行 が この よ.う な性 質 の預 金 を貸 付 け て も,社 会 的 に は購 買力 を移 転 す るだ け で あつ て,所 謂

「資 金 の謙 虚 な媒介 者 』 た る役 目を果 す に過 ぎな い 。 しか し銀 行 は預 金 業 務 に お い て,前 述 の 約束 を確 実 に履 行 す る こ とに よつ て,預 金 の 一 部(要 求 払預 金 を預 金 者 や顧 客 か ら現 金 と見倣 され る こ とに成 功 した。預金 を現 金 と見 敬 す限 りは,彼 等 はい ろい ろ な取 引 に際 して,預 金 を法 貨 た る現 金 に転 化 しな くて も そ の ま 〜通 貨 と して使 用 す る こ とが で きる。 これ に よつ て銀 行 は現 実 の払 戻 の 頻 度 が少 な けれ ば少 な い程,現 金 支 払準 備 を圧 縮 し節 約 す る こ とが で きる。無 現 金 取 引(信 用経 済)は,斯 る銀 行 の信 用 創 造 に よつ て高 度 の 発展 を見 た。

この よ うに預 金 が一 方 で は 貯蓄預 金 として 不活 動 貨 幣 の,他 方 で は 要求 払 預 金 と して活 動 貨 幣 の二 重 性 を もつ て い る と云 うこ とは,銀 行 の 授 信 業務(Activ

・geschift)に 私 経 営的 の み な らず社 会 的 に も厄介 な問 題 を惹 起 す る。 銀 行 が 預 金 の運 用 を,預 金 者 の節 約期 間 内 に限 定 で きれ ば,経 営 上 の不 安 は な い 。 だ が 特 に要 求 払 預金 の 場合 は,こ の期 間 は全 く不 確 定 で あつ て 予 断 を許 さない し, 銀 行 の意 思通 りに払戻 を履 行 す る こ と もで きな い 。 しか も業 務 上,契 約上 の貯

蓄 預 金 と要求 払預 金 の 分 類 は実 質 的 な分 類 とは一 致 し ない 。 契 約 上 は定 期預 金 で あつ て も,預 金 者 の取 引上 の事 情 か ら貯 蓄預 金 の性 格 をお び る可能 性 が あ る し,契 約上 は定 期 預 金 で あ つ て も,期 限 前 払戻 の サ ー ヴ ィス を拒 否 す るわ けに は い か ない 。 この よ うな事情 か ら,銀 行 は収 益性 に か られ て,私 経 営的 に もた え ず実 質 貯 蓄 を上 廻 る貸 付 を行 うお そ れ が あ るが,そ の場 合他 行 か らの援 助 が

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瓢‑

一64一 商 学 討 究 第8巻 第2号

受 け られ な い と,銀 行 の 安全 性 は危 殆 に瀕 す る。 しか し銀 行 は一方 で は不 断 に 預 金 者 と預 金量 を拡 大 す る こ とに よつ て,他 方 で は運 用資 産 の 流動 性 と確 実 性 を確 保 し よ う とす る こ とに よつ て,こ の 安全 性 の 限 度 を 引上 げ る こ とが で き る。 前者 を別 とすれ ば,資 金 の迅 速確 実 な還 流 が保 証 され る よ うな貸 付対 象 の '選定 が銀 行 の最 大 関心 事 となる。,「銀 行 は 企 業 家(unternehmer)に 対 す る信 用 に よつ て,こ の保 証 を取 りつ け る。彼 は商 品 を売 る た め に買 うか,財 貨 を生 産 して い るか ら,販 売 が完 結 すれ ば信 用 は 回収 され る こ とに な る。 企 業 家 こそ 銀 行 資金 の特 殊性 に相 応 しい 運 用 を確 保 して くれ る唯 一 の経 済 主 体 で あ る 」.

(S.33)

だ が授 信 先 が 企業 家 で あつ て も,.貸付 の形 式 に よつ て ク レジ ッ トの 経 済的 意 義 は異 つ て くる。銀 行 が健 全 な商 業手 形 を割 引 くと云 う形 で融資 す る 場 合 は, 既 に成 立 し て い る商 業 信 用 を銀 行 信 用 で代 置 す るに過 ぎ ない もの と見 られ,帳

簿 信 用 を とか す当 座貸 越 等 と同様 に,そ の こ と自体 追加 的購 買 力 を造 出 す る も の とは考 え られ な い。 この場 合新 規 に発 生 し た銀行 信 用 は財 貨 の運 動 に 追従 し 財 貨 の貯蔵 を反 映 して い る。 しか し単 名手 形 に よ る貸 出 や 証 書貸 付 の形 式 を と る銀 行 信 用 は,'担 保 の如 何 を問 はず 屡 々商 品 の流 通 や生 産 の前 提 とされ,し た が つ て そ れ らは単 な る流 通信 用(umsEtzkredit)で は な く,投 資 信 用(InveS

‑tionskredit)の 性 格 を もつ 。 そ れ は既 に生 産 され 貯蔵 され て い る 財 貨 の流 通 の ため の貨 幣資 本 として で は な く,将 来 供 給 され生 産 され る財 貨 の形 成 の た め の貨 幣 資 本 として使 用 され る。銀 行 は この種 の信用 を与 え る場 合,そ れ が 借 手 の側 で資 本 として 回収 され る期 間 に適 当 と認 め られ る償 還 期 間 を附 す が,こ の 期 間 が な が けれ ば な が い程 銀 行資 本 の流動 性 や確 実性 は制 約 され る ばか りで な く,社 会 的 に も実 質 貯蓄 を上廻 る購 買力 を造 出 して,生 産 や物価 の 自然 的 均 衡 を止 揚 す る可能性 が強 い α この よ うな根 拠 か ら古 典 派金 融 理論 は,預 金 を資 源 とす る銀 行 は授 信 業 務 の重 点 を 自己 流 動 的 な資産 とし て の商 業手 形 の 割 引 にお くべ きで あ る と主 張 して きた。 しか し トーマ ス博 士 は問 題 をシ ユ ンペ ー ター流 に処 理 して,借 手 の 投 資 に役 立 つ 信 用 こそ経 済 発 展 の桓 秤(Vehikle)で あ つ て,銀 行 経 営 の発 展 に とつ て も必 然 的 な業務 で あ る と説 く。

即 ち投 資信 用 は銀 行信 用 に弾 力 性 を与 え,財 貨 の生 産 を現 在 の 狭 阻 な消 費 限

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カール ・トーマス 「信用銀行の

貸出,割 引及び有価証券投資」(藤 沢)‑65一

堺 か ら解放 して飛 躍 的 に増加 させ る。 しか し信 用 当事 者 の関 心 事 は単 な る生 産 の 増 加 で は な く,新 規生 産 物 の価 値 実 現 の可能 性(▽erwertungm691ichkeit)

で あ る。 そ れ は 事 後 的 に 市 場 に よつ て 立証 され ね ば な らない 。 「銀行 信 用 は

̀̀真正 の市 場現 象"で あ る。 … …銀 行 は企 業 家 に,彼 が市場 で 利潤 を あ げ て実 現 され る生 産 物 を産 出 す る もの と期 待 して信 用 を与 え る。 この よ うな授 信 活動 の基礎 に は,企 業 家 が 確 実 に 一定 の 時期 を経 て生産 物 を市場 に供 給 し,そ の 叛 売 に よつ て債 務 を償 還 す の だ と云 う假 定 が あ る。 ……銀 行 の期 待 が充 され 、

ば,そ れ が企 業 家 に追加 的 に処 分 させ た購 買力 が新規 の産 出物 に照 応 す る。信 漏 に よつ て与 え られ た生 産 の假 空 証 明 は本 もの に な る。」(S・36)以 上 の 引用

か ら明 らか な よ うに,博 士 は 投 資 信 用 が経 済 発 展 の挺 とな る と云 う場 合,銀

・行 独 自の商品 市 況 の評価 力 を重 視 して い るわ け で あ る。銀 行 は この 責 任 を割 引 商 や 引受 商 の如 き別 の金 融 業 者 に分 担 させ る場 合 もあ るが,何 れ にせ よ市 況 の 評 価 を誤 れ ば,当 然 貸金 の固 定 化 や貸 倒 の損 失 を業 る。尤 も銀 行 は貸金 の 回収 に は他 の債 権 者 に優 先 す る法 的 保護 を受 け る ばか りで な く,投 資信 用 を与 え る 場 合 に も,貸 付 の期 間 を必 ず し も厳 密 に個 々 の現 実 資本 の回 転期 間 に 合 致 させ

る必要 は ない 。特 に後 者 は授 信 活 動 に弾力 性 を附 与 す る条 件 とし て重要 で あ る。

・往 年 の独 逸 信 用 銀 行 は,投 資 に も役 立 つ振 替信 用(KontkorrentKredit)を 与 え てい た が,こ の信 用 は短 期 間 に借手 が証 券 を発 行 す る こ とに よつ て 流動 化 さ れ る こ とが で きた。 しか し こ うし た起 債 前貸 金融 に も不 安 が あ る。そ の不 確 実 性 は,投 資 の 結果 や そ れ を実 現 す る商品 市 況 よ りは,発 行 され る株 式 や社 債 の .消化 力 に あ つ て,商 品 市 況 が ど うあれ発 行 され た証劣 が証 券 市 場 を通 じて公 衆 に よつ て充 分 に消 化 され \ば,少 な くと も銀行 の信用 は短 期 間 に回収 され る筈 で あつ た。銀 行 の投 資信 用 は独 逸 資本主 義 の成 長 に不 可欠 の要 因 で あ つ た が,

「投 資 信用 を短 期 間 に貯蓄 者 公 衆 に転 嫁 させ る可能 が な けれ ば,投 資金 融 の 分 野 にお け る信用 銀 行 の活動 は決 して昔 日の規 模 に は達 し なか つ ただ ろ う。」(S.

IT)し か も銀 行 は証 券 取 引所 に融資 し た り,ま た直 接 に有 価 証 劣 を保有 す る こ とに よつ て,貯 蓄 か ら発 生 す る資 金 を補 足 す る こ とが で きた。即 ち銀 行 は証 劣 投 資 に よつ て形 成 され る新 規 預金 分 だ け社 会 的 に も追加 資 金 を供給 し得 る立 場 ,とな つ た。 この新 規 資金 は,再 び銀行 の証 券 保 有 を減 少 させ る投 資 信用 の ため

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一66一 商 学 討 究 第8巻 第2号

の発 行 や,公 衆 の証 券投 資 に役 立 つ が,そ の過程 で も真 正 の貯 蓄 資金 とは外 見 的 に は区別 され ない 。 トー マス博士 は以上 の よ うに第 一 次 大戦 前 にお け る独 逸 信 用銀 行 の証 券 金 融 へ の介 入 を正 当化 し,そ の現 代 的 な再編 成 を提 唱 し よ う と 云 うわ けで あ る。

銀 行 の証 劣投 資 に は一 定 の順 序 が あ る と共 に,諸 般 の経 済 的 な条 件 が必 要 で あ る。貸 出 は銀 行 の主 要 業 務 で あつ て,最 も重要 な収 益 源 で あ る。銀 行 は金 利 問題 を別 とすれ ば,預 金 の流 動 性 と安全 性 が充 され る限 りは,資 源 の最 大 限迄 貸 出 に運用 し よ う と努 め る。だ が この よ うな貸 出意 慾 に も拘 らず,借 入 需 要 は 貸手 の必 要 と認 め る諸 条 件 を充 し得 な い場 合 が 多い 。 そ の 際 に は現金 準 備 の過 剰 と云 う形 で,余 裕 金 の発 生 を見 る。勿 論 遊資 の大 い さは各 銀 行 に よつ て異 な つ て い るが,こ の不 均 等 は貨 幣 市場(Geldmarkt)が 整 備 され て くれ ば,手 形 の売 買 や コール ロー ン を通 じて 間 もな く調整 され る。銀 行 の証 券投 資 が問題 と な るの は,こ の よ うな市 場 にお け る短 期 資金 の需 給 が全般 的 に緩 和 され た結果 でな けれ ば な らな い 。 この需 給 関係 が緩 和 され ㌧ば,勿 論短期 利子 率 は低 下 す る。 こ うして銀 行 が所 定 の 流動 比 率 に満 足 す れ ば,敢 て金 利 を引下 げ て も新 規 貸 出 に乗 り出 すだ ろ う。 「新 規 貸 出 の金 利 と,そ れ と同 じ安全 性 を もつ証 券 の 利廻 が恰 度 合 致 す る ところ の利 子率 が,銀 行 業務 に とつ て決 定 的 な分岐 点 をな す。有 価 証 劣 が原 則 とし て授信 業 務 に導 入 きれ るな らば,確 定 利付 証 券 の利 子 率 は そ れ と同 じ安全 性 を もつ 貸 出 の最 低 利 子率 とな る。」(S.42)

ところ で銀 行 の証 券投 資 の対 象 は,銀 行 が必 要 な際 には何 時 で も遅 滞 や損 失 危 険 な しに再 び譲 渡 し得 る証 劣 で な けれ ば な らない 。し たが つ て それ は優 良 証 券 とし ての 公,社 債 に限 られ るば か りで な く,証 券 市場(Wer亡papier・Markt)

の発展 を不 可欠 とす る。 この市場 に は其他種 々 な証 券 を引受 け,投 資 す る もの が 自由 に出入 してお り,こ れ に よつ て銀 行 の取 引高 は市場 の総 取 引高 の一 部 を 構成 す る こ とに な る。銀 行 に よ る市 場 の独 占や寡 占 は,結 局 証 劣 市場 に不 当 な 渦 紋 を惹起 す る。 銀 行 は他 の投 資 家 と同様 に各 自の バ ランス シ ー トに照 応 して 自由 に証 劣 を選 択 す る機会 を もた な けれ ば な らない 。それ は証 券 が 全 資 産 の 流

(7)

カール ・トーマス 「信用銀行の

貸 出,割 引及び有価証券投資」(藤 沢)‑67一

鋤 性 と収 益 性 を適 度 に調 和 させ る よ うに,満 期 日・品位 ・利廻 りを異 に す る も の を巧 み に組 合 わせ る。即 ち満期 日 を異 に す る証 券 の配 合 に よつ て は ・毎 期 自 動 的 に一 定額 の流動 資 金 を確 保 で きる し ・利廻 を異 に す る証 券 の配 合 に よつ て は,一 一方 の低 利 を他 方 の高 利 で埋 合 せ で き る。 証 劣投 資 にお い て は,売 処 分 に 伴 う資 本価 値 の損失 処 理 が重 要 な問題 で あ るが,銀 行 は徒 に取 得価 格 や 時価 に 拘 る こ とな く,長 期 的 観点 か ら これ を評 価 し,適 当額 の価 格 変動 準 備 金 を積立

てお くこ とが で きる。 こ うし た銀 行 の 自主 的 な投 資 政 策 は ・証 劣市 場 や 景 気 の 安 定 に寄 与 す る要 因 とし て重 要 で あ る と トーマ ス博 士 は説 い て い る。

即 ち銀 行 が外 部 か ら証 券 を取得 す れ ば,多 くの場 合 これ に よつ て銀 行 預 金(預 金 通 貨)は 増加 す る。 この証 券投 資 が貸 出 の減 退 に対 応 す る とす れ ば,銀 行 は 証 券 形 態 の資本 市場 信 用 で銀 行信 用 を'代置 す る こ とにな り,逆 に証 券 の売 処 分 が 貸 出 増加 に対 応 す る とす れ ば,資 本 市場 信 用 を銀 行信 用 で代 置 す る こ とにな る。銀 行 は こ うし た証 券 操 作 に よつ て,自 己 の総 資産 と預 金 通 貨量 の変 動 を安 定 させ る こ とが で きる。 「し た が つ て貸 出 と有 価 証 券 の 間 に は代 替 関係(Aus

taushverhaltniSS)が 成 立 す る。 それ は銀 行 業 務 が 恒 常 的 に 変 動 し て も総資 産 を安定 させ,流 動 性 を維 持 す るに必 要 な限 度 に現 金 準 備 を限定 させ るだ ろ う。

この よ うな 関係 の成 立 を通 じて,証 劣 の流 動 化 は準 備 金 の諸支 払 に よ る流出 か ら惹起 され る現 金 流 動性 や第 二線 流動 性 の 緊張 を緩 和 して,貸 出残 高 が深 刻 に 減 退 す るの を ふせ ぐこ とが で き よ う。」(S.43)

尚銀 行 の証 券 売 買 は確 か に そ の市場 価 格 の形 成 に影 響 を及 す。 しか し この作 用 は社 会 的 に証 券 市 場 政 策 として有 用 な武 器 に転 ず る。 即 ち不 況 期 に は資本 形 成 の減 退(貸 付 資 金 の供 給 減)や 市 場 の弱 気 に拍 車 され て,証 券 価 格 は著 し く

下 落 す るの が常 で あ る。 それ に も拘 らず 銀 行 が この市 況 に対 立 して恒 常 的 に一 定 額 の証 劣 を需 要 す れ ば,そ の限 りにお い て価 格 を支 持 す る こ とが で き る。 こ

の 劾果 が認 め られ 〜ば,や がて 其 他 の投 資 家 も買気 が つ く。 「銀 行 の投 資需 要 は(産 業 活動 の減 退 か ら惹起 され る)資 本形 成 の縮 小 と同 じ景 気変 動 上 の原 因 か ら発生 す る もの で あ るか ら,こ れ(銀 行 筋 の挺 入)は 重 要 な意 義 を もつ もの と考 え られ る。」(S.53)逆 に銀 行 の売 処 分 は市況 を圧 迫 す るが,実 際 に価 格

=が下 落 す るか ど うか は,他 の投 資 家 の需 要 と消化 力 に依 存 す る。 銀 行 の売 処 分

(8)

一68一 商 学 討 究 第8巻 第2号

が不 況 期 と重 な る と,確 か に価 格 は軟 化 す るが,そ れ は証 券 利廻 の上 昇 や貸 付 '

資金 の証 券 市場 へ の流 入 に よつ て 自然 に打 開 され る だろ う。 「か くて資 本市 場 が,過 度 の信 用 膨脹 や そ の結果 惹 起 され る広 汎 な証 券処 分 に よつ て 掛値 を附 せ られ る こ とが な けれ ば,銀 行 組 織 にお け る流 動 性 の 緊張 を証 券 市場 の要 求 に よ つ て相 殺 す る こ とは全 く容 易 で あ る と考 え られ る。」(S.54)尤 も銀 行 の証 券 投 資 は 突発 的 な流 動性 恐 慌,即 ち金 融 恐慌 の速 効 薬 に は な らな い 。 それ は比 較 的 モダ レー トな景 気 調 整 に適 して い る の で あ つ て,恐 慌 対 策 とし て は申 央銀 行 の最 後 の貸 手 た る手 段 にま た な け れ ばな らない 。

トーマ ス博 士 は この よ うに銀 行 の 証 券 操 作 が貨幣 市場 や証 券市 場 の 発展 に 照 応 し,市 場 と常 に接 触 して行 わ れ るな らば,長 期 的 に も銀 行 の総 資 産 や し た が っ て ま た預 金 通 貨 の変 動 を安定 させ る効 果 が大 で あ る と力説 して い る。

しか し貨 幣 市場 と証 券 市 場 の 銀 行 業務 に 対 す る 関係 は 次 の よ うな 相 違 もあ る。 貨 幣 市場 に よつ て 供給 され る 「第 二線 準 備金(SekundarreServe)は 毎 日, 毎 週,毎 月,短 期 的 に行 わ れ る様 々 な平衡 操 作 の故 に恒常 的 に一 定 の額 で存 在

し な けれ ば な らな い が,有 価 証 券 は長 期 的 に第二 線 準 備 を上廻 る資 金 を吸収 し, 同様 に長 期 的 に必要 と され る資 金 を供 給 しな けれ ば な らな い か ら,そ の総額 は 変 動 して も差 支 え ない 。」(S.49)有 価 証 券 は その よ うな意 味 で銀 行 の準 備金 を形 成 す るが,根 本 的 には 貸 出 需 要 の減 退 を 補償(ersatzen)す る収 益 資 産 で あ つ て,て れ な くし て は殆 ど収 益 を もた らきない 過 剰 現 金 の暫 定 的 な運 用 で あ る。 し たが つ て証 券投 資 は銀 行 の 流動 性 を長 期 的 に調 整 す るほ か に,収 益 性 を 平衡 化 す効果 が あ る。

前 述 の通 り証 劣投 資 は原 則 として先 ず貨 幣市 場 の資 金 需 給 が緩 和 され て か ら 行 わ れ る。 貨 幣 市場 の 流動 性 変 動 は,銀 行組 織 内 の個 々 の銀 行 や其 他 の金 融 業 者 の 流 動性 の偏 埼(Divergenz)を 調整 す るプ ロセス と結 び つ い て い るか ら, 銀 行 が 自己 の流 動 性 を貨 幣 市場 の平 衡化 を通 じて集 申 的 に規 制 す る こ とに な る

と,貨 幣 市場 は一 定 の 自立 性(Selbst5ndr'gkeit)を 確 保 し,全 銀 行 組 織 を抱括=

す る基 礎 の もとに金 利 を形 成 し得 る結 果 とな る。 これ に よつ て 貨 幣市 場 は銀 行 の適 当 とす る流動 性 ポ ジ ツシ ヨ ン を超 え る資 金 を追加 的 に 吸収 す る可能 性 が与 え られ る。貨 幣 市場 の金 利が 申央 銀 行 の 自主 的 な通貨 政 策 の指 標 や 基 準 とな る

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カール 。トーマス 「信用銀行の

貸出,割 引及び有価証券投資」(藤 沢)‑69一

の は,以 上 の よ うな メカ ニズ ムに よ る もの で あ る。次 に銀 行 の証券 操 作 を,長 期 的流 動 性変 動 と結 び つ け る と,そ れ は 第二 線 準 備 の操 作 とは異 つ て,銀 行組 織 内 の 流動 性偏 碕 を調 整 す る の で な くて,全 般 的 な流 動性 変 動 を平衡 化 す と云 うこ とに な る。 し た が つて 有価 証 券 を通 ず る流動 性規 制 は,銀 行組 織 の枠 内 に お い て のみ な らず,全 信 用 組 織,即 ち一方 で は銀 行 組織,他 方 で は信 用 組織 の あ らゆ る構 成 要 因 との 間 で も行 わ れ な けれ ば な らない 。銀 行 組 織 は この よ うな 平衡 操 作 に よつ て,資 本 市場 に或 は 擬制 的 な貸 付資 金 を供 給 し,或 は そ こか ら 真 正 の貸 付資 金 を吸収 す る。 その影 響 は将 来 の金 利や証 券 利廻 に及 ぶ ばか りで な く現 実 の貨 幣 市 場 利率 に も及 ぶ。証 券投 資 は 第二線 準 備 の維 持 に不 必 要 とな つ た あ らゆ る資金 を吸収 して ・貨幣 市場 利率 の際 限 の な い下 落 を喰 い ζめ る こ

とが で き る。 「銀 行 の証 券投 資 は貸 出業 務 や貨 幣 市場及 び資 本 市場 の金 利 を絡 み合 わせ る弾 力 的 な靱帯 とな つ て,金 利 の孤 立 し た極 端 な変 動 を ふせ ぎ,各 種 利 子率 の 隔差 を見 合資 産 の流 動性 や 安全 性 に よつ て規 定 され経 済 的 に正 当化 さ れ る程 度 の規 模 に 限定 させ る こ とに な る。」(S.55)

銀 行 の現 金 準 備 や第二 線 準 備 が安 定 す る と云 う場 合 に は,す べ て の銀 行 が如 何 な る時期 に もそ の一 定 の比 率 を極 力維 持 す るた め の何 等か の 目標 乃 至基 準 が 与 え られ な けれ ばな らな い 。・この 目標 の有無 は申 央銀 行 の通 貨 政策 と密 接 な関 連 を もつ てい る。 云 う迄 もな く現 代 で は,申 央 銀行 の信 用(銀 行 劣1もし くは預 ケ金)が 一 国 にお け る全 通貨 の 唯 一究 極 の根 源 とされ てい る。申 央 銀 行 は特 定 の資 産 を引 当 とし て禮 接,間 接銀 行 に現 金 を供給 して い る。即 ち イギ リス の預 金 銀 行 は伝統 的 に手 形 割 引商 を介 して英 蘭 銀 行 か ら,ア メ リカ の商 業 銀 行 は連 邦 準 備銀 行 か ら直 接 に資 金 を手 当 して い る。 しか し何 れ の場 合 で も,民 間 の金 融 業 者 が中 央 銀 行 の信 用 に依存 す る場 合 に は,銀 行 の エ チケ ツ トを別 とす れ ば 申央 銀 行 の利 率 と市 場 利 率 の金 利 関係 が決 定的 で あ る。 もし銀行 か ら得 られ る 資 金 が,其 他 の市場 か らそれ と同一 の資産 や担 保 を引 当 に して得 られ る資 金 の コス トよ りは構 造 的 に低 くい もの とす れ ば,銀 行 は専 ら申 央 銀 行 か らの 借 入 と 返 済 に よつ て 流 動 性 需 要 を 調 節 す るだ ろ う。 この よ うに民 間銀 行 が専 ら申央 銀 行 の 再割 引 や其 他 の信 用 に よつ て ペ ナル レー トに よ らず して 追加 資金 を賄 つ て い る制 度 の もとにお い て は,銀 行 の現金 準 備 は貸 出 の変 動 に対 して 一定 の弾

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一70一 商 学 討 究 第8巻 第2号 力 性 を もつ て い る。

「この弾 力牲 は,申 央 銀 行 が専 ら銀 行 の借 入 を通 じて銀 行 券 を造 出 し,銀 行 が 現 金 流動 性 を安定 的 に 保 持 す る限 りに お い て の み,均 衡(PrOPOrtionalitEte)

を維 持 す る こ とが で きる。」 だ が実 際 に は,中 央 銀 行 は銀 行 の貸 出や,し たが つ て民 間 の借 入 需 要 とは無 関係 に,財 政 資金 の融 通 や外 国 為替 の買 取 を通 じて 銀 行 劣 を放 出 して い る。 この場 合 に は申央 銀 行 の通 貨 政 策 を困難 な らし め る程 民 間銀 行 の 申央 銀 行 との関係 を失 わ せ た り,或 は申央 銀 行 か らの借 入 を不 当 に 強 め るお それ が あ る。蓋 し民 間銀 行 は適 格 手形 さえ充分 保 有 して いれ ば,現 金 が 必 要 な場 合 に は何 時 で も申央 銀 行 か ら手 当 され,し か もその コス トは市場 に 依存 す る よ りは安 い か らで あ る。銀 行 は当 然 日常 の現金 保 有 を思 い切 つ て圧 縮

し,そ の代 り適 格 手 形 の保 有 に努 め る。過 剰 な現 金準 備 は現 実 に発生 しな い か ら,有 価 証 券 も過剰 準 備 の捌 口 として の意 味 を失 う。 こ うし て現 金 その もの で はな く,申 央 銀 行 に 転 嫁 し得 る資産 の大 い さが,銀 行 の 流動 性 を左 右 す る決 定 的 な要 因 と見徹 され る。 そ の結 果 一方 の銀 行 が 過 剰準 備 を抱 え てい て も,他 方 の銀 行 は現 金 の逼 迫 次 第 直 ち に申央 銀 行 の再 割 に依存 し,こ ㌧に貨 幣市 場 は 取 引 高や 取 引の頻 度 共 に その機 能 を制 約 され る ことに な る。

「だ が取 引高 は金 利 の形 成 を厳 密 に規 制 す るわ け で あ る か ら,こ の よ うな貨幣 市場 は銀 行 の流 動 性状 況 を本 当 に反 映 す る こ とは で きな い 。 そ れ は就 中 申 央銀 行 か らの借 入金 の変 動 に反 映 され る。」(S.47)

斯 る メカ ニズ ムは,前 述 の よ うに公定 歩 合 が 効果 的 で あ る限 りは問 題 な い が ・ 対 外的 もし くは財 政上 の要 因 に よつ て失効 す れ ば,申 央 銀 行 の 貨幣 市 場 に対 す

る義務 は,余 りに も決 疑 論 的 に処 理 され た り,制 約 され た り,場 合 に よつ て は 揚 棄 され て しま う。 それ は必然 的 に申央 銀 行 の直接 的 な資 金 統 制 の強 化 を要 請 す る こ とに なろ う。 こ うして銀 行 の証 券投 資 も自主 的 な性 格 を失 う。

だ が これ に対 して民 間銀 行 が 申央 銀 行 以 外 か ら現 金 を入手 す る体制 に あ つ て は,銀 行 の実 際 の現 金 準 備 は あ る程 度 ま で貸 出 の変 動 か ら独立 して くる。 そ の 場 合 銀 行 は主 と して貨 幣 市場 を通 じて流 動 性 を規制 す る ことに な るゑ ら,常 に 比 較 的 高 目の現 金 流動 性 を保 持 して い な けれ ば な らな い 。 この必 要 は,収 益 を 齎 さない が コ ス トも掛 らない と云 う資 産(現 金)を 恒 常 的 に保 有 す る こ とに よ

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カール ・トーマス 「信用銀行 の

貸 出,割 引及 び有 価証券投 資」(藤 沢)‑71一

つ て 充 た され る 。 申 央 銀 行 が 自主 的 な操 作 に よ つ て,銀 行 の必 要 と す る現 金 流 動 性 を意 識 し,現 金 資 金 を供 給 す れ ば,銀 行 の 貸 出 が これ に比 例 し て 拡 張 さ れ な い 限 り,過 剰 準 備 が 発 生 し,こsに 自 か ら証 劣…投 資 の 機 会 が 生 ず る。」(S・

46)こ の 自主 的 な 操 作(AutonomeOperation)の 判 断 の 基 準 とな る もの は,実 際 に資 金 を取 引 す る生 き た 公 開 市場 と し て の 貨 幣 市 場 や 証 券 市 場 に ほ か な ら な い 。 博 士 は 証 券 投 資 と通 貨 政 策 の 関 連 を この よ うに説 明 し て,自 由 市 場 の 効 果

を重 視 し て い る。

西独 逸 の信 用 銀 行 で1ま,1948年 の通 貨制 度 の改 革後,有 価 証 券 を どの よ うに 扱 うか と云 う こ とが切 実 な問題 に なつ てい る。しか し この 問題 を考 察 す る に は 独 逸 の過 去数 十 年 余 の経 験 と理 論 は余 り役 立 た な い。 この間銀 行 の証 劣 投 資 は 不 振 を極 め てい た。 そ の原 因 を トーマ ス博 士 は次 の よ うに述 べ て い る。

銀 行 は第 一次 大 戦 前 迄 は,公 債 の み な らず 民 間 の株式 や債 券 に ま で積 極 的 に 投 資 して い たが,戦 時 には 短 期 債,就 中 国庫 証 券(ReichSSchatzweckSeln)に 乗 替 え,以 後 これ が 有価 証 券 を圧倒 し て今 日に及 ん でい る。 これ は根 本 的 に は 時 に 預 貯 金 の 著 しい膨 脹 に も拘 らず 「顧 客 貸 付 の授 信 とは関連 が ない か,ま

た は ラィ ヒスバ ン クへ の借 入 金 返済 に よつ て消 滅 し得 ない 自由資 金 を集 積 す る 可能 性 が 殆 どな い 」(S.233)と 云 う独 逸 銀 行 組織 の 構 造 的 な 資 金 難 に よ る もの で あ つ た。 し か もラィ ヒスバ ン クの通 貨政 策 は,一 貫 して この欠 陥 を助 長 す る傾 向 が あつ た。 ラィ ヒスバ ン クは割 引政 策 の み を信 用統 制 の手 段 とし,公 定 歩合 の変 動 に よつ て 資金 需 要 を規 制 し よ う として い た。 しか し銀 行 の手 持 現 金 は これ に よつ て 殆 ど影 響 を蒙 らず,授 信 業 務 を広 汎 に拡 張 す る 自由 が与 え ら れ て い た。 これ は当局 が 一 定 の手 形,特 に絶 えず 膨 脹 し た国庫 証 券 を引当 に貨 幣市 場 よ りは低 目 に資 金 を供 給 す る と云 う措 置 を とつ て い たの で,信 用 銀 行 も 現 金 準 備 率 を低 目の線 で ア トラ ンダ ム に変 更 し得 た た めで あ る。

それ に ライ ヒスバ ン クは屡 々 政府 か ら直 接 に手 形 を引受 け た り金 為替 を買 入 れ た りし た の で,銀 行 の流 動 性 政策 も益 々不 確 実 な もの とな つ た。 こ うし たル ー トで ラィ ヒスバ ン クの資金 が放 出 され,銀 行 の現 金 準 備 が増 加 す れ ば,銀行 は

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一72一 商 学 討 究 第8巻 第2号

当局 か らの借 入金 を返 済 す るか,貨 幣 市場 に貸 付 け る。逆 の場 合 は当 局 や貨 幣 市場 か ら借 入れ る。 貨 幣 市 場 は 銀 行 に対 して競 争 関係 に立 ち,し たが つ て公 定 歩 合 と市場 利率 は 殆 と遊離 し な か つ たが 「ラ イ ヒスバ ンクは 自主 的 な貨幣 創 造 の 可能 性 を云 うに足 る程 は もつ て い な か つ た か ら,銀 行 か ら影 響 を蒙 らない 一 定量 の"商 品 の塊"(商 業 手形)を 貨幣 市場 に 自分 の 意 思 で 処 分 させ る こ と は で きな か つ た。 そ うで は な くて,当 局 は銀 行 の慾 す るま ㌧に貨 幣 を利 用 させ て や る正 規 の貨 幣 源 泉 とな つ て い た。」(S・232)し たが つ て ラ イ ヒスバ ン ク か らの 借入 の有 無 が信 用銀 行 の最 も重 要 な 流動 性 政 策 をな し,銀 行 は必然 的 に 適 格 手形(国 庫証 劣)を 最 大 限 に保 有 す る こ と 》な つ た。 この よ うな メ カ ニズ ム にお い て は,貸 出 を上 廻 る自由資 金 が形 成 され る筈 は な く,し たが つ て 貸 出 と代 替性 を もつ証 劣投 資 が,授 信業 務 内 に体 系 的 に導 入 され る余地 は全 くな か つ た。事 実1928年 の統 計 に よ る と,信 用 銀 行 の証 券投 資 は総 資産 の僅 か3%内 外 に過 ぎな か つ た。

大 恐慌 後 英 米 の銀 行 は,貸 出 や 割 引需 要 の減 退 を有価 証 券 で相 当程 度 ま で カ バ ー し たが,独 逸 で は依然 として証 券投 資 は不 振 を極 め た。1933年後再 軍 備 や 政 府 投 資 が 強化 され た が,こ れ に よ る赤 字財 政 は短 期 公債 や 国庫 証 券 に よつ て補 填 され た。信用 銀 行 は こ うし た短 期 債 の引受 に よつ て政 府 に ライ ヒスバ ン ク宛 の預 金 を設 定 させ た。 この預 金 は政 府 の支 払 や 仮 払 に よつ て銀 行 に移 転 され, 結 局銀 行顧 客 の預 金勘 定 に振 替 え られ た。 こ うし た民 間 企業 の流 動化 に伴 つ て 銀 行 に対 す る貸 出 や 割 引 需要 は益 々減 退 し た。 し たが つて 銀 行 は過剰 資 金 の捌 口 を貨 幣市 場 に求 め,市 場 レー トを屡 々公 定歩 合 よ り引下 げ る圧 力 とな つ た。

そ こで もし当 局 が市 場 と競 争的 に接 触 し続 けれ ば,英 米 と同様 の低 金 利 水準 が 打 出 され るの は必 然 で あ つ たが,独 逸 で は前 述 の よ うに長 期証 劣 は とる に足 ら ず,ま た長 期 債 へ の 借 替 の意 図 もな か つ た の で,積 極 的 な低 金 利 政策 の努 力 は 行 わ れ な か つ た 。 し か し ライ ヒスバ ン クの信 用統 制 は量 的 武 器 を失 い,実 物 統 制 と表 裏 す る選 別 政 策 に移行 し た。 し たが つ て 第二 次 大戦 に入 り,公 債 は幾 分

増加 したが,こ れ は銀 行側 の 自発 的意 思 に よ る投 資 とは認 め難 い 。

第二 次大 戦 後 幸 運 に も貿 易収 支 は好調 を続 け,多 額 の援 助 資 金 の受 入 れ と相 侯 つ て金 為 替 は増加 し た。信 用 銀行 の貸 出 や割 引 は これ に照 応 して飛 躍 的 に増

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カール ・トーマス 「信用銀行の

貸出,割 引及び有価証券投資」(藤 沢)‑73一

加 し た。支 払保 証 が増 加 し た こ と も戦 後 の特 徴 で あ る。 博 士 に よ る と,こ うし た銀 行信 用 の供 給 増加 な くし て は,西 独 経 済 の復 興 は不 可能 で あ つ た。 尚戦 後 銀 行 の資金 状 態 は財 政 資金 の収 支 に よつ て大 きな影 響 を受 け た。即 ち撒 超期 に は銀 行 の 流動 性 は著 し く緩 和 され,特 に政 府 預金 を受 入れ 外 国為 替 を売 却 し た 一連 の銀 行 は,余 裕 金 を貨 幣 市場 に放 出 し たば か りで な く,賦 払信 用 や建 設 資 金 の立 替 の形 で貸 出 を拡 張 し た。 し か し増 加 預金 の すべ て を この よ うな形 の貸 出 に運 用 す る こ とは銀 行 の エ チ ケ ッ トに反 す るば か りで な く,銀 行 経 営 の将 来 の 流動 性 や 安全 性 を傷 つ け るお それ が あつ た。 この矛盾 は遂 に証 劣投 資 に よつ て 打 開 され た。1948年 の通 貨制 度 の改 革後,起 債 市場 は梢 々活 況 を呈 し,地 方 公 共 団 体 の債 券 やま た民 間 の抵 当債 劣 の発 行 も増 加 して い た。 これ らは何 れ も

期 限5、6年 内外 の 申期 債 で,発 行後2〜3年 に して 短 期 債 とな り,貨 幣市 場 で 取 引 の対 象 とな つ た し,税 法上 の優 遇 もあつ て 利 廻 は 貸 出 利 率 と略 同 等 で あ つ た。尚 注 目すべ きこ とに は,銀 行 は確 定 利 付債 券 の み な らず,1951年 後 は 株 式 投 資 に も乗 り出 して い る。そ の頃 か ら株価 は上昇 の一 路 を辿 つ て い る か ら 評 価 益 は少 くない が,税 法 上 の関係 もあ つ て,取 得 価 格 に よ り評 価 し 秘 密 積 立 金 を増強 す る方 針 を とつ てい る。 し か し1955年 度 末現 在 も銀 行 の有価 証 券 は 総 資 産 の7%内 外 で,英 米 とは比 較 にな らな い 。何 れ に せ よ トー マス博 士 に よ

・れ ば,目 下 証 券 投 資 の 動 機 は 評 価益 に よ る 収 益性(Ertragsmδglichkeit)の 追求 が 一 義 的 で あつ て,そ の 流動 性 は殆 ど考 慮 され て い な い 。 し たが つ て長 期 的 な準 備 金 とし て の性 格 を もて ず,貸 出 と代替 関係 に立 つ て い ない 。 これ は結 局 証券 の市 場 性 や譲 渡性 に不 安 が あ るた め で あ る。 これ に つい て,博 士 は次 の よ うに積 極 的 な見解 を明 らか に して い る。 「証 券 投資 にお け る銀 行 の動 き を阻 げ て い る独 逸証 券 市場 の構 造 的 な欠 陥 は,市 場 経 済 にお い て は(そ の 法 則 な資 本 市場 に もあ て は ま る),金 利 の 変動 を 排 除 し な けれ ば 価 格 を 安定 させ る保 証 は な い と云 う誤 解 に よる ところが大 で あ る。、し たが つ て 証 券 の 価 格 変 動 と結 び つい た金 利 の変 動 は,景 気 変 動 に よる投 資 の資金 需 要 と資 本形 成 の変 化 の 自 然 の現 象形 態 で あ つ て,金 利 は資 本 市場 の規 制 的 な価 格 を表示 す る もの で あ る と云 う認識 が 生 み 出 され な けれ ば な らない 。金 利 は この よ うに して市 場 の力 を 具 現 す る に至 り・それ は い か な る価 格 支 持(KUrspflege)に よつ て も隠蔽 され

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一74一 商 学 討 究 第8巻 第2号

る こ とはで きない 。価 格 支 持 は証 劣 市場 の短 期 的 な擁 乱 を除 去 す るが,も し資 本 供給 の不足 を比 較 的低 い現 実 利 子 で補 正 す る よ うな挺 入 が な され るな らば,

金 利 は価 格 と混 同 され 揚棄 され るだ ろ う。」(S.247)

トーマス博 士 は以 上 の よ うな現 状 分析 か ら,市 場 を育成 す る ため の信 用銀 行 及 び中央 銀 行 の方 針 を明 らか に して本 書 の結 論 とし てい る。 改 革 後 は 貯 蓄 資 金 の大 半 が信 用 銀行 に流 入 し た。 この資 金 は理 論 的 に は長 期 資金 として証 券投 資 に運 用 し得 る筈 で あ る。 し か し個 々 の銀 行 は や は り預 金 と云 う形 式 に捉 わ れ て,預 金 者個 人 と同様 に,証 券 の流 動性 や確 実 性 に対 す る不 安 か ら,証 劣投 資 に対 す る熱 意 を殺 が れ てい る。少 く と も銀 行 は現在 の と ころ 貯蓄 預金 の運 用

にお い て 特 別 の 準 備金(Deckung)と して の 証 券 を手 当 し よ う とは して い な い。博 士 に よ る と,こ の ヂ レン マ を打 開 す る途 は先 ず銀 行側 に あ る。 「銀 行 の 証 券投 資 か ら期 待 され る効 果 及 び証 券 市場 の活 況 と安定 は,次 の よ うな場 合 に お い て の み 達成 され る。即 ち銀 行 は場 合 に よ り貯 蓄 者 個 人 に対立 し て,証 券投 資 に向 け られ る貯 蓄 資 金 の減 退(そ れ は銀 行 の貯 蓄 預金 の 増加 を招 い て い る)

を銀 行 自体 の証 劣購 入 に よつ て補填 し,そ れ と共 に満足 すべ き貯蓄 者 が 有価 証 券 の 利益 に"ひ き寄 せ られ る"よ うに な るま で,正 常 な条 件 が 充 され るの を断 念 す る と云 う態 度 を と る こ とで あ る。」(S・251)尤 も銀 行 として は 貸 出 需要 が旺盛 であ る限 りは,そ れ を抑 え て ま で 当坐的 に 利益 の ない投 資 をやれ るか ど

うか に は問 題 が あ るが 。

信 用 銀 行 は,改 革 後 も資 金 運 用 を規 律 すべ き統 一 的 な原 則 や伝統 も確 立 し て い ない 。 この欠 陥 を補 う もの として実 施 され た支 払準 備制 度 も,充 分 な効 果 を あ げ て はい な い。 西 独経 済 は1952年 ま で ブ ー ム に恵 ま れ て い たが,レ ー ンダ ■… バ ン クの準 備 率 や公 定 歩 合 の引上 げ に も拘 らず,銀 行 は争 つ て顧 客 の 帳 簿信 用

を手形 に お きか え,『 生 産 され た』 手 形 を申央 銀 行 に持 ち こん で 再 割 を受 け た。

これ は申央 銀 行 の信 用 を ラス トレゾー トとして で は な く,正 規 の資 金 源 と見倣 す伝 統 的 な惰 性 に よる もの で,こ れ に よつ て銀 行 は中 央 銀 行 か らの実 質 的 な長 期 借入 に陥 入 つ た。 ま た現 行 制 度 に よつ て規 制 し得 ない支 払 保証 も不 当 な膨 脹 を見 た。支 払 準 備制 度 が 好 況期 の信 用膨 脹 を抑制 す る 手 段 とし て は或程 度 効 果 的 とし て も,不況 期 に入 つ て貸 出 が後 退 す る場 合 に は,こ れ に よる総 資産 及 び預

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カール ・トーマス 「信用銀行の

貸出,割 引及び有価証券投資」(藤 沢)‑75一

金 の 減 退 を調整 す る手 段 に は 余 り役 に立 たな い 。即 ち レ ンダ ーバ ン クが そ の 際 折 角準 備率 の 法定最 高 限 を引下 げ た とし て も,個 々 の銀 行 は貸 出 減 退 を カバ ー す る資 産 を見 出 す努力 を惜 しん で,還 流 し た現 金 をそ の儘 死 蔵 す るお そ れ が あ る。レー ンダ ーバ ン 〃は国 庫 証 券 や金 為 替 を引当 として も銀 行劣 を発 行 す るが ・ そ の結 果 信用 銀 行 の申 央 銀 行 か らの借 入金 返 済 は流動 性 政 策 の適 応 手段 として

は忽 ち役 に立 たな くな る。 同様 の こ とは準 備 率 の 引下 げ につ い て も云 え,徒 ら に過 剰 準 備 を保 蔵 させ る可能 性 が あ る。何 故 な ら個 々 の銀 行 は現金準 備 の最 低 率 に つ い て何 等慣 習 的 な基 準 を もた ず,そ の 都度 便 宜的 に処 理 して い るか らで

あ る。現 行 の 「申 央 銀 行 政 策 は も し銀 行 が中 央 銀 行 の 自主 的 な政策 に よつ て 増加 し た現金 準 備 を高率 な現 金 流動 性 の儘 放 任 し,何 等 か の代替 資産 に運 用 し

よ うと しな けれ ば,預 金 減 退 を克 服 す るに は無 力 とな る危 険 が あ る 。」(S.225) この代 替 資産 は有価 証 券 以 外 に はな い。 そ して信 用銀 行 が 有価 証 券 を導 入し得 る か ど うか は ・不 況 に際 し て出廻 の 減 退 す る第 二線 準備 として の 商 業 手形 を・

同 じ適 格資 産 た る国庫 証 券 の如 きで カバ ー し得 る か ど うか に依 存 す る。 銀 行 は この 第二 線 準 備資 産 が満 足 に得 られ な けれ ば,金 融 逼迫 の際 は益 々現 金 準 備 を 増 加 し よ うと焦 る だ ろ う。 「銀 行 は第二 線 準 備 が 確 保 され て は じめ て残 りの

自 由資 金 を長 期証 券 の 運用 に踏 切 るだ ろ う。」(S・255)こ の意 味 にお い て,景 気 変 動 に うま く適 応 し た政府 の 公債 管理 が 重 要性 を もつ 。政 府 は不 況 期 に は, 政 府 投 資 を適 当額 の 国庫 証 劣 で賄 い なが ら,銀 行 の証 券投 資 を容易 な らし め る

条 件 を設 定 す る こ とが で きる。 何 れ にせ よ銀 行 が授 信 業 務 内 に有価 証 劣 を導 入 して,長 期 的 に資 産負 債 の安 定 を確保 し得 る ため には,一 方 で は銀 行 自体 が現 金 準 備 率 と第 二線 準 備 率 につ い て 明確 な基 準 を意 識 す る こ と。 他方 では こ うし た 準 備 資 産 の 需 要 に充 分 に応 じ られ る外部 市 場 が整 備 され る こ とが必 要 で あ る。

トーマ ス博 士 は以 上 を要 約 して,次 の よ うに結 ん でい る。 「銀 行 が組 織 的 な証 券投 資 を実施 す る ため に は ・営 業 政 策 が 一定 の原 則 に も とつ い て運 営 され る こ

と を前提 条 件 とす るが,そ の よ うな原 則 の導 入 は,有 価 証 券 な くして は不 可能 で あ る。景 気 後 退 期 に に は,貸 出業 務 を 証 劣投 資 に よつ て 補 完 し(好 況 期 に は)証 券 処 分 に よつ て追 加信 用 を融 通 す る こ とは,銀 行 業 務 に安 定性 を与 え, 収 益 性 の平衡 化 を確 保 す る。 それ は貨 幣 市 場 や資 本 市場 の意 義 を高 め,申 央 銀

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一76一 商 学 討 究 第8巻 第2号

行政 策 の効 果 を強 め る。 し たが つ て独 逸 信 用 銀行 は証 雰投 資 を慎 重 に扱 う と云 う問 題 につ い て,今 後 もつ と大 きな関心 を払 うこ とが の ぞ ま しい 。」(S.257)

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