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雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

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Academic year: 2022

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低電圧・低消費電力動作CMOS電流モード信号処理回

著者 倉科 隆

雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

巻 25

ページ 144‑147

発行年 2004‑03‑08

出版者 静岡大学大学院電子科学研究科

URL http://hdl.handle.net/10297/1428

(2)

氏名 。

(本

籍 )  倉    科       隆

(長

野県

)

学位 の種 類   博    (工

)

学位 記 番 号    工博甲第   241   号 学位授与の日付    平成 15年 3月 23日

学位授与の要件    学位規程第 5条 第 1項 該当 研究科 ・ 専攻の名称    電子科学研究科   電子応用工学

学位論文題目    低電圧 0低消費電力動作 CMOS電 流モー ド信号処理回路

論 文 審 査 委 員

   (委

員長)

教 授 浅 井 秀 樹   教 授 相 田 一 夫 教 授 川 人 祥 二   教 授 渡 邊 健 蔵

論 文 内 容 の 要 旨

近年、大規模集積回路(LSI)を 中心に様々な電子機器は高速化、低電圧化、低消費電力化が求め ら れている。 ところが低電圧化によって従来の電圧信号 を扱 う電圧モー ド信号処理では、ダイナミック レンジと信号処理速度に対する要求を満たすことが難 しくなりつつある。このため、低電圧でも広い ダイナミックレンジと広帯域特性が得 られる電流モー ド信号処理が着目されるようになった。その電 流モー ド信号処理の基本構成素子である第2世代 カレン トコンベア(cc Ⅱ)の設計及び実装 を行つた。

さらにその CC Ⅱの有用性 を示すために電流モー ドフィルタヘの応用 を試みた。

今 までにCC Ⅱ をIcと して実現するために開発 された構成は、電流入力端子におけるインピーダ ンスが高 く、電流入力端子 と電圧入力端子間のオフセット電圧 も大 きいという問題点があった。そこ で第

2章

で提案 したAB tt CMOS CC Ⅱ では、広帯域特性 を損 なわず、電流入力端子 における入力 インピーダンスを下げ、電流入力端子 と電圧入力端子間のオフセット電圧を小 さくすることを目的と

している。まず、電流入力端子のインピーダンスをさげるため、フィー ドバ ック構成を用いた。この フィー ドバ ック構成 は、差動増幅器 を用いた全帰還単位利得バ ッファ構成 となっている。 これは フィー ドバ ックループの電圧増幅器の開ループ利得 を大 きくすることによって電流入力端子でのイン ピーダンスを小 さくすることができる。 しか しそれと引 き替えに、

GB積

の制限により帯域幅が減少 する。従 って CC Ⅱ は仮想接地条件が有効 となる範囲で最 も低い利得 とするよう設計する必要があ る。また トランジスタサイズを調整することでオフセット電圧の減少を図る。この構成によって入力 インピーダンスは、36.lΩ となった。オフセ ッ ト電圧は、loμ

vに

なった。 このように2.2節ではそ

(3)

のフイー ドバ ック構成の有用性 を示 した。小信号電圧伝達特性 における

‑3dB遮

断周波数は、

90ML

と低い。小信号電圧・電流伝達特性 においては低周波 における利得誤差は非常 に小 さく、改善 され た。

2.3節2.2節でその有用性が示 されたフイー ドバ ック構成 を基本 として電圧増幅器の開ループ利得 を大 きくするためにFolded cascode演算増幅器 (OPA)を 用いた。 これにより開ループ不U得は66dBと したことにより、電流入力端子の入カインピーダンスは、4.77Ω とな り、オフセット電圧は、2.74μ

Vに

なった。 しか しこの構成は差動増幅器の利得 を得 ることと引 き替えに帯域幅が減少 している。

以上第

2章

では

2種

類のフイー ドバ ック構成により電流入力端子の入カインピーダンスを下げるこ との有用性 を示 した。

電流モー ド信号処理の特徴は、低電圧動作で広いダイナミックレンジが得 られることにある。 した がって、その基本構成素子 としての CC Ⅱ にもR五1‑to―R五1の入出力電圧範囲が要求される。また

CC

Ⅱ を演算 トランスコンダクタンス増幅器や演算 トランスインピーダンス増幅器 として用いる場合 に は入出力すべてがRttl…to―R五1で あることが必要であ り、低消費電力で広いダイナ ミックレンジを得 るためには電流入力段 を

AB級

で動作 させ ることも必要である。第

3章

で提案する

AB tt CMOS CC

Ⅱ は、入出力すべてに AB tt R盛1‑to―R五1を用いることで、低電源電圧動作時において も、で きる 限 り大 きなS/N比を得 ることがで きる構成 となっている。3.2節には位相補償 を必要 とする CC Ⅱ に ついて述べる。入力段 に相補型差動対 を用いることでR五to―Rail動作 を実現 している。

OPAと

して 相補型差動対 を用いる場合 には入力電圧に依存 して変動する騨 の一定化 を考慮する必要があるが、

3章

で示す CC Ⅱ は全帰還単位利得バ ッファ構成 としているため歪みを緩和することがで き、

gm

の変動 を考慮する必要がない。また優れた電流伝達特性を得るためアクティブカレントミラーを用い た。これは入力段の差動対 を利用 している。電圧 フォロワのための構成を電流 フォロワにも使 うこと で構成素子 を減 らしている。 しか し開ループ利得があまり大 きくないため入カインピーダンスは 50 Ω程度 となっている。続いて3.3節では3.2節で用いたレベルシフ ト段 を取 り除 き、位相補償段の必要 ない構成 となっている。その結果 トランジス タ数、電流パスが減 り、3.2節に比べ消費電力 を抑 える ことがで きた。実際 トランジスタを減 らしたことによリレイアウ ト面積 は3/4以下 とな り、消費電力 は1/2と なった。

4章

、第

5章

では今 まで提案 して きた CC Ⅱ の応用 として電流モー ドフイルタを提案する。電 流モー ドの利点 を生かすため、 cc Ⅱ を用いた様 々なフイルタ構成が提案 されている。本論文では 低消費電力化のために単一 CC Ⅱ を使 った全電流モー ド構成のバイカッド・フイルタの合成 を提案 した。また電圧モー ドの

OPAを

用いたフイルタは確立 された設計手法があるが CC Ⅱ を用いた電流 モー ドフィルタはその設計手法が未だ確立 されていない。そこで CC Ⅱ を用いた電流モー ドフイル タの設計手法 を提案 した。本合成法 に基づいて設計 されたフイルタを

cMos cCⅡ

を用いて試作 し た。第

4章

では電流入力端子 に電流 を入力 し電流出力端子か ら帰還する構成 について述べた。4.3節 は帰還先 を電流端子 とした構成、4.4節は帰還先 を電圧入力端子 とした構成である。

5章

では電流入力端子 と電圧入力端子の両方に

RCネ

ッ トワークを介 して入力する。そのため

‑145‑

(4)

CC Ⅱ から見ると電流 と電圧が入力 してきた形 となるため、ここでは全電流モー ドである第

4章

に対 して混合モー ドと呼ぶ ことにする。 この構成は第

4章

のようにきれいな トポロジーの形にできない ため素子 をア ドミッタンスで表現 してフイルタを構成 し、その特性 を検証 した。これらの構成はほぼ 理論値 とシミュレーシ ョン値そ して実測値が一致 している。以上の提案回路の動作検証は ±2.5Vの 電源電圧で行 ったが電源電圧 ±1.ovで も同 じ性能が得 られている。 しか し±1.Ov以 下になると徐々

に入カインピーダンスが大 きくな り、その影響により、設計値から離れてい く。また小信号入力時に おける回路全体の消費電力は約750μ

Wで

あつたo

Cc Ⅱ を用いることで混合モー ドのバイカッド0フ ィルタが簡単に構成で き、本 CC Ⅱの構成は優 れたAC、

DC特

性 を有 し、広帯域電流モー ド信号処理の基本構成素子 として非常 に有用であること を示 した。

(5)

論 文 審 査 結 果 の 要 旨

超微細

CMOSプ

ロセス技術 は電子システムの高密度実装を可能にしているが、これに伴い電子回 路の低消費電力化が求められている。低消費電力化の最 も有効な方法は電源電圧 を低 くし動作電流を 小 さくすることであるが、従来の電圧モー ドによるアナログ信号処理では同時にダイナ ミックレンジ と帯域幅が減少する。そこで、新たに電流モー ド信号処理が注 目されている。本論文は電流モー ド回 路 におけるオペアンプとして位置付 けされる第

2世

CMOSカ

レン トコンベア(CC Ⅱ)とその応用

に関する研究成果 をまとめた ものであ り、全

6章

か ら成る。

第1章は序論であ り、電圧モー ドと電流モー ド信号処理の相異 を明 らかにすると共に、電流モー ド信号処理の歴史を展望 し、本研究の目的を述べている。第

2章

と第

3章

ではCC Ⅱの設計 と0.6μ

m cMosプ

ロセスで実装 した CC Ⅱの特性 を述べている。CC Ⅱ は電圧制御電圧源(VCVS)と電流制御 電流源(CCCS)の 2つの機能を有 している。

vCvSを

全帰還オペアンプによって、

Cccsを

ソース入 力

AB級

カレン トミラーによってそれぞれ実現する構成 を第

2章

で、

VCVSを

全帰還 レイル・ツー・

レイルの演算 トランスコンダクタンス増幅器(OTA)に よって、

Cccsを

ドレイン入力

AB級

カレン トミラーによってそれぞれ実現する構成の CC Ⅱ を第

3章

で述べている。帯域幅、チ ップ面積、消 費電力、動作可能最低電源電圧の面か ら、

oTAを

ベースにし、位相補償 を有 しない構成が最 も優れ

て お り、

0.61m CMOSプ

ロ セ ス で 実 装 したCC Ⅱ の 特 性 を測 定 し、

VCVS及

CCCSの ‑3dB帯

域 幅

10oMHz以

上、電源電圧

5V時

の消費電力750μW、 電源電圧

lVで

の動作 を確認 している。

代表的なアナログ回路 はフイルタである。第

4章

と第

5章

では開発 した CC Ⅱ の電流モー ドフイ ルタヘの応用 を述べている。第

4章

では

CCCs機

能 を用いる単一 CC Ⅱ バイカッドフィルタ、第5 章では

VCVs機

能 を用いる単一 CC Ⅱバイカッ ドフィルタの合成法 を提案 し、 これ らの合成法 に基 づいて設計・試作 された低域通過(LP)、 高域通過(HP)、 及び帯域通過(BP)フ イルタの実測結果を述 べている。実測結果によれば、

VCVs機

能 を用いるフィルタの方が より理想 に近い特性 を示す と共

に、広帯域信号処理 において、電流モー ドは電圧モー ドよりも有利であることを立証 している。

6章

は結論であ り、以上の研究成果 を総括すると共に、今後の展望 を述べている。

これまで、電流モー ドは低電圧・広帯域動作に適 しているとされていたが、その実証はされていな かった。本研究では電流モー ド信号処理の基本構成素子であるCCⅡ を開発 し、これを電流モー ド フイルタに応用 してその優位性 を立証 している。 よって、本論文は今後のアナログ回路の進展に大 き く寄与するものであ り、博士(工)の学位 を授与するにふさわ しい と認定する。

‑147‑

参照

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