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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 江 丸 貴 紀

学 位 論 文 題 名

スライデイングモードシステムを用いた 非線形デイジタルフイルタに関する研究

学位論文内容の要旨

  本 論文 は ,「 イン バル ス性 雑音 を除 去す る」 およ び「突発的な信号成分 の変化を保存す る 」 と い う 相 反 す る要 素を 満 たす ,非 線形 ディ ジタ ルフ ィル タに 関す る研 究を まと め た も の で あ る . 本 研 究は ,自 律 移動 □ボ ット の研 究の 一環 とし て行 われ てお り, 自律 移 動

□ ボ ッ ト に 搭 載 さ れ る セ ン サ に 適 用 す る , と い う 強 い タ ス ク 指 向 の も と で行 われ た ,   □ ポ ッ ト が 自 律 的に 動的 環 境の 中を 動き 回る ため には ,セ ンサ によ る外 界の 認識 が 必 要不 可欠 で ある .し かし ,我 々が 用い るこ とが でき る現実のセンサは,精 度,分解能,情 報の 獲得 に かか る時 間, そし て情 報の 獲得 の際 に混 入するエラーなど様々 な制限がある,

そ こ で , 本 研 究 で は, セン サ によ って 得ら れた 情報 に信 号処 理を 施す こと によ り, 雑 音 に対して口パストな認識の実現を 試みる,

  し か し , □ ボ ッ トに 搭載 さ れる セン サと 一括 りに して もそ の種 類は 膨大 であ る. そ こ で , 本 研 究 で は 超 音波 セン サ を想 定し て研 究を 行っ た. これ は, 安価 でシ ステ ムの 構 成 が 簡 単 , さ ら に は コン ピュ ー タと の接 続が 容易 であ るな どの 特徴 を持 ち, 多く の移 動 □ ボッ トで 用 しゝ られ てい るた めで ある .そ こで ,本 研究では超音波センサ を用いた測距に 際 し て 混 入 す る イ ンバ ルス 性 雑音 を除 去す るこ とを 主眼 に, 非線 形デ ィジ タル フィ ル タ を 構 成 す る こ と を 目的 とす る .信 号処 理を 行う 際に は, 信号 成分 を破 壊せ ず, 雑音 の み を除 去す る こと が望 まし い, すな わち ,「 イン バル ス性雑音の除去」およ び「信号成分の 保存 」と し ゝう 相反 する 目的 を満 たす こと が望 まれ る.このような非線形 ディジタルフィ ルタとして,本論文ではESDS(the system which Estimate the Snloot,hedvaliie aricl tlic]

Diff'erent,ial value by using Sliding mode system)を 提 案 し た .   本 手法 は ,雑 音の 混入 した デー タか ら平 滑値 を求 めるのみならず,微分 値の推定も行う こ と が で き る . こ れま での 研 究に おい て, セン サ信 号の よう な雑 音の 混入 した 信号 か ら 微 分 値 を 推 定 す る 研究 も行 わ れて いる が, イン バル ス性 雑音 のよ うな 大振 幅の 雑音 に 対 し て 口 バ ス ト な フ ィル タは 提 案さ れて いな い. 微分 値を 推定 する こと がで きる とい う こ とは ,た と えば 超音 波セ ンサ の測 距デ ー夕 ,す なわ ち距離情報から速度情 報が得られるこ とを意味しており,その有効性は 大きいと言える.

  ま た 。 提 案 手 法 で あ るESDSは , ス ラ イ デ ィ ン グ モ ー ド シ ス テ ム を 利 州 して 構成 す る こ と に よ ル フ ィ ル タの 安定 性 を保 証し てい る. さら に, スラ イデ ィン グモ ード シス テ ム の 中 で も 最 短 時 間 で収 束す る こと が保 証さ れて いる 最短 時間 系を 用い るこ とに より , 推

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定値が得られるまでの時間を短くすることを目指している.その結果,リアルタイムで 得られる時系列データに対して良好な結果を得ることができた,インバルス性雑音を除 去するフィルタとしてはヌジアンフィルタが良く知られているが,時系列デ一夕の処理 と い う 点で は ESDS に劣 る.これ は, ESDS で採 用されて いる最短 時間系が ,リアルタ イムでの平滑値・微分値の推定を支えているためである.提案手法はインバルス性雑許 の存在を仮定して構成されたフィルタであるが,異なった雑音モデルの信1 ;.に対しても 適用を試みた.雑音モデルとして一様分布に従う信号を仮定し,この信号に対するシミュ レーションを行った.一様分布に基づく雑音モデルは,超音波センサの混信を想定する ものである,さらに,提案手法の実世界における有効性を確認するために,実機を用い た実験も行っている,その結果,反射波が得られないという原因に起因するインバルス 性雑音,および混信に起因する一様分布に従う雑音に対して,実用上充分な精度で平滑 化,および微分値推定が可能であることを示した.

   さらに,本論文で提案するESDS の性質を明らかにするために,位相面解析を行った.

線形フィルタであれば,周波数領域での議論が可能であるが,非線形フィルタにおいて は周波数領域で議論することは非常に困難である.そこで,位相平面における解軌道を 求めることによルシステムの解析を行った. ESDS で採用されている最短時間系はっ最適 制御理論,またはスライディングモード制御の研究において大変よく検討されており,こ れらの研究において得られた知見が本システムの解析に役立っている.11 ンホuI 珂解析をfJ ‐ うことにより,ステップ応答の際の追従性能,インバルス性雑音に対する雑音除去特性な どが明らかになった.また,位相面解析を行うことにより,フィルタリングに必要とする 計算時間の短縮を可能にした.本研究では,提案手法を自律移動口ボットのセンサ信号 処理に応用することを想定している.実世界で働く口ボットが環境を認識するためには,

I 」アルタイムで外界の情報を獲得する必要がある.そこで,フィルタリングに必要とす る 計 算 時間 は 可能 な限り短 いほうが 望ましい .ESDS は 1 階 2 元 連立微分 方程式で表 現 されており,この連立微分方程式を解くことにより平滑値,そして微分値の推定を行う.

しかし,一般的な微分方程式の解法であるRunge −Kutta 法,あるいはR1 .lnHp ―王くuttaG 川 法を用いると多大な計算時間を必要とする.そこで,位相面解析によって得られた知児 を用いることにより,微分方程式を解くことなく,推定値を求めることを可能にした.さ ら に,目立 製ワンチ ップマイ ク口コン ピュー夕H8/3048F を用いた実験により,計算時 間が10 〜20 分の1 になることを確認した.

   以上,本論文ではスライディングモ←ドシステム,最短時間系という理論体系を組み 込んだ,全く新しいタイプの非線形ディジタルフィルタを提案した.本于法は,自律移 動□ボットへの応用を目的としており,その有効性を検証するために,実環境における 実機実験を行った,その結果,インバルス性雑音,一様分布に従う雑音の混入したデー タから,平滑値および微分値を推定することが可能であることを示し,実世界でその有 効性を明らかにした.

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

スライデイングモードシステムを用いた 非線形デイジタルフイルタに関する研究

  本論文は,「インパルス性雑音を除去する」および「突発的な信号成分の変化を保存する」とい う 相反する要素を満たす,非 線形ディジタルフイルタに関 する研究をまとめたものである,本研 究 は,自律移動ロボットの研 究の―環として行われており ,自律移動ロボットに搭載されるセン サ に適用する,という強いタ スク指向のもとで行われてい る,

  ロボットが自律的に動的環 境の中を動き回るためには, センサによる外界の認識が必要不可欠 で ある.しかし,現実のセン サは,精度,分解能,情報の 獲得にかかる時間,そして情報の獲得 の 際に混入するエラーなど様 々な制限がある,そこで,本 研究では,センサによって得られた情 報 に 信 号 処 理 を 施 す こ と に よ り , 雑 音 に 対 し て ロ バ ス ト な 認 識 の 実 現 を 試 み て い る ,   しかし,ロポットに搭載さ れるセンサと一括りにしても その種類は膨大である,そこで,本研 究 では超音波センサを想定し て研究を行っている.これは ,安価でシステムの構成が簡単,さら に はコンピュータとの接続が 容易であるなどの特徴を持ち ,多くの移動ロボットで用いられてい る ためである.そこで,本研 究では超音波センサを用いた 測距に際して混入するインパルス性雑 音 を除去することを主眼に, 非線形ディジタルフイルタを 構成することを目的としている.信号 処 理を行う際には,信号成分を破壊せず,雑音のみを除去することが望ましい.すなわち,「イン パ ルス性雑音の除去」および「信号成分の保存」という相反する目的を満たすことが望まれる.こ の ような非線形ディジタルフ アルタとして,本論文ではESDS(the system which Est:imates the Smoothed value and the Differential value by using Sliding mode system)を提案している.

  本手法は,雑音の混入した データから平滑値を求めるの みならず,微分値の推定も行うことが 可 能である.これまでの研究 において,センサ信号のよう な雑音の混入した信号から微分値を推 定 する研究も行われているが ,インパルス性雑音のような 大振幅の雑音に対してロバストなフィ ル タは提案されていなぃ.微 分値を推定することができる ということは,たとえぱ超音波センサ の 測距データ,すなわち距離 情報から速度情報が得られる ことを意味しており,その有効性は大 き いと言える.

  ま た, 提案 手法 であるESDSは, 原点で大域的一様漸近安定な ,最短時間切換曲面を持つ 非線 形 システムを用いて構成されている.このシステムは最短時間系として知られており,スライディ ン グモードシステムと多くの アナロジーを持つ.従って,ESDSを解析するために,最適制御,そ し てスライディングモード制 御の分野で得られている数々 の知見を生かすことができ る,その1

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士 脩

史 悟

武 公

谷  

  浪

   

   

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っとして,最短時間での収束 が保証されている最短時間 系を用いることにより,推定値が得られ るまでの時間を短くすること を狙っている,その結果, リアルタイムで得られる時系列データに 対して良好な結果を得ること が可能となっている,イン パルス性雑音を除去するフィルタとして はメ ジア ンフ ィル タ が良 く知 られ ているが,時系列 データの処理という点ではESDSに劣る.こ れは,ESDSで採用されている 最短時間系が,リアルタイ ムでの平滑値・微分値の推定を支えてい るためである.提案手法はイ ンパルス性雑音の存在を仮 定して構成されたフイルタであるが,異 なった雑音モデルの信号に対 しても適用を試みた.雑音 モデルとして一様分布に従う信号を仮定 し,この信号に対するシミュ レーションを行った.一様分布に基づく雑音モデルは,超音波センサ の混信を想定するものである .さらに,提案手法の実世 界における有効性を確認するために,実 機を用いた実験も行っている .その結果,反射波が得ら れなぃという原因に起因するインパルス 性雑音,および混信に起因す る一様分布に従う雑音に対 して,実用上充分な精度で平滑化,およ び微分値推定が可能であるこ とを示している,

  さらに,本論文で提案して いるESDSの性質を明らかに するために,位相面解析を行っている,

この解析も,最適制御理論, またはスライディングモー ド制御の研究において得られた知見が役 立っている.線形フイルタで あれぱ,周波数領域での議 論が可能であるが,非線形フイルタにお いては周波数領域で議論する ことは非常に困難である. そこで,位相平面における解軌道を求め ることによルシステムの解析 を行っている.位相面解析 を行うことにより,ステップ応答の際の 追従性能,イIンパルス性雑 音に対する雑音除去特性など が明らかになっている,また,位相面解 析を行うことにより,フイル タリングに必要とする計算 時間の短縮を可能にしている,本研究で は,提案手法を自律移動ロポ ットのセンサ信号処理に応用することを想定している.実世界で働く ロボットが環境を認識するた めには,リアルタイムで外界の情報を獲得する必要がある.そこで,

フイ ルタ リン グに 必 要と する 計算 時間は可能な限り 短いほうが望ましい.ESDSは1階2元連立微 分方程式で表現されており, この連立微分方程式を解くことにより平滑値,そして微分値の推定を 行っ てい る. しか し ,一 般的 な微 分方程式の解法で あるRunge‑Kutta法,あるい はRunge‑Kutta Gill法を用いると多大な計算 時間を必要とする.そこで ,位相面解析によって得られた知見を用 いることにより,微分方程式 を解くことなく,推定値を 求めることを可能とした.さらに,日立 製ワ ンチ ップ マイ ク ロコ ンピ ュー タH8/3048Fを用 いた 実 験により,計算時間が10〜20分の1に なることを確認している.

  これを要するに,本論文は 自律移動ロボットヘの応用 を目的とし,スライディングモードシス テム,最短時間系という理論 体系を組み込んだ,全く新 しいタイプの非線形ディジタルフィルタ を提案したものである.その 有効性を検証するために, 実環境における実機実験を行い,インパ ルス性雑音,一様分布に従う 雑音の混入したデータから ,平滑値および微分値を推定することが 可能であることを示し,実世 界でその有効性を明らかにしたものであり,北海道大学博士(工学)

の学位を授与される資格ある ものと認める,

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参照

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