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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2022

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(1)

氏 名 石原 將貴

授与した学位 博 士

専攻分野の名称 工 学

学位授与番号 博甲第 6400 号

学位授与の日付 2021年 3月 25日

学位授与の要件 自然科学研究科 産業創成工学専攻

(学位規則第4条第1項該当)

学位論文の題目 磁界結合型ワイヤレス給電の実用化を見据えた回路構成と制御指針に関する研究

論文審査委員 教授 平木 英治 教授 金 錫範 准教授 藤森 和博

学位論文内容の要旨

磁界結合型ワイヤレス給電の分野では,従来の電力伝送距離や出力電力の制約を超えたアプリケーショ ンを実現するための研究が盛んに行われており,近年では,原理実証から実用化へ開発のフェーズが移ろ うとしている。これらの研究の多くは,① 各方式は個別に研究されている,② 共振周波数は理想的に調 整されていることを前提としている,という二つの傾向がある。しかしながら,これらの傾向には,磁界 結合型ワイヤレス給電の実用化のフェーズを遅らせる或いは妨げる可能性のある問題が潜在している。具 体的には,①の特徴については,異なる等価回路に基づいた議論により各方式間の比較を複雑化し,適切 な方式を選択することを困難にしてしまう。また,②の特徴については,共振周波数は実際には煩雑で正 確な調整が必要であることが多いため,量産を困難にしてしまう。

そこで,本研究の目的は,これらの問題を解決するためのアイディアを提案し,実機検証を通して有効 性・妥当性・実現可能性を確かめることである。以下は,第2~4章の概要である。

第2章では,①の特徴に潜在する問題に取り組んでいる。まず,解析力学を用いて磁界結合型ワイヤレ ス給電のSS方式とSP方式を単一の等価回路で議論可能な理論を構築した。また,この理論に基づき,SS 方式とSP方式のうち,より高出力あるいは高効率を達成可能な適切な方式を,回路パラメータで記述さ れた三つの抵抗値を比較するだけで簡単に判別できる新しい選択指針を提案した。さらに,実機検証を通 して,提案する選択指針の有効性や妥当性を検証した。

第3章では,②の特徴に潜在する問題に取り組んでいる。具体的には,中継器を有した磁界結合型ワイ ヤレス給電を対象に,中継器が磁気結合や共振周波数のバラつきに関係なく安定して広い給電空間を小型 受電器に提供可能な,アクティブインピーダンス補償器とその制御指針のコンセプトを提案した。さら に,実機によって,提案したアクティブインピーダンス補償器は,磁気結合や共振周波数のバラつきにロ バストな中継器電流を実現できることを確認した。

第4章も,②の特徴に潜在する問題に取り組んでいる。具体的には,複数の受電器を有した磁界結合型 ワイヤレス給電システムを対象に,共振周波数のバラつきや受電器間の相互干渉に起因する出力電圧変動 を抑制可能な,二つの機能を有した磁界結合型ワイヤレス給電システムのコンセプトを提案した。また,

実機検証を実施し,提案システムコンセプトは,受電器間の相互干渉や共振周波数のバラつきに関係なく 各受電器の出力電力を安定化できることを確かめた。

(2)

論文審査結果の要旨

磁界結合型ワイヤレス給電は,原理実証から実用化へ開発のフェーズが移ろうとしている。しかしなが ら,①あまたある回路方式が体系化されておらず個別に研究されており,体系的な比較評価ができてない,

②共振周波数は理想的に調整されていることを前提としている,という傾向がある。これらの傾向は,磁界 結合型ワイヤレス給電の実用化フェーズを遅らせる要因となっている。

そこで,本研究はこれらの問題を解決するためのアイディアを提案し,実機検証を通して有効性・妥当 性・実現可能性を確かめることに取り組んでいる。①に起因する問題に対し,解析力学を応用した新しい等 価回路の導出手法を用いて,磁界結合型ワイヤレス給電で最も実用化に近いとされている主要な二つの回路 トポロジーであるSS方式とSP方式が同一の等価回路で比較評価できることを明らかにした。また,これを もとに適切な回路方式を選択するための簡単な指針を明らかにした。②に起因する問題に対し,複数の受電 器間で生じる磁気結合や,回路部品の製造誤差などに起因する共振周波数のばらつきに関係なく,安定して 広い給電空間を小型受電器に提供可能なアクティブインピーダンス補償器とその制御指針を示した。さら に,その具体的な実装手法として,複数の送電器と受電器が存在する複雑な系へ適用するための回路構成と 制御手法を示し,実証試験によりその有効性を明らかにした。

本研究によって得られた成果は,今後の磁界結合型ワイヤレス給電の社会実装に向けて有用な知見を提供 するものであり,工学的・学術的価値が高い。したがって,本研究は博士(工学)の学位に値するものと認 められる。

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