• 検索結果がありません。

博 士 ( 理 学 ) 山 田 志 真 子

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博 士 ( 理 学 ) 山 田 志 真 子"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 理 学 ) 山 田 志 真 子

学 位 論 文 題 名

  Tidal Interactions of Red Giants with Environment Stars in Globular Clusters

( 球状 星団 における赤色巨星の垣星間潮汐相互作用)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

球状 星団は 、約 10 万個か らなる 密集 した星 の集団 であり 、そ の空間 密度は やや星 のまぱ らな 周辺部 で太陽 近 傍 の およ そ10 倍 、中 心 部 に は 太陽 近 傍の 1000 倍以 上にも 達す る高密 度なコ アを持 った ほば球 対称な 星 団で ある。 この 高密度 コア内 では、 恒星 同士の 衝突、 及び近接遭遇が球状星団の年齢よりも短いtime scale で頻 繁に起 こっ ている と考え られて いる 。その ため、 恒星同士の相互作用が球状星団の恒星の進化や球状星 団の カ学的 進化 に及ば す影響 が注目 され ている 。又、 球状星団は宇宙で最も古い星団であるため、銀河の進 化の 描像を 知る ための 手がか りとし ても 重要な 役割を 担って いる。

   実 際、多 くの球 状星団 におい て、 赤色巨 星が通 常の恒 星進化では説明できない表面組成の異常を示すこと が知 られて いる 。ヌ、 近年で は同様 の組 成異常 が主系 列星からも見出されている。これらの現象は、銀河の ハロ ーの恒 星に は見ら れず、 球状星 団特 有のも のであ る。この赤色巨星に見られる組成異常を引き起こす方 法 の 1 っと し て 、 恒星の 差動 回転の 不安定 性に伴 う乱流 混合 が赤色 巨星の ヘリウ ムコ ア上部 におけ る熱的 な暴 走であ る水 素燃焼 反応を 引き起 こし 、それ により 核物質 を赤色 巨星 表面ま でさら い上げ ると いう混合 機構(Flash‑Assisted Deep Mixing ,Fujimoto et al.1999) が提案されている。この乱流混合を引き起こすた めに は角運 動量 が必要 である 。しか し、 低質量 星は主 系列の問にmagnetic stellar WinCl 及び、赤色巨星段 階の 質量放 出に よって 角運動 量を効 率よ く失う と考え られて いるの で、 この不 安定性 を励起 する ために必 要な 角運動 量は 、恒星 の生来 のもの では なく、 赤色巨 星の段階で周囲の星との近接遭遇によってもたらされ ると 考えら れる 。同時 に、主 系列星 に見 られる 組成異 常も、組成異常を形成した赤色巨星との近接遭遇の際 の質 量輸送 によ って降 り積も ったと する と説明 するこ とがで きると 考え られる 。そこ で我々 は、 組成異常 を持 つ天体 の形 成に必 要とさ れる、 周囲 の恒星 との近 接遭遇 による 角運 動量と 質量輸 送の過 程を 調べるた めに 、赤色 巨星 と主系 列星と の近接 遭遇 の過程 の数値 シミュレーションを行い、赤色巨星への角運動量の輸 送、 赤色巨 星か ら質量 放出, 遭遇相 手の 主系列 星への 質量降着の効率等の物理量を詳しく解析し、組成異常 の形 成機構 の可 能性を 検討し た。本 研究 では、 赤色巨 星と主系列星の近接遭遇のシミュレーションを行うた め 、 Benz(1990) や Bate et al. ( 1995) に よ っ て 開発 さ れ た3 次元SPH コ ードを 用いて いる。 SPH コ ード を 採 用 し た理 由 は 、SPH 粒 子が重 カと圧 カの相 互作 用を担 う赤色 巨星の 外層が 近接 遭遇の 影響で 大きく 変形 し 、 さ らに は 、 ガ スが流 出する という 複雑な3 次 元の流 れを 追跡す るのに てきし てい るから である 。具体 的に シュミ レー ション 方法と しては 、1 )赤色 巨星 のSPH 粒子( 5 万 体)を 用いて 作る操 作と 、2 ) 赤色巨星 と 主 系 列星 と を 近 接 遭遇 さ せ る 操 作の2 回に 分けて 実行し た。1 )の 操作は 赤色 巨星を 中心核 を等密 度の 球 の ポ テン シ ヤ ル で近似 し、SPH 粒子 からな る外 層を静 水力学 的平衡 状態に 落ち 着かせ ること によっ て赤 色巨 星モデ ルを 作った 。2 )の操 作では 、赤色 巨星 に遭遇 する主系列星を質点で置き換え、実際に1 )で作っ た 赤 色 巨星 の モ デ ルと近 接遭遇 をさせ た。主 系列 星への 降着半 径はRoche lobe 半径 のの1/2 と 仮定し た。

   赤色 巨 星 と し て は、 半 径 が 20Ro と 85Ro で total mass0 .8A40( の 内 コ ア mass が 各 k0.32MO と0.48AIO ) の モ デ ルを 採 用 し 、主系 列星は0 . 8A あと0 .6A ん を採 用した 場合に っいて 計算 した( ここで 、Ro と n もは そ れ ぞ れ太 陽 半 径 と 質量 で あ る 。 )ま た 、2 つの恒 星の相 対速度 は10kms ―1 とし 、上記 の4 つの場 合につ い て 、 衝突 パ ラ メ ー ター を 変 え て 、全 部 で25 の 場合に ついて 計算し た主系 列星 の近接 通過に 伴い、 赤色

一168ー

(2)

巨 星 の 外 層 が 潮 汐 作 用 に よ っ て 大 き く 変 形 を 受 け 、 そ の 変 形 の 大 き さ は 、 近 星 点 距 離 が 近 づ く ほ ど 大 き く な り 、 そ の 距 離 が 星 の 半 径 の1.75‑‑‑2.25倍 で 、 星 の 半 径 に お よ そ1.5〜2倍 のbulgeが 生 じ る 、bulgeの 密 度 が 希 薄 に な る と そ れ が 平 衡 状 態 に 戻 る ま で の 時 間 (‑p−015) が 長 く な り 、 そ の 問 に 主 系 列星 が 近星 点 付近 を 通 過 し て し ま う た め 、bulgeの 動 き が 主 系 列 星 に つ い て い け な く な り 、tidal lagを 生 じ る 。 そ の 結 果 、 星 に 生 じ る ト ル ク に よ っ て 星 に エ ネ ル ギ ー 、 角 運 動 量 が 輸 送 さ れ る こ と に な る 。 ま た こ の 際 、 主 系 列 星 の 重 力 圏 に 入 っ た 粒 子 は 主 系 列 星 に 降 着 さ れ る こ と に な る 。 ま た 、 粘 性 に 関 し て は 、 今 の 場 合convective turn over time〜0.7 (yr)とperiastronn passing time scaleに 比 べ て 十 分 長い た め、turburent viscosityに よる disspationに よ ル エ ネ ル ギ ー 等 を 輸 送 す る メ カ ニ ズ ム は 働 か な い 。 実 際 、 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に お い て も 粘 性 の 違 い に よ る エ ネ ル ギ ー 、 角 運 動 量 等 の 輸 送 量 に 違 い は 見 ら れ な い こ と が 確 認 さ れ た 。   近 接 遭 遇 後 、 星 に 輸 送 さ れ る エ ネ ル ギ ー が 主 系 列 星 の 無 限 遠 方 で のkinetic energyよ り も 大 き い 場 合 、 軌 道 エ ネ ル ギ ー が 負 に な りbound systemを 形 成 す る(tidacapture) 。 逆 に 少 な い 場 合 は 主 系 列 星 は 無 限 遠 方 に 通 り 過 ぎ る ( 丑y‐by) 。simultion8に よ り 、 こ のbound/unboundの 境 界 に 対 応 す る近 日 点距 離 (tidal ca・pturelimit) は 主 系 列 星 のmassrange0.6−0.8Aも に 対 し て 、20Roの 場合 ,ル ノRRG゜2)1〜2.22,85Ro の 場 合 ル ノRRG1.52〜1.65と な り850の 方 が 小 さ い と い う 結 果 を 得 た 。 ( こ こ で 、 り ,RRGは 近 日 点 距 離 と 星 の 半 径 で あ る 。 ) こ れ は 、McMILLAN(1990) が 解 析 的 に 示 唆 し た 結 果 と 一 致 す る が 、 我 々 の 求 め たtidal capturelimjtは 彼ら の値 よ りも や や大 き い。

  また 、 詳し く 解析 し次 の 結果 を 得た 。

  1. 近 接 遭 遇 に よ り 赤 色 巨 星 に 輸 送 さ れ た エ ネ ル ギー 、角 運 動量 を 表面 で のケ プラ ー 回転 で 剛体 回 転し て いる と きのエ ネルギー及び 角運動量で規 格化した値は 赤色巨星の半径 に依らず、パ ラメータ 二 ニ(而等竃)015(奇)1.5

( ここ で 、A轟IA也, りIR1は各 々 赤色 巨 星と 主系 列 星の 質 量、 近 日点 距 離及 び赤 色 巨星 の 半径 で ある )とAみ,Aあ の 関 数 と し て 表 さ れ る こ と が わ か っ た 。 ま た 、Press(1977) . の 解 析 解 にFittingParmueterを 付 け加 え るこ と によ っ てエ ネ ルギ ー、 角 運動 量 輸送 量 に対 するFittjngformula求め た 。

  2. 主 系 列 星 へ の 質 量 降 着 量 に 関 し て は 、 粒 子 数 を 増 や し た こ と で 、 近 星 点 距 離 が ル ノRRG二 二 ニ2以 上 で Benz(1991) の7千 体 の 計 算 に よ っ て 得 ら れ た 値 よ り も 多 く の 質 量 降 着 が 起 こ る こ と が 確 認 で き た 。 ま た 、 赤 色巨 星 への エ ネル ギー 輸 送率 と の問 に はlinearな 関係 が ある こ とが わ かっ た。

  3. 角 運 動 量 輸 送 量 を で 場 合 わ け す る と 、 カ 〜2で そ の 表 面 で の ケプ ラ ー回 転の 約1/10, 〜3で約1/100 の 角運 動 量が 輸 送さ れて い るこ と がわ か った 。

  こ こ で 求 め たFittingFbrmulaに よ っ て そ の 際 の エ ネ ル ギ ーI角 運 動 量 輸 送 量 が 推 測 で き る と 考 え ら れ る 。 ま た 、 観 測 さ れ る 組 成 異 常 を 持 つ 主 系 歹lJ及 び 赤 色 巨 星 を 恒 星 間 相 互 作 用 に よ っ て 説 明 す る こ と を 考 え る 。 こ こ で 、 赤 色 巨 星 へ は 表 面 で の ケ プ ラ ー 回 転 の1/100以 上 が 、 主 系 列 星 に は 表 面 対 流 層 を 覆 う オ ー ダ ー の mass〜10―3Aも が 降 着 す れ ぱ51背 景 で 述 べ た よ う な メ カ ニ ズ ム に よ っ て そ れ ら の 天 体 を 説 明 す る こ と が で き る と 仮 定 す る と 、 上 で 求 め たFittingFormulaか ら こ れ ら に 対 応 す る 近 日 点 距 離 (n tれ ) を 読 み 取 り 、 gra,vitationalforcusingに よ ってtwo.bodyencountertime‐8c齟eを 見 積も る と、 およ そ108ー109ジrに な る。

こ れ ら は 赤 色 巨 星 の 寿 命 〜2x108ザ を 考 慮 に 入 れ た と き 短 い よ う に 思 わ れ る 。 ま た 、tidalcapture後 の binaり の 進 化 は 、 軌 道 角 運 動 量 が 保 存 す る と 仮 定 す る とcircularization終 了 後 、 そ の 軌 道 半径 は 初期 の 近日 点 距 離 の お よ そ2倍 に な る 。 そ の 後 、3体 衝 突 に よ っ てbjnafyのcomponentの1っ がjmcomingstarと 入 れ 替 わ るexcha11geが お こ る 仮 定 で 組 成 異 常 天 体 が 吐 き 出 さ れ る と 考 え ら れ る 。 ま た 、excha11gecrosssection はbinaryのSepar川onに 比 例 す る た め 、 一 度 、two‐bodyencounterが 起 こ れ ば よ り も 短 いtimescaleで 起 こ ると 考 えら れ る。

  よ っ て 、 こ れ ら 組 成 異 常 を 持 つ 天 体 を 近 接 遭 遇で 説明 す るた め には 、 球状 星 団のgra votherma10scjllation に よ るcore.collapseに よ るcore内 の 密 度 の 増 加 、 及 びMass.segregationに よ る 中 心 部 へ の赤 色 巨星 の 個体 数 の 増 加 な ど 近 接 遭 過 を 増 加 さ せ る と 考 え ら れ る メ カ ニ ズ ム を 考 慮 す る 必 要 が あ る 。 そ の た め 、 出 来 る 限 り 多 く のmaSs‐spectraを 含 ん だN体 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ るencounterrateの 増 加 率 を 調 べ る こ と が 必 要 と な る 。 そ の 際 、 恒 星 間 潮 汐 相 互 作 用 に よ る 流 体 力 学 的 効 果 がencounterrateに 及 ば す 影 響 も 考 慮 す る 必 要 があ る 。

―169ー

(3)

学位論文審査の要旨

主査    教授   藤本正行 副査    教授   加藤幾芳 副査    助教授   兼古   昇 副査    助教授   羽部朝男 副査    助教授   根本幸児 副査    教授   小笹隆司

副査    教授   岡崎敦男(北海学園大学工学部)

     学位論文題名

Tidal Interactions of Red Giants with Environment Stars in Globular Clusters

( 球 状 星 団 に お け る 赤 色 巨 星 の 垣 星 間 潮 汐 相 互 作 用 )

   球 状 星 団 は 100 万 か ら 100 万 個 ぼ ど の 恒 星 が 密 集 し て 、 ほ ぼ 球 状 に 分布 して いる 恒 星の 集団 であ る。 この 球状 星団 の年 齢は 100 億 年以 上で あり 、わ れわれ の銀河系の なかでは最も古い天体の ひとつで、その進化過程の解明は、銀河系の形成、初期進化の 研 究の 重要 な手 がか りと なる と期 待さ れて いる。最近、ハップル宇宙望速 鏡や8m 級の 大型望遠鏡による観測の 進展に伴い、通常の恒星進化のモデルでは説明できない特異な 恒星等が数多く見いださ れ、恒星間の衝突、近接遭遇が恒星に、しいては、星団の進化 そのものに与える影響の 重要性が認識されるようになって来た。これらの観測のーつに 球状星団の恒星(巨星の みならず主系列星もふくむ)に見られる表面組成の異常がある が、これらの組成異常は 球状星団以外の銀河系ハ口ーの恒星には見られず、星団内での 恒星間相互作用による恒 星への軌道運動から恒星の自転への角運動量の移入、恒星間の 表 面 物 質 の 輸 送 ・ 降 着 よ っ て も た ら さ れ た も の と 考 え ら れ る 。 .    本研究はこの表面組成 異常のモデルの妥当性、および、それが球状星団の進化にあた える影響を研究するため に、赤色巨星と主系列星とが近接遭遇する際の潮汐相互作用の 数値シミュレーションを 遂行し恒星に与える影響を調べた。数値シミュレーションには、

密 度 の 変 動 幅 の 大 き な 流 体 の 計 算 に 都 合 の よ い 3 次 元 Smoothed Particle

     ―170 ー

(4)

Hydrodynamics(SPH) 法 を用 いて 行い 、そ の結 果 、近 接遭 遇に 伴っ て、 赤色 巨星 の内 部での核反応による 組成異常の生成、表面への輸送に必要とされる角運動量が注入、ま た、赤色巨星の組成 異常を起こしたガスの流入によって、主系列星の表目汚染が可能で あることを示すとと もに、軌道運動から自転運動へのエネルギー、角運動量の転化や恒 星間の質量移動につ いて、その機構の特性、バラメーター依存性を詳細に分析しました。

そのような近接遭遇 の断面積をもとめるため、近接遭遇の衝突パラメーター、恒星の質 量等に対する依存性 を求めた。後者は、球状星団における近接遭遇の断面積を求めて、

観測される頻度を算 出し、進化への影響を研究する際の基礎資料となるが、さらに、こ れまで展開されてき た線形近似での解析理論との比較から、数値計算の結果を衝突バラ メ ー タ ー 、 質 量 等 の 関 数 と し て 表 す 包 括 的 な fitting formulae を 導 い た 。    これらの結果は、 球状星団内の恒星の相互作用に新しい知見を与えるものであり、ま た 、導 出し たfitting formulae は 、今 後、球状星団内の恒星の進化の特異性の研 究、

さらには、それらを 取り入れて球状星団の恒星集団としての進化の研究に展望を与える ものである。

   よって、著者は, 北海道大学博士(理学)の学位を授与される資格あるものと認める。

‑ 171−

参照

関連したドキュメント

が「刃不 レ 渋、光如 二 明鏡 一 」 「此剣、屈申如 レ 蛇」と表現されることが、それにあたる。しかし、

   これを 要するに ,著者は 透水係数の 鉛直トレ ンドとし て指数減衰モデルを提 唱し, 伏没涵養 帯内での 透水係数分 布の地球 統計学的 な推定を 通じて,砂礫層

   第4

が変化することを明らかとした.この結果は、二ユートン流れによる粘性抵抗(a =1

第 4 章: アルギニン は NO 合成酵素 の基質であり、合成されたNO

   顕著 な地 理変 異を 示す 生物群 の分 類は一般に難しくく種の境界設定が主観的になされる 場 合も 多々 見ら れる 。本 研究が 扱っ

体の違赤外分光に関する報告はほとんど無い。これは、これまで速赤外領域を連続的

   第5