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博士学位論文審査の要旨

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Academic year: 2021

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博士学位論文審査の要旨

【学位論文審査の要旨】

本論文は、発達障害と診断された孫をもつ祖母5名を研究参加者として、祖母が発達障 害の孫との関わりを通して、孫やその家族、そして地域の中で生じた出来事をどのように 意味づけ、どのように生きてきたのかを、ライフストーリー法を用いて明らかにした質的 記述的研究である。

本研究で取り上げる子どもの「発達障害」は、2004年に発達障害者支援法が制定されて からは、子どもの育ちへの支援が国民の責務として求められ、発達障害のある子どもやそ の家族の生活上の困難さやニーズが社会に知られるようにはなったが、いまだ十分に社会 的理解を得られているとは言いがたい。本研究では、発達障害の子どもやその親を支援す る祖父母の生き方に注目し、祖父母の視点から発達障害の子どもを持つ家族の生活を知る ことを意図したものである。特に自ら子育てを経験した後、次の世代の子育て支援の中心 的な役割を果たしている祖母たちが、発達障害の孫との関わりを通して家族の中で、そし て地域の中でどのように生き、生活しているのかを祖母たちの語りを通して記述し、明ら かにした点に独創性が認められる。

結果として、子どもの発達障害の様子や家族の状況は様々であり、5人の祖母から語られ たライフストーリーも様々であった。祖母たちは孫が誕生し、これまでに聞い

たことのない「発達障害」という診断名に触れ、戸惑いながらもそれを理解しようと必死 になっていたが、専門職の助言、保育園や地域住民の支えを得て、孫への具体的な関わり を学び、徐々に孫との関係性を育んでいった。一方で、発達障害による子どもの特徴的な 行動が家族の関係性にも変化を起こし、子育ての経験者として孫家族に関わる祖母もその 中に巻き込まれていったが、関わりの難しい孫と、その孫を育てるわが子を支援したいと いう二重の思いから、力強く家族の支援を行っていく祖母の姿が明らかになった。考察で は、「発達障害」が見えない障害であることからの祖母の戸惑いや、これまでに聞いたこと のない「発達障害」という診断名が付けられることによる孫の将来を案じる気持ちが示さ れた。また、地域の中の療育の専門職や保育者等の支援やつながり、さらに、「発達障害」

の子どもに揺れる家族の関係性の中で重要な役割を果たそうとしている祖母を含む新たな 家族の関係性について論じられた。本論文の結果が、子どもの両親ではなく、祖母という 一つ上の世代の広い視点から「発達障害」の子どもを取り巻く家族や地域を描くことで、

近年増加している、「発達障害」の子どもと家族に対する支援に新たな展望を与えるもので あると言える。

審査会における主な質疑は、ライフストーリー法における聞き手と語り手の関わりと分 析方法、語りの表現、祖母に焦点を当てた理由、インタビューを申請者が行ったことの利 点と課題、看護実践および看護学への貢献、今後の研究の方向性、などであった。

これらの指摘や質問に対して、論理的で妥当な回答や発言がなされた。また、「発達障害」

の子どもと家族の援助に長年取り組んできた研究者の、子どもや家族に対する熱心な態度、

研究に取り組む真摯な姿勢が示された。さらに、本研究での課題をもとに、新たな研究に

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博士学位論文審査の要旨

取り組んでいくという研究意欲が示された。

以上のことから、本研究が博士学位論文としてふさわしい水準にあると認め、申請者が 博士(看護学)の学位に相当するものと判断した。

参照

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