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博士(工学)荒木昇吾 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)荒木昇吾 学位論文題名

木・コンクリート合成桁橋の設計法の確立と構造合理化に      関する研究

学位論文内容の要旨

  20世 紀 後 半 に 確 認 さ れ た 地 球 規 模 の 温 暖 化 は , 人 為 起 源 の 温 室 効 果 ガ ス の 増 加 に よ っ て も た ら さ れ た 可 能 性 が 非 常 に 高 く , そ の 排 出 量 は , 自 然 の 吸 収 量 の 約2倍 に ま で 増 加 し て い る . 温 暖 化 が さ ら に 進 み , 世 界 の 平 均 気 温 が2.2℃ 上 昇 す れ ぱ , 生 物 種 の2割 か ら4割 が 絶 減 す る こ と も 予 測 さ れ て い る . 温 暖 化 を 抑 制 し , こ の 平 均 気 温 の 上 昇 を2℃ 程 度 に 抑 え る た め に は ,2050年 に お け る ニ 酸 化 炭 素 排 出 量 を ,2000年 比 の5割 か ら8割 を 削 減 し を け れ ば を ら 顔 い . 温 暖 化 が 極 め て 深 刻 を 状 況 に あ る 現 在 , 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 削 減 は , 運 輸 や 通 信 , 製 造 , そ し て 建 設 等 , あ ら ゆ る 産 業 分 野 が そ れ ぞ れ の 英 知 を 結 集 し , 取 り 組 ま を く て は を ら 菰 い 緊 切 の 課 題 で あ る .

  一 方 , 国 内 の 橋 梁 は , 高 度 成 長 期 を 境 に 急 激 に 増 加 し , 約68万 橋 に 達 し て い る . 大 多 数 の 橋 梁 は 更 新 期 を 迎 え つ っ あ る が , 社 会 資 本 整 備 を 取 り 巻 く 経 済 情 勢 は 厳 し く , 補 修 や 補 強 に よ る 延 命 化 が 図 ら れ て い る . し か し , 延 命 を 目 的 と し た 処 置 は , 既 設 構 造 の 現 状 維 持 が そ の 限 界 で あ り , さ ら に 高 齢 化 が 進 む 近 い 将 来 に は , 更 新 を 選 択 せ ざ る を 得 を い ,   地 球 温 暖 化 が 深 亥IJfヒ し , か つ , 経 済 情 勢 の 低 迷 が続 く , い わ ば二 重 苦 の 中 での 橋 梁 整 備 に は , 構 造 的 を 安 全 性 を 保 有 し つ つ , 環 境 性 と 経 済 性 を 平 衡 す る 橋 梁 が 求 め ら れ る . こ の 平 衡 性 を 保 有 で き る 可 能 性 が 高 い 橋 梁 と し て , 本 研 究 で は , 長 野 県 で 考 案 さ れ た , プ レ ス ト レ ス ト ・ 木 ・ コ ン ク リ ー ト 合 成 桁 橋 に 着 目 し , 将 来 の 橋 梁 整 備 , ひ い て は 低 炭 素 社 会 の 実 現 に 貢 献 す べ く , そ の 安 全 性 の 確 立 と , 経 済 性 の 向 上 , お よ び 二 酸 化 炭 素 の 削 減効 果 , す を わち , 環 境 性 を 確 認 す る こ と を 目 的 と し て い る . そ し て , 本 研 究 で は , こ れ ら の 検 証 方 法 の 具 体 を 以 下 の よ う に 設 定 し て い る .

  第 一 に , 構 造 的 安 全 性 は , 鋼 橋 や コ ン ク リ ー ト 橋 と 同 等 レ ベ ル の 設 計 法 の 確 立 に よ っ て 得 ら れ る . こ の た め , 現 状 の 設 計 法 に お い て 考 慮 さ れ て い を い , 湿 度 や 温 度 と い っ た 環 境 要 因 や ク リ ー プ 等 の 評 価 手 法 を 定 式 化 す る , そ し て , こ の 評 価 式 に よ っ て 得 ら れ る プ レ ス ト レ ス カ の 変 動 量 を , 実 橋 計 測 に よ っ て 得 ら れ た 変 動 量 と 比 較 し , 実 挙 動 を 評 価 で き る こ と が 確 認 で き れ ぱ , 有 効 プ レ ス ト レ ス に 対 す る 信 頼 性 と , 同 一 の 理 論 に よ り 成 立 す る 設 計 法 の 安 全 性 が 保 証 さ れ る .

  第 二 に , 現 状 に お け る 他 橋 種 と の 経 済 格 差 を 解 消 す る た め に , い く つ か の 構 造 合 理 化 へ の 方 策 を 提 案 し , 最 適 案 を 選 定 す る . そ し て , こ の 最 適 案 に 対 す る 試 設 計 を 実 施 し 。 同 規 模 の

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他 橋 種 と 比 較 す る こ と で , そ の 経 済 的 を 改 良 効 果 に つ い て 検 証 す る .   第 三 に , 環 境 性 は ,LCA分 析 に よ っ て 評 価 す る , 一 般 的 を 鋼 橋 や コ ン ク リ ー ト 橋 , お よ び , 上 記 の 改 良 案 を 含 め , そ れ ぞ れ の 橋 梁 事 業 に お け る 二 酸 化 炭 素 排 出 量 を 算 出 し , こ れ を 比 較 す る こ と で , 環 境 性 に 対 す る 効 果 を 検 証 す る .

  本 論 文 は , 木 ・ コ ン ク リ ー ト 活 荷 重 合 成 桁 橋 の , 構 造 的 安 全 性 と 信 頼 性 向 上 を 目 的 と し た 設 計 法 と , 経 済 性 向 上 を 目 的 と し た さ ら を る 合 理 的 橋 梁 形 式 を 提 案 し , 環 境 性 を 含 め , そ の 適 用 性 を 論 じ た も の で あ る . 本 論 文 は ,5章 よ り 構 成 さ れ て お り , 各 章 の 概 要 を ま と め る と 以 下 の よ う に 教 る ,

  第1章 で は , 本 研 究 の 背 景 と , 北 海 道 の 木 . コ ン ク リ ー ト 橋 を 始 め と す る , 木 と コ ン ク リ ー ト と の 複 合 橋 や , 木 質 材 料 の 構 造 特 性 等 に 関 す る 既 往 の 研 究 成 果 に つ い て 概 説 し , 国 内 外 に お け る 事 例 や 設 計 法 の 現 状 を 紹 介 し て い る . そ し て , 本 研 究 の 目 的 を 明 確 に 示 し , 本 論 文 を 構 成 す る 各 章 の 概 要 を 示 し て い る ,

  第2章 で は , 木 . コ ン ク リ ー ト 合 成 桁 橋 の 設 計 法 を 確 立 す る に あ た り , 現 状 の 設 計 法 の 問 題 点 を 抽 出 し , 理 論 的 に 検 証 す べ き 内 容 を 明 ら か に し て い る . ま た , 設 計 法 の 妥 当 性 の 検 証 材 料 と 橡 る 有 効 プ レ ス ト レ ス , す 教 わ ち , プ レ ス ト レ ス カ の 変 動 量 の 評 価 に 関 し , 新 た に 考 慮 す べ き 影 響 を 定 量 的 に 評 価 す る た め の 基 礎 資 料 を 示 し て い る .

  第3章 で は , 理 論 的 に 算 出 し た プ レ ス ト レ ス カ の 変 動 量 と , 実 橋 に お け る プ レ ス ト レ ス カ の 測 定 結 果 を 比 較 す る て と で , 設 計 理 論 の 妥 当 性 を 検 証 し て い る , 測 定 時 期 に 応 じ た プ レ ス ト レ ス カ の 測 定 値 と 計 算 値 と を 比 較 す る と , 計 算 値 が 測 定 値 に 対 し て 5   第4章 で は , 長 野 県 で 考 案 さ れ た , 木 . コ ン ク リ ー ト 合 成 桁 橋 の 改 良 案 と し て , プ レ キ ャ ス ト セ グ メ ン ト 方 式 ・ 木 ・ コ ン ク リ ー ト 死 活 荷 重 合 成T桁 橋 を 提 案 し , そ し て , こ の 新 し い 橋 梁 形 式 に 対 す る 設 計 法 を 論 じ る と と も に , 経 済 性 お よ び 環 境 性 を 他 橋 種 と 比 較 す る こ と で , そ の 有 効 性 を 検 証 し て い る . 建 設 コ ス ト は , 構 造 改 良 に よ り1割 程 度 減 じ る こ と が 可 能 で あ る が , 同 規 模 の 鋼 橋 や コ ン ク リ ー ト 橋 に 対 し て は , 未 だ 優 位 性 が 得 ら れ ず 、 さ ら 呑 る コ ス ト 縮 減 へ の 取 り 組 み が 必 要 で あ る . ま た , 建 設 時 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 を 算 出 し 。 木 ・ コ ン ク リ ー ト 合 成 桁 橋 の 環 境 性 が , 鋼 橋 や コ ン ク リ ー ト 橋 に 比 べ て , 極 め て 優 れ て い る こ と を 証 明 す る と と も に , 木 橋 計 画 を 森 林 経 営 の 一 部 と 位 置 づ け , 適 切 放 森 林 経 営 と 共 に 遂 行 さ れ る 必 要 性 を 喚 起 し て い る .

  第5章 で は , 本 研 究 で 得 ら れ た 知 見 を ま と め , 結 論 と し て 示 す と と も に , 現 状 に お け る 問 題 点 や 今 後 の 研 究 課 題 を 示 し て い る .

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学位論文審査の要旨

主 査    教 授 副 査    教 授 副 査    教 授 副査   准教授

林 川 俊 横 田 後 藤 康 平 沢 秀

学 位 論 文 題 名

郎 弘 明

之(函館工業高等専門学校)

木・コンクリート合成桁橋の設計法の確立と構造合理化に      関する研究

  20世紀 後半に 確認され た地球 規模の温暖化は、人為起源の温室効果ガスの増加によっ てもたされた可能性が非常に高いことが知られている。その人為的排出量は、自然の吸収 量の 約2倍 にまで 増加して いる。 地球規模の温暖化がさらに進み、世界の平均気温が2.2

℃上 昇すれ ば、生物 種の2割から4割が絶滅することも予測されている。地球温暖化に伴 う気候環境への影響は、自然災害を誘い、われわれの社会活動生活を脅かす。温暖化が極 めて深亥IJ橡状況にある現在、二酸化炭素排出量の削減は、運輸や通信、製造、建設をど、

あ ら ゆ る 産 業 分 野 が 取 り 組 ま 顔 く て は を ら を い 緊 急 的 を 課 題 で あ る 。   二酸化炭素排出量の削減のためには、化石燃料のエネルギー還元率の効率化や新エネル ギー源の活用をど、排出源からの削減も重要であるが、大気中の二酸化炭素そのものを削 減することも必要である。これを可能とするもののひとっが樹木である。樹木は大気中か ら二酸化炭素を大量に吸収し、光合成により酸素を排出し、炭素を体内に固定することで 成長するが、その能カは樹木が加工され、木材とをっても失われることはをい。このため 土木分野では、木材を活用した社会資本形成を目的とした活動が今も行われている。具体 的には、木橋や木杭、木製ガードレールをどに関する研究技術開発が進められ、二酸化炭 素削減策のひとつとして期待が寄せられている。

  近年、集成材をどの木質材料の製作技術が向上し、さらに防腐処理技術の改良が進み、

近代木橋と称される木橋が、林道や公園内に架設されるようにをってきた。木橋が今後と も橋梁整備や低酸素社会の実現に貢献するためには、高コストと低耐久性の課題を克服し をけれぱをらをい。このようを背景のもと、本論文は長野県で考案された木・コンクリー ト活荷重合成桁橋に着目し、構造的安全性や信頼性向上を目的とした設計法を提案し、経

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済性向上を目的とした合理的橋梁形式の適用性について検討し、木橋の性能照査型設計法 に資する新たを知見を得たものである 。

  

本 論 文 は 全

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章 か ら 構 成 さ れ て お り 、 各 章 の 内 容 は 以 下 の よ う で あ る 。

  

第1 章で は、研究の背景および既往の研究成果について概説し、国内外における事例や 設計法を提示している。そして、本研究の目的を明確に示し、各章の構成について記述し ている。

  

第2 章で は、集成材とコンクリート間相互のクリープや温度変化の影響、木材特有の含 水率変化の影響をどを定量的に評価するための基礎資料を提示している。また、プレスト レスの導入方法や施工順序をど、プレストレスカの変動要因を定量的に評価するための基 礎 資 料 を 提 示 し 、 有 効 プ レ ス ト レ ス を 算 出 す る 評 価 手 法 を 提 案 し て い る 。

  

第3 章で は、木・コンクリート活荷重合成桁橋における有効プレストレスの評価手法に より求められた算定値と実橋におけるプレストレスカの測定値との比較結果から、本論文 で提案する評価手法の妥当性を検証している。プレストレスカの算定値は測定値に比較し てやや小さめの値を与え、クリープが支配的を段階において両者の減少傾向がほば一致す る結果が得られている。木.コンクリート合成桁橋の設計において、設計条件に応じた有 効 プ レ ス ト レ ス を 算 出 し 、 よ り 信 頼 性 の 高 い 適 正 春 設 計 法 を 提 案 し て い る 。

  

第4 章で は、長野県で考案された木・コンクリート合成桁橋を改良して、プレキャスト セグ メン ト方式・木・コンク リート死活荷重合成T 桁橋を 提案し、この新しい橋梁形式 に対する設計法、経済性および環境性について検討している。新しい橋梁形式の構造計算 は前章の設計法を適用し、適切を設計照査を行うことにより、他橋種と同等の安全性を保 有することを明らかにしている。同規模の鋼橋やコンクリート橋に対する経済性について は、主桁製作費を2 割程度滅じることができをければ、他橋種と同等の性能を有すること ができをいことを指摘している。また、建設時の二酸化炭素排出量を算出し、木・コンク リート合成桁橋の環境性が、他の鋼橋やコンクリート橋に比べて極めて優れていることを 明示している。

  

5

章 で は 、 各 章 で 明 ら か と を っ た 内 容 を 要 約 し 、 本 論 文 を 総 括 し て い る 。

  

これを要するに、著者は長野県で考案された木・コンクリート合成桁橋に着目し、構造 安全性と信頼性向上を目指した設計法を提案し、経済性と環境陸を改善する新しい橋梁形 式の適用性を検討し、木・コンクリート合成桁橋の性能照査型設計法に資する新た顔知見 を得たものであり、橋梁工学、木質工 学、メンテナンス工学に貢献するところ大をるも のがある。よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認 める。

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