リーガーの期間損益計算考--ギュムベルの所説によせて---香川大学学術情報リポジトリ

33 

Loading.... (view fulltext now)

Loading....

Loading....

Loading....

Loading....

全文

(1)

リーガーの期間損益計算考

1−ギェ.ムベルの所説に.よせで− 井 原 理 代 Ⅰ.ほじめ忙.ⅠⅠい り・−ガ・−の見解の展開 ⅠⅠⅠい 財の個別評価 ⅠⅤ.財の全体評価 Ⅴ.企業の全体評価 ⅤIl結びにかえて Ⅰ

リ1−か−・の貸借対照表理論に対して,つぎのような見解がみられる。すなわ

ち,「リ、−・ガ・−・の立場ほ攻撃されなかったし,彼の見地は論駁もされなかった。

(そもそも)青も今も変わることなく正しいリ1−・ガ・−・貸借対照表理論は,専門

領域において……‥精通されていないままである(1)」と。すでに拙稿(2)において

みたように,リ、−か−・は,全体損益計算の其実性と期間損益計算の擬制性を特

徴づけたが,しかし,そう特徴づけられる期間損益計算をどのように行うべき

かという呈示をなしていない。彼ほ,期間損益計算が「今日の価値」という評

価原則によって行われるべきことを説きほしたが,「今日の価値」の具体的な

算定問題にほまったく携わらなかったからである。企業計算を理論的に解明す

ることを意図したり・−・か−・が,企業計算のあるべき像を呈示していないことに

対する不満とそれ以上に.その呈示に対する期待は大きいものがある。われわれ

には,叙上の椰掩とも受け取れかねない見解ほそうした不満と期待を如実に表

(1)H.Linhardt,“InformierungdurchBilanzierung,”動●宜vatwirtschajuiehe

Korrespondenz,Ver6ffentlichungderWilhelm−Rieger−Gesellschafte・Ⅴり,

1964,S.4∩ 括弧内筆者。 (2)馬場理代稿「リ、−ガ・−・の成果計算論一名日貨幣資本維持思考のひとこま−」『香川 大学経済論蔵』第43巻第4号(1970年10月)35−68べ・−・ジ。および,同稿「期間計 欝の擬制佐一期間計欝の真実性に関するり・−が−の所説によせて−」『香川大学経済 論諾』第45巻第4号(1972年10月)96−123ペ・−ジ。

(2)

香川大学経済学部 研究年報19 ヱβ79 −・ヱ4β・− わしているように思われる。 このような大なる期待に応えて,リ・−ガ・−・の貸借対照表理論を展開し,彼の 期間損益計算像を描き出そうとした試み(8)がみられる。それは,ギ㌧・ムベルに ょる「ウィルヘルム・リ1−・か−の貸借対照表理論−−その主張の批判的分析と その展開−(4〉」である。小稿は,われわれの久しい課題であるリ1−か−・の期 間損益計算像を索し求めるよき手立てをえたく,ギュムベルの所説の検討を試 みたものである。 ⅠⅠ リ・−・か−rの貸借対照表理論を展開し,彼の期間損益計算像を描せ出すために ほ,なによりもまず,リ・−か−・自身の見解が確かめられなければならない。リ −・か−の貸借対照表理論の基礎をなす見解は,ギ1ユ・ムベルによれば,つぎの5 つである。 (1)リ・−ザ・−の貸借対照表理論の対象は企業である。企業は,閉鎖的経済統 一備として定義され,貨幣経済を−・大特徴とする資本主義経済の下では貨幣獲 得をその目的とする。それゆえ,企業は,企業計算として貨幣計算を行わなけ ればならない。 (2)リ・−ガ・−は,経営を技術的核心として理解する。経営の財務的,貨幣的 な外被,およびそのように方向づけられたイデーこそ企業にほかならないので ある。企業は,いわば経営のバンか−・である。 (3)このような試みとして,本稿で検討しているギュ・ムベルの所説の他に,つぎのよう なものがある。W.CリHa11ek,β助れg£ゐeoγるβル,β塩花βγβeゐ循βγ宜8C九eGγ祝耽d− leg∼川g,Buhl−Baden,1933 DIEngel,TTTilhctl}∼・R/i・egClls ThICOriぐdぐS,he・u:一 号J‥・lトJ・/・.・− ′′′′・Jざ‥′・バご′ざJ・′′‥7・J・♪′、げ・∫一・‥召さ・・イく・∵吊・/け・,払こ・!油1・ 1965.G一.Seieht,動始加頑ねM馴れ摘加加β抽㈲=掛れ抽沌加加摘血頑 deγβ宣ヱα雅之兢eoγ宜¢ル,BeI・1in,1970いわれわれには,これらのうち,もっとも体 系的な試みをなしているのがギュムベルの所説であると思われ,その検討を悪因し たのである。

(4)R.G缶mbel,“DieBilanztheorieWilhelmRieg・erS−・Einekritische Ana−

1yseihrer Aussagen undihrerEntwicklungsm6glichkeiten−”,ZjB36

(1966)Jg‖,SS..333−367.

(3)

リ・−ガ・−の期間損益計算考 −J47− (3)(1)(2)ゆえに,企業に.とって経済活動とは,費消資本の貨幣的収益をでき うるかぎり多くすることである。 (4)(3)ゆえに.,利益は,純粋なる貨幣価値討乱 ふえんすると,G−W−G′ なる取引関係の後計算に.よって算定される。 (5)リ・−・ガ・−・は,貨幣価値の恒常性を所与とみなす。というのほ,「ただ貨 幣のみが概念上変動可能性のかなたに・ある。その他の価値物はすべて価値変動 に晒されて(5〉」いるからである。それゆえ,企業のなした収入ないし支出ほ評 価される必要ほない。ところで,この所論ほ,貨幣価値変動そのものを否定し て−いるわけでほなく,貨幣価値変動に.対する企業の私的修正を否定しているの である。リ・−ガ・−・のつぎのような叙述が,このことをよく説明している。すな わち,「全体損益計算は・‥…・・企業の開始と終末が貨幣的に連結されうることを 前提とする。このことは,必ずしも,企業の全存続期間中,同一・の本位が支配 することを意味する必要はない。というのほ,本位の変動は,ただちに計算の 継続性を止揚することにはならないからである。その変動が秩序よく行われる ばあい,『回帰的連結』が保証され,それゆえ間断なく継続する計算の可能性 も保証される。これに反して,強制的な干渉によってしかふたたび秩序を保て ないほど激しい『貨幣価値変動』が,企業存続期間中に生じるばあい,計算の 基礎ほ消え失せるのである(6〉」と。 リ・−・か−の貸借対照表理論では,以上の5つの見解から,利益決定に関する 見解がつぎのように導き出される。それは,利益決定ほ,「全費用に対する全 的かつ確定的な貨幣形態の達成(r〉」がなされたときにのみ■可能であるというこ とである。いい換えると,もはや収入の見込みも支出の見込みもないときにの み,利益は決定されうる。たまたますべての財貨が貨幣形態に転換されたとき でさえ,将来期間において損失の危険が存続するゆえに,利益は決定されえな いのである。 そうして,リ・−・か−は,このような見解から,損益計算と称しうるものは全 (5)W。Rieger,Einfiihrungindie Privatwirtscha.揮slehre,Niirnberg, 1928,S.203. (6)W‖Rieg・er,a.a.0.,S.206. (7)W.Rieger,a.a.0。,S.205。

(4)

ユタ7β 香川大学経済学部 研究年報 一19 −ヱd∂・−

体損益計算だけであると指摘し,全体損益計算は真実の損益計算であると特徴

づけた。企業終末時における全体損益計算は,まさしく全的かつ確定的な貨幣

形態に.よって行われるからである。ギ.ユ.ムベルに.よれば,全体損益計算ほ(1)

式のように表わされる。

ム Gェ=∑【(ガg。−ββ‘)−(A釣−Aβ‘)1

l;0 (1) ただし,Gェ:全体利益 晶:収入 Ag:支出 品:自己資本出資者の払込額 Aβ:自己資本出資者の引出額 £:0,1,2,・……‥ ,エ ム:企業終末時点

この(1)或は,全体利益を収入差額ガ‘=ガ幻−βg‘と支出差額Aさ=Ag‘

−A飢との差額として表示する(1)′式に変形できる。 ム Gェ=∑(風−A‘) ‡EO (1)′ これに対して,企業存続期間中における期間損益計算は,全的かつ確定的な 貨幣形態に.よって行われうるほずがない。しかし期間損益計算が企業にと、つて 不可欠なものであるからに.は,それを擬制とみなすほかない。リ・−ガー は,期 間損益計算は真実の損益計算ではありえず,擬制の損益計算であると特徴づけ たのである。ところが,前述のように,リーが−は,擬制の期間損益計算を自 らの見解に立ってどのように.行うべきかという呈示をなしていないのである。 さてそこで,リ、−か−の期間損益計算像を尋ね,描き出そうとするギュ・ムベ ルの出発点は,叙上のようにして確かめられたり、−・ガーの見解を展開して,利 益決定の基準を規定することである。ギ.ユ.ムベルによれば,それは,つぎの2 つである。 (1)決定される利益は,企業に・おいてもほや損失の危険に脅かされてはなら ない。 (2)決定される利益は,収入と支出から導き出されなければならない。 それでは,このような基準にしたがって,期間利益はどのように決定される べきであろうか。まず,第1の基準から,期間利益はつぎのような2つの条件

(5)

・−J49− リーガ∴・の期間損益計労考

を満たさなければならない。条件1は,全体利益Gェ≧0であるばあい,ある

時点f′において,舌′までに累積された期間利益の合計飢は,全体利益より大

であってほならないということである。すなわち, 【l Gヱ.≧∑飢 さコ1 (2) ただし,£/=1,2,・… い川 ,エ

条件2は,全体利益Gェ≧0であるばあい,ある時点£′において,舌′以前の

期間利益は,後の期間に.おいて決して食いつぶされてはならないということで ある。すなわち, ‘′ ‘I−1 ∑飢≧∑g£ £=1 ‘コ1 (3)

以上の2つの条件から,全体利益Gェ≧0のはあいには,期間利益g‘≧0で

なければならないし,したが、つて反対に,Gェ<0のばあいには,飢<0でなけ

ればならないことになる。このような結論がり・−・ガ・−の見解として牽強附会で

はない証左せ,ギヱムベルほ.,リ、−オーのつぎのような叙述に求めている。す

なわち,「利益を示しているいかなる中間貸借対照表も,最後に資本金が完全

なる高さで,現金で,しかも実際に.現存しないばあいに.は正しくない。当初の

貨幣資本の維持が前もって保証されるばあいにのみ,利益が問題となりうるか

らである。したがって,中間貸借対照表の1つないし若干が利益をもって締切

られているが,自己資本が最後に害なわれているばあい,それらは誤りであ・ら

たと主張されねばならない。……・それらはおそらくある利益を示しているであ

ろうが,しかしその高さで示してはならなかったのである(8)。」と。

このような2つの条件を満たす期間利益の累積過程を実線で示すと,図1の

ようになる。いうまでもなく,実線Aおよび実線別も 条件1および2の双

方を満たすものであるが,これに対して実線Cは,条件1を満たすが,条件2

(8)WいRieger,a。aル0。,SS.216−217”なお,ギュムベルは,この叙述から,リl− ガ・−・の見解としては,Gム<0のばあいg‘=0であってもよいと付言している。ギュ ムベルは,G上<0のばあい「ある利益を…‥…示してはならなかった」のだから,窄 でもよいと解釈するのである。けれども,リ・−ガーのあげる機枕(本文161ペ・−ジ ) や土地(脚注(13))についての具体的な評価例をみると,こうしたギュムベルの解 釈はいかにも無理であると思われる。

(6)

香川大学経済学部 研究年報19 ヱβ7♂ −J50− を区間abにおいて損うものである。ところで,これらの実線が,£軸に対し て凸型.か凹型かということは,このような条件からほ不明である。 囲1 ただし, 豪:時間 WE:通貨単位 つぎに,弟2の基準から,期間利益ほ財貨の貨幣化への成熟状態を評価する 評価原則に.よって決定されねばならない。この評価原則によって求められる価 値こ・そ,リ・−・ガーの「今日の価値」にほかならない。け ̄れども,彼ほ,「今日 の価値」の算定問題について,「財貨の貨幣的運命を真実に模写し,貸借対照 表日に割引すること(9)」と述べるだけであって,具体的にはなんら携わらなか ったのである。 そこで,リ1−ガ・−の期間損益計算像を描き出すために,「今日の価値」の具体 的な算定についてぜひとも検討しなければならないことになる。換言すると, 期間損益計算のためにほ,財貨の貨幣化への成熟状態をどのように評価すべき かについて,どうしても検討しなければならないわけである。 ギヱ.ムベルは,このような検討にあたって,リ・−ガーの評価に関する叙述を 想起する。すなわち,「すぺての経営的出来事は,個別的にもまた全体的にも 貨幣化への成熟にほかならない。したがって,評価に・おいて問題であるのは, ただ単により後の貨幣的終末を貸借対照表日に割引くことのみである。 (9)W’.Rieger,α.α.0り S…213。.

(7)

リ・一か−の期間損益引算考 −J5ユー あらゆる評価原則ほ親指の爪に入れられるほど唯一・の命題に.還元されるのであ る。もちろん,そこには生ゆえの困難が伴うであろう。だが, …叶われわれ ほ,問題を理論的に解明するつもりである(10).」と。そうして,この叙述に.もと づいて,ギーユ.ムベルほ,もっぱら理論的に,すなわち実際上の先.見不可儲性を 問うことなく,・まず,財貨の個別的な貨幣化への成熟状態の評価について,つ いで,財貨の全体的な貨幣化への成熟状態の評価について−,さらに企業の全体 的な貨幣化への成熟状態の評価について検討を進める。 ⅠⅠⅠ このようにして,リーガ・−の期間損益計算像を描き出すためにほ,財貨の 貨幣化への成熟状態の評価について検討しなければならないことになったが, まず最初にイ国々の財貨の個別的な貨幣化へのそれから検討するのが順序であろ う。 それではいったい,個々の財貨の個別的な貨幣化への成熟状態はどのように 評価されるべきであろうか。われわれは,以下この評価を,財の個別評価と称 することにする。ところで,財貨の入すなわち費用(11)に対する支払すなわち 支出と財貨の出すなわち収益(12)に対する受取すなわち収入ほ,通常同一・期間 にほ生じないし,しかも,それらの発生の仕方は,各財貨に関して−多様である ため,財の個別評価にはさまざまな検討が必要とされる。 ギュムベルほ,このような検討にあたって,貨幣化退避を異に.する2つの財 貨のカテゴリ・−を区別する。その2つとほ,売買財と設備財である。前者の貨 幣化過程は,直接的に.把握でき,それゆえ本源的貨幣化過程と特徴づけられる が,後者のそれほ,売買財を通じて間接的にしか把握できず,それゆえ派生的 貨幣化過程と特徴づけられる。彼にあっては,売買財と設備財のそれぞれにつ (10)W.Rieger,aaL0..,SS.213−214 (11)(12)費用および収益概念について,リ・−か−・は,まったく形式的に用いており, 勘定の借方側に計上されるすべての項目を費用,そして貸方側に計上されるすべて の項目を収益と呼んでいる。これに対して,ギュムベルにあっては,財貨の入を費 用として,そして財貨の出を収益として捉えているので,われわれも本稿でほこの 用い方によることにする。

(8)

香川大学経済学部 研究年報19 ・−ヱ52→ Jβ7β いて,個別評価のさまざまな検討が加えられるのである。 われわれは,ギュムベルの検討をつぎのように整理して,財の個別評価に関 する考察を進めることにしたい。 1)売買財の個別評価 i)費用と支出および収益と収入が同時に.生じるケ1−ス ① 費用(支出)対収益(収入)が1対1で対応するケ・−ス ② 費用(支出)対収益(収入)が多対1で対応するケ−・ス ③ 費用(支出)対収益(収入)が1対多で対応するケ−ス ii)費用と支出および収益と収入が同時に生じないケ・−ス ① 費用(支出)→収益→収入という順序で生じるケ・−ス ② 支出→費用→収益(収入)という順序で生じるケ1−ス ③ 費用→支出→収益(収入)という順序で生じるケ・−・ス ④ 費用→収益(収入)→支出という順序で生じるケ−ス 2)設備財の個別評価 1)売買財の個別評価 1・i)車用と支出および収益と収入が同時に生じるケース 1・i・①)重用(支出)対収益(収入)が1対1で対応するケース まず,売買財の入(費用)とその支払(支出)および売買財の出(収益)と その受取(収入)がそれぞれ同時に生じ,しかも費用(支出)と収益(収入) が1対1で対応するようなケ1−スについて,財の個別評価の検討をなすことに しよう。いうまでもなく,売買財の貨幣化過程の基本的な形態がこのケ・−・スで ある。 たとえば,図2のように,ある売買財が時点£.において支出Alで購入され て,時点舌4においてAlより大きい収入動で売却されたとする。 上例において,1決算期間を吉0£aとすると,時点ちにおける当該財の個別評 価はどのように考えられるべきであろうか。ギ。Lムベルによると,当該財の貨 幣化過程がどのように成熟するか,すなわちその貨幣化線が直線かそれとも非 直線かによって,その評価額は異なる。前者のばあい,f8における当該財の評 価額はAとなる。他方,後者のばあい,当該財の貨幣化線は,収入が支出の閑

(9)

ーJ5∂・−・ リ・−ガー・の期間損益計算考 数に.なっているのだから,(4)式のように・表現される。 ガ4=Al(1+γ)8 (4)

ここにγほいわゆる内部利子率であって,異なった期間にまたがるいっさいの

収入と支出とを等しくならしめる内生的な利子率である。このような内部利子

率は,(5)式のように求められる。 γ=も厚−1・ (5)

したがって,当該財の貨幣化線が非直線であるはあい,その評価額はβとな

る。

上のような個別評価から当然,決算期間砧の期間利益がつぎのように決定

されることに/なる。すなわち,当該財の貨幣化線が直線であるばあい,この期

間利益はACであって,(6)式に・より算定される。

g8=;(掃1)

(6)

他方,それが非直線であるばあい,この期間利益ほβCとなって,(7)式に

より求められる。 gき=Al(1+γ)2−Al=動(1+γ) ̄1一風(1+γ) ̄8

(7)式ほ,γに(5)式を代入すると,(7)′式のようになるo

長 1

gき=A接)老一Al=動(訂一孔(訂

(7) (7)′

(10)

香川大学経済学部 研究年報19 ー・ヱ5d−・ ユタ7β すでに・明らかなように,ダ∂は,(6)式に.より求められるか,あるいは(7)式 によりそうされるかに・よってその大きさを異にする。その差異ほ図2における Aβに相当し,この大きさだけ,(6)式によるgさの方が(7)式によるより大き いのである。しかし,そもそも売買財の貨幣化過程がどのように成熟するか, したがってこその貨幣化線が直線かそれとも非直線かというこ■’とほ不明であると いわざるをえない。そうであれば,g8が,(6)式かそれとも(7)式かいずれに よって求められるべきか,定められないのである。 以上のような例示の検討から,ギコ.ムベルは,このケ1−・スに.おける財の個別 評価に・ついて,下のように−・般化している。売買財の貨幣化過程の始点≠。に. おいて支出Aαで費用が生じ,終点ちにおいて収入ガeで収益が生じるとすれ ば,その貨幣化因子ほ,貨幣化線が直線であるばあい, = であり,他方,貨幣化線が非直線であるばあい, γ=(若戸・−・1=ね−‘α儒−1 (8) (9) である。そして,あらためていうまでもなく,貨幣化田子がこれらのうちのい ずれであるか,−・意的にほ定められず,したがってこのケ1−スに.おける個別評 価を一意的に定めることはできないのである。 1・i・②)糞用(支出)対収益(収入)が多対1で対応するケース 売買財の貨幣化過程ほ,叔上のような基本的な形態ばかりではない。そこで 以下において,それ以外のいくつかの例外的なケ・−スについて,財の個別評価 の検討をなしていくことにしよう。 このケースは,売買財の貨幣化過程に.あって,費用と支出および収益と収入 がそれぞれ同時に.生じ,費用(支出)と収益(収入)の対応が多対1であるば あいである 。これは,図3のように,ある売買財が,時点亡αにおいて一文出Aα で購入されて加工工程に.入れられ,時点㍍において支出A祝−Aαで再加工さ れて,時点舌。において収入ガeで売却されたようなばあいである。 このようなばあい,当該財の個別評価はどのように考えられるべきであろう か。ギュムベルによると,この評価もまた,当該財の貨幣化過程がどのように

(11)

リー・ガーの期間損益計静考 ーJ55− 図3 成熟するかに.よって異なる。すなわち,当該財の貨幣化線が㍍に.おいて連続 しているか(破線G′)それとも断続しているか(実線G)に応じて,さらに 後者にあってほ.その貨幣化線の舌祐以前の線分とそれ以後の線分の上昇の勾配 が等しいかそれとも異なるかに応じて,それぞれに.この評価を考えなければな らないというのである。いうまでもなく,こういった貨幣化過程もまた不明で あるから,このケ1−・スにおける個別評価もー・意的に定めることほできない。 a)貨幣化線が連続しているばあい そこで第1に,当該財の貨幣化線がんにおいて連続しているばあい,その 個別評価について考えてみると,図3から明らかなように,このばあいには, 亡αより後において生じるすべての費用(支出)を考慮しないことになる。それ ゆえ,このばあいは,さきほどの1・i・①)のケ・−・スと基本的には同じであり, 当該財の貨幣化田子がつぎのように・求められる。貨幣化線が直線であるばあ い,貨幣化因子は, = である。他方,貨幣化線が非直線であるばあいほ, (10)

(12)

香川大学経済学部 研究年報19 ‘∼‘β ∑動(1+γ) ̄‘=∑A‘(1+γ) ̄£ ‘α ‘α −ヱ5♂− という(11)式を満足せしめる内部利子率γが,求める貨幣化因子にほかなら ない。しかし,そのようなγは,・血意的には定まらず,したがって当該財の個 別評価も定まらないことに注意しなければならない。 b)貨幣化線が断続し,2つの線分の勾配が等しいばあい つぎに.舞2に,当該財の貨幣化線がf髄において断続していて,ん以前の線 分とそれ以後の上昇の勾配が等しいばあい,その個別評価について考えてみよ う。このばあいには,図3から,α1=α2,したが、つてtanα1=α1および tanα・2=α2とするとα1=α2である。α1およびα2は,それぞれつぎのとおり 求められる。 ガe−(d+e)−A¢ α1 £%−亡α ¢ α2= 石=転 (12)′式より求められる¢=α2(ち−・ん)およびα1=α2を,(12)式に代入する と,(12)′′式になる。 ガe−d−α1(まe−㍍)−Aα (12)// α1= fu−f。 (12)′′式からdを求めると,(13)式になる。 d=−α1(f8−・£。)+ガ8−Aα (13) (13)式から,dほα1したがってまたα2の関数であって,一意的にほ・定まら ず,したがって当該財の個別評価も定まらないことが明らかとなる。 e)貨幣化線が断続し,2つの線分の勾配が異るばあい さらに第3にり 当該財の貨幣化線が㍍において断続していて,古址以前の線 分とそれ以後の線分の上昇の勾配が異なるばあい,その個別評価について考え なければならない。このばあいには,図3に・おいて,α1≒α2であって,費用 の時間単位あたりの貨幣化因子が−・定である。このことほ,(14)式のように あらわすことができる。 α1_ α2 Aα A。+A址 (14)

(13)

リ・−・ガ−の期間損益計静考 ーJ57− それゆ.え.,

α1=・・α2

(14)′ (14)′式から,α1はα2の関数であって,−・意的にほ定まらず,したがって 当該財の個別評価も定まらないことが明白となる。 1・i・③)費用(支出)対収益(収入)が1対多で対応するケース このケ・−スは,売買財の貨幣化過程にあって,費用と支出および収益と収入 がそれぞれ同時に生じ,費用(支出)と収益(収入)の対応が1対多であるば あいである。たとえば,図4のように,ある売買財が時点舌1に・おいて支出Al で購入されて,時点£8において収入β8で販売され,さらに時点ちにおいて 収入β4(=ガ8)で売却されたとする。 図4 この例における当該財の個別評価にあたっては,ギュムベルによると,費用 (支出)Alが期間舌1£4において収益(収入)総額ガさ+夙に成熟したとみな さざるをえない。したがって,本例にあって期間利益ほ,β′C′と決定される というのである。

(14)

香川大学経済学部 研究年報19 ヱ97∂ ・−ヱ5β− もちろん,このような考え方によっては,Alのいかなる部分がβ8に成熟 し,さらにβ4に成熟したかということほ捉えられない。その意味で,このケ −スにおける個別評価もー・意的に定めることはできない。 1・ii)費用と支出および収益と収入が同時に生じないケース 1・ii・①)費用(支出)→収益→収入という順序で生じるケース このケ仙スは,売買財の貨幣化過程にあって,費用と支出は同時に生じるが, 収益の生じた後に収入があるばあいである。たとえば,図5のように,ある売 買財が時点ちに.おいて支出Alで購入されて,時点ちにおいて売却され売掛 金がえられた。そして,時点ちに.おいて売掛金の回収がなされ,収入Cを受 取った。なお,舌8において,現金販売したとすると,その額ほβであったと する。 /l /s gl J2 ≠3 囲5 本例に.おいて,当該財の個別評価はどのように考えられるべきであろうか。 ギュムベルによると,売掛金の回収額をCとみなす(すなわち掛売に伴う利子 を考慮する)か,それともC′とみなす(すなわち利子せ考慮しない)かによ って,この評価は異なる。前者の貨幣化線はAβ′CないしはAβCであり, 他方,後者のそれはAC′ないしはAβC′である。かりに貨幣化線がAβ′Cで あるとみなすと,売買財の貨幣化過程とほ別に,梯売に伴う利子の貨幣化過程

(15)

リ・−か−の期間損益計算考 −・ヱ∂9− が成熟して,志さにおいて利子が且β′だけ先取りされるわけである。 ところが,売掛金回収額に関する見解は叔上のいずれであるか,したがって− 当該財の貨幣化過程が叙上の貨幣化線のどれであるか,やほり不明であろう。 それゆえ,このケ・−・スにおける個別評価も,一意的に定めることはできない。 1・ii・②)支出→費用→収益(収入)という順序で生じるケース このケ・−スほ,売買財の貨幣化過程にあって−,費用の生じる前に支出がある が,収益と収入は同時に・生じるばあいである。たとえば,売買財の購入のため に前払するばあいがこれに相当する。 このケ・−スに.おける個別評価について,ギ,コ.ムベルほ,このような貨幣化過 程の始点を費用発生時にするのではなくて,前払時すなわち支出支払時とする べきことを指摘するに止まっている。 1・ii・③)費用→支出→収益(収入)という順序で生じるケース このケ−・スは,売買財の貨幣化過程にあって,費用の生じた後に支出がある が,収益と収入は同時に.生じるばあいである。これに相当するのほ,たとえば, 売買財を掛で購入するばあいである。 このケ・−・スに.おける個別評価についても,ギュ.ムベルは,貨幣化過程の始点 をどの時点とみなすべきかということが問題であると指摘サーる。その始点とみ なされる時点ほっ 費用発生時かそれとも買掛金の返済時すなわち支出支払時か である。この問題に対して,少なくとも,さきほどの1・ii・②)のケ・−スから すれば,その始点を買掛金の返済時とみなすべきであろうが,ギュムベルによ れば,そうほ断定されない。というのほ,この見解にあっては,買掛金の返済 時までの決算日においては,その貨幣化過程が未だ始まっていないのだから, 未払の売買財は,現存するにもかかわらず,貸借対照表上計上されえないとい う不合理に立ち至るからである。 こう考えると,このケ・−・スにおける個別評価もー意的に定めることはできな い。 1・ii・④)費用→収益(収入)→支出という順序で生じるケース これまではすべて,費用ないし支出が収益ないし収入に先行するケ・−スであ ったが,このケ・−スほ,費用の生じた後に,収益と収入が同時に生じ,その後

(16)

香川大学経済学部 研究年報19 ヱ97β −ヱβ0−

に支出があるばあいである。たとえば,図6のように,ある売買財が時点孟1に

おいて掛で購入されて,時点≠8に.おいて収入βで売却された。そして,時点

f4において,買掛金の返済がなされ,支出Cを支払ったとする。

′2 ′3 図6 この例において,当該財の個別評価はどのように考えられるべきであろう

か。ギュムベルによると,この評価もやはり,当該財の貨幣化過程がどのよう

に成熟するかによって異なる。ところで,その貨幣化過程として考えられるも のほ,つぎの3つである。第1は,その貨幣化線をAlβ′とみ・なし,期間舌1ち にわたってAlがβ′に成熟したと考えるものである。第2は,それをAlβと みなし,期間£1志さにわたってAlがβに.成熟したと考えるものであり,第3 ほ,それをC甥′とみなし,期間村上にわたってC′がβ′に成熟したと考え るものである。 このような3っの見解に対して,ギヱ.ムベルは,ちにおいて購入した売買財 の売却が行われるのだから,第2の見解に組するべきかもしれないが,これに も考慮すべき問題が残されていると主張する。この見解に・あっては,貨幣化過 程の終点とみなされる£8より後において,買掛金の返済がなされるので,買 掛金の返済を延期するばあい,その延期に・伴う利子の貨幣化過程が考慮されな いままであるからである。 こうみると,当該財の貨幣化過程に関する叙上の見解のうちのいずれに立つ

(17)

リ・−ガ・−の期間損益計算考 −ヱβユー ベきか,不明であるため,このケ・−スにおける個別評価も,・−・患的に定めるこ とはできない。 2)設備財の個別評価 以上,売買財の個別評価についてみてきたが,つぎに・財のもう1つのカテゴ リ・−・である設備財の個別評価の検討に進むことにしよう。すでに触れたよう に,売買財の貨幣化過程は本源的貨幣化過程と特徴づけられるに対して,設備 財のそれは派生的貨幣化過程と特徴づけられる。売買財は,売却によって貨幣 化べ直接的に成熟するが,設備財は,その価値部分が売買財にほ.いり,売買財 の売却を通して間接的に貨幣化へ成熟するゆえである。 このような設備財について−,その個別評価はどのように考えられるべきであ ろうか。これほ,設備財の貨幣化過程が派生的それであることから,売買財に ほいる設備財の価値減少分,これすなわち減価償却額をどのように算定すべき かという問題として検討されることになる。 ところで,リ・−か−の見解に.よると,減価依却額の算定は,設備財の耐用年 数にわたる総減価償却額の直線的配分によることが明らかである。その証左と して,われわれは,リ・−・ガ・−・の企業の全存続期間にわたる機械の評価例をあげ ることができる18)。すなわち,たとえば,37年間存続する企業があるとする。 購入原価1,000マルク,耐用年数10年間の機械を継続して使用すると,最後の 第4番目の磯枕についてほ耐用年数経過前に.解散となるであろう。そこで,こ れを売却して41マルクをえたとする。このようなばあい,リ・−ガ1一によれば, 減価償却額の算定はつぎのよう■でなければならない。 (13)ギュ.ムベルは,この証左として,リ・−・ガー・の土地の評価例をあげている。しかし, 土地はいわゆる依却性設備財とはみなされないので,われわれは横紙の評価例をあ げた。なお,リ・−ノガ・−・の土地の評価例はつぎのとおりである。すなわち,「土地を 30,000マルクで購入したばあいを仮定しよう。その価値は,しばらくして20,000マ ルクに下落する。しかし,それを企業の終末まで保持するのである。25年彼に・それ を25,000マルクで再売するものとするばあい,この価値減少を5,000マルクで,あ るいは全的に.10,000マルクで,すでに.現在,貸借対照表上に表現すべきいかなる必 要があるであろうか。このような立場を採用することは合目的的でほないであろう。 5,000マルクという価値減少は,25年間虹現われる観念的消耗と考えられるべきで ある。」(WいRieger,a.a。0.,S”227)

(18)

香川大学経済学部 研究年報19 −ヱβ2・・− Jβ7タ 37年間の機械の給費用=4,000M−−41M =3,959M 年度減価償却額=3,959M÷37=107M ギ.ユムベルは,設備財の個別評価について基本的に」は,上のようなり・−ガ− の見解をそのまま採り入れているが,つぎのような2点から,この評価に.もな お検討すべき問題が残されていることを指摘する。 すなわち,ギヱ.ムベルが問題とする1つは,設備財ほ.,たしかに利用されて いるかぎりにおいては設備財であるが,除却され売却に当てられると売買財と み.なされるべきであるということである。設備財の貨幣化過程ほ,派生的貨幣 化過程だけではなく,派生的貨幣化過程のほかに本源的貨幣化過程をもつとい うのである。そうならば,設備財の個別評価として,減価償却額の算定のほか に,設備財の除却後の本源的貨幣化過程に鱒ける評価も取り扱わねばならない ことになる。 ギュムベルが問題とするもう1つは,設備財が分割払で購入されるばあい, その貨幣化過程ほどのように成熟すると考えられるべきかということである。 このことは,売買財について検討したように答を出すことができないのであ る。 ⅠⅤ これまで,売買財および設備財の個別評価について検討してきたが,通常, 財貨の貨幣化への成熟が1度に限られることはないので,期間損益計算のため に・は,ついで,それらの全体的な貨幣化への成熟状態の評価について,検討を 加えなければならない。それでほ.いったい,個々の財貨の全体的な貨幣化への 成熟状態はどのように/評価されるべきであろうか。われわれは,以下この評価 を,財の全体評価と称することにする。このような財の重体評価は,リ・−・か− の見解からすれば,財の個別評価の集合ではないはずである。「すべての経営 的出来事は,個別的にもまた全体的にも貨幣化への成熟にほかならない」とす るリーか−の見解に立って,その検討がなされなければならない。 まず,売買財の全体評価からみていこう。たとえば,図7のように,時点舌○ において現金Aoが存在し,それでただちに商品を購入した。そして,決算時

(19)

リーガ・−の期間損益計算考 ーJβ∂−

点£1において収入ガ1(耳1>Ao)で売却され,その売上金でただちに・ふたたび

商品を購入した(ガ1=Al)。それは,企業終末時点ちにおいて収入ガ2(ガ2<

Al)で売却されたが,そのさい最初の投下資本の減少が生じたとする。

図7

このような例にあって,当該財の全体評価はどのように考えられるべきであ

ろうか。当該財の全体的な貨幣化過程ほ,貨幣化線Aogl属■2でもまた貨幣化

線Aoββ2でもなく,貨幣化線AoCお2であると考えられる0貨幣化線Aoββ2

ほ,脚注(8)において述べたように,「総計で損失が生じるというばあい,部

分期間は利益を示してはならないという条件を,Ao=βダゆえに・満たしてい

る14)」と考えるの姐、かに.も無理であると思われるし,また貨幣化線Ao茸1β2

ほ,売買財の個別的な貨幣化過程を示すものにほかならないからである。

このようにして,当該財の全体的な貨幣化過樫を貨幣化線AoCガ2であると

考えることは,全体損失の一部分を最初の決算期間緑1に配分することを意味

する。−・般的な表現をすれば,売買財の全体評価にあっては,当該財の全取引

によって生じる全体利益がその全取引期間にわたって酒己分されなければならな いのである。

ところが,ギヱ.ムベルは,このような売買財の全体評価には,実は大きな間

(14)R.Giimbel,a”a。0りS.354

(20)

香川大学経済学部 研究年報19 J97タ −−Jβ4一 題があることを指摘する。その1.は,そもそも売買財の全体的な貨幣化線(た とえばAoCガ2)が,直線か非直線か不明であるため,その全体評価が−・意的に ほ定められず,したがって,全体損益の配分方法が定められないことである。 その2は,財の全体評価では,全体利益を全取引期間にわたって配分するから に.ほ,当然,たまたま最終期間に販売市場で価格の著しい下落が起ったばあい に.も,それに.伴う損失をすべての期間に配分することになるが,その配分ほ合 理的ではないということである(15)。 つぎに,設備財の全体評価の問題に月を移すことにするが,ギュムベルは, これに.はあまり触れていない。設備財の全体評価をどのように.考えるべきか は,前掲の機械の評価例がなによりもよく物語っていると思われるからであ る。すなわち,それは,企業の全存続期間に.わたって使用した設備財の総減価 償却額をその期間のすべてに.直線的に配分することにほかならない。 このようにみてみると,リ1−・ガ・−の見解にもとづくと財の個別評価と財の全 体評価とは帝離してしまうことが明白である。財貨の個別的な貨幣化過程は財 貨の全体的な貨幣化過程に埋没し,全体的な貨幣化線において,個別的な貨幣 化線を見い出すことほできないのである。 Ⅴ 以上みてきたように.,ギュムベルほ,リ・−ガーの見解に・もとづいて,財の個 別評価と全体評価について検討したが,期間損益計算のためには.,さらに,全て の財貨の全体的な貨幣化への成熟状態の評価について検討しなければならない であろう。われわれは,以下この評価を,企業の全体評価と称することにする。 ところで,リ1−ガ・−の見解からす−ると,財の個別評価と財の全体評価とが帝 離したように,このような企業の全体評価は,決して財の全体評価の集合では ありえない。リ・−ガ・−の見解とは,繰り返し述べてきたように,「経営的出来事 のすべては,個別的にも全体的に.も貨幣化への成熟にはかならず」,しかも「貨 幣化,すなわち貨幣形態への成熟ほ不連続ではなぐて連続的な過程である(1¢)」 (15)このような配分こそ,リ・−∵ガ・−・の見解にもとづく財の全体評価の特徴であるに・も かかわらず,このような疑義を入れることは,少なくともギュ.ム・ベルの所説の悪因 からは理解し難し (16)R G芭mbel,a.a.0,,S..357

(21)

リ・−ガ∴・の期間損益計簸考 ・−・Jβ5−− というものだからである。 それではいったい,企業の全体評価はどのように考えられるべきであろう か。そうして,この評価に.したがって,期間損益計算がどのように行われるこ とになるのであろうか。このような検討をなすために,ギュ.ムベルが依拠した のほ,アルバッハの絵合的貸借対照表論(17)である。総今的貸借対照表論は, 伝統的会計理論に.よる個別評価と経済理論に.よる全体評価との統合化を意図し て,内部利子率法にもとづく貸借対照表を構築するものである。 ギ.ユ.ムベルがこのような絵合的貸借対照表論に依拠したことは,第ⅠⅠⅠ節で みたように,内部利子率が1つの貨幣化因子とみなされることから,首肯でき るであろう。 アルバッハの総合的貸借対照表論に依拠して,企業の全体評価の検討をなそ うとするギェ.ムベルの出発点ほ,ほかならず,内部利子率の定義から導かれる つぎのような資本価値等式である。なお,この等式に.おいて,G=0とおかれ るわけである。 エ C8=−Ao+∑(動一A‘)・曾 ̄‘ ‘ロ1 (15) 最初の資本価値 最初の出資額 第若年度の収入 第若年度の支出 ただし,Co A♂ 忍‘ A£ q=1+γ(γ:内部利子率) ところで,総合的貸借対照表論ほ,(15)式から明らかなように,もっぱら支 出と収入という貨幣思考によって構築されているが,ギュ.ムベルによる企業の 全体評価の検討には,費用と収益という財貨思考があわせて必要とされる。な ぜなら,そもそもリ1−・か一にあって評価とは,財貨の貨幣的運命を真実に.模写 することであるからである。彼の見解からは,いわば,財貨の貨幣的運命がど のように企業の全体価値を形成していくのかということが把捉されなければな らないのであり,ギェ.ムベルはこの見解を展開しようとする。 そこで,ギき.ムベルは,(15)式の支出および収入に,それらをもたらした費 用および収益をそれぞれ代入する。いま,生産費索を宜=1,2,‥…‥,肌,製品を

(17)H。Albach,“Grundgedanken einer synthetische Bilan2itheorie”,孝fB35

(22)

香川大学経済学部 研究年報19 ・−・Jββ−・ ユタ7タ J=1,2,…・−‥彿であらわし,支出ないし収入の発生時点をち費用ないし収益の

発生時点を吉とすると,(16)式・(17)式がえられる。なお,これらの式におい

て−,q=1・+γであって,γは(15)式から求められる内部利子率にほかならない。 mム A‘≡妄言芸(α研「∼+り (16) れム 動= (17) このような(16)式・(ユ・7)式を理解するために.,われわれほ,これらの式をつ ぎのように変形してみよう。 mエ A‘曾 ̄f=∑∑(吼離・曾 ̄り ‘コ1言コ0 弗ム β‘す ̄f=∑∑(¢射・す ̄g) ブコ1g=1 そうすると,(16)・(17)式ないし(16)′・(17)′式によってあらわされるこ とほ,基準時点0に・おいて,内部利子率γで割引いた,吉時点で発生する生産 要素宜(製品ブ)に・関する費用αi(収益β′)ほ,同様に.割引いた,ま時点で支 払われる支出(受取られる収入)に等しいということである。したがって,こ のような或はすべての宜およびブに閲す卑ものであるから,舌時点での総支出 Afないし絵収入β‘は,それぞれを形成する費用および収益に.よってあらわさ れることになる。ここで,ま=吉のばあいには,費用と支出が,あるいほ収益 と収入が同時に生じる。また£<言のばあいには,支出が費用より,あるいは 収入が収益より先に・生じるのであって,たとえば,設備資産や棚卸商品,得意 先からの前払金とし、った貸借対照表項目が発生する。さらにわ吉のばあいに は,費用が支出より,あるいは収益が収入より先に生じるのであって,たとえ ば,売掛金や買掛金といった貸借対照表項目が発生するのである。 さて,それでは費用α‘ど£および収益β直の大きさほどのようにしてえられ るのであろうか。いま,んは生産要素を価格P〆で数量ぶ‘乞だけ購入して支 払った支出であるとすると,(18)式が求められる。 ウ花 毎詰れ・ぶf‘ (18) 同様に,βfは製品を価格P‘ノで数畳ぶ‘Jだけ販売して受取った収入であると すると,(19)式のように.なる。

(23)

リ・−ガーの期間損益計算考 −・J67−− β‘=蓋ア‘タ・ぶり (19)

ここで,時点‖こおいて支出となる数量説一プ寧いし収入となる数盈ぶりのう

ち,時点吉において費用ないし収益となる部分を,それぞれ凱離<1ないし

臥射<1であらわすならば,(20)式・(21)式が算出される。なお,ここでほ,

飢わないし飢gタは,実際上は不可能であろうが,既知とみなされる。

α‘わ=ア‘f・ぶ£電・凱離・q ̄汗g (20)

¢射=ア‘.タ・ぶ‘.′・飢£′・α ̄け君

(21)

このようにして,支出と費用,ならびに収入と支出との間の関連が明らかに

されるのであるが,このことを表の形に・したものが,表1および表2である。

これらの表において,列の合討は,割引されない支出ないし収入(Aゎ動)に

等しく,他方行の合計は,1期間の費用ないし収益(A言,一晩)に等しい。

以上の考察にもとづき,(17)式・(18)式を(15)式に代入すると,(22)式がも

とめられる。

α。0豆・1卓羞α。掴一言+。頚(真畠β射

−‘+‘ q mム ー∑∑α‘∼f・q ̄g+ モロ1吉芦1 りす‘ (22) (22)式はっ 表1および表2から,(23)式のように変形されるであろう。 詭α‘0童羞(真β由一差α‘わ)す‘ (23)

(23)式から,一劇定の時点吉について−,すべての壱およびブに関してニ,舌=0か

ら舌=エまでのα朗およびβ郎を総計すると,8‘0ブ=0(18)だから,各期間の

総収益および総費用が,収益および費用のそれぞれ収入時点および支出時点に

かかわりなく算定されることが明らかである。こうして算定される総収益と総

費用の差額こそ,期間利益飢にほかならない。

そして,(23)式は,時点0の総費用が,内部利子率で割引かれた将来の期間

7札ム

利益の合計に等しく,そこで時点0においては,企業は∑∑吼朗(19)の高さで i=1‘=0

れエ (18)(19)ギュ・ムベルは,β叶′=0とするから,時点0に・おいてほ芸1芸。α‘。‘だけ損失 が生じるというのであるが,時点0の費用を全体費用の−・部分と捉えるのであれば, 時点0の収益も同じように捉えるべきであり,したがってそれを零とするのは適当 でないと思われる。

(24)

仙ヱββ棚 番川大学経済学部 研究年報19 J97β

損失を生じるということを示している。すなわち,企業設立時において,設立 後に生じる費用の一部が,収益に未だ対応することなく,時間上すでに帰属す

(25)

リ−ガ血の期間損益計静考 ・−J69− ると考えられる。いい換えると,時点0で生じる損失は,決して設立のための 費用からでほなく,時点0に帰属せられるべき総費用の・一部から結果するので ある。 そこで,時点0における開始貸借対照表をえるために,(22)式の右辺をつぎ のように修正することにする。 ① ②

れ mェ ∑α。。汁∑∑α。わ・q ̄∼

i⊂1 iヒ1ど亡1 上、‥ ∴ ‘ヒ1′=1ざコ1

_ =∑〔(∑∑β酌・〆+‘−・∑∑α戯・q ̄言+り・q ̄‘.〕 豆=1J∈0

④ ⑤

仇ん 珊【ム +(∑∑α。0ぜ・曾−■0+‘−∑∑α‘0名・曾 ̄0+り・曾 ̄‘ かご1‘=1 £ヒ1‘邑1

(24) 本式における各項目について説明しておこう。まず,等価である④および⑤ 項目は,吉=0に帰属するが,後期(£>0)になってこ支出が行われる費用である。 これは,表1でみると,吉=舌=0の部分を除いた最初の行の合計に相当する。 ①および⑤項目は,さきにみたように,収益に未だ対応しない設立時における 費用であり,収益に未だ対応しないゆえをもって,繰延処理される。これは, 現金費用①と未払費用⑤から成りたっている。そして,このことから,④項目 は,時点0における負債,すなわち他人資本額(珊)を意味することが明ら かである。②項目は,0時点において支出が行われたが,未費消の費用,すな わち財虜額である。さらに,③項目は,④=⑤ゆえに①+②に−・致するか ら,0時点において出資者が出資しなければならない額,すなわち自己資本額 (足許。)である。以上の考察から,開始貸借対照表がつぎのように作成される。 借 方 開始貸借対照表 貸 方 つぎに,(24)式にq‘′(ただし≠′=1)を乗じ,営業開始された過程を明確に あらわすことによって,時点£′=1における貸借対照表が作成される。営巣開

(26)

ーJ70− 香川大学経済学部 研究年報19 ヱタ7β

始された過程は,いわば,支出ないし収入的にも,かつ/あるいは費用ないし 収益的にも実現するのである。すなわち,

② ③

れ mェ q∑∑α‘0£+曾∑α…・q ̄1+q∑∑αog£・q ̄君 i∈1‘=0 ‘[1 £=1i=2

れ 乃 仇 −q∑¢1り・9 ̄1・一曾∑∑β1iメ・q■ ̄g+・q∑α1.電・q ̄−1

′El ′コ1f句2 ‘訂1 ⑦ ⑧ ⑨

仇エ 花 +・α∑∑α1わ・曾 ̄g=曾・忍好。−・q∑¢1り・曾‘ ̄1

¢コ1Jコ2 ′こ1 れム ⑳ ⑪ 机上 ⑫ m −曾∑∑印′・α・一言+曾∑αチ1‘・q−1+q∑∑α1わ・q一孟 タロ1方正2 古口1 g‡1わ沌 ⑬ ⑭ ⑮ m 仇エ 勒エ +q∑α…+曾∑∑吼肌+α(∑∑α‘1名・q ̄1寸‘ £零1 電虻1‘ロ2 iコ1‘E2 ⑬ ⑫

mム れエ

弗ム ⑬ 「扁宗β亡り・q刷りす‘ (25)

(公)式に・おける①から⑬までの各項目を説明すると,以下のとおりである。

本式の左辺は貸借対照表および損益計算香の借方側であり,右辺はそれらの貸

方側であるとみなされる。

① 前期の損失の繰延。繰延資産として,貸借対照表の借方に.計上。

② £=0で支出がなされた,吉=1の費用。費用として,損益計算書の借方

に計上。

③ 舌=0で支出がなされた,夏>1の費用。有形財産および前払金として,

貸借対照表の借方に計上。

④ £=g=1の現金収益。収益として,損益計算番の貸方に計上。

⑤ £=1で収入がなされた,言>1の収益。得意先からの前受金として,貸

借対照表の貸方に計上。

⑥ £=吉=1の現金費用。費用として,損益計算上の借方に計上

⑦ 舌=1で支出がなされた,吉>1の費用。有形財産および前払金として,

(27)

・−エアニトー リ1−ガ−・の期間損益計算考 貸借対照表の借方に計上。 ⑧ 自己資本および出資者に対する利子債務(且狐+ケ館0)。貸借対照表の 貸方に計上。 ⑨ ④を参照。 ⑬ ⑤を参照。 ⑪ ⑥を参照。 ⑫ ⑦を参照。 ⑬ 舌=1で支出がなされた, ⑭ 舌>1で支出がなされる, 貸借対照表の貸方に計上。 ⑮ £>1で支出がなされる, 貸借対照表の貸方に・計上。

⑬ ⑬を参照。費用として,

⑰ £>1で収入がなされる, l J ⑨・十⑬−⑪−⑫−⑬=∬1 現金有高として,貸借対照表 の借方に計上。 夏=0の費用。 吉=0の費用。負債および負債性引当金として, 吉=1の費用。負債および負債性引当金として, 損益計算番の借方に計上。 吉=1の収益。収益として,損益計算番の貸方 に.計上。 ⑬ ⑫を参照。売掛金として,貸借対照表の借方に計上。 さらに,(25)式が(24)式にqを乗じて導出されたことに注目して,以上の諸 項目について説明をつけ加えておこう。まず,(25)式における④⑤⑥⑦の各項 目は,且狐・甘から析出されるものである。このこ.とを理解するために(15)式 にαを乗じて(26)式を導出してみよう。 乙 Ao曾一方1+Al=q∑(耳亡−A‘)・α−‘ ‘=2 (26)或はつぎのように変形できる。 乙 Ao曾一方1+Al=α∑(ガf−A‘)・曾 ̄‘−β1+Al ‘亡1 (26) (26)/ すると,(26)′式左辺の(一題1+Al)から④⑤⑥⑦の項目がえ.られることが明ら かである。いうまでもなく,−ガ1は④⑤項目よりなり,Alは⑥⑦項目よりな るからである。そして,これらの④⑤⑥⑦項目ほ,期首自己資本見好0が維持 されねばならないゆえ,(26)′式右辺で回収されねばならず,⑨⑬⑪⑫項目に 相応するのである。(26)′式右辺の(−β.+Al)は,ほかならず⑨⑳⑪⑫項目 よりなるものである。

(28)

香川大学経済学部 研究年報19 Jタ7β −ヱ72− つぎに,(公)式の⑧項目は(24)式において自己資本且吼を意味する③項目か ら導出されたものであり,また(25)式の⑬および⑳項目は(鮎)式において他人 資本ダ打0を意味する④項目から導出されたものである。⑬項目は,珊のう ち£=1において返済されるものを示し,他方⑳項目ほ,未だ残る負債をあらわ す。さらに,(25)式における⑮および⑬項目では,後期になって(£>1)支出 が行われる夏=1における費用が把握されているのである。⑮項目と⑬項目ほ 同額として,前者が負債および負債性引当金に,他方後者が費用に相当する。 それらほっ(24)式における④項目と⑤項目に対する相対物なのである。同様の

ことが⑳項目と⑬項目についていえる。すなわち,これらの両項目は,後期に

なって(£>1)収入が行なわれる吉=1における収益をあらわすのであるが, 同額として,⑰項目が収益に,他方⑬項目が売掛金に.相当するのである, いまや,(24)式から開始貸借対照表が作成されたように,(25)式から第1年 度の貸借対照表ならびに損益計算書が,つぎのように作成される。 借 方 第1年度末の貸借対燭表 貸 方 仇占 有形財産・前払金③ q∑∑α巾曾 ̄J †■li−2 mエ ⑦ q∑∑αm昭一∠ 《−1fd2 れ+乙 売掛金 ⑬嗜訃掴 ̄1 現 金 ⑨+⑬−⑰−⑫−⑬gl れエ 繰延資産 ①唱扁α㈹ 自己資本 出資者に対する 利子債務 買掛金・ 負債性引当金 且払 γ堀

J花上. ⑩ α∑∑α‘Oi

i−1l−2

机上. ⑬ 曾∑∑α‘1乞q ̄1

t−1‘−ニ 兜エ ⑤ 甘∑∑β1盲ノ曾一 ̄亡 ノーlト2 前 受 金 利 益 ④+⑰−③−⑥−⑯ gl 借 方 第1年度の損益計算番 貸 方

(29)

リ1−ガ−・の期間損益計算考 −ヱ7∂− このようにして,£′=0および£′=1時点において,収入と収益ならびに支 出と費用とほいかなる関連に.あるのか,いい換えると財貨の貨幣的運命がどの ように企業の全体価値を形成していくのかということをみてきた。ここにおい て−,つぎのような表3を作成し,かつ表1および表2を用いて,この問題を− 般的に理解しておきたい。 表3 上表について,横線の領域は,当該決算期間の費用ないし収益をあらわし, それゆえ,両者の差額として期間利益釣が生じる。 また,縦線の領域は,£′<舌ゆえに,未だ支出にならない費用,ないし未だ 収入にならない収益を包含し,ここから,つぎのような貸借対照表項目が発生 する。 わlエ【■ 買掛金および負債性引当金 q‘∫∑ ∑ ∑吼離・q ̄‘ iコ1‘亡‘●+1i=O 売掛金 nエ上■ α£′芸 ‘1 そして,斜線の領域は,£′<宕ゆえにり 未だ費用にならない支出,ないし未 だ収益にならない収入を包含し,ここから,つぎのような貸借対照表項目が発 生する。

(30)

香川大学経済学部 研究年報19 ー・ヱ74− ヱβ7β れ∼′ム 有形財産および前払金 曾‘′∑∑ ∑ α‘わ・q ̄‘ 名∈1l=O言付‘′+1 前受金 犯【l乙 轡‘′黒鳥吉見1β〝q ̄‘ したがって,任意の£′=吉=亡における貸借対照表ならびに損益計算番は, つぎのような形式となるのである。 借 方 第孟′年度末の貸借対照表 貸 方 有形財産・ 机‘′ エ 前払金 甘‘′∑∑一∑α‘沼−J i−1(−Ol−(一+l 渇エ‘l 売 掛 金 q‘′∑ ∑ ∑β‘7プq ̄‘ J・・1I−l‘十1ト1 現 金 払′ 机上 繰延資産 q‘’∑∑吼朋 l−1l−0 自 己資本 出資者に対す る利子債務 買 掛 金 期 間 利 益 見好‘・_‘ γ惣打‘′_‘ 几‘Iエ qf′∑∑j:β由曾−Z メbl‘土OI血エ′+1 g言 借 方 第と′年度の損益計算番 貸 方 費 用 J池上 q‘′∑∑鋸掴 ̄‘ Ⅰ−1I−0 期間利益 g∼ プ‡1‘叫) 九工 益 曾‘′∑∑e‘了メq ̄J 以上のようにして,ギュムベルは,アルバヅハの総合的貸借対照表論に依拠 し,内部利子率法にもとづきながら,企業の全体評価について検討をなした。 それほ,リ・−か−・の見解にかなうように,財貨の貨幣的運命を折り込んだ企業 の全体評価を試み.るものであった。ギュムベルの表現を借りると,この評価 ほ,「財貨の貨幣的運命と全体的な貨幣化とを同時に考慮した(加)」ものとして 特徴づけられる。そうして,そのような評価にもとづいて行われる独特な期間 損益計算像(21)を,われわれほ月にすることとなったのである。ギヱ.ムベルの描 (20)R.G色mbel,α.α.0りS‖367い (21)ギユムベルは,このような期間損益計算のための実現原則は,当然独特なもので あると指摘する。すなわち,リ・−・ガーの見解に立てば,実現原則は,企業の全体的 な貨幣化過程の−・部分を認識する基準となって,伝統的な実現原則からは未実現の, 将来生じる収益をも実現収益として捉えるのである。

(31)

リ、−か−・の期間損益計算考 −ヱ符−

き出した期間損益計算像は,−・言で特徴づけると,全体損益計算の時間的・部

分計算である。 ⅤⅠ

以上,われわれは,ギュムベルにそって,リ・−か−の期間損益計算像を描き

出すために,財貨の貨幣化への成熟状態をどのように評価すべきかという検討

をなしてきた。すなわち,まず,財の個別評価について検討し,リ・−・か−の見

解にもとづくこの評価にほ屈め難い問題が内包されていることを知った。つい

で,財の全体評価について検討し,財の個別評価と財の全体評価には埋め難

い帝離が生じることを目にした。そして,さらに,リ・−ガ・−の見解からは,結

局企業の全体評価にしたがって期間損益計算が行わなければならないため,企

業の全体評価に.ついて検討を進めたのである。企嚢の全体評価として呈示され

たのは,内部利子率法にもとづくアルバッハの総合的貸借対照表論を出発点と

し,その上に,総合的貸借対照表論を構築する支出・収入概念に費用・収益概

念を導入して,財貨思考を折り込んだものであった。ここに,われわれは,こ

のような評価にしたがってなされる,独特の期間損益計算像をみることとなっ

たのである。

そのような独特の期間損益計算像を描き出したギ.ユムベルの所説に関して,

われわれほ,つぎのように特徴づけることができるであろう。まず1つは,ギ

ュ.ムベルによる企業の全体評価にあってほ,なるはど財貨思考が折り込まれ,

財貨の貨幣的運命が描捉されてはいるが,しかし,その財貨の貨幣的運命とほ

決して個別的なそれでほないということである。財の全体評価の検討において

すでにみたように,企業の全体評価にあって財の個別評価は埋没されてしまう

のである。

いま1つは,ギヱ.ヰベルによる企業の全体評価は,総合的貸借対照表諭に依

拠しているのだから,企業の全体的な貨幣化過程における貨幣化因子として内

部利子率を用いているということである。企業の全体的な貨幣化因子が,はた

して内部利子率かどうかということは,財の個別評価の検討においてすでにみ

たとおり,−・意的に定められることではない。その意味で,このような企業の

全体評価にしたがってなされる期間損益計算は,リ・−オーの期間損益計算の1

(32)

香川大学経済学部 研究年報19 ーヱ7β− Jβ7タ つにほちがいないであろうが,決してそれ以上のものでほないといわざるをえ ない。そうであってみれば,リ・−ガ・−の期間損益計算像を求索する歩みほ,こ こに止まるのではなくて,なお新たな途に進まなければならないのである。 ところで,このように特徴づけられるギェ.ムベルの所説に対して,貸借対照 表計算を2段階に分割する見解に立って評価問題を論じるディンケル(22)から, 1つの批判が投じられて−いる0まず,きわめて粗雑にディソケノ「の見解に・触れ ておこう。ディソケルは,貸借対照表計算は2段階に分割され,その第1段階 とほ叙述的な量的算定モデル(基礎モデル)であり,第2段階とは規定的な意 思決定モデル(利用モデル)であるとする。算定モデルは,・−・義的,客観的公 理体系の形式におい て,収支的な期間余剰を算定するものである。他方,意思 決定・モデルほ,主観的目的設定にしたがって,算定モデルにおいて算定された

期間余剰を配分するものであり,ここ.においてはじめて評価問題が登場すると

いう。主観的目的設定にしたがって,代替的決定(余剰配分の最適な選択)を 行うためにほじめて,価値付けが必要となるからである。ディソケルによる と,評価と決定は同一・祝され,価値は決定論的価値概念として一成定されるので ある。 こうした見解を引っ下げたディンケルがギュムベルに投じた最大の批判ほ, ギヱ.ムベルの描き出した期間損益計算像に.あっては,算定モデルと意思決定モ デルとの混合が惹き起こされているということである。というのほ,その期間 損益計算は内部利子率にもとづく企業の全体評価にしたがって行われるが,内 部利子率ほ.,ディソケルに.よると,主観的価値として特徴づけられるからであ る。ディソケルは,内部利子率にもとづいて行われる期間損益計算は,算定モ デルとはいえないと批判するのである。ところで,このようなディソケルの批 判がはたしてギヱ.ムベルにとって正鵠を射たものであるかどうか,早計には断 じえない。しかし,ギヱ.ムベルにあってほ期間損益計算が,まさしく算定モデ ルに・ほかならない全体損益計算と異質なものになって−いるという指摘は,きわ めて興味深いものがある。 そうであってみれば,われわれは,ギュ.ムベルの所説に対して,ディソケル (巳2)F Dinkel,Bilaナほu)l:dBぐWert■∼川g−Eil!・e Wisse1tSChajts−…dぐ1ntSChei− d祝彿g合わgゐe九eび花王eγg%¢ゐ祝%g−,Berlin,1974‖

(33)

リ−・か−・の期間損益計算考 −ヱ77− の批判に手掛りを求めながら,批判的な検討を加えなければならないであろ

う。さらにほ,既述のように,ギュ.ムベルの所説を離れて,企業の全体評価に

ついて新たな検討を進めなければならないであろう。けれども,このような検 討ほ,もっぱらギュ.ムベルの所説に対する忠実な検討を意図し,ギ.ユ.ムベルに よって描き出されるり・−か−の期間損益計算像を浮き彫りにせんと努めてきた われわれの課題を,はるかに超えている。いまは,叙上のような検討を期し, リーガの期間損益計算像を索し求める遅足の歩みを続けることを念じて,ひと まず小稿を結ぶことにする。

Updating...

参照

Updating...

関連した話題 : IEのサポート期間の情報