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頭蓋骨補填形成の実験的研究

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頭蓋骨補填形成の実験的研究

金沢大学医学部脳神経外科学講座(主任 山本信二郎教授)

      島     利  夫

        (昭和49年5月4日受付)

 頭蓋骨は.脳の保護あるいはその容器とし七の意義 が大きく,重力を支えあるいは運動機能に関係する長 掌骨の場合とは著しい差がある.また頭蓋冠は,骨膜 と硬膜にはさまれ,それらに面する造吟興は同一でな くD,さらに球形のまま成長するという特殊性がある.

 小児においては,かなり大きな頭蓋骨欠損も,硬膜 が正常の場合には,その造可能のために,自然の骨形 成が期待し得る2渤.これに対し,成人の場合には,骨 欠損部はそのままゼは,島 謐ュ骨組織に置き換えられた ままに残り,骨膜や硬膜の造骨能を期待することがで きない4}.このように,頭蓋骨を包む骨膜や硬膜の造 骨能は,年令により違いがあり,この事実は頭蓋骨形 成術には極あて重要な意義を持つ.

 従来,骨窓の補填に最もよく用いられるのは,手術 の際に一旦別出した骨弁である.この場合,移殖骨弁 の超生癒合が最も確実なのは,筋肉の有柄骨弁である 5}.また,骨膜をも完全に剥離した骨弁でも超生し得

るとされ,手技の簡便のため遊離骨弁もよく用いられ ている61.斉藤ら7}は,肩甲骨からの遊離骨移殖につい て検索し,平入骨は吸収されることなく周囲の骨と骨 性癒着を営むことを証明し,この場合骨の再生にバー ベル氏管内皮細胞の役割の大きいことを指摘した.こ れに対し死滅骨の移植は,結局は吸収の運命をたどる

ものとされてきた6).

 動物実験では,Ray8)らやYoung9)らは同種骨の 冷凍保存骨,脱灰骨.静思白骨移植の比較検索をし,

これらはいずれも結合織に包まれ,播入筆の周囲に骨 新生が見られ,また,エチレンジアミン処理による脱 蛋白骨は吸収され,新生骨に置き換わると述べてい

る.さらに, Emotolo)は煮沸骨, RossomofflDら は脱蛋白骨の移植を試み,それぞれ骨癒合することを 述べている.一方合成樹脂として,アクリル樹脂なら びに金属材料としてタンタルムらは異物反応が少ない 点より,頭蓋骨欠損の補填材料として用いられてい

る.

 上述の如く,頭蓋膏形成には,移植組織の超生を期 待するもの,周囲組織の間葉系の反応を期待するも の,およびその反対に,間葉系の反応の少ないことを 望むなど様々であるが,いずれにしても間葉系の反応 が最も重要な要素といえる.本編では,頭蓋骨形成術 に描入された補填括入物が,骨膜と硬膜に包まれて,

どのように変化するのか,あるいは骨膜や硬膜にどの ような反応を起こさせ,変化してゆくのか,この時の 仮骨形成,石灰沈着はどこにでき,どのように新生骨 を作るかという骨の動態について,従来の脱灰標本 と, tetracyclineと Calceinで蛍光標識した非脱 灰標本により比較検索した.

実験材料と方法

 実験動物には,生後2ヵ月以下の幼若雑種犬と2年 以上の雑種成犬とを使用した.麻酔には,チオペン タールNa(20−25mg/kg)を静注した.手術野の消 毒には,塩化ベンゼトニウムの10%アルコール溶液を 使用した.両側頭頂部にわたる冠状皮切を行い,直径 1αηのトレフィンで骨欠損を作り,補填播入物質とし て,1)一度取り出した新鮮骨弁,2)煮沸骨,3)

エチレンジアミンで110。C,60分処理による脱蛋白 骨.4)アクリル樹脂板などを用いた.観察期間は4

日,1,2,3,4週および最長8カ月とした.

 化骨.および石灰沈着の動態を観察するため,蛍光 標識法を用いた. tetracycline系の薬物(tetracy−

cline, ehlortetracycline, oxytetracyc巨ne, demet−

hyl chlortetracycline)を投与すると,この物質は 形成あるいは改変されっっある骨組織内に取り込ま れ.無機塩または有機塩と結合し,その部位は薄切研 磨標本蛍光顕微鏡下で強い黄金色の蛍光を発する.ま た Calcein,3,3 一Bis〔N, N−di(carboxymethy1)一 aminomethyl〕 一fluoresceinは, Caと結合すると 黄緑色の強い蛍光を発し, tetraCyClineの場合と は色を異にする12).この研究ではあるものには手術当

The Repair of Experimental Defects in Dog Skulls;Observation after imp−

lantation with various graft materials.Toshio Shima, Department of Neurosur−

gery(Director:Prof. S. Yamamoto), School of Medicine, Kanazawa University.

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日に, oxytetracycline(25mg/Kg)を筋注し,3 週後にCalcein(50mg/Kg)を腹腔内注射することに よる2色蛍光標識法を用い,化骨および石灰化の時間 的経過を追跡した.

 動物は,チオペンタールNaで屠殺し,頭蓋骨の脱 灰ならびに非脱灰標本を作製した.脱灰用標本は,10

%中性ホルマリンに固定し,交流電気脱灰法で脱灰し た.これをパラフィンに包埋,7μに薄切し,ヘマト キシリンェオジン染色,マッソン染色,エラスチヵワ

ンギーソン染色により検索した.非脱灰標本の作製に は13),頭蓋冠をアセトンで固定し,1日後Bio−Plas.

tic Specimen樹脂のポリエステル樹脂の中に入れ,

真空ポンプで標本の中の空気を除くとともにポリエス テル樹脂の浸潤を促進し,さらに1日後少量の硬化剤 を入れゆっくり硬化させた.硬化したポリエステル樹 脂標本を糸ノコで約1〜2mm幅に切断し,これを耐 水研磨紙250〜800番を用い,用手研磨法で研磨して70

〜120μの薄片を作製し,グリセリンで封入し蛍光顕 微鏡(ニコンFT)で観察した.顕微鏡写真には,フジ カラー,ならびに Kodak−tri−Xpanフィルムを用

いた.

実 験 成 積  1 自家新鮮遊離骨

 1)幼若犬;自家新鮮骨を移植し,4日目に見られる 最も著明な変化は,骨弁と骨窓端ならびに硬膜との間 隙である.骨弁と硬膜の間隙には(写真1),赤血球 が堆積し,硬膜の反応による線維芽細胞が増殖しその 中に血管も増殖している.線維芽細胞は,骨弁と骨窓 端の間隙にも増殖し,骨弁の骨梁間隙より侵入し骨髄 腔にまで続いている.骨弁の骨膜から増殖した雨性結 合織は一部骨窓端との間隙にも入り,この部位に石灰 沈着も見られる.骨弁の骨細胞は変形し,核の染色性 が悪く,一部骨梁の萎縮と骨髄腔の拡大が見られる が,骨梁周囲には未だ骨芽細胞は見られない.1週目 には(写真2,3),骨弁の骨髄腔は拡大し,血管の 増殖とともに空胞の形成が見られる.内基礎層板に は.バーベル外外が多く見られ,一見著明な骨増殖の 観はあるが,後述の蛍光標識標本で見ると,この部位 には骨代謝は低下している.これに対し,外基礎層板 は薄く,層板状骨の改変は比較的少ない.骨弁の断端 近くの骨髄腔には,骨芽細胞が見られ骨新生を認ある が,骨弁の中心部には骨芽細胞は見られない.骨弁と 硬膜との間隙には,線維芽細胞や血管が増殖し,骨弁 に接して骨新生を認める.2週目には(写真4),骨弁 と骨船端に新生骨による骨癒合が見られる.3週目で

は.骨弁と硬膜の間隙は新生骨で埋まり,骨弁の内基 層層板と骨癒合して骨弁の境界は不明瞭になってい る.骨弁の外基礎層板は,骨筆端の骨膜側からの新生 骨でお、われるようにして骨癒合し,骨髄腔の骨梁 は,吸収と形成を繰り返し新しい骨梁となる.8ヵ月 後の標本では(写真5),骨髄腔の著しい拡大を見る が,辺縁部は完全に骨癒合しその境界は不明瞭とな

る.

 写真6は,手術当日に tetracyclineを,21日目に Calceinを注射し,それより3日後に取り出した2色 蛍光標識の標本である.播入骨弁の tetracycline による黄色の蛍光を発する部位は,骨下端に比べると 少ないが,外基礎層板では弱く見られるのに文寸して,

内基礎層板の蛍光は著しく少ない.この所見は,移植 初期における遊離骨弁の造骨能が著しく障害され,そ の中でも特に内基馬蝉板の造骨能が外基礎層板よりも 低下していることを示す.これに対し,3週目に投与 した Calceinによる蛍光は正常骨では外基礎層板に 多く見られ,明らかに骨膜側の骨新生が硬膜側に比べ て著しく多いが,播入骨弁の部位では,硬膜からの骨 新生が著しく多く,これが内基礎層板の中に入り込ん でいる.一方,骨膜側に見られる骨新生は,周囲の骨 窓端の骨膜からの新生骨が伸びてきたものである.

 2)成犬;弾入骨弁の骨細胞は,播入直後より変形し 染色性の低下が見られる.4日目の標本では,骨弁の 骨梨は一部吸収され骨髄腔は拡大しており,骨弁の周 囲には線維芽細胞が見られるが骨芽細胞は見られな い.1週目では,骨弁と骨面端の間隙および硬膜との 間には,血管増殖を伴った線維芽細胞が増殖し,拡大

した骨髄腔に侵入し,外基礎層板,内基礎層板,およ び骨梁は吸収され始めている.3週目では(写真7),

骨梨はさらに吸収され,外基礎層板の骨膜側には破骨 細胞を認める.骨髄腔では,線維芽細胞や骨芽細胞の 密度はさらに高くなり正常な骨髄組織は認あられな い.骨弁と骨窓端間隙ならびに,骨弁と硬膜の間隙に 生じた骨芽細胞に骨新生が見られ,これはマッソン染 色で青く染まり未だ石灰化していない仮骨の段階にあ る.このように,主として骨梁が吸収されることによ り骨髄腔の拡大と同時に,外基礎層板,内基礎層板も 一部吸収されるが,骨弁辺縁組織の一部に骨新生が見 られ.このものは骨窓間隙の幼若結合織からの骨新生 とともに働いて骨癒合する.

 第1日、目と第21日目に tetracycline, Calcein を投与した2色蛍光標識標本では(写真8),蛍光は 骨弁.骨鄙野ともに幼若犬と比べるとはるかに少な く乳部位による tetracycline, Calceinの区別は

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つけ得ない.特に骨弁では断端にわずかに蛍光が見ら れるのみである.骨弁は骨梁の一部が吸収されるた め,骨髄腔が拡大している.写真8に示す標本では,

硬膜は骨細端から剥離しており,この間隙には骨新生 を示す蛍光が見られ,骨窓断端からの骨新生と連続し て骨弁と熱狂端間隙を埋あ硬膜側で骨癒合を形成して

いる.

 皿 煮沸骨

 1)幼若犬;煮沸骨弁播入4日目の標本では,骨弁の 骨細胞の染色性は周囲の正常骨組織に比して著しく低 い.骨弁の周囲には,手術操作の影響としてまだ赤血 球とヘモジデリンの沈着が見られるが,一方,線維性 の疎性結合織の新生が見られる.括入骨弁と骨窓端の 間隙には,ヘマトキシリン エオジン染色で赤く染ま る石灰沈着が見られ,硬膜側にも石灰沈着が見られ る.1週目では(写真9),線維芽細胞の増殖が著し く,骨弁断端の骨膜側では線維性結合織が放射線状に 伸びここに著しい石灰沈着を認める.先に見られた骨 弁と硬膜の間の石灰沈着も,この時期にはさらに増加 する.骨弁購入直後に蛍光標識した1週目の標本では

(写真10),骨弁と肥厚拡大した硬膜の間隙には塊状 の石灰沈着および骨新生を示す蛍光が見られる.浮浮 端および骨弁断端に蛍光を発し, この部位から放射状 に延びて両者の間隙を結ぶ橋を形成している.しか し,骨弁のその他の部位では正常骨に比べ蛍光は全体 として少ないが,それでもなお,拡大した骨髄腔の骨 梁の周囲に微弱ながら認められる.2週目のHE標本 では,外基礎層板,内基礎層板,骨梁などの一部は破 骨細胞によって吸収され,骨髄腔は線維芽細胞で満た され,一方,骨窓端および骨弁と硬膜との間隙におい ては,新生骨はさらに増殖し骨窓端と新生骨で置換さ れた内基要物板は癒合している(写真11,12).3週 間隔の2色蛍光標識でも,骨弁と骨窓端の間隙は完全 に新生骨によって埋められているのが見られる(写真 13).骨弁では,骨梁の萎縮により骨髄腔が拡大する が,その部位に骨新生を示す蛍光が見られ,内基礎層 板は硬膜からの新生骨で置換され,吸収と形成が繰り 返されて厚みを増す.4週目の標本では(写真14),骨 弁は内基礎層板側から吸収されるとともに,新生骨に 置換され,骨弁の播入部位は不明瞭となっている.

 2) 成犬;1週目では,骨弁に接しその周囲に疎性 結合織の増殖が見られるが石灰沈着は見られない.括 入骨弁の細胞および骨髄腔の組織は煮沸による死滅め ま\残り,まだ周囲からの影響を受けていない.播入 時の蛍光標識標本でも,この時期には骨弁ならびにそ の周囲組織には全く蛍光は見られない.3週目では

(写真15),毛細血管および線維芽細胞より成る内芽 組織が骨髄腔を満し,骨弁周囲にも密に見られる.し かし骨芽細胞と骨新生は骨弁の断端にわずかに見られ るのみで,骨癒合は未だ見られない.骨弁の外基礎層 板,内基礎層板は一部吸収され,肉芽組織で置き換え られている.骨弁と硬膜との間隙にも肉芽組織が充満 しているが,骨新生や石灰沈着は見られない.

 2色蛍光監事標本では(写真16),特に骨弁の辺縁 部にわずかに tetraCyClineによる蛍光が見られる が,骨膜側,硬膜側および骨髄腔の骨梁では吸収によ る骨弁の変形が見られるのみで,tetraCyClineの蛍 光は全く見られずこの部位には骨新生が全くないこと を示す.これに対し,再来端の正常骨部位において,

骨髄腔の骨梨周囲および骨窓端から剥離している硬膜 上にわずか骨新生を示す蛍光が見られる.

 皿 脱蛋白骨(エチレンジアミン処理骨)

 1) 幼若犬;1週目のHE標本では(写真17),骨弁 に脱蛋白と脱灰の二重の操作が加わり,しかも周囲か ら間葉系組織反応がまだ内部におよばぬたあ骨弁自体 は無構造の組織像を示す,骨弁の周囲には,赤血球や 中細白血球が未だ広汎に堆積し,その中に幼若毛細血 管とともに線維腫細胞の著明な増殖が見られる.骨骨 端辺縁からは,骨芽細胞が骨梁を形成し,間隙を渡っ て骨弁の方向へ延び,一部に塊状の石灰沈着も見られ る.骨弁の下の硬膜は肥厚し血管腔の拡大とともに骨 芽細胞の増殖を伴い骨新生も見られるが,このものは マッソン染色で青く染まり仮骨の段階にあることを示

している.

 骨弁年玉直後に Calceinで蛍光標識した1週目の 標本では(写真18),骨弁の骨梨全体が一様に緑色の 蛍光を発しこの部位に石灰沈着が起っていることを示 している.しかし骨弁に接する周囲の結合織に蛍光は ほとんど見られず,これに対し骨窓端の正常骨に接す る硬膜や骨膜に接して蛍光が認められ,この部位に骨 新生があるのとは顕著な対照を示す.2週目のHE標 本では(写真19),骨弁の骨梁間隙は線維性結合織お よび線維芽細胞で満たされ,骨梁に接してエオジンに 濃染する無構造硝子様基質がみられる,しかしこの時 期には,骨窓および硬膜から生じた新生骨は未だ骨弁 とは接するに至らない.4週目のHE標本では(写真 20),骨弁の骨髄腔は骨弁と骨窓端との間隙から侵入し た線維性結合織および線維芽細胞で埋められ,骨弁の 骨梁の周囲には硝子様基質,骨芽細胞および新生骨が 見られ骨窓端からの新生骨と連続している.写真21は 2色蛍光標識標本であるが,骨弁には tetracycline による黄色と Calceinの緑色の蛍光が同じ場所で見

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られるため黄緑色に見られるが,さらにこの骨梁周囲 に緑色のみの蛍光が見られ,.ここに骨新生のあること を示している.この骨弁は骨窓端からのびてきた新露 骨によって外からも包まれ内外から新生骨により強化 されている.8ヵ月のHE標本では,石灰沈着した骨 弁は,辺縁の骨窓端と完全な骨癒合を示し,境界は不

明瞭である.

 写真22は手術後ならびに2ヵ月後に tetracycline 投与し8カ月の蛍光標本であるが,骨弁に標識された 蛍光は裾麗し白色化して残り,骨弁は骨稟周囲に吸収 と形成を繰り返してできた新生骨と,骨弁周囲にで きた新生骨によって内外から包埋されている.

 2) 成犬;掻入1週目のHE標本では,骨弁の周囲 を毛細血管や線維性結合織が取りまいている,骨角端 では,骨梁に連続してわずかに骨新生は見られるが,

骨弁の周囲組織に石灰沈着は見られず,骨芽細胞や骨 新生も見られない.硬膜の反応は少なく骨弁との間隙 に線維芽細胞の増殖は未だ見られない。3週目の蛍光 標識標本では(写真23),骨窓端において,骨膜およ び硬膜側から新生骨を生じ,骨弁との間隙にのびてい るが,未だその程度は少なく,骨弁と結び橋を形成す る程には至らない. 移植骨弁の骨梁には, tetracyc−

lineおよび Calceinによる蛍光が重複して黄緑色に一 見られ,この部位には石灰沈着が持続的に起ってい

ることを示す.骨弁の周囲には,石灰沈着や骨新生に よる蛍光は見られない.この時期における脱灰標本で は骨弁の骨梁間隙に結合織の侵入を見るが,石灰沈着 あるいは造面の反応は見られない.

 IV アクリル樹脂板

 1) 幼若犬:アクリル樹脂板で骨油を補填した1週 目の標本では,樹脂板は拡張した血管と中江白血球を 伴った結合織に包まれる.骨窓端の骨面に連らなって 骨芽細胞が見られるが,樹脂板に及ばない.3週目の 標本では(写真24),骨窓端の骨梨からのびた新生骨 は,樹脂板に近接すると生長を止める.一方樹脂板と 硬膜との間隙には,石灰沈着や骨新生はほとんど見ら れない.樹脂板をお、う骨膜には,一部に骨芽細胞か らの骨新生を見るが,樹脂板を包む程には増殖しな い.このため骨窓端の骨は生長につれ厚さが増すのに 比べ,樹脂板の部位では骨の厚さが増さず変形を残す ことになる。

 2) 成犬;喜入後アクリル樹脂板の周囲には,赤血 球と中好白血球の堆積が見られるが,これらは1週か

ら2週にかけて徐々に減少する.樹脂板に接して線維 性結合織が取り囲み,骨窓端部には,これらの骨新生 はわずかに増して樹脂板に近接するようになり,この

樹脂板の周囲には炎症性反応は見られない.

 頭蓋骨欠損部の補填に,Seyde114)ははじめて脛骨よ り採り出した自家遊離骨弁を用いた.さらに筋肉片を 骨弁に付けて有茎骨弁とする開頭の方法は, Wagn・

er5)によって成されたが,その後Leriche15),Boldre・

y6)らは遊離された新鮮骨弁を用いても実際上の不都 合はなく,手術の際の簡便性の利点を強調した.これ に対し煮沸骨が移殖された場合は,18ヵ月で吸収され

るという6).

 一般に動物実験において,新鮮自家骨,同種骨,保 存骨(自家冷凍骨,同種冷凍骨,同種煮沸骨)などが 移植された場合,骨新生を見るのは新生骨のみであり 同種骨や保存骨は吸収されることが見られている16嘲18).

Sabet19)らはラットを用いて骨移植の実験をし免疫学 的に同系の  isograftsと homograftsを比べ,

isograftsでは血管が容易に入り込み骨弁の周囲組織 が充血し後には正常に戻るのに対して,homografts では徐々に充血し炎症反応を加えるという. Em−

otolo)は煮沸骨を用いて1年後に完全な骨癒合の行わ れたのを見た.しかしこの実験には幼若犬に小さな骨 窓が用いられている事実より,移植骨弁は吸収される

とともに周囲からの新生骨によって置換され,あたか も骨癒合の観を与えたものと考えられる.

 自家遊離移植骨弁の運命に関し, Ham20)は,骨 が一旦遊離されるとたとえ直ちに整復されても直接の 血液供給が絶たれるため,海綿骨でもその辺縁より1/5 mm以上離れた部位では生存する可能性がなく,特に 緻密骨は骨に血液循環が再開するまで生き残ることは ほとんどないと主張した.ここに注目を要するのは Anderson2Dらの研究である.彼らはラットの前眼房 に自家骨と同種骨の移植を試み,自家海綿骨は3週目 頃に骨髄の骨梁が生長して骨新生し,同種骨では一旦 骨新生は見られるが2週目に死滅し8週目頃に層板構 造の乏しい新生骨が徐々に増大しているのを見た.一 旦死滅した骨組織が再生する現象は,骨組織が長い期 間周囲の組織に接触していることが刺戟となって,宿 主の細胞を骨組織に変化させるものと解されている.

 移植された新鮮骨弁の運命は,幼若犬と成犬では著 明な差がある.幼若犬において,早期に骨細胞に染色 性の低下と骨梁の萎縮を見る.内基三層板は硬膜側か ら発生した新生骨と癒合するが,成長の過程とともに 古い内基礎層板は新生骨に置換される.蛍光標識標本 で検索すると,移植直後の骨弁自体には,造骨作用は 外基礎層板にわずかに残っているのみであるが,3週

(5)

目頃には骨梨の造畢能は回復し,骨髄の改変とともに 群群端からの新生骨と骨弁とは癒合を生じ,8ヵ月に は骨髄腔の拡大により移植骨の部位が不明瞭になり,

骨弁の骨膜側の骨肥厚により播入部位が推定されるの みとなる.これに対し,成犬では蛍光標識法で見られ る移植骨弁の骨代謝は少ないが,この現象は正常骨組 織部位も同様であり,必ずしも両者に区別をつけ難 い.しかし脱灰標本で見ると,骨弁の骨髄腔に線維組 織が入り込み骨梁ば萎縮し骨髄腔は拡大し,内基礎層 板,外基礎層板の一部は吸収されて菲薄化している が.骨弁辺縁にわずかながら骨新生を生じ,このもの が下馴縁からの新生骨と結合して両者を癒合させてい る.造骨能の低下した骨弁の骨組織も支持組織として の機能を果し,異種骨あるいは煮沸骨にみられる如き 異物としての組織反応は少なく,かえって周囲の増殖 性の組織反応を促して新生骨を形成し癒合させるとい える.       ・

 煮沸骨弁が補填物質として役立ちうるのは幼若犬に 限るといってよい.移植骨弁の周囲に,間葉系組織の 増殖を促すとともに,わずかながら石灰沈着を示す.

ついで骨弁は破骨細胞により急速に破壊されるが,同 時に周囲からの新生骨によって置換される.これに対 し,成犬の場合には,吸収された骨組織は肉芽組織に 置き換えられるのみで,骨新生はむしろ抑制される傾 向が見られる.

 同種骨、異種骨の移植には異物反応が必須であり,

従ってこれらを利用する場合には骨弁の異物反応の除 去が試みられた. Maatz l7)らは,骨欠損部にエチレ ンジアミン処理による脱蛋白骨を用い,骨癒合したの を見ている. Rosomoff1Dらは,自家骨,他家骨,

異種骨のそれぞれのエチレンジアミン処理骨と新鮮自 家骨とを頭蓋骨欠損蔀に補填して比較し,他家骨のエ チレンジアミン処理骨が最も早く骨癒合し,他の処理 骨も異物反応を示さぬことを述べている. Young9)

によれば,頭蓋骨欠損部に入れたエチレンジアミン処 理骨は結合織に包まれ,吸収されて新生骨に置き換え られるという.しかしこの物質が骨窓に補填された場 合に見られる組織反応は,前述の自家新鮮骨あるいは 煮沸骨材料の場合とは著しく趣きを異にする.まず年 令にかかわらず骨弁の骨梁に一様の石灰沈着を生じ,

この現象は蛍光標識標本によって極めて明瞭に証明さ れた.次に特に幼若犬において,結合織が骨梁の間隙 へ入ってこれを満し,しかも骨梁に接してエオジンに 好号する無構造硝子様基質を生ずる.この硝子様基質 は結合織の硝子様変性ではなく,骨窓端と連続した類 骨組織である.これらの骨梨への石灰沈着と,骨子間

隙の線維性結合織の侵入および骨梁周囲への類骨組織 の形成は,骨弁を機械的に補強する役割を果すものと いえよう.さらに骨新生は骨腫端骨膜および硬膜側か らも生長し,8カ月後では骨弁は著しい石灰沈着と共 に,骨梁周囲および骨弁周囲の新生骨により圧迫変形 されっっ癒合している.成犬では,骨梁に石灰沈着を 見.その間隙に線維性結合織が入り込むが,無構造硝 子様基質の類骨組織の形成はほとんど認あられない.

 非生物学的補填材料として,金属(タンタルム22囎26),

 ステンレス27)28),チタン29),アルミニウム30)),合成 樹脂(アクリル樹脂3D)等が用いられているが,これ らには異物反応がなく,間葉系の反応の少ないことを 期待するものといえよう. Spence32)は金属板と合 成樹脂とを比較し,合成樹脂の長所として美容上良い ことや,熱伝導率が低く頭痛の原因とならないこと,

レントゲンや脳波でも変りないこと,さらには内基灘 区板と同じ厚さにすることにより,脳脱による大脳皮 質の障害を防げる事をあげている.実際アクリル樹脂 板を用いた場合の顕著な特徴は,補填物質に接する部 位の間葉骨組織反応は著しく抑制されることである.

従ってこの物質を成犬に用いた場合は,頭蓋の支持物 質としての機能を果し得るのに対し,幼若犬ではその 成長とともに頭蓋骨の変形をきたす結果となる.

 頭蓋骨窓に補填物を挿入した場合,周囲の組織特に 骨膜や硬膜の反応は多少にかかわらず必須であり,そ の造骨能は骨癒合に不可欠なものである. Block:B)

は,頭蓋骨膜,骨内皮細胞および硬膜はそれぞれ造骨 継を持つが,その中で硬膜の造骨機能が一番強いと述 べている. MUke34)は成長途上の動物の頭蓋骨に骨 欠損を作製した場合,硬膜に損傷がなければ,骨欠損 部に骨は新生するが,硬膜を除去するとほとんど骨新 生が見られないと述べ,硬膜の造田能を強調してい る.深津35)も,骨移植時の骨再生に関与する部位は,

硬膜が最も主要な位置を占めると述べている.しかし  Fischer4)は,成人では硬膜からの骨形成はほとん どなく,頭蓋骨骨折間隙は膠原線維の多い肉芽組織に 埋まり,骨癒合は見られないと述べている.これらの 研究者による主張の相違は,硬膜の年令による変化に よるものである.幼児の硬膜は細胞に富み波状の線維 が平行に走るが,加令とともに細胞成分は減少し,線 維は直線状の走行をとり,粘液物質や石灰沈着が見ら れ,さらには膠原線維の間に裂隙を生ずるようになる 36).この細胞に富む幼若な硬膜は,さらに三層に分け られ,最外層は頭蓋骨の外骨膜であり,多数の小血管 を持った疎性細胞組織であり,この最外層の変化は,

頭蓋骨内基礎層板に骨の吸収かまたは形成が起ってい

(6)

るかにより様々の変化を示す3η.硬膜の造骨能を蛍光 標織法により検索すると,幼若犬の正常な頭蓋骨の発 育は,骨膜側が硬膜側よりはるかに旺盛である.しか し一旦骨欠損を生じ,その部位が補填された場合,硬 膜の反応が盛んとなる.成犬では,この硬膜のみなら ず骨膜からの骨新生も少なく,ほとんど肉芽組織で,

骨欠損部は埋められる.

 長虫骨の骨折治癒機序について, KUntscher38)

は、骨折の際には骨折間隙および周囲のすべての組織 から未分化な結合織が増殖し,このものが,誘導機序 により骨,あるいは軟骨に変化するが,この心骨癒合 に最重要な仮骨形成は,局所の化学的炎症によっての みなされると述べている. Maximow39)は未分化間 葉系細胞の異形成の意義を強く主張し,刺戟や環境に より軟骨細胞でも,骨芽細胞あるいは骨細胞に分化し 得る多白熊をもつとしている,国見40)はラットを用い Ca45を tracerとし検索し,仮骨片を筋肉内に移植し た場合,移植床の幼若結合織の骨形成能を誘導して類 骨組織ないしは骨組織が形成されることを証明した.

しかし Lexer4D, Axhausen42)らは,仮骨は骨に直 接関係する組織のみからできるのであり,外骨膜,内 骨膜,骨髄組織の骨形成能を有する特異組織,骨芽細 胞から造られ得るとした。

 本研究の従来の脱灰標本より得られた結果で見る限 り,頭蓋骨骨欠損部に骨弁が直入された場合,それが 自家新鮮骨であっても,その中で超生するものは比較 的少なく,骨癒合に関与する反応の大部分は骨膜,硬 膜および骨窓端からの骨芽細胞からの骨新生によるも のであり,未分化間葉系細胞の化生が最も重要な役割 を果している.しかし蛍光標織法による骨代謝の検索 では,石灰の代謝は生骨あるいは間葉系組織のみによ るものでないことが明らかにされた,自家新鮮遊離 骨、煮沸骨およびエチレンジアミン処理脱蛋白骨のい ずれにも移植骨弁自体に石灰沈着による蛍光が見られ るが,その様式には著しい差がある.自家新鮮遊離骨 の骨梁周囲および骨弁辺縁のバーベル氏紙類骨層に見 られる蛍光は,骨弁が超生し造骨能のあることを示 す.さらに骨弁の辺縁あるいは骨面に接して生ずる石 灰沈着は,この部位に骨新生を促しその骨代謝に利用 されるものと推定される.

 石灰沈着は,超生の可能性が絶無な煮沸骨,あるい はエチレンジアミン処理骨を移植した場合に特に顕著 である.幼若犬に煮沸骨を移植した場合,骨弁の断端 およびそれに接する周囲の結合織のみならず骨梁の周 囲にもわずかながら石灰沈着を生ずるが,これは増殖 あるいは間隙に侵入した結合織の造骨機能によるもの

と考えられる.これに対し,成犬においては,骨弁に 接する結合織に極めて少量の石灰沈着を見るのみであ る.エチレンジアミン処珪脱蛋白骨では,年令差に か\わらず骨弁の骨梁に一様の蛍光を示す,この事実 は.脱蛋白操作により無機骨塩のみとなった骨弁に,

体液より石灰成分が析出したものであり,これは8カ 月後にも吸収されず残り,新鮮骨弁あるいは煮沸骨弁 の場合とは著しい差を示ず

 頭蓋骨形成において,恰幅柄骨片を用いても,その すべての部位に血液循環は期待することはできない.

新鮮骨弁に至っては,循環から完全に遮断され,その 大部分は生心としては残り得ない,それにもかかわら ず.これらの材料が最も適当な補填物質として利用さ れるのは,その一部に超生し得るものがある他に,生 体に拒絶反応を起さすことなく支持組織として利用さ れ.ある期間の間に新生骨に置換されるからである。

この過程は幼児において最も顕著かつすみやかに起 る,これに対し,成人では特に新鮮遊離骨弁を開いた 場合,長期間の後に移植部位に若干の萎縮陥没を見る のが常であるが,この現象は,置換の過程が幼児程に は完全に起らないことを示す.幼児と成人に見られる 治癒過程の差は,間葉系組織の年令による造面能の差 にあり.それは特に煮沸骨片を用いた時に顕著に表わ れる,補填物質として煮沸した自家骨片を用いる場 合,絹糸あるいはフィブリン膜などを用いた場合に見

られるような炎症性の反応は生じないが,周囲の造骨 性組織の機能はむしろ抑えられる傾向にある.しかし 幼児の場合には間葉系組織の活力が強く,移植骨片は 支持物質としての役割を果しながら,ついには新生骨 によって置換されるが,成人では吸収消滅の運命をた どる.脱漏白骨物質を用いた場合,幼児ではまず,そ の海綿状の骨梁の石灰沈着と間隙への間葉系組織の侵 入によって,補填物質そのものが機械的に増強され,

ついには新生面に埋没されるが,成人では最初の石灰 沈着と若干の線維性組織の侵入を見るのみで,機械的 に弱く,従ってこれを補填物質として利用し得るの 1む小さな骨窓の場合に限られるといえる.レジン板 の如き物質は,機械的には強いが周囲の組織反応を抑 え,この作用は成人に用いるには有利ではあるが,幼 児の場合には,頭蓋骨の成長を阻害する点より甚だ不 利といえる.

 頭蓋骨形成には年令による骨再生能の差,特に間葉 系組織の造感能の差に配慮することが重要であり,小 児では特に硬膜の著しい造面能を活用し,成人では自 家新鮮骨弁が利用できない場合は,組織反応の少ない 物質による補填が有利であるといえよう.

(7)

        結     論

 補填形成した骨欠損部の治癒機転を検索し,頭蓋骨 形成の方法の確立を試みた.雑種犬を用い,年令によ る組織反応の差を見るため,幼若なものと成犬に分け て検索した,頭頂に直径1伽のトレフィン開頭をな し,新鮮遊離骨弁,煮沸骨弁,エチレンジアミン処理 した脱蛋白骨乳およびレジン板により骨窓の補填をし たものにっき,観察期間は4日から8カ月とした.特 に骨代謝の過程を追及するために oxytetracycline を筋注し,ある期間後に Caiceinを腹腔内注射する 2色蛍光標識法を用いた.

 1) 幼若犬;新鮮骨.煮沸骨,脱蛋白骨を用いると 8カ月後には骨癒合が完成され,頭蓋骨の発育に歪曲 は見られないが。蛍光標識法による検索では明らかに その治癒過程に差が見られる,新鮮骨では,内基礎層 板が吸収されるとともに硬膜からの新生骨で置換さ れ.外基礎層板は一部超生し造骨盤を示し,骨壷端骨 膜の骨芽細胞からの新生骨と骨癒合する,煮沸骨で は、周囲が一旦石灰化し次いでそこに新生骨が生じ,

骨弁が吸収されるとともに新生骨に置換される.一脱蛋 自主は.そのものに石灰沈着し,骨梨間隙に線維性結 合織の侵入と骨梁周囲の類骨組織の形成により,骨弁 は強化され京島端と骨癒合する,レジン板では,硬膜 および骨膜の造骨機能は抑制され,発育とともに頭蓋 骨の変形を生ずる.

 2) 成犬;骨膜.硬膜の造骨能は少ない.新鮮移植 骨弁は移植再生し得る.煮沸骨は硬膜側から吸収され 陥没変形を生ずる.脱出白骨は吸収されないが,間葉 系組織反応は少なく,十分な機械的強度を生じ得ぢ

い.

 稿を終るに臨み,御指導,御校閲を賜った恩師山本信 二郎教授に深く感謝いたします.

 また御協力いたゴいた木村明学士ならびに教室諸兄に 感謝いたします.

 なお 本論文の要旨は,第4回北陸脳神経外科心乱会

(1973),第32回日本脳神経外科学会総会(1973)にお いて発表しました.

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記号説明

AP:アクリル樹脂板の跡 BB:煮沸骨

BV:新生血管 C:石灰沈着

D:硬膜

EB:脱蛋白骨 F:線維芽細胞 FB:新鮮自家骨 IBL:内基礎層板

MC:骨髄腔 NB:新生骨 0:骨芽細胞 OBL:外基礎層板 OC:破骨細胞 P:骨膜 SB:骨窓端 T:骨梁

写真説明

写真1:新鮮自家骨(幼若犬)4日目

 骨弁(FB)と硬膜(D)の間隙には,硬膜の反応に よる線維芽細胞(F)が増殖し,血管も増殖してい る.骨弁や硬膜の近くに骨芽細胞(0)が見られる.

(H−E染色,5×10)

写真2:新鮮自家骨(幼若犬)1週目

 拡大した骨弁(FB)の骨髄腔(MC)には,線維性 結合織と血管の増殖とともに空胞の形成が見られる.

骨弁と硬膜(D)の間隙に,線維芽細胞(F)や拡大 した血管(BV)が増殖し,骨弁に接し骨新生(NB)

を認める.(H−E染色, ×7)

写真3:新鮮自家骨(幼若犬)1週目

 写真2の骨弁(FB)と硬膜(D)の部分の拡大写真

(H−E染色,5×10)

写真4:新鮮自家骨(幼若犬)2週目

 骨弁(FB)と骨窓端(SB)の間隙に,骨新生(N B)を認あ骨癒合が見られる.

写真5:新鮮自家骨(幼若犬)8カ月目

 骨弁(FB)の外基礎層板(OBL),骨梁(T),内基 礎層板(IBL)及び骨髄腔(MC)の辺縁には,矢印 のように連続しない tetracyclineによる線状の蛍 光が見られ,絶えず骨の吸収と形成をくりかえし骨窓 端(SB)と癒合したことを示す.それ故に骨弁梱入 部位が不明瞭である.( tetracycline 2重蛍光標 識標本,5×4)

写真6:新鮮自家骨(幼若犬)3週目

 骨弁(FB)と骨窓端(SB)の外基礎層板(OBL)お よび内基礎層板(IBL)は, tetracyclineにより光 る蛍光で輪廓が見られ, Calceinによりひかる新生 骨(NB)と区別される.しかし骨弁の蛍光は骨窓端

(9)

に比べると少なく,内基礎層板はさらに著しく少な い.(2色蛍光標識標本,5×2.5)

写真7:新鮮自家骨(成犬)3週目

 骨弁(FB)の骨梁は吸収され骨髄腔(MC)は拡大 し、骨膜(P)や硬膜(D)側に新生骨(NB)を見 る.さらに骨弁と骨癌端にも新生骨を見るが,幼若犬 に比べ程度は少ない、 (H−E染色,×4)

写真8:新鮮自家骨(成犬)3週目

 骨弁(FB),骨窓端(SB)ともに蛍光は幼若犬にく らべ少なく,わずかに骨弁の断端および骨窓断端に新 生骨(NB)による蛍光が見られるのみで, tetracy・

clineと Calceinの色のちがいは区別できない.

(2色蛍光標識標本,×4)

写真9:煮沸骨(幼若犬)1週目

 骨弁(BB)の骨膜側断端に線維性結合織の増殖が 著しく放射状にのび,ここに石灰沈着(C)が見られ る.骨弁と硬膜(D)の間隙にも石灰沈着が見られ,

骨新生(NB)も認められる.(H−E染色,×4.5)

写真10:煮沸骨(幼若犬)1週目

 骨弁(BB)の骨膜瞬断端および骨弁と骨窓端(SB)

の間隙に著しい蛍光が見られ,骨弁と硬膜(D)の間 隙にも塊状の石灰沈着(C)および骨新生(NB)を示 す蛍光が見られる.骨弁の骨梨(T)の周囲には,正 常骨の骨梁にくらべ少ない蛍光が見られる.(Calce・

in蛍光標識,×5)

写真11:煮沸骨(幼若犬)2週目

 骨弁(BB)の外基礎層板(OBL),内基礎層板(IB L),骨梁(T)などの一部は破骨細胞(OC)により 吸収され,骨髄腔(MC)は線維芽細胞(F)で満た されている.硬膜側からの新生骨(NB)により内基 礎層板は置換され,骨幻灯(SB)と癒合している.

(H−E染色,×5)

写真12:煮沸骨(幼若犬)2週目

 写真11の骨弁の骨髄腔の拡大写真で,骨梁(T)は 破骨細胞(OC)により吸収され,その周囲に線維芽 細胞(F)が見られる,(H−E染色,5×10)

写真13:煮沸骨(幼若犬)3週目

 骨弁(BB)および骨身端(SB)の外基礎層板(OB L)と内基礎層板(IBL)は, tetracyclineにより 周囲にできた新生骨(NB)と区別される.3週目の 新生骨は,骨弁と骨窓端の間隙および骨髄腔(MC)の 矢印の部分に, Ca[ceinによる層状の蛍光として見

られる.(2色蛍光標識標本,×6)

写真14:煮沸骨(幼若犬)4週目

 骨弁(BB)は内基礎層板かち吸収されるとともに,

新生骨(NB)に置換され,骨弁の播入部位が不明瞭

となる.(H−E染色,×3)

写真15:煮沸骨(成犬)3週目

 骨弁(BB)の周囲には,血管増殖を伴った線維芽 細胞(F),肉芽組織があり,骨髄腔にまでのびてい る.新生面や石灰沈着は見られない.(H−E染色,×

5)

写真16:煮沸骨(成犬)3週目

 骨弁(BB)は吸収による変形が見られ,断端にわ ずかに石灰沈着(C)による蛍光が見られる.一方骨 窓端(SB)には新生骨(NB)による蛍光が見られる が,2色の区別はつかない.(2色蛍光標識標本,5

×4)

写真17:筆陣白骨(幼若犬)1週目

 骨弁(EB)は無構造で周囲には線維芽細胞くF)の 著明な増殖が見られる,骨鼻端(SB)には♂新生骨

(NB)があり,硬膜上にもみられ,一部に石灰沈着

(C)もある.(H−E染色,×5)

写真18:脱蛋白骨(幼若犬)1週目

 骨弁(EB)全体が一様に強い蛍光を発し,この部 位の石灰沈着を示す.さらに骨窓端(SB)との間隙お よび硬膜(D)との間隙にも石灰沈着(C)を示す蛍 光が見られる.(Ca!cein蛍光標識標本,5×2,5)

写真19:脱蛋白骨(幼若犬)2週目

 骨弁(EB)の骨梁間隙は,線維性結合織および線 維芽細胞(F)で満たされ,骨弁(EB)と硬膜(D)

の間には新生骨(NB)を認める.(H−E染色,×5)

写真20:脱蛋白骨(幼若犬)4週目

 骨弁(EB)の骨梁(T)に接して,エオジンに濃染 する無構造硝子様基質(HS)が見られ,それに接し 骨芽細胞(0)が見られる.(H−E染色,5×10)

写真21:脱蛋白骨(幼若犬)3週目

 骨弁(EB)は全体が一様に蛍光を発し石灰沈着さ れていることを示し,骨遠端(SB)からのびてきた

3週後のCalceinにより光る新生骨(NB)によって,

内外から包埋されようとしている.(2色蛍光標識標 本,×5)

写真22:脱路白骨(幼若犬)8カ月

 骨弁(EB)の蛍光は槌慰し白色化し,その骨梁

(T)周囲には,新生骨(NB)が吸収と形成をくり 返えし骨弁を変形させ,骨弁と完全に癒合している.

(tetracycline 2重蛍光標識標本,5×6.3)

写真23:脱蛋白骨(成犬)3週目

 骨弁(EB)は全体に一様の蛍光を発し,石灰沈着 を示す.骨窓端(SB)には,骨梁からのびる新生骨

(NB)による蛍光が見られる.(2色蛍光標識標:本,

×4)

(10)

=A24 : 7" V ,v twAS di (Sth ZJR) 3 me e Oe6zz 5)hsin6 21 6hsi, twme M" e: ei , k< n6 tz (g  fikex (SB) h> (},(Dvatkfi (NB) ei, i,t, iJ ,vss LN. (H‑EMte, 5×4)

figW (AP) ec nt L ‑(' tilftbsi thg D , ‑es ff wt MU: CI)

       Abstract

     The prQcess of bone defect repair was studied utilizing various cranioplastic   materials in adult as well infant dogs. The animals were anesthetized by ad‑

  ministration of intravenous pentobarbital. Trephinations of 1 cm diameter were   made on the parietal region of the skull. Cranioplastic materials used were,    1) fresh autogenous bone, 2)boiled bone, 3) bone graft deproteinized with e‑

  thslenediamine and 4) acrylic plate. The osteogenic reaction was examined by        Y

  two techniques, one being the conventional stain technique in decalcified pr‑

  eparation, and the other the fluorescent technique. When injecting oxytetracycline

   or Calcein these substances produced a fluorescent chelate compound with calcium

   during ossification or calcification processes. Since tetracycline fluoresced ye‑

   11ow while Calcein green, the stages of osteogenesis couid be identified by    application of the these two substances in the same interval.

      Dogs were sacrificed at intervals of from four days to eight months after    surgery. At the time of sacrifice, the cranial bone was extirpated and fixed    in ten per cent neutral formalin. In the group to which conventional stain    technique was applied, the specimens were decalcified and embedded in paraffin.

   Serial sections were made and stained with hematoxyline and eosin. In the other    group, the specimins were embedded in Bio‑Plastic and ground with abrasive    paper up to 70 to 120 micron. They were mounted in glycerol and observed    under a fluorescent microscope.

      Results: 1) Dogs less than two months old: Fresh autogenous, boiled and    deproteinized grafts appeared to be fusing well with the surrounding osseous    tissues under macroscopic observation, but some marked differences could be    observed in osteogenic reaction. In the fresh autogenous bone graft, ,the inner    basic lamella was gradually replaced by a new osseous tissue originating from    the underlying dura. Part of the outer basic lamella survived and fused with    the osseous tissue deveroped from the surrounding skull and the periosteum.

   When using the boiled bone graft, calcification appeared on the edge initially    and later was replaced by new osseous tissues. With the ethylenediamine‑treated    bone, calcium substance deposited initially in the trabecula, and thereafter fi‑

   broblastic as well as osteogenic reaction appeared around its calcified trabeculae.

   Finally the graft was embedded within the newly developed bony tissue. With    the acrylic plate, osteogenic reaction of the aura and the periosteum were    supressed markedly, so that deformity of the skull wars eventually produced.

   2) Adult dogs : The autogenous bone graft was able to fuse with the surr‑

   ounding osseous tissue in spite of less osteogenic reaction. The boiled bone    graft was gradually absorbed from the inner basic lamella, resulting in a skull

   ili%̀,O,r,Illl・ty.i,IIIPL;Z{S,̀,hylee,",edA%M,̀22C・g?s,̀?g,,bo,".z..w,2s.¥esi,z̀aBt.t,o.ag,s,o.r,p,tYo.ns,b,u,1

   action.

      These results suggest that in clinical cases the fresh autogenous bone, boiled

   bone and ethylengimane‑treated bone are available for graft materials in infants    because of their marked osteogenic reaction. On the contrars, the fresh auto‑

   genous bone or acrylic plate is recommended in adults.

(11)

講購鰹灘

     犠鋸

(12)

響躍 財鰯

蓼墨

爵叢融罐

糀騰汽鷹孟

(13)

蟻灘謎羅1叢叢語罵i葦職灘鰭        講灘轟

       鎚懸隔羅

      賊難〆審が       簿櫨癌灘難

14

︑鶏

φ

竃︒

 罵

・︾

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騰騰灘灘聴毅 15

騨16

難灘嚢鍵

  懇懇舞

 総瀞舞   鱒

慧諜瀞醐曽嫡韓

18

(14)

   淵編綴黙認

       燃

峻躍鑓難磁・潮懸癒轟

   蝋鍵盤聯

22

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