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第28回山梨医科大学CPC記録:急性硬膜下血腫術後に循環不全を契機として腎不全となり死亡した83歳の男性例 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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症例提示 八木下 勉助手(脳神経外科) 症例:M.H.83 歳,男性(ID078-739-4,AN1287) 主訴:意識障害 家族歴:特記すべきことなし。 既往歴: 1930 年頃,肺炎。1975 年頃より高血 圧症を指摘され,降圧剤と痛風治療薬を投与 されていた。収縮期心雑音を指摘されたこと あり。1989 年頃小脳梗塞を起こし,以後小 脳症状あり。1991 年 10 月よりアルコール性 肝障害,高血糖を指摘され,当院内科に 12 月 17 日∼ 30 日入院。経口糖尿病薬の投与と 禁酒で血糖値はコントロール良好となった。 1992 年 10 月,食欲不振,胃部不快感により 上部消化管内視鏡検査施行。胃粘膜下腫瘍を 認め,生検で group Ⅲ。以後自ら通院を中 止していた。 患者背景:約 60 年間日本酒 3 合/日の飲酒歴あ り。内科退院後は飲酒を再開した。 現病歴: 1998 年 10 月 8 日午後 6 時頃自宅で転 倒し,左上腕骨頚部骨折に対して近医で処置 を受けた。10 月 10 日自宅玄関で再び転倒し ているところを発見され,救急病院に搬入さ れた。頭部 CT 検査で頭蓋内出血を認めたた め,当院脳外科に紹介された。 入院時現症:右頭頂部に皮下血腫,左上腕上部 に広範な皮下出血跡あり。意識レベルは JCS で 3,GCS で M4V2E4 の 10 点で,不穏状態 であった。意味不明の発語はあるが,指示動 作は開閉眼のみに応じ,会話は成立しなかっ た。瞳孔不同なし,対光反射あり。左への共 同偏視を認めた。明らかな麻痺はなし。左上 肢の動作時に粗大な企図振戦が見られた。 画像所見:図 1 ∼ 5 入院時血液検査所見: Na135, K3.2↓, Cl94↓, TP5.3↓, BUN28↑, CRE1.02, Ca7.4 ↓, IP2.3 ↓, Amylase33↓, GOT67↑,GPT24, CK996↑, glu-cose392 ↑, T-Bili3.8 ↑, Alb3.0 ↓ CHE86 ↓, CRP6.8, LDH471↑, WBC11.1↑, RBC2.74 ↓, Hb10.0↓, Ht28.7↓, Plt159。血液ガス分析 pH7.485, PCO235.1, PO259.9, BE2.9。 入院後経過:来院後直ちに頭部 CT 検査を施行 し,血腫の増大と右側脳室の圧排による狭小 第 28 回山梨医科大学 CPC 記録 日時:平成 11 年 7 月 7 日(水)午後 5 時 15 分∼ 6 時 45 分 場所:臨床講堂大講義室 司会:長沼博文助教授(脳神経外科学),加藤良平助教授(病理学 2)

急性硬膜下血腫術後に循環不全を契機として腎不全となり

死亡した 83 歳の男性例

要 旨:患者は 83 歳の男性で,意識障害を主訴として来院。頭部 CT で,右側硬膜下の血腫と右 側脳室の圧排による狭小化を認めたため,緊急大開頭血腫除去術が行われた。術後,遷延性の意 識障害と 37 度台の発熱を認めたが,回復傾向を示していた。入院後約 2 カ月で突然のショック状 態に陥り,その 10 日後に死亡した。剖検では,手術野反対側の左硬膜下水腫(血腫)とその圧 迫による左側鈎部の鈎ヘルニア,多発性の小脳梗塞を認めた。しかしながら,脳実質内には挫傷 や出血などはなく,これらの脳所見のみでショックや直接死因の説明は困難であった。最終的に ショックは急激な循環血液量の低下(hypovolemic shock)によるものであり,またうっ血水腫に よる呼吸不全が直接死因と考えられた。

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化が見られた。CT 後には意識レベルは JCS で 20,GCS で 8 点に低下し,右に大きい瞳 孔不同が出現した。受傷後 4 時間で緊急大開 頭血腫除去術を行った。 手術所見:頭蓋骨表面には pterion から頭頂部 に向かう線状骨折が存在した。血腫は硬膜下 に存在し,血腫量は最終の CT 所見よりもさ らに増大していた。血腫を除去すると中大脳 動脈皮質枝から動脈性出血が見られ,これが 出血源であった。術野の脳表には脳挫傷の所 見はなく,他に出血点は存在しなかった。髄 液は血性であった。 術後経過:術直後に 2 回の全身性けいれん発作 を生じた。けいれんに対しては,フェニトイ ン静注とフェニトイン・フェノバルビタール の経胃管投与を行った。術翌日の意識レベル は JCS で 200,GCS で E1V1M3 の 5 点であっ た。左上腕骨骨折に対しては,バンドにて体 幹に固定する措置をとった。術後フロセミ ド・メチルジゴキシンの内服投与を開始し, 水分出納を見ながら適宜フロセミドを静脈内 投与した。L-アスパラギン酸カリウムを投与 し,低カリウム血症を是正した。術後の高血 糖状態に対しては,速効型インスリンの皮下 投与を行った。10 月 15 日より経胃管栄養を 開始。意識障害は遷延したが,徐々に開眼時 間が多くなり,注視,わずかな発語も見られ るようになった。遷延性意識障害に対して 10 月 26 日より酒石酸プロチレリンを投与。 10 月 21 日より ALP の上昇あり,10 月 27 日 より抗けいれん剤をバルプロ酸ナトリウムに 変更。輸液は 11 月 5 日に終了し,以後は胃 管栄養で 900 KCal,1,500 ml 投与を行った。 11 月 19 日,心エコー検査で mild left ventric-ular hypertrophy,石灰化を伴った AS を指摘 された。術後より 37 度台の発熱が持続し, また血液ガス分析では慢性的に PaCO2が 50 前後であった。12 月 9 日早朝,突然血圧が 68/40 に低下。血圧は速やかに回復したが, 一時無尿となった。塩酸ドーパミン・フロセ ミドを使用し,尿量は徐々に回復したが,12 月 13 日頻脈,努力様呼吸となり気管内挿管。 17 日抜管。その後再び一日尿量が 400 ml 程 度に減少し,四肢浮腫の増強・腹水の貯留が 出現した。12 月 21 日朝より呼吸不全状態と なり,午後 5 時心停止,午後 7 時 17 分死亡 した。 血液検査所見の推移: 98.10.10 98.10.11 98.10.21 98.11.25 98.12.9 98.12.21 TP (g/dl) 5.3 4.8 5.3 5.1 5.0 5.7 Alb (g/dl) 3.0 2.5 2.2 1.9 1.6 1.6 CHE (IU/l) 86 74 60 71 72 43 ZTT (KU) 3.6 8.8 11.7 14.2 TTT (KU) 1.4 5.9 5.7 10.3 T-Bil (mg/dl) 3.8 4.0 1.7 0.6 1.2 1.7 ALP (IU/l) 1030 691 803 674 LAP (IU/l) 74 64 74 70 ÎGT (IU/l) 319 96 105 90 GOT (IU/l) 67 80 49 20 21 28 GPT (IU/l) 24 26 32 12 7 19 LDH (IU/l) 471 403 344 225 211 297 BUN (mg/dl) 28 28 23 15 44 76 CRE (mg/dl) 1.02 0.98 0.63 0.64 1.29 1.83 Na (mEq/l) 135 141 132 133 139 150 K (mEq/l) 3.2 3.0 4.3 2.7 2.8 3.5 Cl (mEq/l) 94 99 91 89 89 97 glu (mg/dl) 392 296 196 CRP (mg/dl) 6.8 7.6 8.1 4.1 7.6 13.7 WBC (103/Òl) 11.1 12.1 12.9 8.7 13.6 14.4 RBC (106/Òl) 2.74 3.13 3.05 3.03 2.66 2.82 Hb (g/dl) 10.0 11.0 10.8 9.5 8.0 8.6 Plt (103 /Òl) 159 164 304 193 257 140

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図 3. 当院搬送後,受傷後 2 時間で行われた頭 部単純 CT 撮影。高吸収域の拡大が認め られる。急性硬膜下血腫の増大があると 判断し,この後緊急にて開頭血腫除去術 が行われた。 図 4. 12 月 9 日,血圧低下後の胸部単純エッ クス線撮影正面像。座位撮影。右下肺野 にエックス線透過性の不良な部分が見ら れる。 図 1. 紹介医での左肩関節単純エックス線撮影。 左上腕骨近位部に骨折が見られる。 図 2. 紹介医で行われた頭部単純 CT 撮影。受 傷後 30 分。右前頭側頭頭頂部の頭蓋穹 隆部に三日月形の高吸収域が見られる。 急性硬膜下血腫と診断された。

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剖検目的: (1)12 月 9 日に急激に血圧が低下した原因は 何か。心筋梗塞や消化管出血などの原因疾患 が存在するか。AS の関与は推察できるか。 (2)血圧低下後の腎臓の状態はどうか。腎前性 腎不全としてよいか。 (3)術後慢性的に 37 度台の発熱があったが, 感染源が存在するか。 (4)術後慢性的な CO2貯留状態の原因は何か。 肺疾患が存在するか。 (5)硬膜下血腫除去後の脳の所見はどうか。他 に外傷性変化は存在するか。 (6)1992 年 10 月に診断された胃粘膜下腫瘍は 何か。 検査値分析 尾崎由基男教授(臨床検査医学) 98 年 10 月 10,11 日には D.Bil 1.9,I.Bil 1.7 と 両 種 の ビ リ ル ビ ン が 増 加 し て お り , ま た GOT80,GPT29 と GOT 有意にトランスアミ ナーゼが上昇している。また LDH も軽度増加 している。これは,溶血のパターンに類似する が,左上腕の広範な腫脹を伴う出血斑の部位に おける溶血を示すものかもしれない。同時に CPK もかなり高値を示していることは,この 外傷による筋肉組織の損傷も強いことを示して いる。 12 月 9 日には,CRE 1.29 BUN44(12/11 に は CRE 2.38 BUN68)であり,BUN/CRE が 20 を越えている。これは,腎前性の障害があるこ とを示唆するものであり,消化管出血,脱水等 を疑わせる。(BUN/CRE 比が 20 以下なら腎不 全は腎性であり,まず先に腎臓自体に異常が起 きたことを示す。)同時に,UA が 10.4 から 13.9 と増加しており,栄養不良の老人であるこ とも考慮すると,腎前性の腎不全をやはり肯定 するものである。 討論 山 弘道主任医長 (山梨県立中央病院脳神経外科) 臨床的経過から,脳挫傷のない急性硬膜外血 腫の経過に類似する急性硬膜下血腫で,急速に 悪化しており外科的治療が必要と判断される。 しかしながら,高齢者で合併症を有する場合, 経験上,予後は極めて不良であることも事実で ある。局部麻酔で手術が可能な慢性硬膜下血腫 では,高齢者でも予後は良好であることを考え ると,急性硬膜下血腫における急激な脳循環代 謝の変化及び全身麻酔が,予備能力に乏しい高 齢者の全身に多大な影響を及ぼしているものと 考えられる。これは頭部外傷に限らず,一般的 に高齢者の頭蓋内疾患の全身麻酔下手術に共通 する問題である。ちなみに,慢性硬膜下血腫で は 96 歳でも,元気に独歩退院する。更に,急 性硬膜下血腫の場合,脳損傷が全く無い症例は 例外的で,本例でも全身痙攣の発生や意識障害 が遷延していることから,画像上描出されない 脳損傷も考えられ,より一層治療を困難なもの にしていると思われる。 死亡直前の意識障害,血圧低下に関する脳ヘ 図 5. 12 月 21 日,呼吸不全状態に陥ったとき の頭部単純 CT 撮影。手術側と反対側の 前頭側頭頭頂部の頭蓋穹隆部に低吸収域 を認める。これは脳脊髄液よりはやや高 吸収であり,硬膜下水腫と考えられる。 脳実質の萎縮とそれに伴う脳室の拡大も 認められる。

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ルニアの可能性については,臨床的には否定的 である。脳ヘルニアの場合,いかに急激であっ ても不穏状態,瞳孔不同,除脳硬直や不規則呼 吸が先行することが多く,又,CT 上認められ た硬膜下水腫のみでは脳ヘルニアには至らない と考えられる。 本 CPC において,脳外科医として臨床的な 検査所見の読み方及び全身管理の重要性を改め て認識した。 病理所見と診断 中沢匡雄大学院生(病理学 2) <病理所見>(剖検番号 A-1287) 死後 14 時間 13 分 身長 156 cm,体重 50 kg,眼瞼結膜軽度黄 疸,四肢に浮腫,仙腰部に約 6 cm の褥瘡。 腹水 900 ml 淡黄色透明,胸水(左 150 ml, 右 2 0 0 m l い ず れ も 黄 色 透 明 ), 心 嚢 水 (50 ml 黄色) 01.脳(1,200 g) 右硬膜に約 10cm 長の手術瘢痕,左頭頂部 に 12 × 7 cm 大の慢性硬膜下血腫(内容液は 水様透明であったが,剖検時に破裂したため, 量は測定できなかった)。左の大脳基底核に 約 1 cm の陳旧性梗塞巣。左側の鉤部にテン ト切痕ヘルニア。小脳にクモ膜下血腫,多発 性の梗塞巣と全体に軟化。脳実質には出血や 挫傷はない。組織学的には,大脳皮質,脳幹 部,延髄にび慢性に海面状態と反応性のグリ オーシスを認めた。 図 6. 左硬膜には手術瘢痕,右硬膜下には薄い 線維性被膜で被われた水腫を認める。こ の水腫による圧排のため,右側には軽度 のテント切痕ヘルニアがみられ,さらに 小脳にはクモ膜下出血を伴っている。 図 7. 右下葉の気管支肺炎像。肺胞内に好中球 浸潤と浸出液がみられ,うっ血水腫を伴 っている。H.E 染色,200 倍。 図 8. 大動脈弁石灰化像。大動脈起始部の拡張, 左心室壁の肥厚がみられ,大動脈弁狭窄 症の所見である。

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02.心臓(重量 370 g) 大脳脈弁石灰化,大動脈弁狭窄(弁輪径 7.2 cm),大動脈起始部の拡張(径約 12 cm) と左室壁の肥厚(厚さ 17 mm)がみられ, これは大動脈弁狭窄症に一致する所見であ る。右室側壁の心膜は粗造(ビロード状)で あり,線維素性心外膜炎を認めた。左室後壁 の中隔寄りに線維化がみられた。 03.脈管系 大動脈,冠動脈,腎動脈その他全身の動脈 に高度の粥状硬化。 04.肺(左 370 g,右 580 g) 肉眼的には,右下葉に約 5 cm 大の巣状肺 炎と両側気管支粘膜に充血がみられた。組織 学的には,右葉の他に左葉にも軽度の気管支 肺炎,慢性気管炎また両側に軽度の肺気腫と うっ血水腫がみられた。 05.腎臓(左 165 g,右 170 g) 左腎盂に 1 cm 大の白色結節がみられ,こ れは腎盂原発の移行上皮癌であった。腫瘍は 一部髄質に浸潤しているが,転移巣はない。 左腎髄質に 8 mm 大の黄白色調の結節がみら れ,これは膿瘍であった。左腎皮質に 8 mm 大の梗塞巣。両側腎盂粘膜に充血があり,慢 性腎盂腎炎を認めた。 06.肝臓(900 g) 高度の線維化とうっ血。再生結節の形成は ない。 07.脾臓(120 g) 慢性うっ血。 08.胃・腸 前庭部に最大 12 mm 大のポリープが 5 個 みられ,組織学的には管状腺腫であった。上 行結腸に約 2 cm 大のポリープがみられ,組 織学的には腺癌であった。腫瘍の深達度は mp,転移巣はない。その他に最大 10 mm 大 のポリープがみられ,管状腺腫であった。 <病理診断> 01.右急性硬膜下血腫術後状態および左慢性硬 膜下血腫(左大脳基底核の梗塞,多発性小 脳梗塞,小脳くも膜下出血) 02.大動脈弁狭窄症(大動脈弁石灰化,限局性 線維素性心外膜炎,心筋線維化) 03.動脈硬化症 04.気管支肺炎およびうっ血水腫 05.糖尿病性腎糸球体硬化症 06.慢性腎盂腎炎および左腎膿瘍 07.肝線維症(日本住血吸虫症,うっ血) 08.左腎盂の移行上皮癌 09.上行結腸の腺癌+腺腫,胃の管状腺腫 10.慢性のうっ血脾 11.腔水症(腹水,胸水,心嚢水) 図 9. 肝の組織像。門脈域に著しい線維化と日 本住血吸虫の石灰化虫卵を認める(矢 印)。うっ血も強い。アザン染色,40 倍。 図 10.腎の組織像。糸球体は結節状を呈し,血 管基底膜には PAS 陽性の沈着物がみら れ,糖尿病性の糸球体硬化の所見である。 H.E 染色,400 倍。

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12.a)食道静脈叢の拡張とうっ血 12.b)脂肪腫(バウヒン弁近傍) 12.c)下垂体(0.6 g)ラトケ嚢胞と石灰化 12.d)精巣梗塞(大きさ約 4 mm) 12.e)甲状腺(16 g),副腎(左 8 g,右 7 g) 著変なし。 直接死因:呼吸不全 <考察> 患者は動脈硬化症,糖尿病,高血圧,大動脈 弁狭窄症等の多くの基礎疾患を有する高齢者で ある。外傷による右急性硬膜下血腫術後,意識 レベルなど経過は順調であったが,突然ショッ ク状態となり,その後ショック状態からは回復 したが,徐々に全身状態悪化し死亡した。左慢 性硬膜下血腫による同側のテント切痕ヘルニア を認めるが,経過からは直接死因とは考えにく い。長期臥床,低栄養状態に加えて大動脈弁狭 窄症,動脈硬化,糖尿病性の糸球体硬化症,肝 線維症がみられ,このため多臓器の予備能が低 下した状態であったと考えられる。さらに経過 中,腎膿瘍,気管支肺炎などの感染症を起こし, 呼吸機能・心機能・腎機能・肝機能が更に悪化 し,最終的には肺にうっ血水腫を生じ,呼吸不 全により死亡したと考えられた。 一時的なショックの原因としては,腎膿瘍, 気管支肺炎による septic shock,腹水・胸水貯 留による循環血流量の低下による hypovolemic shock が考えられる。CO2の持続的な上昇は, 肺気腫,うっ血性心不全が原因と考える。

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