• 検索結果がありません。

目的 人工股関節全置換術後に 特に大腿骨近位部において骨密度が低下することが知られている. ステム周囲の骨量低下は無菌性ゆるみや骨折のリスクを上昇させる可能性がある. 人工股関節全置換術後の骨密度低下の原因の一つとして, 力学的環境の変化に伴う骨リモデリングが挙げられる. 今回, 我々は人工股関節全

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "目的 人工股関節全置換術後に 特に大腿骨近位部において骨密度が低下することが知られている. ステム周囲の骨量低下は無菌性ゆるみや骨折のリスクを上昇させる可能性がある. 人工股関節全置換術後の骨密度低下の原因の一つとして, 力学的環境の変化に伴う骨リモデリングが挙げられる. 今回, 我々は人工股関節全"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

学位論文内容の要旨

Comparison between mechanical stress and

bone mineral density in the femur after total hip

arthroplasty by using subject-specific finite element analyses

人工股関節置換術後の大腿骨における患者個別有限要素解析を

用いたメカニカルストレスと骨密度の比較)

Hiroyuki Ike

池 裕之

Department of Orthopaedic Surgery

Yokohama City University Graduate School of Medicine

横浜市立大学 大学院医学研究科

生体機能医科学専攻 運動器病態学

Doctoral Supervisor:Tomoyuki Saito, Professor

(2)

【目的】人工股関節全置換術後に、特に大腿骨近位部において骨密度が低下することが 知られている.ステム周囲の骨量低下は無菌性ゆるみや骨折のリスクを上昇させる可能 性がある.人工股関節全置換術後の骨密度低下の原因の一つとして,力学的環境の変化 に伴う骨リモデリングが挙げられる.今回,我々は人工股関節全置換術前後の大腿骨ス テム周囲における相当応力およびひずみエネルギー密度の変化を測定し,骨密度変化と の関連性を検討した.

【方法】対象はZimmer 社製Versys Fiber Metal Midcoat を用いて初回セメントレス人工

股関節全置換術を施行した 24 例を対象とした.女性 16 例,男性 8 例で手術時年齢は平

均 63 歳(44~82)であった.術前および術後 1 週に computed tomography(CT)を撮影

した.CT 撮影は Siemens 社製 Sensation16 を使用し,管電圧値を140 kV, 管電流値を 300 mA,スライス厚を 2 mm,512 × 512 ピクセルとした.有限要素解析ソフトは計算 力学研究センター社製Mechanical Finder Ver.6.0 を使用した.CT データから大腿骨およ びステムの関心領域を抽出することにより 3 次元モデルを構築した.一辺が 1mm~4mm の4 節点 4 面体ソリッド要素により要素分割し,シェル要素は大腿骨の外表面に使用した. 要素数は大腿骨約60 万,ステム約 20 万とし,ステムと大腿骨の境界条件は節点共有の固 着とした.骨組織の不均質性を考慮しKeyak ら(1994, 1998)および Keller (1994)の計算式 を用いて骨組織要素の材料特性を決定した.骨組織要素のポアソン比は0.40 とした.イン プラントはチタン合金製であり,ヤング率 109.0GPa,ポアソン比 0.28 とした.荷重拘束 条件は大腿骨遠位を完全拘束とし,大腿骨頭より2400N の圧縮荷重,大転子部より 1200N の引張荷重を作用させた.Gruen の各 zone ごとに大腿骨 7 ヵ所(zone 1~7)において半径 3mm の球に収まる要素を抽出し,相当応力平均値およびひずみエネルギー密度平均値を測 定した.

術後 1 週,3,6,12 ヵ月の大腿骨における骨密度を dual-energy X-ray absorptiometry 法を用いて Gruen の各 zone ごとに測定した.測定機種は Hologic 社製 Hologic Discovery system を使用した. 【結果】有限要素解析では zone1,2,6,7 において相当応力は術前と比較してそれぞ れ 22%,23%,15%,74%,ひずみエネルギー密度は 30%,45%,45%,92%の低下 を認めた.また,骨密度は大腿骨近位部において経時的に減少した.術後 12 ヵ月にお いて骨密度は zone3,4,5,6 では維持されていたが,zone1,2,7 で術後 1 週と比較し てそれぞれ 19%,11%,27%の低下を認めた. 術後 12 ヵ月における骨密度変化と相当応力変化との間に有意な相関関係を認めた(R = 0.426, p < 0.01).骨密度変化とひずみエネルギー密度変化との間には有意な相関関係 を認めなかった(R = 0.183, p = 0.053). 【考察】本研究において,術後モデルでは術前モデルと比較して,大腿骨近位部にお いて相当応力およびひずみエネルギー密度の有意な低下を認めた.また,人工股関節全 置換術施行後における大腿骨の骨密度は近位部において低下し,骨密度変化と相当応力

(3)

変化との間に有意な相関関係を認めた.過去の報告において,Huiskes(1987)がひずみエ ネルギー密度を,また Stulpner (1997)が相当ひずみを提唱したように,ひずみが骨リモ デリングを制御しているとの報告が多くみられる.しかしながら,ひずみでは無く応力 が骨リモデリングを制御しているとの報告も散見される.Herrera (2009)は有限要素解析 における応力分布と骨密度との関連性を報告している.また,Carter (1996) は応力刺激 が,Adachi (1997) は局所における応力の不均一性が骨リモデリングの駆動力であると 報告している.このように,応力とひずみのどちらが骨リモデリングの制御因子として 適切かどうかは議論がある.本研究では海綿骨を除去しプレスフィットテクニックを用 いて大腿骨髄腔を占拠するようにステムを挿入しているため,相当応力およびひずみエ ネルギー密度は皮質骨において測定している.相当応力変化と骨密度変化との間に有意 な相関関係を認め,皮質骨における骨リモデリングにおいてひずみエネルギー密度と比 較して相当応力が適切なパラメータである可能性が示唆された.

(4)

引用文献

Adachi T, Tomita Y, Sakaue H, Tanaka M. 1997. Simulation of trabecular surface remodeling based on local stress uniformity. Jpn Soc Mech Eng. 40:782-792.

Carter DR, Van Der Meulen MC, Beaupre GS. 1996. Mechanical factors in bone growth and development. Bone. 18: 5S-10S.

Herrera A, Panisello JJ, et al. Comparison between DEXA and finite element studies in the long-term bone remodeling of an anatomical femoral stem. J Biomech Eng. 131: 041013, 2009.

Huiskes R, Weinans H, Grootenboer HJ, Dalstra M, Fudala B, Slooff TJ. 1987. Adaptive bone-remodeling theory applied to prosthetic-design analysis. J Biomech. 20: 1135-1150. Keyak JH, Lee IY, Skinner HB. 1994. Correlations between orthogonal mechanical properties and density of trabecular bone: use of different densitometric measures. J Biomed Mater Res. 28:1329-1336.

Keyak JH, Rossi SA, Jones KA, Skinner HB. 1998. Prediction of femoral fracture load using automated finite element modeling. J Biomech. 31:125-133.

Stulpner MA, Reddy BD, Starke GR, Spirakis A. 1997. A three-dimensional finite analysis of adaptive remodelling in the proximal femur. J Biomech. 30: 1063-1066.

(5)

論 文 目 録 Ⅰ 主 論 文

Comparison between mechanical stress and bone mineral density in the femur after total hip arthroplasty by using subject-specific finite element analyses.

Hiroyuki Ike, Yutaka Inaba, Naomi Kobayashi, Yasuhide Hirata, Yohei Yukizawa, Chie Aoki, Hyonmin Choe, Tomoyuki Saito : Computer Methods in Biomechanics and Biomedical Engineering. (in press)

Ⅱ 副 論 文

Zweymuller 型ステムの形状変更が大腿骨に及ぼす影響

‐SL-PLUS standard stem と SL-PLUS MIA stem との比較‐ 池 裕之,稲葉 裕,小林直実,大庭真俊,平田康英,齋藤知行: 臨床バイオメカニクス 第34 巻 143 頁~147 頁 平成 25 年 11 月発行 Ⅲ 参 考 論 文 股関節のバイオメカニクス 有限要素法解析を用いたアプローチ 稲葉 裕, 小林 直実, 池 裕之, 平田康英, 齋藤知行: Hip Joint 第 38 巻 11 頁~16 頁 平成 25 年 8 月発行 異なるステムデザイン間での人工股関節全置換術後の大腿骨側インプラント周囲の応力分 布および骨密度の比較 大庭 真俊,稲葉 裕,池 裕之,平田 康英,富岡 政光,齋藤 知行: 臨床バイオメカニクス 第34 巻 149 頁~155 頁 平成 25 年 11 月発行

Comparison of mechanical stress and change in bone mineral density between two types of femoral implant using finite element analysis.

Yasuhide Hirata, Yutaka Inaba, Naomi Kobayashi, Hiroyuki Ike, Hiroshi Fujimaki, Tomoyuki Saito. J Arthroplasty. Vol. 28, No. 10, 1731-1735, 2013 Dec.

参照

関連したドキュメント

 1)幼若犬;自家新鮮骨を移植し,4日目に見られる

 仙骨の右側,ほぼ岬角の高さの所で右内外腸骨静脈

「他の条文における骨折・脱臼の回復についてもこれに準ずる」とある

前章 / 節からの流れで、計算可能な関数のもつ性質を抽象的に捉えることから始めよう。話を 単純にするために、以下では次のような型のプログラム を考える。 は部分関数 (

および皮膚性状の変化がみられる患者においては,コ.. 動性クリーゼ補助診断に利用できると述べている。本 症 例 に お け る ChE/Alb 比 は 入 院 時 に 2.4 と 低 値

 我が国における肝硬変の原因としては,C型 やB型といった肝炎ウイルスによるものが最も 多い(図

いられる。ボディメカニクスとは、人間の骨格や

賠償請求が認められている︒ 強姦罪の改正をめぐる状況について顕著な変化はない︒