肝 細胞癌に お ける P I V K A ‑Ⅰ 測 定の意 義
M P I V K A ‑Ⅱ 微 量 測 定を含め た検 討 ‑
金沢 大 学 医 学 部 内科 学 第 一講 座 (主任: 小 林 健一 教 授)
大 帝 了 庸
( 平成4年4月9 日受付)
肝 細 胞 癌お よ び各種 疾患における 血紫 中 異 常プロ トロ ン ビン(pr otein indu c ed by vita min K abs e n c e o r a ntago nist‑Ⅱ,
P I V K A ‑Ⅱ) を酵 素 抗 体免 疫 測 定 法 (E‑1 0 2 3), E‑1 0 2 3 に ア ピ ジン ー ビ オチソ法を応用 L , 微 量 測定を 可能に し た高 感 度 法, ラ テ ック ス凝 集 法(T Z R‑1 1 0) の3 法を用い測 定し, その有用性を検討した. E‑1 0 2 3 に よ る測 定で は, 0.1 A U/ml以上 を陽性とす る とt 健 常 人は全例 陰 性で, 肝 細胞 癌9 6例 中5 8例 (6 0 %), 肝 硬 変7 9例 中1 例 (1 %), 慢 性 肝炎8 3例 中3例 (3 %) が陽性を 示 し,
肝 細 胞 癌において P I V K A‑Ⅰ 陽性ほ高 率であり, その差は有 意であっ た(p <0・0 0 1)・ ま た, P I V K A‑Ⅱ とα‑fetopr otein
(A F P) には相 関を認めず, 両 者 併 用によ り肝 細 胞 痛の診 断 率は 9 6例 中6 9例 (7 2 %) と向上 した・ さ らに ,経 時 的測 定に よ り, 肝 細 胸 痛の臨 床 経 過を反 映し た P I V K A一Ⅱ の変 動 も 確 認さ れ た. 一方, 他 臓器悪 性 腫 瘍や原 発 性 胆汁性 肝 硬 変の 一 部に PI V K A‑Ⅱ 高 値 例が み られた が, これ ら ほすべて閉 塞 性 薫 痘や肝 内胆 汁 うっ滞 例であった. な お, ビタ ミソK2投 与によ り肝細 胞 痛 患 者においても, 胆 汁うっ滞 例と同 様に, P I V K A‑E の低 下, 陰 性 化が認め ら れ, ビタ ミソK2反 応 性か らの両疾 患の鑑別 は困難であった. 高 感度 法を用いた P I V K A‑Ⅱ 教 皇 測定で ほ, 0.00 8 A U/ ml 以上 を陽性とする と, 健常人は全 例 陰性で,肝細 胞 癌では5 2例 中3 3例 (6 3 %)が陽性であった. E‑1 0 2 3 に よ る測 定 結 果に比し, 肝 細 胞 癌での陽 性 率の上昇と, 小 肝 細 胞癌での陽 性 例を認め た が, 胆 汁 うっ滞 例や肝硬 変 例における陽 性 率 も 増 加した. ま た, 本 法によ る測 定は, 経 過 中に P I V K A‑Ⅱ 値が E‑1 0 2 3 の測 定 感 度 以下にな った肝細 胞 癌 例に おいて, その臨 床 経過の評 価に有用 であった. ラ テ ッ クス凝 集 法によ る測定は,
1 〃 g/ml以上 を陽 性とする と, 肝細 胞 痛3 7例 中2 1例 (5 6 %) が陽 性であった が, E‑1 0 2 3 での測 定 結 果に比し, 肝 硬 変や慢性肝 炎での陽 性 率が高くな る慣 向が み ら れ た. 以上の結 果か ら, E‑1 0 2 3 に よ る PI V K A‑Ⅱ測 定は, 阻 汁うっ滞の有 無, ビタ ミンK 投 与の有 無に留 意 する 必要がある が, 肝細 胞 癌の腫 瘍マ ー カ ー と し て有用であり, さ らに , 高 感 度 法に よ る微 量 測 定の併用 はI P I V K A‑Ⅱ 低値の肝 細 胞 癌の診 断や臨 床 経 過観 察に有 用 性が増 す ものと考え られ た. ま た, ラ テ ックス凝 集 法によ る測定 は簡 便で はある が, 肝細 胞癌 診断に おける特 異 性ほ劣る と考え ら れ た・
K ey w o rds hepato c ellula r carcin om a, P I V K A‑Ⅲ, E LI S A m ethod, high s e n sitiv e m ethod,1ate x
ag glutin atio n m ethod
異 常プロ トロン ビン(pr otein indu c ed by vita min K abs e n c e o r a ntago nist‑Ⅱ, P I V K A‑Ⅱ),ほビ タ ミ ンK の 吸 収 障 害や ワ ー
ファリソ投 与 などによ る ビ タミソE の利用障 害が存 在 する と出 現 する異常 蛋 白でありJ ト 4 ), 近 年L iebm a n ら5)は放 射 性 免 疫 測 定 (T ad ioim m u n o a s sy, RI A) 法に て, 藤 山ら6)は酵 素 抗 体 免 疫 測 定 (e n zym e‑1inked im m u n o s o rbe nta
.s s ay,E L IS A) 2抗 体サ ン ド
イッ チ法にて, 各 種 肝 疾 患における 血紫P I V K A ‑[ を測 定し,
肝 細 胞 癌 (hepato c ellula r c a r cin o ma, H C C) において , 高 率に P I V K A‑Ⅱ の出現を認め た と報 告し ている. 今回著 者ほカッ プ
型E L IS A 法 (E‑1 0 2 3)丁), さらに, E‑1 0 2 3 に アビ ジソ ー ビ オチソ
系を応 用し た高感 度 法, ラテックス凝 集法 (T Z R‑1 1げ)を用い,
H C C を含む各種肝 疾 患 及び他の悪 性 腫 瘍に おいて, P I V K A ‑Ⅰ を測 定し, H C C 診 断に おける PI V K A ‑Ⅱ 測 定の有 用 性の検 討, さらに, H C C 以 外の P I V K A‑Ⅱ 陽 性 例の検 討, 高感 度 法
によ る P I V K A‑Ⅱ 微 量 測 定の意 義に関する検 討を行ったので A b br e viatio n s : A F P, α ‑fetopr otein; A H, a C ute
報告 する.
対 象およ び 方 法
Ⅰ. 対 象
金 沢 大学 医学 部第 一 内科に入院し, 腹 腔 軌 肝 生 軌 各種画 像 診 断, 手 札 剖検な どによ り診 断し え た H C C 9 6軌 肝硬変 (liv e r ci, rho sis, L C)7 9例, 慢 性 肝 炎 (chr o nic hepatitis・C H) 8 3例, 急 性 肝 炎 (a c ute hepatitis, A H) 2 0 例, 劇 症 肝 炎 (fulmin a nt hepatitis, F H) 4 例, 原 発 性 胆 汁 性 肝 硬変(prim ary
b ilia ry cir rho sis,P B C)2 1胤 H C C 以外の悪 性 腫 瘍5 0例( うち胃 癌2 0例, 胃 悪 性リ ン パ腫1 例, 肺癌3例, 胆 管 細 胞癌1臥 膵 臓癌1 2例, 胆道 癌1 1例, 大 腸 癌2 例), お よ び健 常 人3 0例,計 38 3例を対 象と した. なお, H C C 9 6例ほ, 男 性7 8軌 女性18 例, 年 齢6 0 ±1 0歳であった.
Ⅰ. 検体 採取 法 お よび 保 存 法
hepatitis : C E A , Ca r Cin o e mbryo nic antige n; C H , Chr o nic
hepatitis; E D T A, ethyle n e dia min e tetr a a c etic a cid; E LI S A , e n Zy m e‑1inked im m u n o s o rbent a s s ay ; F H・
ful mi n a nt hepatitis; Gla, T ‑C arbo xy gluta mic a cid r e sidu e s; G lu, gluta mic a cid r e sidu e s; = C C, hepato c e11ula r
肝 細 胞癌の PI V K A 一Ⅱ
原月化 し て, 早 朝 空 腹 時に3・8% クエ ン酸ナ トリ ウムを含む
真空採血管を用い採血 し た・ 採血後 直ちに3 0 0 0 回転1 0分 間の遠
心分離を行い一 得ら れ た 血凍を ‑2 0 ℃にて凍 結し, 使用時まで 保存した・
Ⅲ. P I V K A‑Ⅱ 測 定 法 1 . E‑1 02 3 操 作 法
肌I S A 法を原理 と し た E‑1 0 2 3(エ ーザ イ株 式 会モL 東 京) に ょる測定法を以下に示す・
1) 第1反 応 抗P I V K A一Ⅱ モ ノ クロ
ーナ ル抗 体を コ ー ト し たカ ッ プ に 4
℃下で全て の カップに反 応 用溶 液(I O% 正常 家 兎血 軌 5 0m M
ethyle n e diami n e tetr a a c etic a cid (E D T A)・ 0・7 5 M NaC l・
0.1% ベ ンザミジン, 0.1% アジ化ナ トリ ウム含トリス塩 酸 緩 衝 敵0.01 M pH 8■0) を 2 5FLI ずつ注入 し, さ らに P I V K A‑Ⅱ
8.O A U/ml の標 準 抗原 液を倍々希 釈し て作 製さ れ た 8・0, 4・0,
2.0, 1 几 0.5,0.2 5, 0.1 2 5, 0・0 6 3 A U/mlの標 準抗 原 液 ある
いは, 標 準抗 原希 釈用溶 液 (正常人 血旅6ml凍 結 乾煉 品+ 精 製 水6ml), 被検血祭を各々1 00〃lずつ2カ ップに注入 し, 4 ℃下 で16時間反 応さ せ た.
2) 第2 反応
第1反応 終了 軌 洗 浄 器 (ミ ニウオッ シ ャ ー 8穴用) を 用い,
4 ℃下で カッ プ内 溶 液を吸 引 除 去し, 0.0 1% Tw e e n 2 0含 有 0.15 M 塩化ナト リ ウム液に て洗 浄し た. 洗 浄 終 了 後, 酵 素標 識 抗体 (ペルオ キシダー ゼ結 合 抗プロ トロ ン ビン抗 体) を 1 0 0〃1 ずつ全ての カッ プに注入 し 4 ℃に て1 時 間 反 応さ せ た・
3) 第3 反 応
第2反 応終 了後, 2) と同様の方 法で吸 引, 洗浄を行った・ さ ら に . 2, 2‑'a Zin o‑b is (3‑ethylbe n z othia z olin e‑6‑S ulpho nic
a cid) 1 8mg をクエ ン酸緩 衝 液( 0.1 M pH 4.2)1 2ml で溶 解し た 後, 3 % 過酸 化 水 素水3 0Jノ1 を添 加して作 製し た酵 素 基 質 液 1 00〃1 を 4 ℃に て, 全ての カッ プに注入 し,2 0 〜3 0 ℃に て1時 間反応さ せ た.
4) 反応の停止
第3 反応 終了 後, 4 ℃下で反 応停 止液 (2m M アジ化ナ ト リウ ム)10 0/Jl を全ての カッ プに注入 し, 反 応を停 止さ せ た.
5) 反応 液の光 学 的 測定
カップ内の全溶 液 (2 00/‖) の吸光 度を, 1 0 0‑2 0型デ ジタ ル 分光光度計( 日立, 東 京) を 用い, 精 製 水を対 照と し て波 長4 0 5
n m に て測定し た.
6) P I V K A‑Ⅱ 値へ の換 算
両 対 数グラフ 用 紙を使 用し, 縦 軸に 吸 光 度を, 横 軸に PI V K A‑Ⅱ標 準 抗原 溶 液の各濃 度を記入 し た. 次に, 各 濃 度の 標準抗原溶液の測定か ら得ら れ た吸 光 度 値か ら標 準抗 原 希 釈用 溶液の平均吸光 度値を減じ た数値を各々 プロ ッ ト し, 標 準 曲 線 を作製した. さ らに被 検血凍の測定で得ら れ た各々2 検体の吸 光度値の平 均か ら 仁標 準 抗 原 希 釈用 溶 液の平 均吸光 度値を減じ た値を求め, 標 準 曲線か ら被 検血祭 中の P I V K A Ⅷ 値を算 出し た・ 本法に て P I V K A‑Ⅱ 値は 0.06 3 A U/ ml か ら 8 A U/ml ま で 馳走が可能であった7).
なお, 対象 症 例全 例におい て, 本 法によ る P I V K A ‑Ⅱ測 定を 行なった.
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2 . 高感 度 法によ る測定竜宮
E‑1 02 3 に ア ピジン ー ビオ ジン系を応 用し た高 感 度 法によ る P I V K A一Ⅱ 微 量 測定 法を以下に示す.
1) 第1反 応
E‑1 0 23 操 作法と同 様に, 抗P I V K A‑Ⅱ モ ノ クロ ー ナ ル抗 体 をコ ー トし たカップに, 4 ℃ で全ての カッ プ に反 応 用溶液を 2 5 pl ずつ注入 し, さ らにP I V K A‑Ⅱ 8.O A U/ml の標 準 抗原 液を 倍々希 釈し て作 製さ れ た 8.0, 4.0, 2.0, 1 .0, 0.5, 0.2 5,
0.1 2 5, 0.0 6 3,0.0 31,0.0 1 6,0.0 08 , 0.0 0 4 A U/ml の標 準抗 原 液 あるいは, 標 準 抗原 希 釈用 溶 液, 被 検血凍を各々1 0 0両 ずつ
2カ ップに注入 し, 4 ℃下で1 6時 間 反 応さ せ た. 2) 第2 反 応
第1 反 応 終 了後, 洗 浄 器に て4 ℃下でカップ内溶 液を吸 引除 去し,0.0 1% Tw e e n 20 含 有0.1 5 M 塩 化ナ ト リウム液にて洗 浄L た. 洗 浄 終 了後ビ オチソ化 抗プロ トロ ン ビン抗 体を 1 0 0
〟1 ずつの全て の カ ップに注入 し, 4 ℃に て1 時 間反 応さ せ た. 3) 第3反 応
第2反 応終 了 後, 2) と同様の方 法で吸 引, 洗浄を行った. さ らに, アピ ジン化ペルオ キシダー ゼを 1 0 0〟1ずつ全ての カッ
プに注入 し, 4 ℃に て1時 間反 応さ せ た. 4) 第4反応
第3反 応 終 了後, 2), 3) と同 様の方法で吸 引, 除去を行っ た. さ らに一 酵 素 基 質液1 0 0/バ を 4 ℃にて全ての カップに注入 し, 2 0〜3 0 ℃にて 1 時 間 反応さ せ た.
5) 反 応の停 止
第4反 応 終 了後, 4 ℃下で反 応停 止 液(2m M アジ化ナト リ ウ
ム) 1 00〟1 を全て の カッ プに注入 し, 反 応を停 止さ せ た. 6) 発 色液の光 学 的測 定
カッ プ内の全 溶 液 (2 0 0両) の吸光 度を, 1 0 0 ‑2 0型デ ジタ ル 分 光 光 度 計 (日 立) を 用い , 精 製水を対照と して波 長40 5n m に て測 定し た.
7) P I V K A‑Ⅱ 値への換 算
両対 数グラ フ用紙を使用 し, 縦 軸に吸光 度を, 横 軸に P I V K A一Ⅲ標 準 抗 原 溶 液の各濃 度を記入 し た. 次に, 各 濃 度の 標 準 抗 原 液の測 定か ら得ら れ た吸 光 度値か ら標 準 抗原 希 釈用溶 液の平 均 吸 光度 値を減じた数値を各々プロ ッ トし, 標 準曲 線を 作 製した. さ らに, 被 検血紫の測 定で得ら れ た各々2 検体の吸 光度 値の平 均か ら標 準 抗原 希 釈用 溶 液の平均吸光 度 値を減じ た 値を求め, 標 準曲 線か ら被 検血祭 中の P I V K A Ⅷ 値を算 出し た. 本法に て ,P I V K A‑E 値は 0.0 0 8 A U/ml か ら 1 A U/ml まで 測定が 可能であっ た.
な お, 対 象 症 例のう ち, H C C 5 2例, L C 4 3例. C H 4 1例,
A H 3 例, F H 2例, P B C 8 例, 他 臓器悪 性 腫 瘍2 2例, 健常人 2 0例, 計1 9 1例において, 本法お よ び E‑1 0 2 3に よ る P I V K A‑Ⅲ 測 定を同山 検 体を用い て行った.
3 . T Z R‑1 1 0 操 作 法
正常プ ロ ト ロ ン ビン は バ リ ウム 塩に吸着 さ れ る が,
P I V K A ‑Ⅱ は吸 着さ れ ない性質8 )を利 用し, バリ ウム塩で吸 着 処理 し た後の検 体について抗ヒト プロ トロ ン ビン抗 体との ラ テッ クス凝集 反 応を指標と し た T Z R‑1 1 0( 帝 国臓 器 製薬株式 会 社, 東 京) に よ る PI V K A‑Ⅱ 測 定 法を以 下に 示す.
C a rcin o m a; L C, liv e r cir rho sis; P B C, prim a ry bilia ry cir rho sis; P I V K A‑Ⅰ, pr Otein indu c ed by vita m in
abs e n c e or a ntago nist‑Ⅰ; RI A, r adioim m u n o ass ay