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.博士(歯学)新保圭亮 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     .博士(歯学)新保圭亮 学位論文題名

The role of area postrema neurons expressingH ‐ channels     fortheinduCtionmeChanlSmofnauSeaandVOmiting

(H チャネル活性を示す最後野ニューロンの化学受容性悪心・嘔吐誘発メカ      ニズムにおける役割)

学位論文内容の要旨

【目的】

   最後野は血液脳関門を欠く脳室周囲 器宮のーつであり,化学受容陸嘔吐誘発域として よく知られている。これまでに,電気生理学的手法を用しゝて単一ニュー口ンの興奮陸の 違い が調 べら れ最 後 野二 ユー ロン が3 種類 に大 別 され ることが明らかにされてい たが

,こ れら3 種類のいずれの ニュー口ン群が愚い・嘔吐誘発に関与するのかについて は未 だ不明であった。そこで,本研究では 最後野において最多数(約60 %)を占める過分極 作動 性カ チオ ンチ ャ ネル ( チ ャネ ル) の活 陸を 認 める ニュー口ン群の悪心・嘔吐 誘発 メカニズムにおける役割を明らかにす るために,催吐剤であるアポモルヒネによる条件 付け 味覚 嫌悪 (CTA:conditioned taste aversion) の獲得を指標にした行動学的解 析と c −Fos 発現を指標にした神軽活動の解 析を行った。

【材料と方法】

  CTA を指 標と した 行動 学的 解析にはWistar 系雄性成 体ラット(250 ー350g) を用い た。

23.5 時間の絶水後,30 分間の飲水トレーニングを7 日間行った。サッカリンによる 甘味 を条件刺激とし塩酸アポモルヒネによ る悪心誘発を無条件刺激とした。実験動物を以下 の3 つ の群 に分 けた 。第 1 群: 0 .1 %サッカリン水溶液を30 分間摂取させた直後に 生理 食塩 水を腹腔内投与し,10 分後に生理食塩水を皮下投 与した群。第2 群:サッカリ ン水 溶液 を30 分間 摂取 さ せた 直後 に生理食塩水を腹腔内投与し,10 分後に塩酸アポモ ルヒ ネ(5mg/kg 冫を 皮下 投与 した 群。第3 群:サッカリン水溶液を30 分間摂取させた直 後に ZD7288m チ ャネ ル阻 害薬 )を 腹腔 内投 与し ,10 分 後塩 酸アポモルヒネを皮下投与 した 群。翌日は回復日とし,2 日後全群において,蒸留水と0 .1 %サッカリン水溶液を別々に 2 本の給水 瓶に入れて提示し,30 分間の摂取量を預掟し(2 ポトル飲水テス卜),これを 5 日間行った。行動学的解 析の後,最後野におけるc 一 Fos の発現を指標として,同 部の ニュー口ン活動を解析した。行動学的 解析において用いた各群の条件付けプ口卜コール と同じ薬斉股与を行った実験動物に対 して,薬剤投与の2 時間後に4 %パラホルムアルデ ヒド溶液を用いて還流固定を行った。 直後に脳幹を摘出し,4 %パラホルムアルデヒド溶 液にてさらに1 日浸漬固定を行い,続いて30 %スク口ースリン酸緩衝生理食盛諺水(PBS

)中 に2 日間保持し,凍結 ミク口トームを用いて最後野を含む脳幹部の前額断切片 (厚 さ50 ルm ) を作成した。作成した切片は,1 %ヤギ正常血清を用いて非特異的抗原一抗体

‑ 505

   m B

駿

(2)

反 応 が 生 じ る の を 阻 害 し た 後35℃ で 一 晩 , 抗c―Fos抗 体

(SantaCruzBiotechnologyInc.rabbitpolyclonalantibody,1:5000) を 反 応 さ せ た

。0.02MPBSで 洗 浄 後 ,EriteABckitNeCtorLaboratorieS) を 用 い て , ピ オ チ ン 化 二 次 抗 体 反 応 に 続 い てABc試 薬 を 反 応 さ せ , 最 後 に3、3 qi舳inobenzidine(10m〆50ml

,0.0045%H202) に て 発 色 さ せ た 。 切 片 を 光 学 顕 微 鏡 に 按 続 し たCcDカ メ ラ で 撮 影 し , デ ジ タ ル 化 し た 。Photoshop5.5仇dobe) を 用 い て , デ ジ タ ル 化 し た 画 像 か ら 最 後 野 だ け を ト リ ミ ン グ し た 。 次 に ,ImaBeJ僻I珊 を 用 い て , ト リ ミ ン グ し た 最 後 野 内 の コ ン ト ラ ス ト 、 の 閥 値 を75に て 調 整 し ,c一Fos陽 性 細 胞 を 黒 色 と し て 背 景 ( 白 色 ) と の 二 値 化 を 行 い , 黒 包 部 分 の 数 をc−Fos陽 性 細 胞 数 と し て 算 定 し ,I弧geJに よ り 計 測 し た 最 後 野 全 体 の 面 積 で 除 し て , 最 後 野 の 単 位 面 積 あ た り のc一Fos陽 性 細 胞 数 を 算 出 し た 。 最 後 野 の 切 片 は 一 匹 の ラ ッ ト 脳 か ら12ー15枚 作 成 で き る が , 最 も 多 く のc一Fos陽 性 細 胞 カ 鎚 食 出 さ れ た 切 片 は 最 後 野 の 尾 側 部 ¢reg髄 ー13.90〜 −14100n面 に 位 置 し て い た 。 こ の た め , 単 位 面 積 当 た り のc一Fos陽 性 細 胞 数 が 最 多 で あ っ た 切 片 の 値 を 個 体 の 代 表 値 と し た 。2群 間 の 比 較 に は ,Student sftestを 行 い ,pくO.05を 有 意 差 有 り と 判 定 し た 。3群 間 の 比 較 に はAN0vAを 併 用 し た 多 重 比 較 (tukey法 ) 検 定 を 行 い ,pくO.05を 有 意 差 有 り と 判 定 し た 。

【 結 果 と 考 察 】

  第2群 で はCTA測 定 め 日 に お い て サ ッ カ リ ン 溶 液 の 摂 取 量 カ 渚 し く 減 少 し , 第1群 と 比 較 し て 第2群 の サ ッ カ リ ン 選 択 率 は 有 意 に 低 い 値 と な っ たQく0.05) 。 こ れ は , ア ポ モ ル ヒ ネ に よ り 惹 起 さ れ た 内 臓 不 快 感 ( 悪 心 ) と , こ の 直 前 に 経 験 し た 新 規 呈 味 溶 液 で あ る0.1% サ ッ カ リ ン の 甘 味 と の 連 合 学 習 が 成 立 し , ラ ッ ト カ 渺 ッ カ リ ン に 対 す るCTA を 獲 得 し た 結 果 Iサ ッ カ リ ン 選 択 率 が 著 し く 低 下 し た と 考 え ら れ た 。 第3群 で は ,ZD7288(1013〜1ザm〆kめ は 用 量 依 存 的 に 塩 酸 ア ポ モ ル ヒ ネ に よ る サ ッ カ リ ン 選 謝 ミ 率 の 侶 下 を 抑 制 し , 半 数 効 果 量 (ED5) は1.837x1016班 叭 曙 体 重 と 推 定 さ れ た 。 .     こ の た め 以 後 の 実 験 で はZD7288(1ザm/kg) を 用 い た 。 第3群 で は 第2群 と 比 較 し てCTA測 定 初 日 の サ ッ カ リ ン 選 択 率 が 有 意 に 高 くQく0.05) , 第1群 と の 間 に 有 意 差 を 認 め な か っ た 。 こ れ はZD7288前 投 与 に よ り 悪 い 瞬 発 が 抑 制 さ れ ラ ッ ト がCTAを 獲 得 し な か っ た た め と 考 え ら れ た 。 第2群 の 平 均c一Fos陽 性 細 胞 数 (300.5土107,7傴 / ,m2

) は , 第1群 の 平 均c岬os陽 性 細 胞 数 (8.3土6.7個 /mめ と 比 較 し て 極 め て 高 い 値 で あ り , 多 数 の ニ ュ ー 口 ン が ア ポ モ ル ヒ ネ に 応 答 し て 膜 電 位 の 脱 分 極 が 誘 発 さ れ た こ と を 示 し て い た 。 そ し て , 第3群 亜 群 の 平 均cIFos陽 性 細 胞 数 は (151,2士lo013個 佃 め で あ り , 第2群 と 比 較 し てc・Fos陽 性 細 胞 の 発 現 は 有 意 に 抑 制 さ れ たQく0105) 。ZD7288 が ア ポ モ ル ヒ ネ 誘 発 のc一Fos陽 性 細 胞 の 発 現 を 抑 制 し た 機 序 と し て ,ZD7288が , 膜 電 位 の 脱 分 極 を 誘 発 す る べ ー ス メ ー カ ー チ ャ ネ ル の 機 能 を 有 す るHチ ャ ネ ル 活 性 を 阻 害 す る こ と に よ り , 最 後 野 二 ユ ー ロ ン の 興 奮 性 が 低 下 し た た め で あ る と 考 え ら れ た 。   【 結 論 】

  本 研 究 はHチ ャ ネ ル 拮 抗 薬 に よ り 悪 心 誘 発 カ 瀧 に 抑 制 さ れ る こ と を 行 動 学 的 実 験 に よ り は じ め て 示 し た も の で あ り , 最 後 野 のHチ ャ ネ ル 活 性 を 示 す ニ ュ ー ロ ン 群 が 悪 心 誘 発 に 直 接 関 与 し て い る こ と が 明 ら か と な り , 同 ニ ュ ー ロ ン 群 の 神 轣 潮 の 有 無 に よ り 悪 心 ・ 嘔 吐 誘 発 カ 瀧 簡 卸 さ れ て い る こ と カ 織 さ れ た 。

―506 ‑

(3)

学位論文審査の要旨 主査   特任教授   戸塚靖則 副 査    教 授    舩 橋    誠 副 査    教 授    鈴 木 邦 明

学 位 論 文 題 名

The role of area postrema neurons expressingH ‐ channels     for the induction mechanlsm of nausea and vomiting (H チャネル活性を示す最後野ニューロンの化学受容性悪心・嘔吐誘発メカ      ニズムにおける役割)

   審 査は,審 査員全員 出席の 下に,申 請者に対して提出論文とそれに関連した学科目につ い て 口 頭 試 問 に よ り 行 わ れ た , 審 査 論 文 の 概 要 は 以 下 の 通 り で あ る ,

   本 研 究は 過 分極 作動性カ チオン チャネル (H チャネ ル)活性 を認め るニュー ロン群の 悪 心 ・嘔吐 誘発メカ ニズム における 役割を 明らかに することを目的に,催吐剤であるアポモ ルヒネによる条件付け味覚嫌悪(CT .A )の獲得を指標にした行動学的解析ならぴにc ―F08 発 現を指標にした神経活動の解析を行ったものである.

  Wi8tar 系雄性成 体ラッ トを用い ,サッ カリンに よる甘味を条件刺激,塩酸アポモルヒネ による悪心誘発を無条件刺激として,(;′IIA を指標とした行動学的解析を行った.実験動物 は , O .1 % サッカリ ン水溶 液を30 分間 摂取さ せた直後に生理食塩水を腹腔内投与し,10 分 後 に生理 食塩水を 皮下投 与した第 1 群, 同様に 腹腔内に 生理食 塩水,皮 下に塩酸アポモル ヒ ネ ( 5mg 他 g )を 投 与 した 第 2 群, 腹 腔 内に ZD7288 ( H チ ャ ネ ル阻 害 薬), 皮下に 塩酸 ア ポ モ ル ヒネ 投 与 した 第 3 群の 3 群 に分 け た .処 置 2 日後 か ら 5 日間 , 全群に おいて, 別 々 に 2 本の給水 瓶に入 れた蒸留 水とO .1 %サッカ リン水溶 液を30 分 問提示し ,摂取量を測 定した.

   その結果 ,第 2 群でC ′I 丶 A 測 定初日 にサッカ リン溶液 の摂取 量が著し く減少し,第1 群 と 比較し てサッカ リン選 択率は有 意に低 い値とな ることを示し,これはアポモルヒネによ り 惹起さ れた内臓 不快感 とこの直 前に経 験したサ ッカリンの甘味との連合学習が成立し,

ラ ッ ト が サッ カ リ ンに 対 す る CTA を獲 得 し たこ と に よる も の と 結論 し た.一方 ,第3 群

で は,ZD7288 が 用量依 存的にサッカリン選択率の低下を抑制し,C ´ I 丶 A 測定初日のサッカ

リ ン 選 択 率は 第 2 群に 比べて有 意に高 く,第 1 群と の聞に有 意差はな ぃこと を示し, これ

は ZD7288 前 投与 により 悪心誘 発が抑制 され,ラ ットが ()TA を獲 得しな かったこ とによ

るものと結論した.

(4)

   次に,最後野におけるc ‐ Fo,s の発現を指標として,同部のニューロン活動を解析した.

行動学的解析において用いた各群の条件付けプロトコールと同じ薬剤投与を行った実験動 物に対して,薬剤投与の2 時間後に還流固定し,通法に従って最後野を含む脳幹部の前額 断切片(厚さ50 pm) を作成した後,免疫染色を行い,最後野の単位面積あたりのc‑Fos 陽 性細胞数を算出した,第 2 群の平均c‑Fos 陽性細胞数は第1 群と比較して極めて高値であ ることを示し,多数のニューロンがアポモルヒネに応答して膜電位の脱分極が誘発された ことを明らかにした.一方,第3 群では第 2 群と比較してc‑Fos 陽性細胞の発現は有意に 少ないことを示し,これはZD7288 が H チャネル活性を阻害し,最後野ニューロンの興奮 性を低下させたことによるものと結論した.

   これらの結果は,最後野の H チャネル活性を示すニューロン群は悪心誘発に直接関与し ていること,ならびにH チャネル拮抗薬により悪心誘発が有意に抑制されることを示して いる.

   論文の審査にあたって,論文申請者による研究の要旨の説明後,本研究ならびに関連す る研究について質問が行われた.

主な質問事項は,以下の通りである,

  1 )アポモルヒネによる条件付け味覚嫌悪の獲得はどのくらいの確率で起こるのか,

  2 ) 最 後 野 に お け る c ■ F08 陽 性 細 胞 の 増 加 は 何 を 意 味 し て い る の か ,   3 )条件付け味覚嫌悪が回復するメカニズムについて,

  4 )第 2 群と第 3 群におけるCF08 陽性細胞数の差は,行動学的解析の結果ほど明瞭では      なぃ.このことからどのようなことが考えられるか,

  5 )  ZD7288 は H チ ャ ネ ル 特 異 的 な の か , ま た そ の 作 用 機 序 に つ い て ,   6 )シスプラチンによる嘔吐発現のメカニズムについて,

  7 ) 血 液 脳 関 門 に お い て 物 質 交 換 が 制 限 さ れ る メ カ ニ ズ ム に つ い て ,

   いずれの質問についても,論文申請者から明快な回答が得られ,また将来の研究の方向 性についても具体的な回答が得られた.本研究は,H チャネル拮抗薬により悪心誘発が 有意に抑制されることを行動学的実験で示し,さらに最後野のH チャネル活性を示すニュ ーロン群が悪心誘発に直接関与し,同ニューロン群の神経活動の有無により悪心・嘔吐誘発 が制御されていることを示した点が高く評価された.本研究の業績は,口腔外科の分野は もとより,関連領域にも寄与するところ大であり,博士(歯学)の学位授与に値するもの と認められた.

―508―

参照

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