【学位論文審査の要旨】
1. 本論文の課題
本論文は、経済連携協定(以下、EPA)に基づき来日した外国人介護人材(介護福祉士 候補者ならびに日本の介護福祉士国家試験に合格した介護福祉士を指す)と日本人職員と の円滑なコミュニケーションに向けた支援について論じたものである。
研究の背景には日本社会の高齢化の進展が挙げられる。高齢化の進展による介護サービ スの需要の増加が見込まれる一方、介護を担う人材不足の声が挙がっている。介護人材の 需要見込みが2025 年で254 万人に上るとされる反面、供給見込みは215.2 万人であると され、その需給ギャップは、37.7 万人ほどになるとのことである。また、2035 年には介 護を担う人材が68 万人不足すると言われている。
このような現状下、2008 年からインドネシアを皮切りにEPA に基づく外国人看護師・
介護福祉士候補者が来日している。インドネシアのほか2009 年にはフィリピンから、2014 年にはベトナムから同様に来日しており、本論文でも対象となる介護福祉士候補者は2018 年3 月末の時点で3 カ国合わせて3529 人来日した。さらに2017 年には新たな在留資格 として「介護」も創設され、2018 年技能実習制度の対象職種に「介護」が追加された。さ
らに、2018 年の国会で短い審議時間で「特定技能」の枠組みが成立し14種類の業種での
「即戦力」となる外国人労働者を受け入れることとなった。その中に介護も含まれる。2019
年度中に5,000 人,今後5 年間で6万人まで受け入れる計画である。
EPA の枠組みによる受け入れこれらの先行例とも言えるものであるが、介護福祉士候補 者への研修が日本語教育からスタートすることから日本語教育の担う役割は大きい。ただ、
コミュニケーションは本来双方向のものであるが、受け入れ施設や日本社会には外国人に 日本語力があればコミュニケーションができるという一方向的な発想があるように思われ る。しかし、介護福祉士候補者が日本人の職員に言いたいことがあり日本語でどのように 表現するのかわかってはいるが、コミュニケーションの取り方の違い、人間関係などさま ざまな背景があって伝えられない場合、つまり日本語力が原因となっていない場合もある。
この研究では、コミュニケーションツールとしての日本語の支援は確かに重要であるが、
言語支援だけではなく、介護現場において日本人職員と外国人介護人材がコミュニケーシ ョンを円滑に進めていけるための支援が必要であると考え、次の 2 点を研究目的として設 定し研究を進めている。
一つ目は、介護現場に携わる外国人介護人材と日本人職員とのコミュニケーションが、
いつ、どのように行われているのかその実態を、観察を通しできる限り明らかにすること。
また、観察のみならず、外国人介護人材と日本人職員がお互いのコミュニケーションをど う捉えているのかをインタビューを行い、その分析を通じて、コミュニケーションを円滑 に進める上で求められる重要なポイントを具体的に挙げて行った。そのために、4種類の 調査とインタビューを精密に行なっている。
二つ目は、一つ目の研究目的で明らかにした介護現場におけるコミュニケーションの実
態、ならびにインタビュー調査をふまえ、具体的な支援プログラムの提案を試み、実際に 介護現場において実践することであった。支援プログラムは、まだ萌芽的な域を出ないが、
外国人介護士候補者、日本人職員からの継続を望む声も上がり、研究の成果の公表方法の 一つとして現在も展開している。
2. 本論文の構成 序章
第1 節 研究背景
第2 節 本研究の意義と目的
第3 節 経済連携協定(EPA)に基づく受け入れ枠組みについて 第4 節 本論文の構成
2 章 先行研究
第1 節 日本語教育分野における研究
第2 節 介護現場のコミュニケーションに視点を置く研究 3 章 本研究における問題の所在と研究目的
第1 節 本研究の問題の所在
第2 節 コミュニケーションに関する一考察 第3 節 研究目的
4 章 5 章から8 章の調査概要と研究方法 第1 節 各章における調査概要
第2 節 研究方法
5 章 施設を移籍または退職した外国人介護福祉士の語りから 第1 節 調査目的
第2 節 調査方法 第3 節 結果および考察 第4 節 まとめ
6 章 介護現場における観察および聞き取りから 第1 節 観察及び非構造化インタビューの目的 第2 節 フィールドとフィールドワークの概要 第3 節 結果と考察
第4 節 まとめ
7 章 日本人職員が捉えた外国人介護人材とのコミュニケーション 第1 節 調査目的
第2 節 研究方法 第3 節 結果と考察 第4 節 まとめ
8 章 外国人介護人材が捉えた日本人職員とのコミュニケーション 第1 節 調査目的
第2 節 調査方法 第3 節 結果及び考察 第4 節 まとめ
9 章 各調査の考察に基づく総合考察 第1 節 本章の目的
第2 節 コミュニケーションを円滑に進める上のキーコンセプト 第3 節 まとめ
10 章 コミュニケーション支援としてのワークショップ 第1 節 ワークショップ
第2 節 異文化トレーニング 第3 節 演劇的手法とは
第4 節 本論文におけるワークショップの実践 終章 本論文のまとめと今後の展望
第1 節本論文のまとめ 第2 節今後の展望
3. 本論文の概要
本論文は序章、10章の本論、終章からなっている。
序章では経済連携協定による介護福祉士候補者の受け入れのスキームについて、制度面 での特徴や変遷について詳述している。この制度には厚生労働省、外務省、経済産業省が、
受け入れの事前研修や日本での研修、介護施設での対応など、3省庁や外郭団体が絡んだ 複雑なものであり、その面から見た問題点、特に日本語研修などの教育・学習上のアーテ ィキュレーション(連続性)の難しさなどについて詳しく述べている。
論文提出者自身も、事前研修や日本での継続研修に関わった経歴があり、教育現場から 見た実際の姿などについて言及している。
2章では、先行研究を紹介し、日本語教育分野における研究では、日本語研修・学習支援 制度に関するもの(神吉他2009、野村2013 など)、国家試験・就労現場の専門用語に関す るもの(三枝2012、遠藤2012 など)、専門用語(就労現場・国家試験)の支援に関するも の(川村・野村2010、中川他2013 など)、日本語研修・学習支援の実践報告(三橋・丸山
2012、登里他 2014 など)など、その多くは日本語に焦点が当てられている。同様に介護
現場のコミュニケーションに視点を置く研究でも介護福祉士候補者の日本語のコミュニケ ーション力への懸念が示されてきた(中井2009、赤羽2013 など)。しかし、しかし武内(2017)
には、職員同士が良好な関係を築きにくい場合、介護福祉士候補者が日本人の職員に言い たいことがあり日本語でどのように表現するのかわかってはいるが言えないという事例が
ある。これもコミュニケーション上の問題と言えるが、日本語力が原因となっていない面 もあることを指摘している。
また、介護現場のコミュニケーションに視点を置く研究をまとめている。石井(1990)
では「言語能力を習得した人間は自由にコミュニケーションができるという想定が従来の 外国語教育の基盤であったが、言語能力はコミュニケーション能力の一部にすぎないとい うことが最近認められるようになってきた」(石井1990:188)と述べられており、言語能 力だけがコミュニケーション能力の全てではないと示している。
実際の介護現場では、例えば赤羽他(2014)では、受け入れ施設側の声として、フィリ ピン人の介護福祉士候補者らと利用者、日本人職員とがうまくやっていけるのか心配はし たものの、「彼女たちはなれない日本語で言葉は通じなくても、手を握って、膝をついて目 線を合わせて利用者と話をする姿はとても好評であった。」とある。また、小川(2016)で は、介護施設におけるフィールドワークを行い、得られたデータから介護現場の文脈をふ まえて候補者と日本人職員の視点からコミュニケーションに関する現場の実情を報告して いるのだが、「就労場面において外国人介護人材に求められる『コミュニケーション力』が 単に文字、語彙、文法などの『言語』習得や聴解力、会話能力、読解力などの『言語運用 能力』にのみ影響されるものではないことが明らかである。」と報告されており、石井(1990)
の主張を支えるとともに、コミュニケーションが様々な形で行われていることがわかる。
さらに、異文化理解や異文化コミュニケーションの研修の必要性も挙げられている(公益 社団法人日本介護福祉士会2014)。
3章では、コミュニケーション論を含めて、本研究の目的を整理し、また4章では、5章 以下でとった方法論についてまとめている。本研究で扱っているのは観察記録やインタビ ュー記録といった質的なものであり、分析の方法としてSteps for Coding And
Theorization(SCAT) を主に用いている。
5 章では、本研究の発端とも言える武内(2017)で見られた日本語の表現がわからない のではなく相手に言いたいことが伝えられないという発言から、国家試験に合格後、施設 を移籍または退職した EPA に基づくインドネシア人外国人介護福祉士(3 名、全員男性)
にインタビューを行った。調査目的は、施設を移籍または退職に至る過程で、彼らが捉え たうまくいかなかったコミュニケーションの要因を探ること、およびその具体事例を挙げ ることである。加えて調査結果に基づいて介護現場においてコミュニケーションを円滑に 進める上で重要な点を挙げるというものである。インタビューデータを分析した結果、コ ミュニケーションを円滑に進める上で、コミュニケーション機会の重要性、相手と対話す る必要性、他者を受容する姿勢の必要性の3 点が挙げられた。
続いて6 章では、常時介護現場に身をおくわけではない筆者自身が現場を知ることを目 的とし、実際の介護現場では、いつ、どのようにコミュニケーションが取られているのか その現状をできる限り明らかにするため、介護施設において観察を行った。また、観察と 同時に業務の妨げにならない程度に、日本人職員10 名ほどに対し非構造化インタビューを
行い、外国人介護人材とのコミュニケーションについてどう思っているか聞き取りを行っ た。その結果、介護現場におけるコミュニケーションは必要最低限行われていること、そ して、必要最低限になりやすいからこそ、忙しい時でも感謝を直接伝える行為や掛け声な どにより円滑な関係を結んでいることが窺えた。この 6 章の結果をもとに、質問項目をあ らかじめ設定した半構造化インタビューを、6 章をより深めていく目的で7 章と8 章で行 った。
7 章では外国人介護人材と共に働いた経験を持つ日本人職員(4 名、全員男性)に対し、
半構造化インタビューを行った。目的は外国人介護人材とのコミュニケーションをどう捉 えているのかを明らかにし、その結果に基づきコミュニケーションを円滑にする上でどの ような点が重要となってくるか考察することである。インタビューデータの分析結果に基 づきコミュニケーションを円滑に進める上で、言葉を補う態度面育成の必要性、外国人と 接する心理的なハードルを下げる必要性、異文化理解、他者理解の学びの必要性が挙げら れた。
8 章は外国人介護人材(インドネシア人介護福祉士 1 名、ベトナム人介護福祉士候補者 2名、全員女性)に対し半構造化インタビューを行ったものである。目的は外国人介護人材 が日本人職員とのコミュニケーションをどう捉えているのかを明らかにし、その結果に基 づきコミュニケーションを円滑にする上でどのような点が重要となってくるか考察を行う ことである。インタビューデータを分析した結果、職場への安心感を持てるような環境整 備の必要性、他者理解の必要性、アサーティブ(対等・率直・誠実)にコミュニケーショ ンを行う必要性が挙げられた。
各々の調査で得られた結果に基づく考察を統合して「現場のコミュニケーションを円滑 に進めるために何が大切か」という点から再考した結果、5 つのキーコンセプトが挙げら れた。
①「他者理解」
②自文化中心主義的なものの見方、発言に陥るのを防ぐ「アサーティブ態度や発言」
③言葉を補う「非言語コミュニケーションの活性化」
④外国人介護人材にとって職場に居場所があると感じられる、受け入れてもらえるとい う感覚が持てる、一方、日本人職員にとって外国人と接する心理的なハードルを下げ る「安心感が持てること」
⑤「コミュニケーション機会を増やす」
①〜④で示された他者理解の姿勢や、アサーティブな態度や発言、非言語コミュニケー ションを活性化させること、そして相手と話したいと思える安心感を育むといったコミュ ニケーションに向き合う態度は互いに影響しあうコンセプトと考えられる。そして、⑤の コミュニケーション機会を増やすためには、キーコンセプトの①〜④が条件となり、①〜
④の条件が満たされることで、コミュニケーション機会が増えるという循環が生じると推 察される。その結果、コミュニケーションの相手との関係も徐々に構築され、対話しやす
くなる可能性があると示唆された。
以上総合考察により得られたキーコンセプトから、自他が違うことへの気づきを高める、
自己開示、身体感覚を活かしたコミュニケーションといったことを安心・安全が保障され た場で体験できることが求められると言える。このような体験を通し参加者間の関係構築 のきっかけ、あるいは促進に繋がると考えられる。このような体験の場として社会構成主 義的学習観に基づくワークショップの形態が妥当であると考えた。そして、ワークショッ プのコンテンツとして、安心・安全な場が保証された上で行うことが可能であり、またキ ーキンセプトから求められる自己開示や、身体感覚を生かしたコミュニケーションといっ た体験内容が重なると考えられる演劇的手法が一手段として適切であると判断し、介護現 場の日本人職員と外国人介護人材を対象としたワークショップを企画し、実践した。
ワークショップの実施目的は、①コミュニケーション支援の一形態であるワークショッ プとして、参加者に他者と関わる経験を通し、気づきの機会を設けることができたか、② ワークショップの参加者にどのような気づきや変化が生じたのか参加者の声を挙げること、
③ワークショップの実践の継続に向け、今回の実践面からの気づきを挙げることである。
ワークショップは演劇的手法を用いたワークの体験と体験に基づく振り返りの2 部構成 である。
今回、ワークショップの実施にあたり、知人の紹介により関東地方にある施設から実施 協力を得た。ワークショップの概要は以下の表のとおりである。
表1 ワークショップの概要 実施場所 協力施設の交流スペース
実施日時 2018 年8 月29 日 13:00〜15:00
参加人数と内訳 日本人職員4 名(男性3 名、女性1 名)、外国人介護人材7 名
(女性、2016 年度入国候補者:ベトナム人3 名、フィリピン人 3 名、2010 年度入国フィリピン人介護福祉士1 名)
プログラムの意図
(ワークショップ の体験目標)
イ)気軽に話しかけられる。ロ)コミュニケーションを行うこ とに対する心理的な負担を下げる。ハ)コミュニケーションを 楽しむ。ニ)相手にしっかり表現を届ける。ホ)自己開示。
ワークの体験後に行われた参加者の振り返りからは、まずワークに楽しんで参加できた ことが挙げられた。そしてワークを通してコミュニケーションへの気づきが多く挙げられ、
相手に届くように伝えることへ意識が向けられたり、非言語コミュニケーションの大切さ を実感したりするなど、普段のコミュニケーションへの内省が進んだと推察される。また、
同僚との関わりから普段の仕事とは違う一面を見たという声、相手の印象が変わったとい う声など、相手のことを知る機会となり、心理的な距離感が縮まった様子が窺える。「気軽 に話しかけられる」「同僚との関係が近い」「コミュニケーションで失敗しても、このメン
バーならば大丈夫、失敗してもまた話しかけることができる」という気持ちが、コミュニ ケーションの量を増やしさらに関係を深化させるのだと筆者は考える。そして「コミュニ ケーションしたい」気持ちを、ワークショップの参加者から引き出しているのではないか。
この気持ちがある事は、外国人介護人材にコミュニケーションツールである日本語の学習 意欲につながるのではないかと考えている。そして日本人職員にとってはコミュニケーシ ョン相手をよく見ること、コミュニケーションが言葉だけではないという意識が高まるの だと考える。
以上ワークショップの参加者には様々な気付きが生じており、コミュニケーションを円 滑に進めるための一支援として有効である可能性が示唆された。
ワークショップの実施目的の三つ目である実施面での気づきとして、まずワークショッ プの実施時間は施設の現状に合わせて柔軟に対応する必要があること、また振り返りの機 会は必要であるが、振り返りの共有については参加者の様子からその場で決めるのが妥当 であること、多くの職員がワークショップに参加できるよう、一回限りで終わらせるので はなく参加者を変え、回を重ねていく必要があること、可能であれば介護福祉士候補者の 着任時期に合わせて実施することが挙げられた。
今回は一回限りのワークショップの実践であったため、今後の展望として現場の実情に 合わせて本論文で得られた知見に基づくワークショップの実践を重ねていく予定であり、
実際に論文執筆者は組織を立ち上げて実践を継続している。
4. 審査結果
本論文の公開審査は,2019 年1 月16 日(水)午後5 時~7 時,本部棟大会議室におい て行われた。
冒頭でも述べたが、現在の日本社会は介護人材の不足が叫ばれている。経済連携協定に 基づく外国人介護人材は2008 年から開始された制度で10年の歴史がある。これが先駆け となり、その後在留資格の中に「介護」が2017 年から含まれるようになり、2018 年から は技能実習生として介護人材の受け入れが始まった。また今年2019 年4月からは特定技能 という在留資格が開始され介護分野に外国人の受け入れが始まる予定である。現在4種類 の受け入れが並存している複雑な状況であり、日本人にとってもさらに介護人材を送り出 すアジア諸国などの外国からみれば、理解すら難しいかなり複雑な制度となっている。し かし、いずれも介護の現場を背景としたものであり、本研究は、経済連携協定での受け入 れをモデルとして、他の制度にも応用できる可能性がある。
本論分は、日本語教育学という枠組みだけでなく、コミュニケーションそのものの本質 理論的に探求し、実際のコミュニケーション状況を観察分析して現実を見つめ、さらに、
外国人介護人材と日本人職員の間のコミュニケーション支援の具体的なワークショップに よる方法論と実践を行なった意欲的かつ多様な視点を複合させた優れた研究であると評価 できる。日本語を教えるだけではない日本語教育学という広がりを見せている。この論文
でも引用されている論文提出者の2017 年の論文は、日本語教育学会の最大の学会誌である
『日本語教育』の巻頭を飾っており、様々な日本語教育者からの評価も高い。また、長年 にわたるインドネシアや日本での予備教育・継続学習支援の本人の経験を背景に、4種類 の丁寧なインタビュー調査と介護施設での観察を元にしており、洞察力の高い結論が得ら れていると思われる。
以上のような成果のある論文ではあるが,問題点も指摘されている。
まず,それぞれのインタビュー(外国人介護士候補者、日本人職員)が数人に留まって いる点で一般性ある結論が得られたどうか。また「現場のコミュニケーションを円滑に進 めるために何が大切か」に関する 5 つのキーコンセプトについて、実証・再現できるもの かどうかについても疑問が残る。また、ワークショップに演劇的手法を取り入れていると 述べているが、実際にワークショップで行なっていることは、ゲーム性のあるのもばかり で、職場でのラポール形成や雰囲気作りに役立つことは間違いないだろうが、職場での業 務に直接結びつくものか、申し送りなどのコミュニケーションを実際のモデルにした活動 の方が望ましいのではないかなどである。
以上いくつかの問題点を指摘することはできるが,公開審査において論文提出者の武内 は問題点については的確にとらえ,本論文で示すことができた内容の限界についても深く 認識しており、また今後の課題として、研究を現場に生かすための具体的な方法論を示す など高い見識を有していることが示された。
外国人介護福祉士に対する日本語教育や、彼らを迎える日本の介護施設や地域社会の姿 の一つを示していることは、社会的要請の高い分野に対応した研究としても評価できる。
以上から審査員一同は,武内博子に博士(日本語教育学)の学位を授与することが適当で あると判断した。