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学位名 博士(工学)

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名古屋工業大学学術機関リポジトリ Nagoya Institute of Technology Repository

含フッ素活性メチレン化合物を用いたモノフルオロ メチル化反応の開発研究

著者 古川 達也

学位名 博士(工学)

学位授与番号 13903甲第834号 学位授与年月日 2012‑03‑23

URL http://id.nii.ac.jp/1476/00002990/

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タツ

博士(工学)

博第834号

’平成24年3月23日

学位規則第4条第1項該当 課程博士

含フッ素活性メチレン化合物を用いたモノフルオロメチ ル化反応の開発研究.

論文内容の要旨

 有機フジ素化合物はフッ素原子の特異的な性質により強い生理活性や物性を示すごとカ§

期待される。しかし,有機フッ素化合物は天然にはほとんど存在せず,これらを生み出す ためには純粋な有機合成が求められる。中でもフッ素やフルオロメチル基を有する化合物

,は医薬・農薬として多く利用されており,標的分子にフッ素官能基を導入する手法の開発 が強く望まれている。そのため古くから不斉フッ素化反応やトリフルオロメチル化反応が 研究され,現在ではめざましい発展を遂げている。ところが,モノフルオロメチル化反応 にっいては申請者が研究を始めた時点では,当研究室の報告を含む数例のみしか,例がな く,不斉反応はおろかアキラルな反応ですら例がない状況であった。そこで申請者は,当 研究室で開発された求核的モノフルオロメチル化試薬である理SMを用いた様々な化合物

に対するモノフルオロメチル化反応を展開することとした。

第一章FBSMを用いたα,p・不飽和カルボニル化合物に対する不斉Michael付加反応 フルオロメチルアニオンは通常ハードな性質を有しているため,カルボニルのβ位に導入 することは困難である。しかしFBSMは二っのフェニルスルホニル基を有する活性メチレ ン化合物であるのでソフトなアニオンであることが予想できる。そこで有機合成化学上,

有用な炭素一炭素結合形成反応であるMichael付加反応にFBSMを適用することでカルボ

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ニルのβ位にモノフィレオロメチル基が導入できると期待し,検討した。種々条件の検討を 行ったところキラル相間移動触媒(特にシンコナアルカロイドの窒素置換基に嵩高い置換 基を導入した触媒)を用いた場合に高エナンチオ選択的にFBSM付加体が得られることを 見出した。また得られたFBSM付加体は数ステップ経ることで光学純度を低下させること

なくβ・モノフルオロメチルケトンに誘導することに成功した。

第二章 環状型モノフルオロメチル化試薬FBDTの合成とアルデヒドに対する求核付加反 応メチルアルコールや㏄ヒドロキシメチルアルコールの骨格は医薬,農薬,天然物に多 く見られる重要な骨格の一つである。そこでこれらのミミックおよびイソスターである1主 フルオロメチルアルコールの骨格の構築は重要な課題である。この骨格の構築にアルデヒ

ドに対してFBSMを作用させ,その後,脱スルホニル化反応を行えば構築が可能であると 考えたが,反応は全く進行しなかった。反応が進行しない理由にFBSMの立体の嵩高さに 問題があるとし,環構造をとるごとで嵩を小さくしたFBDTを設計,合成した。 FBDTを 用いた場合,高収率でアルデヒドに対して求核付加反応が進行することを見出した。さら

に脱保護することでα・モノフルオロメチルアルコールへと誘導することにも成功した。

第三章 斑ハSMを用いた含フッ素アルキルアレン類の不斉合成

本研究は北海道大学の小笠原准教授らとの共同研究として行った。小笠原らは2・プロモ1,3・

ジエンに対してパラジウム触媒存在下ソフトな求核剤を作用させることで光学活性なアレ ンの合成に成功している。そこでFBSMを求核剤に用いることでフッ素官能基を有するア レンが合成できるのではないかと考え,検討を行った。反応は速やかに進行し,目的のア レン化合物が得られることを見出した。さらに不斉反応へと展開することで光学活性な含

フッ素アレンの合成にも成功した。,

第四,五章Mori土a・Ba頭s-H皿man Adductに対するアリル位のフルオロメチル化反応 アリル位の不斉アルキル化反応は古くからAsylnme垣c Allylic Alkyla七ion(AAA)と言わ れ,パラジウムやイリジウムを用いた条件で研究がなされてきた。当研究室ではFBSMを 用いた系においてもパラジウムを用いることでアリル位のモノフルオ亘メチル化反応に成 功している。ところが有機触媒を用いたアリル位のモノフルオロメチル化反応はこれまで 全く例がなかった。そこで本研究では出発原料にMorita・Bayhs・Hillman carbonateを用 い,触媒にシンコナアルカロイドを用いることでSN2’/SN2’型の反応を利用したモノフル オ白メチル化反応を検討した。シンコナアルカロイドのSN2仮応の進行によって系中でア ルコキシドが発生し,それが塩基として働くため,触媒的に反応が進行することを見出し た。さらに鉄触媒を添加することで収率,エナンチオ選択性の向上が見られることも見出 した。さらに本研究は試薬にRuppe吉試薬を用いることでトリフルオロメチル化反応にも 展開できることを見出した。また不斉反応に展開するこどで高エナンチオ選択的にカルボ ニルのβ位にトリフルオロメチル基が導入できるごとを見出した。

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論文審査結果の要旨

 有機フッ素化合物はフッ素原子の特異的な性質により強い生理活性や物性を示すことが期待され る。しかし,有機フッ素化合物は天然にはほとんど存在せず,これらを生み出すためには純粋な有機 合成が求められる。中でもフッ素やフルオロメチル基を有する化合物は医薬・農薬として多く利用さ れており,標的分子にフッ素官能基を導入する手法の開発が強く望まれている。そのため古くから不 斉フッ素化反応やトリフルオロメチル化反応が研究され,現在ではめざましい発展を遂げている。と ころが,モノフルオロメチル化反応については申請者が研究を始めた時点では,当研究室の報告を含 む数例のみしか,例がなく,.不斉反応はおろかアキラルな反応ですら例がない状況であった。そこで 申請者は,当研究室で開発された求核的モノフルオロメチル化試薬である.FBSMを用いた様々な化合 物に対するモノフルオロメチル化反応を展開することとした。

第一章 FBSMを用いたα,β一不飽和カルボニル化合物に対する不斉沌c』el付加反応

フルオロメチルアニオンは通常ハードな性質を有しているため,カルボニルのβ位に導入することは 困難である。しかしFBSMは二つのフ土ニルスルホニル基を有する活性メチレン化合物であるのでソ フトなアニオンであることが予想できる。そこで有機合成化学上,有用な炭素一炭素結合形成反応で’

あるMichael付加反応にFBSMを適用することでカルボニルのβ位にモノフルオロメチル基が導入でき ると期待し,検討した。種々条件の検討を行ったところキラル相間移動触媒(特にシンコナアルカロ イドの窒素置換基に嵩高い置換基を導入した触媒)を用いた場合に高エナンチオ選択的にFBSM付加

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第二章環状型モノフル加メチル化試薬FBDTの餓とアルデヒドに対する求核付加反応メチル’

アルコールや0一ヒドロキシメチルアルコールの骨格は医薬,農薬,天然物に多く見られる重要な骨格 の一っである。そこでこれらのミミックおよびイソスタ㌣であるα一フルオロメチルアルコールの骨格 の構築は重要な課題である。この骨格の構築にアルデヒドに対してFBSMを作用させ,その後,脱ス ルホニル化反応を行えば構築が可能であると考えたが,反応は全く進行しなかった。反応が進行しな い理由にFBSMの立体の嵩高さに問題があるとし,環構造をとることで嵩を小さくしたFBDTを設計,

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第三章 FBSMを用いた含フッ素アルキルアレン類の不斉合成

本研究は北瀧大学の小笠原幽授らとの期磯として行った.小笠原らは2一ブ。モ玉β.戸ン酬 してパラジウム触媒存在下ソフトな求核剤を作用させることで光学活性なアレンの合成に成功してい る。そこでFBSMを求核剤に用いることでフッ素官能基を有するアレンが合成できるのではないかと 考え,検討を行った。反応は速やかに進行し,目的のアレン化合物が得られることを見出した。さら に不斉反応へと展開することで光学活性な含フッ素アレンの合成にも成功した。

第四,五章 Morita-BayUs-HHIma玖Adductに対するアリル位のフルオロメチル化反応

アリル位の不斉アルキル化反応は古くからAsymmetric AIIylic Alkylation(AAA)と言われ,パラジウムや イリジウムを用いた条件で研究がなされてきた。当研究室ではFBSMを用いた系においてもパラジウ ムを用いることでアリル位のモノフルオロメチル化反応に成功している。ところが有機触媒を用いた

.アリル位のモノフルオロメチル化反応はこれまで全く例がなかった。そこで本研究では出発原料に

M◎童a-Baylis-H輌1▲man carbohateを用い,触媒にシンコナアルカロイドを用いることでSN2’/SN2’型の反

応を利用したモノフルオロメチル化反応を検討した。シンコナアルカpイドのSN2’反応の進行によっ て系中でアルニキシドが発生し,それが塩基として働くため,触媒的に反応が進行することを見出し た。さらに鉄触媒を添加することで収率エナンチオ選択性の向上が見られることも見出した。さら に本研究は試薬にRupp斑試薬を用いることでトリフルオロメチル化反応にも展開できることを見出し た。また不斉反応に展開することで高エナンチオ選択的にカルボニルのβ位にトリフルオロメチル基 が導入できることを見出した。

以上をもって博士論文とする。

 以上の結果はAngew Chem., Int Ed.を含む学術雑誌5編に掲載されており学術的に高い価値を持っと 判断される。以上より本論文は博士(工学)として適格であると認められる。

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