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損 益 計 算 書 原 則 に つ

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(1)

l

損益計算の概念についての一考察!

企業会計制度の改善統亡乞目的として︑昭和二十四年七月に中間報告としての企業会計原則及び財務諸表準則が公表

されて以来︑我が国会計学者にょうて種々なる有益友論究が重ねられてきたのみでたく︑すでに証券取引委員会規則第

十八号﹁財務諸表等の用語様式及び作成方法に関する規則﹂︵昭和二五・九・二八︶及び同規則取扱要領︵昭和一一六・コ一

−一四︶によって法制化され︑叉新商法と改正法人税法の諸規定の上にも大きた影響を与えたのである︒然も企業会計

原則は︑その内容とする一般原則︑損益計算書原則及び貸借対照表原則にういて現在もなお多くの批判検討が加えられ

ているのであるが︑本稿においては損益計算書原則を中心として現在までに発表せられた諸学者の論説を参照しつつ若

干の考察を試みたいと思う︒

一般原則の土台の上に︑発生主義の

原則︑総掛主義の原則︑実現主義の原則及び費用収益対応の原則の四原則によって構成されるものであるとされる︒損 損益計算書原則は︑企業会計原則の起案者としての黒沢清教授の説明によれば︑

益計算の本質は︑期間損益の計算をなすととであり︑費用補償計算を通

b

て純利益︵純損失︶の確定計算をたすととで

ある︒即ち︑その期間の収益とその期間の費用と右対応せしめ︑収益をもって費用が補償されるととにようて純利益の確

定が可能とたるものであれJて︑損益計算は期間損益の発見を目的とするものであり︑内容的には費用補償計算と純利益

鼠益計算書原則にづいて

(2)

確定計算とをたすものである︒しかして損益計算書原則としての四原則は︑ζの費用補償計算に関する原別であるとい

うことができる︒然も費用補償計算は純利益確定計算の根底をたすものであり︑費用補償計算の要素であるところの収

益と費用との確認にづいて多くの論争を生みつつあるのが現状であるといえる︒

な治︑費用補償計算を損益計算の計算要素乃至その根底計算としたのは︑損益計算法による損益計算と︑財産計算法に

よる損益計算との相違点は︑具体的には費用補償計算をたすか否かの相違に基くものと考えたからである︒

﹁損益計算書の本質﹂︵会計︑五七巻二号︶なる論文において﹁近代会計における損益計算書の木質は︑

なる点に求めることができるであろうかo私見によれば︑とれを次のコ一点に要約することができると思うよと述べ

︒ ︒

Q Q Q Q O Q Q Q Q Q

られた後に﹁第一は一定期間における損益取引の総括的報告であるとと︒第二は期間的損益計算であるとと︒第一一一はQ

Q Q Q Q Q

当期の純利益の決定であるとと︒﹂とされたのである︒そしてさらに︑貸借対照表のみによる利益の決定は︑次の特

Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q

徴又は欠点をもっとして﹁︵イ︶損益取引を記録したいとと︒︵ロ︶剰余金取引を無視すること︒︵ハ︶資産負債の貸借

Q Q Q Q Q Q Q Q

Q Q Q Q

対照表価値の評価を基礎とするとと︒﹂をあげられ︑﹁近代企業会計における損益計算は一定の会計期間制︵﹀

22

2 T

ム ︵ リ

2 H S H

−ると継続事業制

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2 5

っ き

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一 守

口 ︶

とを基礎とした期間計算であることをその本

質とするよ

近代企業の本質は︑発生主義︑費用収益対応の原則等の諸原則を通じてのみ杷握し得るものとな

ったのであると論述されるのである︒林健一一教授は﹁期間損益と期間外損益﹂︵会計︑

損益計算の概念を確立するために︑利益を﹁企業の存続する金生涯に亙って生者y

いわゆる金利益︑或いは全部

利益というものと︑そうしてその金生涯を一定の期間単位に区切って計算された部分利益︑或いは期間利益﹂とに区別

金利益に重点を置く場合︑此の場合には期間利益の総計が必?金利益に等しくたるように

期間損益を考えるものであり︑第二の考え方は︑重点を期間利益に置き︑他の期間の計算からは独立的に︑その期間の

(3)

事業活動を正しく表現せんとする場合であうて︑期間利益の総和は必らヂしも金利益に一致するとは限らゑいものであ

るとされる︒そして期間外損益たる概念は第二の考え方から生守るのであるとされるのである︒さて︑費用補償計算友る

概念は︑黒沢教授の一不されるように︑損益取引の総括的記録としての収益によろ費用の補償関係を表示するものであり︑

叉期間収益による期間費用の補償計算であって︑かかる費用補償計算を通じて純利益の確定計算がなされるものである

とい多観点から概念規定を試みたのであるo叉林教授の述べられたように︑企業に発生する損益を︑企業損益︵同教授

のいわれる金利益乃至全部利益にあたる﹀と営業損益︵同教授のいわれる部分利益乃至期間利益にあたる﹀とに区別し

て︑営業損益は︑企業会計の目的を︑期間損益の発見︑期間的収益性の発見にあると考えるととによって︑期間制に基

く損益の確定計算であると考えるととができると思う︒従って︑企業損益は︑継続事業制に基︿損益であって︑原価計

算のようた給付単位計算に沿いてはその必要を認めざるものである︒即ち︑営業損益計算又は原価計算に沿いては︑期

間的又は給付単位別に︑費用又は原価としての費用補償計算が会とたわれるものであると理解するのである︒それは企

業の事業活動を︑資本の運営活動たりと考えるものであり︑収益的支出としての費用と︑資本的支出を収益的支出とし

て還元した費用︵減価償却費計算︶とを︑収益と対応せしめるととによって︑費用補償計算をおとたい︑投下資本の回

収計算を友さんとするものであると理解するのであるoかかる理解のもとに︑五日々は損益計算書原則としての発生主義

の原則︑費用収益の対応の原則及び剰余金の原則︵資本剰余金と利益剰余金︶について検討を加えてみたいと思う︒

1︶ 

Q Q Q Q  

黒沢清教授は︑損益計算書原則として︑発生主義の原則︑総則主義の原則︑実現主義の原則の関原則を挙げられるのであるが︑

山下勝治教授は︑発生主義の原則︑総摂主義の原則︑費用収溢照応の原則及び区分計算の原則の四原則︵上野︑大国記念論文集

﹁財務諸表論﹂同町教授橋﹁企業会計原則﹂批判︑二八百︶を挙げられるのでるる︒又山下教授は︑同教授磐﹁会計原則の理論﹂

第四章安本会計原則概観においても同一の立場をとられるのであるが︑費用収益対応の原則のかわりに昭応主義原則なる用語を

損益計算書原則について

(4)

l ¥  

使用されるのである︒山下教授は実現主義の原則を発生主義の皆同剣の限定原剣でるるとなして︑その独立牲を否定され︑炉恥即日除

には実現主義原則と発生主義原則とは別に契る原則ではないとされる︒

なお︑山下教授は︑企業会計原則の一示す各原則︵一般原則としての大原則﹁真実性︑豆演の簿記︑資本取引正損益取引との区

分︑継続性︑安全性乃釜保守主義︑問中一位﹂︑損益計算書原則としての四原郎及び貸借対照表原則・としての五原則﹁完全性︑明瞭

柱︑慨観性︑単一一性︑継続性﹂︶は︑側々の原則が平面的︑羅列的にとりあげられている結果として︑形式規律的原則と実質的原

則との混合をきたし︑会計原則は会計表示の形式を規律する原別であるかの観を呈しているといわれ︑実質的僚則としては︑一

般原則のうち資本取引と損益採引との区分原則及び安全性乃主保守主義原則を︑又損益計算書原則のうち発生主義の際則を去り

O Q Q D  

あげられるのである︒林健二教授は︑前掲論文集﹁財務諸表論﹂中の同教授稿﹁損接対応の原則﹂において︑対応と照応との用

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︒ ロ Z

z o − − ﹂

がこれにるたる︒﹁企業会計原則﹂がこれ長﹁照応﹂として﹁対応﹂の藷をさけた趣旨が︑Eこにあるかは切かで行いけれども︑

C︶において︑各収益羽目とそれに関連する費用情明日とを損益計算書に対応表示したければならないとして

︒ ︒

日明る所で︑対応表示の誌が用いられ︑﹁照応する﹂にあたる所が関連するの語で表現されて居る

ζ

とからみて︑同一語を用いると

とによりて生ずる誤解をさける意味が観駁されるとされるのでるる︒ハ2周知の如︿︑企業会計原則は一般原郎︑損益計算書僚則及び貸借対照表原則の理解のためには︑此等の原則の共通原則として

の一般原則の理解を必要とするのである︒一般原則についての理解のた必には︑多数の文献が発表されたのでるって︑筆者も当

宮大経済論集二券一号において﹁我が閣の企業会計原則にワいてl一般原則を中心として1﹂なる小文を記述しておるので参照

なお︑費用補償計算なる概念にづいては︑首相間経済論集二巻二号において﹁最近の減価償却問題﹂という仙刑務においても︑減

価償却費計算との関連において記述してあるので参照されたい︒

(5)

発生主義の原則

発生主義の原則を規定する損益計算書原則の一のA

は ︑

その支出及び収入に基いて計上

し︑その発生した期間に正しく割当てられるように処理し友ければたらたい︒未実現利益は原則として︑当期の損益計

算に計上しては友らたい︒前梯費用及び前受収益は︑とれを当期の損益計算から除去し︑未掛費用は当期の損益計算書

に計上したければたらたい︒未収々益は︑これを貸借対照表資産の部に記載したときは︑とれを当期の損益計算に計上

此の規定によって知られるように︑期間損益の算定を発生主義に求めんとするものであり︑そ

れは費用と収益とを当該期聞に配分しようとするものである︒かかる方法によって当期の純利益叉は当損失の算定をし

ょうと女るものであって︑同原則の一に︑一ー損益計算書は︑企業の経営成績を明らかにするため︑当該期間に発生した

すべての収益とこれに照応するすべての費用とを記載し︑当期純利益又は当期純損失を表示し友ければたちたいよと

規定するのである︒損益計算の目的を達成するためには︑費用と収益との確認をたし︑とれを分類集計して︑当該期間

の費用と収益とを対応せしめる乙とが必要である︒費用と収益との確認をたすためには︑とれを支出及び収入に基いて

計上することが必要であうて︑それはその発生した期間は正しく割当てられるように処現したければたら友いのである︒

前梯費用と前受収益との排除をなし︑未擁費用と未収々益との計上を必要とする純白である︒ただ未収々溢については

保守主義の原則に基いて︑その計上については企業の自由としているのである︒それは︑未収々溢は当該期間の収誰と

して︑すでに発生しておるのであるが︑保守主義の立場からとれを計上したいζとが健全であると考えるのである︒然

るに︑未実現収益については︑原則として当期の損益計算から除去すべきととを規定しているのであって︑当期の収益

は︑当期において発生したものであり︑実現したものでたけねば友らぬとするのである︒向原則のコ一のBは︑﹁売上高

は︑実現主義の原則に従ぃ︑商品の販売又は役務の給付によって実現したものに限る︒未だ売却済とたらたい積送品︑

損益計算書原則について

(6)

宮大経済論倍増

試用販売︑割賦販売等に関する未実現収益は︑原則として︑当期の損益に算入してはたらない︒但し長期未完成請負工

事等にうき適正に利益を見積り計上することができる︒﹂として︑実現主義にういて一層詳細な規定を設けているので

さて︑損益計算の目的を達成するためには︑単に収入と支出に基いて損益を算定するととろの現金主義によらたいで︑

発生主義に基いて損益の計上をたすととは当然のととである︒勿論現金の収支のあった期間に費用と収益が確認される

たらば︑現金主義と発生主義との一致をみるのであるが︑近代企業においては︑かかる場合はむしろ例外に属するので

あって︑商取引の復雑性と︑その範囲の拡大︑又近代的ヱ場制工業の発展は︑現金主義による期間損益の算定を不可能

たらしめたのである︒しかし発生主義は︑継続事業であるととろの企業について︑期間損益を算定せんがために︑費用

と収益とを確認しようとする原則であうて︑その質的量的た限定について多くの問題をもっているのである︒減価償却

費の算定︑貸倒引当金の設定等にういては多分に悉意的た要素を合むことは周知の如くである︒例えば︑商品の販売に

ついて︑収益の確認を代金の回収時とみるのが普通であって︑現金収入又は売掛金乃至受取手形の受領をもって確認する

のである︒然るに現今の如き金融逼塞の時代には︑売掛金乃至受取手形の回収は遅延をきたし︑費倒引当金の設定額が

不確実なものとたる結果として︑期間損益を不確実なものとする︒実現主義の原則は︑積送品︑試用販売︑割賦販売等

について︑未だ売却済にたらたい時は︑原則として︑とれを未実甥収益として当期の損益に算入してはならたいと規定

する︒積送品及び試用販売に関しては︑割合に明瞭であるが︑割賦販売については多少の問題がある︒林健二教授が︑

同教授稿﹁割賦販売の損益計算﹂︵会計︑五七巻三号︶において論述される如く︑叉多くの学者によっても指摘されて

いるのであるが︑割賦販売による収益の確認についてコ一うの見解がある︒第一一の見解は﹁割賦販売における販売の事実

を販売品の引渡によれJて確認し︑その販売の収益金部をその時に実現したとするものである︒﹂

(7)

おいては︑販売品の引渡と同時に代金の一部が割賦金として支梯われ︑第一回の割賦金支掛の事実をもって割賦販売の

事実が確認されるとたすものである︒即ち︑此の見解は︑残余の割賦金を売掛金と同一であると考え︑ただ代金の支梯方

法が異るにすぎたいとするものである︒同教授は︑此の見解を批判して﹁割賦金の第一回支梯を以て収益が実現すると

解する場合には︑将来の割賦金回収に伴う費用及び損失を計上しなければならたいのであって︑これを無視すれば︑こ

の見解は正当たものとは云えたい︒ではかかる損費を計上すればこの見解は是認されるか︒然りであるよとされるの

第二の見解は﹁最後の割賦金支捕のときに︑収益が実現するとするものであるよ此の見解は完全な保守主義

の立場であって︑割賦金の回収不能による損失の発生を除去せんとすろものである︒同教授は︑此の見解に批判を抑え

この見解では計算の正確性が確実性のたて﹁損益の期間限定の見地からして︑好ましからね見解と云わねばたらない︒

めにあまりに犠性にされすぎているよとされ︑現在の会計原則及び実践は現金主義をはたれて︑発生主義に移行して

いるのであって︑此の場合のみを例外的に取扱う説由は乏しいのであるとされる︒第三の見解は﹁各割賦金の支携によ

って︑割賦販売の収益が部分的に実現するとするのである︒﹂支梯割賦金の割賦総額に占める割合だけ割賦総収益の部

分的た実現ム﹂考えるものである︒即ち︑割賦金支挽をもって部分的に販売が実現したとみるものである︒たお︑同教授は︑

第三の見解を実現主義とは理解せられや

y

︑長期未完成請負工事の場合を援用されて︑此の場合は工事の部分的た﹁完成

の事実﹂をもって︑割賦販売の部分的な一販売の事実﹂にh引きかえたものであうて︑ともに発生主義にその根源を求め

ることができるのである︒即ち︑工事完成の程度にあたるものが︑各々の割賦金の割賦金総頗に対する割合である︒割

賦販売は割賦金の支挽に応じてその販売が完成すると考えられ︑割賦金の支挽は︑完成程度を測定する基準とされ・るの

一般に考えられている如

C

︑長期未完成請負工事における適正たる見積利益の計

上は︑実現主義の例外であると単純に川崎解するものでなく︑収益の実現を物川崎的事実によって決定しようとするもので であるとされるのである︒同教授は︑

損益計算書原射についず

(8)

ま 五

あると解され︑割賦販売における第一ニの見解は︑同一の見地からそれを経済的貨弊表現的事実によって決定しようとす

2

U 

一見︑現金主義によっているようであるが︑それは損益の発生主義に基いているものであるとされ

さて︑期間損益の確認の方法として︑現金主義︑発生主義及び実現主義の一三原則があり︑現金収支に基いて損益を確

認する方法は︑近代企業については︑その適応性を喪失し︑現金収支に基いて費用と収益を算定せんとする発生主義が︑

損益の確認の方法として︑なお︑収益に勺いては実現主義が規定せられるととになうたのであるが︑発生主義及び実現

主義の原則が果して期間損益の確認の方法として︑その正確性と確実性とを期待たし得るやについては多一くの問題があ

る︒ただ山下勝治教技︵同教授著一会計原則の理論﹂第六章︶も明示せられるが如く︑叉黒沢清教授が論証せられた如

く︑近代企業会計における損益計算は︑一定の会計期間制と継続事業制とを基礎とした期間計算であって︑絶対的に真

実なる損益の発見は困難であるが︑相対的な意味において発生主義が費用と収益との確認の原則として望ましい原別で

1u 小高泰雄教授は︑同教授一隅﹁実現主義と発生主義に関する一考案﹂︵上回︑太田記念論文集﹁財務諸表論﹂︶において︑売掛金︑

受取手形は︑その他の資産と異なってコエト化せざる帽明白であり︑又此等の受取勘定は︑禾実現副判益計上の根源となるものであ

るとして︑その比率の増大化学一実証的に説明し︑期間計算・としての剥益計算を不自由するものであるとされる︒

近沢弘治教授も︶同教授稿﹁現金主義会計と発生主義会計の現実的意義について﹂︵産業経理︑一O巻三号︶において︑同一趣

旨の見解を示されている︒即ち︑実現主義は商品を売ったとき又は役務を給付したときに利益があったものと見るものであり︑今

d︑現金主義でなくて実務主義が採られるのであるが︑実際に商品を売却したときに和溢があったものとして課税されると

きは︑現金の回収が数ケ足遅延するのが普透であり︑ために業者は時間的ずれがあるので納税上の苦悩を相当深刻に受けるので︑

何等かの対策を要するとされる︒

(9)

2︶ 林健二教授は︑さらに産業経理一O券四号において︑﹁割賦販売の会計処週﹂なる論文を発表されて︑計算例を用いて一一一つの見

3︶  解につきその会計処理法を説明されている︒

木村和三郎教授は︑同教授稿﹁発生主義会計﹂︵上回︑太田記念論文集﹁財務部開表品川﹂︶において︑期間損益計算における発生

主義会計の生成と発展の過程︑非営利会計の営利会計化︑発生主義会計化への必然性を論証された後に︑さらに発生主義会計の

現実形怒とその不正確化︑否定化の状議を指摘されるo同教授の言われる如く︑厳密な発生主義会計が存在したいとしても︑相

対的に是認せられる発生主義の存在はこれを否定することができないのでなかろうかc期間損設計算の本質である継続事業制は︑

臨時的偶発的損益の繰延を︑開業費︑創業費︑開発費等の償却計算︵繰延計算︶を是認する︒パなお︑此等の繰延勘定については︑

その繰延ないし償却の是非について次に符び論証してみたいC︶たどしかし損設計算書原則における営業損設計算に問附しては発

生主義の原則別が尊守されているのであり︑企業損益︵純益︑剰余金︶の計算においては教授の論証されるが如︿︑刻設の平均化︑

割当の平均化の目的から︑発生主義会計の否問がなされていると思われるのである︒

費用収益対応の原則

損益計算書原則の一は﹁当該期間に発生したすべの収益と之に照応するすべての費用とを記載し︑当期純利益︵叉は

当期純損失︶を表示したければたらたいよと規定し︑さ内Jに同原則の一のC

て分類し︑各収益項目とそれに関連する費用項目とを損益計算書に対応表示したければたらたい︒﹂と規定する︒期間損

益計算を確定たすためには︑純利益の算定をなすため︑一定期間の収益からその収益を創出するために費消された費用

を控除し︑利益が発生した源泉である収益と費用とが正確に叉確実に表示されねばたらたいのである︒これが費用収益対

照の原別である︒たお︑此の原則を形式的に規定したものが区分計算の原別であって︑同原則の一一と︑そのA

B

﹁損益計算書は少くとも営業損益計算と純損益計算とに区分し友ければたらない︒A営業損益算計の区分は︑当該企業

の主たる営業活動より生やyる収益及び費用を記載して︑営業利益を計算する︒二つ以上?営業を目的とする企業にあり

損益計算書原則について

E

(10)

皆同大経済論集

ては︑その費用主収益を営業別に細分して記載する

OB

純損益計算の区分には︑利息割引料︑有価証券売却損益之の他

主たる営業活動以外の原因より生守る損益を記載する︒﹂と規定しているのである︒費用収益対応の原則は︑費用と収

益とをその夫々の発生源泉に従うて分類し︑各収益項目とそれに関連する費用項目とを対応表示するととを求めるので

ある︒元来費用と収益との対応表示にはごうの方法があうて︑その第一・の方法は?まアその期聞に発生した費用を確認

し︑これに対応する収益を表示するものであり︑その第二の方法は︑その期間における収益を確認した後に︑これに対

応ずる費用を表示するものである︒第一の期間費用の確認を先行せしめる方法は︑従来の期間損益計算百方法であると

考える︒即ち︑総ての費用はその発生川町由の如何を問わすこれをその期間の費用として計上し︑とれをその期聞に発生

した収益をもって補償せんとする方法である︒第二の期間収益の確認を先行せしめ︑しかる後に︑とれに関連する費用

を計上する方法は︑個別的期間損益計算の方法であれJて︑収益と費用との問には直接的関連を有するものである︒かか

る考え方は︑単に期間費用の計算のみでは達成されるものではなく︑費用の発生源泉に従って︑費用の分類をなすのみ

で友く︑企業の経営活動に従って︑費用の内部移動を追及し︑これを再集計せねばなら友いととにたる︒即ち︑今日の会

計期間制確立以前の個別損益計算の方法によらねばならない︒それは収益と原価との対応表示となるのである︒原価計

算制度の発展は︑個別原価計算より綜合原価計算へ︐

I C

︑その計算形態を変化せしめつつあり︑近代企業会計における特徴

である固定資産の増大傾向は︑期間計算を通ずる綜合的給付単位計算とたりつつある︒従って個別的期間損益計算とし

ての費用収益対応の原則と一致するのである︒ただしかし︑近代的工場制生産を基本とする企業以外において︑果してか

かる計算方法を採用する実益如何というととが問題とたる︒又損益計算書の作成の原則としての必要性如何というとと

が問題となる︒現段階においては︑経営計算制度の発達も充分でたく︑予算統制︑経営比較等の諾計算制度の確立をま︒

て初めてその成果が期待できるのである︒従って費用収益の対応友る観念は︑具体的には期間損益と期間外損益との区

(11)

分︑営業損益と企業損益との区分︑即ち︑ 1区分計算の原則との関連において理解されねば友らたい︒かくの如く潤解

するととは︑本質的た意味において収益項目とそれに関連する費用項目とを対応表示することを意味するのみでたく︑形

式的に同一期間内に発生した収益項目と費用項目とを︑区分計算の立場からその両項目の関連を求めて対応表示すると

とになる︒即ち︑営業活動関係の損益項目と︑営業以外の財政的金融的関係の損益項目とに区分し︑さらに期間的限定

をたし得ない損益項目を剰余金計算書に表示することにたふせ

1︶ 山下勝治教授は︑同教授著﹁会計原則の潔論﹂第七章費用以益照応前回則とその限界l期間損益計算の際則l︵企業会計︑二券

七号においても同一論題にて論ぜられる︶において︑詳細なる見解を発表されて︑今日の企業銭設計算は原則として期間的稔括

的損益計算制度を採るのであり︑費用収益照応原則は期間的照応原則である結果︑それは厳密な意味での費用収益の倒別的照応

を不可能ならしめ︑ここに一つの限界があり︑又期間損益の杷憶には不確実性を伴うのであるが︑区分計算一原則と結びつけるこ

とに主り︑費用収益照応原則はその生きる途を発見しているのであるとされる︒

呑場嘉一郎教授は︑同教授稿﹁宰用原則について﹂︵上野︑太田記念論文集﹁財務諸表論﹂﹀において︑発生主義︑費用収益対

応の原則︑原価割分の原則及び総額主義を︑﹁費用原則﹂に該当する原別であるとされ︑対応原則における費用収益の対応は︑

収益の確定によってのみ費用の確定をみるのである︒その他に生産主義︑発生主義︑負担力主義︑保守主義等の採用又は適用さ

れる場合もあるが︑根本的には︑実現主義による収益の確認と︑それに対応する費用の算定︑間州ち原価回分を要するものである

−とされる︒同氏の論出日は︑収益と原価との対応原則の説明であるo

飯野利夫教授は︑同教授橋﹁費用回分の二形態﹂︵前掲記念論文集︶において︑費用問分には過去︑現在︑未来の三次元に関連

せしめるものと︑たんに現在と将来のみに限るものとの二つの形態があることを論証され︑現実的要請としては︑対応原則︑区

分計算原則に基く損益計算と剰余金計算との区分表一訴は実益に乏しいものであるとされるoそれは企業損益即ち継続事業として

の損議表一示に重点を置くべきであるとの主張である︒しかし区分表示による実際界の教育指導こそ今後に諜せられた命題である

損益計算書原則について

(12)

骨前大経済論集

林健二教授は︑同教授橋﹁損益対応の原則﹂︵前掲記念論文集︶において︑発生主義の必要性を︑損益の計算という観点から論

述され︑対応の原則は︑収益の確認とそれに関連する費用の計上を白的とするものであり︑豆確性と確実性との関連につき︑特

に費用の確認について︑その期間損費と期間外損費との区別は︑そのE常性あ型宇否やの問題であるとされる︒なお︑教授の基

本的考え方は前掲﹁期間損益と期間外損溢﹂なる論文に明瞭に論証されている︒

井上達雄教授は︑同教授橋﹁費用収益対応の原則について﹂︵前掲記念論文集︶において︑費用の会計は﹁1費用は発生時に把

獲され︑これを分類し記録する︒2経済活動の条件に従い費用を分析し再分類する

0

費用を収授に割当てる︒﹂とであり︑叉

ζ

3

対応の原則は費用と資産とを区別する基準であるとされて︑営業外損益の区分計算試案を一訴されるo

阪本安一教授は︑問教授橋﹁収益把憶の基準﹂︵産業経理一O巻一二号︑一一巻二号︶﹁費用収益対応の原則﹂ハ会計︑五九巻五

号︶において︑損益計算を経営答理の補助的手段として耀解し︑かかる観点から推論される︒収益際郎として︑発生主義を生産

主義と現解し︑実現主義を販売主義と現解し︑区分計算の原則をもって対応原則の本質的理解なれ少とされるのでるる︒

西垣皆同治教授は︑同教授橋一.対応の原則について﹂︵産業経週二一巻一号︶において︑費用は収設の原価であるとされ︑対応

の原則は貸借対照表にも存在するとしてその適用範囲の拡張解釈をされ︑叉費用に対応する収益を計上する相場合として長期請負

工事を引例される︒そして結論として経営経済遜程に発生する費用は常に収益の巾に推積され︑収益の原価を構成する︒即ち︑収

益はすでに発生しておる場合でも経営経済過程においては︑費用と同一金額で表示され︑収益は販完によって実現するとされるo

太田哲三教授は︑同教授橋﹁売上高の決定﹂︵企業会計︑二巻一一一号︶において︑収益の確認の原則として実現主義︑即ち売上高

の決定の困難性につき各種の相場合につき具体問題をとりあげ検討される︒

2区分計算の立場から︑純損益計算の区分において︑利息︑割引料︑有価証券売却損益その他主たる営業活動以外の原因より生

ずる損溢を記載するととを規定するのであるが︑それは営業損益計算におけるような︑費用と収溢との直接的な発生源泉別に上る

分類と関連性とを保持することが悶難ではあるが︑それは期間的限定が可能な項目でなけねばならないと思うo営業外貌訴をも

って︑財政的金融的関係の損益市明白であるといわれるが︑それはあくまで期間損益としての性格をもたねばならないのであって︑

(13)

かかる期間損益的性絡をもたない裏目は︑期間外損益︑即ち利治剰余金計算書に計上されねばならない︒かかる観点から各項目

の内容を検討してみると︑有価証券売却損益は︑むしろ利治剰余金計算書に計上されるのが妥当でなかろうか︒同定資産売却損

益は︑償却済資産の売却損益であると考えるのが普通であり︑耐周年数と残存価額とが︑推定計算に基いているので︑売却損益は︑

過去の期間における償却費計算の修正損諮であると考えるべきであり︑これを期間外損益として︑利益剰余金計算書に計上表示

するのである︒有価証券にづいても︑投資目的をもって所有する有価一証券は︑取得原価をもって計上することが妥当であるとさ

れ︑その宛却損益は︑期間損設とは関連をもたないと考え︑過去の期間に発生した損益の実現とみるべきである︒又一時所有の

目的をもって所有する有価証券についても︑売却損益の実現は︑期間的限定が基本となっている主考えられない︒それは単なる

偶発的実現である︒若しそうであれば︑とれを期間外損益として処理すべ舎である︒本質的には期間的限定をもたない売却損益

を︑強益計算書原則は︑形式的に発生期間の期間損設であるとして︑純損益計算の区分に営業外損益として計上表示することを規

定するのでるる︒勿論企業がその保有する有価証券について︑毎期間定期的に再評価して︑その売却損拾を推定するならば︑そ

の売却損益は期間損益たる性絡をもつことになる︒此の揚合には︑再評価損益をもって売却損益と考えるのであるo禁し持評価

損益をもって鷲却損益に代替することを認めないたらば︑即ち︑実際の売却損益のみを認めることにhuれば︑その性柊は︑形式

的に期間損益であっても︑その本質は期間外損益であるo投資有価証券については︑原価表示を原則とするので︑かかる方法に

よる期間損益の計上は禁ぜられているので︑此の方法ば一時所有の有価証券についてのみ妥当するのである︒従って有価証券の

売却損益を期間外損益として利益剰余金計算書に計上表示することが︑より適正なる処理方法であり︑論埋的であるといわざる

を符ないのである︒

剰余金の原則

剰余金の原則は︑企業会計原則における最も特異たる原別であって︑我が国の会計実践上金く従前には認識され友かっ

た原別であるとしてその本質解明のために多くの論述がたされている︒剰余金の原則は︑まやy

引と損益取引とを明瞭に区分し︑特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはたらない︒﹂と規定する︒即ち︑剰余金の概

損益計算書原則について

(14)

互 主 A 

念を把握するためには︑資本取引と損益取引との区別を明瞭になすべきととを述べているのである︒さらに損益計算書

﹁剰余金項目﹂として﹁剰余金は毎期の純利益の留保額から成る利益剰余金と︑毎期の純利益以外の源泉

から生ヂる剰余から成る資本剰余金とに区分しなければたらたい︒正当た理由がなければ︑資木剰余金を利益剰余金に

直接又は間接に振替えてはたらたい︒﹂

さらにその正当の理由として﹁利益剰余金を以て欠損を境

摘し得ないときは︑資本剰余金を以てその填補に充てるととができる︒﹂とする︒

向原閣の七は﹁剰余金計算書

は︑利益・剰余金計算書と資本剰余金計算書に区分し︑それぞれの剰余金の変動を記載するものとするよのである︒

に利益剰余金主資本剰余金との具体的内容について検討を試みるととにしたい︒

損益計算の目的は︑企業損益と営業損益との算定にあるととは既に述べた通りであり︑営業損益は期間

損益の算定を目的とゑし︑企業損益は期間損益のみでたく︑期間外損益をもその算定の目的とするものである︒利益剰余

金計算書は︑損益計算書原則における区分計算の原則に従い︑期間損益の算定を放す損益計算書との関連に基いて期間外

損益の算定をたすものである︒即ち損控計算書は︑企業の経営成績を明らかにするため︑当該期聞に発生したすべての

収益と︑之に照応するすべての費用とを記載し︑当期純利益︵又は純損失︶を表示するととを目的とするのであり︑利

益剰余金計算書は﹁前期末処分利益剰余金から前期剰余金処分額を控除し︑とれに前期以前の損益計算における過不足

額の修正記入と当期の閏定資産の売却損益等を加減して繰越利益剰余金期末残高を算定し︑とれに当期の純利益を加え

て当期末処分利益剰余金を表示する︒前期から欠損金の繰越された場合にはこれを当期の純利益から差引き︑当期純損

失が発生した場合には繰越利益剰余金期末残高から控除する︒﹂︵同原則の七のAζとが目的であるとされるのである︒

損益計算書と利益剰余金計算書との区分にういて林健一一教授の所説を再び援用すれば︑従来の全部利益計算の手段とし

ての部分利益計算を目的とする損益計算書を作成するのではゑ︿︑損益計算書自体の計算的独立性を保持せしめるとと

(15)

が目的である︒即ち︑全部利益の期間配分の手段としての損益計算書ではたく︑部分利益に計算の重点をおき︑期間利益

計算に計算的独立性を与えようという目的をもうて作成される損益計算書である︒その結果︑部分利益としての期間利

益と全部利益とは︑必?しも一致したいととにたるが︑此の不一致を来す原因である期間外損益を利益剰余金計算書一で

算定するのであるとされるのであるo

同教授の論説は全く明確である︒損益計算書は期間損益の算定を目的とするものであり︑正常たる損益の発見を左す

ととである︒即ち︑営業損益の発見をなすととであり︑期間収益による期間費用の梢償計算を放すととであり︑かかる補

償計算を通じて純利益の確定計算をたすととである︒然も企業会計は︑会計期間制と継続事業制とを基礎とした期間計

算であるととを損益計算の本質として要請するのであるから︑継続事業制に基いた期間外損益の計算を利議剰余金計算

書によって達成するのである︒即ち企業損益の発見である︒かくて正常たろ費用楠償計算は営業損益計算にょうて︑又

五常たらざる費用補償計算は企業損益計算にょうで達成されるのである︒損益計算は費用補償計算を通じての価値回収

計算と︑余剰価値の獲得計算︑即ち純利益確定計算を目的とする︒ととに純利益確定計算とは︑営業損益及び企業損益の

確定計算を指称するのである︒或る論者は期間損益計算上の費用は目的を有する経済価値の犠牲であり︑それは経済価

値の費消であると考えるが︑臨時的偶発的損失は単純たる損失であると考える︒勿論期間損益の対象とたる費用は︑収益

獲得のための経済価値の費消であり︑新たたる経済価値の獲得のための経済価値の犠牲である︒臨時的偶発的損失は収

益との関連における経捺価値の費消ではたい︒しかしそれは単純たる経済価値の喪失ではたく︑企業経営上巳むを得ざ

る損失であって︑期間損益計算により算定された純利益をもって補償さるべき性質を有する損失である︒従うて費用具﹂

損失との区別は︑営業収益にようで補償されるか︑企業収益によって補償されるかの区別によるものである︒かかるご

うの費用補償計算を通じて初めて価値回収計算が行われ︑投下資本の回収が可能と友るのである︒叉かくて営業損益及

損益計算書原則にづいて

7 1

(16)

〆、

び企業損益の確定計算が可能となるのである︒たお︑利益剰余金として計上される項目として︑貸方に固定資産売却益

及び前期損益の修正益が︑借方に固定資産売却損及び前期損益の修正損がある︒前期損益の修正損益は︑期間損益計算で

ある営業損益からは除外されるが︑企業損益の計算上においては収益又は費用を構成するものであり︑又固定資産売却損

益も︑期間損益の計算から除外せられるが企業損益の計算対象とたる︒即ちそれは過去における損益の修正であるえ考

えられるからである︒林健二教授は前掲論文において︑期間外損益として︑株式会社の設立費︑創業費及び株式発行費

を列挙されるのである︒その期間外損益たるととはその性質から当然であると考えられるのであって︑財務諸表準則に

ねける損益計算書項目としての創業費償却の計上は妥当でたいと思凡な

損益計算書原則の七のBは﹁資本剰余金計算書は︑前期繰越資本剰余金に当期における株式発行差金︑

資本梯込剰余金︑減資差益︑合併差益︑回定資産評価益等その他の資本剰余金増加高を加え︑当期の減資差損︑合併

差損︑国定資産評価損等の資本剰余金の減少高並びに正当の処割方法による処分繭を控除して次期繰越資本剰余金を表

ζの場合の増減計算は︑原則として︑剰余金の項目別に行うものとする︒﹂

又貸借対照

は﹁資本剰余金は︑株式発行割増金︑無額面株式梯込剰余金その他の資本剰余金に区別して表示する︒

B

株式発行一割増金︑梯込剰余金を法定準備金に繰入れたときは︑この法定準備金は︑利益留保による法定準備金と区別し

て資本剰余金の区分に計上するよと規定するのである︒

資本剰余金は資本取引の結果発生するものとされる︒そζで資本取引とは如何たる取引を意味するかが問題とたる︒

一般的には資本取引は投下資本の増減に関する取引であるといい得るのであるが︑その具体的内容については必守しも

明瞭ではたいので多くの学者の論争の焦点とたっている︒損益計算書原則は此の点に関して︑毎期の純利益︒留保から

成る利益剰余金と︑毎期の純利益以外の源泉から生守る剰余から成る資本剰余金とを区分するととを規定する︒ただ兵

(17)

体的規定において︑株式発行差金︑資本梯込剰余金︑減資差益︑合併差益︑間定資産評価益等が資本期余金を構成する

ものであるとされる︒

此等五項目のうち特に間定資産評価損益にういては︑固定資産売却損益を利益剰余金に計上たすととを要請する規定

との関聯において問題がある︒それは同じく回定資産に関する差損益でありたがら評価損益と売却損益去の取扱の相

違は︑その本質的た性質の相違に基くものであろうか︒又は単たる取扱上の便宜に基くものであろうかとの疑問であ

る︒評価損益は未実現損益であり︑売却損益は実現損益である︒従円Jて評価損益は資本剰余金に︑売却損益は利益荊余

金に計上表示すべしとの見解があるが︑山下勝治教授はその論拠極めて薄弱たりとされる︒そして評価損益は︑資本評

価のための資本価値修正の手段としての固定資産価値の修正損益であり︑かく刊解することにより資太iの増減取引とし

て規定する立場が妥当とたり正常化されるのであるとされる︒しかし一般に多くの学者は︑評価損益をもって︑資本剰

余金としては異質的な存在であり︑未実現損益にして未確定なものであるから処分の対象とせ?︑資本充実の原則にし

たがって資本剰余金に算入するのであるとされる︒又有価証券の評価損益と売却損益との場合に比較されるととがある︒

即ち︑有価証券の売却損益は営業舛損益に計上するととが規定されているが︑評価損益については何等の規定をもたた

ぃ︒しかし長期所有の目的以上の一時所有の有価証券の評価損益は営業外損益に計上表示するととが至当であろう︒そ

の理由は市場性ある有価証券は︑評価損益の売却損益への転化は容易であり︑両者の区分計上の実益はたいのであるが

固定資産は売却を目的とせヂ換貨困難なるために別途の計上表示をなすととに根拠があるとされる︒

さて︑企業会計原則は取得原価主義をもうてその根L医とする︒又我が国商法においても原価主義をその基本とする︒

Jて実践原則則としての会計原則における固定資産の再評価は異例なことに属するのであって︑企業の立場からする任

意た再評価を是認するものでなく︑法的根拠に基く再評価が認められるのであり︑それは資木価値の修正を意図するも

損益計算書原則について

. . . . . . .  

J

(18)

のである︒従って評価損益を資本剰余金に計上して任意の処分を禁止し︑売却損益のみを利益剰余金に計上表示するζ

とを規定するのであり︑それは過去の減価償却の修正︑即ち過去の損益の修正のためであると考えられる︒国定資産は︑

...... 

d

その取得原価を基準として減価償却計算を実施するのであるが︑耐用年数及び残存価額め決定は会く悉意的推定的計算

に基く結果として当然のととであると思う︒

次に株式発行差金︑資本掛込剰余金︑減資差益︑合併差益等にづいては︑その資本剰余金であるととについて多くの反

対論をみしないのである︒即ち︑株式発行差金は有額商株式の発行の際・に生歩る額面超過金であり︑梯込剰余金は無額面株

式の発行に際して生ヂる梯込金一と資本金繰入額との超過差金であって︑何れも梯込資本の一一部であり︑資本剰余金に計

上表示するととに異論が友いのである︒叉減資差金の生ヂる通常の例は︑誠資方法として株式の買入消却をたす場合で

あり︑買入価翻が額商以下の時は誠資差益を︑額面以上の場合は減資差損を生?るのであって︑それは減資たる資本取

引の結呆として発生するものであるとされる︒最後に合併差金は︑被合併会社に与えられる合併会社の株式舗面又は資

本金と友るべき金額が︑被合併会社の正味財産額以下の場合に発生するのであって︑その本質は︑新株発行の際の株式

発行差金と同様である考えられ︑資本取引の結果発生するとされる︒

1

︶山下勝治教授

d前掲﹁会計原則の理論﹂第八章利益鶏余金の理論において林健二教授の論文を批判されて次の如︿述べておら

れる︒即ち﹁この問題は実は︑期間損益︑期間外損益と昔一うが如き形式論的立場からしてのみ︑之を解くことは必ずしも十分で

はな︿︑反って期間損益︑期間外損益を区別するメルクマールを求め︑そのメルクマールとの関連に於て之を考察する必要があ

る︒﹂とされ︑それは期間そのものにとらわれることなく︑損益計算書の課題を開明確にすることにあるのであって︑此の損益計算

書の課題に副い符ない損益項目が︑利益剰余金計算書項目に便宜上計上されるのでるるとさbる︒そして同教授は︑損益計算書

に当期純利益を計算表示することが強き経済的要請でるり︑間当可能向利益計算のために利益剰余金計算書が︑当期純利益計算

のために損益計算書が用意されるのであり︑今日の株主乃重一般投資家にとっては︑当期純剥益の計算表示がより以とに重大な

(19)

る関心事であるとされる︒ただここに問題となるは︑米国においてさいもむしろ実際的要請としては企業損益の一括表示が要望

されている点であるo特に我が国においては︑今日の株主乃至一般投資家として実際的要請としてその上うな要望をなすや否や

の点である︒勿論企業会計原則は︑我が国の実践的企業会計の中から基準を求めたのでないので︑教育指導的意味に理解するな

f2

︶  らば教授の論説の如くである︒

山下勝治教授は前掲努童日hhおいて︑創業費及び株式発行費はともに︑企業の創設及び増資に伴う不可避的な費用でるり︑目的

活動に伴い必然的に発生する費用であるから︑企業の収益力を表示する損溢計算書の計上項目として是認すべきであるとされる︒

即ち︑損益計算書は企業収益力の表示を目的とするものであり︑利益剰余金計算書は収益力の計算表示に無関係の損益項目を計上

するものであるとの論拠に基いている︒此の点について叉同一の論拠から収益力は営業収益カと企業収益力との二つから構成さ

れるものであり︑損益計算書は営業収益力を︑剥益剰余金計算書は企業収益力を計上表示するものと理解されないであろうか︒又

創業費及び株式発行費を収益力との関連において理解され︑損益計算書市明白であるとされるが︑創業費及び株式発行費は支出価

徒であり︑収益力価値とは考えられないのでなかろうか︒従って此等の支出項目は当該期間の収益力とは直接に関連をもたない

項目であり︑便宜上期間外損益として計上されるのでなかろうか︒若しこれを企業の組織価値として︑収益力との直接の関連を認

めるならば︑費用の繰延としてではな︿︑永久資産として貸借対照表に計上すべきではなかろうか︒ハなお︑創業費又は設立費i

株式発行費も同一であると考えるのであるが!は︑単なる支出価値であって︑企業の組織費用を構成するのであるが︑此等の費

用側債は収益価値とは︑何等の直接的関連をもたないものであるとゅう点についての論拠の詳細については︑抑制橋﹁暖簾の存吟

一四巻一号Uを参照されたいJ

さて︑以上において︑損益計算書原則の主要なる原別である発生主義︑費用収益対応の原則及ぴ剰余金の原則につい

て︑その内容と本質について検討を試みたのであるが︑いまだ解沢をみたい諸点について︑今後さらに諸学者の論究が

つづけられること主思う︒発生主義の原則については︑大体検討が尽されたようである︒ただ会計技術的操作の観点か

損益計算書原則について

...... 

ノ、

(20)

大関

ら真実友る損益の対抗見には相当困難た諸点があり︑実践的には真実たる会計の粉飾に悪用される場合があるが︑会計士

等の教育指導を待って改善されねばたらたい︒次に費用収益対応の原則は︑現段階では︑実質的意味に沿いての実践は

困難であるが︑将来の達成目標であり︑理想である︒学界及び実際界における今後の研究と実践化を要請されるのであ

剰余金の原則にづいては︑期間損益との区分表示という点にもおいて︑叉資本剰余金の本質について︑今後に残された

ただ筆者は本稿において︑企業損益と営業損益との区分概念の確立︑従って期間損益と期間外損益との区分表示の重

要性について︑それに関連して損益の質的量的友限界について検討を試みたつもりである︒たお︑企業損益と営業損益

との区分概念の確立は︑当然の帰結として貸借対照表における表示形式止しても︑企業資産と営業資産との区分︑それ

は叉負債についても同様の区分表示を要請するとととたる︒例えば︑固定資産の区分として︑有形固定資産︑無形固定

資産及び投資に区分されているが︑投資はとれを分離して企業資産として区分表示するととが適正である︒ゑ治︑此等

︵昭和ご十七年一月三十一日︶の点に関しては今後の研究を待って別の機会に発表してみたい︒

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