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博 士 ( 工 学 ) 田 中

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 田 中    博

     学 位 論 文 題 名

衛 星 搭 載 用 ア ン テ ナ の 指 向 方 向 精 度 の 向 上 に 関 す る 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  

現 在の 衛星通信は、打ち上げロケットの大形化、衛星通信の大形化によって 衛星 回線 のコストは著しく低下しており、その利用は大きく拡大する方向にあ る。 この ため、国際間の電話、テレビ電送に始まった衛星通信は、船舶、航空 機等 の移 動体通信、テレビ会議等さまざまなサービス携帯が要求されており、

有限 な周 波数の有効利用、大容量化、経済化のために、周波数の再利用、直交 偏波 の利 用およびサービス形態に応じてサービスエリアを複数の電波ビームで 覆う マル チビームや成形ビームの使用が必要となっている。このために衛星塔 載用アンテナの大形化が不可欠となりつっある。

  

こ のよ うな搭載用大形アンテナ、マルチビームアンテナでは、照射ビームの 狭小化、地球局アンテナの小形化さらに他の電波ビームとの干渉を起こさナょい ため に高 精度なアンテナの指向方向精度を確保することが極めて重要であり、

このための技術の確立が要求されている現状にある。

  

本 研究 では、衛星搭載用アンテナの指向方向精度の向上を目的として、まず 指向 方向 精度の向上に必要となる搭載アンテナを回転駆動させて指向方向精度 を確 保す るアンテナ駆動制御技術とその軌道上での制御特性を地上で検証する ため の地 上試験技術を明らかにした。さらに、移動体衛星通信における移動機 の 携 帯 化 を 目的 と す る 開 口 径

10m

級 のアン テナ を実 現する ため のア ンテ ナ鏡 面が ケー ブルとメッシュで構成されるメッシュアンテナに対する軌道上での鏡 面変 形、 アンテナ特性解析技術およびアンテナとしての特性を確保するための 鏡面形状制御方法について明らかにした。

  

具 体的 には、ソリッド鏡面から構成されるアンテナの指向方向精度を確保す るた めの アンテナ駆動制御系の方式設計および個々の制御系構成要素に要求さ れる 機能 、基本性能について明らかにした。そして、地上からのビーコン波に 追尾 して アンテナ副反射鏡を回転駆動させるアンテナ駆動制御系を従来の衛星 本体 の姿 勢制御系に加える制御系構成を実現するとともに、衛星の姿勢変動を 模 擬 で き る 試験 系 を 構 成 し 、 要 求 さ れ た アン テ ナ 指 向 方 向 精 度O.015゜を

(2)

満足できる見通しを得た。

  上記で構成 したアンテ ナ駆動制御 系の静止軌道上における制御特性の予測を 目的とした 地上試験技 術について 検討し、地上試験系に対する要求条件を設定 した後、本 駆動制御系 の動作環境 である軌道上の熱真空、無重力環境を模擬す る試験系の 構成を明ら かにした。 さらに制御特性を評価する上で不可欠である 閉ル了プ系 を室内で構 成するため に必要となる電波信号を模擬する試験装置を 新 た に 開 発 し た 。そ し て、 構 築し た 試 験系 を 技術 試 験衛 星V号 (ETS‑ VI、 1994年 打 ち 上 げ 予 定 )に 搭 載さ れ るア ン テナ 駆 動制 御 系に 適 用 して そ の特 性 を 評 価 し 、 設 計 目 標 値 を 満 足 す る 特 性 を 有 し て い る こ と を 確 認 し た 。   次に、収納 性、重量の 観点から次 世代の衛星通信用大形アンテナの有カな候 補と考えら れるメッシ ュアンテナ の軌道上でのアンテナ特性を予測するために 材料特性の異なるトラス構造とケ.ーブル ネッ゛トワークから構成されるアンテナ 鏡面に対し て最も大き な変形要因 と予想される熱変形を見積もるための変形解 析手 法 を明 ら かに し た。 そ して、直 径4mのメッシ ュアンテナ を一例とし て取 り上げ、計 算機シミュ レーション によって軌道上での変形量、鏡面変形の主要 因を 明 らか に する と とも に 鏡面変形 によるアン テナ特性の 変化を評価 した。

  上記で明ら かにした軌 道上でのア ンテナ特性の劣化を補償するために、宇宙 環境におい て鏡面精度 を確保する ことを目的としたァクチュエ一夕を用いた能 動的ナょ鏡面形状制御方法について検討した。鏡面形状制御モデルの作成手法、

変形補償の ためのアク チュエー夕 駆動量を算出する方法を明らかにするととも に直 径4mの メッ シ ュア ン テ ナ鏡面の試 作モデルを 用いた実験 によって、 提案 レた制御方 法の妥当性 を確認した 。さらに、軌道上での熱変形を想定した変形 を試作モデ ルに与えて 提案した制 御手法を適用し、その鏡面変形補償効果を明 らかにする とともに実 験データを 用いてアンテナパターンを予測することによ り、手法の有効性を確認した。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

衛星搭 載用アン テナの指向方向精度の向上に関する研究

  現在の衛星通信は、口ケットの打ち上げ 能カの向上による通信衛星およびその搭載アン テ ナの大形化にともない、衛星回線のコス トは著しく低下する方向にあり、このためその 利 用は大きぐ拡大する方向にある。大形ア ンテナの実現には、照射ビームの狭小化および 他 の電波ビームとの干渉を生じさせないた めに高精度なアンテナの指向方向の確保が不可 欠 であ る。

  本論文は、このような技術的要求を踏ま え、衛星通信分野における衛星搭載用大形アン テ ナの指向方向精度の向上に関する技術に ついて研究し、衛星通信技術上の有益な新技術 を 得る こと を目 的と して い る。

  まず、アンテナからの照射ビームの指向 誤差に応じてアンテナ反射鏡を東西、南北方向 に 回転駆動させて指向方向精度を確保する アンテナ駆動制御系について方式設計を行い、

制 御系の構成を明らかにするとともに制御 系構成要素に要求される機能、性能について検 討 し制御系を実現している。そして、従来 の衛星本体の姿勢制御系に本制御系を加えるこ と に よ り 、 0.015° の 指 向 方 向 精 度 を 確 保 す る 見 通 し を 得 て い る 。   さらに、軌道上での本駆動制御系の制御 特性を地上で精度良く評価するための動作環境 で ある軌道上での熱真空、無重力環境を模 擬できる地上試験系の構成、装置を提案すると と もに、制御特性を評価する上で不可欠で ある閉ループ制御試験を可能とするため、アン テ ナから放射される電波信号を再現する試 験装置を新たに開発し、地上試験法を明らかに し て い る 。 そ し て 、 構 成 し た 試 験 系 を 用 い て 技 術 試 験 衛 星VI(ETS‑VI1994 8月 打ち 上げ 予定 )に 搭載 されるアンテナ 駆動制御系の特性を評価し、本制御系が軌道上

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政 彦

史 昇

勝 精

建 侑

藤 藤

浪 数

斎 伊

岸 嘉

授 授

授 授

教 教

教 教

査 ―

査 査

主 副

副 副

(4)

の運用時において要求特性を満足し、所定のアンテナの指向方向を確保できることを確認 している。

  また、次世代の開口径10m超級の大形アンテナとして収納性、重量の観点から有カで あるトラス構造である展開構造物上にケーブルネットワークとメッシュで電波の反射面と なるアンテナ鏡面が構成されているメッシュアンテナを取り上げ、アンテナ特性に最も大 きな影響を及ぼすと考えられる軌道上の温度環境による鏡面変形を見積もる変形解析手法 を提案している。そして、本手法を用いた計算機シミュレーションによって鏡面変形量お よび変形によるアンテナ特性の劣化を求め、上記のアンテナ駆動制御系のみならず、変形 したアンテナ鏡面による特性の劣化を補償する必要性のあることを明らかにしている。

  シミュレーションで明らかにした鏡面変形の主要因を考慮し、特性補償法として、軌道 上で鏡面形状を確保するためのアクチュエ一夕を用いた能動的な鏡面形状制御方法につい て提案している。具体的には、形状制御モデルの作成手法、アクチュエ一夕駆動量を算出 するアルゴリズムを明らかにし、想定したメッシュアンテナに適用し最も制御効果が期待 できるアクチュエー夕設定位置、駆動方向を示している。また、軌道上で想定される鏡面 変形を直径4mの試作モデルに与えた実験を行い、制御前後の鏡面精度を3次元計測装置 を用いて評価することにより、提案した手法の妥当性および制御効果を明らかにすると・と もに、実験で得られた形状デ一夕からアンテナパターンを計算機シミュレーションによっ て求め、アンテナゲイン、指向方向およびサイドロープレベルが確保できることを確認し、

本手法の有効性を確認している。

  これを要するに、著者は衛星通信における大容量化、経済化のために不可欠である大形 アンテナを用いた衛星通信の実現のための重要な課題であるアンテナの指向方向精度の向 上に関して有益な新技術を構築しており、衛星通信技術の発展に貢献するところ大なるも のがある。

  よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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参照

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